(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の破砕歯は、予め定められたピッチで前記破砕リングの外周面に配置され、前記軸線が延在する軸線方向に隣接する前記破砕リングの前記複数の破砕歯に対して前記ピッチの1/n倍(n:2以上の整数)ずつ周方向一方にずれるように配置されている、請求項1に記載のクーラ装置のロールクラッシャ。
前記負荷低減ロールの外周面には、複数の前記高歯が前記周方向に並んでいる高歯形成部位と、複数の前記低歯が前記周方向に並んでいる低歯形成部位とがあり、前記高歯形成部位と前記低歯形成部位とが千鳥状に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載のクーラ装置のロールクラッシャ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の4本のロールに関して、更にクリンカを効率的に破砕するために、4本のロールの外周面に複数の歯を形成することが考えられ、ロールを回動することによって排出端部から排出されるクリンカが歯によって破砕される。このような構成の場合、クリンカを歯で破砕する際にロールに負荷が作用する。歯による破砕がロールの複数個所で同時期に行われると、ロールの負荷が特定の時期だけ極大化する。そのため、大きな負荷が生じてもロールを回転させることができるような回転機械、即ち大きな駆動力を発生可能な電動機等の回転ユニットが必要となる。このような大きな駆動力を発生可能な回転ユニットは、外形寸法が大きく且つ消費電力が大きい。それ故、回転ユニットの小型化及び消費電力の低減をすべく、ロールの負荷が特定の時期だけ極大化することを抑制することが望まれている。
【0005】
そこで本発明は、ロールの負荷の経時変化を平準化することができるクーラ装置のロールクラッシャを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクーラ装置のロールクラッシャは、粒状搬送物を搬送しながら冷却するクーラ装置において、前記粒状搬送物を破砕するためのロールクラッシャであって、互いに隙間をあけて搬送方向に並設され、且つ前記搬送方向に直交し且つ互いに平行する軸線の回りに回転ユニットによって夫々回転されて前記粒状搬送物を破砕する複数のロールを備え、前記複数のロールのうちの少なくとも1つのロールは、負荷低減ロールであり、前記負荷低減ロールは、複数の破砕リングを有し、前記複数の破砕リングの各々は、周方向に等間隔をあけて配置されている複数の破砕歯を外周面に有し、前記複数の破砕リングのうち少なくとも1つの前記複数の破砕歯は、隣接する前記破砕リングの前記複数の破砕歯に対して前記周方向にずらして配置されているものである。
【0007】
本発明に従えば、少なくとも1つの破砕リングに関して複数の破砕歯が周方向にずらして配置されている。それ故、ロールを回転させた際、ずらして配置されている破砕リングとそれ以外の破砕リングに夫々作用する破砕時負荷に関してその負荷が大きくなるタイミングをずらすことができる。これにより、負荷低減ロールに作用する負荷の経時変化を平準化することができ、その結果回転ユニットの負荷の経時変化を平準化することができる。
【0008】
上記発明において、前記複数の破砕歯は、予め定められたピッチで前記破砕リングの外周面に配置され、前記軸線が延在する軸線方向に隣接する前記破砕リングの前記複数の破砕歯に対して前記ピッチの1/n倍(n:2以上の整数)ずつ周方向一方にずれるように配置されていてもよい。
【0009】
上記構成に従えば、破砕歯が軸線方向に並んで歯列を形成し、その歯列が周方向一方にねじれるように形成される。これにより、負荷低減ロールを回転させた際、破砕できずにロールの上に残った塊の粒状搬送物を軸線方向一方に送ることができる。このように塊の粒状搬送物を送ることで残った塊の粒状搬送物を他の塊の粒状搬送物と衝突させて粉砕させることができる。また、粒状搬送物を送ることによって、ロール上に残る粒状搬送物をうまく噛み込むことができる隙間に案内することができる。これにより、大きな粒径の粒状搬送物であっても上手く噛み込むことができる。
【0010】
上記発明において、前記負荷低減ロールは、前記軸線方向に延在し、且つ前記回転ユニットによって前記軸線回りに回転させられるシャフトを有し、前記シャフトは、前記軸線方向に延在し且つその外周面に互いに係合する係合片及び被係合溝のいずれか一方を有し、前記複数の破砕リングは、前記係合片及び前記被係合溝のいずれか他方を内周面に有し、前記係合片を前記被係合溝に係合させることで前記周方向に相対変位不能に前記シャフトに外装され、前記複数の破砕リングは、第1破砕リング及び第2破砕リングを含み、前記第1破砕リングは、前記複数の破砕歯のうちの1つである第1基準歯を有し、前記第2破砕リングは、前記複数の破砕歯のうちの1つである第2基準歯を有し、前記第1基準歯は、前記第1破砕リングの中心と前記係合片及び前記被係合溝のいずれか他方の中心を結ぶ線上に位置し、前記第2基準歯は、前記第1基準歯に対して前記周方向に360/(n×N)(N:第2破砕リングの歯数)度ずらして配置されてもよい。
【0011】
上記構成に従えば、第2破砕リングを反転させると、第1破砕リングの破砕歯に対して360×(n−1)/(n×N)度ずれて破砕歯が配置される破砕リング(即ち、ピッチの(n−1)/n倍ずつ前記周方向一方に破砕歯がずれている破砕リング)として用いることができる。それ故、破砕リングを製造するための型の種類を使用される破砕リングの種類よりも少なくすることができ、製造コストを低減することができる。
【0012】
上記発明において、前記複数の破砕歯は、第1高さを有する前記破砕歯である高歯と前記第1高さより低い第2高さを有する前記破砕歯である低歯とを含んでもよい。
【0013】
上記構成に従えば、低歯を形成することによって、高歯では挟むことができない大きな塊の粒状搬送物を低歯で挟んで破砕することができる。これにより、ロール上に大きな塊の粒状搬送物が噛み込まれずに残ってしまうことを抑制することができる。
【0014】
上記発明において、前記負荷低減ロールの外周面には、複数の前記高歯が前記周方向に並んでいる高歯形成部位と、複数の前記低歯が前記周方向に並んでいる低歯形成部位とがあり、前記高歯形成部位と前記低歯形成部位とが千鳥状に配置されていてもよい。
【0015】
上記構成に従えば、破砕時にロール間に軸線方向に低歯と高歯とが互い違いに配置されるので、負荷低減ロールに作用する負荷の経時変化を平準化することができ、その結果回転ユニットの負荷の経時変化を平準化することができる。
【0016】
上記発明において、前記負荷低減ロールは、前記軸線が延在する軸線方向に延在し、且つ前記回転ユニットによって前記軸線回りに回転させられるシャフトを有し、前記複数の破砕歯は、予め定められたピッチで等間隔をあけて前記破砕リングの外周面に配置され、且つ前記軸線方向に隣接する前記破砕リングの前記複数の破砕歯に対して前記ピッチの1/2倍ずつ周方向一方にずらして配置され、前記シャフトは、前記軸線方向に延在し且つ互いに係合する係合片及び被係合溝のいずれか一方を外周面に有し、前記複数の破砕リングは、前記係合片及び前記被係合溝のいずれか他方を内周面に有し、前記係合片を前記被係合溝に係合させることで前記周方向に相対変位不能に前記シャフトに外装され、前記破砕リングの外周面には、少なくとも2つ以上の前記高歯が並ぶ前記高歯形成部位と少なくとも2つ以上の前記低歯が並ぶ前記低歯形成部位とがあり、前記複数の破砕リングは、第1破砕リング及び第2破砕リングを含み、前記第1破砕リングは、前記複数の破砕歯のうちの1つであって前記第1破砕リングの中心と前記係合片及び前記被係合溝のいずれか他方の中心を結ぶ線上に位置している第1基準歯を有し、前記第1破砕リングの外周面に前記第1基準歯を基準として前記周方向に互い違いに前記高歯形成部位及び前記低歯形成部位が配置されており、前記第2破砕リングは、前記複数の破砕歯のうちの1つであって前記第1基準歯に対して前記周方向一方に前記ピッチの1/2倍ずらして配置されている第2基準歯を有し、前記第2破砕リングの外周面に前記第2基準歯を基準として前記周方向において互い違いに前記高歯形成部位と前記低歯形成部位とが配置されており、前記第1破砕リング及び前記第2破砕リングは、各々の前記軸線回りに回転対称性を有するように形成されていてもよい。
【0017】
上記構成に従えば、シャフトに第1破砕リング及び第2破砕リングを正規姿勢で外装し、その隣接する位置に第1破砕リング及び第2破砕リングを反転させた反転姿勢で外装し、更にそれを繰り返すことで破砕歯がピッチの1/2倍ずつずれ且つ前記高歯領域と前記低歯領域とが千鳥状に配置されている負荷低減ロールを製造することができる。製造する際に4種類の破砕リングが使用されるが、破砕リングを製造するための型の種類を2つに抑えることができ、製造コストを低減することができる。
【0018】
上記発明において、前記複数のロールは、隣接する少なくとも2つ以上の前記負荷低減ロールを有し、隣接する前記負荷低減ロールは、前記複数の破砕歯の前記周方向におけるずれ量が互いに異なる前記破砕リングを夫々有していてもよい。
【0019】
上記構成に従えば、負荷低減ロールに作用する負荷の経時変化を更に平準化することができ、その結果回転ユニットの負荷の経時変化を更に平準化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロールの負荷の経時変化を平準化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るクーラ装置1について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するクーラ装置1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0023】
[第1実施形態]
<セメントプラント>
セメントは、石灰石、粘土、けい石、及び鉄等を含むセメント原料を粉砕する原料粉砕工程と、粉砕されたセメント原料を焼成する焼成工程と、最終工程である仕上げ工程を経て生成され、これらの3つの工程がセメントプラントにて行われる。これら3つの工程のうちの1つである焼成工程では、粉砕されたセメント原料を焼成して冷却し、粒状のセメントクリンカを生成している。
図1に示す構成は、セメントプラントの焼成設備3を示すものであり、セメント製造における焼成工程を行っている部分である。焼成設備3は、原料粉砕工程にて粉砕されたセメント原料を予熱、仮焼、及び焼成し、焼成されて高温となった粒状のセメントクリンカを冷却するようになっている。
【0024】
焼成工程を行う部分について更に詳細に説明すると、焼成設備3は、予熱器4を備えており、予熱器4は、複数のサイクロン5によって構成されている。サイクロン5は、上下方向に並べて段状に設けられており、その中の排気を上段のサイクロン5に吹き上げ(
図1の破線の矢印参照)、投入されたセメント原料を旋回流により分離し、下段のサイクロン5へと投入するようになっている(
図1の実線の矢印参照)。最下段の一段上に位置するサイクロン5は、セメント原料を仮焼炉6に投入するようになっている。仮焼炉6は、バーナを有しており、このバーナによる熱と後述する排気の熱とによって投入されたセメント原料中の炭酸ガスを分離する反応(即ち、仮焼反応)が行われる。仮焼炉6で仮焼反応が促進されたセメント原料は、後述のように最下段のサイクロン5に導かれ、更にこのサイクロン5内のセメント原料がロータリキルン7へと供給されるようになっている。
【0025】
このロータリキルン7は、数十メートル以上の横長円筒状に形成されている。ロータリキルン7は、サイクロン5側である入口から先端側にある出口に向かって僅かに下向きに傾いて配置されている。それ故、軸線を中心にロータリキルン7を回転させることによって、入口側にあるセメント原料が出口側へと搬送されるようになっている。また、ロータリキルン7の出口には、燃焼装置8が設けられている。燃焼装置8は、高温の火炎を形成し、セメント原料を焼成するようになっている。
【0026】
また、燃焼装置8は、高温の燃焼ガスを入口側に向かって噴射し、燃焼装置8から噴射された燃焼ガスは、セメント原料を焼成しながらロータリキルン7内を入口の方へと流れる。燃焼ガスは、高温の排気として仮焼炉6の下端から噴流となって仮焼炉6内を上方に吹き上がり(
図1の破線の矢印参照)、仮焼炉6内に投入されたセメント原料を上方に吹き上げるようになっている。セメント原料は、この排気及びバーナによって約900℃まで加熱される、即ち仮焼される。また、吹き上げられたセメント原料は、排気と共に最下段のサイクロン5に流入し、ここで流入する排気とセメント原料とが分離される。分離されたセメント原料は、ロータリキルン7に供給され、排気は、一段上のサイクロン5へと吹き上げられる。吹き上げられた排気は、各サイクロン5でそこに投入されたセメント原料と熱交換を行ってセメント原料を加熱し、再びセメント原料と分離される。分離された排気は、更にその上のサイクロン5へと上昇して熱交換を繰り返す。そして、最上段のサイクロン5から大気に排出される。
【0027】
このように構成される焼成設備3では、セメント原料が最上段のサイクロン5付近から投入され、排気と熱交換しながら十分に予熱されて最下段より一段上のサイクロン5まで降り、そして仮焼炉6に投入される。仮焼炉6では、セメント原料がバーナ及び高温のガスにより仮焼され、その後、セメント原料は、最下段のサイクロン5へと導かれそこで排気から分離されてロータリキルン7に供給される。供給されたセメント原料は、ロータリキルン7内で焼成されながら出口側へと搬送される。このように予熱、仮焼、及び焼成されることによって、セメントクリンカが成形される。ロータリキルン7の出口には、クーラ装置1が設けられており、ロータリキルン7の出口から成形されたセメントクリンカがクーラ装置1に排出される。
【0028】
<クーラ装置>
クーラ装置1は、ロータリキルン7から排出されるセメントクリンカ(高温の粒状搬送物)を予め定められる搬送方向に搬送しながら冷却するようになっており、ロータリキルン7の出口直下には、固定傾斜グレート11が配置されている。固定傾斜グレート11は、ロータリキルン7の出口側から搬送方向に向かって下方に傾斜しており、ロータリキルン7の出口から排出された粒状のセメントクリンカが固定傾斜グレート11上を転がるように搬送方向に落ちていくようになっている。固定傾斜グレート11の搬送方向先端部には、複数の冷却格子列13が設けられており、セメントクリンカが複数の冷却格子列13上に堆積してクリンカ層14を形成するようになっている。冷却格子列13は、搬送方向に延在する構造体であり、互いに隣接するように搬送方向に直交する横方向(以下、「直交方向」ともいう)に並設されており、複数の冷却格子列13の全てを覆い隠すようにその上にクリンカ層14(
図2の2点鎖線参照)が載っている。
【0029】
このように構成されている冷却格子列13は、図示しない台車を有しており、搬送方向一方及び他方に移動されるようになっており、冷却格子列13の移動と冷却格子列13の停止とが繰り返されることによって粒状のセメントクリンカが搬送されるようになっている。その具体的な搬送方法としては、例えば直交方向に並ぶ全ての冷却格子列13を前進させた後に隣接しない冷却格子列13を複数回に分けて後退させる方法や、直交方向に延在するクロスバーを冷却格子列13の上部に設けて、そのクロスバーを搬送方向に動かすことでクリンカ層14を搬送方向に送る方法がある。なお、クリンカ層14を搬送方向に送る構成及び方法については、前述する構成及び方法に限定されず、クリンカ層14を搬送方向に送ることができる構成及び方法であればよい。このように搬送されるセメントクリンカは、冷却格子列13の先端から下方に落下するようになっており、冷却格子列13の先端の直下には、ロールクラッシャ15が配置されている。
【0030】
図3に示すようにロールクラッシャ15は、冷却格子列13の先端から落ちてくるセメントクリンカを更に細かく破砕するための装置である。ロールクラッシャ15は、4本の負荷低減ロール(以下、単に「ロール」という)15a〜15dによって構成されている。4つのロール15a〜15dは、直交方向に延在する円柱状の棒状体であり、各々の中心軸である回転軸L1〜L4まわりに回転するように図示しない軸受機構によって軸支されている。4本のロール15a〜15dは、各々の回転軸L1〜L4が互いに平行し且つ互いに所定の間隔で搬送方向に並べて配置されており、4本のロール15a〜15dの各々には、別々の回転ユニット17が設けられている。回転ユニット17は、いわゆる電動機であり、そこに入力される指令に応じて各ロール15a〜15dを正回転及び逆回転するようになっている。また、回転ユニット17には、制御装置18が接続されており、制御装置18は、回転ユニット17の動きを制御することによって4本のロール15a〜15dを回転させて塊状のセメントクリンカを破砕するようになっている。以下では、4本のロール15a〜15dについて詳細に説明する。
【0031】
4本のロール15a〜15dは、2種類のロールによって構成されている。具体的には、搬送方向から下流側から1番目と3番目は、第1種ロールによって構成され、2番目と4番目は、第2種ロールによって構成されている。以下では、第1種ロールとして1番目のロールである第1ロール15aの構成を
図4乃至
図8を参照しながら説明し、次に2番目のロールである第2ロール15bの構成を
図9乃至12を参照しながら説明する。3番目のロールである第3ロール15c及び4番目のロールである第4ロール15dの各々の構成は、第1ロール15a及び第2ロール15bの各々の構成と同じであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
第1ロール15aは、第1シャフト21と、複数の破砕リング22,23とを有している。第1シャフト21は、直交方向に延在する大略円柱状の部材であり、その両端部近傍が図示しない軸受機構によって回転軸L1回りに回転可能に軸支されている。また、第1シャフト21の一端部は、回転ユニット17に連結されており、回転ユニット17によって回転軸L1回りに回転駆動されるようになっている。また、第1シャフト21の外周面には、2つのキー21aが形成されている。係合片である2つのキー21aは、半径方向外側に突出し且つ第1シャフト21の一端から他端まで延在しており、周方向に180度離して配置されている。このような形状を有する第1シャフト21の外周面には、2種類の破砕リング22,23が交互に複数個外装されている。以下では、2種類の破砕リング22,23である第1破砕リング22及び第2破砕リング23の構成について説明する。
【0033】
図4に示す第1破砕リング22は、直交方向に延在する大略円筒状の部材であり、その内周面に2つのキー溝22aを有している。被係合溝であるキー溝22aは、第1シャフト21のキー21aと同じ形状を有しており、第1破砕リング22の一端から他端まで延在している。また、キー溝22aは、周方向において180度離して配置されており、第1破砕リング22を第1シャフト21に外装する際にキー溝22aにキー21aが嵌るようになっている。これにより、第1破砕リング22は、第1シャフト21に対して相対回転しないように外装されている。また、第1破砕リング22の外周面には、複数の破砕歯24が形成されている。本実施形態では、第1破砕リング22の外周面に18本の破砕歯24が形成されており、18本の破砕歯24が等ピッチp1で配置されている。各破砕歯24は、半径方向外方に突出し、且つ第1破砕リング22の直交方向一端から他端まで延在している。また、複数の破砕歯24には、歯たけが異なる破砕歯24が含まれており、本実施形態において6本の高歯24a、4本の中歯24b、及び8本の低歯24cの3種類の異なる歯たけの歯が含まれている。
【0034】
高歯24aは、3種類の歯のうち最も歯たけが大きい歯である。6つの高歯24aのうち1つの高歯24aは、第1破砕リング22の中心軸(即ち、回転軸L1)と一方のキー溝22aの中心とを含む仮想中央面PL11上に位置している。この高歯24aが第1基準歯となっており、第1破砕リング22の外周面には、
図4の第1基準歯24dを基準にして周方向一方に2つの高歯24aが配置され、その次に中歯24bが配置されている。中歯24bは、高歯24aより低く且つ低歯24cより高い歯である、即ち高歯24a及び低歯24cの歯たけの中間の歯たけを有している。更に、中歯24bの周方向一方の隣には、4つの低歯24cが等ピッチp1で並べて配置されている。低歯24cは、3種類の歯のうち最も歯たけが小さい歯である。4つ低歯24cの周方向一方の隣には、再び中歯24bが配置され、その次に高歯24aが配置されるようになっている。この高歯24aは、仮想中央面PL11上に位置しており、この高歯24aに続けて2つの高歯24aが周方向一方に等ピッチp1で並べて配置されている。更に続けて、中歯24b、4つの低歯24c、及び中歯24bの順で等ピッチp1で配置されている。
【0035】
このように構成されている第1破砕リング22では、外周面に高歯24aが3つずつ並べて配置され、並べて配置される3つの高歯24aが第1高歯形成部位25(例えば、後述する
図8の第1ロール15aの網掛け部分)を夫々構成している。また、2つの第1高歯形成部位25の間には、周方向一方及び他方に4つの低歯24cが夫々並べて配置されており、並べて配置される4つの低歯24cが第1低歯形成部位26を夫々構成している。これにより、第1破砕リング22の外周面には、第1高歯形成部位25及び第1低歯形成部位26が周方向一方においてその順番で互い違いに配置されるようになっている。このような形状を有する第1破砕リング22は、第1基準歯24dに隣接する高歯24aが第1基準歯24dに周方向一方側に位置する正規姿勢で第1シャフト21に外装させることができる。
【0036】
また、第1破砕リング22は、中心軸を中心とする回転対称性を有し且つキー溝22aが180度ずれた位置に配置されているので、仮想中央面PL11に対して第1破砕リング22の一方側と他方側とを反転させた反転姿勢で第1シャフト21に外装できるようになっている。反転姿勢では、
図5に示すように第1基準歯24dの周方向の位置は変わらないが、2つの高歯24aが第1基準歯24dの周方向他方側に並ぶように配置される。これにより、第1破砕リング22を仮想中央面PL11に対して左右を反転させることによって、外周面において第1基準歯24dを基準として第1高歯形成部位25及び第1低歯形成部位26をその順番で周方向他方に互い違いに配置することができる。
【0037】
図6に示す第2破砕リング23は、直交方向に延在する大略円筒状の部材であり、第1破砕リング22と略同じ構成を有している。即ち、第2破砕リング23は、その内周面に被係合溝である2つのキー溝23aを有し、及び外周面に複数の破砕歯27を有している。複数の破砕歯27は、第1破砕リング22の複数の破砕歯24と同様に、歯たけが異なる破砕歯27が含まれており、本実施形態において6本の高歯27a、4本の中歯27b、及び8本の低歯27cの3種類の異なる歯たけの歯が含まれている。また、複数の破砕歯27の各々の並びも第1破砕リング22の複数の破砕歯24と同じ並びであり、第1基準歯24dに対応する第2基準歯27eから周方向一方に2つの高歯27a、中歯27b、4つの低歯27c、中歯27b、3つの高歯27a、中歯27b、4つの低歯27c、及び中歯27bの順で第2破砕リング23の外周面に並んでいる。第1破砕リング22と第2破砕リング23との相違点として、第2破砕リング23では、第2破砕リング23の中心軸とキー溝23aの中心とを含む仮想中央面PL12上に第2基準歯27eと中歯27bとの間に形成される歯底27dが位置し、第2基準歯27eが仮想中央面に対してピッチp1の1/2倍ずれて配置されている。つまり、複数の破砕歯27全体が第1破砕リング22の複数の破砕歯24に対して回転軸L1回りにピッチp1の1/2倍ずれて配置されている。
【0038】
このように形成されている第2破砕リング23では、第1破砕リング22と同様に、並べて配置される3つの高歯27aによって第2高歯形成部位28が構成され、並べて配置される4つの低歯27cによって第2低歯形成部位29が構成される。即ち、第2破砕リング23の外周面にもまた、第2基準歯27eを基準として周方向一方において第2高歯形成部位28及び第2低歯形成部位29が互い違いに配置されるようになっている。このような形状を有する第2破砕リング23は、第2基準歯27eに隣接する高歯27aが第2基準歯27eに対して周方向一方側に位置する正規姿勢で第1シャフト21に外装させることができる。
【0039】
また、第2破砕リング23は、中心軸を中心とする回転対称性を有し且つ第1破砕リング22と同様にキー溝23aが180度ずれた位置に配置されているので、仮想中央面PL12に対して第2破砕リング23の一方側と他方側とを反転させた反転姿勢で第1シャフト21に外装できるようになっている。反転姿勢では、
図7に示すように第2基準歯27eが仮想中央面PL12に対して反転させた位置に配置させ、且つ2つの高歯27aが第2基準歯27eの周方向他方側に並ぶように配置することができる。このように第2破砕リング23を仮想中央面PL12に対して反転させることによって、外周面において第2基準歯27eを基準として第2高歯形成部位28及び第2低歯形成部位29をその順番で周方向他方に互い違いに配置することができる。
【0040】
このように構成されている2種類の破砕リング22,23の各々は、交互に且つ正規姿勢と反転姿勢とを替えながら第1シャフト21に外装されている。即ち、第1シャフト21には、
図8に示すように複数の破砕リング22,23が外装されている。第1シャフト21の最も他端側に第1破砕リング22が正規姿勢で外装され、それに隣接するように第2破砕リング23が正規姿勢で外装されている。これにより、正規姿勢の第2破砕リング23Tは、第2基準歯27eが正規姿勢の第1破砕リング22Tの第1基準歯24dに対して半ピッチp1/2ずれて配置されている。つまり、複数の破砕歯27全体が第1破砕リング22の複数の破砕歯24全体に対して半ピッチp1/2ずれた状態で第2破砕リング23Tが第1シャフト21に外装されている。このように外装されている2つの破砕リング22T,23Tでは、第1高歯形成部位25及び第2高歯形成部位28が基本的に仮想中央面PL11,PL12より周方向一方側に配置されている。
【0041】
また、第1シャフト21には、これら2つの破砕リング22T,23Tに隣接させて第1破砕リング22が反転姿勢で外装され、それに隣接するように第2破砕リング23が反転姿勢にて外装されている。このように反転姿勢で外装される2つの破砕リング22R,23Rでは、第1高歯形成部位25及び第2高歯形成部位28が基本的に仮想中央面PL11,PL12より周方向他方側に配置されている。つまり、反転姿勢の2つの破砕リング22R,23Rの第1高歯形成部位25及び第2高歯形成部位28と、正規姿勢の破砕リング22T,23Tの第1高歯形成部位25及び第2高歯形成部位28とは、仮想中央面PL11,PL12に対して反対側に夫々位置している。
【0042】
更に、第1シャフト21には、反転姿勢の2つの破砕リング22R,23Rに隣接させて正規姿勢の2つの破砕リング22T,23Tがその順番で外装され、更にその隣には反転姿勢の2つの破砕リング22R,23Rがその順番で外装されている。このように第1シャフト21に複数の破砕リング22T,22R,23T,23Rを外装することによって第1ロール15aが構成されている。
【0043】
このように構成されている第1ロール15aの外周面には、隣接する第1高歯形成部位25及び第2高歯形成部位28によって高歯形成部位30Hが形成され、隣接する第1低歯形成部位26及び第2低歯形成部位29によって低歯形成部位30Lが形成されている。高歯形成部位30H及び低歯形成部位30Lは、直交方向において仮想中央面PL11,PL12の一方側及び他方側に互い違いに配置される。これにより、第1ロール15aの外周面に高歯形成部位30H及び低歯形成部位30Lが千鳥状に配置される。また、第1ロール15aには、所定間隔をあけて搬送方向に隣接するように第2ロール15bが配置されている。
【0044】
第2ロール15bは、第2シャフト31と、複数の破砕リング32,33とを有している。第2シャフト31は、第1シャフト21と同様の形状を有している。即ち、第2シャフト31は、直交方向に延在する円柱部材であり、その両端部近傍が図示しない軸受機構によって回転軸L2回りに回転可能に軸支されている。また、第2シャフト31の一端部は、回転ユニット17に連結されており、この回転ユニット17によって回転軸L2回りに回転駆動されるようになっている。また、第2シャフト31の外周面には、周方向に180度離して配置されている2つのキー31a(係合片)が形成されている。このような形状を有する第2シャフト31の外周面には、2種類の破砕リング32,33が複数個外装されている。
【0045】
図9に示す第1破砕リング32は、直交方向に延在する大略円筒状の部材であり、その内周面に2つのキー溝32aを有している。被係合溝であるキー溝32aは、第2シャフト31のキー31aと同じ形状を有しており、第1破砕リング32の一端から他端まで延在している。また、キー溝32aは、周方向において180度離して配置されており、第1破砕リング32を第2シャフト31に外装する際にキー溝32aにキー31aが嵌るようになっている。これにより、第1破砕リング32は、第2シャフト31に対して相対回転しないように外装されている。また、第1破砕リング32の外周面には、複数の破砕歯34が形成されている。本実施形態では、第1破砕リング32の外周面には、18本の破砕歯34が形成されており、18本の破砕歯34は、等ピッチp2で配置されている。各破砕歯34は、半径方向外方に突出し、且つ第1破砕リング32の一端から他端まで延在している。また、各破砕歯34は、その歯たけが同一になるように第1破砕リング32の外周面に形成されている。
【0046】
更に詳細に説明すると、複数の破砕歯34のうちの1つの歯である第1基準歯34aが第1破砕リング32の中心軸(即ち、回転軸L2)と一方のキー溝32aの中心とを含む仮想中央面PL21上に位置しており、他の破砕歯34がこの第1基準歯34aを基準にして等ピッチp2で並べて第1破砕リング32の外周面に配置されている。このように構成されている第1破砕リング32は、その中心軸を中心とする回転対称性を有するように形成されている。第1破砕リング32は、第2シャフト31の一方のキー31aの半径方向外方の延長線上に第1基準歯34aが位置するように第2シャフト31に外装されている。
【0047】
図10に示す第2破砕リング33は、直交方向に延在する大略円筒状の部材であり、第1破砕リング32と略同じ構成を有している。即ち、第2破砕リング33は、その内周面に2つのキー溝33a(被係合溝)を有し、及び外周面に複数の破砕歯35を有している。複数の破砕歯35は、第1破砕リング32と同様に同じ歯たけになるように第2破砕リング33の外周面に形成されている。本実施形態では、第2破砕リング33の外周面には、18本の破砕歯35が形成されており、18本の破砕歯35は、等ピッチp2で配置されている。また、第2破砕リング33は、複数の破砕歯35のうちの1つの歯であって第1基準歯34aに対応する第2基準歯35aを有しており、第2基準歯35aが第2破砕リング33の中心軸(即ち、回転軸L2)と一方のキー溝33aの中心とを含む仮想中央面PL22に対してピッチp2の1/3倍ずれて配置されている。つまり、第2破砕リング33の複数の歯全体が第1破砕リング32の複数の破砕歯34に対して回転軸L2回りにピッチp2の1/3倍ずれて配置されている。このような形状を有する第2破砕リング33は、仮想中央面PL22に対して第2基準歯35aが周方向一方側に位置する正規姿勢で第2シャフト31に正規姿勢で外装することができる。
【0048】
また、第2破砕リング33は、その中心軸を中心とする回転対称性を有し且つキー溝33aが180度ずれた位置に配置されているので、仮想中央面PL22に対して第2破砕リング33の一方側と他方側とを反転させた反転姿勢で第2シャフト31に外装できるようになっている。これにより、
図11に示すように第2基準歯35aを仮想中央面PL22に対して反転させた位置に配置することができ、第2基準歯35aが仮想中央面PL22に対して周方向他方側にピッチp2の1/3ずれて配置される。つまり、第2破砕リング33の複数の破砕歯35全体が第1破砕リング32の複数の破砕歯34に対して回転軸L2回りにピッチp2の2/3倍ずれて配置されている。このように第2破砕リング33を仮想中央面PL22に対して反転させることによって、複数の破砕歯35全体が第1破砕リング32の複数の破砕歯34に対して回転軸L2回りにピッチp2の2/3倍ずれている第2破砕リング33にすることができる。
【0049】
このように構成されている2種類の破砕リング32,33の各々は、各破砕リング32,33に形成される破砕歯34,35がピッチp2の1/3倍ずつずれて配置されるように第2シャフト31に外装されている。即ち、第2シャフト31には、
図12に示すように複数の破砕リング32,33が外装されている。第2シャフト31の最も他端側には、第1破砕リング32が外装されており、第1基準歯34aが第2シャフト31のキー31aの半径方向外方に位置している。
【0050】
また、第2シャフト31には、この第1破砕リング32に隣接するように第2破砕リング33が正規姿勢で外装されている。正規姿勢の第2破砕リング33Tは、第2基準歯35aが第1破砕リング32の第1基準歯34aに対して周方向一方にピッチp2の1/3倍ずれて配置されている。つまり、複数の破砕歯35全体が第1破砕リング32の破砕歯34全体に対してピッチp2の1/3倍ずれた状態で第2破砕リング33Tが第2シャフト31に外装されている。また、正規姿勢の第2破砕リング33Tの隣には、第2破砕リング33が反転姿勢で第2シャフト31に外装されている。反転姿勢の第2破砕リング33Rは、第2基準歯35aが第1破砕リング32の第1基準歯34aに対して周方向他方にピッチp2の1/3倍ずれて配置されている。つまり、複数の破砕歯35全体が第1破砕リング32の破砕歯34全体に対してピッチp2の2/3倍ずれた状態で第2破砕リング33Rが第2シャフト31に外装されている。更に、反転姿勢の第2破砕リング33Rの隣には、第1破砕リング32、正規姿勢の第2破砕リング33T、及び反転姿勢の第2破砕リング33Rがその順で繰り返し外装されている。このように複数の破砕リング32,33T,33Rを第2シャフト31に外装することによって第2ロール15bが構成されている。
【0051】
このように構成されている第2ロール15bの外周面には、軸線方向、即ち直交方向に隣接する破砕歯34,35によって歯列36が形成されている。なお、この歯列36は、隣接する破砕歯34がピッチp2の1/3倍ずれて配置されているので、第2ロール15bの外周面において周方向一方にねじれるようにして直交方向に延在している(例えば、1つの歯列36として
図3及び
図12の第2ロール15bの網掛け部分参照)。なお、第2ロール15bに隣接して配置される第1ロール15aもまた、軸線方向、即ち直交方向に隣接し且つ周方向他方に半ピッチp1/2ずれて配置されている破砕歯24,27によって歯列が形成され、この歯列は第1ロール15aの外周面において周方向他方にねじれるようにして直交方向に延在している。
【0052】
なお、前述の通り、第3ロール15cは、第1ロール15aと同様に構成され、また第4ロール15dは、第2ロール15bと同様に構成されている。
【0053】
このように構成される4つのロール15a〜15dは、前述の通り搬送方向に所定の間隔をあけて配置されており、隣接するロール15a〜15d同士の間に隙間S1〜S3が空いている。隙間S1〜S3の幅(即ち、搬送方向の長さ)は、ロール15a〜15dが回転し且つ各ロール15a〜15dの外周面に破砕歯24,27,34,35が形成されているので、各破砕歯同士24,27,34,35の位置に応じて変化する。即ち、高歯24a,27aと破砕歯34,35が突き合わさった時に隙間S1〜S3の幅が最も狭く(最小幅)、歯底同士が向き合った時に隙間S1〜S3の幅が最も広くなる(最大幅)。隙間S1〜S3の幅を狭くしていくと、破砕後のセメントクリンカの粒径を小さくすることができるが破砕時のロール15a〜15dに作用する負荷が大きくなる。また、隙間S1〜S3の幅を広くすると、破砕時の負荷が小さくなるが粒径の大きなセメントクリンカが下方に排出される。このことを踏まえて、隙間S1〜S3の最小幅は、破砕時のロール15a〜15dに作用する負荷の許容量に応じて設定され、隙間S1〜S3の最大幅は、セメントクリンカの許容粒径に応じて設定されるようになっている。更に、これらの最小幅及び最大幅に応じて、隣接するロール15a〜15dの間隔、各破砕歯24,27,34,35の歯たけが設定されるようになっている。
【0054】
このように構成されている4つのロール15a〜15dは、各々の回転ユニット17によって回転駆動されている。例えば、制御装置18では、通常モードと高破砕モードとが選択可能になっている。通常モードでは、第1ロール15aが周方向他方に回転し、第2乃至第4ロール15b〜15dが周方向一方に回転しており、高破砕モードでは、第1ロール15a及び第3ロール15cが周方向他方に回転し、第2及び第4ロール15b,15dが周方向一方に回転している。このように回転する4つのロール15a〜15dは、クーラ装置1の先端から落下するセメントクリンカを受け、受けたセメントクリンカを許容粒径以下の粒径に破砕するようになっている。
【0055】
更に詳細に説明すると、通常モードでは、第2乃至第4ロール15b〜15dでは、落下してくるセメントクリンカを第1ロール15aの方へと送るようになっている。その際、第2乃至第4ロール15b〜15dでは、許容粒径以下の粒径のセメントクリンカが隙間S2,S3から落とされ、粒径の大きい大きな塊のセメントクリンカが第1ロール15aの方へと送られる。第1ロール15aは、第2ロール15bと共に第1及び第2ロール15a,15b上のセメントクリンカをそれらの間(即ち、隙間S1)に巻き込むように回転しており、前記セメントクリンカをそれらの間に巻き込むことで破砕するようになっている。破砕することで大きな塊のセメントクリンカが許容粒径以下の粒径のセメントクリンカとなって隙間S1から下方に落ちるようになっている。
【0056】
他方、高破砕モードでは、第3ロール15cもまた、第4ロール15dと共に第3及び第4ロール15c,15d上のセメントクリンカをそれらの間(即ち、隙間S3)に巻き込むように回転し、前記セメントクリンカをそれらの間に巻き込むことで破砕するようになっている。このように、ロールクラッシャ15において2カ所で破砕が行われるようになり、より多くのセメントクリンカを破砕して下方に落とすことができるようになっている。
【0057】
このように構成されているロールクラッシャ15の第1ロール15a及び第3ロール15cでは、回転時において破砕リング22T,22R,23T,23Rに作用する負荷は、破砕歯24,27によってセメントクリンカを破砕する際に大きくなり、それ以外の時には作用する負荷が小さくなる。第1ロール15a及び第3ロール15cでは、隣接する破砕歯24,27が互いに周方向に半ピッチp1/2ずれるように配置されているので、回転時において各破砕リング22T,22R,23T,23Rに作用する負荷が大きくなるタイミングを異ならしめることができる。つまり、回転時において各破砕リング22T,22R,23T,23Rの各々に負荷が作用するタイミングを互いにずらすことができる。これにより、第1ロール15a及び第3ロール15cに作用する負荷の経時変化を平準化することができ、その結果回転ユニット17の負荷の経時変化を平準化することができる。
【0058】
また、第1ロール15a及び第3ロール13cでは、各破砕リング22,23が異なる歯たけの破砕歯24a〜24c,27a〜27cを有している。即ち、各破砕リング22,23には、高歯24a,27aだけでなく低歯24c,27cが形成されている。これによって、高歯24a,27aでは挟めず破砕できない大きな塊のセメントクリンカを低歯24c,27cで挟んで破砕することができる。これにより、第1ロール15a及び第3ロール15c上に大きな塊のセメントクリンカが噛み込まれずに残ってしまうことを抑制することができる。
【0059】
更に、第1ロール15a及び第3ロール15cでは、高歯形成部位30Hの高歯24a,27aでセメントクリンカを破砕する際に破砕リング22,23に作用する負荷がピークとなる。第1ロール15a及び第3ロール15cの外周面において高歯形成部位30H及び低歯形成部位30Lが千鳥状に配置されるので、第1ロール15a及び第3ロール15cの高歯24a,27aが直交方向に隣接して並ぶことを防ぐことができる。これにより、第1ロール15a及び第3ロール15cに作用する負荷の経時変化を平準化することができ、その結果回転ユニット17の負荷の経時変化を平準化することができる。
【0060】
また、第1ロール15a及び第3ロール15cは、第1シャフト21に第1破砕リング22及び第2破砕リング23を正規姿勢で外装し、その隣りに第1破砕リング22及び第2破砕リング23を反転姿勢で第1シャフト21に外装し、更にそれを繰り返すことで製造される。従って、第1ロール15a及び第3ロール15cは、2種類の破砕リング22,23によって製造することができる。それ故、4種類の破砕リング22T,22R,23T,23Rを使用するが、それらを製造する際の型の種類を2つに抑えることができ、製造コストを低減することができる。
【0061】
また、第2ロール15b及び第4ロール15dでも隣接する破砕歯34,35が互いに周方向にピッチp2の1/3倍ずれるように配置されているので、回転時において各破砕リング32,33T,33Rに作用する負荷が大きくなるタイミングを異ならしめることができる。つまり、回転時において各破砕リング32,33T,33Rの各々に負荷が作用するタイミングを互いにずらすことができる。これにより、第2ロール15b及び第4ロール15dに作用する負荷の経時変化を平準化することができ、これによって回転ユニット17の負荷の経時変化を平準化することができる。
【0062】
また、第2ロール15b及び第4ロール15dでは、その外周面において歯列36が周方向一方にねじれるようにして直交方向に延在している(
図3及び12の第2ロール15bの網掛け部分参照)。それ故、第2ロール15b及び第4ロール15dを夫々回転させた際、隙間S1〜S3から落ちずにロール15b,15d上に残った大きな塊のセメントクリンカを直交方向一方側(例えば、第2シャフト31の他端部側)に送ることができる。このようにセメントクリンカを送ることで他の塊のセメントクリンカと衝突させて、塊のセメントクリンカを粉砕させることができる。また、セメントクリンカを送ることによって、ロール15b,15d上に残る塊のセメントクリンカをうまく噛み込むことができる隙間S1〜S3に案内することができ、大きな塊のセメントクリンカであっても上手く噛み込むことができる。
【0063】
なお、第1ロール15aでも、直交方向に隣接する破砕歯24,27が周方向他方に半ピッチp1/2ずれて配置されているおり、このずれた破砕歯24,27によって歯列が形成される。この歯列は、第1ロール15aの外周面において周方向他方にねじれるようにして直交方向に延在している。それ故、第1ロール15aを周方向他方に回転させることで、この歯列によってロール15a上に残った大きな塊のセメントクリンカを直交方向一方側に送ることができ、第2及び第4ロール15b,15dの歯列36と同様の作用効果を奏している。
【0064】
また、第2及び第4ロール15b,15dで、第2シャフト31に第1破砕リング32を外装し、その隣りに正規姿勢の第2破砕リング33T及び反転姿勢の第2破砕リング33Rをその順で第2シャフト31外装し、それを繰り返すことで製造される。従って、第2ロール15b及び第4ロール15dは、2種類の破砕リング32,33によって製造することができる。それ故、3種類の破砕リング32,33T,33Rを使用するが、それらを製造する際の型の種類を2つに抑えることができ、製造コストを低減することができる。
【0065】
また、クーラ装置1のロールクラッシャ15では、第1乃至第4ロール15a〜15dがこの順で並べて配置されており、隣接するロール15a〜15dが異なる種類のロールとなるように配置されている。そうすることで、回転時における隙間S1〜S3において突き合わされる部位を多様化させることができる。例えば、高歯24aと歯底、低歯24cと破砕歯34、及び低歯24cと歯底等を突合せることができる。これにより、破砕リング22,23,32,33に作用する負荷の大きさの経時変化を更に平準化することができ、これによって回転ユニット17の負荷の経時変化を平準化することができる。
【0066】
<その他の実施形態>
本実施形態のクーラ装置1では、隣接するロール15a〜15d同士が異なる種類のロールとなるように4つのロール15a〜15dが配置されているが、全て同じロールを用いてもよい。例えば、第1ロール15aと同じ構造のロールを4つのロールに採用してもよく、第2ロール15bと同じ構造のロールを4つのロール15a〜15dに採用してもよい。また、破砕時における4本のロール15a〜15dの回転制御モードについて、前述するような通常モード及び高破砕モードに限定されず、異なる回転制御モードで回転させるようにしてもよい。
【0067】
また、隣接する破砕歯24,27,34,35同士がピッチの1/2倍又は1/3倍ずつずれている、そのずれ量はピッチの1/4倍であってもよい。即ち、隣接する破砕歯24,27,34,35のずれ量がピッチの1/n倍(n:整数)であればよい。このように、ピッチの1/n倍ずらすことによって、第1基準歯に対して第2基準歯が周方向に360/(n×N)(N:第2破砕リングの歯数)度ずれて配置されることになる。これにより、第2破砕リングを反転させると、第1破砕リングの破砕歯に対して360×(n−1)/(n×N)度ずれて破砕歯が配置される破砕リング(即ち、ピッチの(n−1)/n倍ずつ前記周方向一方に破砕歯がずれている破砕リング)として用いることができる。それ故、破砕リングを製造するための型の種類を使用される破砕リングの種類よりも少なくすることができ、製造コストを低減することができる。
【0068】
また、本実施形態において、第1ロール15a及び第3ロール15cでは、各破砕歯24,27の歯面の位置を変えることによって隙間S1〜S3の幅を変えているが、歯底の位置を変えることによって隙間S1〜S3の幅を変えるようにしてもよい。また、各ロール15a〜15dでは、シャフト21,31にキー21a,31aが形成され、破砕リング22,23,32,33にキー溝22a,23a,32a,33aが形成されているが、シャフトにキー溝が形成されて破砕リングにキーが形成されてもよい。
【0069】
また、複数の破砕リング22,23を順番に配置しているが、複数の破砕リングのうち少なくとも1つ異なる配置がされている破砕歯を有する破砕リングを用いるようにしてもよい。この場合でも、少なくとも1つの破砕リングにて作用する負荷が大きくなるタイミングをずらすことができるので、負荷の経時変化の平準化に有用である。
【0070】
また、第1ロール15a及び第3ロール15cの高歯形成部位30H及び低歯形成部位30Lもまた、必ずしも千鳥状に配置されている必要はなく、縞状に配置されていてもよい。また、高歯形成部位30H及び低歯形成部位30Lがランダムに配置さていてもよい。