【実施例】
【0135】
(実施例1)
細胞培養でのPVS−RIPOの生産
【0136】
細胞培養
Veroワーキングセルバンク細胞(ロット217002−2)の2個のバイアルを解凍した。それぞれのバイアルの内容物を、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone)を有する加温した完全培地(ダルベッコ改変イーグル培地、DMEM、Invitrogen)9mLに添加した。細胞カウントを行って、細胞を1000rpm、4℃で10分間遠心分離した。全ての細胞を再懸濁させて、1つの75cm
2フラスコに入れた。フラスコのキャップを緩めてインキュベータに入れた。これは、継代数142(解凍後の継代数1)であった。新しい培地を2回再供給して(two re-feeds)1週間後、細胞をトリプシン処理し、新しい75cm
2フラスコに20,000個/cm
2で播種して再分散させた(継代数143)。この時点で細胞の生存率は92%であった。
【0137】
75cm
2フラスコの細胞を、2個の225cm
2フラスコにスケールアップして、33,280個/cm
2で播種した(継代数144)。この時点で、細胞は94%生存であった。3日後、細胞は100%生存であった。両方の225cm
2フラスコを共にプールした。プールの前後の両方で得られたいくつかの試料の最終細胞密度は、213,000〜234,000個の細胞/cm
2の範囲であり、試料中の細胞生存率は86%〜96%の範囲であった。
【0138】
2個の225cm
2フラスコの細胞から得た培養物を、3個の225cm
2フラスコに播種して(継代数145)、「セルファクトリー」(Corning(登録商標)Inc.、Corning、New York)とも記述されうる10段CellSTACK(登録商標)細胞培養チャンバーにスケールアップした。最初に、3個の225cm
2からの細胞を6個の225cm
2フラスコに増大させた。これらの6個のフラスコの細胞(継代数147)をトリプシン処理して、共にプールした。このプールから、1個の5段CellSTACK(登録商標)チャンバー、1個の1段CellSTACK(登録商標)チャンバー、および5個の225cm
2フラスコに、細胞39,000個/cm
2(全て、継代数148)で播種した。
【0139】
5段CellSTACK(登録商標)チャンバー(継代数148)を使用して、1個の10段および4個の1段CellSTACK(登録商標)チャンバーに42,000個の細胞/cm
2で播種した。10段CellSTACK(登録商標)チャンバーを感染の1つのために使用した。1個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバーの播種から感染までの時間は、90時間であった。4個の1段CellSTACK(登録商標)チャンバーのうちの1個の細胞をカウントして、10段CellSTACK(登録商標)チャンバーを感染させるために必要なウイルス量を決定した。この時点での細胞カウントは、332,932個の細胞/cm
2であり、細胞は96%生存であった。もう1つの1段CellSTACK(登録商標)チャンバーを、対照として使用した。
【0140】
最初の225cm
2フラスコから作製した1段CellSTACK(登録商標)(継代数148)を使用して、5段CellSTACK(登録商標)チャンバー(継代数149)を作製した。次に、この5段CellSTACK(登録商標)チャンバーを使用して、2個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバー(継代150)に42,000個/cm
2で播種した。2個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバーの播種から感染までの時間は94時間であった。これらの2個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバーを、他の2つの感染のために使用した。
【0141】
感染
MVBロットを使用して産生細胞を感染させた。PVS−RIPOロットおよびMVBロットを生産するための手順を以下に要約する。Vero MCBロットを、世界保健機構のシードのVero細胞を使用して作製した。Vero細胞をトリプシン処理によって採取した。遠心分離後、細胞を、90%ウシ胎児血清(FBS)および10%ジメチルスルホキシド(DMSO)の凍結保護剤溶液におよそ1×10
7個の細胞/mLの濃度で再懸濁させた。Vero WCBロットを、以下のようにVero MCBロットの増大によって生産した。Vero MCBロットの1個のバイアルを使用してVero WCBを開始した。高グルコース、L−グルタミン、Hepes、およびFBSを含むDMEM中で4回継代後、WCBを体積1mL/バイアルおよび濃度4.7×10
6個の細胞/mLでバイアルに充填した。VeroマスターWCBロットを含有するバイアルを、気相式液体窒素に入れた。PVS−RIPOプラスミドDNAロットを使用して、in vitro転写によってPVS−RIPO RNAロットを生産した。PVS−RIPOプラスミドDNAロット40μgをSal I消化によって線状にした。線状化DNAをフェノールおよびクロロホルムで抽出して、エタノール沈殿を、−70℃以下で一晩実施した。DNAを、DNアーゼ/RNアーゼフリーの蒸留水40μLに再懸濁させた。消化/精製前および消化/精製後のプラスミドDNAの試料を、アガロースゲル電気泳動によって分析して、産物サイズおよび回収率を確認した。
【0142】
線状化DNA 20μgを鋳型として使用して、PVS−RIPO RNAを2つの同一の反応で合成した。それぞれの反応を、線状化DNA 10μgを使用して実施した。反応を開始するために、線状化プラスミドDNA 10μgをin vitro転写反応ミックス(RiboMAX大規模RNA産生システム、Promega)に添加して、最終体積を100μlとした。転写反応物を37℃で2.5〜3時間インキュベートした。反応が完了したときに、反応チューブを保存のため−70℃以下に置いた。適格なワーキングセルバンク(WCB)からのVero細胞を電気穿孔ステップに使用した。Vero細胞WCBロットの2個のバイアルを、L−グルタミンを有し10%FBSを富化した、フェノールレッド不含DMEM中で増大させて、37℃および5%CO
2でインキュベートして3回継代した。
【0143】
トリプシン−EDTA(0.05%トリプシン、0.5mM EDTA)を添加して、Vero細胞をトリプシン処理して、37℃および5%CO
2で4〜6分間インキュベートした。トリプシン処理した細胞を収集しておよそ4℃および1000RPMで10分間遠心分離した。収集した細胞をPBS(カルシウムおよびマグネシウムを含まない)100±2mLに懸濁させた。細胞懸濁液の試料を使用して細胞カウントを決定した。残りの細胞を1000RPMおよび4℃の設定で10分間の遠心分離によって収集した。清澄化したPBSを除去して、細胞ペレットを、最終的な計算細胞密度1.25×10
7個の細胞/mLとなるように新しいPBSに再懸濁させた。PVS−RIPO RNAおよそ55μgおよび増大させたVero細胞9mLを混合して、0.8mLアリコートでキュベットに移した。キュベットの内容物に、Bio−Rad Gene Pulser II電気穿孔ユニットを使用して、0.5キロボルトおよび0.25マイクロファラッドで2回の電気ショックを与えた。室温で15〜20分間インキュベートした後、キュベットの内容物を、DMEM/F12培地(Invitrogen)を含むT75フラスコに移した。T75フラスコを33℃および5%CO
2でインキュベートした。完全な細胞変性効果がインキュベーションの3日目に観察された。
【0144】
フラスコの内容物を、遠心分離によって採取して清澄化して、初回ウイルスシード(IVS)ロットを得た。Vero細胞増大は以下の通りであった:Vero細胞を、L−グルタミンおよび10%FBS(Hyclone)を含む、フェノールレッド不含DMEM(DMEM、Invitrogen)を含有する2個のT25フラスコに播種して、37℃および5%CO
2のCO
2インキュベータでインキュベートした。Vero細胞を、3回の細胞継代後に50個のT162フラスコへとさらに増大させた。3回目の継代の3日目に、50個のT162フラスコの内容物を顕微鏡下で調べて、細胞の状態を決定した。純粋な培養物で少なくとも95%コンフルエントである43個のフラスコを選択した。選択したT162フラスコの1つにおける細胞を調べて、細胞数および生存率を決定し、もう1つのフラスコを細胞の品質管理フラスコとしてインキュベートした。残りの41個のフラスコのうち1つを、フェノールレッド不含DMEM:栄養混合物F12の1:1混合物(DMEM/F−12、Invitrogen)の接種後に陰性対照として維持した。PVS−RIPO電気穿孔後シードロットを、保管庫から取り出して室温で解凍し、DMEM/F−12培地を使用して希釈した。40個のT162フラスコ(増大させたVero細胞を含有する)にPVS−RIPO電気穿孔後シードロットを感染多重度(MOI)0.5で感染させた。新しいDMEM/F−12細胞培養培地を添加した後、接種したフラスコを、33℃および5%CO
2でインキュベートした。ウイルス感染フラスコおよび対照フラスコを、目に見える汚染、細胞の状態、およびパーセントコンフルエンシーなどの属性に関して、インキュベーションの間モニターした。
【0145】
感染の70時間後、インキュベーションを終了して、フラスコを、目に見える汚染、細胞状態、およびパーセントコンフルエンシーなどの属性に関して調べた後、採取した。フラスコの内容物を遠心ボトルに移して、4℃および2500RPMで33分間遠心分離して、細胞デブリを除去した。PVS−RIPOウイルスを含有する上清を、850cm
2ローラーボトルにプールした。プールした上清を2個の30mLおよび24個の125mL PETGボトルにそれぞれ、20mLおよび80mLアリコートで移した。さらに、12個の2mLクライオバイアルに1mLアリコートを充填した。残りの上清(全体で3.8mL)を、3個の2mLクライオバイアルに移し、全体で15個の2mLクライオバイアルを得て、これらをPVS−RIPOマスターウイルスシードロットとしてラベル表示した。11個の2mLクライオバイアル、23個の125mL PETGボトル、および2個の30mL PETGボトルを−70℃以下で凍結した後、−70℃以下の制御保管庫(controlled storage)に移した。2mLクライオバイアルのうちの4個を、力価(pfuおよびTCID
50による)、ウイルス粒子、およびDNA配列放出試験に関するプロセス解析/生物学的製剤品質管理に提出した。放出試験の残りを必要に応じて実施し、PVS−RIPO材料取り扱い手順を開発した。
【0146】
先の章で産生された細胞培養物を有する3個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバーを、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS、Invitrogen)によって洗浄した後、DMEM/F−12(Invitrogen)中、感染多重度(MOI)0.1で感染させた。P1マスターウイルスバンク(ロット番号L0403006)の80mLアリコート1個を解凍し、21mLアリコートを使用して、5%CO
2インキュベータにおいて33℃で72時間、それぞれの10段細胞チャンバーに感染させた。10段のセルファクトリーを、顕微鏡を使用して100%の細胞変性効果(CPE)を視覚的に確認した後、感染の70時間後に採取した。採取した材料を4℃、3,800rpmで20分間遠心分離した。上清を直ちに処理するか(ロット番号L1308002B、表3を参照されたい)、または精製するまで最大9日間−70℃で保存した(ロット番号L1308002CおよびL1308002D、表3を参照されたい)。
【0147】
(実施例2)
PVS−RIPOの精製
3個の10段CellSTACK(登録商標)チャンバーのそれぞれからの採取物を、
図5に模式的に図示するプロトコールに従って、すなわちヌクレアーゼ処理後にゲル濾過クロマトグラフィーを行い、その後にqPCR分析を行い、その後に陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、その後に透析濾過による濃縮を行うことによって精製した。精製プロトコールを3回の産生実行のそれぞれに関して繰り返した。
【0148】
ヌクレアーゼ処理
Benzonase(登録商標)酵素(Sigma−Aldrich、Saint Louis、MO)は、溶液中の遊離のRNAおよびDNAの両方を消化するエンドヌクレアーゼである。完全に封入されたウイルス核酸(すなわち、インタクトウイルス粒子に含有される)は、影響を受けない。Benzonase(登録商標)酵素は、1)宿主細胞DNA(gDNA、mtDNA)およびRNA(tRNA、rRNA);2)存在する場合、他の可能性がある混入DNA/RNA(例えば、内因性/外因性ウイルス);3)封入されていない遊離のウイルスRNA、を低減および/または除去するために必要である。遊離の核酸の除去は、安全性、採取粘度の低減、ならびにA254nmおよびRT−qPCRなどの下流のウイルス検出方法のシグナル対ノイズ比の改善という理由から必要である。Benzonase(登録商標)酵素の性能は、それが含有される緩衝溶液に左右される。
【0149】
100mM塩化マグネシウム(MgCl
2)を、1mM MgCl
2の最終濃度が得られるように、Benzonase(登録商標)酵素の添加前に3つの清澄化採取物のそれぞれに添加した。Benzonase(登録商標)酵素の添加は、それぞれの採取物において50μg/mLの最終Benzonase(登録商標)酵素濃度が達成されるように採取物の体積に基づいた。次に、それぞれの採取ボトルを2〜8℃で16〜24時間インキュベートした。
【0150】
ゲル濾過クロマトグラフィー
10cm(内径(i.d.))BPGカラム(GE Healthcare−Biosciences、Pittsburgh、PA)にSepharose 6 Fast Flow(FF)樹脂(GE Healthcare−Biosciences)3140mLを40cmのベッド高まで充填した。使用前に、充填したカラムを0.5N NaOHによって消毒して、周囲温度で26〜28時間静置した。カラムに水を流して、カラムを精製プロセスまで0.05M NaOH中で保存した。精製前に、カラムに5M NaClを流して、精製プロセスを開始するまで5M NaCl溶液中で24時間静置した。次に、カラムを2カラム容積の4.7mM Na
2HPO
4、1M NaCl pH 7.5で飽和し、3カラム容積の4.7mM Na
2HPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって流速50mL/分で平衡化した。
【0151】
3つの精製のそれぞれに関して、Benzonase(登録商標)酵素処理採取物を、1カラム注入において25%カラム容積、30cm/時間でアプライした。カラムを4.7mM Na
2HPO
4、42mM NaCl、pH 7.5の緩衝液を使用して溶出させた。溶出液の吸光度を、3波長(280/215/254nm)を使用して連続的にモニターし、伝導率も同様に連続的に測定した。それぞれのSepharose 6 FFクロマトグラフィーカラムステップからの溶出画分を、150〜200mLの体積で収集した。3つの実行全てからの選択画分を、リアルタイムRT−qPCR(実施例3を参照されたい)によって分析して、リアルタイムRT−qPCR分析からのPVS−RIPOコピー数(>1×10
7コピー/mL)に基づいてプールした。プールした材料を第2のクロマトグラフィーステップで精製した。
【0152】
陰イオン交換クロマトグラフィー
2.6cm(i.d.)XKカラムにSuper Q650M樹脂(Toyopearl(登録商標)、Tosoh Bioscience、Tessenderlo、Belgium)53mLを、最終ベッド高10cmとなるように充填した。充填したカラムを0.5N NaOHによって消毒して、周囲温度で1時間静置した。充填したカラムに水を流してNaOHを除去した後、カラムに5M NaClを流して、5M NaCl溶液中で24時間静置した。
【0153】
カラムを、4.7mM Na
2HPO
4、1M NaCl、pH 7.5で飽和し、4.7mM Na
2HPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって10mL/分の流速で平衡化した。3回の精製のそれぞれに関して、Sepharose 6 FFプール画分を単一カラム注入でアプライした。カラムを、4.7mM Na
2HPO
4、42mM NaCl、pH 7.5の緩衝液を使用して溶出した。溶出液の吸光度を、3波長(280/215/254nm)を使用して連続的にモニターして、伝導率も同様に連続的にモニターした。収集したメインピークは、フロースルーピークであり、夾雑物はカラムに結合した。メインピークの収集後、カラムを4.7mM Na
2HPO
4、1M NaCl pH 7.5を使用してストリップして、二次容器にストリップピークを収集し、一例において、SDS−PAGEによって分析した。
【0154】
濃縮/透析濾過
次に、Super Q650Mカラム後に収集したフロースルーピークをおよそ50mLまで濃縮して、50mM Na
2HPO
4、150mM NaCl、pH 7.4 500mLによって透析濾過した。それぞれの濃縮ステップにおいて、接線流濾過(TFF)フィルターに50mM Na
2HPO
4、150mM NaCl、pH 7.4を2×25mL流した。透過液を収集して、一例において、SDS−PAGEによって分析した。フラッシュ液および濃縮精製PVS−RIPOを共にプールして、20%ヒト血清アルブミン(HSA)(Baxter Pharmaceuticals、Deerfield、IL)を、50mM Na
2HPO
4、150mM NaCl、pH 7.4を、0.2%HSAの最終調合物となるように精製PVS−RIPOに添加した。
【0155】
プールおよびバイアル充填
最終調合したPVS−RIPOの3個のロットを共にプールして、0.2μm Millipak(登録商標)20フィルターを使用して濾過滅菌した。次に、濾過滅菌材料を、体積0.5mLで3mLガラスバイアルに分配した。バイアルを−70℃で保存した。
【0156】
(実施例3)
精製PVS−RIPOの分析
ゲル濾過ステップおよびクロマトグラフィーステップから選択した画分を、プラークアッセイ(NIH、National Cancer Institute−Frederick、生物学的製剤開発プログラム(BDP)標準業務手順書(SOP)22163 ポリオウイルスのプラークアッセイ)において試験した。TCID
50(BDP SOP 22165、Hep−2C細胞を使用したポリオウイルスのTCID
50アッセイ)を、プールする前の最終バルク材料についての、3つの精製実行のそれぞれの終了時に実施した。PVS−RIPOをモニターするために、Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィーの画分を、リアルタイムqPCR(BDP SOP22195、核酸の検出および定量のための定量的PCR(qPCR)法)によってアッセイした。
【0157】
Sepharose 6 FF画分を、PVS−RIPOのHRV−2 IRES領域を標的とするTaqMan(登録商標)ベースのRT−qPCR(Applied Biosystems(登録商標)Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して総PVS−RIPOウイルスRNAに関して試験した。リアルタイムRT−qPCR増幅の前に、画分試料を、Qiagen(登録商標)(Valencia、CAQ)ウイルスRNAミニプレップキットを使用して抽出した。TaqMan(登録商標)プライマーおよび二重蛍光色素標識プローブを、ABI Primer Expressソフトウェア(Applied Biosystems Inc.)を使用して設計した。71−bpのHRV−2 IRES(PVS1)アンプリコンは、フォワードプライマー:5’- (AAC CCA ATG TGT ATC TAG TCG TAA TGA) (配列番号1);リバースプライマー: 5’- (TGA AAC ACG GAC ACC CAA AG) (配列番号2);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5’-[6FAM]-( CAA TTG CGG GAT GGG ACC AAC T)-[TAMRA] (配列番号3)からなった。プライマーおよびプローブをそれぞれ、ヌクレアーゼフリー水(NFW)によって10および5pmol/μlに希釈した。反応は、ROX色素を含むTaqMan(登録商標)1−ステップRT−PCR 2Xマスターミックス25μl、RNアーゼ阻害剤1μl、NFW 1μl、フォワードプライマー1μl、リバースプライマー1μl、TaqMan(登録商標)プローブ1μl、および試料20μlからなり、最終反応体積は50μlであった。(ROX色素を含む1−ステップRT−PCR 2Xマスターミックスは、Applied Biosystems Inc.から販売されている)。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、5−ステップqPCRプロファイル(2.00分、50.0℃;60.0℃で45分間(RT−ステップ);5.00分、95.0℃;94.0℃で20秒を45サイクル、62.0℃で1.00分)を使用して、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システム(Applied Biosystems,Inc.)によって増幅した。定量のためのアンプリコンcDNA標準曲線は、PVS−RIPOプラスミドDNAから作製され、NFWに10倍連続希釈して反応あたり1ng〜1fgとした。PCR阻害、抽出、緩衝液/NTC、および逆転写対照をそれぞれのアッセイに使用した。
【0158】
3つの精製実行のそれぞれからの精製産物は、一貫した結果を示した。表3は、精製収率を示す。全体的なPVS−RIPO収率は60%またはそれ超であった。検出された回収率の変動はおそらく、部分的にプラークアッセイの変動によるものであった。その結果、プロセスの重要な段階では、エンドポイント希釈アッセイによって試料を分析した。このアッセイからの最終調合精製バルクの結果はそれぞれ、5.83×10
11、3.77×10
11、および2.98×10
11TCID
50であった。これらの結果は、3つの精製に関して一定の収率および濃度を示す。
【0159】
3つの精製実行からのSepharose 6 FFカラムとSuper Q 650Mカラムのクロマトグラフィープロファイルの比較から、ゲル濾過ステップおよび陰イオン交換クロマトグラフィーステップの両方で精製の一貫性が示された。Sepharose 6 FFクロマトグラムは、2つの明白なピークを含有した。リアルタイムRT−qPCRによる画分分析により、
図6に説明されるように、PVS−RIPOのメインピークが最初の小さいピーク内に位置することが示された。この直後の大きいピークは、残留塩であるようであった。波長254nmで特異的にモニターする場合、光学的にモニターしたクロマトグラムとリアルタイムRT−qPCR結果とを比較できるように重ねると、PVS−RIPO含有画分の一部が光学的に検出されるピーク内に出現しなかったことが示された。したがって、リアルタイムRT−qPCR結果は、どの画分がPVS−RIPOを含有し(>10
7コピー/mLのカットオフを使用した)、さらなる処理のためにプールすべきであるかを確認するために重要であった。SuperQ 650Mクロマトグラムは、1つの大きいフロースルーピークを示した。SuperQ 650M精製ステップにおいて、フロースループロセスに何らかの余分な夾雑物が存在した。カラムを4.7Mm Na
2HPO
4、1M NaCl、pH 7.5の緩衝液でストリップすると、メインピーク収集の直後に大きいピークが出現した。PVS−RIPO材料がプロセスを通して失われなかったことを確認する試みで、このピークから収集した試料ならびに濃縮ステップからの透過物試料について、SDS−PAGE分析を実施した。両方のアッセイから、PVS−RIPOがいずれの試料にも存在しないことが示された。
【0160】
最終濃縮/透析濾過プロセスの際に、ウイルスの外観は、濃縮されるにつれて半透明から乳白色に変化した。3つ全ての最終濃縮試料が同じ外観を示した。それらを共にプールして濾過すると、外観は、乳白色から透明/半透明の産物へと変化した。濾過前のTCID
50が1.4×10
12であり、濾過後に2.4×10
12であったことから、濾過プロセスによる産物の損失がないことが示された。バイアルに分配する前のPVS−RIPO産物の最終濃度は、6.09×10
9 TCID
50/mLであると決定された。
【表3-1】
【表3-2】
【0161】
(実施例4)
ワクチン組成物の精製
臨床で使用するための単純ヘルペスウイルス(HSV−1)の精製は、Benzonase(登録商標)酵素処理の後にQ−Sepharose XLおよびSepharose 4FFクロマトグラフィーを利用する。HSVキャプシドのサイズにより、濾過滅菌は使用しない。この問題は、宿主細胞DNA/RNAまたはタンパク質と比較して、ウイルス画分の位置が、カラムのA280またはA260測定によって直ちに明らかとならないという点において、PVS−RIPOと同じである。このため、HSV−1含有画分の同定を助けるために、qPCRを本明細書において記述されるように使用することができる。リアルタイムRT−qPCRに対する代替として、表面プラズモン共鳴(BIAcore)または表面干渉法(Octet)アプローチを使用して、BIAコアチップまたはOctetセンサー上のHSV−1カプシドエピトープ(結合)密度を定量してもよい。このようにして、カラム画分におけるウイルスの位置および量を独自に同定する。
【0162】
(実施例5)
非病原性腫瘍溶解性ポリオウイルスキメラ(PVSRIPO)最終バイアル充填製品ロットL0904010のケミストリー、製造、および管理情報
本実施例は、神経膠芽腫の治療に使用するためのPVS−RIPOロットL0904010を生産するために使用される方法を記述する。
図7に要約を提供する。簡単に説明すると、精製PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0401014を転写してPVS−RIPO RNAを産生した。次に、PVS−RIPO RNAを、適格なVero細胞に電気穿孔して、増大させ、初回ウイルスシードロットL0402026(P0)を生産した。初回ウイルスシードロットL0402026を、適格なVero細胞において増大させて、マスターウイルスシードロットL0403006(P1)を生産した。マスターウイルスシードロットL0403006を増大させて精製し、精製濾過バルクロットL0904009(P2)を生産した。精製濾過バルクロットL0904009を充填してFVPロットL0904010を生産した。得られた濃縮精製ウイルスを、0.9%塩化ナトリウム中の50mMリン酸ナトリウム、pH7.4+0.2%ヒト血清アルブミンにおいて調合して、濾過滅菌した。
【0163】
PVSRIPO−kan/pUCプラスミドDNA配列(ロットL0401014)に関して完全長の配列決定を行った。ロットL0401014を、現行の医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準(CGMP)下で生産および精製して、これをさらに使用してマスターウイルスシードロットL0403006を生産し、次いでPVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009および最終のバイアル充填製品ロットL0904010を生産した。配列は、PVS−RIPOプラスミド参照配列ロットL0305007と100%相同であることが見出された。プラスミドDNAについて実施したBLASTn検索から、腫瘍形成性、毒性、または予想外のウイルス配列が存在しないことが示された。
【0164】
PVS−RIPOゲノム配列の配列決定もまた、マスターウイルスシードロットL0403006、精製滅菌バルクロットL0904009、および最終バイアル充填製品ロットL0904010からの材料を使用して実施し、PVS−RIPO参照配列ロットL0401014と100%の相同性を確認した。
【0165】
材料
PVSRIPOの製造に使用した動物起源の原材料には、Benzonase(登録商標)、ウシ胎児血清(FBS)、ヒト血清アルブミン、およびトリプシン−EDTAが挙げられる。原材料の製造元は、以下を示す文書を提供した:
(1)Benzonase(登録商標)酵素調製物は、発酵増殖培地中で牛乳からカザミノ酸を使用する微生物発酵によって組換えにより産生した。牛乳は、1990年以降その地域で飼育された動物においてBSE症例が記録されていない国を起源とし、ヒトによる消費にとって適合すると考えられる。
(2)FBSは、米国内のUSDA監査屠畜場で収集したウシ胎児血液から製造され、検査したウシウイルスに関して陰性であった。
(3)HSAは、ヒトでの使用に関する販売のために血漿誘導体を製造および調製することがUS FDAにより認可された施設であるBaxter Healthcare Corporation製であった。血漿は、USAにおいてUSドナーに限って収集され、関係するUS FDA規則に従った。
(4)トリプシンはブタ起源であり、米国/カナダを起源とした。原料トリプシンを試験して、ブタパルボウイルスに関して陰性であることが見出され、調合前に放射線照射した。
【0166】
遺伝子構築物
a.PVSRIPOプラスミド
組換えPVSRIPO DNA(7.7kb)を改変pUC19ベクター(アンピシリン耐性遺伝子の代わりにカナマイシン耐性遺伝子を有する)にクローニングした後、E.coli DH5αコンピテント細胞に形質転換して、プラスミドDNAを増幅した。PVSRIPO−kan/pUC19プラスミド地図を
図8に示す。
【0167】
b.PVS−RIPOウイルスゲノム
PVS−RIPOウイルスゲノムは、5’非翻訳領域(5’−NTR)、PVS−RIPOオープンリーディングフレーム(ORF)、および3’非翻訳領域(3’−NTR)からなる。5’−NTRは、ヒトライノウイルス2型内部リボソーム侵入部位(HRV−IRES)を含有する。PVS−RIPOオープンリーディングフレームは、単一のタンパク質をコードし、これはタンパク質分解によってウイルス構造タンパク質(P1)および非構造タンパク質(P2およびP3)へとプロセシングされる。P1、P2、およびP3は、さらにプロセシングを受ける。PVS−RIPOゲノムは、HRV−IRES領域を除き、弱毒化ポリオウイルスI型Sabin株と同じである。PVS−RIPOの遺伝子型は、5’−クローバー葉構造[PV1(M);Genbank(登録商標)受託番号NC_002058;ヌクレオチド1〜109]−制限エンドヌクレアーゼEcoRIの切断部位−IRES[HRV2;Genbank(登録商標)受託番号XO2316;ヌクレオチド105〜610]−オープンリーディングフレーム[PV1(S);Genbank(登録商標)受託番号V01150;ヌクレオチド743〜7369;ヌクレオチド748(tからa)]−3’UTR[PV1(S);ヌクレオチド7370〜7441]−ポリ(A)である。
【0168】
PVSRIPOプラスミドDNAの生産
ロットL0401014 PVSRIPOプラスミドDNA生産プロセスを
図9に説明する。
【0169】
a.宿主細胞系の説明および試験
宿主細胞系であるE.coli DH5αを、Invitrogenから得た後、適格であることを確認して、BDPで増大させて、E.coli DH5αマスターセルバンク(MCB)ロットL0301014を生産し、その後E.coli DH5αワーキングセルバンク(WCB)ロットL0303011を生産した。
【0170】
E.coli DH5α MCBロットL0301014は、InvitrogenのE.coli DH5αロット1159251の1つのバイアル(およそ1mL)を、それぞれが滅菌調製培養培地(塩化ナトリウム10g/mL、ソイトン10g/mL、および酵母抽出物5g/mL)150mLを含有する3個の500mLフラスコ中での増大によって生産した。凍結したバイアルを37±1℃のインキュベータ内で5分間解凍した。接種した培養培地を37±1℃でおよび150±10rpmでおよそ18時間インキュベートした。グリセロール溶液を、最終グリセロール濃度が20%となるように、フラスコ1の内容物(OD600=4.31)と混合した。細胞懸濁液を1.0±0.2mL/バイアルでバイアルに充填して、144個の充填済みバイアルを得た。充填済みバイアルを、速度制御凍結(controlled-rate freeze)を使用して−70℃以下に凍結して、−70℃以下の制御保管庫に入れた。E.coli DH5α MCBロットL0301014の規格および放出試験結果を
図10の分析証明書に提供する。
【0171】
E.coli DH5α WCBロットL0303011は、E.coli DH5α MCBロットL0301014の2個のバイアル(2個のバイアルのおよそ全量=2mL)を、それぞれが滅菌調製培養培地(塩化ナトリウム10g/mL、ソイトン10g/mL、酵母抽出物5g/mL、および硫酸マグネシウム七水和物5g/mL)40mLを含有する3個の125mL第1段階シードフラスコ(接種容積はおよそ400μL)、次いでそれぞれが同じ滅菌調製培養培地390mLを含有する2個の2L第2段階シードフラスコ(接種容積はおよそ4mL)において増大させることによって生産した。凍結バイアルを37±1℃のインキュベータで5分間解凍した。接種した培養物を37±1℃および235rpmに設定した速度でインキュベートした。第1段階シードフラスコをOD600=2.5となるまで一晩(およそ16時間)インキュベートし、第2段階シードフラスコを、OD600=0.361となるまでおよそ2.6時間インキュベートした。第2段階シードフラスコ1の内容物を、以下の設定で7分間遠心分離した:1600×gおよび4℃。細胞ペレットを100mM塩化カルシウム/15%v/vグリセロール溶液中に再懸濁させて、以下の設定で5分間遠心分離した:1100×gおよび4℃。得られた細胞ペレットを、100mM塩化カルシウム/15%v/vグリセロール溶液中に再懸濁させて(最終グリセロール濃度は15%)、0.15mL/バイアルの体積でバイアルに充填し、95個の充填済みバイアルを得た。充填済みバイアルをドライアイス/エタノール浴中で凍結させて、−70℃以下の制御保管庫に入れた。E.coli DH5α WCBロットL0303011の規格および放出試験結果を
図11の分析証明書に提供する。
【0172】
b.精製PVS−RIPOプラスミドDNAロットL021217を生産するための起源のPVS−RIPOプラスミドDNAの精製
起源のPVS−RIPOプラスミドDNAは、Duke University Medical Schoolにより提供された。この材料を使用してさらなるプラスミドDNAを作製して精製した。起源のPVS−RIPOプラスミドDNA 10マイクロリットル(μL)を、E.coli DH5αコンピテント細胞(Invitrogenカタログ番号18263−012)に形質転換した。プラスミドミニキットおよびマキシキット(それぞれ、Qiagenカタログ番号27104および12165)を使用して、得られた18個の形質転換体から抽出したプラスミドDNA、およびDuke University Medical Schoolから得た起源のPVS−RIPOプラスミドDNAを、アガロースゲル電気泳動および制限酵素消化によって分析した。分析結果により、2.5kbから10.3kbの範囲で多数のバンドが観察されることが示された。さらに調べるために形質転換体10個を選択した。制限酵素消化分析に基づいて、S−1と同定された形質転換体の1つからのDNAを配列決定すると、1.3キロベース(Kb)の挿入を有することが見出され、これはBLASTnによって細菌ミニトランスポゾンIS10Rであると決定された。他のコロニーは、空のベクター(およそ2.5kb)、二量体ベクター(およそ5.0kb)、またはPVSRIPOプラスミドDNA(およそ10kb)のいずれかとして出現した。
【0173】
アガロースゲル電気泳動を使用して、Duke University Medical Schoolから得た起源のPVS−RIPOプラスミドDNAのバンド形成パターンをさらに分析した。8個のバンドをゲルから切り出して、MiniEluteゲル抽出キット(Qiagenカタログ番号27104)を使用して精製し、−20℃で保存した。8個のバンドのそれぞれからの精製したDNAを、DH5αコンピテント細胞に形質転換して、選択した形質転換体を、50μg/mLカナマイシンを補充した液体ソイ−LB培地中で、37℃で一晩成長させた。QIAprepスピンミニキット(Qiagenカタログ番号27106)を使用して精製したDNAを、アガロースゲル電気泳動および制限酵素消化によって分析した。#6−3(バンド#6の形質転換から)および#5−3(バンド#5の形質転換から)として同定された2つのクローンは、正確なプラスミドサイズを保有するようであり、さらに調べるために選択した。
【0174】
2つのクローン#6−3および#5−3をそれぞれ、50μg/mLカナマイシンを含有するソイ−LB培地において37℃および120回/分(RPM)で増大させ、細胞を収集した。QIAfilterプラスミドメガキット(Qiagenカタログ番号12281)をDNA精製のために使用した。制限酵素消化分析により、2つのクローンのそれぞれからの精製プラスミドDNAが、正確な制限酵素パターンを有することおよび1.3Kbのインサートが存在しないことが示された。クローン#6−3から増大させたロットにロット番号L021217を割付し、精製したロットL021217のDNAを配列決定した。得られた配列は、予想される正確な配列と100%相同であることが見出された。ロットL021217を1mLアリコートで、−70℃以下で凍結した。
【0175】
c.精製PVS−RIPOプラスミドDNA受託バンクロットL0305007の生産および試験
精製PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0305007受託バンクを、精製PVS−RIPOプラスミドDNAロットL021217から生産した。精製プラスミドDNAロットL0212017の2個のバイアルおよびDH5αコンピテントワーキングセルバンクロットL030301の6個のバイアルを、−70℃以下の制御保管庫から取り出して、クールパック(0〜−20℃)上で解凍した。6個の解凍DH5αコンピテントワーキングセルバンクロットL0303011バイアルの内容物を合わせて、100μLを3本の冷却チューブのそれぞれに分注した。精製DNAロットL021017を、エンドトキシンフリーの10mMトリス−HCl、1mM EDTA、pH8.0中で5倍希釈した。希釈したDNAロットL021217の1μLを2本の冷却チューブに加え、第3のチューブを陰性対照として使用した。3本のチューブを密封してクールパック上でおよそ30分間インキュベートした。次に、3本のチューブを40±2℃の水浴中におよそ42秒間入れて熱ショックを与えた。チューブをクールパック上でおよそ4分間冷却した。バイオセーフティキャビネット(BSC)内で作業して、ソイトン−LB培地(ソイ−LB培地の調合に関しては表4を参照されたい)およそ900μLを3本のチューブのそれぞれに添加して、チューブを37℃および120RPMの設定でおよそ1時間インキュベートした。プラスミド調製溶液を含有する2本のチューブのそれぞれからのアリコート(100、200、および400μL)を、ソイトン−LB+50μg/mLカナマイシン寒天プレート(ソイ−LB寒天プレートの調合に関しては表5を参照されたい)上に、全体で6個のプレートについて均一に分配した。陰性対照チューブ(200μL)の内容物をソイトン−LB+50μg/mLカナマイシン寒天プレート上に均一に分配した。7個のプレートを37℃の設定で一晩インキュベートした。
【表4】
【表5】
【0176】
それぞれが、50μg/mLカナマイシンを補充した滅菌のソイトンLB培地50±1mLを含有する、250mLシェークフラスコを使用して6個のスターター培養物を調製した。接種したソイトン−LB+50μg/mLカナマイシン寒天プレートをコロニーの成長に関して調べ、6個のスターター培養物のそれぞれに単一のコロニーを接種した。接種したフラスコを37℃および120RPMの設定で一晩インキュベートした。
【0177】
1ミリリットル試料を、アガロースゲル電気泳動によるDNA分析のために各スターター培養フラスコから取り出し、培養フラスコを2〜8℃で保存した。1個のフラスコを選択して、4個の2L培養フラスコ(50μg/mLカナマイシンを補充したソイトン−LB培地600mLを含有する)のそれぞれにおよそ3mL(0.5%)の接種物を与えた。接種したフラスコを、37℃および120RPMの設定で一晩インキュベートした。
【0178】
培養物を、4℃、6000×gの設定でおよそ15分間の遠心分離によって採取した。上清を廃棄物としてデカントして捨て、細胞ペーストを全体で16.1グラム収集した。細胞ペーストを4個のサブバッチに分けて、Qiagen EndoFreeプラスミドギガキット(Qiagenカタログ番号12391)を使用して精製した。精製後、4個のサブバッチのそれぞれを2〜8℃で保存した。4個のサブバッチをプールして、エンドトキシンフリーの10mMトリスHCl、1mM EDTA、pH8.0を使用して、最終濃度0.5±0.2mg/mLに希釈した。精製PVS−RIPOプラスミドDNAを、2mLクライオバイアルに1.0±0.1mLアリコートで充填してPVS−RIPOプラスミドDNAロットL0305007としてラベル表示し、さらなる製造での使用のために−70℃以下で保存した。PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0305007の試験の要約を表6に提供する。
【表6】
【0179】
d.精製PVSRIPOプラスミドDNAロットL0401014を生産するための発酵およびDNA精製
精製PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0305007およびGMP DH5アルファコンピテントワーキングセルバンクロットL0303011を、DNA形質転換のために使用して、精製PVSRIPOプラスミドDNAロットL0401014を生産した。コンピテント細胞(DH5αコンピテントワーキングセルバンクロットL0303011)を解凍して、穏やかに混合し、冷却したポリプロピレン微量遠心チューブ(濡れた氷上)に100μLアリコートで移した。
【0180】
精製DNAロットL0305007を、エンドトキシンフリーの10mMトリス−HCl、pH8.0、1mM EDTA中で10倍希釈した。希釈したDNA 1マイクロリットルを、コンピテント細胞アリコートを含有する微量遠心チューブに添加した。微量遠心チューブの内容物を穏やかに混合した。コンピテント細胞/精製DNA懸濁液を氷上で30±1分間インキュベートした後、40±2℃に設定した水浴中で45±2秒間の熱ショックステップに供した。コンピテント細胞/精製DNA懸濁液を濡れた氷上に2分間置いた。室温のソイ−LB培地(0.9mL)をそれぞれの微量遠心チューブに添加した。ソイ−LB培地調合を表4に記述する。懸濁液を120RPMの速度設定で37±1℃で61分間振とうさせて、50μg/mLカナマイシンと共に調製した選択的寒天プレート(ソイ−LB寒天プレート)に100μL、200μL、および400μLアリコートを広げた。選択的寒天培地を表5に記述する。プレートを37±1℃で20時間58分間インキュベートして、翌日、コロニーの成長に関して調べた。
【0181】
250mLバッフル付きフラスコ中で50μg/mLカナマイシンを含有するソイ−LB培地50mLを使用して、12個のスターター培養物を調製した。12個のスターター培養物のそれぞれに、選択的寒天プレートからの新しい単一コロニーを接種した。12個のスターター培養物を、600nmの吸光度(OD
600)での光学密度が1超または1に等しくなるまで22時間成長させた。インキュベーションは、120RPMの速度に設定した37±1℃のシェーカー/インキュベータ中で実施した。翌日、12個のスターター培養物のそれぞれを、Mun Iを使用する制限酵素消化によって分析すると、バンドは予測されるサイズの10%以内であることが見出された(試験報告QC−020628)。スターター培養物の1つを使用して、50μg/mLカナマイシンを富化したソイ−LB培地600mLを含有する4個の2Lシェークフラスコのそれぞれに接種物3mL(0.5%)を与えた。接種した2Lシェークフラスコをシェーカー/インキュベータ内で18.5時間成長させた。インキュベーションは、120RPMの速度に設定して37±1℃で実施した。培養物を制限酵素消化によって調べると、対照および予想されるパターンと一致することが見出された。培養物を4℃および6,000×gで15分間の遠心分離によって採取した。細胞を収集して、4個のサブバッチに分割し、Qiagen EndoFreeプラスミドギガキット(Qiagenカタログ番号12391)を使用して精製した。4個のサブバッチのそれぞれを制限酵素消化によって試験すると、対照および予想パターンと一致することが見出された。4個のサブバッチをプールして、エンドトキシンフリーの10mMトリス−HCl、1mM EDTA、pH8.0を使用して、最終濃度0.3±0.2mg/mLとなるように希釈した。精製PVSRIPOプラスミドDNAを、2mLクライオバイアルに1.0±0.1mLアリコートで充填して、PVSRIPOプラスミドDNAロット0401014としてラベル表示し、さらなる製造での使用のために−70℃以下で保存した。
【0182】
PVSRIPOプラスミドDNAロットL0401014が適格であることを確認するために実施した試験、方法、規格、および結果を、分析証明書(
図12)に示す。
【0183】
PVSRIPO初回ウイルスシードロットL0402026(P0)の生産
BDPウイルス生産施設で実施されたPVSRIPO初回ウイルスシードロットL0402026(P0)を生産するための製造プロセスを、
図13に要約して、以下に記述する。
【0184】
a.宿主細胞系の説明および試験
Vero細胞(世界保健機構[WHO]シード、継代数134、1987年10月)を使用して、Vero MCBロット2003−0049を作製した。Vero細胞をトリプシン処理によって採取した。遠心分離後、Vero細胞を、90%ウシ胎児血清(FBS)および10%ジメチルスルホキシド(DMSO)の凍結保護剤溶液中で濃度およそ1×10
7個の細胞/mLで再懸濁させた。Vero MCBロット2003−0049の放出試験、方法、規格、および結果の要約を、
図14に示す分析証明書に含める。
【0185】
Vero WCBロット217002−2は、Vero MCBロット2003−0049の増大によって生産した。Vero MCBロット2003−0049の1個のバイアルを使用してVero WCBを開始した。高グルコース、L−グルタミン、Hepes、およびFBSを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で4回継代後、WCBを体積1mL/バイアルおよび濃度4.7×10
6個の細胞/mLでバイアルに充填した。VeroマスターWCBロット217002−2としてラベル表示されるバイアルを気相式液体窒素に入れた。Vero WCBロット217002−2の放出試験、方法、規格、および結果の要約を、
図15に含める。放出試験の1つは、4回継代されている細胞を使用してVeroワーキングセルバンクロット217002−2について実施した腫瘍形成能試験であった。試験結果から、Vero WCBがこれらの条件下で非腫瘍形成性であることが示された。Vero WCB、ロット217002−2を、PVSRIPOウイルス生産を通して使用した。WCBからの開始継代数は、継代数142であった。
【0186】
b.PVS−RIPO RNAを合成するためのin vitro転写(L0402001)
PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0401014を使用して、in vitro転写によってPVS−RIPO RNAロットL0402001を生産した。PVS−RIPOプラスミドDNAロットL0401014 40μgをSal I消化によって線状にした。線状化DNAをフェノールおよびクロロホルムで抽出し、エタノール沈殿を−70℃以下で一晩実施した。DNAを、DNアーゼ/RNアーゼフリーの蒸留水40μL中に再懸濁させた。消化/精製前および消化/精製後のプラスミドDNAの試料を、アガロースゲル電気泳動によって分析して、産物サイズおよび回収率を確認した。
【0187】
線状化DNA 20μgを鋳型として使用して、2つの同一の反応においてPVSRIPO RNAを合成した。それぞれの反応は、線状化DNA 10μgを使用して実施した。反応を開始するために、線状化プラスミドDNA 10μgを、in−vitro転写反応ミックス(RiboMAX大規模RNA産生システム、Promega、カタログ番号P1300)に、最終体積100μLとなるように添加した。転写反応を37±1℃で2.5〜3時間インキュベートした。反応が完了したとき、反応チューブを−70℃以下の保管庫に入れた。
【0188】
産物サイズをチェックして反応からのRNAの収率を推定するために、反応混合物をDNアーゼ/RNアーゼフリーの蒸留水およびRNA試料緩衝液を使用して1対10または1対20で希釈した。次に、希釈した反応混合物を、RNA変性アガロースゲル[Reliantゲル、1×MOPS緩衝液中の1.25% SeaKem Gold、Lonza(以前にCambrexとして公知)カタログ番号54948]にRNAラダー標準物質(RNAラダー、0.24〜9.5kb、Invitrogen、カタログ番号15620−016)と共にロードした。アガロースゲルにおいて観察されたRNA in vitro転写産物は、予想されるサイズを有することが見出された。反応混合物中のRNAの推定濃度は6.6mg/mLであった。
【0189】
c.PVSRIPO初回ウイルスシード(ロットL0402026)を生産するための電気穿孔
適格のワーキングセルバンク(WCB)ロット217002−2からのVero細胞を、電気穿孔ステップで使用した。Vero WCBは、BDPで確立され、本明細書において記載される。Vero細胞WCBロットL217002−2の2個のバイアルを、L−グルタミンおよび10%ウシ胎児血清を含むフェノールレッド不含ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において増大させて、37℃および5%CO
2の設定で3回継代の間インキュベートした。トリプシン−EDTA(0.05%トリプシン、0.53mM EDTA)を添加して、37℃および5%CO
2の設定で4〜6分間インキュベートすることによって、Vero細胞をトリプシン処理した。トリプシン処理細胞を収集して、およそ4℃および1000RPMで10分間遠心分離した。収集した細胞をPBS(カルシウムおよびマグネシウムを含まない)100±2mLに懸濁させた。細胞懸濁液の試料を使用して細胞カウントを決定した。残りの細胞を、1000RPMおよび4℃の設定で10分間の遠心分離によって収集した。清澄化したPBSを除去して、細胞ペレットを、最終計算細胞密度1.25×10
7個の細胞/mLとなるように新しいPBSに再懸濁させた。
【0190】
PVS−RIPO RNA(in vitro転写ロットL0402001)およそ55μgと、増大させたVero細胞9±0.2mLとを混合して、0.8±0.01mLアリコートでキュベットに移した。キュベットの内容物を、Bio−Rad Gene Pulser II電気穿孔ユニットを使用して、0.5キロボルト(kv)および0.25マイクロファラッド(μF)で2回の電気ショックに供した。室温で15〜20分間インキュベーション後、キュベットの内容物を、次に、DMEM/F12培地(Invitrogen、カタログ番号21041−025)を含むT75フラスコに移した。T75フラスコを33℃および5%CO
2の設定でインキュベートした。同じプロセスを繰り返して、PVS−RIPO RNAをトランスフェクトしたVero細胞のT75フラスコを全体で20個作製した。2つのさらなる対照フラスコは、電気穿孔後のVero細胞、および電気穿孔に供しなかったVero細胞のみを含有した。フラスコの内容物を、インキュベーション期間の間、細胞変性効果(CPE)に関してモニターした。PVS−RIPO RNAをトランスフェクトしたVero細胞を含有する全てのフラスコにおいて、完全なCPEがインキュベーションの3日目に観察された。
【0191】
バイオセーフティキャビネットにおいて作業して、フラスコの内容物を採取した後、遠心分離によって清澄化して、最初のウイルスシードロットL0402026(P0)を得た。2500RPMの設定での32分間の遠心分離後、PVS−RIPOウイルスを含有する上清を収集した。次に、上清をプールして、6個の125mLポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)ボトルに60mLアリコートで移し、4個の2mLクライオバイアルに1mLアリコートで移した。試料を、インプロセス試験のためのプロセス解析(生物学的製剤品質管理としても公知である)に提出した。6個のボトルをPVS−RIPO電気穿孔後シードロットL0402026としてラベル表示し、−70℃以下の保管庫に移した。
【0192】
PVSRIPOマスターウイルスシードロットL0403006(P1)の生産および試験
PVSRIPOマスターウイルスシードロットL0403006(P1)製造プロセスを
図16に要約する。
【0193】
a.Vero細胞の増大
Vero細胞(WCBロット217002−2)の2個のバイアルを、L−グルタミンおよび10%FBS(Hycloneカタログ番号SH30070.03IR)を含むフェノールレッド不含DMEM(DMEM、Invitrogenカタログ番号21063)を含有する2個の25cm
2(T25)フラスコに播種して、37℃および5%CO
2に設定したCO
2インキュベータにおいてインキュベートした。Vero細胞を3回継代後、該Vero細胞をさらに50個の162cm
2(T162)フラスコに増大させた。3回目の継代のインキュベーションの3日目に、50個のT162フラスコの内容物を、顕微鏡下で調べて、細胞の状態を決定した。純粋な培養物で少なくとも95%コンフルエントである43個のフラスコを選択した。選択したT162フラスコのうちの1つ中の細胞を調べて、細胞数および生存率を決定し、選択したフラスコのもう1つを「細胞品質管理」フラスコとしてインキュベートした。選択したT162フラスコの残りの41個のうち、1つのフラスコを、フェノールレッド不含のDMEM:栄養混合物F12の1:1混合物(DMEM/F12、Invitrogen、カタログ番号21041)の接種後に陰性対照として維持した。
【0194】
b.PVS−RIPOマスターウイルスシード(L0403006)の感染および採取
PVS−RIPO電気穿孔後シードロットL0402026を−70℃以下の保管庫から取り出して室温で解凍した。PVS−RIPO電気穿孔後シードロットL0402026を、DMEM/F12培地を使用して希釈し、40個のT162フラスコ(増大させたVero細胞を含有する)に、PVS−RIPO電気穿孔後シードロットL0402026を感染多重度(MOI)0.5で感染させた。接種したフラスコを、新しいDMEM/F12細胞培養培地の添加後、33℃および5%CO
2でインキュベートした。
【0195】
ウイルス感染フラスコおよび対照フラスコを、インキュベーションの間、目に見える汚染、細胞の状態、およびパーセントコンフルエンシーなどの属性に関してモニターした。感染の70時間後、インキュベーションを終了して、フラスコを、目に見える汚染、細胞状態、およびパーセントコンフルエンシーなどの属性に関して調べた後、採取するためにバイオセーフティキャビネット(BSC)に移した。フラスコの内容物を遠心ボトルに移して、4℃および2500RPMの設定で33分間遠心分離して、細胞デブリを除去した。PVS−RIPOウイルスを含有する上清を850cm
2ローラーボトルにプールした。プールした上清を2個の30mLおよび24個の125mL PETGボトルにそれぞれ、20±1mLおよび80±5mLアリコートで移した。さらに、12個の2mLクライオバイアルに1±0.2mLアリコートで充填した。残りの上清(全体で3.8mL)を3個の2mLクライオバイアルに移して全体で15個の2mLクライオバイアルを得た。PETGボトルおよびバイアルをそれぞれ、PVSRIPOマスターウイルスシードロットL0403006としてラベル表示した。11個の2mLクライオバイアル、23個の125mL PETGボトル、および2個の30mL PETGボトルを−70℃以下で凍結して、その後−70℃以下の制御保管庫に移した。2mLクライオバイアルのうち4個を、力価(pfuおよびTCID
50による)、ウイルス粒子、およびDNA配列放出試験に関してプロセス解析(PA)/生物学的製剤品質管理(BQC)に提出した。放出試験の残りを、適切なアッセイとして実施し、PVSRIPO材料取り扱い手順を開発した。残りの125mL PETGボトル(20±1mL充填)を−70℃以下で凍結した。
【0196】
偽感染フラスコ(陰性対照)の上清もまた収集してバイアルに充填した。プロセスコントロール材料20±1mLをそれぞれ含む2個の30mL PETGボトルと、プロセスコントロール材料1±0.2mLをそれぞれ含む4個の2mLクライオバイアルを作製して、「PVSRIPOプロセスコントロール」としてラベル表示した。2個の30mL PETGボトルを、試験のためにPA/BQCに移した。4個の2mLクライオバイアルを−70℃以下で凍結して、−70℃以下の制御保管庫に入れた。
【0197】
PVSRIPOマスターウイルスシードロットL0403006の放出試験を、
図17に含める分析証明書に要約する。
【0198】
c.in vitro外来ウイルスアッセイ
in vitro外来ウイルス試験を、PVS−RIPOマスターウイルスシードロットL0403006について実施した。アッセイは、細胞変性効果(CPE)、血球吸着(HAD)、および血球凝集(HA)に関して3つのタイプの指標細胞株の観察を通して外来ウイルス夾雑物の存在に関して試験品目を評価するために実施した。外来因子を検出するために利用した細胞は、Vero、MRC−5、およびA549である。全てが、PVS−RIPOによる感染に対して感受性であり、結果としてCPEを有する。したがって、試験を実施するためには、試験試料中のPVS−RIPOを中和しなければならない。本発明者らは、アッセイに干渉対照を含めて、アデノウイルス5、パラインフルエンザ3およびヘルペスウイルスを利用した。ウイルスを10pfuおよび100pfuに希釈して、PVS−RIPOと同じ中和手順に供した。偽中和対照を含めた。全てのウイルスが、偽中和対照と同じ期間および同じ濃度で検出された。抗体によって検出可能な効果はなく、またはこれらの他のモデルウイルスの検出に及ぼす中和手順そのものの効果はないようであった。
【0199】
試験を実施するために、使用した3つの指標細胞培養物は:MRC−5、正常なヒト男性胚細胞培養物;Vero、アフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)腎臓株、およびA549、ヒト成人男性肺癌であった。これらの指標細胞培養物を、ポリオウイルスI型抗血清で中和されている試験試料に接種して、週に少なくとも3回、少なくとも28日間調べた。[中和手順は、以下の手順を使用して接種前に実施した:試験品目を、2〜8℃、1400rpmで10分間遠心分離した後、FDA(Evgenia Dragunsky/CBER)から得たポリオウイルスI型抗血清の1:2.5倍希釈物の等量(3.0mL)と混合して、36±2℃で1時間インキュベートした。それぞれの細胞株に、この溶液の0.2mL/ウェルを添加して、36±2℃で1時間インキュベートした後、接種物を除去して、細胞を適当な培地2.0mLで洗浄した。次に、この洗浄液を除去して、新しい培地2.0mLと交換して、細胞を36±2℃のインキュベータに戻した。]
【0200】
培養物を、ウイルス因子の存在に起因する形態の任意の変化の発生に関して調べた。インキュベーション期間のおわりに、培養物を、ニワトリ赤血球、モルモット赤血球、およびヒト赤血球を使用して血球凝集および血球吸着に関して調べた。パラインフルエンザ3をアッセイの陽性対照として使用した。干渉対照のために利用したウイルスは、FDAから得たポリオウイルスI型抗血清によって中和したアデノウイルス5、ヘルペスウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3であった。10%FBSを含むDMEMをVeroおよびMRC−5細胞の陰性対照として使用し、10%FBSを含むF−12KをA549細胞の陰性対照として使用した。
【0201】
d.in vivo外来ウイルスアッセイ(AVA)
PVS−RIPOマスターウイルスシードロットL0403006を、in vivoでモルモット(改良ヨーロッパ型)、成体マウス、哺乳期マウス、および孵化鶏卵において、承認された手順に従って外来ウイルスに関して評価した。このアッセイの目的は、細胞株に存在しうるが、細胞培養系においていかなる区別可能な効果も引き起こさないウイルスの存在に関して試験試料を評価することであった。MVSロットL0403006に対するin vivo AVA試験を完了するために、試験試料を中和して、アッセイで使用するPVS−RIPO試験試料の高濃度に起因する試験動物における潜在的な非特異的毒性を回避した。PVS−RIPOウイルス負荷に起因する非特異的毒性は、試料に存在しうる他の外来因子の検出を妨害しうる。抗体が、他の外来因子の検出に及ぼす効果を有しうるかどうかを決定するために、上記のようにin vitroアッセイにおいて抗体に関して干渉対照を設定した。
【0202】
モルモットは、パラミクソウイルス(センダイ)およびレオウイルスを含む多数のウイルス因子に感染しやすい。モルモットに筋肉内および腹腔内経路の両方を使用して試験品目を接種して、少なくとも28日間試験のために維持した。試験試料を、37℃に設定した水浴中で解凍し、次に、中和抗体の等量と混合した。試験品目/中和抗体混合物を、20分毎に穏やかに混合しながら37℃に設定した水浴中で1時間維持した。5匹の成体モルモットに、調製した試験品目を、0.2mLの筋肉内注射および5.0mLの腹腔内注射により接種した。5匹の他の成体モルモットに、陰性対照としてイーグル最少必須培地を、0.2mLの筋肉内注射および5.0mLの腹腔内注射により接種した。各動物を有病率または死亡率に関して28日間毎日観察した。
【0203】
成体マウスは、コクサッキーウイルスおよびフラビウイルス群のメンバー(セントルイス脳炎ウイルスおよび日本脳炎ウイルス)を含む多数のウイルス因子に感染しやすい。新生児哺乳期マウスは、トガウイルス、ブニヤウイルス、フラビウイルス、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルスAおよびB群、エコーウイルス)、およびヘルペスウイルスを含む広範囲のウイルスに感染しやすい。孵化鶏卵には、尿膜および卵黄嚢の両方を通して接種する。尿膜経路による接種は、尿膜の内胚葉細胞におけるオルトミクソウイルス(インフルエンザウイルス)およびパラミクソウイルス(パラインフルエンザ、ムンプス、および麻疹)の複製にとって都合がよい。卵黄嚢を通しての接種は、ヘルペスウイルス、リケッチア、マイコプラズマ、および細菌の繁殖にとって都合がよい。接種した哺乳期マウスおよび接種した孵化鶏卵からの材料を、新しい試験系への副次継代(subpassage)は、このアッセイの感度を増加させる役割を果たす。なぜなら、元の接種物に存在するいかなるウイルス因子も新しい試験系において増幅されるからである。
【0204】
孵化鶏卵
試験品目および中和抗体を37±2℃の水浴を使用して解凍した。試験品目および中和抗体を1:1の比率で混合して60分間インキュベートした。接種の前に、陰性対照のために使用したイーグル最少必須培地(EMEM)と、試験品目抗体希釈物の両方を、0.45ミクロンの酢酸セルロース低タンパク質結合フィルターを通して濾過した。
【0205】
接種経路あたり6個の鶏卵を送達対照とした。これらを、各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べ、孵化期間の終わりに冷却した。これらの鶏卵は、採取しなかったか、または冷却後に調べた。
【0206】
尿膜試験:12個の鶏卵(10日齢)の尿膜腔に、調製した試験品目0.5mLを接種した。鶏卵を37〜38℃で3日間孵化した。胚を各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べた。孵化期間の終了前に死んだ胚は冷却し、全ての胚を孵化期間の終わりに調べた。継代1(P1)の尿膜腔液を採取して、プールし、血球凝集活性(HA)に関してアッセイするまで、または10個の鶏卵(11日齢)の第2の組に副次継代するまで−60℃またはそれ未満で保存した。第2の組の鶏卵に接種する前に、副次継代した材料を、低速遠心分離によって清澄化して、0.45ミクロン酢酸セルロース低タンパク質結合フィルターを通して濾過した。第2の組の鶏卵を、第1の組と同じ条件下で孵化した。次に、継代2(P2)の尿膜腔液を採取して、プールし、HAに関してアッセイするまで−60℃またはそれ未満で保存し、その時点の後に胚を調べた。陰性対照を確立するために、0.45ミクロン濾過したEMEMを初回接種物として使用して、さらに2組の孵化鶏卵に関してこの手順を並行して実施した。
【0207】
卵黄嚢試験:12個の孵化鶏卵(6日齢)の卵黄嚢に、調製した試験品目0.5mLを接種した。鶏卵を37〜38℃で9日間孵化した。胚を各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べた。孵化期間の終了前に死んだ胚を冷却し、全ての胚を孵化期間の終わりに調べた。P1の卵黄嚢を採取して、洗浄し、プールした。10%卵黄嚢懸濁液を調製して、12個の鶏卵(6日齢)の第2の組に副次継代するまで−60℃またはそれ未満で保存した。第2の組の鶏卵に接種する前に、副次継代した材料を、低速遠心分離によって清澄化して、0.45ミクロン酢酸セルロース低タンパク質結合フィルターを通して濾過した。第2の組の鶏卵を、第1の組と同じ条件下で孵化させて、その時点の後に胚を調べた。陰性対照を確立するために、0.45ミクロン濾過したEMEMを初回接種物として使用して、さらに2組の孵化鶏卵に関してこの手順を並行して実施した。
【0208】
P1およびP2の両方のプールした尿膜腔液、対応するP1およびP2陰性対照、陽性対照の役割を果たすストックのインフルエンザA型ウイルスの連続2倍希釈物を作製することによって、血球凝集アッセイをマイクロタイタープレートにおいて実施した。EMEMは、アッセイの陰性対照としての役割を果たした。洗浄したニワトリ赤血球、モルモット赤血球、およびヒトO型の赤血球を0.5%懸濁液として個別に添加した。反復実験のプレート(replicate plate)を、2〜8℃および37±2℃の両方で1〜2時間インキュベーション後にHA活性に関して観察した。
【0209】
試験品目は、接種した胚の少なくとも80%が試験期間に生存すれば(外傷または細菌の汚染により死んだ胚を除く)、外観が正常であれば、および接種した胚から収集した尿膜腔液が血球凝集を生じなければ、検出可能な外来ウイルス夾雑物の存在に関して陰性であるとみなされた。
【0210】
成体および哺乳期のマウス
凍結した試験品目を37℃に設定した水浴中で解凍した後、等量の中和抗体と混合した。試験品目/中和抗体混合物を37℃に設定した水浴中で、15分毎に穏やかに混合しながら1時間維持した。20匹の成体マウスに、調製した試験品目を接種し、5匹の成体マウスに対照品目(EMEM)を接種した。各試験マウスまたは対照マウスに、適切な材料の0.03mLの脳内注射および0.5mLの腹腔内注射を行った。動物を、感染を示唆する臨床徴候に関して毎日観察した。接種後21日目に、マウスを屠殺した。
【0211】
20匹の新生児哺乳期マウスに、調製した試験品目を接種し、20匹の新生児哺乳期マウスに対照品目を接種した。各マウスに、適切な材料の0.01mLの脳内注射および0.1mLの腹腔内注射を行った。動物を、異常な臨床徴候に関して毎日観察した。接種後14日目に、マウスを屠殺して組織を採取し、ホモジナイズして、試験群または対照群内でプールした。組織をEMEMでホモジナイズし、低速で遠心分離した。組織ホモジネートを、適切なサイズの注射用シリンジに取り付けた低タンパク質結合0.45ミクロン酢酸セルロースフィルターを通して濾過した。20匹の新生児哺乳期マウスに、試験マウス組織上清を接種し、20匹のマウスに対照マウス組織上清(0.01mLの脳内注射および0.1mLの腹腔内注射)を注射した。組織ホモジネートの注射後14日目に、マウスを屠殺した。
【0212】
試験品目は、哺乳期マウスの少なくとも80%および成体マウスの少なくとも80%が、夾雑物である外来の伝染性因子と整合する有害な臨床知見を示すことなく、試験期間に生存していれば、検出可能な外来のウイルス夾雑物の存在に関して陰性であるとみなされた。
【0213】
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009(P2)の生産
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009(P2)を生産するための製造プロセスを
図18A〜18Bに説明する。PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009を、出発材料としてVeroワーキングセルバンク(WCB)ロット217002−2およびMVSロットL0403006を使用して製造した。Vero WCBロット217002−2の3個のバイアルを増大させて、10個の6360cm
2セルファクトリーにおいて細胞増大ロットL0903010を生産した。細胞増大ロットL0903010にPVSRIPO MVSロットL0403006を感染させ、採取した材料(採取プールロットL0904008)を、PVSRIPO精製バルクロットL0903007およびその後のPVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009の生産のために使用した。
【0214】
a.Vero細胞の開始および増大
細胞増大ロットL0903010からのVero細胞を、細胞採取ロットL0904008の生産のために使用した。増大を通して、Vero細胞を、L−グルタミンおよび10%放射線照射ウシ胎児血清(FBS)を補充したDMEMにおいて成長させて、37℃および5%CO
2の設定でインキュベートした。Veroワーキングセルバンク(WCB)ロット217002−2の3個のバイアルを、37±2℃の水浴中で解凍して、これを使用して、およそ50,864個の細胞/cm
2の密度で1つのT−162cm
2フラスコに播種した(凍結からの継代数1)。上記の増殖培地および条件を使用して、細胞をT−162cm
2フラスコから6360cm
2セルファクトリー、636cm
2セルファクトリー、およびT−150cm
2フラスコへと増大させ、全体で凍結物から5回の継代を行った(
図18A〜18Bを参照されたい)。
【0215】
b.Vero細胞の感染
感染細胞溶解物ロットL0904008を生産するために、95〜100%コンフルエンスの健康な細胞を含有し、目に見える汚染の兆候を有しないVero細胞ロットL0903010(10個の6360cm
2セルファクトリー、3個の636cm
2セルファクトリー、および5個のT−150cm
2フラスコ)を使用した。4個のPVS−RIPOマスターウイルスシード(MVS)ロットL0403006ボトル(MVSアリコート80mLを有する125mL PETGボトル)を、−70℃以下の制御保管庫から取り出して、33〜38℃の水浴中で解凍し、感染プロセスにおいて感染多重度(MOI)0.1pfu/細胞で使用した。解凍したMVSロットL0403006 265mLを、調製された感染培地(L−グルタミンを含む、Hepesおよびフェノールレッド不含DMEM/F12)に添加して、全量およそ8リットルの感染培地調合物を調製した。
【0216】
洗浄培地(L−グルタミンを含む、Hepesおよびフェノールレッド不含DMEM/F12)およそ750mLで洗浄した後、調製し調合された感染培地およそ750mLを満たすことによって、10個の6360cm
2セルファクトリーを感染のために調製した。陽性対照および陰性対照も同様に調製した。感染したセルファクトリーおよび対照を、33℃、5%CO
2濃度、および80%湿度の設定でインキュベートした。感染の70時間後に、100%の細胞変性効果(CPE)が9個のセルファクトリーにおいて、および1つのセルファクトリーにおいて80%CPEが示され、対照フラスコのそれぞれにおいて予想された結果が示された。
【0217】
c.感染細胞溶解物の採取および清澄化
PVS−RIPOウイルス感染細胞懸濁液ロットL0904008を、それぞれのセルファクトリーから採取して、滅菌培地バッグにプールした。PVSRIPO採取プールロットL0904008の放出試験のために、感染細胞懸濁液から試料を採取した。PVSRIPO採取プールロットL0904008の放出試験の試験、規格、方法、および結果を要約する分析証明書を、
図19に含める。
【0218】
感染細胞懸濁液を、1Lポリカーボネート遠心ボトルにおよそ750mLアリコートで移した。感染細胞懸濁液を4℃および3800×gの設定でおよそ20分間遠心分離した。遠心ボトルのそれぞれからの清澄化上清を滅菌10L培地バッグにプールして、室温で精製群(Purification Group)に移した。
【0219】
d.最終採取物のBenzonase処理
PVS−RIPO精製バルクロットL0903007の生産の際の宿主ゲノムDNAのレベルを低減させるために、清澄化したPVSRIPOロットL0904008採取物をBenzonase(登録商標)酵素とともにインキュベートした。Benzonase(登録商標)酵素の添加前に、塩化マグネシウムを、1mM最終濃度となるように、清澄化したPVSRIPOロットL0904008採取物に混合しながら添加した。Benzonase(登録商標)酵素を、混合しながら最終濃度50単位/mLとなるように添加した。バッグを2〜8℃で16時間インキュベートした。Benzonase(登録商標)酵素処理溶解物を2〜8℃で除去して試料を採取した。プラークアッセイを使用して試料を分析し、ウイルス力価を決定した。
【0220】
e.Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィー
Sepharose 6 FFクロマトグラフィーステップは、PVS−RIPO精製バルクロットL0903007の生産の際の緩衝液交換、および低分子量の宿主細胞夾雑物からのウイルスプールの部分精製を提供する。Sepharose 6 Fast Flow(FF)樹脂(GE Healthcare−Biosciences、Piscataway、NJ)を充填したクロマトグラフィーカラムを使用して、さらに精製するための用意として、ウイルスの緩衝液を、低伝導度リン酸緩衝液に交換した。Benzonase(登録商標)酵素処理溶解物をロードする前に、Sepharose 6FFカラムに5M NaClを流し、4.7mM NaPO
4、1M NaCl、pH 7.5を満たし、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって平衡化した。Benzonase処理溶解物を、2009年5月19日に2回の等量の注入でSepharose 6FFカラムにロードした。産物を4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって溶出し、両方の注入からのPVS−RIPOメインピーク画分を、同じ受容バッグに収集した。収集した溶出物の試料を、プラークアッセイを使用して分析して、ウイルス力価を決定した。PVS−RIPOメインピークを2〜8℃で保存した。
【0221】
f.Q650Mフロースルークロマトグラフィー
Sepharose 6 FFステップの後、ロットL0903007の溶出物を、Q650Mフロースルークロマトグラフィーカラムにアプライして、残りの宿主細胞タンパク質夾雑物を非結合ウイルスから除去した。クロマトグラフィーカラムにSuper Q 650M樹脂を充填して、5M NaClを流した後に、4.7mM NaPO
4、1M NaCl、pH 7.5を満たし、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5を使用して平衡化することによってカラムを調製した。カラムに、PVS−RIPO Sepharose 6FFメインピークをロードして、ウイルス産物を含有するフロースルーを収集した。溶出の際に使用した緩衝液は、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5であった。収集したQ650MメインピークのNaCl濃度を、5M NaClを使用して150mM NaClに調節した。Q650Mメインピーク材料をサンプリングした後、2〜8℃で保存した。試料を、プラークアッセイを使用して分析して、ウイルス力価を決定した。
【0222】
g.接線流濾過による濃縮および透析濾過
Q650MメインピークロットL0903007材料を2〜8℃の保管庫から取り出して、限外濾過中空繊維メンブレン(GE Healthcare、UFP−50−C−4MA)を使用して濃縮した。次に、濃縮したウイルス材料を調合緩衝液(50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4)に対して透析濾過した。透析濾過したPVS−RIPO溶液の試料をプラークアッセイによって分析して、ウイルス力価を決定した。HSA(25%)を、透析濾過したPVS−RIPOロットL0903007に最終濃度0.2%となるように添加した。調合したPVS−RIPOの試料をプラークアッセイおよび微生物含有量によって分析した。
【0223】
h.PVS−RIPOのバルクアリコート、サンプリング、および保存
調合したPVS−RIPO精製バルクロットL0903007をクラス100バイオセーフティキャビネットに移して、9個の125mL PETGボトルにそれぞれおよそ30mLの体積で分配した。PVS−RIPO精製バルクロットL0903007の9個のボトルを、ラベルを貼ってエタノール/ドライアイス浴中で凍結して、さらに製造に使用するために−70℃以下で保存した。PVS−RIPO精製バルクロットL0903007を−70℃以下の制御保管庫に移した。
【0224】
i.精製滅菌バルクロットL0904009(P2)
PVS−RIPO精製バルクロットL0903007の9個のボトルを、−70℃以下の制御保管庫から取り出して、−70℃以下のフリーザーに移した。PVS−RIPO精製バルクロットL0903007の9個のボトルを、24〜31℃の水浴中で解凍した。産物の温度は11〜17℃であった。総解凍時間は43分であった。9個の容器の内容物を1L PETGボトルにプールして、最終総体積271.09mLを得た。プールしたPVS−RIPO精製バルクロットL0903007をポンプで送って、使用前試験に合格し希釈剤(0.9%NaCl、pH 7.4中に50mM NaPO
4+0.2%HSA)で予め湿らせた0.2ミクロン滅菌Millipak 20(Millipore)フィルターに通した。産物の濾過後、フィルターに同じ希釈剤を流して全量283.24mLの濾過産物を得た。フィルターは、濾過後の完全性試験に合格した。試料を収集し(25.5mL)、精製滅菌バルクロットL0904009放出試験に関するプロセス解析/生物学的製剤品質管理に提供し、総最終体積257.74mLを残した。次に、精製滅菌バルクロットL0904009を、充填ステップに進めた。PVSRIPO採取プールロットL0904008の放出試験、方法、規格、および結果を
図19に提供する。
【0225】
PVSRIPO採取プールロットL0904008の試験方法の説明
【0226】
a.ウイルス力価(TCID
50アッセイ)
このアッセイは、PVS−RIPO採取プールロットL0904008、精製滅菌バルクロットL0904009、および最終バイアル充填製品ロットL0904010におけるPVS−RIPOウイルス力価を、Hep−2C指標細胞のTCID
50によって決定するために実施した。希釈培地(4mM L−グルタミンおよび1%FBSを含むRPMI−1640)100マイクロリットル(100μL)を、個別の96ウェルプレート(参照標準物質、陽性対照および試験試料に関してそれぞれ個別のプレートを提供する)の各ウェルに加えた。FDAポリオウイルス1型参照標準物質(1:10000)、Sabin原型1型(Sabin Original Type 1)陽性対照ポリオウイルス(1:1000000)、および試験試料(1:1000000)の初回希釈物を、希釈培地(4mM L−グルタミンおよび1%FBSを含むRPMI−1640)によって調製した。各最終希釈物の100μLアリコートを、それぞれの96ウェルプレートの最初の列の8個のウェルのそれぞれに加えた。較正したマルチチャンネルピペッターを使用して、1列目の各ウェルから100μLを採取して、2列目の隣接するウェルに移して十分に混合して、次の列へと連続してプロセスを繰り返すことによって、連続1:2倍希釈物をそれぞれの96ウェルプレートにおいて作製した。FDA参照標準物質に関して、希釈は11列目で終了し、12列目は陰性対照ウェル(希釈培地のみを含有する)として使用した。11列目の過剰な100μLを廃棄した。陽性対照および試験品目に関しては、希釈スキームを第2の96ウェルプレートにおいて継続して、23列目で終了し、24列目を陰性対照ウェルとして使用した。増殖培地(4mM L−グルタミンおよび10%FBSを含むRPMI−1640)中のHep−2C細胞10000個(1×10
5個の細胞/mLを0.1mL)を、各96ウェルプレートの各ウェルに加えて、加湿5%CO
2インキュベータ内で36±1℃で10日間インキュベートした。プレートを、1、3、7および10日目に細胞変性効果(CPE)に関して調べた。アッセイの完了の際に、各試料に関してCPEを示すウェルの数を、FDAによって提供された計算プログラムテンプレートの適当なフィールドに記入した。プログラムは、FDAポリオウイルス1型参照標準物質の応答に基づいて、各試料に関してTCID
50/mLを計算する。
【0227】
b.拡張バイオバーデン
バイオバーデンは、水性試料中に存在する生きた好気性微生物の数の推定である。PVS−RIPO採取プールロットL0904008のバイオバーデン試験を、微生物を検出および計数するための迅速なハイスループット濾過デバイスであるMilliflex−Sensor IIシステムを使用して実施した。
【0228】
2つ組(duplicate)の試験試料(2.5mL)を、滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)によって50mLに希釈して、個別のMilliflex濾過漏斗の上部に直接添加した。陰性対照は、PBS 100mLを濾過することによって調製した。真空を各濾過デバイスに適用して、試験試料または対照をフィルターメンブレンに吸収させた。漏斗を外して、存在するいかなる微生物の増殖も促進するために、フィルターメンブレンを適切なタイプの寒天に適用した。2つ組の試験試料からのフィルターメンブレンの1つをトリプチックソイ寒天(TSA)(細菌の増殖を助けるために使用する)に適用し、他のフィルターメンブレンをSabouraudデキストロース寒天(SDA)(酵母およびカビの増殖を助けるため)に適用した。TSAおよびSDA媒体の両方を、原材料放出試験の一部として成長促進に関して試験した。TSA試料を30〜35℃で120時間インキュベートし、SDA試料を20〜25℃で逆の位置で120時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、寒天プレートを増殖に関して調べて、コロニー(観察されれば)の数を計数して、コロニー形成単位/mLとして報告した。
【0229】
c.NIH/3T3細胞を使用したマイコプラズマの検出(PTC)
マイコプラズマの検出は、間接的および直接的手順の両方を使用して採取プールロットL0904008について実施した。
【0230】
間接的検出法は、マイコプラズマをNIH/3T3細胞(Swissマウス胚細胞株)上で成長させ、次いでDNA結合蛍光色素染色を使用して染色することによって、マイコプラズマ、特に培養不能マイコプラズマの可視化を可能にする。陰性対照および陽性対照の両方をアッセイで使用した。陽性対照は、強い細胞吸着性(M.hyorhinis)および弱い細胞吸着性(M. orale)のマイコプラズマ種の両方を含んだ。DNA結合蛍光色素による培養物の染色により、観察された染色パターンに基づいてマイコプラズマを検出することができる。陰性培養物では、細胞核の蛍光のみが観察されるが、陽性培養物では核および核外蛍光が観察される。
【0231】
直接培養は高感度で特異的なマイコプラズマの検出法である。使用した寒天培地およびブロス培地は、培養可能マイコプラズマの成長にとって必要な炭素およびエネルギーと共に栄養を供給する。陽性対照および陰性対照の両方を直接アッセイで使用した。陽性対照は、発酵性マイコプラズマ(M. pneumoniae)および非発酵性マイコプラズマ(M. orale)を含んだ。この手順は、FDA、Center for Biologics Evaluation and Researchによって推奨される、添付文書#2の1993年「Points to Consider in the Characterization of Cell Lines Used to Produce Biologicals」に記載されるプロトコールに基づく。
【0232】
d.カブトガニ血球抽出成分(LAL)によるエンドトキシン
PVSRIPO採取プールロットL0904008、精製滅菌バルクロットL0904009、およびPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010のエンドトキシン(LAL)含有量を、動態発色試験を使用して決定した。試験は、試験品目中のエンドトキシンを決定するために、Limulus polyphemusアメボサイトの誘導体であるカブトガニ血球抽出成分の反応性に基づく。手順は、1987年12月に発行された、「Validation of the Limulus Amebocyte Lysate Test (LAL) as an End-Product Endotoxin Test for Human and Animal Parenteral Drug, Biological Products, and Medical Devices」に関するFDA指針に記載の推奨を満たすように設計される。
【0233】
発熱物質は、グラム陰性細菌細胞壁を起源とすることが最も多い熱産生物質である。細菌細胞壁由来の発熱物質は、細菌エンドトキシンと呼ばれ、動態比色LAL試験システムによって容易に検出される。動態比色LAL法は、検出されたエンドトキシンレベルの直接定量を提供し、低レベルのエンドトキシンの検出にとって特に有用である。試薬および標準物質は、製造元の指示に従って調製される。
【0234】
試験は、試験試料25μLをピペットで採取して、Endosafe−Licensed PTSエンドトキシンカートリッジの4つの試料リザーバーのそれぞれに加えることによって実施する。PTSは、試験試料を引き出して2つのチャネルでLAL試薬と混合し、他の2つのチャネルでLAL試薬と製品陽性対照(PPC)と混合する。試料をインキュベートした後、色素産生基質と混合する。混合後、ウェルの光学密度を測定して、内部保管のバッチ特異的標準曲線に対して分析する。PTSは、2つ組の試験を同時に実施して、USPのガイドラインに従って結果を平均する。アッセイは、変動係数(CV)が2つの試料反復実験の間で25%未満であり、CVが2つのPPC反復実験(replicate)の間で25%未満であれば有効である。結果は、PPCの回収率が50〜200%であれば有効である。このアッセイの検出限界は、0.005EU/mLである。
【0235】
e.rct40によるウイルス安定性
アッセイを使用して、Vero指標細胞でのプラーク形成によって、36℃および40℃で、採取プールロットL0904008、最終バイアル充填製品ロットL0904010、および対照におけるPVSRIPOの力価を決定した。36℃および40℃でのウイルスの力価の常用対数(log10 titer)を比較して、36℃と40℃の間での対数の低減が少なくとも5である場合、試料は、40℃での成長に対して感受性があると決定され、試験に合格したとみなされる。33℃での試料の力価も同様に決定して、33℃での試料の既に決定された力価と比較することができる。陽性対照はRCT 40+対照:ポリオウイルス1 SabinクローンS33ロットL0406008およびRCT 40−対照:ポリオウイルス1 SabinクローンS71ロットL0406004を含んだ。陰性対照は、10%FBSを含有するDMEMであった。
【0236】
Vero細胞を蒔いて80〜100パーセントコンフルエンスが達成されるまで成長させた。増殖培地を除去して、Vero細胞に試験試料または対照試料0.2mLを添加した。次に、反復実験の培養皿を33℃、36℃、および40℃でおよそ1時間インキュベートした。接種物を除去して、細胞シートにアガロース/2×イーグル最少必須培地(EMEM)を重層した。アガロースを固化させて、プラークが陽性対照において完全に形成されるまで、反復実験の培養皿を33℃、36℃、および40℃でインキュベートした(2日)。次に培養皿に、ニュートラルレッドを含有するアガロース/2×EMEMを暗所で重層して、ニュートラルレッドが細胞シートを染色した後、プラークを計数した。平均プラーク値を決定した。式:平均プラーク値×希釈倍率/接種体積、を使用して、力価(pfu/mL)を計算した。
【0237】
f.in vivo外来因子
PVS−RIPO採取プールロットL0904008を、in vivoで成体マウス、哺乳期マウス、および孵化鶏卵において外来ウイルスに関して評価した。このアッセイの目的は、細胞株に存在しうるが細胞培養システムにおいていかなる区別できる効果も引き起こさないウイルスの存在に関して試験試料を評価することであった。PVS−RIPO採取プールロットL0904008のin vivo AVA試験の前に、この試験を完了するために使用したアプローチを評価するために、QC−040664の下で、R&D試験を実施した。これらのR&D試験から、PVS−RIPOウイルス溶解物の調製物を2×10
8pfu/mLの濃度で投与した場合に、哺乳期マウスにおいて有害効果が観察されないことが示された。したがって、中和抗体処置を含めることなく、in vivo AVA試験を、PVS−RIPO採取プールロットL0904008について実施した。孵化鶏卵では、材料を非希釈(2.14×10
9TCID
50/mL)で試験した。材料を次に、2×10
8pfu/mLに希釈して、成体マウスおよび哺乳期マウスにおいて試験した。
【0238】
成体マウスは、コクサッキーウイルスおよびフラビウイルス群のメンバー(セントルイス脳炎ウイルスおよび日本脳炎ウイルス)を含む多数のウイルス因子に感染しやすい。哺乳期マウスは、トガウイルス、ブニヤウイルス、フラビウイルス、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルスAおよびB群、エコーウイルス)、およびヘルペスウイルスを含む広範囲のウイルスに感染しやすい。孵化鶏卵には、尿膜および卵黄嚢の両方を通して接種する。尿膜経路による接種は、尿膜の内胚葉細胞におけるオルトミクソウイルス(インフルエンザウイルス)およびパラミクソウイルス(パラインフルエンザ、ムンプス、および麻疹)の複製にとって都合がよい。卵黄嚢を通しての接種は、ヘルペスウイルス、リケッチア、マイコプラズマ、および細菌の繁殖にとって都合がよい。接種した哺乳期マウスおよび接種した孵化鶏卵からの材料を、新しい試験系に副次継代することは、元の接種物に存在するいかなるウイルス因子もこの連続継代を通して増幅されることから、このアッセイの感度を増加させる役割を果たす。
【0239】
孵化鶏卵
接種経路あたり6個の鶏卵を送達対照とした。これらを、各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べ、孵化期間の終わりに冷却した。これらの鶏卵は、採取しなかったか、または冷却後に調べた。
【0240】
尿膜試験:12個の鶏卵(10日齢)の尿膜腔に、試験品目0.5mLを接種した。鶏卵を37〜38℃で3日間孵化した。胚を各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べた。孵化期間の終了前に死んだ胚は冷却し、全ての胚を孵化期間の終わりに調べた。継代1(P1)の尿膜腔液を採取して、プールし、血球凝集活性(HA)に関してアッセイするまで、または12個の鶏卵(10日齢)の第2の組に副次継代するまで−60℃またはそれ未満で保存した。第2の組の鶏卵に接種する前に、副次継代した材料を、低速遠心分離によって清澄化して、0.45ミクロン酢酸セルロース低タンパク質結合フィルターを通して濾過した。第2の組の鶏卵を、第1の組と同じ条件下で孵化した。次に、継代2(P2)の尿膜腔液を採取して、プールし、HAに関してアッセイするまで−60℃またはそれ未満で保存し、その時点の後に胚を調べた。陰性対照を確立するために、0.45ミクロン濾過したEMEMを初回接種物として使用して、さらに2組の孵化鶏卵に関してこの手順を並行して実施した。HAアッセイは、P1およびP2両方のプールした尿膜腔液、対応するP1およびP2陰性対照、および陽性対照としての役割を果たすストックインフルエンザA型ウイルスの連続2倍希釈物を作成することによって、マイクロタイタープレートで実施した。EMEMはアッセイの陰性対照としての役割を果たした。洗浄したニワトリ赤血球、モルモット赤血球、およびヒトO型の赤血球を個別に0.5%懸濁液として添加した。反復実験のプレートを2〜8℃および37±2℃の両方で1〜2時間インキュベーション後にHA活性に関して観察した。
【0241】
卵黄嚢試験:12個の孵化鶏卵(6日齢)の卵黄嚢に、0.45ミクロン濾過した試験品目0.5mLを接種した。鶏卵を37〜38℃で9日間孵化した。胚を各作業日にろうそくの光を当てて生存能について調べた。孵化期間の終了前に死んだ胚を冷却し、全ての胚を孵化期間の終わりに調べた。P1の卵黄嚢を採取して、洗浄し、プールした。10%卵黄嚢懸濁液を調製して、12個の鶏卵(6日齢)の第2の組に副次継代するまで−60℃またはそれ未満で保存した。第2の組の鶏卵に接種する前に、副次継代した材料を、低速遠心分離によって清澄化して、0.45ミクロン酢酸セルロース低タンパク質結合フィルターを通して濾過した。第2の組の鶏卵を、第1の組と同じ条件下で孵化させて、その時点の後に胚を調べた。陰性対照を確立するために、0.45ミクロン濾過したEMEMを初回接種物として使用して、さらに2組の孵化鶏卵に関してこの手順を並行して実施した。
【0242】
試験品目は、接種した胚の少なくとも80%が試験期間に生存すれば(外傷または細菌の汚染により死んだ胚を除く)、外観が正常であれば、および接種した胚から収集した尿膜腔液が血球凝集を生じなければ、検出可能な外来ウイルス夾雑物の存在に関して陰性であるとみなされた。
【0243】
成体マウスおよび哺乳期マウス
20匹の成体マウスに調製した試験品目を接種して、5匹の成体マウスに対照品目を接種した。感染を示唆する臨床徴候に関して、動物を毎日観察した。接種後21日目にマウスを屠殺した。20匹の新生児哺乳期マウスに、調製した試験品目を接種し、20匹の新生児哺乳期マウスに対照品目を接種した。動物を異常な臨床徴候に関して毎日観察した。接種後14日目に、マウスを屠殺して、組織を採取し、液化して試験群または対照群内でプールした。組織をEMEMでホモジナイズし、低速で遠心分離した。20匹の新生児哺乳期マウスに試験マウス組織上清を接種し、20匹のマウスに対照マウス組織上清を注射した。組織上清を、最初に0.45μmのフィルターを通して濾過して、適切なサイズの注射用シリンジに充填した。注射後14日目に、マウスを屠殺した。哺乳期マウスの少なくとも80%および成体マウスの少なくとも80%が、伝染性因子の存在と整合する有害な臨床知見もなく試験期間に生存すれば、試験品目は、検出可能な外来ウイルス夾雑物の存在に関して陰性であるとみなされた。
【0244】
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009の放出試験、方法、規格、および結果を、
図20の分析証明書に提供する。
【0245】
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009に関する試験法の説明
【0246】
a.完全なゲノムの配列決定
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009および最終バイアル充填製品ロットL0904010の包括的4×配列分析を、承認された手順に従って実施した。ウイルスRNAを試験品目から単離して、ゲノムを逆転写し、およそ1200bpの部分を増幅した。アンプリコンのDNA配列分析を、オリゴヌクレオチドを使用して得た。プライマーを、およそ50%GC含有量を有し、長さ18〜24bpの間となるように、およそ250塩基離して設計し、増幅されたウイルスcDNAの両方の鎖がそれぞれの鎖からの2つのリードによって配列決定されるように配置した。
【0247】
試験品目およびpGEM3Z対照プラスミドの蛍光色素ターミネーターDNAサイクル配列決定を、BigDye v1.1配列決定キットを使用して実施した。試験試料に関して、5×BigDye配列決定緩衝液2.0μLを、2μMプライマー2μL、精製PCR産物20ng、およびddH2Oと混合して最終体積を10μLとした。反応および機器の対照としての役割を果たすpGEM3Z対照反応に関して、pGEM3Z 200ngを、M13F−20プライマー(5’ GTAAAACGACGGCCAGT−3’、配列番号4)20ng(およそ3.2pmol)を用いて配列決定した。対照反応をそれぞれの配列決定設定で実施して、ABI3130xlにおいて分析した。サイクル配列決定反応は、PTC−225 Peltierサーマルサイクラーを使用して実施した。分析前に、配列反応を、Centriflexゲル濾過カートリッジを使用して、取り込まれていない色素ターミネーター、塩、および低分子量化合物から精製した。配列データを配列決定コンピューターから収集して、データをトリミングし、Sequencherソフトウェアバージョン4.7(GeneCodes、Ann Arbor、MI)を使用して、連続する一連の断片(「コンティグ」として公知である)に整列させた。整列させたDNA配列を参照配列と比較して、試験試料の配列と参照配列との間の塩基ミスマッチまたは多型を、もし存在すれば同定した。
【0248】
DNA配列分析は、プロセス解析/生物学的製剤品質管理試験報告書QC037657(異種移植毒性試験(Toxicology Xenograph Study)ウイルスロット022208、試料は、Dr. M. Gromeier、Duke University、Durham、NCによって提供された)から得た参照配列を使用した。PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009および最終バイアル充填製品ロットL0904010の配列は、QC020658からのPVSRIPOプラスミド参照配列(GMPプラスミドロットL0401014)に含有されるクローニングされたウイルスプラスミド配列、およびマスターウイルスシード(MVS)配列、ロットL0403006、QC022271からのウイルスcDNA配列と比較すると、全ての7303塩基位置において100%相同であることが見出された。
【0249】
b.宿主細胞DNA(Vero)
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009を、シングルコピー遺伝子であるCercopithecus aethiops(Vero)特異的ネクチン−1α遺伝子の遺伝子内重複(GenBank(登録商標)受託番号AF308635)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースの定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(Applied Biosystems Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して、VeroゲノムDNA負荷量に関して試験した。アッセイの検出限界は、1ng VeroゲノムDNA/mLである。Vero細胞ゲノムDNA(gDNA)を陽性対照(100ng〜1pg)として使用し、試験品目のVero gDNA 5ngのスパイクをPCR阻害対照として使用し、望まれる陰性対照結果は、ヌクレアーゼフリー水による試験なし対照反応(no test control reaction)であり、抽出対照は、リン酸緩衝食塩水(PBS)緩衝液/反応あたりVero gDNA 100pgの当量を含有するPBS緩衝液であった。
【0250】
リアルタイムqPCRは、試料中の低コピー数の残留DNAまたはRNAの定量を含む、遺伝子発現分析、遺伝子型決定、病原体検出/定量、変異スクリーニング、および正確なDNA検出のために利用することができる感度のよい定量的増幅方法である。Applied Biosystems 7900HT 96ウェル機器を使用して、増幅プロセスの際に連続的にPCR増幅産物の蓄積を検出し、PCRの対数期における正確な標的の定量が可能となった。96ウェルブロックを使用することにより、384ウェルブロックより大きい反応体積が可能となり、このように、残留DNAおよび夾雑物DNA試験に関するアッセイ感度が増加する。
【0251】
TaqMan(登録商標)qPCRケミストリーは、二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドTaqMan(登録商標)プローブを利用する。ヒトゲノムDNAを検出するために使用されるTaqMan(登録商標)プローブは、識別可能な放射極大を有する2つの蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド末端で構成される。プローブの5’末端は、レポーター色素、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)によって標識され、3’プローブ末端は、消光色素、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)によって標識される。オリゴヌクレオチドプローブは、Cercopithecus aethiops(Vero)ネクチン−1α遺伝子PCRアンプリコン内の内部標的配列と相同であり、Vero細胞およびCV−1細胞に対して非常に特異的である。VeroのヒトgDNAに対する高い拒絶比は、プローブ標的の一部としてヒトgDNAに存在しないC. aethiopsにユニークな9塩基配列重複事象を利用することによって達成される。インタクトで遊離の溶液中では、プローブ消光色素は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を介して蛍光色素レポーターからの放射を低減させる。TaqMan(登録商標)PCR反応の伸長相において、プローブはTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、レポーター色素がプローブから放出されて、レポーターからの放射を増加させる。
【0252】
ABI Prism 7900HTは、2軸スキャンヘッドを使用して、アルゴンイオン(488nm)レーザーからの励起光を96ウェル全てに分配する。電荷結合素子(CCD)イメージャーが、それぞれのウェルからの蛍光スペクトルおよび強度を測定して、PCR増幅の際のリアルタイムスペクトルデータを作成する。ABI配列検出ソフトウェア(SDS)は、レポーター色素、クエンチャー色素、およびノーマライザー(ROX)色素の蛍光強度を逆畳み込みして、増幅の過程にわたって、正規化したレポーターからの放射強度の増加を計算する。
【0253】
それぞれのPCR反応における初回標的の正確な定量は、試薬が消耗する前または副産物による反応の阻害が起こる前に、増幅の対数(log2)期の間に起こる。しかし、反応のシグナル対ノイズ限界および一般的なバックグラウンド蛍光により、最も正確なデータは典型的に対数期後期に得られる。正規化レポーター蛍光を、PCRサイクル数によって表される時間に対してプロットする。標的コピー数または質量値は、バックグラウンドを超える蛍光閾値を割付することおよびそれぞれの試料の増幅プロットが閾値(閾値サイクルまたはCtとして定義される)に達するサイクル点を決定することによって得られる。それぞれの反応の閾値サイクル値を使用して、既知標準物質と比較した、それぞれの試験品目反応内に最初に含有される標的の量を定量する。
【0254】
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009を、シングルコピー遺伝子であるCercopithecus aethiops(Vero)特異的ネクチン−1α遺伝子の遺伝子内重複(GenBank(登録商標)受託番号AF308635)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースのqPCRアンプリコンを使用して、VEROゲノムDNA負荷量に関して試験した。TaqMan(登録商標)プライマーおよび二重蛍光色素標識プローブを、ABI Primer Expressソフトウェア(バージョン2.0.0)を用いて設計した。111bpのアンプリコンは、フォワードプライマー:5'-(CCT CTG CCC AGC GTG AAG;配列番号5); リバースプライマー: 5'-(CAC AGA CAC GCC CAT GGA T 配列番号6);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(CAC CCA AGC CAC CAA TGG CTC CAA)-[TAMRA]配列番号7からなる。プライマーおよびプローブをそれぞれ、ヌクレアーゼフリー水(NFW)によって10および5pmol/μLに希釈した。反応混合物は、UNGおよびROX色素を有するTaqMan(登録商標)PCR 2×マスターミックス25μL、NFW 2μL、フォワードプライマー1μL、リバースプライマー1μL、TaqMan(登録商標)プローブ1μL、および試料20μL(最終反応体積50μL)からなった。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システムによって2−ステップqPCRプロファイル(2.00分、50.0°C;10.00分、95.0°C;0.15分、95.0°Cを40サイクル;1.00分、60.0°C)を使用して増幅した。精製DNA(ATCC、パート番号1587D)から作製したVEROゲノムDNA標準曲線は、NFWに100ngから1pgまで10倍連続希釈するものであった。およそ2.6および0.26遺伝子コピー/rxnと等価の10および1pg/rxn標準物質からの陽性反応が希に観察される。総試験試料DNAを緩衝液ALの1:2によって不活化して、qPCR反応の前に、Qiagen DNAミニプレップ法を使用して抽出した。試料の組成に起因する潜在的なPCR阻害は、抽出された試験品目試料にゲノムDNA 5ngを添加することによってモニターした。抽出効率をPBS緩衝液ブランクおよびqPCR反応あたりVERO gDNAの100pg当量を添加したPBS緩衝液試料を使用してモニターした。緩衝液(鋳型を含まないNFW)対照試料を、試験のために実施した。夾雑物(センチネル)対照を定期的に含める。試験試料における初回ゲノムDNA混入レベルを、試料閾値サイクル値をヒトDNA標準曲線の式と比較することによって、ABI 7900HTソフトウェアを使用して計算した。初回DNAレベルを、式:試料希釈係数(2)
*[(試験試料の平均質量(pg)−鋳型なしの平均質量(pg))÷(平均抽出前スパイク回収効率(抽出対照が10%以上の回収率を有する場合、100%に設定))]÷[(試料体積、μL/反応(20μL))
*1000μL/mL]を使用してpg DNA/mLに変換した。
【0255】
PVSRIPOウイルス採取プールを精製前にBenzonase(登録商標)酵素処理した。ヌクレアーゼ処理は、典型的に、平均で12ヌクレオチド以下のオリゴヌクレオチド断片を生成し、消化後の断片集団はカイ分布に従う。このアッセイに使用したC.aethiops(Vero細胞株およびCV−1細胞株)ネクチン−1 qPCRアンプリコンは111bpであった。アッセイから得られた結果は、インタクト一倍体C.aethiopsゲノムDNA(約3.88pg/一倍体コピー)の質量に基づく残留宿主細胞DNA濃度のワーストケースの推定値を表す。
【0256】
c.残留Benzonase(登録商標)酵素
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009を生産するために、Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼを精製プロセスで使用したことから、承認された手順を使用して試験試料を調べて、残留Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼレベルを決定した。残留Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼの濃度は、Merck KGaA Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼELISAキットIIを使用して決定した。標準物質、試料、および対照を、アフィニティ精製ポリクローナル捕捉抗体を予めコーティングしたマイクロタイターストリップに添加することによってアッセイを開始した。ウェルを室温で2時間の期間インキュベートした後洗浄した。Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼに対する二次西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗体を各ウェルに添加して、プレートを室温で1時間インキュベートした。これによって、以下のサンドイッチ複合体:固相抗体−Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼ−HRPコンジュゲート抗体が形成された。ウェルを洗浄して吸引し、いかなる未結合反応体も除去した。HRP基質である3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を各ウェルに添加することによって、残留Benzonase(登録商標)を検出した。ウェルを、15分間のインキュベーション期間の間に発色させた。得られた色の強度は検体の量に相関し、これを、較正したSpectra MAX 340プレートリーダーを使用して定量した。試料のシグナルを、同時にアッセイしたBenzonaseエンドヌクレアーゼ標準物質と比較することによって正確な測定が得られた。陽性対照は、0.25〜10ng/mLの範囲のBenzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼ標準物質であった。アッセイ希釈物を陰性対照として使用した。アッセイの検出限界は、0.25ng/mLであった。
【0257】
d.BCAによる総タンパク質
核酸による干渉および/または低タンパク質濃度により分光光度法によって直接定量することができない溶液中の総タンパク質の検出は、ビシンコニン酸(BCA)反応および562nmでの比色定量を使用することによって達成することができる。高いpH条件下タンパク質の存在によりCu+2がCu+1に還元され、BCA 2分子が単一の第一銅Cu+1イオンとキレートを形成すると、水溶性の青紫色の反応産物が形成される。BCA Cu+1キレートは、562nmのλmaxを示し、吸光度は3logのタンパク質濃度(0.5μg/mL未満から500μg/mL超)にわたって強く相関するが、特異的反応条件および計測手段によってしばしば、有効線形範囲は2logのみに限定される。Cu+2の存在下でBCAと反応するタンパク質溶液の吸光度は、溶液の凝集タンパク質構造、ペプチド結合の総数、ならびに溶液中のシステイン/シスチン、トリプトファン、およびチロシン残基の相対的割合に依存することが公知である。
【0258】
20mMトリス、42mM NaClの緩衝溶液中の試験試料、PVS−RIPO精製バルクロットL0903007を、BCAアッセイを使用して総タンパク質に関して分析した。試験試料は、BCAアッセイを干渉する濃度の緩衝液構成成分を含有せず、PVS−RIPO精製バルクロットL0903007にHSAを添加する前に採取した。BCA作業用試薬およびBSAストック溶液ならびに標準曲線は、アッセイの直前にPierce BCAタンパク質アッセイキットから作製した。試料緩衝液による干渉がないことは、試験試料100μLをBSA(50μL/mL)500μLおよび緩衝液希釈剤400μLと共に、25μg/mL有効スパイク濃度となるようにBCA作業用試薬1mLに添加することによって生成される試料−BSAスパイク反応の生成によって確認した。100μLの2つ組の試験試料を、緩衝液希釈剤900μLおよびBCA作業用試薬1mLに添加した。BCA作業用試薬の添加後、試料および対照を室温で2時間インキュベートした後、562nmの吸光度を測定した。緩衝液希釈剤−BCA作業用試薬試料を使用して、分光光度計をゼロ(ブランク)に設定した。各反応を2つ組で測定して、BSA標準物質をさらなる分析の前に平均した。BSA標準曲線(0μg/mL〜100μg/mL)を線形回帰にフィットさせ、R2=0.989の結果を得て、標準曲線上のいかなる点も外れ値でないことが判明し、結果は有効であった。試験試料の反復実験は、平均値と比較して過度の変動を示さなかった。対照の25μg/mLのBSAスパイク試料は、114.61%(全体で28.65μg/mL)の回収率を示し、試料の組成がアッセイに干渉しないことを示した。PVS−RIPO精製バルクロットL0903007試験試料の全平均値は、BSA標準曲線の式:X=(((Y−A)/B)
*10)(式中、「X」はタンパク質濃度であり、「Y」は吸光度の値であり、「A」および「B」は曲線のパラメータであり、ならびに10は反応あたり試料100μLを使用したことを指す)を使用して計算した場合に、−0.0197 AU562であると計算され、これは検出レベル未満のタンパク質濃度(1μg/mL未満)に等しかった。方法の定量限界は5μg/mLであり、したがってBCAによって決定する場合、試験結果は5μg/mL未満のタンパク質として報告される。
【0259】
e.差別的殺滅
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009のU87−MGヒト神経膠芽種およびHEK293ヒト胎児腎細胞に対する差別的殺滅活性(differential killing activity)を決定した。アッセイを、Promega CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイを使用して、(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、分子内塩(MTS)および電子カップリング試薬フェナジンエトスルファート(PES)を用いて実施した。
【0260】
アッセイを実施するために、U87−MG細胞を、L−グルタミン、10%ウシ胎児血清、および1%非必須アミノ酸溶液を含むDMEM中で培養した。HEK293細胞をL−グルタミンを有し10%FBSを補充したDMEM中で培養した。細胞を96ウェルプレートに4×10
4個/ウェル(4×10
5個の細胞/mL、0.1mL/ウェル)蒔いた。試験品目を初回推定力価2×10
7PFU/mLまで希釈した後、連続4倍希釈した。希釈したウイルス試料(100μL/ウェル)を、細胞を含むプレートに移した。試験品目の最終ウイルス力価(MOI)は、およそ50〜0.0002PFU/細胞(TCID
50に基づいて計算したMOI)の範囲であった。プレートを5%CO
2、80%湿度の環境下、37℃で48時間インキュベートした。48時間のインキュベーション期間の後、CellTiter96(登録商標)AQueous One Solutionを添加して(20μL/ウェル)、5%CO
2および湿度80%の環境下、37℃でさらに4時間インキュベートした。SDS(10%溶液を25μL/ウェル)をウェルに添加した。プレートをプレートリーダー(Molecular Devices)において490nmの吸光度で5分以内に読み取った。細胞増殖培地のみを有する(細胞を含まない)ウェルのバックグラウンドの読みを、試験試料ウェルの読みから差し引いた。データを非線形4−パラメータ曲線フィット(Molecular DevicesのSoftMax Pro)を使用して分析した。アッセイに使用した対照は、PVSRIPO毒性学ロットL0603006(陽性対照)および細胞増殖培地(陰性対照)を含んだ。
【0261】
f.無菌性(直接接種)
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009および最終バイアル充填製品ロットL0904010の無菌性試験を直接接種法によって実施した。
【0262】
g.静菌/静真菌(滅菌後)
静菌/静真菌(B&F)試験を、21 CFR 610.12に従って米国薬局方(USP)の浸漬法を使用して、PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009滅菌後試験において実施した。B&F試験は、試験品目に固有のいかなる静菌および/または静真菌活性も、無菌性試験法の信頼性に有害な影響を及ぼさないことを確実にするために実施した。
【0263】
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009の安定性
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009を、バイアル充填前に保管庫に入れずに、PVS−RIPO最終バイアル充填生物学的製品ロットL0904010を生産した。したがって、PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009に関しては、最後の濾過と同じ日にバイアルに充填したことから、安定性試験を実施しなかった。
【0264】
最終バイアル充填製品
0.9%塩化ナトリウム、pH 7.4+0.2%HSA中の50mMリン酸ナトリウム中で調合したPVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009を、0.2μm PVDFメンブレンフィルターを使用して濾過滅菌して、最終バイアル充填製品を生産した。最終バイアル充填製品は、米国連邦規則集21CFR 210、211および600に記載の現行の医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準(CGMP)、ならびにフェーズI/II治験薬の製造および試験に関するFDA/ICHガイドラインに従って製造、試験、および維持した。
【0265】
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL0904009を充填して、最終バイアル充填製品ロットL0904010を生産した。充填操作は、バイオセーフティキャビネット(BSC)内で、承認された手順に従って実施した。2mL−13mm I型ホウケイ酸ガラスバイアル(Wheatonカタログ番号223683、ロット番号1438174)を使用した。各バイアルの目標分配量は、0.57mL(0.564〜0.576mL)であった。インプロセス重量チェックを実施した。
【0266】
442個のバイアルを充填後、B2 Flurotec Westar RSストッパー(West Pharmaカタログ番号1970−0002、ロット番号J8281)を挿入して、圧着操作を行った。圧着操作の際の圧着の完全性を肉眼で検査し、拒絶されたバイアルはなかった。充填、栓封止、および圧着操作の完了後、ラベルを貼付していないバイアル(442個)を検査した。
【0267】
PVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010の放出試験、方法、および規格を、以下の
図21の分析証明書に提供する。PVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010の試験に使用した方法[ウイルス力価(TCID50アッセイ)、LALによるエンドトキシン、およびrct40によるウイルス安定性、全ゲノム配列、および無菌性(直接接種)を除く]を以下に記載する。ウイルス力価(TCID50アッセイ)、LALによるエンドトキシン、およびrct40によるウイルス安定性の方法は、PVS−RIPO採取プールロットL0904008に関して記述されており、本明細書において見出すことができる。全ゲノム配列および無菌性(直接接種)の方法は、PVS−RIPO精製滅菌バルクロットL0904009に関して記述されており、本明細書において見出すことができる。
【0268】
a.外観
PVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010の試料を肉眼で調べた。製品を、容器の完全性、溶液の清澄性、および容器ラベルの正確性に関して調べた。容器を、ひび割れまたは劣化に関して検査して、上部がしっかり閉じていることを確認した。溶液の清澄性を、肉眼での検査によって評価して、液体製剤中の可溶性産物が、任意の微粒子物質、不清澄性および容器中の流体の色合い、または容器中の流体の任意の濁りもしくは曇りを含まないかを決定した。容器のラベルを検査して、クライオバイアルに適切にラベルが貼付されておりかつラベルが確実に適合していることを確認した。
【0269】
b.RT−qPCR(HRV−2 IRESおよびポリオポリタンパク質)
組換えポリオウイルスPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010を、PVSRIPO中のHRV−2 IRES(PVS−1)およびポリオポリタンパク質遺伝子(PO1)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースのRT−qPCRアンプリコンを使用して、PVSRIPO HRV−2 IRES(PVS−1)およびポリオポリタンパク質(PO1)RNA負荷量に関して試験した。リアルタイム定量的PCR(qPCR)は、遺伝子発現分析、遺伝子型判定、病原体検出/定量、変異スクリーニング、および試料中の低コピー数の残留DNAまたはRNAの定量を含む正確なDNA検出のために利用することができる感度のよい定量的増幅法である。プロセス解析/生物学的製剤品質管理検査室は、増幅プロセスの際に連続的にPCR増幅産物の蓄積を検出するために、Applied Biosystems 7900HT 96ウェル機器を使用し、PCRの対数相における正確な標的の定量を可能にした。96ウェルブロックの使用により、384ウェルブロックより大きい反応体積が可能となり、このため、残留DNAおよび夾雑物DNA試験のアッセイ感度が増加した。
【0270】
TaqMan(登録商標)qPCRケミストリーは、それぞれのアンプリコンについて二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドTaqMan(登録商標)プローブを利用する。ヒトゲノムDNAの検出のために使用するTaqMan(登録商標)プローブは、識別可能な放射極大を有する2つの蛍光色素で標識したオリゴヌクレオチド末端で構成される。プローブの5’末端を、レポーター色素である6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)で標識し、プローブの3’末端を、消光色素であるカルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)で標識する。オリゴヌクレオチドプローブは、PVSRIPO HRV−2由来IRES内の内部標的配列およびポリオポリタンパク質RT−PCRアンプリコンと相同であり、共に使用する場合、PVSRIPOに対して特異的である。PVSRIPOは一本鎖RNAウイルスであることから、qPCR増幅の前に熱サイクルプロトコールの一部として、増幅プライマーを使用して試料をcDNAに逆転写する。インタクトで遊離の溶液中では、プローブ消光色素は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を介して蛍光色素レポーターからの放射を低減させる。TaqMan(登録商標)PCR反応の伸長相において、プローブはTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、レポーター色素がプローブから放出されて、レポーターからの放射を増加させる。
【0271】
ABI Prism7900HTは、2軸スキャンヘッドを使用して、アルゴンイオン(488nm)レーザーからの励起光を96ウェル全てに分配する。CCDイメージャーが、それぞれのウェルからの蛍光スペクトルおよび強度を測定して、PCR増幅の際のリアルタイムスペクトルデータを作成する。ABI配列検出ソフトウェア(SDS)は、レポーター色素、クエンチャー色素、およびノーマライザー(ROX)色素の蛍光強度を逆畳み込みして、増幅の過程にわたって、正規化したレポーターからの放射強度の増加を計算する。
【0272】
それぞれのPCR反応における初回標的の正確な定量は、試薬が消耗する前または副産物による反応の阻害が起こる前に、増幅の対数(log2)期の間に起こる。しかし、反応のシグナル対ノイズ限界および一般的なバックグラウンド蛍光に起因して、最も正確なデータは典型的に対数期後期に得られる。正規化レポーター蛍光を、PCRサイクル数によって表される時間に対してプロットする。標的コピー数または質量値は、バックグラウンドを超える蛍光閾値を割付することおよびそれぞれの試料の増幅プロットが閾値(閾値サイクルまたはCtとして定義される)に達するサイクル点を決定することによって得られる。それぞれの反応の閾値サイクル値を使用して、既知標準物質と比較した、それぞれの試験品目反応内に最初に含有される標的の量を定量する。
【0273】
BDPでアッセイを実施するために、TaqMan(登録商標)プライマーおよび二重蛍光色素標識プローブを、ABI Primer Expressソフトウェア(バージョン2.0.0)によって設計した。71bpのHRV−2 IRES(PVS−1)アンプリコンは、フォワードプライマー:5'- (AAC CCA ATG TGT ATC TAG TCG TAA TGA, 配列番号1);リバースプライマー: 5'- (TGA AAC ACG GAC ACC CAA AG 配列番号2);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(CAA TTG CGG GAT GGG ACC AAC T 配列番号3)-[TAMRA]からなる。PO1の70bpのアンプリコンは、フォワードプライマー:5'- (TTG GTG GGA ACG GTT CAC A SEQ ID NO: 8);リバースプライマー: 5'- (TCA CCT TGA CTC TGA GTG AAG TAT GA 配列番号9);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(TTG CAG CGG CCC TGA AGC G 配列番号10)-[TAMRA]からなる。プライマーおよびプローブをそれぞれ、ヌクレアーゼフリー水(NFW)によって10および5pmol/μLに希釈した。反応混合物は、ROX色素を有するTaqMan(登録商標)1−ステップRT PCR 2×マスターミックス25μL、RNアーゼ阻害剤1μL、NFW 1μL、フォワードプライマー1μL、リバースプライマー1μL、TaqMan(登録商標)プローブ1μL、および試験試料20μL(最終反応体積50μL)からなった。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システムによって3−ステップqPCRプロファイル(2.00分、50.0°C;48.0℃で30分(RT−ステップ);10.00分、95.0°C;0.15分、95.0°Cを40サイクル、1.00分、60.0°C)を使用して増幅した。アンプリコンcDNA標準曲線をPVSRIPOプラスミドDNAから作製して、NFW中で1ngから10fgまで10倍連続希釈した。総試験試料RNAを緩衝液AVLの1:4によって不活化して、RT−qPCR反応の前に、QiagenウイルスRNAミニプレップ法を使用して抽出した。試料の組成に起因する潜在的なPCR阻害を、抽出された試験試料にPVSRIPOプラスミドDNA 500pgを添加することによってモニターした。緩衝液(鋳型を含まないNFW)陰性対照試料を、試験のために実施した。PVSRIPOプラスミドDNAロットL0305006を陽性対照として使用した。アッセイ間変動をなくすために、両方のPVSRIPOアンプリコンを同じ96ウェルプレートで実施した。試験試料中の初回PVSRIPO RNA濃度を、ABI 7900HTソフトウェアを使用して、試料閾値サイクル値をプラスミドDNA標準曲線の式と比較することによって計算した。初回RNAレベルを、式:試料希釈係数(2)
*[(試験試料の平均質量(pg)−鋳型なしの平均質量(pg))÷(平均抽出前スパイク回収効率(100%に設定))]÷[(試料体積、μL/反応(20μL))
*1000μL/mL]を使用してpgRNA/mLに変換した。
【0274】
c.pH
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010について、pH試験を実施した。pH値は、水素イオン活動度に対して感度が高い指示電極、ガラス電極、および適した参照電極を使用して、pH値を0.02pH単位に再現することができる適切に標準化された電位測定機器(pHメーター)から得た。機器は、電極対の間の電位を検知することができ、温度および/または勾配制御を通してpHの読みの単位変化あたりのミリボルトの変化を制御することができる。測定は25±2℃で行う。アッセイを実施するために、pHメーターを2つの標準化緩衝液2組を使用して標準化した:pH4.0と7.0、およびpH7.0と10.0。次に、プローブをすすぎ、水分を吸い取らせて乾燥させた(blotted dry)後、試験試料のpHを決定した。アッセイは、2つの標準化の勾配値が92.0%〜102.0%の範囲内に入ったことから、有効であった。陽性対照はpH4.0標準物質、pH7.0標準物質、pH10.0標準物質であった。
【0275】
d.電子顕微鏡法(EM)によるウイルス粒子
このアッセイは、ネガティブ染色電子顕微鏡法によって、試験試料(PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010)中のウイルス粒子数/mLを定量するために設計された。10個のグリッド空間の写真を撮影して、各区画のウイルス粒子数を計数し、これを使用してウイルス粒子/mLを計算した。試験試料を等量の固定液(2×PBS中の8%ホルムアルデヒド)によって希釈して固定した。試験試料(0.5μL)をホルムバール処理/炭素被覆グリッドの上に置いて、風乾させた。次に試料を2回蒸留した水(DDH
2O)5μLによって洗浄して、試料から塩/リン酸緩衝液を洗浄した。次に、1%リンタングステン酸(PTA、pH7.0)水溶液(0.5μL)をグリッド上に添加して、風乾させた。グリッドを電子顕微鏡法で調べた。10個のグリッド空間の写真を撮影して、ウイルス粒子数を以下の計算によって決定した:
ウイルス粒子数(vp)=(平均vp数)×(グリッドの面積/写真の面積)×(1mL/μLで添加したウイルス量)
【0276】
e.感染単位あたりのウイルス粒子の比率
PVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010に関する感染単位あたりのウイルス粒子の比率(vp/IU)は、ウイルス粒子濃度1.01×1011vp/mL(QC−042172)をウイルス力価3.98×109 TCID50/mL(QC−042165)で除することによって、計算した。
【0277】
f.安定性試験
【0278】
1.PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010の安定性試験は、プロトコールSP−137の下で4年の期間で実施されている。安定性試験のために指定されたバイアルを−70℃以下の制御保管庫で保存する。安定性に関して試験される最終バイアル充填PVS−RIPO製品の属性は、目に見える外観、効力(TCID
50によるウイルス力価)、および安全性(エンドトキシン/LAL、pH、およびバイオバーデン)を含む。外観およびTCID
50によるウイルス力価は、0、6、12、24、36、および48ヶ月の安定性時点で試験する。安全性(エンドトキシン/LAL、pH、およびバイオバーデン)試験は、0、12、24、36、および48ヶ月の安定性時点で実施する。PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010に関して6ヶ月間の安定性時点で収集した安定性データの要約を表8に含める。結果は、PVSRIPO最終バイアル充填製品毒性学ロットL0904010が−70℃以下で6ヶ月間安定であることを示している。
【表8】
【0279】
2.PVSRIPO最終バイアル充填製品毒性学ロットL0603006
【0280】
これまでの試験的ロット(PVS−RIPO毒性学ロットL0603006)を製造した。PVS−RIPO毒性学ロットL0603006は、カニクイザルにおけるPVS−RIPOの範囲探索試験に使用した。PVS−RIPO毒性学ロットL0603006は、プロセスの規模に関連する問題のみが異なる、臨床ロットL0904010と同等のプロセスを使用して製造された。PVS−RIPO毒性学ロットL0603006の分析証明書を
図22に含める。
【0281】
−70℃以下で保存したPVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0603006の安定性試験を48ヶ月間実施した。プロトコールを、電子顕微鏡検査アッセイによるウイルス粒子を除外して(この方法は、安定性を示すものと考えられていないことから)、ウイルス粒子の感染単位に対する比(比VP/IU)の決定を除外し、年1回のバイオバーデン試験を追加するように改訂した。PVSRIPO最終バイアル充填製品毒性学ロットL0603006に関して48ヶ月間の安定性時点で収集された完全な安定性データの要約を、表9に含める。結果は、PVSRIPO最終バイアル充填製品毒性学ロットL0603006が、−70℃以下で48ヶ月間安定であることを示している。
【表9-1】
【表9-2】
【0282】
バイアルのラベルを作成して、1つのラベルをそれぞれのバイアルに貼付した。このプロセスにより、435個のラベル貼付済み充填バイアルを得た。ラベルを貼付したバイアルを箱に入れて、−70℃以下の保管庫に入れた。試料(ラベルを貼付したバイアル52個)を、BQC放出試験のために指定した。残りの383個のラベル貼付バイアルを製品として指定した。383個の産物バイアルを−70℃以下の制御保管庫に移した。
【0283】
1つのバッグラベルを383個のミニグリップバッグのそれぞれに挿入した。36個のミニグリップバッグ(それぞれが、挿入されたバッグラベルを含有する)を、それぞれラベルを貼付した梱包箱に入れた。ラベルを貼付した梱包箱を、バイオセーフティキャビネット(BSC)の中のドライアイスを満たしたトレイの上に置いて冷却し、梱包操作を通してドライアイス上で維持した。全体で383個のPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010のラベル貼付バイアルを、−70℃以下の制御保管庫から取り出して、同じBSCのドライアイス上に置いた。これには、349個の製品バイアルが含まれ、3個を残し、31個の製品バイアルを安定性試験のために指定した。それぞれのPVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットL0904010のバイアルを個々のミニグリップバッグ(それぞれが挿入されたバッグラベルを含有する)の中に入れた。
【0284】
梱包されたバイアルのそれぞれの箱を、吸収材料と共にバイオハザードバッグに入れて、−70℃以下(
<70℃ C)の保管庫に戻した。全体で383個のバイアルを−70℃以下の制御保管庫に入れた。
【0285】
(実施例6)
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001のケミストリー、製造、および管理の修正
図23は、本出願人が生産したPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットの履歴を提供する。PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001は、実施例5に記述された手順と同じであるが、以下の変更を加えた手順を使用して製造した。リアルタイムRT−qPCR試験を、Sepharose 6 FFクロマトグラフィーステップの際に使用して、高い力価(1×10
7コピー/mL以上)のPVSRIPOウイルスRNAを含有する画分を同定した。これによって、選択される画分の範囲がわずかに異なり、それによってこのロットに関して、より高い残留タンパク質および遊離のウイルスRNAが得られた。同様に、総感染性(TCID
50IU)ウイルス収量のおよそ6倍の増加も可能となった。2つの追加のマイコプラズマ試験を採取プール試験に追加した。1つは、Vero細胞を使用したウイルス製品のマイコプラズマ検出試験であり、他方は、タッチダウン(TD)−PCRによるマイコプラズマ検出試験であった。全てのマイコプラズマ試験は、NIH/3T3細胞の代わりにVero細胞を最初に使用して採取プールについて実施した。次に、アッセイを、PVSRIPOによる感染に対して不応性であるNIH/3T3細胞を使用して実施した。タッチダウンPCRアッセイもまた、凍結試料保存後にマイコプラズマDNAが存在しないことを確認するために実施した。ポリオウイルスIRESに関する追加のRT−qPCR試験を、野生型ウイルスが存在しないことを確実にするために最終バイアル充填製品放出試験に追加した。精製滅菌バルクおよび最終バイアル充填製品放出試験のためのゲノム配列決定法は、Illumina次世代配列決定(NGS)法を使用した。
【0286】
図24は、製造プロセスの概要を提供する。PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001は、上記のPVSRIPO最終バイアル充填臨床ロットL0904010に関して使用したものと同じマスターウイルスシードロットL0403006およびVeroワーキングセルバンクロット217002−2から作製した。上記の臨床ロットのために使用した手順と同じ手順(実施例5を参照されたい)に従って、Vero細胞を増大させて、10段セルファクトリーでマスターウイルスシードを感染させた。ウイルスを遠心分離によって採取してプールした。採取プールをBenzonase(登録商標)酵素によって処理して、宿主ゲノムDNAレベルを低減させ、2つのカラムクロマトグラフィーステップ(Sepharose 6 FFクロマトグラフィーおよびQ650Mフロースルークロマトグラフィー)を使用して精製した。次に材料を、中空繊維限外濾過メンブレンを使用して濃縮して、調合緩衝液(50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4)に対して透析濾過した。この材料を、−70℃以下でおよそ3ヶ月間凍結した。解凍後、材料をプールして、0.2ミクロン濾過滅菌し、2mLガラスバイアルに充填した。製造プロセスの簡単な要約を以下に概要する。
【0287】
PVSRIPO最終バイアル充填製品は、0.2%HSA(HSA)を含有する、50mMリン酸ナトリウム、0.9%塩化ナトリウム、pH 7.4の緩衝液中で調合された無色の液体である。PVSRIPO最終バイアル充填製品をバイアルあたり0.5mLの体積、および4.48×10
9 TCID
50/mL(2.2×10
9 TCID
50/バイアル)の濃度で充填する。この製品を−70℃以下で保存する。
【0288】
生産材料
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001の製造に使用した生産材料/試薬は、実施例5に記載のものと同じであった。Benzonase(登録商標)酵素は、植物起源の酵素であり、発酵によって産生される。カゼインの酸加水分解産物を発酵培地に使用する。カゼインの酸加水分解産物の産生のために使用したミルクは、ヒトによる消費のために収集されたミルクと同じ条件下のオーストラリアおよびニュージーランドの健康な動物を起源とする。カゼインの酸加水分解産物は、牛乳以外の反芻動物材料を含まずに調製される。FBSは、米国内にあるUSDA監査屠畜場で収集したウシ胎児血液から製造され、検査したウシウイルスに関して陰性であった。HSAは、Octapharmaから購入した。HSAは、GMP規則に従って製造され、米国薬局方および欧州薬局方に従う製造および製品試験の判定基準を満たす。全ての供血の血漿を個々に試験して、HB
SAg、HIV−1/HIV−2 Ab、およびHCV Abに対して非反応性であった。それぞれの血漿プールを試験して、HB
SAg、HIV−1/HIV−2 Ab、およびポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によるHCV−RNAに関して陰性であることが見出された。トリプシンは、カナダ起源の動物から収集したブタ膵腺起源であった。獣医師の監督下で、動物に死亡前および死後の検査を行い、動物は、見かけ上感染性疾患および伝染性疾患を有しない。原材料トリプシンを放射線照射する。供給業者は、1:250の強度を達成するために希釈剤としてウシ乳糖を使用した。この乳糖は、米国起源の健康なウシからの、ヒトによる消費に適合する牛乳を起源とする。この産生に使用される原材料トリプシンを試験して、ブタパルボウイルス、マイコプラズマ、ならびにPCV 1および2に関して陰性であることが見出された。
【0289】
生産の要約
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL1405001(P2)を生産するための製造プロセスを、
図25A〜25Bに説明する。PVSRIPO精製滅菌バルクロットL1311004は、出発材料として、Veroワーキングセルバンク(WCB)ロット217002−2およびMVSロットL0403006を使用してBDPで製造した。Vero WCBロット217002−2の2個のバイアルを増大させて、10個の6360cm
2セルファクトリーにおいて細胞増大ロットL1310003を生産した。細胞増大ロットL1310003に、PVSRIPO MVSロットL0403006を感染させ、採取材料(採取プールロットL1311003)をPVSRIPO精製滅菌バルクロットL1405001の生産のために使用した。
【0290】
a.Vero細胞の開始および増大
細胞増大ロットL1310003からのVero細胞を、細胞採取ロットL1311003の生産のために使用した。細胞増大活動は、ATRF Building A、GMP Virus Production FacilityのBDPで実施した。増大を通して、Vero細胞を、L−グルタミンおよびHEPESを含む、フェノールレッド不含DMEM中で成長させた。ウシ胎児血清(HyCloneカタログ番号SH30070.03IR)を10%濃度で添加した。細胞を、全細胞増大プロセスの間、37℃および5%CO
2の設定でインキュベートした。
【0291】
Veroワーキングセルバンク(WCB)ロット217002−2の2個のバイアルを、一定に攪拌しながら37±2℃の水浴中で解凍した。それぞれのバイアルからの細胞を、15mL遠心チューブ中の完全に加温した培地9mLに添加した。混合後、試料を採取して計数し、生存率を決定した(79%および84%)。次に細胞を1000rpmの設定で、4℃で10分間遠心分離した。遠心分離後、上清を捨てて、細胞ペレットを、75cm
2フラスコにおいてDMEM培地(上記)30mLの総混合体積中で再懸濁させた。細胞を、上記の増殖培地および条件を使用して、凍結から全体で8回の継代で75cm
2フラスコから6360cm
2セルファクトリーへと増大させた。
【0292】
追加の腫瘍形成能試験を、産生に必要な追加のスケールアップ継代をモデル化するために、初回解凍から10継代のEOP細胞に実施した。ブタサーコウイルス試験も同様に追加した。加えて、野生型ポリオウイルスIRESの試験も追加した。
【0293】
b.Vero細胞の感染
Vero細胞ロットL1310003(10個の6360cm
2セルファクトリー、3個の636cm
2セルファクトリー)を、それぞれの容器が95〜100%コンフルエンスの健康な細胞を含有すること、および夾雑物の目に見える兆候がないことを確認後、感染細胞溶解物を産生するために使用した。4個のPVSRIPOマスターウイルスシード(MVS)ロットL0403006ボトル(80mL MVSアリコートを有する125mL PETGボトル)を−70℃以下の制御保管庫から取り出して、33〜38℃の水浴中で解凍し、感染プロセスにおいて感染多重度(MOI)0.1pfu/細胞で使用した。解凍したMVSロットL0403006 226mLを、調製した感染培地(L−グルタミン含む、Hepesおよびフェノールレッド不含DMEM/F12)に添加することによって、全体積およそ8リットルの調合感染培地を調製した。
【0294】
洗浄培地(L−グルタミンを含む、Hepesおよびフェノールレッド不含DMEM/F12)およそ750mLによって洗浄した後、調製し調合された感染培地およそ750mLを満たすことによって、10個の6360cm
2セルファクトリーを感染用に調製した。陽性対照および陰性対照も同様に調製した。感染セルファクトリーおよび対照を、33℃、5%CO
2濃度、および80%湿度の設定でインキュベートした。感染の70時間後、95〜100%の細胞変性効果(CPE)が10個全てのセルファクトリーにおいて示され、対照フラスコのそれぞれにおいて予想された結果が示された。
【0295】
c.感染細胞溶解物の採取および清澄化
PVSRIPOウイルス感染細胞懸濁液ロットL1311003を、それぞれのセルファクトリーから採取して、滅菌培地バッグに共にプールした。PVSRIPO採取プールロットL1311003の放出試験のために、感染細胞懸濁液の試料を採取した。PVSRIPO採取プールロットL1311003の放出試験の試験、規格、方法、および結果を要約する分析証明書を、
図26に含めて示す。
【0296】
感染細胞懸濁液を、1Lポリカーボネート遠心ボトルにおよそ750mLアリコートで移した。感染細胞懸濁液を、4℃および3800×gの設定でおよそ20分間遠心分離した。遠心ボトルのそれぞれからの清澄化上清を10Lバッグに共にプールして、1L滅菌PETGボトル10個に分配して、凍結し、−70℃以下で保存するためにMMICに移した。
【0297】
d.最終採取物のBenzonase(登録商標)処理
PVS−RIPO精製バルクロットL1311004の生産の際の宿主ゲノムDNAのレベルを低減させるために、清澄化したPVS−RIPOロットL1311003採取物を、−70℃以下でおよそ3ヶ月間保存後に室温で21時間解凍した。解凍したPVS−RIPOを2個の10Lバッグにプールして穏やかに混合した。それぞれの個々のバッグからの3ミリリットル試料を、1個の15mL円錐チューブに合わせた。試料を以下の試験に関してそれぞれのバッグから採取した:TEM、Vero gDNA qPCR、プラークアッセイ、HCP、SDS−PAGE、および全ゲノム配列決定。
【0298】
Benzonase(登録商標)酵素の添加前に、100mM MgCl
2を、1mM MgCl
2最終濃度となるように、清澄化したPVSRIPOロットL1311003採取物のそれぞれのバッグ(2個のバッグ)に混合しながら添加した。Benzonase(登録商標)酵素を、混合しながら最終濃度50単位/mLとなるように添加した。バッグを2〜8℃で18〜21時間インキュベートした。Benzonase(登録商標)処理溶解物を2〜8℃で除去して試料を採取した。試料を、SDS−PAGE、全ゲノム配列決定、HCP、TEM、Vero gDNA qPCR、プラークアッセイ、およびTCID
50によって分析した。
【0299】
e.Sepharose 6 Fast−Flowクロマトグラフィー
Sepharose 6 FFクロマトグラフィーステップは、PVSRIPO精製バルクロットL1311004の生産の際の緩衝液交換、および低分子量の宿主細胞夾雑物からのウイルスプールの部分精製を提供する。Sepharose 6 Fast Flow(FF)樹脂(GE Healthcare−Biosciences、Piscataway、NJ)を充填したクロマトグラフィーカラムを使用して、さらに精製するための用意として、ウイルスの緩衝液を、低伝導度リン酸緩衝液に交換した。Benzonase(登録商標)処理溶解物をロードする前に、Sepharose 6 FFカラムに5M NaClを流して、4.7mM NaPO
4、1M NaCl、pH 7.5を満たし、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって平衡化した。
【0300】
Benzonase(登録商標)処理溶解物を、2回の等量の注入でSepharose 6 FFカラムにロードした。産物を4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5によって溶出し、それぞれの注入からのPVS−RIPOメインピーク画分を、複数の2L PETGボトルに収集した。2つのクロマトグラフィー実行からの個々の画分の試料を、リアルタイム逆転写qPCR(RT−qPCR)によって分析した。PVS−RIPOメインピーク画分を2〜8℃で8〜17時間保存した。リアルタイムRT−qPCR結果および両方のSepharose 6FF実行からのUV吸光度に基づいて選択した画分を、20L滅菌バッグにプールした。プールしたクロマトグラフィー実行の試料を、以下に関して分析した:プラークアッセイ、RT−qPCR、SDS−PAGE、HCP、TEM、およびVero gDNA qPCR。
【0301】
f.Q650Mフロースルークロマトグラフィー
Sepharose 6 FFステップの後、ロットL1311004の溶出物を、Q650Mフロースルークロマトグラフィーカラムにアプライして、残存宿主細胞タンパク質夾雑物を非結合ウイルスから除去した。クロマトグラフィーカラムにSuper Q 650M樹脂を充填して、5M NaClを流した後に、4.7mM NaPO
4、1M NaCl、pH 7.5を満たし、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5を使用して平衡化することによってカラムを調製した。
【0302】
カラムに、PVS−RIPO Sepharose 6 FFメインピークをロードして、ウイルス産物を含有するフロースルーを収集した。溶出の際に使用した緩衝液は、4.7mM NaPO
4、42mM NaCl、pH 7.5であった。収集したQ650MメインピークのNaCl濃度を、5M NaClを使用して150mM NaClに調節した。Q650Mメインピーク材料をサンプリングした後、2〜8℃でおよそ16時間保存した。試料を、以下に関して分析した:ウイルス力価を決定するためのプラークアッセイ、TCID
50、SDS−PAGE、HCP、TEM、およびVero gDNA qPCR。
【0303】
g.接線流濾過による濃縮および透析濾過
Q650MメインピークロットL1311004材料を2〜8℃の保管庫から取り出して、中空繊維限外濾過メンブレン(GE Healthcare、UFP−50−C−4MA)を使用して濃縮した。次に、濃縮したウイルス材料を調合緩衝液(50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4)に対して透析濾過した。透析濾過したPVS−RIPO溶液の試料を、ウイルス力価を決定するためのプラークアッセイ、TCID
50、SDS−PAGE、HCP、TEM、およびVero gDNA qPCRに関して分析した。HSA(25%)を、透析濾過したPVS−RIPOロットL1311004に最終濃度0.2%となるように添加した。調合したPVS−RIPOの試料を、拡張バイオバーデン(extended bioburden)、プラークアッセイ、TCID
50、SDS−PAGE、HCP、TEM、およびVero gDNA qPCRに関して分析した。
【0304】
h.PVS−RIPOのバルクアリコート、サンプリング、および保存
調合したPVS−RIPO精製バルクロットL1311004をクラス100 BSCに移して、4個の500mL PETGボトルにそれぞれおよそ250mLを3個および167mLを1個の体積で分配した。PVS−RIPO精製バルクロットL1311004の4個のボトルを、ラベルを貼付してエタノール/ドライアイス浴中で凍結し、さらに製造に使用するために−70℃以下で保存した。PVS−RIPO精製バルクロットL1311004を−70℃以下の制御保存フリーザー(controlled storage freezer)に移した。
【0305】
i.精製滅菌バルクロットL1405001(P2)
PVS−RIPO精製バルクロットL1311004の250mLボトル3個および167mLボトル1個を、MMICでの−70℃以下の制御保管庫から取り出して、−70℃以下に移した。次に、PVSRIPO精製バルクロットL1311004の4個のボトルを、21〜25℃の水浴中で解凍した:室温および製品の温度は20℃であった。総解凍時間は195分であった。4個の容器の内容物を2L PETGボトルにプールして、最終総体積934.3mLを得た。精製PVS−RIPOの2.5mL試料を、0.5mLアリコートで分配し、−70℃以下で保存した。新たに作製した50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4中の0.2%HSA 122mLを、プールしたPVS−RIPO精製バルクロットL1405001に添加した。0.2%HSAを含有する50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4中のPVS−RIPO精製バルクロットL1405001をポンプで送って、使用前完全性試験に合格し希釈剤(50mM NaPO
4、150mM NaCl、pH 7.4+0.2%HSA)で予め湿らせた0.2ミクロン滅菌Millipak20(Millipore)フィルターに通した。産物の濾過後、フィルターに同じ希釈剤を流して全量1,054mLの最終濾過産物を得た。フィルターは、濾過後の完全性試験に合格した。滅菌ピペットを使用して、精製滅菌バルクロットL1405001 27mLを取り出して滅菌試料容器に分配した。試料を、精製滅菌バルクロットL1405001放出試験に提出し、総最終体積はおよそ1027mLを残した。次に、精製滅菌バルクロットL1405001を、充填ステップに進めた。
【0306】
バイアル充填してPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001を生産する
PVSRIPO精製滅菌バルクロットL1405001を充填して最終バイアル充填製品ロットL1402001を生産した。手作業での充填操作は、バイオセーフティキャビネット(BSC)内で承認された手順に従って実施した。2ミリリットル、13mm USP/EP I型ホウケイ酸ガラスバイアルを使用した(West Pharmaceutical、カタログ番号6800314、ロット6102124826)。各バイアルの目標分配体積は、0.55mL(0.545〜0.556mL)であった。インプロセス重量チェックを実施した。
【0307】
1792個のバイアルを充填後、B2 Flurotec Westar RSストッパー(West Pharmaceutical、カタログ番号1970−0002、ロットD3161200)を挿入して、圧着操作を行った。圧着操作の際の圧着の完全性を肉眼で検査し、5個のバイアルを拒絶した。充填、栓封止、および圧着操作の完了後、ラベルを貼付していない状態でバイアルを検査した。ラベルを貼付していないバイアル21個を検査の際に拒絶し、残りが全体で1766個のバイアルになった。
【0308】
プロセスを継続してラベル貼付操作を行い、試験および保持のために確保した54個のバイアルを取り出した後、1712個のラベル貼付充填バイアルを使用のために得た。全てのバイアルを、ラベルを貼付した保存用の箱に入れて、−70℃以下で保存した。その後さらに2個のバイアルを試験用に採取して、残りは1710個のバイアルとなった。
【0309】
PVSRIPOを梱包した。ウイルス濃度が記されたさらなるラベルをプラスチックミニグリップバッグに挿入した。36個のミニグリップバッグ(それぞれが、挿入されたバッグラベルを含有する)をそれぞれのラベル貼付梱包箱に入れた。ラベル貼付梱包箱を、BSCの中のドライアイスを満たしたトレイ上に置いて、冷却し、梱包操作を通してドライアイス上に置いたままにした。全体で1710個のPVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001ラベル貼付バイアルを、−70℃以下の制御保管庫から取り出して、同じBSC内のドライアイス上でミニグリップバッグ(1つのバイアル/バッグ)に梱包した。ミニグリップバッグへの梱包の間、全てのバイアルおよび箱をドライアイス上で維持した。梱包したバイアルの36個のそれぞれをラベル貼付した箱に入れた。箱を−70℃以下の制御保管庫に入れた。
【0310】
許容限界と分析方法
PVSRIPO採取プール、精製滅菌バルク、および最終バイアル充填製品の試験および規格は、以下の変更を除き、実施例5の記述と同じであった。2つのさらなるマイコプラズマ試験を採取プール試験に追加した。1つは、Vero細胞を使用したウイルス産物のマイコプラズマ検出試験であり、他方は、タッチダウン(TD)−PCRによるマイコプラズマ検出試験であった。採取プールのマイコプラズマ検出は、最初、NIH/3T3細胞の代わりにVero細胞を使用した。次に、アッセイを、PVSRIPOによる感染に対して不応性であるNIH/3T3細胞を使用して実施した。タッチダウンPCRアッセイもまた実施して、試料の凍結保存後にマイコプラズマDNAが存在しないことを確認した。野生型またはワクチン株ポリオウイルスが存在しないことを確実にするために、ポリオウイルスIRESに関するRT−qPCR試験を最終バイアル充填製品放出試験に追加した。精製滅菌バルクおよび最終バイアル充填製品放出試験のゲノム配列決定方法を、より進化したIllumina次世代配列決定(NGS)法に変更した。
【0311】
PVSRIPO採取プールロットL1311003、精製滅菌バルクロットL1405001、および最終バイアル充填製品ロットL1402001に関する放出試験、方法、規格、および結果は、
図27〜28の分析証明書に見出すことができる。
【0312】
分析方法の変更およびアッセイの説明
PVSRIPO採取プール、精製滅菌バルク、および最終バイアル充填製品の試験は、複数の追加のマイコプラズマ試験を採取プール試料に実施したことを除き、実施例5に記述されるとおりに実施した。これらの方法を、追加のマイコプラズマ試験および新しい次世代配列決定方法と共に以下に説明する。
【0313】
a.Vero細胞を使用したウイルス産物のマイコプラズマ
マイコプラズマの検出を、間接手順および直接手順の両方を使用して採取プールロットL1311003について実施した。Vero細胞を用いたこの試験は、この採取プールロットのみに関して偶発的に実施され、これまでの試験は、ポリオ感染に対して不応性であるNIH/3T3細胞を使用していた(NIH/3T3細胞についての試験も同様に実施した)。NIH/3T3細胞と共に使用した採取プール試料は、Vero細胞アッセイと比較して追加の期間凍結保存されていたことから、採取プール中にマイコプラズマDNAが存在しないことを確認するために、タッチダウンPCR(TD−PCR)アッセイも同様に実施した。
【0314】
間接的検出法は、Vero細胞上に接種した後、DNA結合蛍光色素染色を使用して染色することにより、マイコプラズマ、特に培養不能マイコプラズマの可視化を可能にする。陰性対照および陽性対照の両方をアッセイで使用した。陽性対照は、強い細胞吸着性(M.hyorhinis)および弱い細胞吸着性(M.orale)のマイコプラズマ種の両方を含んだ。DNA結合蛍光色素による培養物の染色により、観察された染色パターンに基づいてマイコプラズマを検出することができる。陰性培養物では、細胞核の蛍光のみが観察されるが、陽性培養物では核および核外蛍光が観察される。
【0315】
直接培養は高感度で特異的なマイコプラズマの検出法である。使用した寒天培地およびブロス培地は、培養可能マイコプラズマの成長にとって必要な炭素およびエネルギーと共に栄養を供給する。陽性対照および陰性対照の両方を直接アッセイで使用した。陽性対照は、発酵性マイコプラズマ(M.pneumoniae)および非発酵性マイコプラズマ(M.orale)を含んだ。
【0316】
間接的検出法に関して、採取プール試料を37±2℃で解凍して、滅菌リン酸緩衝食塩水を使用して、1:5および1:10倍希釈物を調製した。非希釈試験試料およびそれぞれの希釈物を、Vero細胞を含有する2個のカバーガラス(試料/希釈物あたり)それぞれの上に接種した。カバーガラスを、36±1℃および5〜10%CO
2で1〜2時間インキュベートした。8%ウシ胎児血清を含有するEMEM 2mLをそれぞれのカバーガラスに添加した。カバーガラスを36±1℃および5〜10%CO
2でインキュベートした。インキュベーションの3日後、カバーガラスを固定して染色し(ヘキスト染色)、落射蛍光顕微鏡を使用して読み取った。
【0317】
非希釈試験品目2ミリリットルを2つのSP−4寒天プレートのそれぞれに接種し、SP−4ブロス50mLを含有する75cm
2フラスコに10mLを接種した。プレートを36±1℃で最短で14日間嫌気的にインキュベートした。フラスコを36±1℃で嫌気的にインキュベートして、3、7、および14日目に、2個のSP−4寒天プレート(0.2mL/プレート)のそれぞれに副次培養した。これらのプレートを36±1℃で最短で14日間嫌気的にインキュベートした。ブロスフラスコを、それぞれの作業日に色または濁度の変化に関して14日間観察した。一般的に、マイコプラズマの成長は、ブロスの混濁を引き起こす。寒天プレートを、14日間のインキュベーション後に観察した(0日目)。SP−4ブロスで副次培養したプレート(3、7、および14日目)を14日間のインキュベーション後に観察した。マイコプラズマコロニーは寒天の中に成長し、コロニーの中心は不透明に見えるようになり、周辺表面の成長は半透明に見える。これらのコロニーは、光学顕微鏡下で容易に観察することができる。
【0318】
b.TD−PCRによるマイコプラズマ
マイコプラズマの検出を、タッチダウンポリメラーゼ連鎖反応(TD−PCR)試験を使用して採取プールロットL1311003について実施した。この試験は、PTCマイコプラズマVero細胞試験およびNIH−3T3細胞試験の実施の間の−70℃以下の試料保持時間によって、保持された採取プール試料における生存の可能性がある任意のマイコプラズマが失われうる場合に実施した。PCRベースのマイコプラズマアッセイは、凍結融解に影響されず、採取プールの超低温保存は維持される。
【0319】
PCRは、細胞試料、血清試料、または組織試料中のマイコプラズマDNAの検出にとって非常に感度のよいツールである。PCRは、その感染度にかかわらず、マイコプラズマDNAを増幅する。プライマーの組によってマイコプラズマ配列の選択された保存領域の境界を定義することによって、標的配列を数時間で1000万倍超に増幅することが可能である。増幅された標的DNAの存在を、エチジウム染色ゲル電気泳動によって確認する。このアッセイを使用して、1cfuもの少量のマイコプラズマDNAを検出することができる。タッチダウンPCRは、特異性および感度を大きく増加させるためにアニーリング勾配を使用する改変サイクリング法である。
【0320】
試験試料DNAは、細胞または上清の溶解および精製によって得られる。得られたDNAを、ある量のヌクレアーゼフリー水に再懸濁させて、0.1μg/μLのDNAを生成する。PCR増幅に関して、適切なプライマー、dNTP、緩衝液、水、MgCl
2、およびTaq DNAポリメラーゼを含有する試薬のマスターミックスを調製して、アッセイにおけるあらゆる反応物に添加した。偽プライミング事象の発生を低減させるために、反応物を8−メトキシソラレンによって処理し、U/V光に曝露した。試験品目の6個のアリコートをPCR反応チューブに分配した。3つのアリコートは、さらなる対照DNAを添加せずに処理した。他の3つのアリコートには、マイコプラズマDNA 1、10、および100cfuを添加した。試薬対照の4個のアリコートを処理した;1つの反応物は、試料を除く反応ミックスの全ての構成成分を含有した。他の反応チューブには、マイコプラズマDNA 1、10、および100cfuを添加した。精製ヒト細胞H9 DNAの1つのアリコートを陰性対照として使用した。H9 DNAの3つのアリコートに、マイコプラズマDNA 1、10、および100cfuを添加した。TD−PCR増幅後、アンプリコンをゲル電気泳動によって分離して、UV光によって調べた。
【0321】
c.ウイルス力価(TCID
50)
TCID
50によるウイルス力価を、Hep−2C指標細胞を使用して実施して、PVSRIPO採取プール、精製滅菌バルク、および最終バイアル充填製品におけるPVSRIPOウイルス力価を決定した。希釈培地(4mM L−グルタミンおよび1%FBSを有するRPMI1640)100マイクロリットル(100μL)を個別の96ウェルプレート(それぞれの参照標準物質、陽性対照、および試験試料に関して個別のプレートを提供する)のそれぞれのウェルに添加した。FDAポリオウイルス1型参照標準物質、FDAロットTA4(1:10,000)、Sabin原型1型陽性対照ポリオウイルス(1:1,000,000)および試験試料(1:1,000,000)の初回希釈物を、希釈培地(4mM L−グルタミンおよび1% FBSを有するRPMI1640)で調製した。それぞれの最終希釈物100μLアリコートを、それぞれの96ウェルプレートの最初の列のウェル8個のそれぞれに添加した。較正したマルチチャンネルピペッターを使用して、1列目の各ウェルから100μLを採取して、2列目の隣接するウェルに移して十分に混合して、次の列へと連続してプロセスを繰り返すことによって、連続1:2倍希釈物をそれぞれの96ウェルプレートにおいて作製した。FDA参照標準物質に関して、希釈は11列目で終了し、12列目は陰性対照ウェル(希釈培地のみを含有する)として用いた。11列目からの過剰な100μLを廃棄した。陽性対照および試験品目に関しては、希釈スキームを第2の96ウェルプレートにおいて継続して、23列目で終了し、24列目を陰性対照ウェルとして用いた。増殖培地(4mM L−グルタミンおよび10%FBSを含むRPMI1640)中のHep−2C細胞10000個(1×10
5個の細胞/mLを0.1mL)を、各96ウェルプレートの各ウェルに加えて、36±1℃の加湿5%CO
2インキュベータ内で10日間インキュベートした。プレートを、1、3、7および10日目に細胞変性効果(CPE)に関して調べた。アッセイの完了の際に、各試料に関してCPEを示すウェルの数を、FDAによって提供された計算プログラムテンプレートの適当なフィールドに記入した。プログラムは、FDAポリオウイルス1型参照標準物質の応答に基づいて、各試料に関してTCID
50/mLを計算する。FDA参照標準物質の入手可能性によっては、他の良好に特徴付けされたPVSRIPOおよびSabin株標準物質を、陽性対照ウイルスとして使用してもよい。
【0322】
d.rct40によるウイルス安定性
アッセイは、Vero指標細胞でのプラーク形成によって、33℃、36℃および40℃で、PVSRIPO採取プールおよび最終バイアル充填製品、ならびに対照のウイルス力価を決定する。アッセイは、潜在的遺伝子変化の指標として成長特性の温度関連変化を使用するウイルスの安定性の間接的尺度である。アッセイは、2002年のWHO技術報告書シリーズ904号に基づく。報告書は、ウイルスの濾過バルク懸濁液を、同じウイルス型のポリオウイルスの適切なrct/40−およびrct/40+株と比較して、36℃および40℃の温度での再生特性に関して試験すべきであると述べている。インキュベーション温度は、±0.1℃内となるよう制御しなければならない。36℃でのバルク懸濁液および適切な参照標準物質の力価が、40℃で決定された力価より少なくとも5.0log大きい場合、濾過バルクは試験に合格である。参照材料の全ての力価が、予想される値の範囲内でなければならない。
【0323】
36℃および40℃でのウイルスのlog
10力価を比較して、36℃と40℃の間での対数の低減が少なくとも5である場合、試料は、40℃での成長に対して感受性があると決定され、試験に合格したとみなす。33℃での試料の力価も同様に決定して、33℃での試料の過去に決定された力価と比較することができる。陽性対照は、RCT 40+対照:ポリオウイルス1 SabinクローンS33ロットL0406008およびRCT 40−対照:ポリオウイルス1 SabinクローンS71ロットL0406004を含む。陰性対照は、10%FBSを含有するDMEMである。
【0324】
Vero細胞を蒔いて80〜100パーセントコンフルエンスに達するまで成長させた。増殖培地を除去して、Vero細胞に試験試料または対照試料0.2mLを与えた。次に、反復実験の培養皿を33℃、36℃、および40℃でおよそ1時間インキュベートした。接種物を除去して、細胞シートに1.5%アガロース/2×EMEM/20%FBSを重層した。アガロースを固化させて、プラークが陽性対照において完全に形成されるまで、反復実験の培養皿を33℃、36℃、および40℃でインキュベートした(2日)。次に培養皿に、アガロース/ニュートラルレッドを含有する2×EMEMを暗所で重層して、ニュートラルレッドが細胞シートを染色したときに、プラークを計数した。平均プラーク値を決定した。式:平均プラーク値×希釈倍率/接種体積、を使用して、力価(pfu/mL)を計算した。
【0325】
e.全ゲノム配列
PVSRIPO精製滅菌バルクおよび最終バイアル充填製品ロットの包括的なディープシークエンス分析を実施した。
【0326】
1.RNA抽出および逆転写
ゲノムRNAを、Qiagen(Germantown、MD)のQIAampウイルスRNAミニキットを使用して、標準的なQiagenのプロトコールの改訂版に従って、試験試料から単離した。簡単に説明すると、キャリアRNAを含まない緩衝液AVL 560μLを、試料140μLに添加した。試料をボルテックスして、室温(23°±2℃)で10分間インキュベートした。100%エタノール 560マイクロリットルを試料に添加して、ボルテックスし、次に、試料の半分(約630μL)をQIAampミニカラムに添加して、6000×gで1分間遠心分離した。試料の残りをカラムに添加して、遠心分離を繰り返した。次に、カラムを2つの緩衝液で洗浄した。溶出緩衝液各40μLの2回溶出を実施して、最終総体積を約80μLとした。総RNAを、NanoDrop 8000分光光度計を使用して分光光度法によって定量した。次に、RNAを、Life Technologies(Carlsbad、CA)のThermoScript(商標)RT−PCRシステムを使用してcDNAを作製するために使用した。簡単に説明すると、RNA 9μL、オリゴ(dT)20プライマー1μL、およびdNTPを65℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、cDNA合成緩衝液、DTT、RNase OUTおよびThermoScript RTを試料に添加して、試料を50℃で45分間インキュベートした後、85℃で5分間インキュベートして反応を停止させた。RNアーゼHを試料に添加して、37℃で20分間インキュベートした。cDNAをNanoDrop 8000分光光度計を使用して分光光度法によって定量した。次に、New England BioLabsのNEBNext第二鎖合成キットを使用して、cDNA産物5μLを使用して第二鎖反応を実施した。cDNAを、第二鎖合成緩衝液および第二鎖合成酵素ミックスと混合し、16℃で2.5時間インキュベートした。産物をQiagenのQIAquick PCR精製キットを使用して精製し、ヌクレアーゼフリー水(NFW)30μlに溶出させた。ds−cDNAを、NanoDrop 8000分光光度計を使用して分光光度法によって定量して、短期間保存のために−20±4℃で保存した。
【0327】
2.ライブラリの調製
調製されたdscDNAを使用して、Illumina HiSeq2500において配列決定のためのライブラリを調製した。それぞれの元の試料から1つのライブラリを調製した。ライブラリは、Illumina(San Diego、CA)のNextera XTライブラリ調製キットを使用して調製した。dscDNAの出発時の総投入量は、1pg〜1ngの間の投入ds−cDNAを使用する開発前範囲探索努力に基づき、各ライブラリに関して1ngであった。ライブラリを、Illumina Nextera XTライブラリ調製プロトコールに従って調製した。簡単に説明すると、各試料を酵素によって断片化して、同時にNexteraタグ付断片化ケミストリーを使用して、アダプター配列でタグ付けを行った(ライゲートした)。プロセスは、投入されたDNAを断片化して、断片の末端に、下流のプロセシングで使用するためのアダプター配列を付加する。次に、ライゲーション酵素を中和し、短い12サイクルの増幅を実施して、各試料の5’末端および3’末端にバーコードを付加した。分析の際に異なる試料を同定して明確に示すために、それぞれのライブラリに異なるバーコードを割付した。PCR反応物を2ラウンドのAMPure XPビーズ洗浄を使用して洗浄した後、TE緩衝液に溶出させた。ライブラリの品質および量に関して評価するために、次に、ライブラリのそれぞれを、高感度DNAチップを使用してAgilentバイオアナライザで分析した。試料ライブラリを、短期間保存のために−20±4℃で保存した。
【0328】
3.Illumina cDNA配列決定と分析
それぞれの試料に関して、Illumina HiSeq 2500において1つのRapidフローセルを実行した。それぞれのフローセルに関して、機器上でのクラスタリング(on-instrument clustering)のために、ライブラリを変性させて希釈した。次に、ペアエンド2×150bpの配列決定を、Illumina SBS配列決定技術および試薬を使用してライブラリのそれぞれに実施した。得られたデータを、Illumina HiSeqソフトウェアを使用してデマルチプレックスした後、分析した。それぞれのフローセルは、単一試料を使用して実行した。配列決定した全ての画分に関してFastQファイルを作成した。Samtoolおよびmpileupソフトウェアを使用して、SAMからの出力ファイルをBAMフォーマットに変換し、Integrated Genome Viewerで検査ために出力ファイルにインデックスをつける。Mpileupは、ウイルスのカバレッジを調べて潜在的変種を探すために、それぞれの位置の深さを増加させるためにフラグと共に使用した。12サイクルのPCRプレ増幅がNextera XTライブラリ調製のために必要であったことから、所定の位置でウイルス配列バリアントをコールする閾値は、2
12=4096またはリードの0.1%のどちらか大きいほうであることが確立された。バリアントは以下の判定基準に従って定義され、所定の塩基位置での配列決定の深さが4,096,000に等しいかまたはそれを超えた場合、潜在的変種は、0.1%超でコールされ;深さが4,096,000未満であるが、4096超であった場合、4096またはそれ超の頻度を超えるバリアントがコールされた:所定の塩基位置でのカバレッジの深さが4096リード未満であった場合、それらが1.0%超からなる場合には、潜在的バリアントがコールされた。追加の配列決定努力(Illumina、Sanger、または他のNGS方法)が必要とされる前に、塩基位置あたりの最小のリードカバレッジを4X(規定の最小値)に設定した。
【0329】
リードを、Bowtie(ショートリード参照アライナー)を使用して各試料に関して、PVSRIPO参照配列と整列させた。それぞれの試料に関して、塩基総数、カバレッジ、ならびに平均リード長および参照と整列させたリードのパーセントを計算して、アッセイの妥当性に関して予め確立された規格と比較した。推定されるゲノムカバレッジは、総配列決定塩基を得て、PVSRIPO参照配列(7303塩基対)のサイズで除することによって見出された。それぞれの試料の参照全体の位置と比較したカバレッジのプロット、ならびに、それぞれの試料の試料リード長のプロットを作製した。分析を行って、参照配列と比較したときの、それぞれの試料中のバリアントを調べた。ポリオゲノムのこの領域(VPg結合およびStem a/b)は、in vivoで高い配列変動性を示すことが公知であることから、多型レベルの上昇がそれぞれのウイルスロットの5’末端(塩基位置1〜34位)で予想された(および観察された)。非整列リード配列を、NCBI BLASTnによって分析して、その同一性を決定した;非整列リード(non-aligned read)、特に非精製ウイルス試料からのリードはVero宿主細胞ゲノムまたはミトコンドリアDNA配列に由来するが、まれにヒトDNAまたは他の実験時の夾雑物DNA配列も同様に観察されうると予想される。
【0330】
f.宿主細胞DNA
PVS−RIPO精製滅菌バルクロットを、シングルコピー遺伝子であるCercopithecus aethiops(Vero)特異的ネクチン−1α遺伝子の遺伝子内重複(GenBank(登録商標)受託番号AF308635)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースの定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(Applied Biosystems Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して、VeroゲノムDNA負荷量に関して試験した。アッセイの検出限界は、5ng VeroゲノムDNA/mL未満であった。Vero細胞ゲノムDNA(gDNA)を陽性対照(100ng〜10pg)として使用し、内部陽性対照(IPC)の約2250コピーを試験品目に添加したものをPCR阻害対照として使用した。陰性の試験なし対照(Negative No Test Control)(NTC)の複数の対照(controls)は、ヌクレアーゼフリー水(NFW)を使用して実施し、それぞれの試料の核酸抽出対照は、反応あたりIPC約10,000コピーの等量を含有した。IPCは、VIC標識プローブを利用して、試験およびIPCアンプリコンの両方を同じPCR反応において定量することができる。Vero宿主細胞DNA法からのIPC結果はまた、同時に実施したウイルス定量RT−qPCR法のための抽出対照および阻害対照としての役割も果たす。
【0331】
リアルタイムqPCRは、試料中の低コピー数の残留DNAまたはRNAの定量を含む、遺伝子発現分析、遺伝子型決定、病原体検出/定量、変異スクリーニング、および正確なDNA検出のために利用することができる感度のよい定量的増幅方法である。Applied Biosystems7900HT 96ウェル機器を使用して、増幅プロセスの際に連続的にPCR増幅産物の蓄積を検出し、PCRの対数期における正確な標的の定量が可能となった。96ウェルブロックを使用することにより、384ウェルブロックより大きい反応体積が可能となり、このように、残留DNAおよび夾雑物DNA試験に関するアッセイ感度が増加する。
【0332】
TaqMan(登録商標)qPCRケミストリーは、二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドTaqMan(登録商標)プローブを利用する。ヒトゲノムDNAを検出するために使用するTaqMan(登録商標)プローブは、識別可能な放射極大を有する蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド末端で構成される。プローブの5’末端を、レポーター色素、6−FAMによって標識し、3’プローブ末端は、消光色素によって標識した。内部陽性対照(IPC)アンプリコンは、標的アンプリコンからの放射干渉を回避するために非蛍光クエンチャーを有するVIC標識プローブを使用した。オリゴヌクレオチドプローブは、Cercopithecus aethiops(Vero)ネクチン−1α遺伝子PCRアンプリコン内の標的配列と相同であり、Vero細胞に対して非常に特異的である。VeroのヒトgDNAに対する高い拒絶比は、プローブ標的の一部としてヒトgDNAに存在しないC.aethiopsにユニークな9塩基配列重複事象を利用することによって達成された。インタクトで遊離の溶液中では、プローブ消光色素は、FRETを介して蛍光色素レポーターからの放射を低減させる。TaqMan(登録商標)PCR反応の伸長相において、プローブはTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、レポーター色素がプローブから放出されて、レポーターからの放射を増加させる。
【0333】
それぞれのPCR反応における初回標的の正確な定量は、試薬が消耗する前または副産物による反応の阻害が起こる前に、増幅の対数(log
2)期の間に起こる。しかし、反応のシグナル対ノイズ限界および一般的なバックグラウンド蛍光により、最も正確なデータは典型的に対数期後期に得られる。正規化レポーター蛍光を、PCRサイクル数によって表される時間に対してプロットする。標的コピー数または質量値は、バックグラウンドを超える蛍光閾値を割付することおよびそれぞれの試料の増幅プロットが閾値(閾値サイクルまたはCtとして定義される)に達するサイクル点を決定することによって得られる。それぞれの反応の閾値サイクル値を使用して、既知標準物質と比較した、それぞれの試験品目反応内に最初に含有される標的の量を定量する。
【0334】
PVS−RIPO精製滅菌バルクを、シングルコピー遺伝子であるCercopithecus aethiops(VERO)特異的ネクチン−1α遺伝子の遺伝子内重複(GenBank AF308635)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースのqPCR(Applied Biosystems Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して、VEROゲノムDNA負荷量に関して試験した。TaqMan(登録商標)プライマーおよび二重蛍光色素標識プローブを、ABI Primer Expressソフトウェア(バージョン2.0.0)によって設計する。111−bpのアンプリコンは、フォワードプライマー:5'-(CCT CTG CCC AGC GTG AAG, 配列番号5);リバースプライマー: 5'-(CAC AGA CAC GCC CAT GGA T, 配列番号6);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(CAC CCA AGC CAC CAA TGG CTC CAA)-[クエンチャー], 配列番号7からなる。プライマーおよびプローブをヌクレアーゼフリー水(NFW)によってそれぞれ、10および5pmol/μLに希釈した。反応混合物は、UNGおよびROX色素を有するTaqMan(登録商標)PCR 2×マスターミックス25μL、IPCアンプリコンプライマー/プローブ(またはNFW)1.5μL、IPC DNA(またはNFW)0.5μL、フォワードプライマー1μL、リバースプライマー1μL、TaqMan(登録商標)プローブ1μL、および試料20μL(最終反応体積50μL)からなった。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システムによって2−ステップqPCRプロファイル(2.00分、50.0°C;10.00分、95.0°C;0.15分、95.0°Cを40サイクル、1.00分、60.0°C)を使用して増幅した。精製および光学的に定量されたDNA抽出物から作製したVeroゲノムDNA標準曲線は、NFW中で100ngから10pgまで10倍連続希釈するものであった。およそ2.6遺伝子コピー/rxnに相当する10pg/rxn標準物質からの陽性反応がまれに観察される。総試験試料DNAを、qPCR反応の前に、承認されたQiagen洗浄剤スピンカラムミニプレップ法を使用して抽出した。試料の組成に起因する潜在的なPCR阻害は、適切な抽出された試験品目試料にIPC標的DNA約2250等量のコピーを添加することによってモニターした(すなわち、抽出効率をモニターするためにIPCを既に添加した試料ではない)。抽出効率を、IPC DNA 10,000コピーの等量を添加した試験試料を使用してモニターした。陰性(NTC)対照試料を、NFWを使用して試験のために実施した。標準物質、試験試料、IPCスパイク、および対照PCR反応は全て、2つ組で実施した。NTC Ctスコア、標準曲線Ctスコア、およびフィット(R
2)、ならびにIPC抽出および干渉スパイク回収率を含む試料の結果を報告するために、方法の管理およびシステム適格性判定基準を満たさなければならない。試験試料中の初回ゲノムDNA混入レベルを、ABIソフトウェアを使用して、試料閾値サイクル値をVero DNA標準曲線の式と比較することによって計算した。
【0335】
PVS−RIPOウイルス採取プールを、精製前にBenzonase(登録商標)酵素処理した。ヌクレアーゼ処理は典型的に、平均≦12ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド断片を生成し、消化後の断片集団はカイ分布に従う。このアッセイに使用したC.aethiops(Vero細胞株)ネクチン−1 qPCRアンプリコンは、長さが111bpである。したがって、アッセイから得られた結果は、インタクトの一倍体C.aethiopsゲノムDNAの質量(約3.88pg/一倍体コピー)に基づく残留宿主細胞DNA濃度のワーストケースの推定値を表す。
【0336】
ポリオウイルスIRESのRT−qPCR
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットを、ネイティブポリオIRES配列を標的とするTaqMan(登録商標)ベースの逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−qPCR)アンプリコン「POSA」を使用して、野生型ポリオウイルス1型および2型IRES配列の存在に関して試験した。PVSRIPOのIRES領域は、HRV−2に由来し、POSAアンプリコンプライマー配列およびプローブ配列とは異種である。アッセイの検出限界は、それぞれのPCR反応において2.6×10
7コピーのPVSRIPOあたり野生型ポリオIRESの100コピー未満であった。PVSRIPO試験品目のコピー数は、HRV−2 IRESおよび本明細書において他所で記述されるPVSRIPOにおけるポリタンパク質CDS領域を標的とするTaqManアンプリコン「PVS1」および「PO1」の使用を通して試験前に決定した。方法のLODを、Sabin 1型ポリオウイルスを添加した試料によって、アッセイ時に確認した。抽出したポリオSabin 1型ウイルスRNAを使用して標準曲線(100pg〜1fg/反応)を作成し、試験品目のポリオSabin 1型RNA 100コピーのスパイク(約0.41fg)を、アンプリコン阻害対照として、およびアッセイの検出限界を確立する手段として使用した。試験試料のウイルスRNAを、qPCR反応の前に、承認されたQiagenミニプレップ法を使用して抽出した。全ての標準物質および試験試料反応は2つ組で実施した。陰性対照は、ヌクレアーゼフリー水による試験なし対照(NTC)反応であった。一般的なPCR阻害対照および抽出対照は、残留Vero宿主細胞DNAに関して同時に実施されるTaqMan qPCR分析の際に試料抽出物と共に分析される、異種内部陽性対照(IPC)DNA、ならびに関連するIPC特異的プライマーおよびプローブからなった。
【0337】
Applied Biosystems 7900HT 96ウェル機器を使用して、増幅プロセスの際に連続的にPCR増幅産物の蓄積を検出し、それによってPCRの対数相における正確な標的の定量が可能となる。96ウェルブロックを使用することにより、384ウェルブロックより大きい反応体積が可能となり、このため残留DNAおよび夾雑物RNA試験に関するアッセイ感度が増加する。TaqMan(登録商標)qPCRケミストリーは、二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドTaqMan(登録商標)プローブを利用する。ヒトゲノムDNAを検出するために使用されるTaqMan(登録商標)プローブは、識別可能な放射極大を有する2つの蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド末端で構成される。プローブの5’末端を、レポーター色素、6−FAMによって標識し、3’プローブ末端を、非蛍光消光色素によって標識する。オリゴヌクレオチドプローブは、ポリオ1型および2型IRES領域内の内部標的配列と相同であり、PVSRIPOにおけるHRV−2由来IRESと交叉反応しない。HRV−2 IRES配列のポリオIRES配列に対する高い拒絶比は、HRV−2に存在しないポリオIRESの高度異種領域を利用することによって達成される。インタクトで遊離の溶液中では、プローブ消光色素は、FRETを介して蛍光色素レポーターからの放射を低減させる。TaqMan(登録商標)PCR反応の伸長相において、プローブはTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、プローブからレポーター色素を放出し、レポーターからの放射を増加させる。それぞれのPCR反応における初回標的の正確な定量は、試薬が消耗する前または副産物による反応の阻害が起こる前に、増幅の対数(log
2)期の間に起こる。しかし、反応のシグナル対ノイズ限界および一般的なバックグラウンド蛍光に起因して、最も正確なデータは典型的に対数期後期に得られる。正規化レポーター蛍光を、PCRサイクル数によって表される時間に対してプロットする。標的コピー数または質量値は、バックグラウンドを超える蛍光閾値を割付することおよびそれぞれの試料の増幅プロットが閾値(閾値サイクルまたはCtとして定義される)に達するサイクル点を決定することによって得られる。それぞれの反応の閾値サイクル値を使用して、既知標準物質と比較した、それぞれの試験品目反応内に最初に含有される標的の量を定量する。NTC Ctスコア、標準曲線Ctスコア、およびフィット(R
2)、ならびに野生型ポリオRNA回収率を含む、試料の結果を報告するために、方法の管理およびシステム適格性判定基準を満たさなければならない。
【0338】
PVS−RIPO最終バイアル充填製品を、ポリオIRESを標的とするTaqMan(登録商標)ベースのRT−qPCR(Applied Biosystems Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して、野生型(またはワクチン株)ポリオ1型および2型IRES cDNA配列に関して試験した。TaqMan(登録商標)プライマーおよび蛍光色素標識プローブは、ABI Primer Expressソフトウェア(バージョン2.0.0)によって設計した。109−bpアンプリコンは、フォワードプライマー:5'-(TTG GCG GCC TAC CTA TGG, 配列番号11);リバースプライマー: 5'-(TGG GAT TAG CCG CAT TCA, 配列番号12);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(AGC CTA TTG AGC TAC ATA AGA ATC CTC CGG C)-[クエンチャー], 配列番号13からなる。プライマーおよびプローブをそれぞれ、ヌクレアーゼフリー水(NFW)によって10および5pmol/μLに希釈した。反応混合物は、UNGを有しないTaqMan(登録商標)RT−PCRユニバーサルマスターミックス25μL、NFW 1.5μL、フォワードプライマー1μL、リバースプライマー1μL、TaqMan(登録商標)プローブ0.5μL、および試料20μL(約2.6×10
7コピーPVSRIPOを含有する)からなり、最終反応体積は50μLであった。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システムによって4−ステージqPCRプロファイル(2.00分、50.0°C;45.00分、60.0°C;5.00分、95.0°C;0.20分、94.0°Cを45サイクル、1.00分、62.0°C)を使用して増幅した。精製ウイルスRNA(WHO標準物質、BDPパート番号30374)から作製したポリオSabin 1型株の標準曲線は、NFW中で100pgから1fg(約2.43×10
7〜約243コピー/rxn)まで10倍連続希釈するものであった。
【0339】
HRV−2 IRESおよびポリオポリタンパク質のRT−qPCR
PVS−RIPO最終バイアル充填製品ロットを試験して、PVSRIPO中のHRV−2 IRES(PVS−1)およびポリオポリタンパク質遺伝子(PO1)を標的とするTaqMan(登録商標)ベースのRT−qPCR(Applied Biosystems Inc.、Foster City、CA)アンプリコンを使用して、PVSRIPO HRV−2 IRES(PVS−1)およびポリオポリタンパク質(PO1)RNA負荷量を決定した。
【0340】
TaqMan(登録商標)オリゴヌクレオチドプローブは、PVSRIPO HRV−2由来IRESおよびポリオポリタンパク質RT−PCRアンプリコン内の内部標的配列と相同であり、共に使用すると、PVSRIPOに対して特異的である。PVSRIPOは、一本鎖RNAウイルスであることから、qPCR増幅の前に熱サイクルプロトコールの一部として増幅プライマーを使用して、試料抽出物をcDNAに逆転写する。インタクトで遊離の溶液中では、プローブ消光色素は、FRETを介して蛍光色素レポーターからの放射を低減させる。TaqMan(登録商標)PCR反応の伸長相において、プローブはTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、レポーター色素をプローブから放出し、レポーターからの放射を増加させる。
【0341】
ABI Prism7900HTは、2軸スキャンヘッドを使用して、アルゴンイオン(488nm)レーザーからの励起光を96ウェル全てに分配する。CCDイメージャーが、それぞれのウェルからの蛍光スペクトルおよび強度を測定して、PCR増幅の際のリアルタイムスペクトルデータを作成する。ABI配列検出ソフトウェア(SDS)は、レポーター色素、クエンチャー色素、およびノーマライザー(ROX)色素の蛍光強度を逆畳み込みして、増幅の過程にわたって、正規化したレポーターからの放射強度の増加を計算する。陰性対照は、ヌクレアーゼフリー水による試験なし対照(NTC)反応であったが、一般的なPCR阻害対照および抽出対照は、異種内部陽性対照(IPC)および試料抽出物について使用される関連するIPCアンプリコンからなり、Vero宿主細胞DNA増幅の際に同時に実施される。
【0342】
それぞれのPCR反応における初回標的の正確な定量は、試薬が消耗する前または副産物による反応の阻害が起こる前に、増幅の対数(log
2)期の間に起こる。しかし、反応のシグナル対ノイズ限界および一般的なバックグラウンド蛍光により、最も正確なデータは典型的に対数期後期に得られる。正規化レポーター蛍光を、PCRサイクル数によって表される時間に対してプロットする。標的コピー数または質量値は、バックグラウンドを超える蛍光閾値を割付することおよびそれぞれの試料の増幅プロットが閾値(閾値サイクルまたはCtとして定義される)に達するサイクル点を決定することによって得られる。それぞれの反応の閾値サイクル値を使用して、既知標準物質と比較した、それぞれの試験品目反応内に最初に含有される標的の量を定量する。
【0343】
BDPでアッセイを実施するために、TaqMan(登録商標)プライマーおよび蛍光色素標識プローブをABI Primer Expressソフトウェア(バージョン2.0.0)によって設計した。71−bp HRV−2 IRES(PVS−1)アンプリコンは、フォワードプライマー:5'- (AAC CCA ATG TGT ATC TAG TCG TAA TGA, 配列番号1);リバースプライマー: 5'- (TGA AAC ACG GAC ACC CAA AG, 配列番号2);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(CAA TTG CGG GAT GGG ACC AAC T)-[BHQ], 配列番号3からなる。PO1の70−bpアンプリコンは、フォワードプライマー:5'- (TTG GTG GGA ACG GTT CAC A, 配列番号8);リバースプライマー: 5'- (TCA CCT TGA CTC TGA GTG AAG TAT GA, 配列番号9);およびTaqMan(登録商標)プローブ: 5'-[6FAM]-(TTG CAG CGG CCC TGA AGC G)-[BHQ], 配列番号10からなる。プライマーおよびプローブをそれぞれ、ヌクレアーゼフリー水(NFW)によって10および5 pmol/μLに希釈した。反応混合物は、ROX色素を有するTaqMan(登録商標)1−ステップRT PCR 2×マスターミックス25μL、RNアーゼ阻害剤1μL、NFW 1μL、フォワードプライマー1μL、リバースプライマー1μL、TaqMan(登録商標)プローブ1μL、および試験試料20μL(最終反応体積は50μL)からなった。反応混合物を96ウェルプレートにロードして、光学フィルムで覆い、ABIモデル7900HT 96ウェル配列検出システムによって3−ステップqPCRプロファイル(2.00分、50.0°C;48.0℃で30分(RTステップ);10.00分、95℃;0.15分、95.0℃を40サイクル、1.00分、60.0°C)を使用して増幅した。アンプリコンcDNA標準曲線をPVS−RIPOプラスミドDNAから作製して、NFW中で100pgから1fgまで10倍連続希釈した。標準対照試料を2回の複製実験で実施し、様々なPVS−RIPO試験試料抽出物の3つの連続log
10希釈物(10から1000倍希釈)を使用して、RTステップの成績を確認して、1000倍試料希釈でのウイルス標的コピー数を定量した。対照および試料ウイルスRNAを、RT−qPCR反応の前に承認された手順に従ってQiagenミニプレップ法を使用して抽出した。一般的なPCR阻害対照および抽出対照は、残留Vero宿主細胞DNAに関して同時に実施されるTaqMan qPCR分析の際に試料抽出物と共に分析される、異種内部陽性対照(IPC)DNA、ならびに関連するIPC特異的プライマーおよびプローブからなった。緩衝液(NFW、鋳型なし)陰性対照試料を、試験のために実施した。両方のPVS−RIPOアンプリコンを、アッセイ間変動をなくすために同じ96ウェルプレートで実行した。試験試料中のPVS−RIPO RNA濃度を、ABI 7900HTソフトウェアを使用して、試料閾値サイクル値をプラスミドDNA標準曲線の式と比較することによって計算した。質量からウイルスコピー数への変換は、約10.8 ag/コピーのPVSRIPOプラスミド(PCR標準物質)質量および約4.1 ag/コピーのPVSRIPOウイルスゲノム質量に基づく。
【0344】
EMによるウイルス粒子
ネガティブ染色透過型電子顕微鏡検査(TEM)を使用して、試験試料中のウイルス粒子数/mL(PVSRIPO最終バイアル充填製品)を定量する。10個のグリッド空間の写真を撮影して、各区分におけるウイルス粒子数を計数し、ウイルス粒子/mLを計算した。
【0345】
試験試料を等量の固定液(2×PBS中の8%ホルムアルデヒド)によって希釈して固定した。試験試料(0.5μL)を、調製したEMS CF200−Cu被覆グリッドの上に置いて、風乾させた。次に試料を2回蒸留した水(DDH
20)5μLによって3回洗浄して、試料から塩/リン酸緩衝液を洗浄した。次に、0.5%酢酸ウラニル水溶液(5μL)をグリッド上に添加して、風乾させた。グリッドを電子顕微鏡検査で調べた。10個のグリッド空間の写真を撮影して、ウイルス粒子数を以下の計算によって決定した:
ウイルス粒子数(vp)=(平均vp数)×(グリッドの面積/写真の面積)×(1mL/μLで添加したウイルス量)
【0346】
最終バイアル充填製品ロットL1402001の安定性試験
PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001(−70℃以下で保存)の安定性試験は、外観、TCID
50によるウイルス力価、エンドトキシン、pH、およびバイオバーデンを含む。全ての試験を、12、24、36、48、60、および72ヶ月に実施する。ウイルス力価は、6ヶ月に実施する。バイオバーデンは、無菌性が産物放出の一部として既に実施されていることからゼロ時点では実施しない。
【0347】
利用可能な安定性の結果を表10に含める。TCID
50の結果に基づき、PVSRIPO最終バイアル充填製品ロットL1402001は−70℃以下で少なくとも6ヶ月安定である。
【表10】
【0348】
本開示の原理が適用されうる多くの可能な実施形態を考慮して、説明される実施形態は、本開示の例に過ぎず、本発明の範囲を制限すると解釈すべきではないと認識すべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および精神に含まれる全てを本発明として主張する。