特許第6886494号(P6886494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東鉄工業株式会社の特許一覧 ▶ 鉄友工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000002
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000003
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000004
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000005
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000006
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000007
  • 特許6886494-砕石整理用器具 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886494
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】砕石整理用器具
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/04 20060101AFI20210603BHJP
   E01B 37/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   E01B27/04
   E01B37/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-125233(P2019-125233)
(22)【出願日】2019年7月4日
(65)【公開番号】特開2021-11698(P2021-11698A)
(43)【公開日】2021年2月4日
【審査請求日】2019年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391054475
【氏名又は名称】鉄友工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】木村 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】麻生 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 貴志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田邊 和敬
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 実公第020287(大正14年)(JP,Y1T)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0029990(KR,A)
【文献】 登録実用新案第3131201(JP,U)
【文献】 特開平11−280102(JP,A)
【文献】 実開平04−082047(JP,U)
【文献】 実開昭54−058801(JP,U)
【文献】 実開昭57−018047(JP,U)
【文献】 実開昭55−017877(JP,U)
【文献】 実公昭17−002192(JP,Y1)
【文献】 実公第013749(大正14年)(JP,Y1T)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0300120(US,A1)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0426578(KR,Y1)
【文献】 実開昭56−150251(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0081806(KR,A)
【文献】 特開2014−009462(JP,A)
【文献】 実開昭57−071556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/04
E01B 37/00
E02F 3/02
A01B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の柄と、
前記柄の後端側に連結された第1ハンドル部と、
すくい面を有し、前記柄の前端に連結されたショベル面部と、
前記すくい面の下面に固定され、前記すくい面の前端から前方に突出している複数の爪と、
前記柄の長手方向の中央部よりも前方に配置された第2ハンドル部と、
を備え、
前記第2ハンドル部は、前記ショベル面部のショベル後端部に連結された一組の第2ハンドル支持部と、前記一組の第2ハンドル支持部に連結された第2ハンドル把持部とを備え、
前記複数の爪のうちの2本と、前記一組の第2ハンドル支持部とがそれぞれ連結されていることを特徴とする砕石整理用器具。
【請求項2】
前記複数の爪が、前記すくい面の後端まで延びていることを特徴とする請求項1記載の砕石整理用器具。
【請求項3】
前記すくい面の前端には、前方に向けて突出する頂部と後方に向けて窪む底部とが前記すくい面の幅方向において交互に設けられており、
前記複数の爪のそれぞれは、前記ショベル面部の上下方向から見た際に前記頂部と重なって配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の砕石整理用器具。
【請求項4】
前記複数の爪のそれぞれは、前記すくい面の下面から突き出るように設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の砕石整理用器具。
【請求項5】
前記一組の第2ハンドル支持部は、後方に向かうに従い前記柄から離間するように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の砕石整理用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路盤上に敷かれた道床を構成する砕石の移動に用いられる砕石整理用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
路盤上に敷かれた道床を構成する砕石は、使用期間に伴い、一部が崩れたり、不足したりする場合がある。そのような場合、定められた道床形状を遵守するため、砕石補充や砕石の掻き上げといった作業を行い、道床形状を補修する必要がある。
このような道床形状の補修作業は、スコップを用いて2人の作業者が人力で行うのが一般的である。砕石の掻き上げ作業の場合、図7に示す特許文献1に記載されるように、第1の作業者62がスコップ15を用いて砕石55を掻き上げ、第1の作業者62が砕石55を掻き上げるタイミングに合わせて、第2の作業者61がスコップ15に連結されたロープ16を引き上げて行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−009462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道床形状の補修作業を2人の作業者により人力で行う現行の方式では、作業者が最低でも2人必要となるため、作業効率の観点から改善の余地がある。もしも1人の作業者でも道床形状の補修作業を行うことができれば、作業者をより効率的に活用できると考えられる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、1人の作業者でも簡易的に道床形状の補修作業を行うことができる砕石整理用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様は、長尺状の柄と、前記柄の後端側に連結された第1ハンドル部と、すくい面を有し、前記柄の前端に連結されたショベル面部と、前記すくい面の下面に固定され、前記すくい面の前端から前方に突出している複数の爪と、を備えることを特徴とする砕石整理用器具である。
【0007】
本発明の第一の態様によれば、作業者が前記第1ハンドル部と前記柄の長手方向の中央部よりも前方とを把持して前記複数の爪を砕石中に突き刺し、次いで、前記第1ハンドル部に対して前記柄の長手方向の中央部よりも前方を相対的に引き上げ、前記柄の長手方向の中央部よりも前方に対して前記第1ハンドル部を相対的に押し下げることにより、砕石中に突き刺さった前記複数の爪が砕石をすくい上げ、これら砕石を所望の場所に移動することで、1人の作業者が1個の前記砕石整理用器具を用いて、従来よりも効率的に砕石の掻き上げ作業を行うことができる。
【0008】
本発明の第二の態様は、第一の態様において、前記複数の爪が、前記すくい面の後端まで延びていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、前記複数の爪の強度及び剛性を高めることができ、砕石への前記複数の爪の突き刺さりが良くなるため、前記砕石中への前記複数の爪の1回の突き刺しにより、より多くの砕石をすくい上げることができる。
【0010】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様において、前記すくい面の前端には、前方に向けて突出する頂部と後方に向けて突出する底部とが前記すくい面の幅方向において交互に設けられており、前記複数の爪のそれぞれは、前記ショベル面部を上下方向から見た際に前記頂部と重なって配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第三の態様によれば、前記複数の爪を前記すくい面の頂部で補強し、前記複数の爪の強度及び剛性を上げることができる。そのため、前記複数の爪を砕石に突き刺す際に、勢いよく突き刺すことができるため、前記複数の爪を砕石中により深く突き刺すことができる。そのため、より多くの砕石をすくい上げることができ、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【0012】
本発明の第四の態様は、第一から第三のいずれかの態様において、前記複数の爪のそれぞれは、前記すくい面の下面から突き出るように設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第四の態様によれば、前記複数の爪の下面のみが砕石に接触するため、砕石との接触面積が減り、前記複数の爪を砕石の上を滑るように動かすことができる。
【0014】
本発明の第五の態様は、第1から第4のいずれかの態様において、前記柄の長手方向の中央部よりも前方に配置された第2ハンドル部をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第五の態様によれば、前記第2ハンドル部が備わっているため、作業者は容易かつ確実に前記柄の長手方向の前記中央部よりも前方を把持することができる。そのため、作業者が前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部とを把持して前記複数の爪を砕石中に突き刺し、次いで、前記第1ハンドル部に対して前記第2ハンドル部を相対的に引き上げ、前記第2ハンドル部に対して前記第1ハンドル部を相対的に押し下げることにより、砕石中に突き刺さった前記複数の爪が砕石をすくい上げ、これら砕石を所望の場所に移動することで、1人の作業者が1個の前記砕石整理用器具を用いて、従来よりも効率的に砕石の掻き上げ作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。また、前記第2ハンドル部が無い場合と比較して、前記複数の爪を砕石中に突き刺す際の作業者の腰を屈める程度を小さくすることができる。そのため、作業者の負担が緩和され、作業効率をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明の第六の態様は、第五の態様において、前記第2ハンドル部は、前記ショベル面部のショベル後端部に連結された一組の第2ハンドル支持部と、前記一組の第2ハンドル支持部に連結された第2ハンドル把持部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第六の態様によれば、砕石からの荷重を受けるすくい面と、すくい面にショベル後端部を介して連結された第2ハンドル支持部との距離が近いため、より多量の砕石がすくい面にすくい上げられた際にも、容易にショベル面部を持ち上げることができ、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【0018】
本発明の第七の態様は、第六の態様において、前記複数の爪のうちの2本と、前記一組の第2ハンドル支持部とが連結されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第七の態様によれば、前記2本の爪と前記一組の第2ハンドル支持部の強度及び剛性を高めることができ、砕石への前記複数の爪の突き刺さりが良くなるため、前記複数の爪の前記砕石中への1回の突き刺しにより、より多くの砕石をすくい上げることができる。
【0020】
本発明の第八の態様は、第六又は第七の態様において、前記一組の第2ハンドル支持部は、後方に向かうに従い、前記柄から離間するように傾斜していることを特徴とする。
【0021】
本発明の第八の態様によれば、前記第2ハンドル把持部を把持する作業者の手から前記柄に作用する力のうちで前記柄に平行な成分が、前記複数の爪を砕石に突き刺す力として作用するため、砕石に前記複数の爪をより深く突き刺すことができる。砕石に前記複数の爪がより深く突き刺されば、前記すくい面ですくい上げることのできる砕石の量が増えるため、一度に移動させることのできる砕石の量が増え、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る砕石整理用器具によれば、1人の作業者で、道床形状の補修作業を、高い作業効率で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具の側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具の変形例を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る砕石整理用器具の変形例を示す斜視図である。
図7】従来の道床形状の補修作業を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る砕石整理用器具1を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る砕石整理用器具1の平面図である。図3は、本実施形態に係る砕石整理用器具1の側面図である。
砕石整理用器具1は、長尺状の柄2、柄2の後端側に連結された第1ハンドル部3、柄2の長手方向の中央部よりも前方に配置された第2ハンドル部4、すくい面6を備え、柄2の前端に連結されたショベル面部5、すくい面6の下面に固定され、すくい面6の前端から前方に突出している複数の爪20と、から構成されている。
以下の説明では、柄2において、ショベル面部5が連結されている側を柄2の前方、第1ハンドル部3が連結されている側を柄2の後方として説明する。すくい面6の幅方向とは、柄2に直交し、すくい面6と略平行な方向である。すくい面6の上下方向とは、すくい面6に略直交する方向を指し、すくい面6の上方とは、すくい面6の砕石が載せられる側であり、すくい面6の下方とはその逆を指す。すくい面6の前後方向とは、すくい面6において複数の爪20が延びる方向と平行な方向を指す。
【0025】
柄2は、図1〜5に示すように、断面が円形の長尺状の部材である。
柄2の後端側に連結される第1ハンドル部3は、柄2の後端側から二手に分かれて柄2の後端側に延びる一組の第1ハンドル支持部11と、一組の第1ハンドル支持部11の後端同士を連結し、作業者が把持する第1ハンドル把持部12と、から構成されている。
第1ハンドル支持部11は、図1に示すように、曲線的な形状であっても良いし、或いは直線的な形状であっても良い。
第1ハンドル把持部12は、作業者が把持し易い様に、断面形状が円形であっても良い。また、作業者が把持し易いように、作業者の指の一本一本が載置できるように不図示の溝部(グリップ)が設けられていても良い。第1ハンドル把持部12の断面形状は、円形に限らず、作業者が把持し易ければ、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形でも楕円形でも良い。
また、第1ハンドル部3は、柄2の後端に設けられても、柄2の後端よりも柄2の前方に配置されていても良い。
【0026】
柄2の前端に設けられたショベル面部5は、砕石をすくい上げる面積を備える略平板状のすくい面6と、すくい面6の幅方向の両端部に設けられ、すくい面6に載置された砕石がすくい面6の幅方向に落下しないように、すくい面6の上面に凹面を形成するように設けられるショベル脇部7と、すくい面6の後端に設けられ、すくい面6に載置された砕石がすくい面の後方に落下しないように、すくい面6の上面に凹面を形成するように設けられるショベル後端部8と、から構成されている。
なお、ショベル脇部7は、すくい面6の幅方向の両端部から、すくい面6に対して略直角に立設されている。同様に、ショベル後端部8は、すくい面6の後端から、すくい面6に対して略直角に立設されていても良い。
また、ショベル後端部8のすくい面6の幅方向の両端部と、ショベル脇部7の後端は、図1に示すように溶接等で接続されて隙間が空かないように構成されても良い。或いは、砕石が落下しない程度であれば、ショベル後端部8のすくい面6の幅方向の両端部と、ショベル脇部7の後端との間に隙間が空いている。なお、ショベル脇部7とショベル後端部8は、すくい面6に対して略直角に立設されていなくとも、すくい面6から砕石が落下しない範囲で、すくい面6に対して角度を付けて設けられていても良い。
なお、本実施形態では、すくい面6に柄2が溶接により強固に固定されているが、固定方法は溶接に限定されず、例えば、ネジやボルトナットを用いて固定されても良い。
また、図3に示すように、ショベル面部5(すくい面6)は、柄2に対して角度βが鈍角となるように設けられている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、すくい面6の前後方向の長さは、すくい面6の幅と略同じである。即ち、すくい面6の前後方向の最大長さは、すくい面6の最大幅と略同じである。
【0027】
すくい面6の下面には、細長い棒状部材である複数の爪20が固定されている。複数の爪20は、すくい面6の前端から前方に突出している。複数の爪20は、砕石整理用器具1を砕石中に突き刺した際に、砕石中に突き刺さる部材であるため、剛性に優れている。
つまり、すくい面6に柄2が強固に固定され、すくい面6の下面に複数の爪20が固定されているため、柄2、すくい面6、及び複数の爪20は一体的に形成されていると見なして良い。
【0028】
すくい面6の前端には、図2に示すように、前方に向けて突出する頂部Tと後方に向けて突出する底部Bとがすくい面6の幅方向において交互に設けられている。また、図2に示すように、複数の爪20のそれぞれは、ショベル面部5(すくい面6)の上下方向から見た際に頂部Tと重なって配置されている。
ここで、すくい面6と複数の爪20との関係を詳しく説明する。図2図3に示すように、すくい面6の下面に複数の爪20の上面が固定されている。固定方法は特に限定されず、すくい面6の下面から複数の爪20が剥がれ落ちない限り、例えば溶接により固定しても、ネジを螺合して固定しても良い。本実施形態では複数の爪20は5本設けられており、すくい面6の下面に位置する5本の爪20の上面の全てが、すくい面6の下面に溶接により強固に固定されている。なお、すくい面6の下面から複数の爪20が剥がれ落ちない限り、すくい面6の下面と複数の爪20の上面との間に隙間があっても良い。
ここで、図2,3に示すように、複数の爪20の後端は、すくい面6の後端まで延びている。
また、隣接する複数の爪20の間隔Wは4cm以下である。これは、砕石は略直径5cmの略球形であるため、隣接する複数の爪20の間からの砕石の落下を防止するためである。なお、砕石のサイズに応じて、隣接する複数の爪20の間から砕石が落下しないように、複数の爪20の間隔Wを適宜調節しても良い。
なお、複数の爪20の本数は5本に限定されない。
【0029】
図1図3に示すように、第2ハンドル部4は、ショベル後端部8から延びる一組の板状の第2ハンドル支持部9と、一組の第2ハンドル支持部9の後端同士を連結し、作業者が把持する第2ハンドル把持部10とから構成されている。
図1に示すように、第2ハンドル支持部9は、板状であっても良いし、或いは棒状であっても良い。
第2ハンドル把持部10は、作業者が把持し易い様に、断面形状が円形であっても良い。また、作業者が把持し易いように、作業者の指の一本一本が載置できるように不図示の溝部(グリップ)が設けられていても良い。第2ハンドル把持部10の断面形状は、円形に限らず、作業者が把持し易ければ、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形でも楕円形でも良い。
図3に示すように、柄2に対して第2ハンドル支持部9は角度αが付いて設けられている。本実施例では、角度αは鋭角に設けられている。即ち、第2ハンドル支持部9は、後方に向かうに従い柄2から離間するように傾斜している。鋭角は例えば45°以下である。鋭角が例えば45°以下の場合、複数の爪20を砕石に突き刺す際に、第2ハンドル把持部10を把持する作業者の手からショベル後端部8及びすくい面6を介して複数の爪20に作用する力のうちで、柄2に平行な成分をより大きくとることができるため、砕石に複数の爪20をより深く突き刺すことができる。砕石により深く複数の爪20が刺されば、すくい面6にすくい上げることのできる砕石の量が増えるため、一度に移動させることのできる砕石の量が増え、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。ここで、第2ハンドル支持部9は、後方に向かうに従い、柄2から、すくい面の上面側に離間するように傾斜している。なお、角度αは、鋭角でなくとも、柄2に対して略直角に設けられていても良い。
【0030】
本実施形態では、図2〜3に示すように、第2ハンドル支持部9と、5本の爪20のうちの2本が、一体的に設けられている。より具体的には、一組の第2ハンドル支持部9が、5本の爪20のうち、中心に設けられる爪20と隣り合う2本の爪20と一体的に設けられている。
ここで、図3に示すように、第2ハンドル支持部9を側面から見ると、屈曲部13が第2ハンドル支持部9と爪20との境となっている。爪20の後端側には、すくい面6の下面からさらに下方に向かう方向に凸状に膨らむように湾曲する湾曲部14が設けられている。湾曲部14と屈曲部13とは、図3に示す砕石整理用器具1の側面視で隣接している。
また、図1図3に示すように、すくい面6の下面から、複数の爪20が突き出るように設けられている。
また、上記実施形態の砕石整理用器具1を構成する構成要素は、例えば焼き入れを施した鋼鉄材料で構成されていても良い。
【0031】
次に、上記のような構成を備える砕石整理用器具1の作用を説明する。
例えば、道床の法面の形状補修を行うために、砕石整理用器具1を用いて砕石の掻き上げ作業を行う場合を想定して説明する。
作業者が右利きの場合を想定すると、第1に作業者は、右手で砕石整理用器具1の第1ハンドル部3の第1ハンドル把持部12を把持し、左手で第2ハンドル部4の第2ハンドル把持部10を把持しながら、複数の爪20を道床の法面に多数敷かれた砕石中に勢いよく突き刺す。
第2に作業者は、第1ハンドル把持部12(第1ハンドル部3)に対して第2ハンドル把持部10(第2ハンドル部4)を相対的に引き上げ、第2ハンドル把持部10(第2ハンドル部4)に対して第1ハンドル把持部12(第1ハンドル部3)を相対的に押し下げることにより、砕石中に突き刺さった複数の爪20で砕石をすくい上げると、複数の爪20の上を砕石が柄2の後端側に向かって滑り落ちて、すくい面6に載置される。
第3に作業者は、すくい面6に載置された砕石を、砕石整理用器具1を所望の場所まで移動して落下させることにより、道床の法面の所望の場所に砕石を移動することができる。
【0032】
本実施形態の砕石整理用器具1を使用した上記のような作業と、図7に示したような2人の作業者で行う従来のスコップ15を使用した作業とを、実験を行って比較した。
【0033】
図4は、本発明の実施形態の第1の変形例に係る砕石整理用器具100を示す斜視図である。図5は、本発明の実施形態の第2の変形例に係る砕石整理用器具1000を示す斜視図である。図6は、本発明の実施形態の第3の変形例に係る砕石整理用器具2000を示す斜視図である。
【0034】
本実験では、図7に示すような、現在、道床形状の補修作業で通常使用するロープ16付きのスコップ15(通称ダンプショベル)と、図1に示す本実施形態の砕石整理用器具1と、砕石整理用器具1のすくい面6の前端を後方にずらして、すくい面6の前後方向の長さを、すくい面6の幅よりも小さくしてすくい面6の面積を減らし、その分、すくい面6の重量を減らした図4に示す砕石整理用器具100と、の3種類を用いた。
なお、ロープ16付きのスコップ15の重量は2.5kg、砕石整理用器具1の重量は3.2kg、砕石整理用器具100の重量は2.5kgであった。
【0035】
被験者として5名の作業者が実験に参加した。被験者1〜5の年齢、身長、体重は以下の通りである。被験者1(年齢:34歳、身長:176cm、70kg)、被験者2(年齢:43歳、身長:170cm、70kg)、被験者3(年齢:45歳、身長:173cm、60kg)、被験者4(年齢:47歳、身長:162cm、50kg)、被験者5(年齢:31歳、身長:170cm、70kg)。
【0036】
実験では、被験者1〜5が、ロープ16付きのスコップ15、砕石整理用器具1、砕石整理用器具100を用いた場合に、1分間にすくい上げることのできた砕石の総重量を測定した。実際の道床形状の補修作業の内容に鑑み、この砕石の総重量が多ければ多い程、作業効率が高いと判断できる。
ここで、ロープ16付きのスコップ15を評価する場合、簡単のために、ロープ16の引手がいずれの被験者であったかは考慮せず、スコップ15を操作する作業者が被験者1〜5の何れであったかを考慮した。また、ロープ16付きのスコップ15は2人の作業者で作業するため、便宜上、砕石の総重量を2で割った1人当たりの砕石の総重量を算出した。このようにして、1人の作業者が作業を行う砕石整理用器具1、砕石整理用器具100を使用した場合と、1人当たりの砕石の総重量で比較した。数字は四捨五入により少数第一位に丸めた。
【0037】
その結果、被験者1は、1分間に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に70.1kg(1人当たり35.1kg)、砕石整理用器具1を用いた場合に31.7kg、砕石整理用器具100を用いた場合に44.4kgの砕石をすくい上げることができた。
被験者2は、1分間に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に85.6kg(1人当たり42.8kg)、砕石整理用器具1を用いた場合に39.3kg、砕石整理用器具100を用いた場合に50.7kgの砕石をすくい上げることができた。
被験者3は、1分間に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に39.6kg(1人当たり19.8kg)、砕石整理用器具1を用いた場合に32.2kg、砕石整理用器具100を用いた場合に32.6kgの砕石をすくい上げることができた。
被験者4は、1分間に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に57.1kg(1人当たり28.6kg)、砕石整理用器具1を用いた場合に40.7kg、砕石整理用器具100を用いた場合に44.4kgの砕石をすくい上げることができた。
被験者5は、1分間に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に78.7kg(1人当たり39.4kg)、砕石整理用器具1を用いた場合に73.4kg、砕石整理用器具100を用いた場合に65.5kgの砕石をすくい上げることができた。
【0038】
上記の結果を比較し易い様に、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合に1人当たりで引き上げることのできた砕石総重量を100とした場合、砕石整理用器具1を用いた場合と砕石整理用器具100を用いた場合に引き上げることのできた砕石の総重量を被験者毎に示すと以下の通りである。
被験者1(砕石整理用器具1を用いた場合90、砕石整理用器具100を用いた場合127)。
被験者2(砕石整理用器具1を用いた場合92、砕石整理用器具100を用いた場合118)。
被験者3(砕石整理用器具1を用いた場合163、砕石整理用器具100を用いた場合165)。
被験者4(砕石整理用器具1を用いた場合143、砕石整理用器具100を用いた場合156)。
被験者5(砕石整理用器具1を用いた場合187、砕石整理用器具100を用いた場合166)。
【0039】
上記のような結果より、砕石整理用器具100を用いた場合は、何れの被験者1〜5でも、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合よりも多くの砕石をすくい上げることができた。
一方、砕石整理用器具1を用いた場合、被験者1,2では、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合の9割程度の結果であったが、被験者3〜5では、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合を大きく上回っているため、概ね、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合よりも多くの砕石をすくい上げることができたと言える。
砕石整理用器具1を用いた場合と、砕石整理用器具100を用いた場合とを比較すると、軽量の砕石整理用器具100を用いた場合に、より多くの砕石をすくい上げることができたため、すくい面6の面積を適度に減らして器具の重量を軽くした方が好ましいと考えられる。これは、すくい面6の面積を適度に減らして器具の重量を軽くした場合、作業者が砕石をすくい上げる回数を増やすことができ、結果として、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上すると考えられる。
【0040】
また、砕石整理用器具1を用いた場合の被験者1〜5がすくい上げることのできた砕石総重量の平均値は135であり、砕石整理用器具100を用いた場合の被験者1〜5がすくい上げることのできた砕石総重量の平均値は146であった。
これは、砕石整理用器具1を用いた場合、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合よりも、作業効率が35%上がり、砕石整理用器具100を用いた場合、ロープ16付きのスコップ15を用いた場合よりも、作業効率が46%上がることを示している。
【0041】
従来のロープ16付きのスコップ15を用いた場合、砕石中への1回の突き刺しですくい上げることのできる砕石の量が、砕石整理用器具1や砕石整理用器具100を用いた場合よりも多いことが分かっている。これは、従来のロープ16付きのスコップ15を用いた場合、2人の作業者で作業するため、図7に示すように、スコップを操作する作業者62はスコップにできるだけ多くの砕石を乗せることに注力し、ロープ16を引き上げる作業者61は砕石で満載されたスコップを引き上げることに注力するため、1回にすくい上げる砕石の量が多くなると考えられる。従って、従来のロープ16付きのスコップ15を用いた場合、1回にすくい上げる砕石の量は多い反面、すくい上げる回数が少ないと考えられる。
一方、砕石整理用器具1や砕石整理用器具100を用いた場合、1人の作業者が作業するため、1回にすくい上げる砕石の量は従来のロープ16付きのスコップ15を用いた場合よりも少ないが、すくい上げる回数が多いため、結果として1人当たりの仕事量が増えたと考えられる。
なお、図6に示す本実施形態に係る砕石整理用器具1の第3の変形例に係る砕石整理用器具2000のように、第2ハンドル部4がない構成であっても良い。このような構成においても、右手で第1ハンドル部3を把持し、左手で第2ハンドル部4の第2ハンドル把持部10を把持する代わりに柄2の長手方向の中央部よりも前方を把持することによって、第2ハンドル部4を備える砕石整理用器具1を用いた場合と概ね同様の効果を発揮することができる。
【0042】
上記のような本実施形態に係る砕石整理用器具1では、長尺状の柄2と、柄2の後端側に連結された第1ハンドル部3と、すくい面6を有し、柄2の前端に連結されたショベル面部5と、すくい面6の下面に固定され、すくい面6の前端から前方に突出している複数の爪20と、を備える。そのため、作業者が第1ハンドル部3と柄2の長手方向の中央部よりも前方とを把持して複数の爪20を砕石中に突き刺し、次いで、第1ハンドル部3に対して柄2の長手方向の中央部よりも前方を相対的に引き上げ、柄2の長手方向の中央部よりも前方に対して第1ハンドル部3を相対的に押し下げることにより、砕石中に突き刺さった複数の爪20が砕石をすくい上げ、これら砕石を所望の場所に移動することで、1人の作業者が1個の砕石整理用器具1を用いて、従来よりも効率的に砕石の掻き上げ作業を行うことができる。
【0043】
また、複数の爪20が、すくい面6の後端まで延びているため、複数の爪20の強度及び剛性を高めることができ、砕石への複数の爪20の突き刺さりが良くなるため、砕石中への複数の爪20の1回の突き刺しにより、より多くの砕石をすくい上げることができる。
【0044】
また、すくい面6の前端には、前方に向けて突出する頂部Tと後方に向けて突出する底部Bとがすくい面6の幅方向において交互に設けられており、複数の爪20のそれぞれは、ショベル面部5(すくい面6)の上下方向から見た際に頂部Tと重なって配置されているため、複数の爪20をすくい面6の頂部Tで補強し、複数の爪20の強度及び剛性を上げることができる。そのため、複数の爪20を砕石に勢いよく突き刺すことができるため、複数の爪20を砕石中により深く突き刺すことができる。よって、より多くの砕石をすくい上げることができ、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【0045】
また、複数の爪20のそれぞれは、すくい面6の下面から突き出るように設けられているため、複数の爪20の下面のみが砕石に接触する。そのため、砕石との接触面積が減り、ショベル面部5を、砕石の上を滑るように動かすことができる。
【0046】
また、柄2の長手方向の中央部よりも前方に配置された第2ハンドル部4をさらに備えているため、作業者は容易かつ確実に柄の長手方向の中央部よりも前方を把持することができる。そのため、作業者が第1ハンドル部3と第2ハンドル部4とを把持して複数の爪20を砕石中に突き刺し、次いで、第1ハンドル部3に対して第2ハンドル部4を相対的に引き上げ、第2ハンドル部4に対して第1ハンドル部3を相対的に押し下げることにより、砕石中に突き刺さった複数の爪20が砕石をすくい上げ、これら砕石を所望の場所に移動することで、1人の作業者が1個の砕石整理用器具1を用いて、従来よりも効率的に砕石の掻き上げ作業を行うことができる。また、第2ハンドル部4が無い場合と比較して、複数の爪20を砕石中に突き刺す際の作業者の腰を屈める程度を小さくすることができる。そのため、作業者の負担が緩和され、作業効率をさらに向上させることができる。
【0047】
また、第2ハンドル部4は、ショベル面部5のショベル後端部8に連結された一組の第2ハンドル支持部9と、一組の第2ハンドル支持部9に連結された第2ハンドル把持部10とを備えるため、砕石からの荷重を受けるすくい面6と、すくい面6にショベル後端部8を介して連結された第2ハンドル支持部9との距離が近づく。そのため、より多量の砕石がすくい面6にすくい上げられた際にも、容易にショベル面部5を持ち上げることができ、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【0048】
また、複数の爪20のうちの2本と、一組の第2ハンドル支持部9とが連結されているため、この2本の爪20と一組の第2ハンドル支持部9の強度及び剛性を高めることができ、砕石への複数の爪20の突き刺さりが良くなるため、複数の爪20の砕石中への1回の突き刺しにより、より多くの砕石をすくい上げることができる。
【0049】
また、一組の第2ハンドル支持部9は、後方に向かうに従い、柄2から離間するように傾斜しているため、第2ハンドル把持部10を把持する作業者の手からショベル後端部8及びすくい面6を介して複数の爪20に作用する力のうちで、柄2に平行な成分が、柄2及びすくい面6と一体的に形成されていると見なせる複数の爪20を砕石に突き刺す力として作用する。そのため、砕石に複数の爪20をより深く突き刺すことができる。砕石に複数の爪20がより深く突き刺されば、すくい面6ですくい上げることのできる砕石の量が増えるため、一度に移動させることのできる砕石の量が増え、砕石の掻き上げ作業の作業効率が向上する。
【0050】
このような砕石整理用器具1や砕石整理用器具100を用いることで、従来よりも作業効率が35%或いは46%上がるため、従来よりも少ない人数で工事を行っても同じ成果を得ることができる。或いは、従来と同じ人数を投入すれば工期を短縮することができる。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態に係る砕石整理用器具1における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記実施形態に係る砕石整理用器具1の構成要素と上記変形例に係る砕石整理用器具100、2000、又は、後述する砕石整理用器具1000の構成要素とを適宜組み合わせてもよい。
【0052】
例えば、柄2の断面形状は、円形に限らず、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形でも楕円形でも良い。
また、一組の第2ハンドル支持部9はショベル後端部8から延び、一組の第2ハンドル支持部9は5本の爪20のうちの2本と一体的に設けられているとしたが、一組の第2ハンドル支持部9と、5本の爪20のうち、中心に設けられる爪20に隣り合う2本の爪20とが同一部材(同一材料)により一体的に構成されていても良い。或いは、一組の第2ハンドル支持部9と、5本の爪20のうち、中心に設けられる爪20と隣り合う2本の爪20とが別部材(別材料)により構成され、両者が溶接等により連結されていても良い。
ここで、複数の爪20の本数は5本に限定されないため、複数の爪20の本数が5本でない場合も、一組の第2ハンドル支持部9が、複数の爪20のうちで中心に設けられる爪20に隣り合う2本の爪20に一体的に設けられていても、或いは溶接等により連結されていても良い。
また、一組の第2ハンドル支持部9と一体的に設けられる複数の爪20の本数は2本に限られず任意の本数であっても良い。
なお、一組の第2ハンドル支持部9に代えて、1本の第2ハンドル支持部9がショベル後端部8に設けられていても良い。この場合、1本の第2ハンドル支持部9の先端から第2ハンドル把持部10がすくい面6の幅方向等の作業者が把持し易い任意の方向に延びて片持ちのグリップ形状等に形成されていても良い。また、1本の第2ハンドル支持部9がショベル後端部8に設けられている場合、1本の第2ハンドル支持部9と複数の爪20のうちの1本または任意の本数が一体的に設けられていても良い。
同様に、一組の第1ハンドル支持部11に代えて、1本の第1ハンドル支持部11が柄2の後端側に設けられていても良い。この場合、1本の第1ハンドル支持部11の先端から第1ハンドル把持部12がすくい面6の幅方向等の作業者が把持し易い任意の方向に延びて片持ちのグリップ形状等に形成されていても良い。
また、第2ハンドル支持部9は、ショベル後端部8に設けられていなくとも、柄2の長手方向の中央部よりも前方に配置されていても良い。但し、第2ハンドル支持部9がショベル後端部8に設けられている方が、砕石から荷重を受けるすくい面6から第2ハンドル支持部9までの距離が近いため、すくい面6に載置された砕石の重量が重い場合でも、容易に砕石を所望の場所に移動することができる。
また、図3の例では、湾曲部14の先端から爪20の先端までは直線的に延びているが、湾曲部14が爪20の先端まで続いていても良い。この場合、砕石に接触する複数の爪20の下面の面積がさらに減るため、ショベル面部5が、砕石上を、より滑らかに動くことができる。
また、例えば、図5に示す砕石整理用器具1の第2の変形例である砕石整理用器具1000のように、すくい面600の表面をすくい面6よりも平坦に形成し、すくい面600とショベル脇部700とが、より滑らかに連結されていても良い。この場合、すくい面600の表面が、砕石整理用器具1のすくい面6よりも滑らかであるため、すくい面600上において砕石に対する摩擦係数が減り、より容易に、すくい面600から砕石を所望の場所に落下させることができる。
また、図5に示すように、第1ハンドル部300の形状が、砕石整理用器具1の第1ハンドル部3の形状と異なっていても良い。
図4に示す砕石整理用器具100のすくい面60は、図1に示すすくい面6の前端を後方に後退させて、すくい面60の前後方向の長さが、すくい面60の幅よりも小さいとしたが、具体的には、すくい面60の幅が、すくい面6の前後方向の長さの100%より大きく250%以内の範囲であっても良い。こうすることで、砕石整理用器具100の軽量化を図ることができる。
また、この際、図4に示す砕石整理用器具100のすくい面60の前端から、前方に突出する複数の爪20の先端までの長さが、すくい面60の前後方向の長さの50%〜150%の範囲であっても良い。
また、複数の爪20の後端部において、複数の爪20をすくい面6の幅方向に連結する不図示の連結板が設けられていても良い。連結板が設けられていると、複数の爪20の強度と剛性がさらに向上するため、複数の爪20を砕石中に、より勢い良く突き刺すことができる。
ここで、すくい面6上の砕石がすくい面6幅方向端部から落下しないように、すくい面6の幅方向の中央付近が窪んでおり、すくい面6の幅方向の中央付近からすくい面6の幅方向端部に近づくにつれて、すくい面6の幅方向の中央付近よりも相対的に上方にすくい面6が湾曲している場合、ショベル脇部7は設けられていなくても良い。
また、既存のスコップ、既存の複数の爪、既存の第1ハンドル部、及び既存の第2ハンドル部を組み合わせた上で、図1図4図6に示すような形状に適宜加工することで、安価に砕石整理用器具1、砕石整理用器具100、及び、砕石整理用器具2000を製造しても良い。既存品を組み合わせない場合は、各部品を製造した上で、図5に示すような形状に製造すれば良い。
なお、本発明に係る砕石整理用器具1,100,1000,2000の用途は道床の法面の補修作業に限定されず、一般的なショベルに代えて使用しても良い。
また、すくい面6の前後方向の長さは、すくい面6の幅よりも長くても良い。
また、すくい面6、柄2、複数の爪20に関して、溶接やネジ、ボルトナットを使用することで、すくい面6に柄2が強固に固定され、すくい面6の下面に複数の爪20が固定されているため、柄2、すくい面6、及び複数の爪20は一体的に形成されていると見なして良いとしたが、すくい面6、柄2、複数の爪20が、同一の部材で一体的に形成されていても良い。
また、図6に示す砕石整理用器具2000の場合、複数の爪20がすくい面6に強固に固定されている限り、複数の爪20はすくい面6の後端まで延びていなくても良い。
【符号の説明】
【0053】
1、100、1000、2000 砕石整理用器具
2 柄
3 第1ハンドル部
4 第2ハンドル部
5 ショベル面部
6 すくい面
7 ショベル脇部
8 ショベル後端部
9 第2ハンドル支持部
10 第2ハンドル把持部
11 第1ハンドル支持部
12 第1ハンドル把持部
13 屈曲部
14 湾曲部
B 底部
T 頂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7