(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵室の前面を扉により開閉し、前記扉を閉じた際にパッキンにより前記貯蔵室を密閉する冷蔵庫において、前記扉を閉じた際に前記パッキンよりも庫内側に前記パッキンの長手方向に延びるスリット状に形成されるとともに冷気の流通方向が前記長手方向に直交する狭窄通路を備え、前記狭窄通路の対向する側壁の少なくとも一方が、前記長手方向に複数並設した第一溝部と、前記第一溝部により区画される陸部とを有することを特徴とする冷蔵庫。
前記扉が左右に並設して枢支されるとともに、両方の前記扉の対向する側面上にそれぞれ前記パッキンが配され、前記狭窄通路が両方の前記扉の対向する側面の間に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の冷蔵庫。
前記パッキンが前記扉と前記貯蔵室の周壁の前面との間に配され、前記狭窄通路が前記扉と前記貯蔵室の周壁の前面との間または前記扉と前記貯蔵室の周壁の内面との間に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は第1実施形態の冷蔵庫の正面図を示している。冷蔵庫1は内箱2aと外箱2bとの間に発泡ウレタン等の発泡断熱材20(いずれも
図5参照)を充填した断熱箱体から成る本体部2を備えている。
【0021】
本体部2の上部には冷蔵室3が配され、冷蔵室3の下方に製氷室5及び冷凍室6が左右に並設される。製氷室5及び冷凍室6の下方には冷凍室7が配され、冷凍室7の下方に野菜室7が配される。製氷室5、冷凍室6及び冷凍室7は本体部2の後部でそれぞれ連通した冷凍空間を形成する。
【0022】
冷蔵室3の前面は回動式の扉13及び扉14により開閉される。扉13及び扉14は本体部2の左右の端部に設けた鉛直な枢支軸13a及び枢支軸14aによりそれぞれ枢支される。
【0023】
製氷室5の前面は貯氷ケース(不図示)と一体にスライドする扉15により開閉される。冷凍室6の前面は収納ケース(不図示)と一体にスライドする扉16により開閉される。冷凍室7の前面は収納ケース7c(
図5参照)と一体にスライドする扉17により開閉される。野菜室8の前面は収納ケース(不図示)と一体にスライドする扉18により開閉される。扉13〜18には発泡断熱材20(
図5参照)が充填される。
【0024】
以下の説明において、冷蔵庫1を正面に見て左右方向をX方向、奥行方向をY方向、上下方向をZ方向という場合がある。
【0025】
図2は本体部2の正面図を示している。冷蔵室3と冷凍空間との間は発泡断熱材20(
図5参照)を充填した断熱壁9により仕切られる。冷凍空間と野菜室8との間は発泡断熱材20(
図5参照)を充填した断熱壁10により仕切られる。製氷室5及び冷凍室6は本体部2の前部に横設して発泡断熱材20(
図5参照)を充填した仕切部12により冷凍室7と仕切られる。製氷室5と冷凍室6との間は仕切部12上に立設される仕切壁11により仕切られる。
【0026】
冷蔵室3の背面には複数の冷気の吐出口3aが開口し、冷凍室7の背面には冷気の吐出口7a及び戻り口7bが開口する。冷凍室7の後方には冷凍サイクルを構成する冷却器(
図5参照)を配した冷気通路54(
図5参照)が設けられる。冷却器53により生成された冷気は送風機(不図示)により吐出口3a及び吐出口7aから冷蔵室3及び冷凍室7に吐出される。
【0027】
冷凍室7に吐出された冷気は冷凍空間を流通し、戻り口7bを介して冷却器53に戻る。冷蔵室3に吐出された冷気は冷蔵室3内を流通した後、連通路(不図示)を介して野菜室8に流入する。野菜室8に流入した冷気は野菜室8内を流通した後、戻り口(不図示)を介して冷却器53に戻る。
【0028】
扉13及び扉14は閉じた際に冷蔵室3の周壁の前面に接する環状のパッキン23及びパッキン24を背面に有している。同様に、扉15は閉じた際に製氷室5の周壁の前面に接する環状のパッキン25を背面に有している。扉16は閉じた際に冷凍室6の周壁の前面に接する環状のパッキン26を背面に有している。扉17は閉じた際に冷凍室7の周壁の前面に接する環状のパッキン27を背面に有している。扉18は閉じた際に野菜室8の周壁の前面に接する環状のパッキン28を背面に有している。各パッキン23〜28には本体部2の前面に吸着する磁石(不図示)が設けられる。
【0029】
また、左右に並設した扉13及び扉14の互いに対向する側面上にはパッキン21及びパッキン22(
図3参照)がそれぞれ設けられる。パッキン21及びパッキン22には磁石21a及び磁石22a(
図3参照)が設けられる。
【0030】
図3は冷蔵室3の扉13及び扉14の上面図を示しており、
図4は扉13及び扉14の突合せ部分の拡大図を示している。扉13及び扉14には発泡ウレタン等の発泡断熱材20(
図13参照)が充填されている。扉13の背面側は樹脂成形品のライナー13bにより覆われ、ライナー13bの周部には冷蔵室3内に突出する環状の突出部13cが設けられる。同様に、扉14の背面側はライナー14bにより覆われ、ライナー14bの周部には冷蔵室3内に突出する環状の突出部14cが設けられる。
【0031】
また、扉13の背面及び冷蔵室3の周壁の前面には、詳細を後述するように狭窄通路41(
図16参照)を形成する一対の通路形成部40が設けられる。同様に、扉14の背面及び冷蔵室3の周壁の前面には、狭窄通路41を形成する一対の通路形成部40が設けられる。
【0032】
扉13及び扉14の互いに対向する側面上には長手方向を上下方向(Z方向)に配したパッキン21及びパッキン22がそれぞれ設けられる。パッキン21は磁石21aを有し、パッキン22は磁石22aを有している。これにより、扉13及び扉14を閉じた際にパッキン21とパッキン22とが吸着して冷蔵室3が密閉される。尚、磁石21a及び磁石22aの一方を鉄板等の磁性体により形成してもよい。パッキン21及びパッキン22の近傍には結露を防止するヒータ52が設けられる。
【0033】
ライナー13b及びライナー14b上にはパッキン21及びパッキン22の庫内側に狭窄通路31を形成する一対の通路形成部30が設けられる。狭窄通路31は扉13及び扉14を閉じた際に両方の扉13、14の対向する側面の間にZ方向に延びるスリット状に形成され、Y方向に冷気が流通する。通路形成部30をライナー13b及びライナー14bと別部材により形成してもよい。
【0034】
また、扉13及び扉14の通路形成部30を配した側面は一方の開閉時に他方の側面に干渉しないように後方を互いに離れる方向に傾斜する。通路形成部30の表面を上面視流線形に形成すると、扉13及び扉14の干渉を防止して狭窄通路31のX方向の幅を小さくできるのでより望ましい。
【0035】
図5、
図6は冷凍室7の側面断面図及び上面断面図を示している。冷凍室7の扉17には発泡ウレタン等の発泡断熱材20が充填されている。扉17の背面側は樹脂成形品のライナー17bにより覆われ、ライナー17bの周部には冷凍室7内に突出する環状の突出部17cが設けられる。
【0036】
扉17には収納ケース7cが一体に設けられる。冷凍室7の両側壁上には前後方向に延びるレール7dが配される。レール7dの案内によって扉17が収納ケース7cと一体に前後方向にスライドして冷凍室7を開閉する。
【0037】
扉17の背面及び冷凍室7の周壁の前面には狭窄通路41(
図16参照)を形成する一対の環状の通路形成部40が設けられる。通路形成部40は環状のパッキン27よりも庫内側かつ突出部17cの外周側に配される。本体部2の通路形成部40は内箱2aにより形成され、扉17の通路形成部40はライナー17bにより形成される。通路形成部40を内箱2a及びライナー17bと別部材により形成してもよい。
【0038】
本体部2の発泡断熱材20内には冷凍サイクルを構成する放熱パイプ51が埋設されている。冷蔵室3及び冷凍室7の庫内温度に応じて冷凍サイクルが運転されると放熱パイプ51が昇温され、パッキン27の結露が防止される。
【0039】
尚、扉13及び扉14の背面の周部に設けられる通路形成部40は扉17の通路形成部40と同様に構成される。また、扉15、扉16及び扉18にも同様の構成の通路形成部40が設けられる。
【0040】
本実施形態は通路形成部30及び通路形成部40により形成される狭窄通路31及び狭窄通路41の圧力損失を大きくし、パッキン21〜28に到達する冷気を削減する。以下、
図7〜
図11を参照して狭窄通路31及び狭窄通路41の圧力損失を説明する。
【0041】
図7は両側壁が平行平面のスリット状の通路Rを示す斜視図であり、長手方向の一部を取り出して示している。通路Rには矢印Cの方向に冷気が流通する。通路Rの表面積をS、流路断面積をA、壁面のせん断応力をτとすると、圧力損失ΔPは式(1)で表わされる。
【0043】
通路Rの長手方向の単位長さをL、奥行方向の長さをW、スリットの幅をdとすると、式(2)及び式(3)の関係が成り立つ。ここで、本実施形態では通路Rの上下面が壁面の存在しない面であるため、通路Rの上下面を表面積Sに加算していない。
【0044】
S/A=2LW/Ld=2W/d ・・・(2)
ΔP=2τW/d ・・・(3)
【0045】
これにより、S/Aが2W/dよりも大きいと、両側壁が平面の通路Rよりも圧力損失ΔPを大きくすることができる。この時、奥行方向に断面形状が同じであれば、冷気の流通方向(奥行方向)に垂直な流路断面上において、両側壁の沿面距離の和をTとして式(4)が成立すれば、両側壁が平面すなわち流路断面上で両側壁が平行な直線の場合よりも圧力損失ΔPを大きくできる。
【0047】
図8は一方の側壁に奥行方向に平行な溝部Mを設けた通路Rを示す斜視図である。溝部Mの深さをe、スリットの長手方向の溝部Mの長さをfとすると、T/Aは式(5)で表わされる。
【0048】
T/A=2(L+e)/(Ld+ef) ・・・(5)
【0049】
例えば、Lを長手方向の溝部Mの周期として、L=e=d、f=0.5Lとすると、T/A≒2.6/dとなる。このため、溝部Mの大きさを適切に選択することにより、
図7の通路Rよりも圧力損失が大きくなる。
【0050】
図9は両方の側壁に奥行方向に平行な溝部Mを設けた通路Rを示す斜視図である。一方の側壁の溝部Mにより区画される陸部Nは他方の側壁の溝部Mに対向して配される。また溝部Mと陸部Nとの境界壁は傾斜し、両側壁上の境界壁が平行に形成される。これにより、スリットの幅dが一定となり、
図7に対して幅d及び断面積Aが同じで両側壁の沿面距離の和Tが増加する。このため、溝部Mの大きさに拘わらず
図7の通路Rよりも圧力損失が大きくなる。
【0051】
尚、スリットの幅は溝部M上で大きくなり、陸部N上で小さくなる。また、スリットの幅は両側壁の対向位置によってそれぞれ変化する。従って、
図8のようにスリットの幅dが一定とならない場合は、式(4)におけるdは流路断面内のスリットの幅の最小値をとればよい。また、奥行方向に幅dが一様に変化する場合は奥行方向の微小長さΔW毎に奥行方向に垂直な流路断面上で式(4)が成立すればよい。
【0052】
図10は一方の側壁に長手方向に平行な溝部Mを設けた通路Rを示す斜視図である。通路Rの奥行方向に溝部M以外の領域は
図7と同じである。溝部Mを形成した領域のS/Aは溝部Mの深さをe、奥行方向の溝部Mの長さをgとすると、式(6)で表わされる。
【0053】
S/A=2(g+e)/(d+e) ・・・(6)
【0054】
例えば、e=d=2gとすると、S/A=3g/dとなる。溝部Mがない場合は該領域のS/A=2g/dであるため、溝部Mの大きさを適切に選択することにより、
図7の通路Rよりも圧力損失が大きくなる。
【0055】
図11は両方の側壁に奥行方向に平行な溝部Mを設けた通路Rを示す斜視図である。一方の側壁の溝部Mにより区画される陸部Nは他方の側壁の溝部Mに対向して配される。また溝部Mと陸部Nとの境界壁は傾斜し、両側壁上の境界壁が平行に形成される。これにより、スリットの幅dが一定となり、
図7に対して幅d及び断面積Aが同じで両側壁の表面積Sが増加する。このため、溝部Mの大きさに拘わらず
図7の通路Rよりも圧力損失が大きくなる。
【0056】
従って、スリット状の通路Rの少なくとも一方の側壁上に溝部Mを設けることにより、通路Rの圧力損失を大きくすることができる。また、通路Rの両方の側壁上に溝部Mを設け、一方の側壁の溝部Mと他方の側壁の陸部Nとが対向することにより、容易に圧力損失を大きくすることができる。
【0057】
図12は冷蔵室3の扉13の背面から見た斜視図を示している。扉14(
図4参照)も同様に形成される。扉13及び扉14の側面に設けた通路形成部30により、パッキン21及びパッキン22の長手方向(Z方向)に延びるスリット状の狭窄通路31(
図4参照)が形成される。狭窄通路31内を冷気はY方向に流通し、通路形成部30の表面は狭窄通路31の側壁31a及び側壁31b(
図4参照)を形成する。
【0058】
狭窄通路31の両側壁31a、31b上にはZ方向に並設してY方向に延びる複数の溝部35及びY方向に並設してZ方向に延びる複数の溝部36が設けられる。また、側壁31a、31b上には溝部35及び溝部36により区画される複数の陸部37が形成される。
【0059】
図13は狭窄通路31の溝部35上を通る背面断面図を示している。狭窄通路31の両側壁31a、31b上には表面を曲線状に蛇行して溝部35及び陸部37が形成される。側壁31a上の溝部35は側壁31b上の陸部37に対向し、側壁31a上の陸部37は側壁31b上の溝部35に対向する。溝部35及び陸部37は断面波形に形成され、両者の境界壁が傾斜する。このため、冷気流通方向に垂直な断面上で両側壁31a、31bは互いに平行を保つように配され、狭窄通路31の幅dは一定に形成される。
【0060】
これにより、狭窄通路31の圧力損失が大きくなるため庫内側からパッキン21及びパッキン22に到達する冷気を削減することができる。従って、ヒータ52(
図4参照)の駆動時間を削減し、冷蔵庫1の省電力化を図ることができる。
【0061】
また、溝部36(
図12参照)を設けることにより、狭窄通路31の圧力損失をより大きくすることができる。尚、溝部36を設けずに溝部35のみを設けてもよく、溝部35を設けずに溝部36のみを設けてもよい。また、パッキン21、22の長手方向に延設される溝部36は1本でもよい。
【0062】
扉13及び扉14を閉じた際に両側壁31a、31bの陸部37はパッキン21、22の突合せ面Kよりも外側に配され、X方向に離れて配される。枢支軸3a及び枢支軸4aで枢支される扉13、14の開放端は経年変化や扉13、14に載置する貯蔵物の重量によりそれぞれ降下することがある。このため、両側壁31a、31bの陸部37が両側壁31a、31bの対向する方向(X方向)に離れることにより、通路形成部30の上下方向の干渉を防止することができる。
【0063】
また、通路形成部30はライナー13b及びライナー14b上にABS樹脂等の成型品の別部材を配して形成してもよい。しかし、本実施形態では通路形成部30をライナー13b及びライナー14bにより形成するため、扉13、14の内部に充填される発泡断熱材20が陸部37の内部にも一体に充填される。これにより、通路形成部30の熱容量を極めて大きくでき、狭窄通路31を通過する冷気によって通路形成部30が降温されてしまうことを抑制できる。このため、通路形成部30の庫外側に配されるパッキン21及びパッキン22の温度を冷気よりも高く維持することができ、ヒータ52(
図4参照)の駆動時間をより削減することができる。
【0064】
図14は
図6の通路形成部40上を通るB−B断面図を示しており、
図15は
図5の通路形成部40上を通るA−A断面図を示している。扉17の背面及び本体部2の前面に設けた通路形成部40により、スリット状の狭窄通路41(
図16参照)が形成される。
【0065】
通路形成部40は正面視矩形に形成され、水平部42及び垂直部43を有している。水平部42により形成される狭窄通路41はパッキン27の上辺及び下辺の長手方向(X方向)に延び、Z方向に冷気が流通する。垂直部43により形成される狭窄通路41はパッキン27の両側辺の長手方向(Z方向)に延び、X方向に冷気が流通する。
【0066】
図16は狭窄通路41の断面図を示している。通路形成部40の表面は狭窄通路41の側壁41a及び側壁41bを形成する。狭窄通路41の両側壁41a、41b上には複数の溝部45が所定の周期で並設される。水平部42(
図15参照)の狭窄通路41の溝部45はX方向に並設してZ方向に延びる。垂直部43(
図14参照)の狭窄通路41の溝部45はZ方向に並設してX方向に延びる。また、側壁41a及び側壁41b上には溝部45により区画される複数の陸部47が形成される。
【0067】
側壁41a上の溝部45は側壁41b上の陸部47に対向し、側壁41a上の陸部47は側壁41b上の溝部45に対向する。溝部45及び陸部47は断面台形状に形成され、両者の境界壁が傾斜する。このため、冷気流通方向に垂直な断面上で両側壁41a、41bは平行に形成され、狭窄通路41の幅dは一定に形成される。
【0068】
これにより、狭窄通路41の圧力損失が大きくなるため庫内側からパッキン27に到達する冷気を削減することができる。従って、冷凍サイクルの運転時間が短くても放熱パイプ51によりパッキン27の結露を防止することができる。
【0069】
また、扉17を閉じた際に両側壁41a、41bの一方の陸部47が他方の溝部45内に進入する。扉17はレール7d(
図5参照)により支持されるため上下方向の位置ずれが小さく、陸部47が溝部45に進入しても通路形成部40の干渉が生じない。これにより、狭窄通路41の幅dを小さくして圧力損失をより大きくすることができる。
【0070】
尚、扉17の上下方向の位置ずれが大きい場合には扉13、14の狭窄通路31と同様に、狭窄通路41の両側壁41a、41bの陸部47を両側壁41a、41bの対向する方向(Y方向)に離れて配置してもよい。
【0071】
また、上記した扉13、14の降下量が小さく(例えば、溝部35の並設周期の1/4以下)、扉13、14の降下による通路形成部30の上下方向の干渉の懸念が生じない場合は、上記の狭窄通路41と同様に扉13、14の狭窄通路31の陸部37を溝部35に進入させてもよい。
【0072】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の冷蔵室3の通路形成部30の溝部35、36の有無によるパッキン21、22の温度を比較した。周囲の温度30℃、周囲の湿度70%で扉13、14の開閉後に冷蔵室3の庫内温度が5℃に到達時点でパッキン21、22の温度を測定した。その結果、溝部35、36を設けた場合は設けない場合に比較してパッキン21、22の温度が1.5℃上昇した。これにより、ヒータ52の駆動時間を削減することができる。
【0073】
本実施形態によると、パッキン21〜28の庫内側にスリット状の狭窄通路31、41を形成する。狭窄通路31の対向する側壁31a、31bは溝部35、36と、溝部35、36により区画される陸部37とを有する。溝部35はパッキン21、22の長手方向に複数並設され、溝部36はパッキン21、22の長手方向に延設される。また、狭窄通路41の対向する側壁41a、41bは溝部45と、溝部45により区画される陸部47とを有する。溝部45はパッキン23〜28の長手方向に複数並設される。
【0074】
これにより、狭窄通路31及び狭窄通路41の圧力損失を大きくすることができ、パッキン21〜28に到達する冷気を削減することができる。従って、パッキン21、22の近傍に設けたヒータ52の駆動時間を削減して冷蔵庫1の省電力化を図ることができる。また、冷凍サイクルの運転時間が短くても、パッキン23〜28上の結露を防止することができる。
【0075】
また、狭窄通路31、41の一方の側壁31a、41a上の陸部37、47と他方の側壁31b、41b上の溝部35、45とが対向する。これにより、狭窄通路31、41の幅dが流路に垂直な断面上で一定になり、溝部35、45の大きさに拘わらず容易に狭窄通路31、41の圧力損失を大きくすることができる。
【0076】
また、左右に並設した扉13、14の対向する側面上にそれぞれパッキン21、22が配され、狭窄通路31の両側壁31a、31b上の陸部37がX方向に離れて配置される。これにより、通路形成部30の干渉を防止することができる。
【0077】
また、パッキン21、22の後方で扉13、14の対向する両側面が後方を互いに離れる方向に傾斜するため、扉13、14の開閉時の干渉を防止することができる。この時、溝部35を上下方向に並設することにより、扉13、14の間隔の狭い狭窄通路31の前端部に溝部35を配置することができる。従って、狭窄通路31の圧力損失をより大きくすることができる。
【0078】
また、狭窄通路41の一方の側壁41a上の陸部47が他方の側壁41b上の溝部45内に進入するので、狭窄通路41の幅dを小さくして狭窄通路41の圧力損失をより大きくすることができる。
【0079】
また、パッキン23〜28が扉13〜18と貯蔵室の周壁の前面との間に配され、狭窄通路41が扉13〜18と貯蔵室の周壁の前面との間に形成される。これにより、スリット状の狭窄通路41を容易に実現することができる。
【0080】
また、隣接する溝部35と陸部37との境界壁及び隣接する溝部45と陸部47との境界壁が傾斜するので、流路断面上で幅dが一定の狭窄通路31、41を容易に形成することができる。
【0081】
また、扉や本体部2の内部に充填される発泡断熱材20が一体に陸部37及び陸部47の内部に充填されるので、パッキン21〜28の温度を冷気よりも高く維持することができる。従って、ヒータ52の駆動時間をより短縮できるとともに、パッキン23〜28の結露をより確実に防止することができる。
【0082】
また、パッキン21、22の長手方向に並設した溝部35上の流路断面において、狭窄通路31の両側壁31a、31bの沿面距離の和をT、狭窄通路31の断面積をA、狭窄通路31の両側壁31a、31bの間隔の最小値をdとした時に、T/A>2/dにした。これにより、狭窄通路31の圧力損失を確実に大きくすることができる。
【0083】
同様に、パッキン23〜28の長手方向に並設した溝部45上の流路断面において、狭窄通路41の両側壁41a、41bの沿面距離の和をT、狭窄通路41の断面積をA、狭窄通路41の両側壁41a、41bの間隔の最小値をdとした時に、T/A>2/dにした。これにより、狭窄通路41の圧力損失を確実に大きくすることができる。
【0084】
<第2実施形態>
次に、
図17は第2実施形態の冷蔵庫1の扉13及び扉14の上面図を示している。また、
図18、
図19は冷凍室7の側面断面図及び上面断面図を示している。本実施形態は前述の
図1〜
図16に示す第1実施形態に対し、通路形成部40の配置が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0085】
冷蔵室3の扉13の背面の周部には閉じた際に冷蔵室3の周壁の前面に接するパッキン23が設けられる。扉13の突出部13c及び冷蔵室3の周壁の内面には狭窄通路41(
図16参照)を形成する一対の通路形成部40が設けられる。
【0086】
同様に、扉14の背面の周部には閉じた際に冷蔵室3の周壁の前面に接するパッキン24(
図2参照)が設けられる。扉14の突出部14c及び冷蔵室3の周壁の内面には狭窄通路41を形成する一対の通路形成部40が設けられる。
【0087】
また、冷凍室7の扉17の背面の周部には閉じた際に冷凍室7の周壁の前面に接するパッキン27が設けられる。扉17の突出部17c及び冷凍室7の周壁の内面には狭窄通路41(
図16参照)を形成する一対の通路形成部40が設けられる。また、扉15、扉16及び扉18にも同様の構成の通路形成部40が設けられる。
【0088】
これにより、狭窄通路41はパッキン23〜28の庫内側に配される。通路形成部40の水平部42により形成される狭窄通路41はパッキン23〜28の上辺及び下辺の長手方向(X方向)に延び、Y方向に冷気が流通する。垂直部43により形成される狭窄通路41はパッキン23〜28の両側辺の長手方向(Z方向)に延び、Y方向に冷気が流通する。
【0089】
本実施形態によると第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、パッキン23〜28が扉13〜18と貯蔵室の周壁の前面との間に配され、狭窄通路41が扉13〜18と貯蔵室の周壁の内面との間に形成される。これにより、スリット状の狭窄通路41を容易に実現することができる。
【0090】
また、隣接する扉17、18のパッキン27、28が当接する断熱壁10(
図2参照)の前面に通路形成部40が設けられないため、断熱壁10の前面のスペースを小さくできる。これにより、断熱壁10が冷凍室7と野菜室8との間の断熱厚さよりも厚く形成されることがなく、冷蔵庫1の容積効率を向上することができる。隣接する扉13と扉15との間、隣接する扉14と扉16との間、隣接する扉15と扉17との間についても同様に断熱壁9(
図2参照)及び仕切部12の厚みが大きくならず、冷蔵庫1の容積効率を向上することができる。
【0091】
<第3実施形態>
次に、
図20は第3実施形態の冷蔵庫1の狭窄通路31の背面図を示している。本実施形態は前述の
図1〜
図16に示す第1実施形態に対し、狭窄通路31の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0092】
扉13、14間の狭窄通路31の一方の側壁31bはライナー14bにより平坦面に形成される。狭窄通路31の他方の側壁31aはライナー13bにより形成され、側壁31a上にはZ方向に並設される複数の溝部35及び陸部37が形成される。これにより、狭窄通路31の圧力損失が大きくなるため庫内側からパッキン21及びパッキン22に到達する冷気を削減することができる。これにより、ヒータ52(
図4参照)の駆動時間を削減し、冷蔵庫1の省電力化を図ることができる。
【0093】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、各通路形成部40(
図5参照)により形成される狭窄通路41を本実施形態の狭窄通路31と同様に形成してもよい。
【0094】
<第4実施形態>
次に、
図21は第4実施形態の冷蔵庫1の狭窄通路31の背面図を示している。本実施形態は前述の
図1〜
図16に示す第1実施形態に対し、狭窄通路31の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0095】
扉13、14間の狭窄通路31の両側壁31a、31b上には表面の蛇行により溝部35及び陸部37が形成される。側壁31a上の陸部37は側壁31b上の陸部37に対向して配置される。これにより、狭窄通路31の圧力損失が大きくなるため庫内側からパッキン21及びパッキン22に到達する冷気を削減することができる。これにより、ヒータ52(
図4参照)の駆動時間を削減し、冷蔵庫1の省電力化を図ることができる。
【0096】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、各通路形成部40(
図5参照)により形成される狭窄通路41を本実施形態の狭窄通路31と同様に形成してもよい。
【0097】
第1〜第4実施形態において、パッキン21、22の近傍のヒータ52を省いた冷蔵庫1であってもよい。この時、狭窄通路31の圧力損失を大きくすることにより、パッキン21、22の結露を低減することができる。また、溝部35、溝部36及び溝部45が両端面を開放されるが、一端面を閉じて他端面を開放した形状でもよく、両端面を閉じた所謂ディンプル形状でもよい。