(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記CDRサブシステムに結合され、前記第2のデジタル信号を前記第1の変調フォーマットを有する第3の電気信号に等化するように構成された部分的応答最大尤度系列推定(PR−MLSE)コンポーネントをさらに有する、
請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
言うまでもなく、最初に、1つ以上の実施形態の例示的な実装が以下に示されているが、開示されたシステムおよび/または方法は、現在知られているか存在しているかに関わらず、任意の数の技術を使用して実装できる。本開示は、本明細書に例示され説明される例示的な設計および実装を含む、以下に例示される例示的な実装、図面、および技術に決して限定されるべきではなく、添付された特許請求の範囲内において、その均等の全範囲で修正することができる。
【0011】
下記の頭字語を使用する:
ADC:アナログデジタルコンバータ
APD:アバランシェPD
ASIC:特定用途半導体回路
BER:ビットエラーレート
BM:バーストモード
CDR:クロック及びデータ回復
CO:セントラルオフィス
CPU:中央処理装置
dB:デシベル
DFE:デシジョンフィードバック等化器
DSP:デジタル信号プロセス(プロセッシング、プロセッサ)
EML:電子吸収変調レーザ
EPON:イーサネットPON
EO:電気・光
FFE:フィードフォワード等化器
FPGA:フィールドプログラマブルゲートアレイ
GBd:ギガボー
Gb/s:ギガビット毎秒
GPON:ギガビットPON
GEPON:ギガビットイーサネットPON
ISI:シンボル間干渉
LO:ローカルオシレータ
MAC:メディアアクセスコントロール
Mb/s:メガビット毎秒
MLSE:最大尤度列推定
ms:ミリ秒
MSE:平均二乗誤差
NRZ:非ゼロ復帰
ns:ナノ秒
OA:光増幅器
ODN:光配信ネットワーク
OE:光・電気
OLT:光ライン端末
ONU:光ネットワークユニット
P2MP:ポイントツーマルチポイント
PAM4:4レベルパルス振幅変調
PD:フォトダイオード
PON:パッシブ光ネットワーク
PR:パーシャルレスポンス
RAM:ランダムアクセスメモリ
RN:リモートノード
ROM:リードオンリーメモリ
RX:受信器
SOA:半導体光増幅器
SRAM:スタティックRAM
SSMF:標準シングルモードファイバ
TCAM:三値コンテンツアドレス可能メモリ
TDM:時間分割多重
TDMA:時間分割多元接続
TIA:トランスインピーダンス増幅器
TX:送信器
ui:単位間隔
VCO:電圧制御発振器
VGA:可変利得増幅器
VOA:可変光減衰器
WDM:波長分割多重
μs:マイクロ秒
MSEを維持または減少させながら、より少ないシンボルで収束を達成する等化法を実装することが望ましい。また、このような方法は、システムの複雑性およびISI感度を低下させるべきである。本開示の様々な実施形態によれば、PONにおける高レベルCDRの実施形態が開示される。実施形態は、単一のFFEを含み、これはフラクショナルFFEと呼ばれることもある。少なくとも2つの機能、すなわち位相調整のためのCDRと、ISI補償のための等化とを実行するからである。FFEは適応的であり、周波数オフセットとジッタを追跡できる。これらの理由から、FFEはADCとDSPの複雑さを減少させる。また、FFEは、より高レベルのCDR、例えば、NRZ信号に対して3レベルのCDR、PAM4信号に対して7レベルのCDRを実施する。より高いレベルのCDRはCDR収束時間を短縮し、低コストで狭帯域幅のオプションを可能にし、様々なPON標準で要求される変換時間を確実に満足させ、等化ノイズを低減する。本実施形態は、ONUなどの下流の受信器およびOLTなどの上流の受信器の両方に利用されるが、バーストモード信号を受信する上流の受信器が最大の利益を受けることができる。これらのバーストモード信号は、少なくとも40Gb/sまでとすることができる。
【0012】
図1はPON100を示す概略図である。PON100は、通信ネットワークであり、OLT110と、複数のONU120と、OLT110をONU120に結合するODN130とを有する。PON100は、開示された実施形態を実施するのに適している。
【0013】
OLT110は、ONU120およびその他のネットワークと通信する。特に、OLT110は、その他のネットワークとONU120との間の仲介者である。例えば、OLT110は、その他のネットワークから受信したデータをONU120に転送し、ONU120から受信したデータをその他のネットワークに転送する。OLT110は送信器および受信器を含む。その他のネットワークがPON100で使用されるプロトコルとは異なるネットワークプロトコルを使用する場合、OLT110は、ネットワークプロトコルをPONプロトコルに及びその逆に変換するコンバータを有する。OLT110は、一般的には、COのような中央位置に配置されるが、他の適当な位置に配置されてもよい。
【0014】
ODN130は、光ファイバケーブル、カプラ、スプリッタ、分配器、およびその他の適切なコンポーネントを含むデータ配信システムである。これらのコンポーネントは、OLT110とONU120との間で信号を分配するために電力を必要としない受動的光学コンポーネントを含む。また、これらのコンポーネントは、電力を必要とする光増幅器のような能動的コンポーネントを含んでいてもよい。ODN130は、図示のように、OLT110からONU120まで分岐構成で延在するが、ODN130は、任意のその他の適切なP2MP方式で構成することができる。
【0015】
ONU120は、OLT110および顧客と通信し、OLT110と顧客との間の仲介者として機能する。例えば、ONU120は、OLT110からのデータを顧客に転送し、顧客からのデータをOLT110に転送する。ONU120は、電気信号を光信号に変換し、その光信号をOLT110に送信する光送信器を備え、OLT110から光信号を受信し、その光信号を電気信号に変換する光受信器を有する。ONU120は、更に、顧客に電気信号を送信する第2の送信器と、顧客から電気信号を受信する第2の受信器とを有する。ONU120およびONTは同様であり、用語は互換的に使用され得る。ONU120は、一般的には、顧客の敷地などの分散した場所に配置されるが、その他の適切な場所に配置することもできる。
【0016】
図2Aは、データ通信システム200を示す概略図である。データ通信システム200は、Xin Yinらによる「A 10Gb/s APD−based linear burst−mode receiver with 31dB dynamic range for reach−extended PON systems」(Optics Express、vol.20,no.26、2012年12月3日)に記載されている。この文献は参照援用する。データ通信システム200は、一般に、送信器203、SSMF213、223、RN215、および受信器225を含む。送信器203は、OLT110に実装されてもよく、受信器225は、ONU120の1つ実装されてもよく、またはその逆でもよく、SSMF213、223およびRN215は、ODN130に実装されてもよい。
【0017】
送信器203は、パターン発生器205、送信器207、およびVOA210を含む。パターン発生器205は、あるパターンの光信号を生成し、第1のパターンの光信号を第1の送信器207に供給し、第2のパターンの光信号を第2の送信器207に供給する。送信器207は、光信号をVOA210に送信する。VOA210は、光信号を増幅し、その光信号を、SSMF213を介してRN215に送信する。
【0018】
RN215は、SOA217および光学フィルタ220を含む。SOA217は、光信号を増幅する。光学フィルタ220は、光信号を選択的に修正して、高伝送性能に最適な信号特性を達成し、その光信号を、SSMF223を介して受信器225に送信する。受信器225は、光信号に対してチャネル等化を行う。受信器225は、
図2Bを参照して後でさらに説明する。
【0019】
図2Bは、
図2Aの受信器225を示す概略図である。受信器225は、VOA227、APD線形BMRX230、VGA233、プロセッサ235、FFE237、加算コンポーネント240、CDRコンポーネント243、DFE245、位相コンポーネント247、オフセットコンポーネント250、誤差カウンタ253、およびBERアナライザ255を含む。上述のように、受信器225は、SSMF223を介してRN215から光信号を受信する。VOA227は、望ましい受信品質にマッチさせるために、光信号強度を低下させる。APD線形BMRX230は、光信号を電気信号に変換する。VGA233は、電気信号を増幅し、サンプリングして、バーストデジタル信号を生成する。FFE237は、バーストデジタル信号に対して線形等化を行い、線形等化信号を生成する。
【0020】
加算コンポーネント240は、FFE237からの線形等化信号とDFE245からのDFE信号とを加算し、加算等化信号を形成する。加算コンポーネント240は、チャネル等化が完了するまで繰り返し加算を実行する。チャネル等化が完了するとは、サンプリング位相が最適化され、加算等化信号が収束するときを意味する。CDRコンポーネント243は、CDRを実行して、回復信号を生成する。DFE245は、回復された信号に推定を実行して、DFE信号を生成する。
【0021】
位相コンポーネント247は、チャネル等化の間に、回復信号の位相をクロックとアライメントする。オフセットコンポーネント250は、オフセット損失に対して信号を調整する。誤差カウンタ253は、DFE信号と、位相コンポーネント247からの値と、オフセットコンポーネント250からの値とに基づいて誤差データを計算する。BERアナライザ255は、DFE信号の分析を行い、多数のビット誤りを決定する。等化およびCDRは、信号が収束し、サンプリング位相が最適化されるまで連続的に実行される。プロセッサ235は、光信号の等化がいつ完了するかを決定する。図示するように、受信器225の性能を保証するために、CDRコンポーネント243と、FFE237と、DFE245とは、互いに独立しているが、複雑さ、コスト、収束時間、およびISIに対する受信器225の感度を増加させる。
【0022】
図3は、
図2BのFFE237における2レベル等化誤差を示すグラフ300である。特に、グラフ300は、10Gb/sEMLおよびAPDを用いたNRZ変調を用いた25Gb/sPONの実験結果を示す。グラフ300は、矢印で示されるように、グラフ300の拡大部分であるサブグラフ310を含む。x軸は定数単位のシンボル番号、y軸はdB単位のMSEを表す。コンバージェンスは、曲線320が平坦化するときに発生する。コンバージェンスは、2.07μsの後に51,911シンボルで発生する。これは、チャネル等化に対して比較的長い時間である。収束後、MSEは約−8dBである。
【0023】
図4は、
図2BのFFE237の異なるクロック位相誤差に対する2レベル収束時間を示す表400である。CDR収束時間を包括的に推定するために、初期サンプリングフェーズが異なるデータを捕捉し、処理する。従って、表400は、位相誤差が
図3に示される収束時間に影響することをさらに示す。表400は、3組の値、すなわち定数ui単位の位相誤差と、ビット単位の第1の収束時間と、ns単位の第2の収束時間尺度とを含む。図示するように、CDR収束時間の最大値51,911シンボルと2.07μs(2.0764×10
3ns)が、位相誤差がゼロuiのサンプリングポイントに現れる。
【0024】
図5は、
図2BのFFE237における4レベル等化誤差を示すグラフ500である。特に、グラフ500は、10Gb/sEMLおよびAPDを用いた25GBd PAM4変調を用いた50Gb/sPONの実験結果を示す。グラフ500は、矢印で示されるように、グラフ500の拡大部分であるサブグラフ510を含む。x軸は定数単位のシンボル番号、y軸はdB単位のMSEを表す。収束は、曲線520が平坦化するときに起こり、これは301.48ns後に7,537シンボルで起こる。収束後、MSEは約−5dBである。
【0025】
図6は、
図2BのFFE237の異なるクロック位相誤差に対する4レベル収束時間を示す表600である。 表600は、位相誤差が
図5に示される収束時間に影響することをさらに示す。表600は、3組の値、すなわち定数単位区間(ui)の位相誤差と、ビット単位の第1の収束時間と、ns単位の第2の収束時間とを含む。図示するように、CDR収束時間の最大値9,836シンボルと393.44μsが、位相誤差が5/16uiのサンプリングポイントに現れる。
【0026】
データ伝送の高速化と増大に対する要求が高まるにつれて、そのデータの処理と等化もより高速にならねばならない。特に、低コスト、高帯域幅の電気コンポーネントの開発速度がPONデータレートの増加ほど速くない場合、帯域幅制限によりISIは厳しくなる。その場合、上記の2レベルおよび4レベルの等化のようなチャネル等化アプローチは、十分に速くないかもしれない。MSEを維持または減少させながら、より少ないシンボルで収束を達成する等化法を実装することが望ましい。また、このような方法は、システムの複雑性およびISI感度を低下させるべきである。
【0027】
本明細書に開示されるのは、PONにおける高レベルCDRの実施形態である。実施形態は、単一のFFEを含み、これはフラクショナルFFEと呼ばれることもある。少なくとも2つの機能、すなわち位相調整のためのCDRと、ISI補償のための等化とを実行するからである。FFEは適応的であり、周波数オフセットとジッタを追跡できる。これらの理由から、FFEはADCとDSPの複雑さを減少させる。また、FFEは、より高レベルのCDR、例えば、NRZ信号に対して3レベルのCDR、PAM4信号に対して7レベルのCDRを実施する。より高いレベルのCDRはCDR収束時間を短縮し、低コストで狭帯域幅のオプションを可能にし、様々なPON標準で要求される変換時間を確実に満足させ、等化ノイズを低減する。本実施形態は、ONUなどの下流の受信器およびOLTなどの上流の受信器の両方に利用されるが、バーストモード信号を受信する上流の受信器が最大の利益を受けることができる。これらのバーストモード信号は、少なくとも40Gb/sまでとすることができる。
【0028】
図7は、本開示の一実施形態による受信器700を示す模式図である。受信器700は、OLTおよびONU120内に実装されてもよく、受信器700は、受信器225を実装してもよい。受信器700は、PD710、TIA715、VCO720、ADC725、CDRサブシステム730、PR−MLSEコンポーネント755、およびデコーダ760を含む。
【0029】
PD710は、バーストモード光信号を電流信号に変換する。TIA715は、電流信号を増幅された電圧信号に変換する。ADC725は、増幅された電圧信号をサンプリングし、アナログ電気信号である増幅された電圧信号をデジタル電気信号に変換する。VCO720は、受信器700と送信器との間で周波数を同期させるためにADC725をサンプリングする。しかし、受信器700および送信器は、異なる位相で動作してもよく、これは位相誤差と呼ばれる。位相誤差及びISIを
図8に示す。
【0030】
図8は、位相誤差及びISIを示すグラフ800である。x軸は時間を一定単位で表し、y軸は信号振幅を一定単位で表す。グラフ800は、6つのサンプリングポイント、X1、X2、X3、X4、X5、X6でサンプリングされる、サンプリングされた信号、例えばADC725からのサンプリングされた信号を表す曲線810を含む。サンプルポイントは、増幅された電圧信号における各ピークの中間信号振幅でなければならない。しかし、SSMF213、223などのチャネルの欠陥のため、サンプルポイントは存在しないかもしれない。第一に、位相誤差が存在して、ADCが誤ったポイントにおいて単純化された電圧信号をサンプリングする可能性がある。従って、サンプルポイントX3とX4との間の測定された中心点820は、サンプルポイントX3とX4との間の実際の中心点830の左側にある。また、ISIは、曲線810のピークを歪めることがある。従って、第3のピークは左側が広くなり、サンプルポイントX5が第3のピーク840の中間信号振幅よりも低くなっている。
【0031】
図7に戻ると、CDRサブシステム730は、タップ重み更新器735、FFE740、誤差閾値比較器742、誤差計算器744、減算器745、および決定コンポーネント750を備え、これらは共にフィードバックループを形成してCDRおよび等化を実行し、従って、上記の位相誤差およびISIを補償する。特に、第1の反復において、FFE740は、減算器745に等化信号Xeqを送る。これは第1の反復のADC725からのサンプリング信号である。決定コンポーネント750は、減算器745に決定データDを送る。これは、第1の反復のための訓練系列である。減算器745は、
【数1】
として誤差信号Eを計算する。減算器745は、誤差信号をタップ重み更新器735および誤差計算器に送る。誤差信号に基づいて、タップ重み更新器735は、サンプリングポイントX1、X2、X3、X4、X5、X6に対応するタップ重みW(1)、W(2)、W(3)、W(4)、W(5)、W(6)をそれぞれ計算する。
【0032】
その後の反復において、FFE740は、等化信号を
【数2】
で計算する。ここで、X(1)、X(2)、X(3)、X(4)、X(5)、X(6)は、それぞれサンプリングポイントX1、X2、X3、X4、X5、X6におけるサンプリング信号の振幅に対応する。FFE740は、等化信号を減算器745および決定コンポーネント750に送る。
図10A、11Aに示すように、光学デバイスの制限によって導入される厳しいISIの下では、受信信号は、ビット毎に時間領域で重ね合わされ、送信される2レベルNRZ信号または4レベルPAM−4信号ではなく、より高レベルの信号、例えば、NRZのための3レベル信号およびPAM−4のための7レベルの信号のようである。従って、決定コンポーネント750が、
【数3】
のより高レベルの決定原理に基づいて決定データを決定すれば、収束させることはより容易である。減算器745は、式(1)を用いて誤差信号を計算し、タップ重み更新器735は、誤差信号に基づいてタップ重みを計算し、FFE740は、式(2)を用いて再び等化信号を計算する。
【0033】
このフィードバックループは、等化信号が収束するまで続き、従って、所定の閾値またはそれ以下で等化誤差となる。特に、誤差計算器744は、等化誤差のMSEを計算する。誤差閾値比較器742は、MSEが閾値よりも小さいかを判定する。誤差が閾値以下である場合、誤差閾値比較器742は、CDRサブシステム730にフィードバックループを停止するように指示する。誤差が閾値よりも大きい場合、誤差閾値比較器742は、CDRサブシステム730に命令を与えないか、またはCDRサブシステム730にフィードバックループを継続するように指示する。閾値は例えば−6dBである。
【0034】
6つのタップ重み、サンプリングポイント、および振幅を説明したが、CDRサブシステム730は、任意の適切な数のタップ重み、サンプリングポイント、および振幅を利用してもよい。さらに、決定データは、例えば、2レベルのNRZ信号に適用可能な3レベルの決定データである。同様に、決定データは、例えば、PAM4信号に適用可能な7レベルの決定データであってもよい。入力信号のレベルにかかわらず、CDRサブシステム730は、より高いレベルの決定データを実装することができる。さらに、収束を判定するための閾値を説明したが、CDRサブシステム730は、収束の任意の適切なインジケータを実装することができる。
【0035】
タップ重み更新器735は、等化信号が収束することをFFE740に通知する。その後、FFE740は、等化信号をPR−MLSEコンポーネント755に送る。PR−MLSEコンポーネント755は、既知のチャネル応答を使用して、バイナリ決定ビットを、個々の時間インスタンスにおける前者と後者のビットの加算を通してより上位レベルのビットにマッピングする。異なる可能な決定ビットの組み合わせは、異なるトレリス経路を形成する。PR−MLSEコンポーネント755は、FFE740後の等化信号と比較して、最も信頼性の高いビット経路である最低ユークリッド距離の経路を使用する。PR−MLSEコンポーネント755は、ビットを最も信頼性の高い経路に出力し、それらのビットをバイナリ信号にデマッピングする。上記ステップを通じて、PR−MLSEコンポーネント755は、等化信号に対してMLSEを実行し、その等化信号を推定信号に変換する。この推定信号は二値、2レベル信号である。デコーダ760は、推定信号を復号して、さらなる処理のために復号信号を生成する。
【0036】
図9は、本開示の一実施形態によるデバイス900を示す模式図である。デバイス900は、開示された実施形態、例えば受信器700を実装することができる。デバイス900は、データを受信する入口ポート910およびRX920、データを処理するプロセッサ、論理ユニットまたはCPU930、データを送信するTX940および出口ポート950、およびデータを記憶するメモリ960を含む。また、デバイス900は、光信号または電気信号の入力または出力のための入口ポート910、RX920、TX940、および出口ポート950に結合されたOEコンポーネントおよびEOコンポーネントを含んでもよい。
【0037】
プロセッサ930は、ハードウェア、ミドルウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの任意の適切な組み合わせによって実装される。プロセッサ930は、1つ以上のCPUチップ、コア(例えば、マルチコアプロセッサとして)、FPGA、ASIC、またはDSPとして実装されてもよい。プロセッサ930は、入口ポート910、RX920、TX940、出口ポート950、およびメモリ960と通信する。プロセッサ930は、CDRコンポーネント970を含み、これは開示された実施形態を実施することができる。従って、CDRコンポーネント970を含めることは、デバイス900の機能性を大幅に改善し、デバイス900の他の状態への変化を有効にする。あるいは、メモリ960は、命令としてCDRコンポーネント970を記憶し、プロセッサ930は、これらの命令を実行する。
【0038】
メモリ960は、1つ以上のディスク、テープドライブ、またはソリッドステートドライブを有し、オーバーフローデータ記憶デバイスとして使用され、プログラムが実行のために選択されると、かかるプログラムを記憶し、またはプログラムの実行中に読み出される命令およびデータを記憶することができる。メモリ960は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、ROM、RAM、TCAM、またはSRAMの任意の組み合わせであってもよい。
【0039】
一実施形態では、デバイス900は、第1の変調フォーマットを有する光信号をアナログ電気信号に変換する電気変換モジュールと、アナログ電気信号を第1のデジタル信号に変換するデジタル化モジュールと、第1のデジタル信号を第2の変調フォーマットを有する第2のデジタル信号に等化する等化モジュールであって、第2の変調フォーマットは、第1の変調フォーマットよりも多くのレベルを有する、等化モジュールと、第2のデジタル信号にクロック及びデータリカバリ(CDR)を実行するリカバリモジュールとを有する。いくつかの実施形態において、デバイス900は、実施形態で説明するステップのいずれか1つまたはステップの組み合わせを実行する、他のまたは追加のモジュールを含んでもよい。さらに、本方法の追加または代替の実施形態または態様のいずれも、図面のどれかに示されるか、または請求項のどれかに記載されるように、同様のモジュールを含むことが想定される。
【0040】
図10Aは、3レベルCDRに先立つ2レベルNRZ信号を示す
図100である。x軸は時間またはシンボル長を一定単位で表し、y軸は振幅を一定単位で表す。図から分かるように、2レベルNRZ信号は、ほぼ3つのレベルを有しているように見え、ISIのため十分に定義されていない。
【0041】
図10Bは、本開示の一実施形態による、より高レベルのCDR後の7レベルNRZ信号を示すグラフ1010である。x軸は時間を秒で表し、y軸は振幅を一定単位で表す。図示のように、より高レベルのCDRは、ISIを実質的になくし、
図10Aの2レベルのNRZ信号とは異なり、明確に定義された3レベルのNRZ信号を生成する。
【0042】
図11Aは、7レベルCDRに先立つ4レベルPAM4信号を示す
図1100である。x軸は時間を秒で表し、y軸は振幅を一定単位で表す。図から分かるように、4レベルPAM4信号は、ほぼ7つのレベルを有しているように見え、ISIのため十分に定義されていない。
【0043】
図11Bは、本開示の一実施形態による、より高レベルのCDR後の7レベルPAM4信号を示すグラフ1110である。x軸は時間を秒で表し、y軸は振幅を一定単位で表す。図示のように、より高レベルのCDRは、ISIを実質的になくし、
図11Aの4レベルのPAM4信号とは異なり、明確に定義された7レベルの信号を生成する。
【0044】
図12は、本開示の一実施形態による、3レベル等化を使用して2レベルNRZ信号を等化する
図7のFFE740の等化誤差を示すグラフ1200である。グラフ1200は、矢印で示されるように、グラフ1200の拡大部分であるサブグラフ1210を含む。x軸は定数単位のシンボル番号、y軸はdB単位のMSEを表す。収束は、曲線1220が平坦化するときに起こり、これは111.56ns後に約2,789シンボルで起こる。収束後、MSEは約−9dBであり、これは
図3に示したものよりも約2dB低い。
【0045】
図13は、本開示の一実施形態による、3レベル等化を使用して2レベルNRZ信号を等化する
図7のFFE740の収束時間を示す表1300である。表1300は、さらに、
図12に示される収束時間を示す。表1300は、3組の値、すなわちui単位の位相誤差と、ビット単位の第1の収束時間と、ns単位の第2の収束時間とを含む。図示するように、2,789シンボルと111.56nsの収束点に位相誤差はなく、位相誤差が3/16uiのサンプリングポイントに、4,048シンボルと161.92nsの最大CDR収束時間が現れる。
【0046】
図14は、本開示の一実施形態による、7レベル等化を使用して4レベルPAM4信号を等化する
図7のFFE740の等化誤差を示すグラフ1400である。グラフ1400は、矢印で示されるように、グラフ1410の拡大部分であるサブグラフ1400を含む。x軸は定数単位のシンボル番号、y軸はdB単位のMSEを表す。収束は、曲線1420が平坦化するときに起こり、これは117.44ns後に約2,936シンボルで起こる。収束後、MSEは約−12dBであり、これは
図5に示したものよりも約7dB低い。
【0047】
図15は、本開示の一実施形態による、7レベル等化を使用して4レベルPAM4信号を等化する
図7のFFE740の収束時間を示す表1500である。表1500は、さらに、
図14に示される収束時間を示す。表1500は、3組の値、すなわちui単位の位相誤差と、ビット単位の第1の収束時間と、ns単位の第2の収束時間とを含む。図示するように、CDR収束時間の最大値2,783シンボルと111.72μsが、位相誤差が6/16uiのサンプリングポイントに現れる。
【0048】
図3−4と
図12−13とを比較すると、より高レベルのCDRは、2レベルNRZ信号の収束時間を、2.07μs後の51,911シンボルから111.56ns後の2,789シンボルへと減少させる。言い換えれば、より高レベルのCDRは少なくとも18.5倍速く収束する。
図5−6と
図14−15とを比較すると、より高レベルのCDRは、4レベルPAM4信号の収束時間を、301.48ns後の7,537シンボルから117.44ns後の2,936シンボルへと減少させる。言い換えれば、より高レベルのCDRは少なくとも2.5倍速く収束する。
【0049】
図16は、本開示の一実施形態による高レベルCDRを実行する方法1600を示すフローチャートである。受信器700は、方法1600を実行する。ステップ1610において、信号が受信される。例えば、PD710は、光信号を受信する。ステップ1620において、信号は、より高いレベルのCDRを用いて等化される。例えば、PD710、TIA715、およびADC725が光信号をデジタル信号に変換した後、CDRサブシステム730は、上述のように、FFEを含むCDRを実行する。一方、CDRサブシステム730は、タップ重みを適応的に更新する。第1の例として、CDRサブシステム730は、3レベル等化を用いて2レベルNRZ信号のCDRを実行する。第2の例として、CDRサブシステム730は、7レベル等化を用いて4レベルPAM4信号のCDRを実行する。ステップ1630で、MSEが計算される。例えば、誤差計算器744は等化誤差のMSEを計算する。判定菱形1640では、MSEが閾値未満であるか判定される。例えば、誤差閾値比較器742は、MSEが上記の閾値よりも小さいかを判定する。そうでない場合、方法1600は、ステップ1630に戻る。そうである場合、方法1600は、ステップ1650に進む。最後に、ステップ1650で、PR−MLSEおよび復号が実行される。例えば、PR−MLSEコンポーネント755はPR−MLSEを実行し、デコーダ760はデコーディングを実行する。
【0050】
図17は、本開示の他の一実施形態による、より高レベルのCDRを実行する方法示すフローチャートである。受信器700は、方法1700を実行する。ステップ1710において、第1の変調フォーマットを有する光信号は、アナログ電気信号に変換される。例えば、PD710は光信号を電流信号に変換し、TIA715は電流信号を増幅電圧信号に変換する。この増幅電圧信号はアナログ電気信号である。ステップ1720において、アナログ電気信号は第1のデジタル信号に変換される。例えば、ADC725は、そのアナログ電気信号を第1レベルで第1のデジタル信号に変換する。ステップ1730において、第1のデジタル信号は、第2の変調フォーマットの第2のデジタル信号に等化される。例えば、CDRサブシステム730は、第1のデジタル信号を第2のレベルで第2のデジタル信号に等化する。第2の変調フォーマットは、第1の変調フォーマットよりも多くのレベルを有する。最後に、ステップ1740において、CDRが第2のデジタル信号に対して行われる。例えば、CDRサブシステム730は、第2のデジタル信号に対してCDRを実行する。
【0051】
一実施形態では、装置は、第1の変調フォーマットを有する光信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたOE要素と、前記OE要素に結合され、前記アナログ電気信号を第1のデジタル信号に変換するように構成されたADC要素と、前記OE要素に結合され、前記第1のデジタル信号を第2の変調フォーマットを有する第2のデジタル信号に等化し、前記第2の変調フォーマットは前記第1の変調フォーマットよりも多いレベルを有し、前記第2のデジタル信号に対してCDRを実行するように構成されたCDR要素とを有する。
【0052】
第1のコンポーネントは、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間にライン、トレース、又はその他の媒体を除き、介在するコンポーネントが存在しない場合に、第2のコンポーネントに直接的に結合される。第1のコンポーネントは、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間にライン、トレース、又はその他の媒体以外の介在するコンポーネントが存在する場合に、第2のコンポーネントに間接的に結合される。用語「結合」およびその変化形は、直接的結合および間接的結合の両方を含む。「約」という用語の使用は、特に明記しない限り、その後の数の±10%を含む範囲を意味する。
【0053】
本開示では、いくつかの実施形態が提供されているが、言うまでもなく、開示されたシステムおよび方法は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく多くの他の具体的な形態で具体化され得る。本実施例は、例示的であって限定的であると見なされるべきであり、その意図は本明細書に与えられた詳細に限定されない。例えば、様々な要素または構成要素は、別のシステムで結合または統合されてもよく、またはある機能が省略されてもよいし、実装されなくてもよい。
【0054】
さらに、様々な実施形態で個別または別個に記載および図示されている技術、システム、サブシステムおよび方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、ユニット、技術または方法と組み合わせることができる。互いに結合または直接的結合または通信するように示されまたは説明される他のアイテムは、電気的、機械的またはその他の方法で、何らかのインターフェース、デバイスまたは中間コンポーネントを介して間接的に結合され、または通信してもよい。変更、置換、および改変の他の例は、当業者によって確かめられ、ここに開示された精神および範囲から逸脱することなく、為され得る。