(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886472
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】眼鏡フレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/22 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
G02C5/22
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-537719(P2018-537719)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公表番号】特表2018-530012(P2018-530012A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016073961
(87)【国際公開番号】WO2017063946
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】102015000060759
(32)【優先日】2015年10月12日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥージ,アンペリオ
【審査官】
植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−529793(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0229613(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/071067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプル(5)との関節式連結を生じる目的で、前記テンプル(5)の関節式連結のために設けられた一対の側方のヨロイ(4)を有するフロントマウント(2)を備える眼鏡フレームであって、
前記ヨロイ(4)は、第1のヨロイ部(4a)を備え、前記第1のヨロイ部(4a)は、前記第1のヨロイ部(4a)との対向位置で前記第1のヨロイ部(4a)に対して折り曲げられた第2のヨロイ部(4b)まで延び、前記第2のヨロイ部(4b)は、互いに離間する一対の両側のウイング(9a,9b)によって側方の境界が定められた第1の貫通開口(8)を含み、前記ウイング(9a,9b)は、交差部材(10)によって前記第2のヨロイ部(4b)の自由端において接続され、延出片(11)が、前記第1の貫通開口(8)内でかつ前記第1のヨロイ部(4a)の方向に前記交差部材(10)から延出し、
前記テンプル(5)は各々、対応する前記ヨロイ(4)側の自由端(5a)の領域に、頭部(14)に延びるテンプル部(13)を含み、第2の貫通開口(15)が、前記テンプル(5)の前記テンプル部(13)と前記頭部(14)の間の接続区域の領域において前記テンプル部(13)を貫通するように形成され、
前記眼鏡フレームの前記テンプル(5)の各々の開位置と閉位置の間の移動中に、前記テンプル部(13)が、前記第2のヨロイ部(4b)の前記両側のウイング(9a,9b)間で案内されるように、かつ横断方向に当接した状態で、前記開位置と前記閉位置に対して遠ざかる方向および近づく方向に移動されることができるように、前記テンプル部(13)は、限られた横断方向の接続の遊びを持って前記ウイング(9a,9b)間に受容され、かつ前記延出片(11)は、限られた接続の遊びを持って前記第2の貫通開口(15)に係合され、前記延出片(11)は、前記ヨロイ(4)と前記テンプル(5)の間でヒンジのような移動を生じさせるために、前記第2の貫通開口(15)内をスライドしながら案内され、
対応する前記ヨロイ(4)への各テンプル(5)の接続中に、前記テンプル(5)の回転移動中の前記頭部(14)の移動による前記第1のヨロイ部(4a)と第2のヨロイ部(4b)の相互に離れる移動の結果として、前記第1のヨロイ部(4a)に向かう前記第2のヨロイ部(4b)の弾性復帰付勢作用が生じるように、前記テンプル(5)の前記頭部(14)は、前記交差部材(10)と前記第1のヨロイ部(4a)の間に介在されることを特徴とする、眼鏡フレーム。
【請求項2】
前記延出片(11)と前記ウイング(9a,9b)の間には、前記テンプル部(13)の側縁(13a)と前記第2の貫通開口(15)の縁(15a)の間に画定される前記テンプル部(13)の対応する部分(16a,16b)を、限られた接続の遊びを持って受容することができる座部(17a,17b)の境界が定められ、前記座部(17a,17b)は、対応する前記ウイング(9a,9b)と前記延出片(11)の対向面によって横断方向の境界が定められ、前記座部(17a,17b)は、前記テンプル(5)が前記眼鏡フレームの前記閉位置に移動されるときに前記テンプル部(13)の前記対応する部分(16a,16b)と当接するように横断方向に移動することができる、請求項1に記載の眼鏡フレーム。
【請求項3】
前記延出片(11)は、前記第1のヨロイ部(4a)に向かって折り曲げられた自由端を有し、前記延出片(11)の前記自由端は、前記眼鏡フレーム上の前記閉位置で前記テンプル(5)に許容される所定の最大の角度形成の領域において前記頭部(14)に接触するように配置されることによって前記テンプル(5)の前記頭部(14)に干渉することができる、請求項1または請求項2に記載の眼鏡フレーム。
【請求項4】
前記ヨロイ(4)の各々は、板状構造から形成され、前記第2のヨロイ部(4b)は、前記第1のヨロイ部(4a)に対して実質的に180°折り曲げられている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項5】
前記テンプル(5)の少なくとも前記自由端(5a)は板状の形をしている、請求項4に記載の眼鏡フレーム。
【請求項6】
前記ヨロイ(4)および/または前記テンプル(5)の少なくとも前記自由端(5a)は、金属材料の板から形成される、請求項5に記載の眼鏡フレーム。
【請求項7】
前記ヨロイ(4)の前記第1のヨロイ部(4a)には、前記テンプル(5)が前記眼鏡フレームに対して前記開位置に回転するときに前記延出片(11)の前記自由端を少なくとも部分的に受容することができる凹み(12)が設けられる、請求項3に記載の眼鏡フレーム。
【請求項8】
前記凹み(12)は、前記第1のヨロイ部(4a)を通る貫通開口の形で生成される、請求項7に記載の眼鏡フレーム。
【請求項9】
前記第1のヨロイ部(4a),前記交差部材(10),および前記頭部(14)は、前記テンプル(5)の開いた状態では相互に表面を重ね合わせた状態で配置され、前記テンプル(5)の前記頭部(14)は、前記テンプル(5)の閉じた状態において前記テンプル(5)の前記頭部(14)が前記交差部材(10)に実質的に垂直に配置される構成に達するまで、前記第2のヨロイ部(4b)によって加えられる前記弾性復帰付勢作用に逆らって、前記交差部材(10)に対する相対移動が可能である、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項10】
前記延出片(11)は、前記第1のヨロイ部(4a)の方向に前記交差部材(10)から突出する歯の形に作られている、請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項11】
前記テンプル(5)の前記頭部(14)は、前記テンプル部(13)に対して増大した横断方向の空間的要求寸法を有し、互いに反対の位置にありかつ前記テンプル部(13)から横断方向に突出する一対の肩(14a,14b)を含む、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項12】
前記フロントマウント(2)は、レンズキャリアリム(3a、3b)を含み、前記レンズキャリアリム(3a、3b)の外形輪郭は、前記フロントマウント(2)に設けられかつそれに隣接する前記側方のヨロイ(4)の方向に前記レンズキャリアリム(3a、3b)から夫々延出する貫通スロット(20)の設置によって開放され、前記貫通スロット(20)は、前記眼鏡フレームの横断方向の厚みを貫通する切欠きを有する輪郭によって画定される、請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項13】
前記眼鏡フレームの前記レンズキャリアリム(3a、3b)におけるレンズの安定的な保持作用のために、前記貫通スロット(20)によって分離された前記ヨロイ(4)の一方の部分を他方の部分に対して付勢するために、前記側方のヨロイ(4)に対する接続が可能なクリップ嵌合要素(25)が設けられる、請求項12に記載の眼鏡フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項1のプリアンブルに記述された特徴を有する眼鏡フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の技術分野において、フロントマウントに対するテンプルの関節式連結が、回転可能に互いに結合されるピンおよびハトメ状の座部(eye-like seat)を夫々有するヒンジ装置によって行われる眼鏡フレームが周知であり、この装置のヒンジ要素は、テンプル(arm)とフレームのヨロイ(lug)に適切に固定的に接合される。
【0003】
この種類の方法は、先行技術の利用可能な多様なバージョンにおいて、従来、ねじまたはヒンジピンの考え得る望ましくない緩み、ヒンジによる関節式連結に必要な複数の部品を製造する必要性、必要な部品によって決まる空間的要求、および軽量型のフレームでの使用にはあまり適さないヒンジ装置の重量自体を含む、幾つかの限界を伴っている。
【0004】
上述の種類の従来のヒンジ構造が設けられていないフレームのヨロイに対するテンプルの関節式連結のための方法が周知であり、一例が仏国公開公報第1009345号明細書に記載されている。この明細書には、ヨロイに対してテンプルを弾性的にロックすることによる関節式連結用システムが記載されている。そのシステムには、相互の弾性挙動を備えるのに十分な長さにわたって三つの分離した部分に分割されるフロントヨロイ側のテンプル端部が設けられている。中央の部分の折り曲げられた端部は、側方の部分とともに、フレームに設けられたピン状構造の周りに関節式の方法でテンプルを保持している。
【0005】
別の種類の方法が特開2011−095691号公報明細書に記述されており、この公報では、弾性の板から作成された一つ以上の細長い要素が、ヨロイ側のテンプルの端部に切削によって形成され、その折り曲げられた端部が、ヨロイ部に形成された対応する貫通開口と係合するように設けられ、それにより、関節式の方法でフレームのヨロイに対してテンプルが保持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テンプルの関節式連結を伴うこれらの最終的な方法は両方とも、幾つかの限界を有している。まず、ヨロイに対するテンプルの接続は、フレームに対して極限まで開いた状態と閉じた状態の間のテンプルの全ての位置において、特に、安定しているというわけではなく、特に、テンプルはヨロイに対して(テンプルを開いたときのフレームの前面に対して横断的に)相対的に動きやすく、テンプルとヨロイの間に一種の相対的な振動を生じ、この接続の不十分な安定性と、それに伴う接続の過剰な遊びの結果として生じる技術的に許容できないことや、フレームの着用感を損なう可能性もある。
【0007】
別の限界は、ヨロイからのテンプルの偶発的な離脱にさらされる可能性があるという事実に関連し、主に、相対接続の力がテンプルに形成された薄板状の要素の弾性的付勢によって排他的に生成されるという事実による。弾性接続の力を克服するような大きさの起こり得る偶発的な衝撃または引張作用が、フレームからの分離によるテンプルのヨロイからの関節離断を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主な目的は、フレームのフロントに対するフレームの関節式連結手段を備える眼鏡フレームを製造することにあり、このフレームは、既知の方法を参照して記述された限界を克服するように構造的かつ機能的に構成され、特に、このフレームは、テンプルの関節式連結手段に関して、このフレーム上への組み付けが容易であり、特に軽量であり、特に細長く、かつ軽量なフレームで使用されることもできるように空間的要求が限られた構造を有し、同時に、テンプルの移動の間や、フレームの前記テンプルの極限の開位置および閉位置における相対接続の高い安定性を保証している。
【0009】
この目的および以下でさらによく理解される他の目的は、添付の特許請求の範囲に従って製造される眼鏡フレームによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の添付図面を参照して非限定的な例として示される本発明の幾つかの好適な実施の形態の以下の詳細な説明から、よりよく理解される。
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に基づいて製造される眼鏡フレームの斜視図である。
【
図2】
図1のフレームの詳細の内、フレームの当該ヨロイ(front lug)に対するテンプル(arms)の1つの関節の部分拡大斜視図である。
【
図3】
図2の詳細の斜視図であり、フレームのヨロイに対するテンプルの関節動作の状態が示されている。
【
図4】
図2の詳細の斜視図であり、フレームのヨロイに対するテンプルの関節動作の状態が示されている。
【
図5】
図2の詳細の斜視図であり、フレームのヨロイに対するテンプルの関節動作の状態が示されている。
【
図6】
図2の詳細の斜視図であり、フレームのヨロイに対するテンプルの関節動作の状態が示されている。
【
図8】
図3の状態で描かれた詳細の部分斜視図である。
【
図11】
図9の直線XI-XIに沿った断面図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態の
図8の詳細の斜視図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態の
図8の詳細の斜視図である。
【
図18】本発明の第2の実施の形態の
図8の詳細の斜視図である。
【
図19】
図16〜18の詳細の構成要素の一つの部分斜視図である。
【
図20】本発明の第3の実施の形態の
図2と対応する斜視図である。
【
図25】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図26】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図27】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図28】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図29】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図30】中間の組立ステップが示された、他の実施の形態における、
図1〜
図24のフレームの詳細の構成要素の1つの部分正面図である。
【
図31】本発明のフレームの構成要素の一つの他の変形例の斜視図である。
【
図32】本発明のフレームの構成要素の一つの他の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記図面を参照すると、本発明の第1の実施の形態に基づいて製造される眼鏡フレームが、全体として参照番号1で示されている。このフレームは、レンズ3を保持するためのフロントマウント(front mount)2であって、このフロントマウントに対するテンプル(arm)5の関節式連結のために設けられた一対のヨロイ(a pair of opposing lateral lugs)4を備えている。
【0013】
各テンプル5の対応するヨロイ4に対する関節式連結のために、フレームは、全体として参照番号6で示され、フロントマウントに対するテンプルの対応する開位置と閉位置の間の回転を可能にするのに適した関節式連結手段を含んでいる。
【0014】
その構造的かつ機能的な同一性の結果として、以下では、フレームのフロントマウント2に対するテンプル5の一方の関節式連結手段を詳述する。
【0015】
図面に見られるように、テンプル5および対応するヨロイ4は、厚みの薄い好適な板状構造を有している。言い換えれば、テンプルの(および対応するヨロイの)断面は、眼鏡を装着した状態で側頭区域と実質的に平行に測定されるテンプルの高さの寸法が、この高さを横断するように測定されるテンプルの厚みよりもはるかに大きい。厚みの薄い断面の形成は、それが作られる材料、好ましくは金属材料の選択とともに、特に細長いテンプルの長手方向範囲にわたって寸法を減少したことにより、通常、非常に軽量であるという特徴をテンプルに授け、また大きな美的影響を有する全体的なデザインをフレームにさらに授けている。これに関して、テンプルとフレームのフロントマウントの形成には金属薄板構造が特に適している。
【0016】
上述の板状構造に従い、テンプル5の横断方向の厚みは、その両側面6a、6bの間に画定され、対応するヨロイ4の厚みは、同様に、ヨロイ自体の両側面7a、7bの間に境界が定められる。
【0017】
有利なことに、ヨロイ4は、フレームのフロントマウント2と一体的に作られ、第2のヨロイ部4bに延びる第1のヨロイ部4aを含み、第2のヨロイ部は、第1の部分4aと対向するように(第1および第2のヨロイ部の面7aを互いに対向する位置に配置した状態で)第1の部分4aに対して折り曲げられている。このような構成は、第2のヨロイ部4bを第1のヨロイ部4aに対して約180°折り曲げられることによって、例えば金属薄板から得られる、実質的に平らなヨロイの板状構造の結果として得ることができる。
【0018】
第2のヨロイ部4bには、互いに平行で互いに離間し、かつ交差部材10によって第2のヨロイ部の自由端に接続される一対のウイング9a,9bによって横方向の範囲が定められた、第1の貫通開口8が設けられている。交差部材10から第1のヨロイ部4aの方向に開口8内に延出する延出片(extension piece)が参照番号11で示されている。一種の歯状構造として構成された延出片11は、その第1の平面部11aが交差部材と平行な状態で、交差部材10の中央区域から延出しており、第1の平面部11aは、その第1の部分に対して直角に曲がった第2の部分11bに延びている。交差部材10の平面から突出するこの第2の部分11bの自由端部は、テンプルの開いた状態(
図3および
図11)において、第1のヨロイ部に形成されている凹み12に受容されることができ、この凹みは、好ましくは、ヨロイ自体の厚み(特に第1のヨロイ部4a)を貫通するように作成される。凹み12の設置により、一方では、その機能に適した範囲を備える延出片11の部分11bを作成することが可能になり、他方では、第1のヨロイ部4aと第2のヨロイ部4bの間の(交差部材10が介在した状態での)弾性復帰作用が、テンプルの開位置と閉位置の間の全ての状態下で、干渉を受けることなく加えられることができることを可能にする。構造の変形において、フレームの外側から見えないように第1のヨロイ部4aにおける面7aに設けられた単純な表面の低くなった部分の形に作られた凹み12を設けることができる。
【0019】
交差部材10は、さらに、「S」状の折り曲げ区域によってウイング9a,9bに接続され、その結果、ウイング9a,9bは、第1のヨロイ部から離間され、交差部材は、
図13および
図14に明確に示すように、第1のヨロイ部に対して、支持するように接触しながら当接している。
【0020】
テンプル5は、ヨロイ側のその自由端5aをヨロイの貫通開口8に挿入することにより、ヨロイ4に関節式連結するように取り付けられる。
【0021】
より具体的には、テンプルは、その端部5aの領域に、テンプル部(arm portion)13を含み、テンプル部13は、テンプルの高さに対する寸法が、テンプル部13と連続されるテンプル本体の高さ未満であり、この部分は、この部分自体に対して拡幅した端部を有する頭部14に延びている。
【0022】
頭部14は、好ましくは、
図15に明確に示すように、互いに反対の位置にあり、かつ部分13から側方に突出する一対の肩14a,14bを備えている。このような構造は、例えば、肩14a,14bと高さを減少したテンプル部13が画定されるような二つの両側の側方部材を提供することにより、切削工程(cutting processing)を用いてテンプル本体から材料と除去することによって有利に得られる場合がある。
【0023】
頭部14と部分13の間の接続区域において、テンプルには、参照番号15で示す貫通開口が形成され、その機能は、本明細書の以下の説明からはっきりと理解される。開口15は、開口15で一対の部分16a,16bの境界を定めるように、テンプル部13において中央位置に設けられ、部分16a,16bは、部分13の対応する側縁13aと開口15の一端の夫々の側縁15aの間に画定され、その対応する側縁13aと夫々の側縁15aは互いに隣接している。
【0024】
開口8への挿入に続き、ヨロイ上にテンプルを組み付けるステップの間、テンプルの端部5aは、第1のヨロイ部4aと第2のヨロイ部4bとの間に介在させたままである。この組み付けにより、頭部14が交差部材10と第1のヨロイ部4aの対応する面7aの間に介在した構成でウイング9a,9bの間に限られた横断方向の接続の遊びを持って受容される(かつ横断方向に当接している)テンプル部13が提供され、延出片11も、開口15に、限られた接続の遊びを持って係合される。この構成を得るために、ヨロイ部4a、4bは、予め互いに開いておき、その後上述の位置(
図3)に弾性的に復帰する。フロントマウントに対するテンプルの開いた状態を指すこの位置では、テンプルは、ヨロイ上に安定的に保持される。テンプルは、開口15内の延在部材11の係合の結果として、ウイング9a,9b間のテンプル部13の支持および保持作用の結果として、かつヨロイ部4a、4b間の相対的な離間移動によって生じる、頭部に対してヨロイによって加えられる弾性的な付勢の効果として、保持される。
【0025】
テンプルとヨロイの間の相対的な支持および保持作用は、さらに、フロント上の閉じた状態(
図6)に向かうテンプルの移動の間、維持される。テンプルの回転の間、テンプル部13は、両側のウイング9a,9bの間で案内されることによって、かつそれらの間で横断方向に当接した状態で、開位置および閉位置に向かう移動およびそれらの位置から離れる移動が行われると同時に、延出片11は、ヨロイとテンプルの間にヒンジのような移動を生じさせるために、開口15内をスライドしながら案内されるように保持される。さらに、頭部の肩と交差部材の間の相対的スライド効果の結果として、関節式連結移動の間に第1および第2のヨロイ部の間に弾性的な復帰を付勢する作用を生じるようにそれらの部分の間で互いに離間する移動が生じる。
図4および
図5は、テンプルの極限の開位置と閉位置の間の二つの異なる中間位置を示している。
【0026】
図6および
図7に詳細に示すテンプルの閉位置に達すると、テンプル部13は、第1のヨロイ部4aに対して実質的に垂直になり、交差部材は、頭部から離れ、第1のヨロイ部から最も遠い距離に移動される。さらに、テンプルの部分16a,16bは、延出片11とウイング9a,9bの間に夫々画定される座部17a,17bと、限られた接続の遊びを持って係合するまで移動され、この接続により、ヨロイのテンプルの保持および側方当接作用が保証される。延出片の部分11bは、さらに、テンプルの頭部14が延出片11に当接するように移動されるときのテンプルの振動の制限手段として機能し、それにより、テンプルの望ましくない移動に対抗している。
【0027】
座部17a,17bは、対応するウイング9a,9bと延出片11の対向面によって横断方向の境界が定められ、これらの座部は、テンプルがフレームの閉位置に移動されるときにテンプル部の対応する部分16a,16bに横断方向に当接することができる。
【0028】
図16〜
図19は、テンプルとフレームのヨロイの間の関節式連結手段6の第2の実施の形態を指しており、前記実施の形態の細部と類似の細部は、同一の参照番号で指示されている。
【0029】
この実施の形態は、
図16に明らかに示すように、主に、第1のヨロイ部4aに凹みが設けられていない点で上記の実施の形態とは異なっている。外側からはっきりと見えることによりフレームの美しいラインを損なうような凹みまたは開口の設置を伴わない故に特に有利だと思われるこのような優位性は、以下により詳細に説明するように、延出片11とテンプルの端部5aの異なるかつ特定の構造によって得られる。
【0030】
交差部材10には、交差部材の両端に対してかつ第1のヨロイ部4aから離れる方向に突出する中央ブリッジ状部10aが設けられている。中央部10aからは延出片11が延出し、部分11a,11bは、実質的に等しい曲率を有する弓形の輪郭に沿って一方が他方に連続するように延在している。このような構造により、さらに、交差部材10に接続されるウイング部9a,9bの表面に対して実質的に面一に配置される部分11bの自由端が設けられる。それにより、ヨロイにテンプルを挿入する前に、第2のヨロイ部4bが、延出片11の干渉を受けずに、移動して第1の部分4aに当接するまで折り曲げられることが保証される。
【0031】
対応するように、テンプル部13には、開口15の箇所の構造に関して、テンプルがヨロイ自体に取り付けられ、かつ開いた状態(
図18)にあるとき第1のヨロイ部4aから所定の距離に離されるようにテンプルの平面から突出するブリッジ状部材13aが設けられている。ブリッジ状構造13aにより、上述の実施の形態に設けられるものと機能的には全体的に同様の方法で、テンプルの開位置と閉位置の間の全ての状態においてヨロイに対するテンプルの案内移動中の開口15と延出片11の間の適した接続を保証している。
【0032】
図21〜
図24は、上述の第2の実施の形態のさらなる構造の変形を指しており、上記実施の形態の細部と類似の細部は、同一の参照番号で指示されている。
【0033】
この変形は、ヨロイの交差部材10が、延出片11の中央取付区域内を含め、平らな板状の形状を有する点で異なっている。延出片11は、取付部11aに、連続部11bに対して曲率が減少した範囲を有している。テンプル端部5aは、頭部14の領域に、両側の肩14a,14bの表面の縁に対して高くなったブリッジ状部14cを有している。部分14cは、
図24に示すように、その表面の縁に留まりながら、部分14cと連続し、かつ開口15の影響を受けるテンプル部13aの部分に接続されている。
【0034】
図25〜
図30は、本発明のフレーム1の構成を、フロントフレーム2から延出するヨロイ4の区域に限って夫々示しており、半加工状態の板状部材の成形が提示されており、ここから、後に折り曲げることによって、ヨロイの最終的な形状が得られる。
図25では、ヨロイに対して大体の配置で、板の折り曲げ軸が参照記号Xで示されている。フレームの厚みを貫通し、かつマウントのレンズキャリアリムの各々から生じる切断輪郭に沿って延在する貫通開口が参照番号20で示されており、レンズキャリアリムは、参照番号3a、3bで示されており、対応の隣接するヨロイの方向に延在している。この切断輪郭の結果として、各レンズキャリアリムは、対応するレンズの挿入を可能にするために限度内で広げられながら、なおも、非変形形態に向かうリム部の弾性復帰作用の効果によって、リムに対するレンズのロックおよび保持を保証し得る。この弾性変形およびその結果としての弾性復帰付勢作用は、材料の種類、金属板の寸法および厚み、実行される切断作用の範囲、およびレンズキャリアリムの構造および範囲の影響を受ける。フレームの各特定の構成では、リムにレンズを挿入することおよびレンズ自体の効果的な保持作用を保証することを容易にするのに適した切断輪郭の位置および範囲を有利に画定することができる。
【0035】
必要であれば、クリップ形状の付加的なロック要素がさらに設けられてもよく、参照番号25で示されるその一実施の形態が
図31〜
図35に示されている。この要素は、互いに向かって折り曲げられた両側のリップ26a,26bを備える主板26を含み、この板は、表面積がより小さく、かつ板26に対して傾斜した側部26cに延びている。クリップ嵌合要素25は、ヨロイに設けられた一対の対応する両側の延出片27との相対的なスライド移動によってリップと夫々係合しながら、ヨロイに取り付けられるように構成されている。延出片27は、ヨロイ上に、対応する切断輪郭によって画定されるスロット20に対して両側に形成される。このようにして、クリップ嵌合要素の取り付けに続いて、延出片27の弾性変形効果の結果、スロット20によって分離されたヨロイの部分同士を元に戻す方向に移動させやすい弾性的な作用を生じ、それにより、夫々のリムによって対応するレンズに加えられるロックおよび保持作用をより効果的にする。スロットの両側に位置するように延在するヨロイ区域同士の間の弾力の度合いを制限しやすい限られた長手方向範囲の切断輪郭を備えるスロット20がある場合、クリップ嵌合要素25の使用は、対応するリムにおけるレンズのロックおよび保持作用を向上するので、機能の観点から、また、テンプルの全体的なデザインをより魅力的にするように、切断によって生じるスロットを視界から、すなわち、フレームの外側から覆うので、純粋な美的感覚の観点からも、特に効果的である場合がある。
【0036】
したがって、本発明は、記述した目的を達成し、これにより、既知の方法に対して多くの利点を得ている。
【0037】
主な利点は、ヒンジピンを有しないテンプルの関節式連結手段の範囲で、本発明により、フレームの最も端にある開位置と閉位置に加えて、テンプルの移動中ずっとテンプルとヨロイの接続の相対的安定性の向上が得られることを含んでいる。
【0038】
上述の特有の操作的特徴は、フレームへの組み付けが容易であり、特に細長く、かつ軽量なフレームに適用することもできるように、特に軽量で限られた寸法を有する構造によって得られることである。
【0039】
さらに別の利点は、この装置の構造的な単純化と限られた部品数に関与し、一般的に極めて小さい寸法を有し、特に軽量型の眼鏡を作るのに特に適している。