特許第6886429号(P6886429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886429
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】生体情報センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0487 20130101AFI20210603BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20210603BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20210603BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210603BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G06F3/0487
   G06F3/0484
   G06T1/00 400G
   G06T7/00 530
   G06F3/01 510
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-106874(P2018-106874)
(22)【出願日】2018年6月4日
(65)【公開番号】特開2019-211953(P2019-211953A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年7月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】大脇 里仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−171238(JP,A)
【文献】 携帯電話の操作を制限する,NTTDoCoMo ムーバF505i 取扱説明書,NTTDoCoMoグループ 富士通株式会社,2003年 5月31日,第217頁-第236頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0487
G06F 3/01
G06F 3/0484
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される生体情報センサ装置であって、
検出対象の読取面に対する接触を検出した後、前記検出対象の生体情報の読み取りに失敗した場合、前記生体情報の読み取りに失敗したことに関する第1の報知を行い、前記読取面に対する接触を検出した後、前記生体情報の読み取りに失敗した回数が予め定められた回数以上となった場合、前記読取面に導電性異物が付着していると判定して前記導電性異物に関する第2の報知を行い、前記失敗した回数が前記予め定められた回数未満のときは、前記第1の報知を行い、前記予め定められた回数以上経過後に前記第1の報知から前記第2の報知に切り替える制御部を備え、
前記制御部は、前記生体情報の読み取りに成功し、当該読み取りに成功した生体情報による認証が成立すると、車載装置を駆動する駆動信号を出力する、
生体情報センサ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の報知を行った後、前記失敗した回数をリセットする
請求項1に記載の生体情報センサ装置。
【請求項3】
前記読取面の下方に複数の検出電極を有し、前記読取面に接触した前記検出対象と前記複数の検出電極の間に生じる静電容量を介して前記生体情報を読み取る生体情報センサを備え、
前記制御部は、前記生体情報センサによって前記読取面を走査して得られた複数の静電容量に基づいて前記検出対象の接触を判定すると共に、前記検出対象の接触が判定された後に取得された複数の静電容量に基づいて前記生体情報の読み取りを判定する、
請求項1又は2に記載の生体情報センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ディスプレイと、制限を解除する操作を検出すると、制限を解除して、ディスプレイに第1画面を表示するコントローラと、を備えた電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電子機器は、さらに指紋センサを備えている。コントローラは、この指紋センサにより読み取った指紋情報と、予め登録された親指の指紋情報とが所定の範囲で適合する場合に、制限を解除する操作が親指による操作であると判定する。そしてコントローラは、制限を解除する操作が親指による操作であると、第1画面とは異なる第2画面をディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−143069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電子機器の指紋センサは、例えば、指紋を読み取らせる際に指が動いたり、接触時間が短かったりした場合、指紋の読み取りができず、認証や登録が進まない。ユーザは、指紋が読み取れないことを報知されないので、読み取りの失敗を認識することなく繰り返し読み取らせようとして操作性が低くなる問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、操作性を向上させることができる生体情報センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出対象の読取面に対する接触を検出した後、検出対象の生体情報の読み取りに失敗した場合、生体情報の読み取りに失敗したことに関する報知を行う制御部を備えた生体情報センサ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の一例を示す概略図であり、図1(b)は、生体情報センサ装置のブロック図の一例であり、図1(c)は、生体情報センサが読み取った読取画像の一例を示す概略図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の生体情報センサの一例を説明するための概略図であり、図2(b)は、生体情報センサ装置が含まれる車両通信システムのブロック図の一例である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の読取面に対する接触の一例を示す概略図であり、図3(b)は、読み取られた読取画像の一例を示す概略図であり、図3(c)は、報知の一例を示す概略図である。
図4図4は、実施の形態に係る生体情報センサ装置のユーザの操作に関して報知する場合のフローチャートの一例である。
図5図5は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の導電性異物に関して報知する場合のフローチャートの一例である。
図6図6は、実施の形態に係る生体情報センサ装置のユーザの操作に関して報知すると共に導電性異物に関して報知する場合のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る生体情報センサ装置は、検出対象の読取面に対する接触を検出した後、検出対象の生体情報の読み取りに失敗した場合、生体情報の読み取りに失敗したことに関する報知を行う制御部を備えて概略構成されている。
【0011】
この生体情報センサ装置は、接触を検出した後に生体情報の読み取りに失敗したことを報知するので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザが読み取りの失敗を認識することなく繰り返し読み取らせようとすることが抑制され、操作性を向上させることができる。
【0012】
[実施の形態]
(生体情報センサ装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の一例を示す概略図であり、図1(b)は、生体情報センサ装置のブロック図の一例であり、図1(c)は、生体情報センサが読み取った読取画像の一例を示す概略図である。図2(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の生体情報センサの一例を説明するための概略図であり、図2(b)は、生体情報センサ装置が含まれる車両通信システムのブロック図の一例である。
【0013】
なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また図1(b)及び図2(b)では、主な情報の流れを矢印で示している。
【0014】
生体情報センサ装置1は、例えば、検出対象の生体情報を読み取り、登録されている生体情情報のテンプレートと認証を行うように構成されている。本実施の形態の検出対象は、ユーザの操作指である。そして読み取り対象となる生体情報は、操作指の指紋である。なお生体情報は、操作指の指紋に限定されず、操作指や手の平の静脈であっても良い。図1(c)では、一例として、読み取られたユーザの指紋、つまり読み取られたユーザの生体情報26を図示している。
【0015】
生体情報センサ装置1は、例えば、図1(a)〜図1(c)に示すように、操作指9の読取面20に対する接触を検出した後、操作指9の生体情報26の読み取りに失敗した場合、生体情報26の読み取りに失敗したことに関する報知を行う制御部3を備えて概略構成されている。
【0016】
また生体情報センサ装置1は、例えば、図1(a)〜図2(a)に示すように、読取面20の下方に複数の検出電極21を有し、読取面20に接触した操作指9と複数の検出電極21の間に生じる静電容量を介して生体情報26を読み取る生体情報センサ2を備えている。制御部3は、生体情報センサ2によって読取面20を走査して得られた複数の静電容量に基づいて操作指9の接触を判定すると共に、操作指9の接触が判定された後に取得された複数の静電容量に基づいて生体情報26の読み取りを判定するように構成されている。
【0017】
本実施の形態の生体情報センサ装置1は、一例として、車両に搭載されている。生体情報センサ装置1は、一例として、車両の駆動装置の駆動を指示するスタートスイッチなどに配置される。そして生体情報センサ装置1は、例えば、図2(b)に示すように、車両に搭載された車載装置の相互の通信を可能とする車両通信システム8を利用して報知を行う。
【0018】
車両通信システム8は、一例として、図2(b)に示すように、車両LAN(Local Area Network)80と、車両制御部81と、メインモニタ82と、サブモニタ83と、電子機器84と、を備えて概略構成されている。
【0019】
車両LAN80は、例えば、有線及び無線によって相互に信号や情報などの交換を可能とするCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車両用ネットワークである。車両制御部81は、例えば、車両通信システム8を制御する。
【0020】
メインモニタ82は、例えば、車両のセンターコンソールなどに配置され、地図や各種メニューなどを表示する。またサブモニタ83は、例えば、車両のインストルメントパネルに配置され、計器類や燃料の残量などを表示する。電子機器84は、例えば、シートの駆動装置、空調装置、ミラーの駆動装置などである。
【0021】
生体情報センサ装置1は、例えば、生体情報26の読み取りに失敗したことに関する報知を行う場合、このメインモニタ82及びサブモニタ83の少なくとも一方に報知としてメッセージを表示させる。なお報知の方法は、メッセージの表示に限定されず、音や光、振動などを用いたものであっても良いし、メッセージの表示、音や光、振動などを組み合わせがものであっても良い。
【0022】
また生体情報センサ装置1は、例えば、生体情報26の認証が成立した場合、認証が成立したことを示す認証情報Sを出力する。電子機器84は、例えば、この認証情報Sに基づいて認証が成立したユーザが登録した設定を実行する。例えば、電子機器84がシートの駆動装置であった場合、ユーザが登録したシート位置にシートを駆動する。また例えば、電子機器84が空調装置であった場合、ユーザが登録した設定温度、風量などの設定を行う。さらに例えば、電子機器84がミラーの駆動装置であった場合、ユーザが登録した位置にミラーを駆動する。
【0023】
(生体情報センサ2の構成)
生体情報センサ2は、上述のように、静電容量式のセンサである。この生体情報センサ2は、例えば、図1(a)に示すように、本体10に設けられた読取面20に接触した操作指9から指紋、つまり生体情報26を読み取る。
【0024】
なお変形例として生体情報センサ2は、例えば、光学式、感圧式及び感熱式などの指紋を読み取るように構成されたセンサであっても良い。また生体情報センサ2は、例えば、手の平の掌紋などを読み取るように構成されたセンサであっても良い。さらに生体情報センサ2は、生体情報26として操作指や手の平の静脈を読み取るように構成されても良い。静脈の読み取りは、例えば、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み取るように構成されたセンサを用いて行われる。そして生体情報センサ2は、これらを組み合合わせたセンサであっても良い。
【0025】
また他の変形例として、生体情報センサ装置1は、例えば、読取面20に接触したことを検出するセンサと、生体情報26を読み取るセンサと、を備える構成であっても良い。接触を検出するセンサは、例えば、読取面20に付加された荷重を検出するセンサや撮像などによって読取面20に対する接触を検出するセンサなどである。
【0026】
生体情報センサ2は、例えば、図2(a)に示すように、読取面20の下方にマトリクス状に並ぶ複数の検出電極21を備えている。この複数の検出電極21は、一例として、数万から数十万個形成されると共に、数μmから数十μmの間隔で配置されている。
【0027】
読取面20は、例えば、図1(a)の紙面左上を原点としたXY座標が設定される。生体情報センサ2は、例えば、X軸方向を行とした場合、行に並ぶ検出電極21の静電容量を読み出し、続いて行を替えて検出電極21の静電容量を読み出すことを繰り返して全ての検出電極21を走査するように構成されている。この走査の周期は、一例として、100ms程度である。
【0028】
生体情報センサ2は、例えば、走査して読み出した複数の静電容量の情報である静電容量情報Sを生成して制御部3に出力する。この静電容量情報Sは、例えば、1周期分の静電容量の情報である。具体的には、生体情報センサ2は、例えば、予め設けられたしきい値以上の静電容量を「1」、しきい値より低い静電容量を「0」に分けると共に、検出電極21の位置と関連付けて静電容量情報Sを生成する。
【0029】
図1(c)に示す読取画像25は、一例として、静電容量情報Sに基づいて「1」の検出電極21の位置を黒、「0」の検出電極21の位置を白としたものである。なお図中の丸は、後述する特徴点27を示すために付したものである。
【0030】
静電容量が高い位置は、指紋の山の位置であって検出電極21までの距離が近いので、静電容量が高くなる。そして低い位置は、指紋の谷の位置であって検出電極21までの距離が遠く、静電容量が低くなる。従って静電容量の高い位置を黒、低い位置を白とすると、一例として、図1(c)に示すような読取画像25が得られる。
【0031】
この読取画像25は、読取面20と相似形であり、XY座標系に対応してxy座標系が設定されている。そして読取画像25において黒で示した画像が読み取られた生体情報26となる。
【0032】
(制御部3の構成)
制御部3は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部3が動作するためのプログラムと、接触しきい値30と、類似度しきい値31と、読取しきい値32と、登録情報33と、異物判定しきい値34と、が格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0033】
接触しきい値30は、操作指9の読取面20に対する接触を判定するためのしきい値である。制御部3は、一例として、静電容量情報Sに基づいて上述の「1」の値を取る検出電極21の数が接触しきい値30以上となった場合、操作指9が読取面20に接触したと判定する。
【0034】
なお変形例として制御部3は、例えば、静電容量情報Sが静電容量と検出電極21の位置とが関連付けられた情報であった場合、接触しきい値30が静電容量のしきい値として定義され、この接触しきい値30以上の静電容量を有する検出電極21の数によって接触を判定する構成であっても良く、これらに限定されない。
【0035】
制御部3は、例えば、静電容量情報Sに対して抽出処理を行って特徴点27を抽出する。この抽出処理は、例えば、隆線の抽出処理などである。
【0036】
特徴点27とは、例えば、図1(c)に示すように、中心点、分岐点、端点及び三角州などであるがこれに限定されない。中心点とは、指紋の中心となる点である。分岐点とは、指紋の隆線が分岐している点である。端点とは、隆線が切れている点である。三角州とは、三方向から隆線が集まった点である。
【0037】
制御部3は、例えば、これらの特徴点27を抽出し、抽出した特徴点27の画像である抽出画像を生成する。登録情報33は、例えば、登録された抽出画像であるテンプレートと登録したユーザの情報を関連付けた情報である。
【0038】
制御部3は、登録情報33のテンプレートと読み取った生体情報26から得られた抽出画像とを比較し、特徴点27の位置、特徴点27間の距離などに基づいて類似度を算出する。そして制御部3は、類似度が類似度しきい値31以上であった場合、生体情報26の認証が成立したとして認証情報Sを出力する。
【0039】
この類似度しきい値31は、一例として、80%である。つまり制御部3は、例えば、認証に使用する特徴点27の数が80個である場合、64個以上の特徴点27が一致すれば、登録者であると判定する。なお一致とは、特徴点27の位置、特徴点27間の距離などの一致を含んでいる。
【0040】
・報知について
図3(a)は、実施の形態に係る生体情報センサ装置の読取面に対する接触の一例を示す概略図であり、図3(b)は、読み取られた読取画像の一例を示す概略図であり、図3(c)は、報知の一例を示す概略図である。
【0041】
制御部3は、生体情報26の読み取りが失敗した場合、報知を行う。制御部3は、この読み取りの失敗とは、例えば、指が動いたり、タッチ時間が短かったりして一部しか読み取れなかった場合などである。
【0042】
制御部3は、一例として、図3(a)及び図3(b)に示すように、操作指9が読取面20に対して動き、指紋の一部しか読み取れなかったとユーザの操作を推定した場合、報知のため、報知情報Sを出力する。
【0043】
具体的には、制御部3は、例えば、読取しきい値32が上述の「1」の値を取る検出電極21の数として定義された場合、静電容量情報Sに基づいて「1」の値を取る検出電極21の数が読取しきい値32以下であった場合、読み取りが失敗したと判定する。この場合、制御部3は、特徴点27の抽出処理を行わずに判定することができる。
【0044】
なお変形として制御部3は、例えば、読取しきい値32が特徴点27の数として定義された場合、読取画像25から抽出した特徴点27の数が読取しきい値32以下であった場合、読み取りが失敗したと判定する。
【0045】
報知情報Sは、例えば、図2(b)に示すように、車両LAN80を介してメインモニタ82やサブモニタ83に入力する。メインモニタ82に報知情報Sが入力する場合、メインモニタ82は、一例として、図3(c)に示すように、「センサへのタッチ時間を増やしてください」や「指を動かさないでください」といったメッセージ821を表示画面820に表示させる。
【0046】
また制御部3は、読取面20に付着した導電性異物の判定を行うことができる。具体的には、制御部3は、例えば、読取面20に対する接触を検出した後、生体情報26の読み取りに失敗した回数が予め定められた回数(異物判定しきい値34)以上となった場合、読取面20に導電性異物が付着していると判定して導電性異物に関する報知を行う。
【0047】
この場合、制御部3は、導電性異物に関する報知情報Sを出力する。そしてメインモニタ82に報知情報Sが入力する場合、メインモニタ82は、一例として、「読取面を拭いてください」や「異物が付着しています」といったメッセージ821を表示画面820に表示させる。
【0048】
以下に、本実施の形態の生体情報センサ装置1の動作の一例について図4図6のフローチャートに従って説明する。図4は、一例として、ユーザの操作に関して報知する場合のフローチャートである。図5は、一例として、導電性異物に関して報知する場合のフローチャートである。図6は、一例として、ユーザの操作に関して報知すると共に導電性異物に関して報知する場合のフローチャートである。以下では、報知がメインモニタ82に表示されるものとする。
【0049】
(動作)
・ユーザの操作に関する報知について
生体情報センサ装置1の制御部3は、周期的に生体情報センサ2から静電容量情報Sを取得する。制御部3は、ステップ1の「Yes」が成立する、つまり接触が検出された場合(Step1:Yes)、続いて生体情報26の読み取りの判定を行う。
【0050】
制御部3は、生体情報26の読み取りが成功した場合(Step2:Yes)、次の処理を行う(Step3)。この次の処理とは、特徴点27の抽出処理や認証処理である。
【0051】
ここでステップ2において制御部3は、読み取りが失敗した場合(Step2:No)、ユーザに報知を行う(Step4)。制御部3は、報知情報Sを生成して出力する。メインモニタ82は、報知情報Sに基づいてタッチ時間が短いことや指が動いていることなどに関するメッセージ821を表示させる。
【0052】
・導電性異物に関する報知について
生体情報センサ装置1の制御部3は、周期的に生体情報センサ2から静電容量情報Sを取得する。制御部3は、ステップ10の「Yes」が成立する、つまり接触が検出された場合(Step10:Yes)、続いて生体情報26の読み取りの判定を行う。
【0053】
制御部3は、生体情報26の読み取りが成功した場合(Step11:Yes)、次の処理を行う(Step12)。この次の処理とは、特徴点27の抽出処理や認証処理である。
【0054】
ここでステップ11において制御部3は、読み取りが失敗した場合(Step11:No)、失敗が継続した回数を確認する。制御部3は、読み取りの失敗が継続して異物判定しきい値34以上となった場合(Step13:Yes)、導電性異物の付着に関する報知を行う(Step14)。メインモニタ82は、制御部3から出力された報知情報Sに基づいて導電性異物が付着していることに関するメッセージ821を表示させる。そして制御部3は、読み取りが失敗した回数をリセットする。
【0055】
ここでステップ13において制御部3は、読み取りが失敗した回数が異物判定しきい値34より小さい場合(Step13:No)、読み取りが失敗した回数を1加算してステップ10に処理を進める。
【0056】
・ユーザの操作に関する報知と導電性異物に関する報知を行う場合について
ステップ10〜ステップ14は、上述の記載と同様に行われる。
【0057】
制御部3は、ステップ13において、読み取りが失敗した回数が異物判定しきい値34より小さい場合(Step13:No)、読み取りが失敗した回数を1加算すると共にユーザに報知を行い(Step15)、ステップ10に処理を進める。制御部3は、報知情報Sを生成して出力する。メインモニタ82は、報知情報Sに基づいてタッチ時間が短いことや指が動いていることなどに関するメッセージ821を表示させる。
【0058】
なおユーザの操作に関する報知と導電性異物に関する報知とを行う場合は、例えば、ステップ13において「No」となった後、操作に関する報知を行う。つまり制御部3は、読み取りの失敗が異物判定しきい値34以上となるまで、又は読み取りが成功するまで、或いは接触が解除されるまで、操作に関する報知を行う。なお生体情報センサ装置1は、走査の周期がmsオーダーであるため、異物判定しきい値34以上の失敗に要する時間が長い時間ではないことから、連続して操作に関する報知が行われたとしてもあたかも1回の報知のように表示される。また生体情報センサ装置1は、連続して操作に関する報知を行う場合、1回の報知で済むように構成されても良い。
【0059】
ここで変形例として生体情報センサ装置1は、図4に示した動作と、図5に示した動作とを、周期的に切り替えて行っても良い。この周期は、例えば、読み取りが失敗し、導電性異物の付着が判定される回数の静電容量情報Sが得られる時間以上の時間とされる。
【0060】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る生体情報センサ装置1は、操作性を向上させることができる。具体的には、生体情報センサ装置1は、接触を検出した後に生体情報26の読み取りに失敗したことを報知するので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザが読み取りの失敗を認識することなく繰り返し読み取らせようとすることが抑制され、操作性を向上させることができる。
【0061】
生体情報センサ装置1は、読取面20に導電性異物が付着した場合、ユーザに報知することができる。また生体情報センサ装置1は、ユーザに報知することにより、生体情報センサ2の読み取りが正常に行えるように読取面20に付着した導電性異物の除去を促すことができる。
【0062】
生体情報センサ装置1は、ユーザの操作に関する報知の判定と、導電性異物に関する報知の判定と、を行うことができる。また生体情報センサ装置1は、ユーザの操作に関する報知の判定と、導電性異物に関する報知の判定と、を周期的に切り替えて行う場合、この構成を採用しない場合と比べて、報知の数が少なくなる。
【0063】
生体情報センサ装置1は、接触が検出された後、読み取りが失敗すると報知を行うように構成されている。従って生体情報センサ装置1は、外来ノイズの影響などで検出電極21に静電容量が生じても、接触の検出を行わずに読み取りの成否を判定した場合と比べて、読み取りが行われていないのに読み取りが失敗したとする誤判定が抑制される。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…生体情報センサ装置、2…生体情報センサ、3…制御部、8…車両通信システム、9…操作指、10…本体、20…読取面、21…検出電極、25…読取画像、26…生体情報、27…特徴点、30…接触しきい値、31…類似度しきい値、32…読取しきい値、33…登録情報、34…異物判定しきい値、80…車両LAN、81…車両制御部、82…メインモニタ、83…サブモニタ、84…電子機器、820…表示画面、821…メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6