(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ミクロフィブリル化セルロースが、90を越える、もしくは93を越える、又は95を越えるショッパー・リグラー値(SR°)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
第一の懸濁液がデンプン、カルボキシメチルセルロース、充填剤、歩留剤、フロキュレーション助剤、解膠助剤、乾燥強さ助剤、柔軟剤、又はこれらの混合物のいずれか1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本文書は、高い相対湿度(RH)で良好かつ安定した酸素透過率(OTR)を有するバリアフィルムに関する。より詳細には、本開示は、このようなフィルムを製造する方法に関する。
【0002】
背景
今日、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含むフィルムは、優れたバリア特性を付与することが立証されている(例えば、Aulin et al., Oxygen and oil barrier properties of microfibrillated cellulose films and coatings, Cellulose (2010) 17:559-574、Lavoine et al., Microfibrillated cellulose - Its barrier properties and applications in cellulosic materials: A review, Carbohydrate polymers 90 (2012) 735-764、Kumar et al., Comparison of nano- and microfibrillated cellulose films, Cellulose (2014) 21:3443-3456を参照されたい)が、気体バリア特性は、周辺環境における含水量または相対湿度に非常に依存している。それゆえ、湿気または水蒸気がMFCフィルムを膨潤及び破壊するのを防止するために、ポリマーフィルムで被覆しなければならないことは極めて普通である。
【0003】
高い相対湿度で酸素又は空気のような気体バリア特性がないことは研究及び説明されてきたが、これらの解決策のほとんどは、産業環境において実施することは高価かつ困難である。ある経路は、EP2554589A1において開示されるようなMFC又はナノセルロースを改質し、当該特許においてMFC分散液をシランカップリング剤で改質した。EP2551104A1は、MFCならびにより高い相対湿度(RH)における改善されたバリア特性を有するポリビニルアルコール(PVOH)及び/又はポリウロン酸の使用を教示している。別の解決策は、当該フィルムを、高い水堅牢度及び/又は低い水蒸気透過率を有するフィルムを用いて被覆することである。JP2000303386Aは、例えばMFCフィルム上を被覆するラテックスを開示しているのに対し、US2012094047Aは、ポリオレフィン層を用いて被覆することのできるMFCのような多糖類と混合した木材加水分解産物の使用を教示している。この化学的改質に加えて、架橋性のフィブリル又はフィブリル及びコポリマーの可能性が研究されてきた。このことは、フィルムの水堅牢度を改善するが、水蒸気透過率も改善する。EP2371892A1、EP2371893A1は、金属イオン、グリオキサール、グルタルアルデヒド及び/又はクエン酸と架橋するMFCを請求している。
【0004】
しかしながら、先の解決策の多くは、有効であるために処理後の工程又は多量の投薬のいずれかを必要とする。開示された解決策の多くはまた、MFCフィルムの製造、特に当該MFCフィルムの再パルプ加工を制限している。
【0005】
したがって、このようなフィルム、好ましくは紙もしくは紙製品機械に関して使用され得るもの、又はこれらの改質版を製造する、より単純な解決策を発見する必要があり、ここでその後の被覆又は含浸の工程は、被覆ステーションの数が通常、製紙機に関して制限されているので回避することができる。
【0006】
要約
周辺のより高い相対湿度においてさえ改善されたバリア特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースを含む改善されたフィルムを提供することが、本開示の目的である。
【0007】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。実施形態は、添付の従属請求項においてならびに以下の説明及び図面において明らかにされる。
【0008】
第一の態様によると、25℃で50%を越える又は25℃で75%よりも高い、又は25℃で85%よりも高い相対湿度で、1cc/m
2/24時間〜500cc/m
2/24時間の範囲の酸素透過率を有するフィルムを製造するための方法であって、ミクロフィブリル化セルロースを含む第一の懸濁液を提供し、該懸濁液の乾燥量は0.1〜10重量%の範囲にある工程、湿潤強さ助剤を該第一の懸濁液へ、ミクロフィブリル化セルロース量に基づいた0.1〜10重量%(乾燥/乾燥)の量で添加し、それによりミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤からなる混合物を形成し、該混合物を基材へ適用して、繊維性ウェブを形成する工程、ならびに該ウェブを乾燥させて該フィルムを形成する工程を含む方法が提供される。
【0009】
バリアフィルムを製造する時に比較的少量で湿潤強さ助剤を添加して、高い相対湿度値でさえ、フィルムの安定した酸素透過率を達成することが可能であることが驚くべきことに発見された。従来、湿潤強さ助剤は、湿潤強さを高めるためにだけ、紙において使用されている。本発明の方法は、高い相対湿度水準で良好な酸素透過率(OTR)を有するフィルムの製造を準備する。最も重要なことに、該助剤は、ミクロフィブリル化セルロースフィルムが低いOTR値をなす能力、すなわち、良好なバリアフィルムであることに影響しないであろう。
【0010】
一実施形態によると、該混合物が適用される基材は、該混合物がウェブを形成する多孔性ワイヤであり得る。したがって、製紙機の湿潤末端において該方法を適用することは可能である。
【0011】
本発明の方法を通じて、支柱なしで立つフィルムは、MFC及び湿潤強さ助剤を含む懸濁液を正式の湿潤末端において適用することによって製造することができる。この方法で、優れたバリア特性を有するフィルムが形成され得る。該フィルムはその後、紙又はボール紙にバリア層として適用され得る。
【0012】
一実施形態によると、該混合物が適用される基材も、製紙過程における紙又はボール紙であり得、したがって、該紙又はボール紙の上にフィルムコーティングを形成し得る。
【0013】
本発明の方法によって、該混合物を紙又はボール紙へ直接適用して、容易な様式で紙又はボール紙の上に該バリアフィルムを得ることができる。
【0014】
代替的な一実施形態によると、該方法はさらに、紙又はボール紙の製造過程における表面サイジング工程において該混合物を該基材へ適用する工程を含み得る。
【0015】
本発明の方法はさらに、一実施形態によると、該形成されたフィルムを硬化させる工程を含み得る。該硬化させること、すなわち、乾燥させることは、熱、空気、放射線又は接触乾燥などによって実施され得る。
【0016】
一実施形態によると、本発明の方法はさらに、該湿潤強さ樹脂の存在下で該ミクロフィブリル化セルロースを同時混合およびフィブリル化する工程を含み得る。このことは、該フィルムのさらにより良好なバリア特性を準備し得る。
【0017】
第一の態様に関する一実施形態によると、該ミクロフィブリル化セルロースは、90よりも大きな、又は93よりも大きな、又は95よりも大きなショッパー・リグラー値(SR°)を有し得る。
【0018】
湿潤強さ助剤は、湿潤強さ樹脂であり得、ポリアミノポリアミド−エピクロロヒドリン(PAE)、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンポリアミノアンモニアエピクロロヒドリン(PAE又はPPE)、ポリエチレンイミン、キトサン、無水マレイン酸でアシル化されたキトサン(MAAC)、ジアルデヒドデンプン(DAS)、又はこれらの組み合わせ及び混合物のうちのいずれか1つを含み得る。
【0019】
好ましくは、湿潤強さ助剤又は湿潤強さ樹脂は、長期の湿潤強さを提供するようになっている。
【0020】
第一の態様に関する一実施形態によると、第一の懸濁液はさらに、デンプン、カルボキシメチルセルロース、充填剤、保持化学物質、フロキュレーション助剤、解膠助剤、乾燥強さ助剤、柔軟剤、又はこれらの混合物を含み得る。
【0021】
第二の態様によると、第一の態様による方法によって得られるフィルムで、ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ剤を含むフィルムが提供され、この中で該フィルムは、ASTM D-3985基準によって測定される1cc/m
2/24時間〜500cc/m
2/24時間の範囲で酸素透過率を有し、ならびに該フィルムは、ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ樹脂からなる混合物を含む。
【0022】
第二の態様に関する一実施形態によると、該フィルムは、50g/m
2よりも軽い、または35g/m
2よりも軽い、または25g/m
2よりも軽い坪量を有し得る。
【0023】
該フィルムは、自立式フィルム及び紙又はボール紙上のフィルムコーティングのうちのいずれか1つであり得る。
【0024】
実施形態の説明
本発明の方法によると、ミクロフィブリル化セルロースを含む第一の懸濁液が提供され、湿潤強さ助剤と混合して、ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤を含む混合物を形成する。
【0025】
次に、該混合物を基材へ適用して、繊維性ウェブを形成し得る。
【0026】
該支持体は、製紙機、すなわち、紙、ボール紙、ティッシュペーパー又は何らかの類似の製品を製造するために使用される当業者に公知の何らかの種類の製紙機の多孔性ワイヤであり得る。
【0027】
代替的な一実施形態によると、ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤からなる混合物は、製紙過程において紙又はボール紙に対するコーティングとして適用され得る。該混合物はそれにより、該紙又はボール紙上に、所望のバリア特性を有するフィルムコーティングを形成する。
【0028】
別の実施形態によると、該混合物は、紙又はボール紙の製造過程における表面サイジング工程において該基材へ適用され得る。該混合物は、従来の表面サイジング液として又は泡として適用され得る。表面サイジングが意味するのは、紙及びボール紙産業において使用される従来の接触コーティング法である。当該法は例えば、フィルムプレス、表面サイジング(ポンドサイズプレス又は含浸性ニップサイズプレス)、ゲートロール、ゲートロール倒置型コータ、ツインHSMアプリケータ、液体適用システム、Billブレードによるブレード/ロール調量、ツーストリーム、ミラーブレードを用いたブレード/ブレード調量、VACPLY、又は紙ウェブ上へのノズルユニットを用いた適用及び調量である(Pigment coating and surface sizing of paper, Papermaking Science and Technology, Book 11, 2nd Ed., 2009におけるChapt. 14, Coating and surface sizing technologies, Linnonmaa, J., and Trefz, M.)。さらに、リバースグラビア法又はグラビア法、例えばスプレーを用いたロールへの間接的な調量を基にしたサイジング、スピニング又は泡沈着(foam deposition)も、この定義に含まれ得る。当業者にとって明白なコーティング方法に関する他の変更及び改変又は組み合わせも本明細書に含まれる。
【0029】
一実施形態によると、該ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤を含む該フィルムは、25℃で50%を越える相対湿度で、ASTM D-3985基準によって測定される1cc/m
2/24時間〜500cc/m
2/24時間の範囲で酸素透過率を有する。代替的な一実施形態によると、該ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤を含む該フィルムは、25℃で75%を越える相対湿度で、ASTM D-3985基準によって測定される1cc/m
2/24時間〜500cc/m
2/24時間の範囲で酸素透過率を有する。代替的なさらなる実施形態によると、該ミクロフィブリル化セルロース及び湿潤強さ助剤を含む該フィルムは、25℃で85%を越える相対湿度で、ASTM D-3985基準によって測定される1cc/m
2/24時間〜500cc/m
2/24時間の範囲で酸素透過率を有する。
【0030】
第一の懸濁液における及び製造されたフィルムにおけるミクロフィブリル化セルロースの量は、一実施形態によると、総乾燥固体量を基にした60〜99.9重量%の範囲であり得る。代替的な実施形態によると、MFCの量は、総乾燥固体量を基にした70〜95重量%の範囲で、又は総乾燥固体量を基にした75〜90重量%の範囲であり得る。
【0031】
一実施形態によると、該フィルムは、50g/m
2未満、又は35g/m
2未満、又は25g/m
2未満の坪量を有し得る。
【0032】
一実施形態によると、形成されたフィルムは艶出しされ得る。最終的な密度、フィルム特性及び含水量はしたがって、艶出しにおいて調整され得る。種々の形態および組み合わせにおけるハードニップ、ソフトニップ、ソフト・ハードニップ、シリンダー又はベルトのような公知の技術を使用することができる。
【0033】
一実施形態によると、該フィルムは硬化、すなわち乾燥され得る。硬化は、熱、空気、放射線又は接触乾燥などによる、当業者に公知の何らかの従来技術によって実施され得る。
【0034】
一実施形態によると、MFCは、90を越えるショッパー・リグラー値(SR°)を有し得る。別の実施形態によると、MFCは、93を越えるショッパー・リグラー値(SR°)を有し得る。さらに別の実施形態によると、MFCは、95を越えるショッパー・リグラー値(SR°)を有し得る。ショッパー・リグラー値は、EN ISO 5267-1において定義される標準法を通じて得ることができる。この高いSR値は、再パルプ化した湿潤ウェブについて、追加の化学物質を用いてまたはそれなしで測定され、したがって該繊維はフィルムへと固まらず、例えば角質化を開始する。
【0035】
この種のウェブの乾燥固体量は、分解前及びSRを測定する時、50%(w/w)未満である。ショッパー・リグラー値を測定するために、湿潤ウェブ稠度が比較的低いワイヤ切片化直後の試料を得ることが好ましい。
【0036】
当業者は、保持剤又は脱水剤のような製紙化学物質がSR値に及ぼす影響を有することを理解している。
【0037】
本明細書で明示されるSR値は、MFC材料自体の特徴を反映するがこれに限定されない示度として理解されることになっている。しかしながら、MFCの試料採取点はまた、測定したSR値を反映し得る。例えば、必要なものを適所へ備えるもの(the furnish)は、分画した懸濁液又は分画していない懸濁液のいずれかであり得、これらは異なるSR値を有し得る。それゆえ、本明細書で付与された指定のSR値はしたがって、粗い画分及び細かい画分からなる混合物、又は所望のSR値を提供するMFC等級を含む単一の画分のいずれかである。
【0038】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)とは、本特許出願に照らして、100nm未満の少なくとも1つの寸法を有するナノスケールセルロース粒子繊維又はフィブリルを意味するものとする。MFCは、部分的又は完全にフィブリル化されたセルロース又はリグノセルロース繊維を含む。遊離したフィブリルの径は100nm未満であるが、実際のフィブリルの径若しくは粒度分布及び/又はアスペクト比(長さ/幅)は、供給源及び製造方法によって異なる。最も小さなフィブリルは、エレメンタリーフィブリル(elementary fibril)と呼ばれ、径がおよそ2〜4nmである(例えば、Chinga-Carrasco, G.の文献:Cellulose fibres, nanofibrils and microfibrils,: The morphological sequence of MFC components from a plant physiology and fibre technology point of view, Nanoscale research letters 2011, 6:417を参照)が、ミクロフィブリルとしても定義されているエレメンタリーフィブリルの凝集形態(Fengel, D.の文献:Ultrastructural behavior of cell wall polysaccharides, Tappi J., March 1970, Vol 53, No. 3.)が、例えば拡張叩解工程又は圧力降下離解工程を用いて、MFCを製造するときに得られる主産物であることが一般的である。供給源及び製造工程に応じて、フィブリルの長さは、1マイクロメートル前後から10マイクロメートルを越える範囲に及び得る。粗いMFCグレードは、フィブリル化された繊維の相当な部分、すなわち、仮導管から突き出ているフィブリル(セルロース繊維)と、仮導管から遊離した特定量のフィブリル(セルロース繊維)と、を含有し得る。
【0039】
セルロースミクロフィブリル、フィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、フィブリル凝集体、ナノスケールセルロースフィブリル、セルロースナノファイバ、セルロースナノフィブリル、セルロースミクロファイバ、セルロースフィブリル、ミクロフィブリル状セルロース、ミクロフィブリル凝集体、及びセルロースミクロフィブリル凝集体などのMFCには、種々の頭字語が存在する。また、MFCは、大きな表面積、又は、水中に分散するときの、低い固形分(1〜5重量%)におけるゲル状物質形成能などの、種々の物理特性又は物理化学特性を特徴ともし得る。
【0040】
セルロース繊維は、BET法を用いて凍結乾燥物質について測定した場合、形成されたMFCの最終比表面積が約1〜約300m
2/g、例えば1〜200m
2/g、更に好ましくは50〜200m
2/gであるような程度までフィブリル化されることが好ましい。
【0041】
MFCを製造するには、例えば、単一又は複数叩解(single or multiple pass refining)、予備加水分解、続いて、叩解又は高剪断離解又はフィブリルの遊離といった種々の方法が存在する。MFCの製造にエネルギー効率と持続可能性をともにもたらすには、通常、1つ以上の前処理工程が必要である。このため、供給されるパルプのセルロース繊維は、例えばヘミセルロース又はリグニンの量を減少させるように、酵素的又は化学的に前処理され得る。セルロース繊維は、フィブリル化前に化学的に修飾されてもよく、セルロース分子は、元のセルロースにみられる官能基以外の(又は元のセルロースにみられる官能基よりも多くの)官能基を含有する。このような基としては、とりわけ、カルボキシメチル(CMC)、アルデヒド及び/又はカルボキシル基(N-オキシル媒介酸化によって得られるセルロース、例えば「TEMPO」)、又は第四級アンモニウム(カチオン性セルロース)が挙げられる。上述した方法のうちの1つにより修飾又は酸化された後、繊維は、MFC又はナノフィブリルサイズ又はNFCへ更に容易に分解する。
【0042】
ナノフィブリル状セルロースは、一部のヘミセルロースを含有し得るが、その量は、植物源によって異なる。前処理された繊維の機械的離解、例えば、セルロース原料の加水分解、予備膨潤又は酸化は、叩解機、粉砕機、ホモジナイザー、コロイダー、摩擦粉砕機、超音波処理機、マイクロ流動化装置、マクロ流動化装置又は流動化装置型ホモジナイザーのような流動化装置などの適切な装置によって行われる。MFCの製造方法に応じて、製品は、微繊維若しくはナノ結晶セルロース、又は、例えば、木材繊維に若しくは抄造工程において存在する他の化学物質も含有し得る。また、製品は、効果的にフィブリル化されていない種々の量のミクロンサイズの繊維粒子も含有し得る。
【0043】
MFCは、木材セルロース繊維から、硬材繊維又は軟材繊維の両方から生産される。また、MFCは、微生物源、麦わらパルプ、竹、バガスなどの農業繊維、又は他の非木材繊維源から製造することもできる。MFCは、バージン繊維由来のパルプ、例えば、機械的、化学的及び/又は熱機械的パルプを含むパルプから製造されることが好ましい。さらに、MFCは、破損した紙又は再生紙から製造することもできる。
【0044】
上述したMFCの定義には、新規に提案されたTAPPI規格W13021であって、結晶質領域と非晶質領域の両方を有する複数のエレメンタリーフィブリルを含有するセルロースナノファイバ(cellolose nanofbire)材料を定義し、5〜30nmの幅の高いアスペクト比及び通常50を越えるアスペクト比を有するセルロースナノフィブリル(cellulose nanofbril)(CMF)に関して新規に提案されたTAPPI規格W13021が含まれるが、これに限定されない。
【0045】
本発明の一実施形態において、ミクロフィブリル化セルロースは、湿潤強さ助剤の存在下でフィブリル化される。このことは、湿潤強さ助剤がフィブリル化過程の前又はフィブリル化過程の間のいずれかで添加されることを意味する。
【0046】
一実施形態によると、ミクロフィブリル化セルロースを含む第一の懸濁液の乾燥量は、0.1〜10重量%の範囲にあり得る。
【0047】
湿潤強さ助剤は、該第一の懸濁液へ、MFC量を基にした0.1〜10重量%の量(乾燥/乾燥)で添加され得る。あまりにも多量の湿潤強さ助剤は、製造されるフィルムのOTR値を高くするであろう。
【0048】
一実施形態によると、該湿潤強さ助剤は、該ウェブ又はフィルムにおいて湿潤強さを長期間提供する湿潤強さ助剤又は湿潤強さ樹脂である。
【0049】
湿潤強さ樹脂は、ポリアミノポリアミド−エピクロロヒドリン(PAE)、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンポリアミノアンモニアエピクロロヒドリン(PAE又はPPE)、ポリエチレンイミン、キトサン、無水マレイン酸でアシル化されたキトサン(MAAC)、ジアルデヒドデンプン(DAS)、又はこれらの組み合わせ及び混合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0050】
第一の懸濁液はさらに、異なる特徴を該フィルムへ提供するための他の助剤を含み得る。該助剤は、デンプン、カルボキシメチルセルロース、充填剤、保持化学物質、フロキュレーション助剤、解膠助剤、乾燥強さ助剤、柔軟剤、又はこれらの混合物のうちのいずれか1つであり得るが、該フィルムの特定の適用に適した他のタイプの助剤でもあり得る。
【0051】
一実施形態によると、該助剤は、該フィルムがある特定の時間後に生分解されるよう選択される。
【0052】
実施例
種々の量のPAEが添加された粗いMFC及び細かいMFC(3回流動化)から調製した20gsmのフィルムについての酸素透過率(cc/m
2/24時間)を、ASTM D-3985によって測定した。
【表1】
【表2】
【0053】
したがって、少量の湿潤強さ剤の添加が、MFCフィルムについてのOTR値を明らかに低下させ、したがって良好な酸素バリアをつくることが、これらの検査から明らかである。
【0054】
本発明の先の詳細な説明の点で、他の改変及び変更は当業者に明白となるであろう。しかしながら、このような他の改変及び変更が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくもたらされ得ることは明白であるべきである。