(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは癌細胞成長に関与する因子であるSema3Aに結合し、癌を予防及び治療できる抗体を開発しようと努力した結果、ヒトSema3A及びマウスSema3Aに交差結合能を有し、癌細胞の成長及び移動抑制能を示すことによって、優れる癌の予防及び治療効果を有す
る抗体を開発した。
【0024】
本発明の抗体はヒトSema3Aに対して特異的結合能を有する。特に、本発明の抗体はヒトSema3A及びマウスSema3Aに対して交差結合能を有する。
【0025】
本明細書で、ヒトSema3Aに対する抗体を言及しながら使われる用語“抗体(antibody)”はヒトSema3Aに対する特異抗体であって、ヒトSema3Aに対して特異的に結合し、完全な抗体形態だけでなく、抗体分子の抗原結合断片を含む。
【0026】
完全な抗体は2つの全体長さの軽鎖及び2つの全体長さの重鎖を有する構造であり、各々の軽鎖は重鎖とジスルフィド結合により連結されている。
【0027】
重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)、及びイプシロン(ε)タイプを有し、サブクラスに、ガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)、及びアルファ2(α2)を有する。
【0028】
軽鎖の不変領域はカッパ(κ)及びラムダ(λ)タイプを有する(Cellular and Molecular Immunology, Wonsiewicz, M. J., Ed., Chapter 45, pp. 41−50, W. B. Saunders Co. Philadelphia, PA(1991);Nisonoff, A., Introduction to Molecular Immunology, 2
nd Ed., Chapter 4, pp. 45−65, sinauer Associates, Inc., Sunderland, MA(1984))。
【0029】
本明細書で、用語“抗原結合断片”は抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)
2、及びFvなどを含む。
【0030】
抗体断片のうち、Fabは軽鎖及び重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域及び重鎖の最初の不変領域(C
H1)を有する構造で、1つの抗原結合部位を有する。
【0031】
Fab’は重鎖C
H1ドメインのC−末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabと差がある。
【0032】
F(ab’)
2抗体はFab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合を成しながら生成される。
【0033】
Fvは重鎖可変部位及び軽鎖可変部位のみを有している最小の抗体片であって、Fv断片を生成する組換え技術はPCT国際公開特許出願WO88/10649、WO88/106630、WO88/07085、WO88/07086、及びWO88/09344に開示されている。
【0034】
二重鎖Fv(two−chain Fv)は非共有結合により重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されており、単鎖Fv(single−chain Fv、scFv)は一般的にペプチドリンカーを通じて重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域が共有結合により連結されるか、またはC−末端で直ぐに連結されているので、二重鎖Fvのようにダイマーのような構造をなすことができる。
【0035】
このような抗体断片は蛋白質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全体抗体をパパインに制限切断すればFabを得ることができ、ペブシンに切断すればF(ab’)
2断片を得ることができる)、好ましくは、遺伝子組換え技術を通じて製作することができる。
【0036】
本発明の一具現例によれば、本発明の抗体はscFv形態、または完全な抗体形態である。
【0037】
また、重鎖不変領域はガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)、またはイプシロン(ε)のうち、いずれか1つのイソタイプから選択できる。
【0038】
本明細書で、用語“重鎖”は抗原に特異性を与えるための充分の可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV
H及び3個の不変領域ドメインC
H1、C
H2、及びC
H3を含む全体長さ重鎖及びその断片を全て意味する。
【0039】
また、本明細書で、用語“軽鎖”は抗原に特異性を与えるための充分の可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV
L及び不変領域ドメインC
Lを含む全体長さ軽鎖及びその断片を全て意味する。
【0040】
本明細書で、用語“CDR(complementarity determining region)”は免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の高可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987) )。重鎖(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)、及び軽鎖(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)には各々3個のCDRsが含まれている。CDRは抗体が抗原またはエピトープ結合するに当たって主要な接触残基を提供する。
【0041】
本発明のヒトSema3A抗体またはその抗原結合断片は、ヒトSema3Aを特異的に認識できる範囲内で添付した配列表に記載されたアミノ酸配列の変異体を含むことができる。
【0042】
例えば、抗体の結合親和度及び/又はその他の生物学的特性を改善させるために、抗体のアミノ酸配列に変化を与えることができる。このような変形は、例えば抗体のアミノ酸配列残基の欠失、挿入、及び/又は置換を含む。
【0043】
このようなアミノ酸変異は、アミノ酸側鎖置換体の相対的類似性、例えば、疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づいてなされる。アミノ酸側鎖置換体のサイズ、形態、及び種類に対する分析によって、アルギニン、リシンとヒスチジンは、全て陽電荷を帯びた残基であり;アラニン、グリシンとセリンは類似のサイズを有し;フェニルアラニン、トリプトファンとチロシンは類似の形態を有することが分かる。
【0044】
したがって、このような考慮事項に基づいて、アルギニン、リシンとヒスチジン;アラニン、グリシンとセリン;そしてフェニルアラニン、トリプトファンとチロシンは生物学的に機能均等物ということができる。
【0045】
変異を導入するに当たって、アミノ酸の疎水性インデックス(hydropathic index)が考慮できる。各々のアミノ酸は疎水性と電荷によって疎水性インデックスが与えられている:
イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスタイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)。
【0046】
蛋白質の相互的な生物学的機能(interactive biological function)を与えるに当たって、疎水性アミノ酸インデックスは非常に重要である。類似の疎水性インデックスを有するアミノ酸に置換しなければ類似の生物学的活性を保有できないということは公知の事実である。
【0047】
疎水性インデックスを参照して変異を導入させる場合、好ましくは±2以内、より好ましくは±1以内、より好ましくは±0.5以内の疎水性インデックス差を示すアミノ酸の間に置換を行う。
【0048】
一方、類似の親水性値(hydrophilicity value)を有するアミノ酸の間の置換が均等な生物学的活性を有する蛋白質を引き起こすこともよく知られている。
【0049】
米国特許第4,554,101号に開示したように、以下の親水性値が各々のアミノ酸残基に与えられている:
アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
【0050】
親水性値を参照して変異を導入させる場合、好ましくは±2以内、より好ましくは±1以内、より好ましくは±0.5以内の親水性値の差を示すアミノ酸の間に置換を行う。
【0051】
分子の活性を全体的に変更させない蛋白質でのアミノ酸交換は当該分野に公知されている(H. Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。
【0052】
最も通常的に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Glyの間の交換である。
【0053】
前述した生物学的均等活性を有する変異を考慮すれば、本発明の抗体またはこれをコードする核酸分子は、配列表に記載された配列と実質的な同一性(substantial identity)を示す配列も含むものとして解析される。
【0054】
上記の実質的な同一性は、前記した本発明の配列と任意の他の配列を最大限対応するようにアラインし、当業界で通常的に用いられるアルゴリズムを用いてアラインされた配列を分析した場合に、最小61%の相同性、より好ましくは70%の相同性、より好ましくは80%の相同性、最も好ましくは90%の相同性を示す配列を意味する。
【0055】
配列比較のためのアラインメント方法は当業界に公知されている。アラインメントに対する多様な方法及びアルゴリズムは、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482(1981); Needleman and Wunsch, J. Mol. Bio. 48:443(1970); Pearson and Lipman, Methods in Mol. Biol. 24: 307−31(1988); Higgins and Sharp, Gene 73:237−44(1988); Higgins and Sharp, CABIOS 5:151−3(1989); Corpet et al., Nuc. Acids Res. 16:10881−90(1988); Huang et al., Comp. Appl. BioSci. 8:155−65(1992) and Pearson et al., Meth. Mol. Biol. 24:307−31(1994)に開示されている。
【0056】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST) (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403−10(1990))は、NCBI(National Center for Biological Information)などで接近可能であり、インターネット上でblastp, blasm, blastx, tblastn and tblastxのような配列分析プログラムと連動して用いることができる。BLSATは
、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で接続可能である。このプログラムを用いた配列相同性比較方法は、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/blast_help.htmlで確認することができる。また、抗体可変領域内のFR(framework region)及びCDRs配列分析は当業界で普遍的に用いるIMGT(www.imgt.org/)配列を基準として表示することができる。
【0057】
本発明の一具現例によれば、A08抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0058】
本発明の一具現例によれば、A08抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0059】
本発明の一具現例によれば、C10抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0060】
本発明の一具現例によれば、C10抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号22のアミノ酸配列を含む。
【0061】
本発明の一具現例によれば、F11抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0062】
本発明の一具現例によれば、F11抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号24のアミノ酸配列を含む。
【0063】
本発明の抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fvs(scFV)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド−結合Fvs(sdFV)、及び抗イディオタイプ(抗−Id)抗体、そして前記抗体のエピトープ−結合断片などを含むが、これに限定されるものではない。
【0064】
本発明の抗体は基本的に、“重鎖の可変領域(V
H)−リンカー−軽鎖の可変領域(V
L)”からなっている。
【0065】
本発明のscFv抗体で、前記リンカーは重鎖及び軽鎖の可変性部位を人為的に連結する作用をする一定長さのアミノ酸配列を意味する。
【0066】
本発明のscFv抗体はV
H(配列表の配列番号19)−リンカー−V
L(配列表の配列番号20);V
H(配列表の配列番号21)−リンカー−V
L(配列表の配列番号22);及びV
H(配列表の配列番号23)−リンカー−V
L(配列表の配列番号24)で表示できる。
【0067】
本発明の抗体または抗原結合断片はヒトSema3A及びマウスSema3Aに特異的に交差結合する。
【0068】
本発明の抗体または抗原結合断片はヒトSema3Aだけでなく、マウスSema3Aに特異的に結合できるので、マウス腫瘍モデルを用いた効能評価でより正確な前臨床結果を確認することができる。
【0069】
本発明の他の態様によれば、本発明は配列表の配列番号19、配列表の配列番号21、または配列表の配列番号23のアミノ酸配列を含むヒトSema3A及びマウスSema3Aに交差結合する抗体の重鎖可変領域をコードする核酸分子を提供する。
【0070】
本発明の他の態様によれば、本発明は配列表の配列番号20、配列表の配列番号22、または配列表の配列番号24のアミノ酸配列を含むヒトSema3A及びマウスSema3Aに交差結合する抗体の軽鎖可変領域をコードする核酸分子を提供する。
【0071】
本明細書で、用語“核酸分子”はDNA(gDNA及びcDNA)、そしてRNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸分子で基本構成単位であるヌクレオチドは自然のヌクレオチドだけでなく、糖または塩基部位が変形された類似体(analogue)も含む(Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York(1980); Uhlman及びPeyman, Chemical Reviews, 90:543−584(1990))。本発明の前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする核酸分子配列は変形できる。前記変形は、ヌクレオチドの追加、欠失、または非保存的置換または保存的置換を含む。
【0072】
ヒトSema3A抗体をコードする本発明の核酸分子は、前記したヌクレオチド配列に対して実質的な同一性を示すヌクレオチド配列も含むものとして解析される。
【0073】
上記の実質的な同一性は、前記した本発明のヌクレオチド配列と任意の異なる配列を最大限対応するようにアラインし、当業界で通常的に利用いられるアルゴリズムを用いてアラインされた配列を分析した場合に、最小80%の相同性、より好ましくは最小90%の相同性、最も好ましくは最小95%の相同性を示すヌクレオチド配列を意味する。
【0074】
本発明の更に他の態様によれば、本発明は前述した核酸分子を含む組換えベクターを提供する。
【0075】
本明細書で、用語“ベクター”は宿主細胞で目的遺伝子を発現させるための手段であって、プラスミドベクター;コスミドベクター;そして、バクテリオファージベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及びアデノ−関連ウイルスベクターのようなウイルスベクターなどが含まれる。
【0076】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明のベクターで軽鎖可変領域をコードする核酸分子及び重鎖可変領域をコードする核酸分子は、プロモーターと作動的に結合(operatively linked)されている。
【0077】
本明細書で、用語“作動的に結合された”は、核酸発現調節配列(例:プロモーター、シグナル配列、または転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との間の機能的な結合を意味し、これによって前記調節配列は前記他の核酸配列の転写及び/又は翻訳を調節するようになる。
【0078】
本発明の組換えベクターシステムは当業界に公知された多様な方法により構築されることができ、これに対する具体的な方法は Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されており、この文献は本明細書に参照として挿入される。
【0079】
本発明のベクターは典型的にクローニングのためのベクターまたは発現のためのベクターとして構築できる。
【0080】
また、本発明のベクターは原核細胞または真核細胞を宿主にして構築できる。
【0081】
例えば、本発明のベクターが発現ベクターであり、真核細胞を宿主にする場合には、哺乳動物細胞のゲノムから由来したプロモーター(例:メタロチオネインプロモーター、β−アクチンプロモーター、人のヘモグロビンプロモーター、及び人の筋肉クレアチンプロモーター)、または哺乳動物ウイルスから由来したプロモーター(例:アデノウイルス後期プロモーター、バクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーターエプスタインバーウイルス(EBV)のプロモーター、及びラウスサルコーマウイルス(RSV)のプロモーター)が用いられ、転写終結配列としてポリアデニル化配列を一般的に有する。
【0082】
本発明のベクターはそれから発現される抗体の精製を容易にするために、他の配列と融合されることもできる。
【0083】
融合される配列は、例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(Pharmacia、USA)、マルトース結合蛋白質(NEB、USA)、FLAG(IBI、USA)、及び6×His(hexahistidine;Quiagen、USA)などがある。
【0084】
また、本発明のベクターにより発現される蛋白質が抗体であるので、精製のための追加的な配列無しでも、発現された抗体は蛋白質Aコラムなどを通じて容易に精製することができる。
【0085】
一方、本発明の発現ベクターは選択標識であって、当業界で通常的に用いられる抗生剤耐性遺伝子を含み、例えばアンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムペニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゼネチシン、ネオマイシン、及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。
【0086】
本発明の更に他の態様によれば、本発明は前記組換えベクターに形質転換された宿主細胞を提供する。
【0087】
本発明のベクターを安定し、かつ連続的にクローニング及び発現させることができる宿主細胞は、当業界に公知されて如何なる宿主細胞も用いることができ、例えば、前記ベクターの適した真核細胞宿主細胞は猿の腎臓細胞7(COS7:monkey kidney cells)、NSO細胞、SP2/0、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞、W138、幼いハムスター腎臓(BHK:baby hamster kidney)細胞、MDCK、骨髄種細胞株、HuT 78細胞、及びHEK−293細胞を含むが、これに限定されるものではない。
【0088】
本発明の更に他の態様によれば、本発明は、(a)前述した本発明のヒトSema3A抗体またはその抗原結合断片の薬剤学的有効量;及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む癌予防または治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0089】
本発明の薬剤学的組成物は、前述した本発明のヒトSema3A抗体またはその抗原結合断片を有効性分に用いるので、この両者間に共通された内容は反復記載により本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0090】
以下の実施例で立証されたように、本発明のヒトSema3A抗体は高い抗Sema3A結合及びこれに従うSema3A機能抑制によって多様な癌腫由来の癌細胞の成長を抑制し、Sema3Aと下部信号伝達物質であるERKのリン酸化を抑制することによって、Sema3A信号伝達を抑制して、癌細胞の移動を抑制する。したがって、本発明の抗体は癌の予防及び治療に非常に有効である。
【0091】
本発明の組成物により予防または治療できる癌は当業界に公知された多様な癌を含み、例えば乳癌、大腸癌、肺癌、胃癌、肝臓癌、血液癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、脳癌、子宮癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、結腸癌、卵巣癌、直膓癌、膣癌、小腸癌、内分泌癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、前立腺癌、気管支癌、膀胱癌、腎臓癌、及び骨髄癌を含む。
【0092】
具体的に、本発明の組成物により予防または治療できる癌はSema3A発現癌である。
【0093】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は製剤時に通常的に用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、珪酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアル酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0094】
本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の以外に潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。
【0095】
適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0096】
本発明の薬剤学的組成物は、非経口投与することができ、例えば静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入などにより投与することができる。
【0097】
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により多様であり、普通に熟練した医師は希望する治療または予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。本発明の好ましい具現例によれば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は0.0001−100mg/kgである。
【0098】
本明細書で用語“薬剤学的有効量”は癌の予防または治療に十分な量を意味する。
【0099】
本発明の薬剤学的組成物は当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって、単位用量形態に製造されるか、または多用量容器内に内入させて製造できる。
【0100】
この際、剤形はオイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態、またはエキス剤、散剤、座剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤形態であることもあり、分散剤または安定化剤を追加的に含むことができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明しようとする。これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨に従って本発明の範囲がこれら実施例により制限されないということは当業界で通常の知識を有する者において自明である。
【0102】
実施例1:組換えヒトSema3A蛋白質を用いたパニング
既存に製作された合成scFv抗体断片ファージライブラリー(Yang et al., Mol. Cells. 27:225− 235, 2009)を用いてヒトSema3Aに結合するscFv抗体断片をファージディスプレイスクリーニングを通じて同定した。ファージディスプレイスクリーニング過程は、
図1と同一である。
【0103】
より詳しくは、大腸菌宿主ER2537内に導入されているファージミド(phagemid)ベクターをファージ(phage)形態に回収するために4個の下位ライブラリーサンプルを各400mlの培養培地(SB/アンピシリン/2%グルコース)で2時間培養する。0.D600で吸光度が0.5−0.7位になれば、5,000gで20分間遠心分離して上層液を除去後、400mlの2次培養培地(SB/アンピシリン)内に浮遊させた後、10
12pfu(plaque forming unit)のヘルパーファージ(VCSM13)を添加して1時間培養する。
【0104】
次に、カナマイシン抗生
剤を70μg/ml添加した後、30℃で夜通し培養を行ってファージライブラリーが宿主細胞の外に分泌できるようにする。次に、遠心分離により得た培養物はPEG(polyethylene glycol)溶液を用いてファージ形態のみ沈殿させてファージライブラリーのみを得る。
【0105】
このように得られたファージライブラリーを用いてファージディスプレイスクリーニングを実施し、これはパニングを繰り返して進行された。カウントされた下位ライブラリーを約2.5×10
12pfu水準に集めた後、TBS内に10μg/ml水準に希釈されたrhSema3A−Fc蛋白質がコーティングされた免疫チューブ(immunotube)に1時間処理した。処理前、免疫チューブ及びファージ粒子は3%全脂乳を含有したブロッキング溶液で1時間処理して非特異的な結合を防止した。免疫チューブをTBST(0.1% Tween20)溶液で洗浄した後、100mM TEAを10分間静置することによって、Sema3Aに結合されたファージを回収した。回収したファージ(output)数の確認のために宿主細胞に感染させた後、培養培地でカウントした。残余回収溶液は3,000rpmで15分間遠心分離させて沈んだER2537を培養培地(SB)500μlで混ぜた後、15cm培養培地に塗抹して培養後、5mlのSB培養培地(50% グリセロール)を添加してコロニーを回収及び保管(−80℃)した。
【0106】
続いて繰り返しのパニングを進行するために保管された前回次ファージ溶液のうち、50μlを取ってファージ粒子増幅作業を遂行した。
【0107】
宿主細胞であるER2537に培養後、ヘルパーファージを入れて回収されたファージ粒子はPEG沈殿を通じて分離し、これを次回のパニング時にも同一に使用した。
【0108】
パニングの回数が増えるにつれて、パニング前と比較してパニング後のファージ粒子の割合が増加することを確認し、これはパニングを経てSema3Aに特異的なファージ粒子が増幅されることを意味する。この数値は
図2に明示されている。
【0109】
実施例2:抗Sema3A scFv候補選別のためのELISA及び配列分析
4回目のパニングで回収されたファージ粒子は宿主細胞ER2537に感染を通じて培養培地でコロニーと確認された。このコロニーを取って200μl SB/アンピシリン培養培地が加えられて96ウェルプレートに接種後、37℃、2−3時間培養した。
【0110】
次に、scFv−pIII蛋白質発現誘導のために各ウェルに最終濃度1mMのIPTG(Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranoside)を処理し、30℃で夜通し培養した。培養したプレートは3,000rpmで15分間遠心分離して上層液を除去した。
【0111】
その後、培養細胞の周辺細胞質(periplasm)内にあるファージ粒子を回収するために、各ウェル当たり40μlのTES溶液(20%w/vスクロース、50mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)を入れて、4℃で30分間静置することによって、細胞を溶解させた。
【0112】
その後、60μlの0.2×TES溶液を処理して4℃で30分間置いて浸透圧で細胞を溶解させた。
【0113】
溶解後、プレートを3,000rpmで15分間遠心分離させて上層液のscFv−pIII蛋白質を得る。
【0114】
予め準備したSema3A蛋白質がコーティングされた96ウェルプレートに得た上層液のうちの25μlを各該当ウェルに添加した後、1時間の間室温で結合させた後、TBSTと蒸溜水を用いて6回の洗浄過程を経る。
【0115】
この後、scFv−pIIIのHAタグに結合できるHRPが結合された抗HA抗体を用いて1時間の間室温で結合させた後、TBST(0.1% Tween20)と蒸溜水を用いて6回の洗浄過程を経る。
【0116】
TMB溶液を用いた発色反応を誘導した後、H
2SO
4溶液で発色反応を止めて、O.D. 450nmでその値を測定する。総分析されたクローン数は86個であり、このうち、52個のクローン(結合能倍数>2)がSema3Aに対する高い結合能を示した(
図3)。
【0117】
対照群にはBSA溶液が使われ、この52個クローンのうち、再確認ELISAを通じて結合能が高い31個のクローンを選択した(
図4)。
【0118】
その後、31個のクローンからファージミドを回収した後、DNA配列分析を進行し、総5個の異なる配列を有するクローンが選別された。
【0119】
A08は3個、F11は21個、C10は2個の同一なDNA配列を有するクローンが存在し、その他にA10、E10クローンは異なるDNA配列を有すると確認された(
図5)。
【0120】
同一配列のクローンがたくさん出た順に、F11、A08、C10が最終的なSema3A scFv候補として選択された。
【0121】
実施例3:抗Sema3A scFv蛋白質生産及びSema3A結合能確認
ファージミドの基本構成は
図6で確認できるが、前記の過程で使われた宿主細胞ER2537の場合、phage pIIIの前に位置した転写抑制コドン(amber codon(UAG))を抑制するので、scFv単独発現が不可能である。
【0122】
したがって、非抑制宿主(non−suppressor strain)である発現菌株(TOP10F’)を用いてファージミドを発現菌株内に形質導入した。以後、DNA配列分析を通じて各ファージミドが突然変異無しで導入された発現菌株を確認し、この発現菌株をコロニーとして取った後、LB/アンピシリン培養培地3mlに接種後、37℃で夜通し培養した。
【0123】
以後、夜通し培養させた培養液3mlは400ml培養培地(SB/アンピシリン)に移しOD600で0.5−0.7になるまで培養し、最終濃度1mM IPTGを添加して30℃で夜通し培養した。培養液は遠心分離後TES溶液40mlを用いて発現宿主を溶解させた後、0.2×TES 60mlを投入して周辺細胞質内のファージ粒子を回収し、回収した上層液は0.45μmフィルターを通じて濾過された。
【0124】
濾過された溶液内に存在するscFv蛋白質はHis−tag精製のためにNi−NTAビーズ(Qiagen)1mlが添加されて常温で1時間結合され、以後、重力コラム(gravity column、Bio−rad)にパッキングされて200mMイミダゾール溶液を通じて回収された。
【0125】
各クローンの発現及び精製後、SDS−PAGE及びクマシー染色(coomassie blue staining)を通じてscFv該当サイズである約28kDaを確認し、結果は
図7に明示されている。
【0126】
精製されたscFv形態の各クローンのDNA配列は、表1及び表2に記載した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
ヒトSema3Aに対する各抗体断片蛋白質の濃度に従う結合能を測定するために、各々200ngの
Sema3A、BSAがコーティングされた96ウェルに各scFvを2,000ng/ml、1,000ng/ml、500ng/ml、250ng/ml、125ng/ml、62.5ng/ml、31.25ng/ml、15.62ng/ml濃度で処理してOD値変化を分析した。
【0130】
Sema3Aに対する結合能のサイズがA08、C10、F11 scFvの場合、高濃度になるほどBSA対比Sema3Aに結合したscFvが増加することがOD値変化を通じて分かり、これは
図8で確認することができる。
【0131】
実施例4:抗Sema3A scFvの細胞成長抑制能と細胞移動抑制能確認
Sema3A蛋白質に対する結合能をELISAで確認した後、実際の細胞が分泌するSema3Aに対する抗癌能力を検証するために細胞増殖分析法と細胞移動分析法を用いた。
【0132】
まず、Sema3Aを分泌するのかサンドイッチELISAで確認した結果、保有した患者由来細胞中に559はSema3Aを少なく分泌する一方、131と83は過分泌することを確認した。培地とNPCは陰性対照群として使われて、U87−MG細胞は陽性対照群として使用した(
図9)。
【0133】
細胞増殖分析法を遂行するために5×10
3個の559細胞と131細胞を用いて50μg/mlの抗Sema3A scFv処理した。処理後、4日後にEZ−Cytox細胞生存能アッセイキット(Daeil Lab. Service)を用いて細胞成長速度を測定した。
【0134】
Sema3Aを少なく分泌する559細胞は、抗Sema3A scFv処理後、細胞成長速度変化がない一方、Sema3A過分泌する131細胞の場合、抗Sema3A scFvを処理後、対照群対比70%の細胞成長速度を示した(
図10)。
【0135】
抗Sema3A scFvを用いた細胞移動抑制能を確認するためにSema3A過分泌細胞であるU87−MG、131、83細胞を用いて細胞移動分析法を遂行した。
【0136】
まず、transwell(Corning)にPLO(Poly−L−Ornithine)を入れて室温で30分間コーティングさせた後、自然乾燥させた。U87−MG細胞の場合、100μlの成長因子が抜けたDMEM培養液に5×10
4個のU87−MG細胞と3種のSema3A scFv 50μg/mlを盛ってトランスウェルに入れて、下のウェルには10%FBS(Fetal bovine serum)を含んだDMEM培養液600μlを入れて、37℃で夜通し培養した。患者由来細胞である131と83細胞は成長因子(EGF及びbFGF)がない100μl NBA培養液に各々の1×10
5細胞と3種のSema3A scFvを入れて、下のウェルには成長因子を含んだNBA培養液を入れて、37℃で夜通し培養した。
【0137】
次いで、12ウェルにメタノール(Methanol)、ヘマトキシリン(Hematoxylin)、エオシン(Eosin)600μlをトランスウェル当たり1つずつ準備した後、トランスウェルをメタノールに1分間置いた後、ヘマトキシリンに5分静置して核を染色した。
【0138】
次に、水で洗浄した後、水気をなくして、エオシンに30秒間置いて細胞質を染色させ、また水で洗浄して綿棒でトランスウェル内側に清潔に拭いた。
図11を見ると、核はヘマトキシリンにより、細胞質はエオシンにより染色されたことを観察することができる。
【0139】
U87−MG細胞の場合、Sema3A scFv抗体断片を処理しない対照群を100%細胞移動されたと見た時、A08抗体断片を入れた細胞の場合、78%、C10抗体断片は70%、F11抗体断片は74%の減少した細胞移動を示した(
図11)。
【0140】
患者由来細胞である131、83の場合は、各々A08抗体断片を入れた細胞の場合、11%、21%を示し、C10抗体断片は19%、44%の細胞移動を、F11抗体断片は7%、28%の減少した細胞移動を示した(
図12、13)。
【0141】
3種のSema3A抗体断片は細胞株U87−MGより患者由来細胞である131、83細胞で細胞移動阻害させる効果がより大きく示されて、癌細胞の細胞移動を阻害させる抗癌剤への可能性を示した。
【0142】
実施例5:抗Sema3A抗体断片からのIgGの生産
抗−Sema3A抗体断片をIgG形態に形態転換のためにSema3A scFvの重鎖配列と軽鎖配列の遺伝子をExpi 293F発現システム(life technologies)を用いて形質注入した。
【0143】
培養液にあるSema3A IgGを得るためにAKTA蛋白質精製システムとAmicon遠心分離フィルターを用いて精製し、生産量は、A08は118mg/L、C10は138mg/L、F11は330mg/Lであった。
【0144】
精製された抗Sema3A抗体の純度を知るために高速液体クロマトグラフィーを導入した。IgGのサイズが150kDであるので、マーカーピークで16.388分で出る物質に該当する。
【0145】
3種のSema3A抗体(A08、C10、F11)がこのピークで検出されたものであり、純度は98%、98.5%、99%と確認された。
【0146】
SDS PAGE及びクマシー染色を行ってサイズに従う抗Sema3A IgG形態を確認した。還元させない条件ではIgGサイズである150KDでバンドが検出され、還元させた条件ではジスルフィド結合が破られて重鎖配列と軽鎖配列のサイズが各々50KD、25KDと出た(
図15)。
【0147】
Sema3Aに対する3種のSema3A抗体の結合能を知るために2つの濃度条件(500nM、50nM)でELISAを遂行した。陰性対照群にBSAを用い、マウスSema3AとヒトSema3A蛋白質を実験群に使用した。
【0148】
3種のSema3A抗体がヒトSema3AとマウスSema3Aに対する結合能を有することを確認し、これは
図16で確認することができる。ヒトSema3Aの他にもマウスSema3Aにも結合能を有する理由は他の蛋白質に比べて種間特異性が少なくてヒトSema3AとマウスSema3A配列のホモロジーが98%以上になるので、ヒト及びマウスSema3Aに交差結合能を有することと思われる(
図16)。
【0149】
3種の抗−Sema3A抗体のヒトSema3A、マウスSema3Aに対する結合力を測定するためにBiacore systemを用いたSPR analysisで分析した。
【0150】
ヒトSema3Aに対する結合力はA08(KD=1.187E−9)、C10(KD=5.312E−10)、F11(KD=5.617E−10)であり、マウスSema3Aに対する結合力はA08(KD=4.221E−9)、C10(KD=3.090E−9)、F11(KD=3.272E−10)と測定された。
【0151】
したがって、3種の抗−Sema3A抗体が交差反応性を示すことを確認し、特にF11がヒトSema3AとマウスSema3Aに対する結合力を最も高いことを確認した(
図17)。
【0152】
実施例6:抗Sema3A IgGの細胞移動抑制能確認
先に抗Sema3A scFvの癌細胞移動抑制を確認したように、IgG形態に転換された3種のSema3A抗体(A08、C10、F11)の癌細胞移動抑制能を再検証した。Sema3Aを過分泌するU87−MG、131、83細胞と2μg/mlの抗Sema3A抗体を用いて細胞移動法を遂行した。細胞移動法は
図11から
図13のような方法により遂行し、先に記述されている。
【0153】
U87−MG細胞ではA08が50%として一番高い細胞移動抑制能を示し(
図18)、131、83細胞ではF11が効果が最も高かったし、74%、52%として対照群に比べて低い細胞移動を示した(
図19、20)。
【0154】
大腸癌でSema3Aが関与する細胞移動にERKシグナルメカニズムが関連しているという研究(Neufeld, G et al., Cold Spring Harbor perspectives in medicine,2012)と膠芽細胞腫でSema3AがRho/ROCK信号機作と共にERKシグナルメカニズムが関連しているという研究(Zohrabian, V. M., Anticancer research , 119−123,2009)が報告されている。
【0155】
1×10
6個の83細胞とF11(50μg/ml)を30分間37℃で処理後、ウェスタンブロッティングを遂行してERKのリン酸化を抑制するのか確認した。8%ゲルでSDS−PAGE蛋白質電気泳動を進行し、p−ERK、ERK、β−アクチンを抗体として探知した。
【0156】
対照群とF11を処理した実験群を比較した結果、ERKとβ−アクチンは変わりがなかったし、ERKのリン酸化が減ることを確認した(
図21)。
【0157】
これで、抗Sema3A抗体がSema3Aの下位伝達物質のうち、ERKリン酸化を抑制させて細胞移動抑制することを確認した。
【0158】
実施例7:抗Sema3A IgGの細胞成長抑制能確認
Sema3Aが膠芽細胞腫細胞成長に関与するのかを知るために、組換えヒトSema3Aを131、83細胞に処理した後、細胞成長変化を調べた。Eduを用いた細胞増殖アッセイ(proliferation assay)を進行した結果、各々20%、15%の細胞成長が増加することを確認した(
図22)。
【0159】
次に、131細胞を用いて抗−Sema3A抗体であるF11を処理した結果、抗体濃度に従う細胞成長抑制を示すことを確認し、最高濃度である2μMで対照群対比40%抑制を示すことを確認した(
図23)。
【0160】
実施例8:131皮下モデルを用いた抗Sema3A IgGの効能評価
In vivoで抗−Sema3A F11の抗癌効能を確認するためにSema3Aを過分泌する膠芽細胞腫131細胞を用いた異種移植モデルを作製した。
【0161】
抗−Sema3A F11を5mg/kg、25mg/kgずつ3週間注入(i.v.)した後、腫瘍サイズを確認した結果、25mg/kg(3回/週)注入した群の腫瘍が対照群対比60%サイズが減少することを確認した(
図24)。個体群の腫瘍重さの変化も腫瘍サイズ比較と類似するように算出された(
図25)。
【0162】
注入された抗−Sema3A抗体による特異的な体重変化は確認されなかった(
図26)。対照群と最も効能が高く示されたグループ3組織(F11 25mg/kg、3回/週)に対して免疫蛍光染色を遂行し、抗−Sema3Aを処理した群の組織でSema3Aとp−ERKが明確に減少することを確認した。
【0163】
また、対照群対比TUNEL陽性細胞が増加することによって、細胞死滅効果も観察した(
図27)。Sema3AがTAM infiltrationに関与するという論文がたくさん報告されている(Casazza A, et al. Cancer cell. 2013; 24(6):695−709/Hu ZQ, et al. Oncotarget. 2016.)。
【0164】
したがって、これを確認するためにマクロファージマーカーであるIba1染色を通じてSema3A抗体によるTAM分布が減少することも確認した(
図28)。