特許第6886477号(P6886477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘキサゴン テクノロジー アーエスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886477
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】圧力容器用の端部損傷保護要素
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20210603BHJP
   F17C 1/06 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   F17C13/00 301Z
   F17C1/06
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-547309(P2018-547309)
(86)(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公表番号】特表2019-507856(P2019-507856A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】US2017021046
(87)【国際公開番号】WO2017155917
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2019年10月8日
(31)【優先権主張番号】62/304,540
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スキメンティ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イェギー ブライアン シー.
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−108971(JP,A)
【文献】 特開2013−142453(JP,A)
【文献】 特開2017−129193(JP,A)
【文献】 特開2006−038156(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/096517(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C1/00−13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を有するとともにドーム型の端部を備える圧力容器の損傷を防止するように構成された装置であって、前記装置が、
前記ドーム型の端部に配置されるように構成される要素であって、前記要素、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、前記ドーム型の端部の外表面に取り付けられるように構成されており、前記要素が取付特徴部を備え前記取付特徴部がスナップフィットジョイントを備える、要素と、
前記取付特徴部を介して前記要素に結合されるように構成される保護キャップと、
前記保護キャップの容器対向面に結合されるように構成され、かつ、前記スナップフィットジョイントと結合するように構成されるインサートと、
を備える装置。
【請求項2】
外表面を有するとともにドーム型の端部を備える圧力容器の損傷を防止するように構成された装置であって、前記装置が、前記ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、前記要素が、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、前記ドーム型の端部の外表面に取り付けられるように構成され、前記要素が複数の放射状に延在するタブを備える、装置。
【請求項3】
前記要素は、
複数の隆起部と、
2つの隣接する前記隆起部の間の低部と、
を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
外表面を有するとともにドーム型の端部を備える圧力容器の損傷を防止するように構成された装置であって、前記装置が、前記ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、前記要素は、
前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、前記ドーム型の端部の外表面に取り付けられるように構成され、かつ、
複数の隆起部を備え、前記複数の隆起部のうちの少なくとも1つが四角錐台として成形され、かつ、
2つの隣接する前記隆起部の間に低部を備える、装置。
【請求項5】
前記要素が環状である、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
外表面を有するとともにドーム型の端部を備える圧力容器の損傷を防止するように構成された装置であって、前記装置が、前記ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、
前記要素が、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、前記ドーム型の端部の外表面に取り付けられるように構成され、
前記要素が、複数の隆起部と、2つの隣接する前記隆起部の間に低部と、を備え、前記低部は複数の低部のうちの1つであり、
前記複数の隆起部と前記複数の低部とは、交互のパターンにて配置される、装置。
【請求項7】
要素を圧力容器に取り付けるための方法であって、前記圧力容器は、外表面を有するとともにドーム型の端部を備え、前記方法は、
前記ドーム型の端部において前記圧力容器の外表面上に前記要素を配置することと、
前記要素を前記ドーム型の端部に取り付けるために、複数のフィラメントバンドを、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けることと、
を含み、
前記要素は、複数の隆起部と、2つの隣接する前記隆起部の間の低部と、を備え、前記複数のフィラメントバンドを巻き付けることは、前記複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つを前記低部に巻き付けることを含む、方法。
【請求項8】
要素を圧力容器に取り付けるための方法であって、前記圧力容器は、外表面を有するとともにドーム型の端部を備え、前記方法は、
前記ドーム型の端部において前記圧力容器の外表面上に前記要素を配置することと、
前記要素を前記ドーム型の端部に取り付けるために、複数のフィラメントバンドを、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けることと、
を含み、
前記要素は、複数の放射状に延在するタブを備え、前記複数のフィラメントバンドを巻き付けることは、前記複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つを、前記複数のタブのうちの少なくとも1つに巻き付けることを含む、方法。
【請求項9】
前記要素が取付特徴部を備え、前記方法が、保護キャップを前記取付特徴部にて前記要素に結合することをさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
外表面を有するとともにドーム型の端部を備える圧力容器と、該圧力容器の損傷を防止するように構成された装置とを備えるアセンブリであって、
前記装置が、前記ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、前記要素が、前記ドーム型の端部上にかつ前記要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、前記ドーム型の端部の外表面に取り付けられるように構成され、
前記要素が複数の放射状に延在するタブを備え、前記複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つが、前記複数のタブのうちの少なくとも1つに巻き付けられる、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
圧力容器は、通常、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び、他の燃料、等の様々な流体を加圧状態で収容するために用いられる。一般的に、圧力容器は、任意のサイズ又は形状とされ得る。これら容器は、例えば、重くても軽くてもよく、1回使用(例えば、使い捨て)であっても再利用可能でもよく、高圧(例えば、50psi(約344.738kPa)より高い)又は低圧(例えば、50psi(約344.738kPa)より低い)を受けてもよく、又は、高温又は低温で流体を貯蔵するために用いられてもよい。
【0002】
適切な圧力容器シェル材料は、例えば、鋼等の金属、又は、熱硬化性又は熱可塑性樹脂により互いに接着される、巻き付けられた、ガラス繊維フィラメント又は他の合成フィラメントの積層体にて形成され得る複合材料を含む。容器の複合材構造は、重量の軽さ、及び、耐腐食性、耐疲労性及び致命的な破損に対する耐性、等の多数の利点をもたらす。これらの特性は、少なくとも一部においては、複合材圧力容器の構造において典型的には主要な力の方向に配向される強化繊維又はフィラメントの高比強度によるものである。
【0003】
ライナ又はブラダは、流体透過バリアとして機能し、それにより容器を密閉するように、複合材圧力容器シェル内に配置されることが多い。このようなライナは、非金属の弾性材料により形成されることが多く、内部流体が複合材料に接触することを防止する。
【0004】
圧力容器は、輸送中及び使用中に、例えば、他の物体との衝突、又は、落下により、損傷を受ける。所望の圧力にて流体を保持するための容器の性能は、このような損傷により損なわれ得る。損傷軽減のための既存の手法は、容器の端部に保護キャップを接着することである。しかしながら、単に容器に接着されるだけのキャップは、容器の使用中に外れる可能性がある。別の手法は、米国特許第5,476,189号明細書にて説明され、以下でさらに論じられ、参照により本明細書に援用されるような、シェル厚さを増大すること、エラストマーシェル被覆を適用すること、及び、追加のシェル材料により完全に覆われるか又は封入される保護層又は端部キャップを付加すること、を含む。追加の被覆又は層は、一般的に、損傷軽減要素又は容器全体を完全に覆うため、これらの手法は、材料の使用量の著しい増加、及び、製造の複雑さという不利な点を有する。
[概要]
一態様において、アセンブリは、外表面を有するドーム型の端部を備える、流体を収容するための圧力容器と、ドーム型の端部に配置される要素と、を備え、該要素は、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、外表面に取り付けられる。
【0005】
別の態様においては、容器への損傷を防止するための装置が説明され、容器は、外表面を有するドーム型の端部を備える。装置は、ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、該要素は、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、外表面に取り付けられるように構成される。
【0006】
さらに別の態様においては、要素を容器に取り付けるための方法が説明される。容器は、外表面を有するドーム型の端部を備える。この方法は、要素をドーム型の端部に配置することと、要素をドーム型の端部に取り付けるために、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って複数のフィラメントバンドを巻き付けることと、を含む。
【0007】
本開示は、その様々な組み合わせにおいて、装置又は方法の形態で、次の項目のリストにより特徴づけられてもよい。
1.外表面を有するドーム型の端部を備える、流体を収容するための圧力容器と、ドーム型の端部に配置される要素と、を備えるアセンブリであって、要素が、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、外表面に取り付けられる、アセンブリ。
2.要素が取付特徴部を備える、項目1に記載のアセンブリ。
3.アセンブリが保護キャップをさらに備え、保護キャップは、取付特徴部を介して要素に結合される、項目2に記載のアセンブリ。
4.取付特徴部がスナップフィットジョイントを備え、アセンブリが、保護キャップの容器対向面に結合されるインサートをさらに備え、インサートが、スナップフィットジョイントと結合するように構成される、項目3に記載のアセンブリ。
5.要素が、複数の隆起部と、2つの隣接する前記隆起部の間の低部と、を備え、複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つが低部に巻き付けられる、項目1〜4のいずれか1つに記載のアセンブリ。
6.要素が環状である、項目1〜5のいずれか1つに記載のアセンブリ。
7.要素が複数の放射状に延在するタブを備え、複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つが、複数のタブのうちの少なくとも1つに巻き付けられる、項目1〜6のいずれか1つに記載のアセンブリ。
8.外表面を有するドーム型の端部を備える、容器の損傷を防止するための装置であって、装置が、ドーム型の端部に配置されるように構成される要素を備え、要素が、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンドにより、外表面に取り付けられるように構成される、装置。
9.要素が取付特徴部を備える、項目8に記載の装置。
10.装置が保護キャップをさらに備え、保護キャップが、取付特徴部を介して要素に結合されるように構成される、項目9に記載の装置。
11.取付特徴部がスナップフィットジョイントを備え、装置が、保護キャップの容器対向面に結合されるように構成されるインサートをさらに備え、インサートがスナップフィットジョイントと結合するように構成される、項目10に記載の装置。
12.要素が複数の放射状に延在するタブを備える、項目8〜11のいずれか1つに記載の装置。
13.要素が、複数の隆起部と、2つの隣接する隆起部の間の低部と、を備える、項目8〜12のいずれか1つに記載の装置。
14.複数の隆起部のうちの少なくとも1つが四角錐台として成形される、項目13に記載の装置。
15.要素が環状である、項目8〜14のいずれか1つに記載の装置。
16.要素が、環状の形状と、複数の隆起部と、複数の低部と、を備え、複数の隆起部と複数の低部とが交互のパターンにて配置される、項目8〜15のいずれか1つに記載の装置。
17.要素を容器に取り付けるための方法であって、容器は、外表面を有するドーム型の端部を備え、当該方法は、要素をドーム型の端部に配置することと、要素をドーム型の端部に取り付けるために、複数のフィラメントバンドを、ドーム型の端部上にかつ要素の少なくとも一部を横切って巻き付けることと、を含む方法。
18.要素が、複数の隆起部と、2つの隣接する隆起部の間の低部と、を備え、複数のフィラメントバンドを巻き付けることは、複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つを低部に巻き付けることを含む、項目17に記載の方法。
19.要素が複数の放射状に延在するタブを備え、複数のフィラメントバンドを巻き付けることは、複数のフィラメントバンドのうちの少なくとも1つを、複数のタブのうちの少なくとも1つに巻き付けることを含む、項目17又は18に記載の方法。
20.要素が取付特徴部を備え、本方法が、保護キャップを取付特徴部にて要素に結合することをさらに含む、項目17〜19のいずれか1つに記載の方法。
【0008】
本概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念を、単純化された形態で紹介するために提供される。本概要は、開示される又はクレームされる主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、開示される実施形態のそれぞれ又は開示されるもしくはクレームされる主題の全ての実施を述べることを意図するものではない。特に、1つの実施形態に関して本明細書で開示される特徴は、別の実施形態にも同様に適用することができる。さらに、本概要は、クレームされる主題の範囲を特定するための補助として用いられることを意図していない。多くの他の新たな利点、特徴、及び関係が、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。図面及び以下に続く説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
【0009】
開示される主題が、添付の図面を参照してさらに説明され、同様の構造又はシステム要素は、いくつかの図面を通して同様の参照番号により参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】典型的な圧力容器の側面図を示す。
図1B図1のB−B線における、典型的な圧力容器の端部の縦断面図を示す。
図2】本開示の第1の例示的な実施形態の端部要素の斜視図を示す。
図3】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図2の端部要素の端面図を示す。
図4】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図2の端部要素の斜視図を示す。
図5図2の端部要素を介して圧力容器に取り付けられた、本開示の保護端部キャップを備える第1の例示的な実施形態のアセンブリの斜視図である。
図6図5の6−6線における、図5のアセンブリの部分断面図である。
図7A】周方向に延びる隆起部を有する容器対向面を備える、本開示の別の例示的な保護端部キャップの(図5の6−6線におけるような)断面図を示す。
図7B】半径方向に延びる隆起部を有する容器対向面を備える、本開示のさらに別の例示的な保護端部キャップの(図5の6−6線におけるような)断面図を示す。
図7C】隆起特徴部の無い容器対向面を備える、本開示の別の例示的な保護端部キャップの(図5の6−6線におけるような)断面図を示す。
図8】本開示の第2の例示的な実施形態の端部要素の斜視図を示す。
図9】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図8の端部要素の端面図を示す。
図10】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図8の端部要素の斜視図を示す。
図11図8の端部要素を介して圧力容器に取り付けられた保護端部キャップを備える、第2の例示的な実施形態のアセンブリの部分断面図である。図11は、図10の11−11線における断面図であるが、図11では、さらに保護端部キャップが追加されている。
図12】本開示の第3の例示的な実施形態の端部要素の斜視図を示す。
図13】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図12の端部要素の端面図を示す。
図14】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図12の端部要素の斜視図を示す。
図15図12の端部要素を介して圧力容器に取り付けられる保護端部キャップを備える、第3の例示的な実施形態のアセンブリの部分断面図である。図15は、図14の15−15線における断面図であるが、図15では、さらに保護端部キャップが追加されている。
図16】本開示の第4の例示的な実施形態の端部要素の斜視図を示す。
図17】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図16の端部要素の端面図を示す。
図18】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図16の端部要素の斜視図を示す。
図19】固定具及び図16の端部要素を介して圧力容器に取り付けられる保護端部キャップを備える、第4の例示的な実施形態のアセンブリの分解断面図を示す。図19は、図18の19−19線における断面図であるが、図19はさらに、保護端部キャップが追加され、互いに分離された要素を示す。
図20】保護端部キャップと一体的に形成された押し込み式の固定具を用いて、図16の端部要素を介して圧力容器に取り付けられる保護端部キャップを備えるアセンブリの拡大された縦断面図である。
図21】保護端部キャップと一体的に形成された別の押し込み式の固定具を用いて、図16の端部要素を介して圧力容器に取り付けられる保護端部キャップを備えるアセンブリの拡大された縦断面図である。
図22】インサート、固定具、及び、スナップフィットジョイントを含む図16の端部要素の変形された実施形態を介して圧力容器に取り付けられる保護端部キャップを備える第5の例示的な実施形態のアセンブリの縦断面の斜視分解図を示す。
図23図22のアセンブリの背面側から見た分解図を示す。
図24】部分的に組み立てられた状態の図22の端部要素及び圧力容器の縦断面の拡大された部分斜視図を示す。
図25】組み立てられた状態の図22のアセンブリの部分縦断面図を示す。
図26】例示的な実施形態の、取付特徴部を備える保護端部キャップ、孔を備える図22のインサート、及び、固定具、の拡大分解図を示す。
図27】固定具により保護端部キャップに結合され、スナップフィットジョイントにより端部要素に結合されるインサートを示す、図22のアセンブリの拡大断面図を示す。
図28】本開示の第6の例示的な実施形態の端部要素の斜視図を示す。
図29】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図28の端部要素の端面図を示す。
図30】巻き付けられたフィラメントにより圧力容器の端部に取り付けられた、図28の端部要素の斜視図を示す。
図31】圧力容器の端部に取り付けられた図28の端部要素を備える、第6実施形態のアセンブリの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上で特定された図面は、開示される主題のいくつかの実施形態を説明する一方で、本開示で述べられるように、他の実施形態もまた想定される。全ての場合において、本開示は、開示される主題を代表的な例として提示するものであり、限定するものではない。本開示の原理の範囲に該当する多数の他の変形及び実施形態が、当業者により考案され得ることが理解されるべきである。
【0012】
図面は、寸法比率が正しくない可能性がある。具体的には、いくつかの特徴は、明確にするために、他の特徴に対して拡大される場合がある。さらに、上方(above)、下方(below)、上(over)、下(under)、上部(top)、底部(bottom)、側部(side)、右、左、垂直方向、水平方向等の用語が用いられる場合、それらは、説明の理解を容易にするためにのみ用いられることを理解されたい。構造物は、別の向きであってもよい。
[詳細な説明]
本開示は、信頼性があり、かつ、低コストな方法で、圧力容器を損傷から保護することが望ましいと認識する。圧力容器の端部は、その配置及びほぼ半球状の形状であることに起因して最も損傷を受ける可能性があるため、圧力容器の端部を保護することは特に関心が高い。例示的な実施形態において、端部要素は、容器の端部の周りにかつ端部要素の一部上を横切って巻き付けられるフィラメントにより、容器の端部に固定される。端部要素は、容器の製造時に容器に固定されてもよく、あるいは、後の時点で既存の圧力容器に組み込まれてもよい。例示的に開示される端部要素は、適切な保護特性を包含していてもよく、かつ/あるいは、保護端部キャップ等のアタッチメントに結合されるように構成されてもよい。例示的な実施形態において、端部要素は、フィラメントの巻き付けにより完全には覆われず、又は封入されず、それゆえに、開示される概念は、保護要素又は容器全体が複合材料の層により被覆されるいくつかの従来の保護システムにおけるよりも少ないフィラメント及び樹脂を使用する。さらに、硬化した巻き付けられたフィラメントによる端部要素の取り付けは、容器端部への保護キャップの接着よりも、より確実である。
【0013】
図1は、参照により本明細書に援用される、発明の名称が「損傷軽減システムを備える圧力容器」である米国特許第5,476,189号明細書にて開示されるような、細長い圧力容器10を示す。このような従来の圧力容器又はタンク10は、一般的に、加圧流体を貯蔵するために用いられる。容器10は、ドーム型の端部15を有するほぼ円筒状の本体部を備える。容器10の内部と連通するためのポートをもたらすために、ボス16が、容器10の一方又は両方の端部に設けられる。容器10は、外側複合材シェル14により被覆される流体不透過性内側ライナ12を有するように形成される。
【0014】
端部15は、半球状、又は、ドーム型の形状を有していてもよく、また、流体が容器10へ導入されること又は容器10から除去されることを可能にする孔18を有するボス16を備えていてもよい。ライナ12は、例えば、プラスチック材料又はエラストマー材料にて製造されてもよい。シェル14は、樹脂に包含される繊維又はフィラメントで製造される複合材料であってもよく、繊維は、たとえば、炭素、グラファイト、又は、アラミドであってもよい。この場合において、「複合材料」とは、フィラメントの巻付構造又は積層構造等の、繊維強化樹脂マトリクス材料を意味する。複合材シェル14は、容器10にかかる構造的荷重を解決する。例示的な圧力容器10の構成に関連する詳細は、参照により本明細書に援用される、発明の名称が「フィラメント巻き付けプロセス及び装置」である米国特許第4,838,971号明細書に開示されている。ボス16は、例えば、アルミニウム、真鍮、鋼、もしくは、ニッケル合金等の金属、又は、任意の好適な金属又は非金属材料にて形成されてもよい。例示的なボスの詳細は、参照により本明細書に援用される、発明の名称が「フィラメント巻付圧力容器のためのボス」である米国特許第5,429,845号明細書に開示されている。
【0015】
図2は、容器10に固定されるように構成される本開示の第1の例示的な実施形態の端部要素22aを示す。例示的な実施形態において、端部要素22aは、中心開口34aを有する環形状であり、離間した複数の隆起部28aと、2つの隣接する隆起部28a間の複数の平坦領域又は低部32aと、を備える。それゆえに、例示される実施形態において、隆起部28a及び低部32aは、端部要素22aを一周すると交互のパターンにて配置されている。中心開口34aは、円形として示されているが、任意の好適な形状の開口又は孔であってもよい。平坦領域又は低部32aは、ほぼ平面として示されているが、隆起部28aと比較して凹んだ任意の好適な形状又は外形を備えていてもよい。さらに、例示的な実施形態において、平坦領域又は低部32aは、精密に平ら又は平面ではなく、むしろ、圧力容器10のドーム型の端部15の外表面の凸形状に合わせるように、輪郭が平面からわずかに逸脱する。隆起部28aは、保護キャップ40(図7A〜7C参照)のようなアタッチメント上の対応する特徴部72に結合されるように構成される取付特徴部38aを備える。例示的な実施形態において、取付特徴部38aは、例えば、ねじ、リベット、押し込み式の固定具、フック、スナップ式タブ、又は、クリップといった、保護キャップ40上の、又は、保護キャップ40に取り付けるように構成される、又は、保護キャップ40を通る固定具(図19〜27参照)と位置が整合するように構成される孔である。あるいは、取付特徴部38aは、保護キャップ40上の相補的な特徴部と係合するように構成される、ねじ、リベット、押し込み式の固定具、フック、スナップインジョイント、又は、クリップ、等であってもよい。
【0016】
例示的な実施形態において、端部要素22aは、円形の環形状を有し、それぞれが端部要素22aの外周に沿って同様の長さを有する低部32a及び隆起部28aを備える。しかしながら、端部要素22a、また、その隆起部28a及び平坦部又は低部32aは、以下に説明されるような複数のフィラメントバンド44を用いて容器10への取り付けが可能な任意の形状及び外形を備えてもよいと考えられる。例示的な実施形態において、隆起部のそれぞれは、ほぼ四角錐台状に構成されるが、隆起部28aが低部32aに対して高くされ、かつ、取付特徴部38aを有する又は有しない上面30aを有する限りにおいて、他の形状を有することもまた可能である。例示的な実施形態において、端部要素22aは、射出成形又は真空成形により成形される固体ポリマーで構成されるが、端部要素22aは、任意の有用な材料にて、任意の好適なプロセスにより形成されてもよい。
【0017】
図3及び図4は、容器10のボス16が中心開口34aを通って挿入されるように、容器10の端部15に当接して配置される例示的な実施形態の端部要素22aを示す。要素22aは、ドーム型の端部15上にかつ要素22aの少なくとも一部を横切って巻き付けられる複数のフィラメントバンド44により、端部15の外表面に取り付けられる。例示的な実施形態において、端部要素22aは、端部要素22aが端部15の凸形状の外表面に対してほぼぴったり重なって配置されるように、端部15の曲率に沿うような輪郭を有する容器対向面を備える。
【0018】
端部要素22aは、複数のフィラメントバンド44により容器10に固定される。例示的な実施形態において、フィラメントバンド44は、例えば、グラスファイバ、炭素又はアラミド繊維のような繊維強化材料であってもよく、シェル14と同じ材料及びプロセスを用いて形成されてもよい。複数のバンド44のそれぞれが、複数の低部32aのうちの少なくとも1つを横切って、ボス16(及び、ボス16に隣接するいくつかの場所)を通り過ぎて延在し、さらに、複数の低部32aのうちの別の1つを横切るように、フィラメントバンド44は、容器10のシェル14に沿ってかつ端部要素22aを横切って延在する。複数のフィラメントバンド44は、フィラメントバンド44のうちの少なくとも1つが、隣接しない一対の低部32aのそれぞれを横切って巻き付けられるように配置され、それにより、容器10の端部15の周りに配置されるフィラメントバンド44の網状体46を形成する。網状体46により形成されるパターンは、フィラメントバンド44の数及び配置、ならびに、端部要素22aの形状及び構成に依存する。フィラメント網状体46を形成するために、フィラメントバンド44は、重ねられるか、交差するか、あるいは、その他の方法で集められる。例示的な実施形態において、フィラメント網状体46は、参照により援用される、米国特許第4,838,971号明細書にて説明されるような材料及びプロセスにより形成される。それゆえに、フィラメント網状体46のフィラメントバンド44のそれぞれは、巻き付けプロセスにおいて互いに構築される、多数のフィラメントから形成される。
【0019】
フィラメントバンド44は、端部要素22aの構成に応じて、いくつかの、又は、全ての低部32aを横切ることも想定される。例示的な実施形態において、フィラメントバンド44は、端部15を越えて、圧力容器10の円筒状本体に沿ってある程度の距離だけ延在する。例示的な実施形態において、フィラメントバンド44は、輪状の及び/又は螺旋状の巻付パターンに従う。フィラメントバンド44は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル等の熱硬化性樹脂、又は、容器10が用いられる用途に必要とされる性質を提供することができる任意の他の好適な材料により、互いに、また、容器10に対して接着されてもよい。それにより、端部要素22aは、網状体46と容器10の端部15との間で固定される。フィラメントバンド44が、隆起部28aの間に配置される低部32a上を横切ることにより、隆起部28aは、孔18及び圧力容器10の本体を通って長手方向に延びる軸42を中心に端部要素22aが回転することを防止するために役立つ、以下でさらに論じられる取付方法にて用いる、止め具として作用する。
【0020】
端部要素22を容器10に固定するために複数のフィラメントバンド44を用いることは、容器10全体、又は、単に端部要素15全体でさえが、フィラメント巻付層にて覆われる場合よりも少ないフィラメントを必要とする。網状体46の特定のパターンが例示されているが、フィラメントバンド44の他のパターンが、端部要素22を圧力容器10に固定するために用いられてもよい。取付特徴部38が設けられる実施形態の端部要素22において、網状体46は、取付特徴部38のうちの少なくともいくつかを露出されたままにすることが好ましい。
【0021】
例示的な実施形態において、端部要素22aは、アタッチメントが容器10へ取り付けられることを可能にし、かつ/あるいは、容器10が別の構造体に取り付けられることを可能にする。図5及び6の例示的なアセンブリ50aにおいて、取付アタッチメントは、保護キャップ40である。図5及び6は、端部要素22aを用いて容器10の端部15に取り付けられる保護キャップ40を備える第1実施形態のアセンブリ50aを示す。図6は、図5の6−6線における断面図である。端部要素22aは、ボス16が中心開口34aを通って挿入されるように、端部15に当接して配置される。フィラメントバンド44は、端部要素22aを横切って延在し、端部要素22aを容器10に取り付け、さらに、網状体46aを形成する。保護キャップ40は、キャップ40上の取付特徴部72(図7A〜7Cにおいて視認できる)を、端部要素22a上の取付特徴部38aに結合することにより端部要素22aに取り付けられる。このような取り付けのさらなる詳細は、例えば、図16〜27の他の実施形態を参照して以下に説明される。孔52周辺の保護キャップ40の端壁58は、網状体46に当接して配置され、周縁68は、容器10のシェル14の近傍に、シェル14の外周周りに延在するように配置される。
【0022】
図5は、端部要素22を介して容器10に取り付けられた保護キャップ40を示し、この図では、端部要素22は保護キャップ40により隠されている。保護キャップ40は、図6に示されるように、容器10の端部15に嵌まるように構成され、容器10の端部15において端部要素22aに当接する端壁58を備える。保護キャップ40の側壁60は、容器10に沿って延在し、曲線的な放射状壁(radius wall)62が、側壁60と端壁58との間に延在する。放射状壁62は、下方に位置する容器10の放射状表面(radius surface)64を保護するように構成される。図5において、端壁58と放射状壁62との間に境界線が見られる一方で、例示的な実施形態において、これらの壁部は、明確な境界なく互いに滑らかに続くことも想定される。例示的な実施形態において、保護キャップ40は、ボス16と同軸上で整列し、かつ、ボス16の首部54の通過を可能にするように構成される、孔52を備える。
【0023】
図7A〜7Cは、例示的な実施形態の保護キャップ40a,40b及び40cの容器対向面48を示す。いくつかの実施形態において、保護キャップ40の壁厚は、放射状壁62において最も厚く、孔52に向かう端壁58に沿って減少し、また、周縁68に向かう側壁60に沿って減少する。保護キャップ40の容器対向面48上の取付特徴部72は、保護キャップ40が端部要素22に、それゆえに、容器10に結合されることを可能とするために、端部要素22上の取付特徴部38と整列し、対応する。例示的な実施形態において、取付特徴部72は、端壁58の容器対向面48上の突起として構成される。図示された実施形態において、取付特徴部72は、ねじ、ボルト、又は、押し込み式の固定具(図19の固定具56参照)等の固定具を受容するように構成される孔74を備える。取付特徴部72は、端部要素22の隆起部28と相補的な形状を有していることが示されているが、保護キャップ40上の取付特徴部は、端部要素22への結合に有用な、任意の形状、開口、孔、及び/又は、構造を備えてもよいことが理解されよう。
【0024】
図7Aに示される、例示的な実施形態の保護キャップ40aは、孔52と同軸上に配置される周縁リッジ76の配列を備え、この配列は、圧力容器10の端部15の放射状表面64に当接する形状を有する。図7Bに示される、別の例示的な実施形態の保護キャップ40bは、孔52の周りに半径方向に配置され、それぞれが端壁58から側壁60に延在するリッジ78の配列を備える。リッジ78の配列は、圧力容器10の端部15の放射状表面64に当接する形状を有する。リッジ76,78は、保護キャップ40a,40bに構造的な支持をもたらし、容器10を変形又は損傷させることなく、保護キャップ40a,40bがより衝撃に耐えることを可能にする。任意の数、厚さ、間隔、及び構成のリッジ、リブ、及び他の構造的な特徴を用いることができ、例えば、端部キャップに用いられる材料、端部キャップのサイズ、圧力容器10の端部15の形状、及びその用途に依存してもよい。図7Cに示される、例示的な実施形態の保護キャップ40cは、リッジの無い容器対向面48を備える。
【0025】
保護キャップ40は、容器10への損傷を軽減するために適切な任意の材料及び任意の形状にて形成されてもよい。保護キャップ40は、固体ポリマー、発泡ポリマー、及び/又は、金属にて形成されてもよい。例えば、保護キャップ40は、完全に固体ポリマーで構成されてもよく、発泡ポリマーが充填された固体ポリマーシェルであってもよく、又は、保護コーティングを有する又は有さない発泡ポリマーにて構成されてもよい。保護キャップ40は、射出成形又は真空成形により、又は、例えば保護キャップ40の材料及び形状に応じて任意の有用なプロセスにより形成されてもよい。
【0026】
図6に示されるように、例示的な隆起部28aは、シェル14に関連して、ある程度台形状をなすような外形を有するが、任意の適切な断面形状を有することができる。内部空間80aは、隆起部28aと端部15との間に画定され、取付特徴部38aにおいて保護キャップ40を端部15に取り付けるために適切なサイズ又は形状を有することができ、例えば、保護キャップ40を容器10に取り付けるために用いられる固定具(図示せず)及び/又は保護キャップ40の形状に依存してもよい。保護キャップ40の放射状壁62及び容器10の放射状表面64により画定される内部空間82aは、シェル14及び/又は容器10を損傷することなく、保護キャップ40が破砕又は変形され得る空間を得られるように設けられる。内部空間82aの形状及び/又はサイズは、例えば、保護キャップ40に用いられる材料、又は、望まれる用途に依存してもよい。さらに、発泡体又は他の損傷軽減材料が、内部空間82aに設けられてもよい。
【0027】
保護キャップ40の例示的な実施形態は、損傷した場合の交換を可能にするか、又は、与えられた用途の必要性に見合うように、端部要素22aから取り外し可能であってもよい。例えば、異なる実施形態の保護キャップ40は、異なる物理的な外形や、剥離、衝撃による損傷、又は、破砕に対する異なる耐性レベルを有していてもよく、かつ/あるいは、衝撃、剥離又は他の損傷の発生を視覚的に示すように構成されてもよい。例示的な実施形態の端部要素22a及び/又は保護キャップ40は、既存の容器に追加されることも想定される。開示される保護キャップ40以外のアタッチメントが端部要素22aを介して容器10に結合されることも想定される。
【0028】
図8に示される、第2の例示的な実施形態の端部要素22bは、中心開口34bを有するリング型の環形状を有する。端部要素22bは、ほぼ「U」字型(図11参照)の断面形状を有していてもよい。離間された複数の取付特徴部38bは、端部要素22bに沿って配置される。取付特徴部38bは、本明細書で既に説明されたように、保護キャップ40上の対応する特徴部72に結合されるように構成される。例示的な実施形態の端部要素22bは、一様な断面形状と、端部要素22bの全周にわたり密な間隔で配置される取付特徴部38bと、を備える。このため、複数のフィラメントバンド44は、保護キャップ40を容器10に取り付けるために露出される複数の取付特徴部38bの一部を残したまま、端部要素22b上の(画定された平面部ではない)任意の位置を横切っていてもよい。それゆえに、端部要素22bは、長手方向軸42(図11参照)を中心とする任意の回転配向にて容器10に固定されもよい。端部要素22b及び中心開口34bは、円形として示されているが、任意の好適な形状とすることができる。
【0029】
図9及び10は、ボス16が中心開口34bを通って挿入されるように、容器10の端部15に当接して配置される例示的な実施形態の端部要素22bのアセンブリを示す。端部要素22bは、端部要素22bが端部15に対してほぼぴったり重なって配置されるように、シェル15の曲率に沿うような輪郭にされる容器対向面を備えていてもよい。端部要素22bは、複数のフィラメントバンド44により容器10に固定される。例示的な実施形態において、複数のフィラメントバンド44のそれぞれは、位置84にて端部要素22bを横切り、ボス16に隣接して該ボス16を通過して延在し、さらに、第2の位置84にて端部要素22bを横切る。複数のフィラメントバンド44は、フィラメントバンド44のそれぞれが、端部要素22b上の、異なる一対の離間した位置84を横切るように配置され、それにより、容器10の端部15の周りにフィラメントバンド44の網状体46bを形成する。網状体46bにより形成されるパターンは、フィラメントバンド44の数及び配置ならびに端部要素22bの構成に依存する。いくつかの図面において、フィラメント網状体46が圧力容器10から離間しているように見えるかもしれない。しかしながら、フィラメントバンド44は、熱硬化性樹脂により、互いに、また容器10に対して接着されていることが理解されよう。端部要素22bは、それにより、網状体46bと容器10の端部15との間で固定される。
【0030】
図11は、図10の11−11線におけるような、第2実施形態のアセンブリ50bの断面図を示し、追加的に、端部要素22bを介して容器10に取り付けられた保護キャップ40を備える。フィラメントバンド44が、端部要素22bを横切ることが部分的に示されており、この端部要素22bは、容器10に関連して、上下逆にした「U」字状の外形を有することが示されているが、任意の適切な断面形状を有することができる。端部15及び端部要素22bにより画定される内部空間80bは、保護キャップ40の端部15への取り付けのために適切な任意のサイズ又は形状を有することができ、例えば、保護キャップ40を端部要素22bに取り付けるために用いられる固定具に依存してもよい。保護キャップ40の放射状壁62及び容器10の放射状表面64により画定される内部空間82bは、容器10を損傷することなく、保護キャップ40が破砕又は変形され得る空間を得られるように設けられる。内部空間82bの形状及び/又はサイズは、例えば、保護キャップ40に用いられる材料又は望まれる用途に依存してもよい。
【0031】
図12に示される、第3の例示的な実施形態の端部要素22cは、中心開口34cを備える環状のリング部86cを備え、リング86c上において離間される複数の隆起部28cを備える。端部要素22c及び中心開口34cは円形として示されているが、任意の好適な形状とすることができる。例示的な実施形態の端部要素22cは、リング86cから外方向に延在し、隆起部28cと半径方向において整列している、径方向に延びる離間されたタブ88cを備える。タブ88cのそれぞれは、先端に配置され、タブ88cがほぼ「L」字型となるようにタブ88cと直交する方向に延在するリップ90を備えていてもよい。タブ88cのそれぞれは、フィラメントバンド44がタブ88cに巻き付けられ、それにより、端部要素22cを容器10に固定するように、隆起部28cの外壁92cと、リップ90との間でフィラメントバンド44を受容するように構成される。複数の離間された取付特徴部38cは、リング86に沿って配置され、保護キャップ40等のアタッチメント上の対応する取付特徴部72に結合されるように構成される。例示的な実施形態において、取付特徴部38cのそれぞれは、複数の隆起部28cのうちの1つの上面30cに配置される。しかしながら、例えば、孔、フック、クリップ、又は、押し込み式のタブ等の取付特徴部38cは、リング86上の任意の好適な位置に配置されてもよい。実施形態の端部要素22は、凸状、凹状、又は溝状等の異なる構成を有する、隆起部28上の表面30を備えていてもよい。
【0032】
図13及び14は、例示的な実施形態の変形された端部要素22c’を示し、端部要素22c’は、図12の端部要素22cと比較して、スポーク24によりリング86cに取り付けられる付加的なセンタリングリング20を備える。図示された実施形態において、スポーク24のそれぞれは、単一の隆起部28cに対応するが、他の構成もまた適切であろうと考えられる。端部要素22c’は、ボス16がセンタリングリング20を通って挿入されるように、容器10の端部15に当接して配置される。端部要素22c’は、端部要素22c’が端部15とほぼぴったり重なって配置されるように、シェル15の曲率に沿うような輪郭にされる容器対向面を備えていてもよい。端部要素22c’は、複数のフィラメントバンド44により容器10に固定される。フィラメントバンド44は、複数のフィラメントバンド44のそれぞれが、複数のタブ88cのうちの少なくとも1つを横切るように、容器10の端部15の周りで端部要素22c’上に巻かれ、それにより、容器10の端部15の周りで離間されたフィラメントバンド44の網状体46cを形成する。網状体46cにより形成されるパターンは、フィラメントバンド44の数及び配置ならびに端部要素22c’の構成に依存する。フィラメントバンド44は、互いに、また、容器10に対して、熱硬化性樹脂により接着される。端部要素22c’は、それにより、網状体46cと容器10の端部15との間で固定される。フィラメントバンド44が、隆起部28c間でリング86cを横切らないため、隆起部28cは、個別の構造体である必要がなく、むしろ、例えば、実施形態の端部要素22bのように、連続的な隆起部が設けられてもよい。
【0033】
図15は、図14の15−15線におけるような、第3実施形態のアセンブリ50cの断面図を示し、追加的に、端部要素22c’を介して容器10に取り付けられる保護キャップ40を含む。例示される実施形態において、センタリングリング20は、スポーク24に結合され、ボス16の首部54に沿うような湾曲した断面形状を有する。保護キャップ40の放射状壁62及び容器10の放射状表面64により画定される内部空間82cは、容器10が損傷することなく、保護キャップ40が破砕又は変形され得る空間を得られるように設けられる。内部空間82cの形状及び/又はサイズは、例えば、保護キャップ40に用いられる材料、又は、望まれる用途に依存してもよい。
【0034】
図16は、中心開口34dを有するリング86dを備え、かつ、リング86d上で離間される複数の隆起部28dを有する第4の例示的な実施形態の端部要素22dを示す。例示的な実施形態において、端部要素22d及び中心開口34dは、円形として示されているが、任意の好適な形状とすることができる。例示的な実施形態の端部要素22dは、リング86dから半径方向外側に延在する、離間した複数のタブ88dを備える。タブ88dは、半径方向において隆起部28dと整列していてもよく、していなくてもよい。図示された実施形態においては、タブ88dの数は、隆起部28dの数よりも多く、これらの要素は、概して、半径方向において互いに整列していない。タブ88dは、以下に説明されるように、複数のフィラメントバンド44と容器10との間で固定されるように構成される。離間される複数の取付特徴部38dは、リング86dに沿って配置される。例示的な実施形態において、取付特徴部38dのそれぞれは、隆起部28dのうちの1つの上面30dに配置され、保護キャップ40のようなアタッチメント上の対応する取付特徴部72に結合されるように構成される。しかしながら、例えば、孔、フック、クリップ、又は、押し込み式のタブのような取付特徴部38dは、リング86d上の任意の好適な位置に配置することができる。例示的な実施形態では、隆起部28d上に配置され、かつ、凸状、凹状、又は溝状等の様々な構成を有する表面30dを備えていてもよい。
【0035】
図17及び18は、ボス16が中心開口34dを通って挿入されるように、容器10の端部15に当接して配置される例示的な実施形態22dを示す。端部要素22dは、端部要素22dが端部15とほぼぴったり重なって配置されるように、シェル15の曲率に沿うような輪郭とされる容器対向面を備えていてもよい。端部要素22dは、複数のフィラメントバンド44により容器10に固定される。フィラメントバンド44は、複数のバンド44のそれぞれが、複数のタブ88dのうちの少なくとも1つを横切るように、容器10の端部15の周りで端部要素22d上に巻かれ、それにより、容器10の端部15の周りで離間されたフィラメントバンド44の網状体46dを形成する。網状体46dにより形成されるパターンは、フィラメントバンド44の数及び配置ならびに端部要素22dの形状及び構成に依存する。タブ88dの数が多いため、端部要素22dは、長手方向軸42に対する任意の回転方向位置に配置されてもよく、端部要素22dに対する網状体パターン46dの正確な回転クロック(rotational clocking)は必要とされない。フィラメントバンド44は、互いに、また、容器10に対して、熱硬化性樹脂により接着される。端部要素22dは、それにより、網状体46と容器10の端部15との間で固定される。フィラメントバンド44が隆起部28d間でリング86dを横切らないため、隆起部28dは、別個の構造である必要がなく、むしろ、例えば、実施形態の端部要素22bのように、連続的な隆起部が設けられてもよい。
【0036】
図19は、図18の19−19線におけるような、第2実施形態のアセンブリ50dの垂直方向の分解断面図を示し、追加的に、端部要素22dを介して容器10に取り付けられるように構成される保護キャップ40を備える。アセンブリ50dは、保護キャップ40の取付特徴部72の孔74と整列すると共に、端部要素22cの隆起部28dの取付特徴部38dと整列する、ねじ、ボルト、スナップ、又は、押し込み式の固定具等の固定具56を備える。保護キャップ40の孔52は、端部要素22dの中心開口34d、及び、圧力容器10のボス16(図19においては図示せず)と同軸上に整列する。
【0037】
図19及び22〜24に示されるように、端部要素22は、リング86の可撓性を向上させるためにリング86にスリット70を備えていてもよく、その結果、下方に位置する圧力容器10の端部15の輪郭により良好に適合できる。このようなスリット、溝、又は、同様の形状適応特徴部が、開示される実施形態の端部要素22のいずれdに設けられてもよいことが理解されよう。
【0038】
図20及び21はアセンブリ50d’及び50d’’の部分断面図をそれぞれ示し、異なる押し込み式の固定具36,36’を用いて、端部要素22dを介して、圧力容器10に取り付けられる保護端部キャップ40’,40’’を備える。これらの図示された実施形態において、保護キャップ40の取付特徴部は、端部キャップ40’,40’’と一体化される押し込み式の固定具36,36’であり、28d上の取付特徴部38dにおいて端部要素22dに結合される。固定具36,36’のそれぞれは、取付特徴部38dを通り、挿入された形態で留まるように構成されるフレア端部26,26’を備える。図21に示されるように、固定具36’は、アーム39間に隙間37を備える。アーム39は、取付特徴部38dを通るフレア端部26’の通過を容易にするように、隙間37内へと撓むことができる。
【0039】
図22〜25は、スナップフィットタブ98及び取付特徴部38eを隆起部28eの上面30dに備える、第5の例示的な実施形態の端部要素22eを示す。図22,23及び25は、端部要素22e及びスナップフィットインサート96を介して、容器10の端部15に取り付けられるように構成される保護キャップ40を備える、第5実施形態のアセンブリ50eを示す。明瞭に示すために、端部要素22dを容器10に取り付けるフィラメントバンド44は示されていないが、端部要素22dのタブ88dに関して上述したように、このようなフィラメントバンド44は、網状体46の形態でタブ88e上に設けられるであろうことが想定される。
【0040】
保護キャップ40e上の取付特徴部は、それぞれが孔104を備えるスリーブ102であってもよく、該孔104は、孔104を通して、図22,23及び25,26に示されるようなねじ又はボルト等の固定具106を受容するように構成される。孔104は、端壁58を貫通していてもよく、していなくてもよい。例示的なスナップフィットインサート96は、図25〜27に示されるように、端壁58の内表面48に配置されるように構成される環状片であり、固定具106が、インサート96の孔108と、スリーブ102の孔104との両方を通って挿入され、それによりインサート96を保護キャップ40eに取り付けることができるように、保護キャップ40e上のスリーブ102と整列する孔108を備える。スリーブ102は、インサート96を端壁58に対して安定させるために、インサート96の凹部110内に配置される。保護キャップ40eの放射状壁62及び容器10の放射状表面64により画定される内部空間82eは、容器10を損傷することなく、保護キャップ40eが破砕又は変形され得る空間を得られるように設けられる。内部空間82eの形状及び/又はサイズは、例えば、保護キャップ40に用いられる材料、又は、望まれる用途に依存してもよい。
【0041】
図27は、保護キャップ40eを端部要素22e、それゆえに容器10に取り付けるためにスナップフィットジョイント98に連結される、一実施形態のスナップフィットインサート96を示す。スナップフィットジョイント98は、インサート96のエッジ116を受容するように構成されるアーム112及びリップ114を備える。ジョイント98の弾性は、インサート96がジョイント98に向けて押圧される場合に、アーム112がインサート96から離れるように動かされ、その後、リップ114にてエッジ116を固定するようにエッジ116上に跳ね返ることを可能にする。端部要素22eの隆起部28eは、固定具106の頭部120を受容するための孔38eを備え、インサート96が隆起部28eの表面30eとぴったり重なって配置されることを可能にする。スリーブ102は、インサート96を端壁58から離間させ、それにより、固定具106及びスナップフィットジョイント98のための空間が確保される。例えば、他の形状のインサート、より多くの、又は、より少ないスナップフィットジョイント、又は、異なる型のスナップフィットジョイント等の異なるスナップ式構成が用いられてもよいことが理解されよう。
【0042】
第6の例示的な実施形態の環状端部要素22fが図28に示されている。環状端部要素22fは、本明細書にて説明される保護キャップ40の損傷軽減特徴の少なくともいくつか、又は、全てを組み込むことができる。例示的な実施形態の端部要素22fは、中心開口34fを備え、また、間に複数の低部32fを画定する複数の隆起部28fを備える。例示的な実施形態において、端部要素22f及び中心開口34fは、円形として示されているが、任意の適切な形状とすることができる。隆起部28fは、例えば、衝撃又は剥離による容器10への損傷を軽減するためのバンパとして作用する保護特徴部であってもよい。隆起部28f及び容器10により画定される内部空間126(図31参照)は、容器10を損傷することなく、隆起部28fが破砕又は変形され得る空間を得ることを可能にする。隆起部28f、それゆえに、内部空間126の形状及び/又はサイズは、例えば、端部要素22fの材料及び/又は容器10に望まれる用途に依存してもよい。例示的な実施形態において、隆起部122は、ほぼ四角錐台をなす。例示的な実施形態において、端部要素22fの低部32fの一部は、容器10の端部15とほぼぴったり重なるような輪郭にされる。
【0043】
図29及び30は、容器10のボス16が中心開口34fを通って挿入されるように、容器10の端部15上に配置される端部要素22fを示す。端部要素22fは、複数のフィラメントバンド44により容器10に固定される。複数のフィラメントバンド44は、フィラメントバンド44のうちの少なくとも1つが、複数の低部32fのうちの1つを横切り、ボス16に隣接してボス16を越えて延在し、複数の低部32fのうちの他の1つを横切るように配置される。複数のフィラメントバンド44は、少なくとも1つのフィラメントバンド44が、異なる一対の低部32fのそれぞれを横切るように配置され、それにより、容器10の端部15の周りで離間されたフィラメントバンド44の網状体46fを形成する。網状体46fにより形成されるパターンは、フィラメントバンド44の数及び配置ならびに端部要素22fの構成に依存する。例示的な実施形態において、フィラメントバンド44は、端部要素22fの複数の側壁130のそれぞれに隣接して通り過ぎ、ボス16に隣接して通り過ぎるように延在し、複数の側壁130のうちの他の1つに隣接して通り過ぎる。したがって、2つのフィラメントバンド44が、複数の低部32fのそれぞれを横切る。フィラメントバンド44は、互いに、また、容器10に対して、熱硬化性樹脂により接着される。端部要素22fは、それにより、網状体46fと容器10の端部15との間で固定される。
【0044】
図31は、図30の31−31線における、容器10の端部15に取り付けられた端部要素22fの部分断面図を示す。フィラメントバンド44は、本図では端部15により見えなくなっている低部32fを横切ることが部分的に示されている。例示的な実施形態において、隆起部28fは、シェル14に対してほぼ四角錐台の形状を有するように構成されているが、任意の好適な断面形状を有することができる。端部要素22fの隆起部28f及び容器10の端部15により画定される内部空間126は、容器10を損傷することなく、端部要素22fが破砕又は変形され得る空間を得られるように設けられる。内部空間126の形状及び/又はサイズは、例えば、保護端部要素22fに用いられる材料又は望まれる用途に依存してもよい。さらに、発泡体又は他の損傷軽減材料が、内部空間126内に設けられてもよい。
【0045】
端部要素22を圧力容器10に対して固定する方法は、圧力容器10のドーム型の端部15に端部要素22を配置することと、ボス16をマンドレル上に取り付けることと、を含む。複合材料が、端部要素22の一部、端部15、及び、場合によっては圧力容器10の円筒状本体の一部に、フィラメントバンド44の形態でフィラメント網状体46を形成するように巻き付けられ、フィラメント網状体46は、端部要素22を端部15に取り付ける。巻き付けられた、ガラス繊維の繊維もしくはフィラメント又は他の合成フィラメントの積層体は、熱硬化性又は熱可塑性樹脂により共に接着される。繊維は、ガラス繊維、アラミド、炭素、グラファイト、又は、任意の他の一般的に公知の繊維強化材料であってもよい。用いられる樹脂マトリクスは、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、熱可塑性材料、又は、繊維間結合、繊維層間結合、及び容器が用いられる特定の用途に必要とされる耐破砕性をもたらすことが可能な任意の他の適切な樹脂材料、とすることができる。例示的な方法において、繊維用の分配ヘッドは、網状体46のための望ましいパターンで、端部要素22及び圧力容器10に繊維を巻き付けるように移動する。このような繊維の巻き付けは、通常、ほぼ長手方向(ヘリカル)と円周方向(フープ)巻きの両方が適用される。この巻付プロセスは、樹脂含有量、繊維構成、巻付張力、及び、圧力容器10の軸42に関連する巻付パターン等の多数の要因により規定される。好適なフィラメント巻付プロセスに関する詳細は、参照により本明細書に援用される、発明の名称が「フィラメント巻付プロセス及び装置」である米国特許第4,838,971号明細書にて開示される。
【0046】
本開示の主題をいくつかの実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ると認識するであろう。加えて、1つの実施形態に関して開示される任意の特徴は、別の実施形態に組み込まれてもよく、逆もまた同様とする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31