特許第6886520号(P6886520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886520
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】集積デジタルレーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0239 20210101AFI20210603BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20210603BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H01S5/0239
   H01S5/183
   G02F1/01 D
【請求項の数】27
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-535886(P2019-535886)
(86)(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公表番号】特表2020-507202(P2020-507202A)
(43)【公表日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】US2017059793
(87)【国際公開番号】WO2018125380
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】15/394,164
(32)【優先日】2016年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,マーティン フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】グルントマン,マイケル ジェイソン
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−150526(JP,A)
【文献】 特開2002−261400(JP,A)
【文献】 特開平03−046286(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/008627(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/104610(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/111332(WO,A1)
【文献】 特開2013−149980(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/175447(WO,A1)
【文献】 特開2009−289990(JP,A)
【文献】 特開平06−318765(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/011370(WO,A1)
【文献】 特開平10−270799(JP,A)
【文献】 特表2011−512681(JP,A)
【文献】 米国特許第05291502(US,A)
【文献】 LOUSBERG G.P. et al.,"Space-domain lock-in amplifier based on a liquid-crystal spatial light modulator",Optics Letters,2006年,Vol. 31, Issue 7,pp. 990-992,doi.org/10.1364/OL.31.000990,URL,https://doi.org/10.1364/OL.31.000990
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変横空間モード出力を有するレーザデバイスであって、
レーザ波長透過性を有する材料から形成された基板と、
前記基板によって支持された第1の反射層であって、前記レーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成された第1の反射層と、
前記レーザ波長の放射線の誘導放出を発生させるための利得媒質含有層であって、前記第1の反射層と前記基板との間に位置決めされた利得媒質含有層と、
前記基板を挟んで前記第1の反射層とは反対側で前記基板によって支持された第2の反射層であって、前記レーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成された第2の反射層と、
前記基板によって支持され、前記第1の反射層および前記第2の反射層を備える光学キャビティ内の放射線経路内に位置決めされた空間光変調器であって、各々が前記光学キャビティ内の異なる放射線経路に対応する素子アレイを備える空間光変調器と、
前記空間光変調器と通信するコンピュータ制御装置と
を備え、
動作中、前記コンピュータ制御装置は、前記レーザデバイスからの放射線の可変横空間モード出力を生成するために、前記空間光変調器に前記光学キャビティ内の前記放射線経路の各々における放射線の強度または位相を選択的に変化させる、レーザデバイス、
【請求項2】
前記空間光変調器は、前記基板を挟んで前記利得媒質含有層とは反対側に位置する、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項3】
前記空間光変調器は、透過型空間光変調器である、請求項2に記載のレーザデバイス。
【請求項4】
前記空間光変調器は、前記基板の前記利得媒質含有層と同じ側に位置する、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項5】
前記空間光変調器は、反射型空間光変調器である、請求項4に記載のレーザデバイス。
【請求項6】
前記第2の反射層は、前記利得媒質によって放出された入射放射線を前記空間光変調器に向けて反射するように、そして、前記空間光変調器によって反射された入射放射線を前記利得媒質に向けて反射するように配置される、請求項4に記載のレーザデバイス。
【請求項7】
前記第1の反射層は、前記レーザ波長の放射線のためのブラッグ反射器を備える、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項8】
前記第2の反射層は、反射格子を備える、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項9】
前記反射格子は、チャープ格子である、請求項8に記載のレーザデバイス。
【請求項10】
前記利得媒質は、量子井戸層を備える、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項11】
前記利得媒質含有層と前記基板との間に第1の電極層をさらに備える、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項12】
第2の電極層をさらに備え、前記第1の電極層および前記第2の電極層は、前記利得媒質含有層の反対側に位置する、請求項11に記載のレーザデバイス。
【請求項13】
前記第1の電極層および前記第2の電極層の一方または両方は、パターン電極層である、請求項12に記載のレーザデバイス。
【請求項14】
前記第1の電極層は、前記レーザ波長透過性を有する導電性材料から形成される、請求項11に記載のレーザデバイス。
【請求項15】
前記第1の電極層は、レーザ放射線を通過させるためのアパーチャを備える、請求項11に記載のレーザデバイス。
【請求項16】
前記第1の反射層または前記第2の反射層は、前記レーザ波長の放射線のための部分反射層である、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項17】
前記レーザ波長は、250nm〜5,000nmである、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項18】
動作中、前記利得媒質は、電気的にポンピングされる、光学的にポンピングされる、または電子ビームを使用してポンピングされる、請求項1に記載のレーザデバイス。
【請求項19】
請求項1に記載のレーザデバイスを備えるディスプレイ。
【請求項20】
請求項1に記載のレーザデバイスを備える光通信システム。
【請求項21】
レーザデバイスの形成方法であって、
第1の反射層と利得媒質含有層とを備える発光モジュールを形成するステップであって、前記第1の反射層はレーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成され、前記利得媒質含有層は前記レーザ波長の放射線の誘導放出を発生させるように構成される、発光モジュール形成ステップと、
空間光変調器を形成するステップと、
前記第1の反射層および第2の反射器によって画定された光学キャビティ内の放射線経路内に前記空間光変調器が位置決めされるように、前記レーザ波長透過性を有する材料から形成された共通基板に前記発光モジュールおよび前記空間光変調器を取り付けることによって前記レーザデバイスを組み立てるステップであって、前記空間光変調器は各々が前記光学キャビティ内の前記共通板を通過する異なる放射線経路に対応する素子アレイを備える、レーザデバイス組み立てステップと
を含む、方法。
【請求項22】
前記発光モジュールを形成するステップは、複数の層を積み重ねて連続的に形成するステップと、前記層の少なくともいくつかにパターン形成するステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レーザデバイスを形成するステップは、共通基板を使用して複数のデバイスを形成するステップと、複数の個々のデバイスを形成するために前記共通基板をダイシングするステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記空間光変調器は、前記第2の反射器を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の反射器は、第2の反射層であり、前記空間光変調器は、透過型空間光変調器であり、前記第1の反射層と前記第2の反射層との間のレーザ放射線の経路である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記空間光変調器および前記発光モジュールは、前記共通基板を挟んで前記共通基板の両側に配置される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記空間光変調器および前記発光モジュールは、前記共通基板の同じ側に配置され、追加の反射器は、前記共通基板を挟んだ反対側に配置され、前記発光モジュールから前記空間光変調器へと光を方向付けし、またその逆に前記空間光変調器から前記発光モジュールへと光を方向付けるように構成される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、集積レーザデバイスおよび集積レーザデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザビームは、回折光学素子、レンズ、ミラー、プリズムなどの1つまたは複数のビーム成形光学系にレーザの出力を通過させることによって成形され得る。所望の特定のレーザビームプロファイルに応じて、成形の効果は、ビーム幅にわたるビームの強度を均一化すること、またはビームに対する特定の断面形状(例えば、円形、長方形、楕円形)を確保すること、および/またはビーム断面内の特定のビーム強度プロファイルを確保することを含み得る。さらに、レーザビームは、例えば、空間光変調器(SLM)を使用して、能動的に成形され得る。例えば、反射特性もしくは透過特性を別個に変化させることができる素子アレイから成る反射型もしくは透過型のSLMは、レーザビームの経路内に位置決めされ、SLMの制御によってビームプロファイルを可変的に変化させるように操作され得る。多くの場合、ビーム成形光学系は、レーザの光学キャビティの外側に位置決めされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、プログラム可能な方法で可変横空間モード出力を生成することができる集積レーザデバイスのアーキテクチャを特徴とする。特定の実施態様では、デバイスは、レーザの光学キャビティ内にデジタル的にアドレス可能な空間光変調器(SLM)を組み込む。SLMにより、光学キャビティ全体における放射損失および/または位相を空間的に変化させることができ、それに応じて、レーザ出力の強度プロファイルを変化させることができる。開示されているレーザデバイスを使用して得られる固有の横空間モードの数は、SLMアレイのサイズ、分解能、およびグレース−ケールのレベルによってのみ制限される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
全般的に、第1の態様では、本発明は、可変横空間モード出力を有するレーザデバイスであって、レーザ波長透過性を有する材料から形成された基板と、基板によって支持された第1の反射層であって、レーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成された第1の反射層と、レーザ波長の放射線の誘導放出を発生させるための利得媒質含有層であって、第1の反射層と基板との間に位置決めされた利得媒質含有層と、基板を挟んで第1の反射層とは反対側で基板によって支持された第2の反射層であって、レーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成された第2の反射層と、基板によって支持され、第1の反射層および第2の反射層を備える光学キャビティ内の放射線経路内に位置決めされた空間光変調器であって、各々が光学キャビティ内の異なる放射線経路に対応する素子アレイを備える空間光変調器と、空間光変調器と通信するコンピュータ制御装置とを含むレーザデバイスを特徴とする。動作中、コンピュータ制御装置は、レーザデバイスからの放射線の可変横空間モード出力を生成するために、空間光変調器に光学キャビティ内の放射線経路の各々における放射線の強度または位相を選択的に変化させる。
【0005】
レーザデバイスの実施形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含み得る。例えば、空間光変調器は、基板を挟んで利得媒質含有層とは反対側に位置し得る。空間光変調器は、透過型空間光変調器であり得る。
【0006】
空間光変調器は、基板の利得媒質含有層と同じ側に位置し得る。空間光変調器は、反射型空間光変調器であり得る。第2の反射層は、利得媒質によって放出された入射放射線を空間光変調器に向けて反射するように、そして、空間光変調器によって反射された入射放射線を利得媒質に向けて反射するように配置され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の反射層は、レーザ波長の放射線のためのブラッグ反射器を含む。
【0008】
第2の反射層は、チャープ反射格子のような反射格子を含み得る。
【0009】
利得媒質は、量子井戸層を含み得る。
【0010】
レーザデバイスは、利得媒質含有層と基板との間に第1の電極層を含み得る。いくつかの実施形態では、レーザデバイスはさらに、第2の電極層を含み得、第1の電極層および第2の電極層は、利得媒質含有層の反対側に位置する。第1の電極層および第2の電極層の一方または両方は、パターン電極層であり得る。第1の電極層は、レーザ波長透過性を有する導電性材料から形成され得る。第1の電極層は、レーザ放射線を通過させるためのアパーチャを含み得る。
【0011】
第1の反射層または第2の反射層は、レーザ波長の放射線のための部分反射層であり得る。
【0012】
レーザ波長は、250nm〜5,000nmであり得る。
【0013】
動作中、利得媒質は、電気的にポンピングされ得る、光学的にポンピングされ得る、または電子ビームを使用してポンピングされ得る。
【0014】
レーザデバイスは、ディスプレイまたは光通信システムの一部であり得る。
【0015】
全般的に、別の態様では、本発明は、レーザデバイスの形成方法であり、第1の反射層および利得媒質含有層を含む発光モジュールを形成するステップであって、第1の反射層はレーザ波長の少なくとも一部の入射放射線を反射するように構成され、利得媒質含有層はレーザ波長の放射線の誘導放出を発生させるように構成される、発光モジュール形成ステップと、空間光変調器を形成するステップと、第1の反射層および第2の反射層によって画定された光学キャビティ内の放射線経路内に空間光変調器が位置決めされるように、レーザ波長透過性を有する材料から形成された共通基板に発光モジュールおよび空間光変調器を取り付けることによって、レーザデバイスを組み立てるステップであって、空間光変調器は各々が光学キャビティ内の基板層を通過する異なる放射線経路に対応する素子アレイを含む、レーザシステム組み立てステップと、を含む、上記方法を特徴とする。
【0016】
該方法の実施態様は、1つまたは複数の以下の特徴および/または他の態様の特徴を含み得る。例えば、発光モジュールを形成するステップは、複数の層を積み重ねて連続的に形成するステップと、少なくともいくつかの層にパターン形成するステップとを含み得る。
【0017】
レーザデバイスを形成するステップは、共通基板を使用して複数のデバイスを形成するステップと、複数の個々のデバイスを形成するために基板をダイシングするステップとを含み得る。
【0018】
空間光変調器は、第2の反射器を含み得る。
【0019】
第2の反射器は、第2の反射層であり得、空間光変調器は、透過型空間光変調器であり、第1の反射層と第2の反射層との間のレーザ放射線の経路であり得る。
【0020】
空間光変調器および発光モジュールは、共通基板を挟んで共通基板の両側に配置され得る。
【0021】
空間光変調器および発光モジュールは、共通基板の同じ側に配置され得、追加の反射器は、基板を挟んだ反対側に配置され、発光モジュールから空間光変調器へと光を方向付けし、またその逆に空間光変調器から発光モジュールへと光を方向付けるように構成される。
【0022】
いくつかある利点の中で特に、集積レーザデバイスの実施態様は、プログラム可能な空間的に変化する出力プロファイルを生成する小型でロバストな発光素子を提供し得る。
【0023】
有利には、開示されているデバイスのアーキテクチャは、ウエハ加工技術を使用して実現可能であり、小型で集積化されたフォームファクタを可能にし、経済的な方法で大規模な製造を可能にする。
【0024】
本開示の対象の1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付図面および以下の説明の中で示されている。本開示の対象の他の特徴、態様、および利点は、明細書、添付図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】集積レーザデバイスの一実施形態の断面図である。
図1B図1Aの集積レーザデバイスの斜視図である。
図2】集積レーザデバイスの第2の実施形態の断面図である。
図3】集積レーザデバイスの第3の実施形態の断面図である。
図4】集積レーザデバイスの第4の実施形態の断面図である。
図5】集積レーザデバイスを組み込んだ表示装置の概略図である。
図6】集積レーザデバイスを組み込んだ光通信システムの概略図である。
図7】集積レーザデバイスを制御するためのコンピュータシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図における同様の参照番号および記号は、同様の要素を示す。
【0027】
図1Aおよび図1Bには、例示的な集積レーザデバイス100の断面図および斜視図がそれぞれ示されている。参照しやすくするために、デカルト軸が示されている。これに関して、物体の厚さは、z軸に沿って測定したときの物体の寸法を指す。物体の側面積は、x−y平面における物体の面積を指す。「上部」および「底部」は、+z方向および−z方向をそれぞれ指す。例えば、デバイス100の上面は+z方向を向いた面を指し、底面は反対の面を指す。
【0028】
デバイス100は、上面で発光モジュールを支持し、底面で空間光変調器(SLM)140および反射器130を支持する基板層150を含む。発光モジュールは、2つの電極で挟まれた利得媒質110を含む層112と、隣接する反射器120とで構成される集積デバイスである。
【0029】
具体的には、第1の電極170が層112の上面に位置決めされ、第2の電極172が基板層150の上面と層110の底面との間に位置決めされる。第1の電極170および第2の電極172は、レーザ波長の放射線を実質的に透過する導電性材料から形成される。例えば、酸化インジウムスズは、可視波長用に使用され得る。他の透明導電性酸化物(TCO)、導電性ポリマー、金属グリッド、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、ナノワイヤメッシュ、および極薄金属膜も使用され得る。電気接点160、162はそれぞれ、電極170、172との電気的接続を発生させる。電気接点160は、反射器120の上面に位置決めされ、ビア161によって電極160に電気的に接続される。
【0030】
より一般的には、他の電極構造も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の電極および/または第2の電極は、動作波長で不透明になる導電性材料から形成され得る。例えば、可視の特定のIR波長で不透明になり得る金属導体(例えば、アルミニウム、銅、金)が使用され得る。このような実施形態では、電極層は、放射線を透過するためのアパーチャを含み得る。
【0031】
電流源180は、電気接点160、162に接続される。電流源は、コンピュータ制御装置190と通信しており、コンピュータ制御装置190の制御下にあり、コンピュータ制御装置190はさらにSLM140と通信している。
【0032】
この場合、基板層150の両側にある反射器120、140は、光学キャビティを画定し、その内部にSLM140が配置される。動作中、電流源180は、電極170、172全体に電圧を印加することによって電荷担体を層112に注入する。層内の電子およびホールの再結合が、レーザ波長の放射線を放出する。放出された光子の少なくとも一部は、光学キャビティを複数回通過して、反射器120、140によって反射される。このキャビティ放射線の複数の放射線経路 は、図1Aに両頭矢印で示されている。この放射線は、利得媒質を通過するときに誘導放出によって増幅され、発光モジュールを出て基板層150に入るときに発散し、SLM140を覆うように拡散する。
【0033】
反射器120は、部分反射器である、すなわち、実質的に全てのレーザ波長の入射放射線が反射されるのではなく、光の一部はレーザ出力199として透過される。例えば、反射器120は、レーザ波長で入射する約1%以上の放射線を透過し得る。反射器120は、金属化面(例えば、銀もしくはアルミニウム)のような平面反射板または分布ブラッグ反射器(DBR)のような多層反射器であり得る。
【0034】
SLM140は、x−y平面に配置され、各々が独立してアドレス可能な複数の素子(ピクセル)を有する。これらの素子のうちの4つが、図1Aに142a、142b、142c、および142dで示されている。一般に、アレイは、x方向およびy方向の両方向に数百もしくは数千もの素子を含み得、各々が10〜10μmのオーダーの面積を有し得る。典型的には、素子は、周期的アレイ構造に関連する回折効果を低減するために動作波長より大きい寸法(例えば、5X、10X、またはそれ以上)を有する。
【0035】
対応するSLM素子の状態に応じて、SLM140は、レーザ波長の入射放射線の一部を反射器130に向けて透過させ、反射器130は、入射放射線が通った経路に沿って入射放射線を跳ね返す。すなわち、この構成では、反射器130は、平面鏡面反射板ではない。むしろ、反射器130は、入射キャビティ放射線のリトロー(Littrow)条件を満たすように構成された構造を有するチャープ格子であり得る。代替的に、または追加的に、反射器130は、各々が局所キャビティ放射線の入射面に対して垂直な周期的構造で配向された複数のタイル状格子から形成され得る。例えば、各々のミラーが局所キャビティ放射線に対して垂直になるように配置されたミラーアレイで構成された構造化界面のような他の反射器も可能である。再帰反射シートが使用されてもよい。
【0036】
動作中、コンピュータ制御装置190は、各々のSLM素子によって透過されるキャビティ放射線量を変化させるために、制御信号によってSLM140を駆動する。結果として、キャビティ放射線の強度はキャビティの横方向に変化し、比較的低い放射線強度領域が比較的少ない量の入射キャビティ放射線を透過するように設定されたSLM素子に対応すると同時に、これらの領域は比較的高い強度を有する高透過率SLM素子に対応する。中間強度レベルは、SLMにおける中間透過率によって得られる。結果として生じたデバイス100の上面からの放出199は、キャビティ放射線と同じ強度プロファイルを共有する。したがって、システムは、SLMの分解能および透過レベル数に対応する分解能および強度グレーレベルを有するデバイスから放出されたレーザ放射線の強度プロファイルを制御し、変化させることができる。さらに、プロファイルは、SLMの変調速度(例えば、100Hz以上、最大で1kHz以上)で変化し得る。
【0037】
様々な透過型SLM技術がSLM140に使用され得る。例えば、液晶(LC)SLMが使用され得る。LC SLMの例は、ネマチック相LC SLMおよび強誘電性LC SLMを含む。典型的には、LC SLMは、SLMによって透過される量を制御することによって、または透過される偏光の位相を制御することによって、光を変調する。特定の偏光状態の光を吸収するのに直線偏光子が使用され得、その状態を有する光のほとんどがLCセルによって制御される。より一般的には、電気光学的応答を生成する他の材料ベースのSLMが使用され得る。カー(Kerr)効果を使用して選択的に放射線の位相変化をもたらすSLMが使用されてもよい。例えば、ポッケルス(Pockels)効果を使用する結晶性物質ベースのSLMが使用されてもよい。例えば、ニオブ酸リチウムは、一般的に使用される電気光学結晶である。いくつかの実施形態では、SLM内の電気光学的効果を生成するのに、ポリマー系の電気光学材料、例えば、ポリマー格子内に非線形光学発色団が配置された材料が使用される。
【0038】
さらに、層112は、通常、光学利得を生成する様々な成分層を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、利得媒質110は、量子井戸または複数の量子井戸構造の形態である。一般に、量子井戸は、層表面に対して垂直な次元に(準)粒子(典型的には、電子またはホール)を閉じ込めることができるが、他の次元の動きは制限されない薄層である。
【0039】
量子井戸は、例えば、半導体媒質の薄層から形成され、バンドギャップが大きい他の半導体層間に埋め込まれ得る(例えば、AlGaAsに埋め込まれたGaAs量子井戸、またはGaAsに埋め込まれたInGaAs量子井戸)。このような量子井戸の厚さは、典型的には、およそ2〜20nmである。このような薄層は、分子線エピタキシ法(MBE)または有機金属化学気相成長法(MOCD)によって製造され得る。いくつかの実施形態では、量子井戸層を形成するのに、例えば、より厚い量子井戸層(例えば、20nm以上の厚さ)が望ましい場合に、液層エピタキシが使用され得る。電子およびホールは共に、半導体量子井戸内に閉じ込められ得る。
【0040】
特定の実施形態では、層112は、ホモ接合構造またはヘテロ接合構造のような放出面積を形成するpn接合を含む。ホモ接合は、p型半導体の1つの層と隣接するn型半導体の層との間に形成された接合を指す。ヘテロ構造は、pn接合が2つ以上の型の半導体から形成され、通常は、バンドギャップが大きい別の半導体材料の層の間にバンドギャップが小さい隣接するp型、n型半導体が存在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、層112は、放射線の誘導放出を容易にするために、量子ドット構造または量子ダッシュ構造を含み得る。典型的には、量子ドットは、非常に小さい半導体微粒子(例えば、数ナノメートルのオーダーの寸法を有する)である。量子ドットの放射線放出特性は、ドットのサイズおよび組成に応じて変化し得る。量子ダッシュは、細長いナノ構造(例えば、2つの寸法は量子ドットのサイズであるが、第3の寸法は数百nmのようにはるかに長い)を指す。
【0042】
基板層150は、レーザ波長に対して実質的に透過性を有し、デバイス100の他の構成要素を支持するのに十分な機械的強度を有し、デバイス100を製造するのに使用される技術に適合する機械的特性および化学的特性を有する材料から形成される。いくつかの実施形態では、基板層150は、シリコン(例えば、結晶シリコン、多結晶シリコン、またはアモルファスシリコン)から形成される。シリコンは、実質的に、例えば、約1.1ミクロンを超える波長を有する赤外光を透過する。いくつかの実施態様では、基板層150は、液晶ディスプレイに一般的に使用されるガラスまたはプラスティックのような、光学波長に対して実質的に透過性を有する材料から形成される。
【0043】
基板層150の厚さは、発光モジュールから出るキャビティ放射線の発散およびSLM140のサイズに基づいて選択される。一般に、基板層150は、実質的にSLMの全面積が照らされるように(または少なくとも、円形ビーム断面に対して、SLMにおけるビーム直径がSLMの横方向寸法とほぼ等しくなるように)十分な厚さを有する。例えば、約15°の発散円錐角を有する円錐ビームに対して1cm×1cmのSLMを覆うのに十分なビーム発散を生成するためには、約2cmの基板層厚さが必要である。小さいSLMおよび/または大きいビーム発散には、薄い基板層が使用され得る。逆に、大きいSLMおよび/または小さいビーム発散には、厚い基板層が必要になり得る。
【0044】
概して、集積レーザデバイス100は、様々な異なる波長に対して実装され得る。UV(例えば、200nm〜380nm)、可視光(380nm〜780nm)、およびIR(780nm〜2,000nm以上)の波長での実装も可能である。いずれの場合にも、デバイスの構成要素の材料は、選択された動作波長で必要な機能性を有するように選択される。例えば、InGaAsPは、約1,550nmの動作波長に使用され得る。別の実施例として、約200nm〜550nmの動作波長にAlGaInNが使用され得、約550nm〜700nmの動作波長にAlInGaPが使用され得る。
【0045】
デバイス100は、図1Aおよび図1Bでは、基板層150の底側に透過型SLM140および反射器130を有するものとして示されているが、他の構成も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、SLM140および反射器130の機能は、反射型SLMのような単一層の中で組み合わされ得る。反射型SLMの例として、マイクロミラーアレイ(MMA)のような微小電気機械システム(MEMS)SLMが挙げられる。エルコス(liquid crystal on silicon:LCoS)SLMのような反射型LC SLMも可能である。
【0046】
さらに、反射器120は、デバイス100内の部分反射器として構成され、z方向の放出199、−z方向の放出も可能になる。例えば、いくつかの実施態様では、デバイス100は、SLM140および反射器130が部分的にレーザ放射線を透過するように構成され得る。このような場合、反射器120は、実質的に全ての入射レーザ放射線を反射し、デバイス100の側からの放出を削減し得る。
【0047】
さらに、SLM140および発光モジュールはデバイス100の基板層150の両側に配置されるが、SLMが基板の発光モジュールと同じ側に配置されるアーキテクチャも可能である。例えば、図2を参照すると、集積レーザデバイス200は、発光モジュールおよびSLM230を同じ側で支持する基板層250を含む。
【0048】
この場合、発光モジュールは、電極層270、272に挟まれた利得媒質210を有する層212を含む。電極層272は、基板層250の上面に隣接して位置決めされる。電極層270は、層212と上部反射器220との間に位置決めされる。上部反射器220は、レーザ波長の放射線のための部分反射器であり、デバイス200の出力カプラとしての機能を果たす。電極層270の電気接点260は、反射器220の上面に位置決めされ、ビア(図示せず)によって電極270に電気的に接続される。電極層272は、発光モジュールを越えて基板層250の上面で横方向に延在して露出領域を形成し、その上に電気接点262が形成される。発光モジュールは、上記のレーザデバイス100の発光モジュールに関して説明したのと同様に動作する。
【0049】
第2の反射器240は、基板層250の底面に形成され、反射型SLM230(例えば、MMAもしくはLCoS SLM)は上面にある発光モジュールに隣接して位置決めされる。動作中、発光モジュールからのキャビティ光は基板層250を下方へ通過し、第2の反射器240から反射され、再びSLM230に向かって基板層250を通過する。この基板層250を通過するダブルパス経路は、SLM230から発光モジュールへと戻る逆コースを辿る。図2における光線201、202は、この状態を示している。
【0050】
様々なタイプの反射器が反射器240に使用され得る。例えば、反射器240は、低次(例えば、ゼロ次、一次)回折極大がSLM230上の対応する位置に向けられるように、入射キャビティ放射線を回折させるように設計された格子を含み得る。あるいは、反射器240は、入射キャビティ放射線がSLM230上の対応する位置に向けて反射されるように、反射材料(例えば、反射金属)で被覆されたファセットを含むブレーズド面を含み得る。
【0051】
SLM230は反射型SLMとして示されているが、いくつかの実施形態では、図1に示されているレーザデバイス100に関して説明したように、別の反射器と組み合わせた透過型SLMが使用されてもよい。
【0052】
基板層の1つの面に発光モジュールおよびSLMの両方を支持させることは、このような配置は基板層の両側に複雑な構成要素を有するデバイスに比べて製造しやすくなり得るので、有利であり得る。代替的に、または追加的に、デバイス200のアーキテクチャは、基板層250を通過するキャビティ放射線のダブルパスの形にすることにより、より薄い基板層を使用することができると同時に、それでもSLMから反射する前のキャビティ放射線の十分な発散を可能にするので、デバイス100に比べて薄いデバイスの使用を容易にし得る。
【0053】
一般に、レーザデバイスは、構造体に組み込まれる追加の構成要素を含み得る。例えば、図3を参照すると、集積レーザデバイス300は、発光モジュールと基板層350との間に発散光学層301を含む。残りの構造は、デバイス100の構造と同様である。具体的には、デバイス300の発光モジュールは、電極370、372に挟まれた利得媒質310を含む層312と、反射器320とを含む。電気接点360、362はそれぞれ、電極370、372と電気的に接続される。SLM340および反射器330は、発光モジュールおよび発散光学層301の反対側の基板層350の底面に位置決めされる。
【0054】
発散光学層301は、発光モジュールを出て基板層350に入るレーザ波長の放射線の角度発散を増加させ、逆に、基板層350を出て発光モジュールに入るレーザ波長の放射線の角度発散を低減するように動作する。発散光学層301は、例えば、回折層または屈折層であり得る。例えば、発散光学層301は、放射線が層を通過するときに放射線を回折させるように設計された回折構造(例えば、1次元もしくは2次元格子)を含み得る。例えば、チャープ格子が使用され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、発散光学層301は、発散を増加/減少させるために入射放射線を屈折させる屈折構造(例えば、レーザ波長で異なる屈折率を有する2つの媒質間の曲面またはファセット界面)を含み得る。
【0055】
デバイス300の一部として発散光学層を使用することは、比較的薄い基板層と共に比較的大きな側面積を有するSLMの使用を容易にし得る。
【0056】
発散光学層の代わりに、または発散光学層に加えて、他の構成要素が含まれてもよい。例えば、利得媒質310の基板側に(例えば、発散光学層301がデバイス300内で位置決めされる場所に)別の部分反射器(例えば、部分DBR)が含まれてもよい。利得媒質の両側に(少なくとも部分)反射器を含むことは、制御されたSLMの影響を受けずに少なくとも一部の光フィードバックおよびデバイスの横方向の放出を確実にし得る。
【0057】
発光モジュールよりも大きい側面積を有するSLMを使用するために基板層の厚さを低減して発光モジュールからの光の十分な発散を維持するのに発散光学層が使用され得るが、デバイスの厚さを低減するための他の技術も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、非常に薄い基板層を使用してSLMの側面積全体を照らすのに適切な経路長を確保するために基板層内の放射線の光路を折り曲げることが可能である。図4を参照すると、例えば、集積レーザデバイス400は、基板層の上面で発光モジュール410および反射型SLM420(例えば、MMAもしくはLCoS SLM)を両方ともに支持する薄い基板層430を含む。反射層440、450(例えば、金属化反射器)は、基板層430の底面および上面それぞれに配置される。
【0058】
光線401、402で例示されたキャビティ放射線は、発光モジュール410から基板層430へと放出される。キャビティ光は、上部反射層および底部反射層から複数回反射して、基板層内でSLM420へと案内されるときに発散する。SLM420は、ビームを変調して、同じ経路に沿って発光モジュール410へと戻すようにビームを方向付ける。いくつかの実施形態では、反射型SLM420は、透過型SLMおよび反射器に置き換えられ得る。
【0059】
発光モジュール410から基板層430への方向性結合を行うために結合層(例えば、格子)が使用され得る。
【0060】
いくつかの実施態様では、キャビティ放射線を基板層430内に閉じ込めて案内するのに、反射層ではなく、全内部反射が使用され得る。
【0061】
このようなアーキテクチャを使用することで、特に薄い基板層が比較的大きなSLMと共に使用され得る。例えば、0.25cm以下(例えば、0.1cm以下、0.05cm以下)の基板層が、1cm以上(例えば、2cm以上、3cm以上、4cm以上)の面積を有するSLMと共に使用され得る。
【0062】
一般に、別の代替形態も可能である。例えば、上述の例はSLM上のピクセル化を特徴とするが、デバイスにさらなる変動性レベルを付与するために追加の構成要素もピクセル化され得る。例えば、いくつかの実施態様では、担体を利得媒質に注入するための電極の一方または両方がピクセル化され、利得媒質における空間的利得を変化させるために局所電流密度変化をもたらす。このような実施態様は、デバイスのレーザ出力における追加の強度制御レベルを実現し得るので、有利であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、発光モジュール全体がピクセルアレイとして構成され得る。
【0064】
他の構成も可能である。いくつかの実施態様では、発光モジュールは、リッジレーザ(例えば、y方向に光学キャビティを画定する)として構成され得、SLMはz方向のデバイスからの二次放出を空間的に変化させるように構成され得る。例えば、リッジレーザは、二次格子(例えば、導波路表面に実質的に垂直な方向に基板層へと光を分散させる格子構造)と共に使用され得る。二次格子は、例えば、上部または下部リッジ表面に誘電体周期構造から、または波形リッジ側壁もしくは上面から形成され得る。
【0065】
さらに、上記実施態様は利得媒質の反転分布を実現するために電気ポンピングを使用するが、他の実施形態では、異なるポンピング方式が利用され得る。例えば、光ポンピングまたは電子ビームポンピングが使用され得る。
【0066】
一般に、上述の集積レーザデバイスは、半導体デバイスの製造で一般的に使用される技術、具体的には、ウエハもしくはLCD加工技術を使用して製造され得る。例えば、集積レーザデバイスの構成要素部分は、基板層上に材料の層を連続的に蒸着させて、必要に応じて各々の層にパターン形成することによって形成され得る。層蒸着は、形成される層の性質(例えば、材料、厚さ、結晶化度など)および層が形成される支持面の性質に基づいて、様々な技術を使用して実行され得る。蒸着技術の例として、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、電気化学析出法(ECD)、分子線エピタキシ法(MBE)、および原子層堆積法(ALD)が挙げられる。
【0067】
層パターン形成は、一般に、リソグラフィー技術を使用して行われる。リソグラフィー技術では、レジスト層にパターンが転写され、次のエッチングステップでレジスト層から材料の上位層または下位層にパターンが転写される。レジスト層の最初のパターン形成は、例えば、フォトリソグラフィーまたはインプリントリソグラフィーを使用して行われ得る。材料を除去するのに、ウェットエッチング、ドライエッチング、および/またはプラズマエッチングが使用され得る。露出面を平らにするのに、研磨プロセス(例えば、化学機械研磨)が使用され得る。
【0068】
場合によっては、発光モジュールは1つの基板上に形成され、SLMは第2の基板上に形成され得る。2つの基板は、その後、接合されて、集積レーザデバイスが形成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、発光モジュールは1つの製造プロセス内で形成され得るが、SLMは第2の別個のプロセスで製造される。2つの構成要素は、その後、共通の基板層に接合されて、集積レーザデバイスが形成される。このようなアプローチは、特に厚い基板層が必要な場合に(例えば、基板層が、2cm以上、最大で約5cmのような1cm以上の厚さである場合に)、望ましいことがある。また、このようなアプローチは、2つの構成要素が共通基板層の同じ側で接合される場合に、および/または異なる構成要素が異なる業者によって製造される場合に、望ましいことがある。
【0070】
さらに、単一ウエハ上に複数のデバイスを形成するのに、ウエハ加工技術が使用され得、ウエハは、その後、ダイシングされて、個々のレーザデバイスが作成される。
【0071】
集積レーザデバイスは、例えば、プリント基板上に統合することによって、容易に大型のシステムに組み込まれ得るロバストな構成要素を形成するために、さらにパッケージングされ得る。従来、集積回路、LED、およびダイオードレーザをパッケージングするのに使用されていたチップパッケージング技術が使用され得る。
【0072】
一般に、上述の集積レーザデバイスは、空間的に変化する強度プロファイルを有する放射線が望まれるような様々な用途で使用され得る。例えば、集積レーザデバイスは、ディスプレイ用途で使用され得る。図5を参照すると、例示的な表示システム500は、集積レーザデバイスモジュール510と、制御モジュールと、光学投影モジュール530とを含む。レーザデバイスモジュール510は、上述の集積レーザデバイスのような1つまたは複数の集積レーザデバイスを含む。例えば、レーザデバイスモジュール510は、各々が異なる色を有する変調光を放出するように構成された複数のレーザデバイス(例えば、赤、緑、青、および/またはシアン、マゼンタ、ターコイズのエミッタ)を含み得る。代替的に、または追加的に、レーザデバイスモジュールは、各々が同じ色を有する複数の集積レーザデバイスを含み得、これらは一緒にタイル状に並べられることにより、個々のレーザデバイス(この分解能はSLMの分解能に対応する)よりも高い分解能を有するディスプレイが作成される。
【0073】
動作中、ディスプレイドライバを含む制御モジュール520は、レーザデバイスモジュール510に信号を送り、レーザデバイスに画像情報を含む変調光599を光学投影モジュール530へ放出させる。光学投影モジュール530は、スクリーン540上に変調光599から画像を形成する投影光学系(例えば、レンズ、ミラー、および/または回折光学素子)を含む。
【0074】
別の実施例として、集積レーザデバイスは、光通信用途で使用され得る。図6を参照すると、例えば、光通信システム600は、集積レーザデバイスモジュール610と、制御モジュール620と、リレー光学モジュール630と、検出モジュール640と、信号受信モジュール650とを含む。
【0075】
動作中、制御モジュール620は、レーザデバイスモジュール610に信号を送り、モジュール610内のレーザデバイスに情報が符号化された変調光699を放出させる。リレー光学モジュール630は、変調光を受け取って、検出モジュール640へと方向付ける。検出モジュール640内のピクセルセンサ(単数または複数)は、光の変調パターンを監視し、符号化情報を含む対応信号を信号受信モジュール650に送信する。信号受信モジュール650は、その後、情報を復号する。
【0076】
一般に、通信システム600は、自由空間光学系、導波路光学系、および/または集積光学素子を含み得る。例えば、リレー光学モジュール630は、検出モジュール640内のセンサ(または複数のセンサ)上でレーザデバイスモジュール610内の1つまたは複数のレーザデバイスからの変調放出プロファイルの遠視野画像を形成する自由空間素子を含み得る。
【0077】
変調光699のプロファイルへの情報の空間符号化により、通信システム600は、変調光699の比較的遅い変調速度であっても、膨大な情報を同時に検出モジュール640に伝達することができる。
【0078】
本明細書に記載されている集積レーザデバイスおよびこれらのデバイスを含むシステムのいくつかの態様は、本明細書で開示されている構造およびその構造的均等物を含む、デジタル電子回路内で、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア内で、またはこれらの1つまたは複数の組み合わせにおいて実装され得る。例えば、いくつかの実施態様では、コンピュータ制御装置190は、デジタル電子回路を使用して、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはこれらの1つまたは複数の組み合わせにおいて実装され得る。
【0079】
用語「コンピュータ制御装置」は、データ処理および/または信号生成制御のためのあらゆる種類の装置、デバイス、およびマシン、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システム・オン・チップ、または、上述したもののうちの複数のもの、もしくは組み合わせを含む。該装置は、専用の論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。該装置はさらに、ハードウェアの他に、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェアを構成するコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、またはこれらの1つまたは複数の組み合わせを含み得る。該装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティングインフラストラクチャおよびグリッド・コンピューティング・インフラストラクチャのような様々な異なるコンピューティングモデルのインフラストラクチャを実現し得る。
【0080】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても周知である)は、コンパイラ型言語もしくはインタープリタ型言語、宣言型言語もしくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書き込まれ得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応し得るが、対応しなくてもよい。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書内に記憶されている1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部、当該プログラム専用の単一ファイル、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を記憶するファイル)内に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または、1つの場所にある、もしくは複数の場所に分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0081】
上述したプロセスのいくつかは、入力データ上で操作して出力を生成することによって動作を実行するために、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。さらに、プロセスおよび論理の流れは、専用の論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行され得、装置は、専用の論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実装され得る。
【0082】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用のマイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータのプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、リード・オンリ・メモリまたはランダム・アクセス・メモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータは、命令に従って動作を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスとを含む。コンピュータはさらに、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク)を含み得る、または大容量記憶装置からデータを受信するもしくは大容量記憶装置にデータを転送する、またはその両方のために大容量記憶装置に動作可能に結合され得る。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有さなくてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したデバイスは、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク、取り外し可能なディスクなど)、光磁気ディスク、およびCD ROMディスクならびにDVD−ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完され得る、またが専用論理回路に組み込まれ得る。
【0083】
ユーザとの対話を提供するために、動作は、情報をユーザに表示するための表示装置(例えば、モニタ、もしくは別のタイプの表示装置)と、ユーザがコンピュータに入力するための手段であるキーボードならびにポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチスクリーン、もしくは別のタイプのポインティングデバイス)とを有するコンピュータ上に実装され得る。ユーザとの対話を提供するのに他の種類のデバイスも使用され得る。例えば、ユーザへのフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバックで行われ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、もしくは触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されているデバイスに対する文書の送受信によって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答してウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送信することによって、ユーザと対話し得る。
【0084】
コンピューティングシステムは、単一コンピューティングデバイス、または互いに接近して動作する、もしくは通常は互いに遠隔にあり、一般に通信ネットワークを介して対話する複数のコンピュータを含み得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、衛星リンクを備えるネットワーク、ピアツーピア・ネットワーク(例えば、アドホック・ピアツーピア・ネットワーク)が挙げられる。クライアントとサーバとの関係は、個々のコンピュータ上で実行し、互いのクライアント・サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じ得る。
【0085】
図7は、プロセッサ710と、メモリ720と、記憶装置730と、入出力装置740とを含むコンピューティングシステム700の一例を示している。構成要素710、720、730、740の各々は、例えば、システムバス750によって、相互接続され得る。プロセッサ710は、システム700内の実行のための命令を処理することができる。いくつかの実施態様では、プロセッサ710は、シングルスレッドプロセッサ、マルチスレッドプロセッサ、または別のタイプのプロセッサである。プロセッサ710は、メモリ720内または記憶装置730に記憶されている命令を処理することができる。メモリ720および記憶装置730は、システム700内の情報を記憶し得る。
【0086】
入出力装置740は、システム700に対する入出力動作を行う。いくつかの実施態様では、入出力装置740は、ネットワーク・インターフェース・デバイス(例えば、イーサネットカード)、シリアル通信デバイス(例えば、RS−232ポート)、および/またはワイヤレス・インターフェース・デバイス(例えば、802.11カード、3Gワイヤレスモデム、4Gワイヤレスモデムなど)のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施態様では、入出力装置は、入力データを受信し、出力データを他の入出力装置(例えば、キーボード、プリンタ、および表示装置760)に送信するように構成されたドライバ装置を含み得る。いくつかの実施態様では、モバイル・コンピューティング・デバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスも使用され得る。
【0087】
多くの実施形態について説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な修正を行うことができることは理解できるであろう。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7