(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デバイス基板と、支持基板と、前記デバイス基板と前記支持基板との間に設けられ、前記デバイス基板と前記支持基板とは異なる線膨張率を有する接着剤と、を有する貼合基板を加熱する工程と、
前記貼合基板を加熱する工程で加熱された状態の前記貼合基板を処理液に浸漬させる工程と、
を有し、
前記貼合基板を加熱する工程における前記貼合基板の加熱温度は、前記処理液の温度より高く、
前記貼合基板を処理液に浸漬させる工程において、前記加熱された状態の前記貼合基板が前記処理液に浸漬されることによって冷却され、前記デバイス基板と前記接着剤との界面、および前記支持基板と前記接着剤との界面の少なくともいずれかにおいて、前記デバイス基板と前記接着剤との界面では前記デバイス基板と前記接着剤との線膨張率の差に基づく熱応力、前記支持基板と前記接着剤との界面では前記支持基板と前記接着剤との線膨張率の差に基づく熱応力、によって剥がれおよび亀裂の少なくともいずれかを発生させ、
前記剥がれが発生した部分および前記亀裂が発生した部分の少なくともいずれかから前記処理液を浸入させることで、前記貼合基板を剥離させる貼合基板の剥離方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る基板処理装置1を例示するための模式図である。
基板処理装置1は、貼合基板100の剥離、および接着剤102が付着した基板100aからの接着剤102の除去を行うことができる(例えば、
図2および
図3を参照)。
この場合、例えば、
図2(a)および
図3(a)に示すように、貼合基板100は、パターンが形成されたデバイス基板101と、支持基板103と、デバイス基板101と支持基板103との間に設けられ、デバイス基板101と支持基板103を接着する接着剤102と、を有する。
ここでは、一例として、貼合基板100を取り扱う場合を例示するが、接着剤102が付着した基板100aを取り扱う場合も同様とすることができる。
【0011】
図1に示すように、基板処理装置1には、容器2、収納部3、温度制御部4、処理部5、供給部6、回収部7、搬送部8、搬送部9、および制御部10が設けられている。
容器2は、箱状を呈し、気密構造を有したものとすることができる。なお、気密構造は、例えば、外部からのパーティクルの侵入を防ぐことができる程度であればよい。また、容器2の内部の圧力を外部の圧力より僅かに高くする図示しない加圧装置を設けることもできる。図示しない加圧装置を設けて容器2の内部の圧力を外部の圧力より僅かに高くすれば、外部からのパーティクルの侵入を抑制するのが容易となる。
【0012】
収納部3は、容器2の側壁に設けられた開口に、外部から着脱自在に取り付けられている。収納部3の容器2側の端部は開口できるようになっており、開口を介して貼合基板100の受け渡しができるようになっている。また、収納部3には、貼合基板100を保持する図示しない保持部が積層状(多段状)に設けられている。すなわち、収納部3は、複数の貼合基板100を積層状(多段状)に収納可能となっている。
収納部3は、例えば、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われている基板の搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)などとすることができる。
なお、収納部3に収納される貼合基板100は、処理前の貼合基板100および処理後の貼合基板100である。
また、収納部3の数は1つに限定されるわけではなく、2つ以上の収納部3が設けられていてもよい。
【0013】
図1に例示をしたものの場合には、温度制御部4は、容器2の内部の底面に設けられている。温度制御部4の上面は貼合基板100を載置する載置面となっている。温度制御部4の内部には図示しない加熱装置や冷却装置が設けられ、温度制御部4の上面に載置された貼合基板100の温度を変化させることができるようになっている。すなわち、温度制御部4は、貼合基板100(基板100a)の加熱、および冷却の少なくともいずれかを行う。
温度制御部4に設けられる図示しない加熱装置や冷却装置には特に限定がない。図示しない加熱装置は、例えば、ジュール熱を用いるもの、熱媒体を循環させるもの、輻射熱を用いるものなど種々の形式のものを適宜選択することができる。図示しない冷却装置は、ペルチェ効果を用いるもの、熱媒体を循環させるものなど種々の形式のものを適宜選択することができる。
また、温度制御部4は、制御部10により制御され、貼合基板100の温度を調整できるようになっている。
また、温度制御部4は、貼合基板100の面内の温度分布が均一となるように温度制御するものであっても良いし、貼合基板100の面内の温度分布が不均一となるように温度制御するものであっても良い。
貼合基板100の面内の温度分布が不均一となるようにする場合、すなわち、貼合基板100の面内に温度が異なる複数の領域を形成する場合には、例えば、貼合基板100の面内を複数の領域に分け、複数の領域における温度を調整するようにすればよい。
なお、以下においては、一例として、温度制御部4により、貼合基板100の加熱が行われる場合を例示する。
【0014】
処理部5には、処理槽5a、供給弁5b、供給弁5c、および配管5dが設けられている。
処理槽5aは、箱状を呈し、容器2の内部の底面に設けられている。処理槽5aは、液密構造を有している。処理槽5aの内部には、処理液110が貯留されている。処理槽5aの上端は開口されており、処理槽5aの内部に貯留されている処理液110に貼合基板100を浸漬させることができるようになっている。処理液110は、接着剤102に触れることで、接着剤102を例えば溶解(分解)、あるいは軟化させることで、接着力を弱める作用を有する。
処理液110は、例えば、純水(DIW;Deionized water)、オゾン水、過飽和ガス溶解水、APM(ammonium hydrogen-peroxide mixture:アンモニア・過酸化水素水・水混合液)、SPM(sulfuric acid-hydrogen peroxide mixture:硫酸・過酸化水素水混合液)などとすることができる。なお、処理液110が純水でない場合には、処理液110の濃度は、デバイス基板101の製品品質に影響を与えない程度の濃度とすることができる。
【0015】
処理液110は、接着剤102の成分に応じて適宜選択することができる。
例えば、接着剤102が有機材料を含むものであれば、有機材料に対する分解作用を有するものを選択することが好ましい。
そのようにすれば、貼合基板100の剥離、あるいは接着剤102の除去をより効果的に行うことができる。
有機材料に対する分解作用を有する処理液110は、例えば、オゾン水、APM、SPMなどである。
なお、接着剤102が無機材料からなる場合には、例示をした処理液110のいずれを用いてもよい。
【0016】
また、過飽和ガス溶解水を用いれば、後述する剥がれた部分や亀裂などにおいてガスを発生させることができる。
なお、過飽和ガス溶解水に溶解しているガスには特に限定がない。過飽和ガス溶解水に溶解しているガスは、例えば、空気、窒素ガス、酸素ガス、オゾンガスなどとすることができる。
大気圧下での処理槽5aにおいては、過飽和ガス溶解水に溶解していたガスが泡となり、泡が弾ける際に物理力が発生する。この物理力を利用して、貼合基板100の剥離、あるいは接着剤102の除去をより効果的に行うことができる。
また、処理液110としては、接着剤102よりも比重が大きい溶液を用いることができる。この様にすれば、後述する貼合基板110から剥がれたフィルム状の接着剤102が処理液110の表面に浮きやすくなるので、剥がれたフィルム状の接着剤102を容易に除去することができる。
なお、貼合基板100の剥離や接着剤102の除去に関する詳細は後述する。
【0017】
供給弁5bは、処理槽5aの側壁に設けられている。処理液110は、供給弁5bを介して処理槽5aの内部に供給される。
【0018】
供給弁5bは、処理液110の供給と停止を制御する。また、供給弁5bは、処理液110の供給と停止だけでなく流量制御をも行うことができるものとすることができる。
また、供給弁5bは、処理槽5aに設けられた図示しない液面計からの信号に基づいて、処理槽5aの内部に貯留される処理液110の量が常に一定となるようにすることができる。
【0019】
供給弁5cは、処理槽5aの側壁の底面側に設けられている。供給弁5cは、配管5dを介してタンク7aに接続されている。
供給弁5cは、処理液110の供給と停止を制御する。また、供給弁5cは、処理液110の供給と停止だけでなく流量制御をも行うことができるものとすることができる。
例えば、処理槽5aに貯留されている処理液110を交換する場合や、処理部5のメンテナンスを行う場合などには、処理槽5aの内部に貯留されている処理液110を供給弁5cを介してタンク7aの内部に排出させる。
【0020】
供給部6には、タンク6a、供給弁6b、供給弁6c、送液部6d、排出弁6e、および配管6fが設けられている。
タンク6aは、処理に用いられる前の処理液110を貯留する。
供給弁6bは、タンク6aの側壁に設けられている。処理液110は、供給弁6bを介してタンク6aの内部に供給される。
供給弁6bは、処理液110の供給と停止を制御する。また、供給弁6bは、処理液110の供給と停止だけでなく流量制御をも行うことができるものとすることができる。
また、供給弁6bは、タンク6aに設けられた図示しない液面計からの信号に基づいて、タンク6aに貯留される処理液110の量が常に一定となるようにすることができる。
【0021】
供給弁6cは、タンク6aの側壁の底面側に設けられている。処理液110は、供給弁6cを介してタンク6aの外部に供給される。
供給弁6cは、処理液110の供給と停止を制御する。また、供給弁6cは、処理液110の供給と停止だけでなく流量制御をも行うことができるものとすることができる。
【0022】
送液部6dの一端は供給弁6cに接続され、送液部6dの他端は配管6fを介して供給弁5bに接続されている。送液部6dは、タンク6aの内部に貯留されている処理液110を処理槽5aの内部に向けて送液する。送液部6dは、例えば、処理液110に対する耐性を有したポンプなどとすることができる。
【0023】
排出弁6eは、タンク6aの側壁の底面側に設けられている。排出弁6eは、例えば、工場のドレイン配管やタンク7aなどに接続することができる。例えば、供給部6のメンテナンスなどを行う際には、タンク6aの内部に貯留されている処理液110を排出弁6eを介して外部に排出させる。
【0024】
回収部7には、タンク7aおよび排出弁7bが設けられている。
タンク7aは、処理槽5aから排出された処理液110を貯留する。すなわち、タンク7aは、処理に用いられた後の処理液110を貯留する。
排出弁7bは、タンク7aの側壁の底面側に設けられている。排出弁7bは、例えば、工場のドレイン配管などに接続することができる。
【0025】
搬送部8は、容器2の内部の底面に設けられている。搬送部8は、収納部3と、温度制御部4の間に位置している。
搬送部8には、保持部8aおよび移動部8bが設けられている。
【0026】
保持部8aは、関節を有するアーム8a1を有し、アーム8a1の先端に貼合基板100を保持することができるようになっている。
【0027】
移動部8bは、保持部8aのアーム8a1の伸縮、保持部8aの旋回などを行う。
例えば、移動部8bは、アーム8a1を屈曲させるようにして伸縮させ、温度制御部4から収納部3への貼合基板100の受け渡し、または収納部3から温度制御部4への貼合基板100の受け渡しを行う。移動部8bは、アーム8a1の先端に貼合基板100を保持した状態で保持部8aを旋回させ、アーム8a1の先端が収納部3または温度制御部4に向くようにする。
【0028】
搬送部9は、容器2の内部の底面に設けられている。搬送部9は、温度制御部4と、処理槽5aの間に位置している。
搬送部9には、保持部9aおよび移動部9bが設けられている。
保持部9aは、関節を有するアーム9a1を有し、アーム9a1の先端に貼合基板100を保持することができるようになっている。
【0029】
移動部9bは、保持部9aのアーム9a1の伸縮、保持部9aの旋回などを行う。
例えば、移動部9bは、アーム9a1を屈曲させるようにして伸縮させ、温度制御部4から処理槽5aへの貼合基板100の受け渡し、または処理槽5aから温度制御部4への貼合基板100の受け渡しを行う。移動部9bは、アーム9a1の先端に貼合基板100を保持した状態で保持部9aを旋回させ、アーム9a1の先端が温度制御部4または処理槽5aに向くようにする。そして、例えば、移動部9bは、アーム9a1を屈曲させるようにして伸縮させ、処理槽5aの内部の処理液110に貼合基板100を浸漬させたり、処理槽5aの内部の処理液110に浸漬している貼合基板100を取り出したりする。
【0030】
制御部10は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
例えば、制御部10は、搬送部8を制御して、収納部3と温度制御部4との間における貼合基板100の搬送と受け渡しを行う。制御部10は、温度制御部4を制御して、貼合基板100の温度が所定の範囲内となるようにする。制御部10は、搬送部9を制御して、温度制御部4と処理槽5aとの間における貼合基板100の搬送と受け渡しを行う。制御部10は、供給弁5b、供給弁6c、および送液部6dを制御して、タンク6aから処理槽5aに処理液110を供給する。
【0031】
次に、基板処理装置1の作用とともに、本実施の形態に係る貼合基板100の剥離方法および接着剤102の除去方法について例示をする。
図2(a)〜(c)は、基板処理装置1の作用および貼合基板100の剥離方法を例示するための模式図である。
図3(a)〜(d)は、基板処理装置1の作用および接着剤102の除去方法を例示するための模式図である。すなわち、
図3は、接着剤102が付着した基板100aから接着剤102の除去を行う場合である。
【0032】
図2(a)および
図3(a)に示すように、貼合基板100は、パターンが形成されたデバイス基板101と、支持基板103と、デバイス基板101と支持基板103との間に設けられ、デバイス基板101と支持基板103を接着する接着剤102と、を有する。
図3(b)は、基板処理装置1を用いずに貼合基板100の剥離を行う場合である。例えば、貼合基板100を加熱し、接着剤102を軟化させた状態で支持基板103からデバイス基板101を引き剥がす場合がある。基板処理装置1を用いずに貼合基板100の剥離を行うと、
図3(b)に示す様に少なくとも一方の基板に接着剤102の一部が残留する。
図3(b)においては、支持基板103に接着剤102の一部が残留した場合を例示したが、デバイス基板101に接着剤102の一部が残留する場合もある。
以下においては、一例として、貼合基板100または接着剤102が付着した支持基板103(基板100a)を取り扱う場合を例示するが、接着剤102が付着したデバイス基板101を取り扱う場合も同様とすることができる。
【0033】
まず、
図2(b)および
図3(c)に示すように、搬送部8により、収納部3から処理前の貼合基板100(基板100a)を取り出し、温度制御部4に載置する。
次に、温度制御部4により、貼合基板100(基板100a)を加熱して、貼合基板100(基板100a)の温度が所定の範囲内となるようにする。
なお、貼合基板100(基板100a)の加熱温度には特に限定がない。
ただし、本実施の形態の場合、貼合基板100(基板100a)の加熱温度は、処理槽5aの内部の処理液110の温度よりは高い温度に設定される。この場合、貼合基板100(基板100a)の加熱温度は、後述する剥がれや亀裂などを発生させることができる範囲内であればよい。
貼合基板100(基板100a)の加熱温度は、例えば、実験やシミュレーションなどを行うことで適宜求めることができる。
なお、デバイス基板101と接着剤102との界面、および支持基板103と接着剤102との界面の少なくともいずれかにおいて、後述する線膨張率の差による剥がれや亀裂が発生するように加熱を行えばよいので、加熱は均一に行わなくてもよい。
この場合、貼合基板100(基板100a)の中心領域と外周領域の温度が異なるように加熱してもよい。外周領域の温度を中心領域の温度よりも高くする場合には、外周領域における基板101、103と接着剤との線膨張率の差による剥がれを大きくすることができる。そのため、剥離液が外周領域から
浸入しやすくなるようにすることができる。また、中心領域の温度を外周領域よりも高くする場合には、剥離液が
浸入しにくい中心領域において、剥がれを大きくすることができる。そのため、剥離液を中心領域に
浸入させやすくすることができる。
また、貼合基板100(基板100a)の水平方向(面内方向)において温度が変化するように(温度分布が生じるように)加熱してもよい。
【0034】
次に、
図2(c)および
図3(d)に示すように、搬送部9により、温度制御部4から貼合基板100(基板100a)を取り出し、処理槽5aの内部の処理液110に貼合基板100(基板100a)を浸漬させる。
【0035】
加熱された貼合基板100(基板100a)が処理液110に浸漬されることで貼合基板100(基板100a)が急冷される。
ここで、デバイス基板101の線膨張率は、接着剤102の線膨張率とは異なる。また、支持基板103の線膨張率は、接着剤102の線膨張率とは異なる。
そのため、線膨張率の差に基づく熱応力が発生し、デバイス基板101と接着剤102との間の界面、および支持基板103と接着剤102との間の界面の少なくともいずれかにおいて剥がれや亀裂などが発生する。
すると、処理液110が、剥がれた部分や亀裂などから
浸入し、貼合基板100の剥離、あるいは接着剤102の除去が行われる。
すなわち、剥がれた部分や亀裂などを形成することで、デバイス基板101と接着剤102との界面、支持基板103と接着剤102との界面に処理液110が
浸入しやすくなる。そのため、貼合基板100の剥離、あるいは接着剤102の除去、すなわち、接着剤102の剥離を容易とすることができる。
【0036】
次に、搬送部9により、処理槽5aの内部から貼合基板100が分離したデバイス基板101と支持基板103(または基板100a)を取り出す。
貼合基板100(基板100a)を処理槽5aの内部の処理液110に浸漬させる際には、例えば、内壁がメッシュ状となっている図示しない容器に貼合基板100(基板100a)を収納するようにすることができる。
処理槽5aの内部からの取り出しは、例えば、以下のようにして行うことができる。
処理槽5aの内部からの取り出しは、予め実験やシミュレーションで計測した浸漬時間が経過した後に行うことができる。
分離したデバイス基板101と支持基板103は、図示しない容器ごと処理液110から引き上げる。
搬送部9により、分離したデバイス基板101と支持基板103をそれぞれ図示しない容器から取り出す。
取り出されたデバイス基板101と支持基板103は、搬送部9により、順次、温度制御部4に受け渡される。
この場合、温度制御部4によりデバイス基板101または支持基板103を加熱する必要はない。
なお、貼合基板100が分離されていない場合や、接着剤102の除去が不十分だった場合には、温度制御部4により再度加熱し、前述した手順を繰り返すことで、貼合基板100の剥離、あるいは接着剤102の除去を連続的に行うことができる。
続いて、搬送部8により、温度制御部4からデバイス基板101または支持基板103を取り出し、図示しない乾燥手段によって乾燥後、収納部3に収納する。
なお、この場合、温度制御部4への受け渡しに先立って、図示しない乾燥手段によって乾燥を行うこともできる。また、乾燥後は温度制御部4へ受け渡さずにそのまま収納部3に収納してもよい。
【0037】
なお、搬送部9により、処理槽5aの内部からデバイス基板101または支持基板103を取り出し、取り出した基板を搬送部9から搬送部8に受け渡し、搬送部8により、デバイス基板101または支持基板103を収納部3に収納してもよい。
また、搬送部9により、処理槽5aの内部からデバイス基板101または支持基板103を取り出し、そのままデバイス基板101または支持基板103を収納部3に収納してもよい。
ところで、上記の実施形態では、貼合基板100(基板100a)を処理槽5aの内部の処理液110に浸漬させる際、内壁がメッシュ状となっている図示しない容器に貼合基板100(基板100a)を収納するようにしたが、保持部材に貼合基板100(基板100a)を保持させ、この貼合基板100(基板100a)を保持した保持部材を処理槽5aの内部の処理液110に浸漬させるようにすることもできる。
図4(a)は、保持爪202により貼合基板100を保持した状態を例示するための模式図である。
図4(b)は、保持爪202が解放された状態を例示するための模式図である。
図4(a)、(b)に示すように、保持部材200は、貼合基板100を載置するための基部201と、基部201に対して揺動するように駆動される保持爪202とを備えている。そして、この保持部材200は、搬送部9より貼合基板100(基板100a)を受け取ると保持爪202が閉じ、貼合基板100(基板100a)を保持した状態で、処理槽5a内を下降して、処理槽5aの内部の処理液110に貼合基板100(基板100a)を浸漬させる。所定の浸漬時間が経過すると、保持部材200は上昇端まで移動し、保持爪202を開放する。その後、搬送部9は、分離したデバイス基板101と支持基板103をそれぞれ保持部材200より取り出す。以後の手順は、先に述べた実施形態と同様である。
【0038】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る基板処理装置1aを例示するための模式図である。
前述した基板処理装置1においては、予め生成された処理液110を供給部6のタンク6aに貯留し、タンク6aに貯留された処理液110を処理槽5aに供給するようにしていた。
これに対し、第2の実施形態に係る基板処理装置1aにおいては、供給部16のタンク6aの内部で処理液110を生成し、生成された処理液110を処理槽5aに供給するようにしている。
【0039】
図5に示すように、基板処理装置1aには、容器2、収納部3、温度制御部4、処理部5、供給部16、回収部7、搬送部8、搬送部9、および制御部10が設けられている。
供給部16には、タンク6a、供給弁6c、排出弁6e、配管6f、ガス供給部16a、供給弁16b、液体供給部16c、供給弁16d、および送液部16eが設けられている。
【0040】
ガス供給部16aは、処理液110を生成する際に用いるガスを供給する。
例えば、処理液110がオゾン水である場合には、ガス供給部16aはオゾンガスを供給する。
処理液110が過飽和ガス溶解水である場合には、供給するガスの種類に特に限定はない。処理液110が過飽和ガス溶解水である場合には、ガス供給部16aは、例えば、空気、窒素ガス、酸素ガス、オゾンガスなどを供給する。
ガス供給部16aは、例えば、高圧のガスが収納されたボンベなどとすることができる。また、ガス供給部16aからタンク6aにガスを供給することで、タンク6aから処理槽5aの内部に処理液110が圧送されるようになっている。
【0041】
供給弁16bは、タンク6aの側壁に設けられている。ガス供給部16aから供給されるガスは、供給弁16bを介して、タンク6aの内部に導入される。
供給弁16bは、ガスの供給と停止を制御する。また、供給弁16bは、ガスの供給と停止だけでなく圧力制御をも行うことができるものとすることができる。
例えば、過飽和ガス溶解水を生成する場合には、供給弁16bにより、タンク6aの内部に導入されるガスの圧力を溶解度以上のガスが溶け込むような高い圧力とする。
【0042】
液体供給部16cは、処理液110を生成する際に用いる液体を供給する。
例えば、液体供給部16cは、純水を供給する。
液体供給部16cは、例えば、液体が貯留されたタンクなどとすることができる。
【0043】
供給弁16dは、液体供給部16cと送液部16eとの間に設けられている。
供給弁16dは、液体の供給と停止を制御する。また、供給弁16dは、液体の供給と停止だけでなく流量制御をも行うことができるものとすることができる。
また、供給弁16dは、タンク6aに設けられた図示しない液面計からの信号に基づいて、タンク6aに貯留される液体(処理液110)の量が常に一定となるようにすることができる。
【0044】
送液部16eは、タンク6aの側壁に設けられている。送液部16eは、液体供給部16cからタンク6aの内部に液体を送液する。
送液部16eは、例えば、液体供給部16cから供給される液体に対する耐性を有したポンプなどとすることができる。
【0045】
以上は、1種類のガスと1種類の液体が供給される場合であるが、2種類以上のガスと2種類以上の液体が供給されるようにしてもよい。
また、タンク6aに2種以上の液体を供給して処理液110を生成するようにしてもよい。
処理液110がAPMの場合には、例えば、タンク6aにアンモニアと過酸化水素水と純水を供給して処理液110を生成するようにしてもよい。
処理液110がSPMの場合には、例えば、タンク6aに硫酸と過酸化水素水を供給して処理液110を生成するようにしてもよい。
すなわち、複数の原料をタンク6aに供給して、処理液110を生成するようにすればよい。
本実施に形態に係る基板処理装置1aによれば、前述した基板処理装置1と同様の作用効果を享受することができる。
【0046】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1、1aが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、貼合基板100(基板100a)の加熱を行ってから冷却を行うのではなく、温度制御部4において貼合基板100(基板100a)を冷却してから、処理槽5a内の処理液110によって貼合基板100(基板100a)の加熱を行ってもよい。
また、前述した温度制御部4は、貼合基板100(基板100a)を載置するものであるが、温度制御部4は、加熱媒体(ガス、溶液、固体)を貼合基板100(基板100a)に接触させることで加熱する機能を有するものであってもよい。
また、温度制御部4は、冷却溶媒(ガス、溶液、ドライアイスなどの固体)を貼合基板100(基板100a)に接触させることで冷却する機能を有するものであってもよい。
また、温度制御部4は、前述したように処理槽5aとは離隔した場所に設けたり、処理槽5aに設けたり、処理槽5aおよび処理槽5aとは離隔した場所に設けたりすることができる。
また、例えば、貼合基板100(基板100a)を処理液110に浸漬する前に、加熱と冷却が既に行われていてもよい。この場合、温度制御部4は、循環する熱媒体により貼合基板100(基板100a)を加熱し、その後冷却するものとすることができる。そして、加熱された熱媒体と、冷却された熱媒体とを順次循環させることで、貼合基板100(基板100a)の加熱と冷却を行う様にすることができる。
または、既知のスピン処理装置で、ノズルから加熱媒体や冷却媒体を、貼合基板100(基板100a)の面に対して交互に吹き付けてもよい。つまり、貼合基板100(基板100a)を処理液110に浸漬させる前段階で、デバイス基板101と接着剤102との界面、および支持基板103と接着剤102との界面の少なくともいずれかにおいて線膨張率の差による剥がれや亀裂が発生するようにしてもよい。
また、処理槽5aに温度制御部4を設ける場合には、処理槽5aの高さ方向において、処理液110に温度が異なる領域が設けられるようにすることもできる。
図6は、温度が異なる領域が設けられた処理液110を例示するための模式断面図である。
図6に示すものの場合には、処理液110に温度が異なる3つの領域が設けられている。そして、最上層である第1の領域110aの温度が最も高く、第1の領域110aより下方に位置する第2の領域110b、第3の領域110cに行くに従って温度が低くなるようにすることができる。
この場合、所定の時間が経過するまで、第1の領域110aの内部に貼合基板100(基板100a)を保持して加熱を行い、その後さらに貼合基板100(基板100a)を沈めて、第2の領域110bの内部、および第3の領域110cの内部に貼合基板100(基板100a)を順次保持するようにする。そして、各領域における温度差により、デバイス基板101と接着剤102との界面、および支持基板103と接着剤102との界面の少なくともいずれかにおいて剥離を行う。
すなわち、処理槽5aにおける貼合基板100(基板100a)の高さ位置を変えることによって、その貼合基板100(基板100a)の加熱と冷却を行い、デバイス基板101、支持基板103と、接着剤102との線膨張率の差に基づく熱応力を、デバイス基板101と接着剤102との界面、および支持基板103と接着剤102との界面の少なくともいずれかにおいて発生させる。発生させた熱応力により亀裂や隙間などが生じる。発生した亀裂や隙間などには、処理液110が
浸入するので、デバイス基板101、および支持基板103の少なくともいずれか接着剤102を剥離することができる。
この場合、第1の領域110aの処理液110を加熱する温度制御部4を処理槽5aに設けることができる。
また、この場合、前述した制御部10は、貼合基板100(基板100a)と処理液110との相対的な位置や移動速度を制御することができる。
なお、まず最初に第3の領域110cにおいて貼合基板100(基板100a)を保持してから第1の領域110aに上昇させ、剥離を行うようにしてもよい。また、第1の領域110aから第3の領域110cに向かって温度が高くなるようにしてもよい。また、領域の数は3つに限定されるわけではなく、2つ以上の領域が設けられるようにすればよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。