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特許6886545パワーダウン検出回路および半導体記憶装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6886545
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】パワーダウン検出回路および半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/14 20060101AFI20210603BHJP
   G11C 16/22 20060101ALI20210603BHJP
   G11C 7/04 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G11C5/14 300
   G11C16/22 100
   G11C7/04
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-81775(P2020-81775)
(22)【出願日】2020年5月7日
【審査請求日】2020年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】荒川 賢一
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−102908(JP,A)
【文献】 特開昭54−162417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 5/14
G11C 7/04
G11C 16/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給電圧に基づき温度補償された基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧を調整して前記基準電圧よりも低いパワーダウン検出用の基準電圧を生成する生成回路と、
前記供給電圧よりも低い第1の内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、
前記第1の内部電圧が前記パワーダウン検出用の基準電圧より低下したことを検出する第1の検出回路と、
を有するパワーダウン検出回路。
【請求項2】
前記基準電圧生成回路は、BGR回路を含む、請求項1に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項3】
パワーダウン検出回路はさらに、
前記第1の内部電圧よりも低い第2の内部電圧が前記パワーダウン検出用の基準電圧より低下したことを検出する第2の検出回路と、
前記第2の検出回路の検出結果に基づき前記基準電圧生成回路に印加される前記供給電圧を昇圧回路で生成された昇圧電圧に切替える切替回路とを含む、請求項1に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項4】
前記第2の内部電圧は、前記内部電圧生成回路によって生成される、請求項3に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項5】
前記生成回路は、予め用意されたトリミング信号に基づき前記パワーダウン検出用の基準電圧を生成する、請求項1ないし4いずれか1つに記載のパワーダウン検出回路。
【請求項6】
前記トリミング信号は、電源投入時に不揮発性記憶回路から読み出され、かつ前記生成回路に供給される、請求項5に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項7】
前記第1の検出回路は、前記第1の内部電圧と前記パワーダウン検出用の基準電圧とを比較するコンパレータを含む、請求項1に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項8】
前記第2の検出回路は、前記第2の内部電圧と前記パワーダウン検出用の基準電圧とを比較するコンパレータを含む、請求項3に記載のパワーダウン検出回路。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1つに記載のパワーダウン検出回路と、
前記パワーダウン検出回路の前記第1の検出回路の検出結果に応答してパワーダウン動作を実行する実行手段と、
を含む半導体記憶装置。
【請求項10】
パワーダウン動作は、回路のリセットを含む、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記昇圧回路は、読出し、プログラムまたは消去を行うときに利用されるチャージポンプ回路を含む、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記基準電圧生成回路により生成された基準電圧は、別のトリミング回路により調整され、調整された基準電圧は、内部回路に供給される、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置に関し、特に、供給電圧の降下の検出(パワーダウン検出)に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリは、読出し、プログラム、消去等のための電圧の設定やユーザーのオプションなどの設定情報を格納するためフューズセルを使用している。フューズセルは、例えば、メモリセルアレイ内のユーザーによってアクセスすることができない記憶領域に設定される。フラッシュメモリは、電源投入時、パワーアップ動作として、フューズセルから設定情報を読み出し、これを内部レジスタにロードする。パワーアップ動作終了後、コントローラは、内部レジスタに保持された設定情報に基づき各動作を制御する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6494139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシュメモリのビジーモード中、ノイズやピーク消費電流等によって、外部端子から供給される供給電圧VCCの降下が生じると、デバイスは正確に動作することができない。このような事態を回避するため、フラッシュメモリは、供給電圧VCCの降下を検出するパワーダウン検出回路によるリセット機能を備えている。
【0005】
図1に示すように、パワーダウン検出回路10は、供給電圧VCCが検出レベルに降下したことを検出すると、CPUやロジック回路等の内部回路20にリセット信号PDDRSTを出力する。内部回路20は、リセット信号PDDRSTを受け取ると、パワーダウン動作を実行し、チャージポンプ回路の動作を停止したり、CPUやロジック等のリセットを行う。
【0006】
図2は、従来のパワーダウン検出回路10の構成を示す図である。パワーダウン検出回路10は、供給電圧VCCに基づき基準電圧VREFIを生成するBGR(Band Gap Reference)回路30と、トリミング信号TR_VREFに基づき基準電圧VREFIを調整した基準電圧VREFを生成するトリミング回路40と、供給電圧VCCを抵抗分割した内部電圧VCC_DIVをノードNに生成する抵抗分割回路50と、基準電圧VREFIと内部電圧VCC_DIVとを比較し、VCC_DIV<VREFIを検出したときLレベルのリセット信号PDDRSTを出力するコンパレータ60とを含む。
【0007】
供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したとき、VREFI>VCC_DIVが検出され、コンパレータ60は、Lレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。コンパレータ60による検出回路は、スタンバイモード時の消費電流を抑制するため比較的簡易に構成され、すなわち、コンパレータ60の反転入力(−)にはBGR回路30の基準電圧VRFIが直接入力され、非反転入力(+)には、内部電圧VCC_DIVが入力される。また、トリミング回路40で生成された基準電圧VREFは、フラッシュメモリの周辺回路の基準電圧として使用される。
【0008】
図3に、BGR回路30の一例を示す。BGR回路30は、供給電圧VCCとGND間に第1および第2の電流経路を含み、第1の電流経路に直列に接続されたPMOSトランジスタP1、抵抗R1、ダイオードD1を含み、第2の電流経路に直列に接続されたPMOSトランジスタP2、抵抗R2、R、ダイオードD2(ダイオードD1はダイオードD2のn倍の電流密度)を含み、さらに抵抗R1とダイオードD1とを接続するノードVNを反転入力端子(−)に接続し、抵抗R2と抵抗Rとを接続するノードVPを非反転入力端子(+)に接続し、出力端子をトランジスタP1、P2のゲートに共通接続する差動増幅回路AMPを含む。差動増幅回路AMPは、トランジスタQ1の順方向電圧と、トランジスタQ2の順方向電圧に抵抗Rに生じる電圧を加算した電圧とが等しくなるように、出力電圧を調整し、出力ノードからは基準電圧VREFIが出力される。
【0009】
BGR回路30は、供給電圧VCCの変動や動作温度に依存しない基準電圧VREF1を生成するが、BGR回路30の製造バラツキ等によって基準電圧VREFIは変動する。このため、トリミング回路40は、フューズセルに格納されたトリミング信号TR_VREFを利用して基準電圧VREFIを調整し、最終的な基準電圧VREFを生成し、これを内部回路に提供している。
【0010】
図4は、パワーダウン検出回路10の理想的な動作波形である。例えば、供給電圧VCCが1.8V、BGR回路30の基準電圧VREFIが1.2V、パワーダウン検出レベルが1.3Vとする。時刻t1で供給電圧VCCが降下すると、それに応じて内部電圧VCC_DIVが降下する。時刻t2で供給電圧VCCが1.3Vに降下したとき、内部電圧VCC_DIVと基準電圧VREFIとが交差し、つまり、コンパレータ60によって内部電圧VCC_DIVが基準電圧VREFIよりも低くなったことが検出され、コンパレータ60は、HレベルからLレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。
【0011】
デバイスの製造バラツキや動作条件などの要因により、パワーダウン検出レベルを調整することが望まれる。例えば、パワーダウン検出レベルが想定よりも高すぎると、供給電圧VCCの降下により頻繁にパワーダウンが検出され、リセット動作が繰り返されてしまう。反対に、パワーダウン検出レベルが想定よりも低すぎると、供給電圧VCCが低下してもパワーダウンが検出されず、誤動作等を引き起こされるおそれがある。図2に示す構成では、コンパレータ60の入力に基準電圧VREFIが直接入力されるため、パワーダウン検出レベルを変更するには、BGR回路30の基準電圧VREFIを変更しなければならない。例えば、パワーダウン検出レベルを1.3Vよりも低い1.2Vに調整する場合には、BGR回路30の基準電圧VREFIを1.2Vから1.1Vに変更し、供給電圧VCCが1.2Vに降下したとき、コンパレータ60により内部電圧VCC_DIVが基準電圧VREFIよりも低くなることが検出されるようにする必要がある。
【0012】
しかしながら、BGR回路30の基準電圧VREFIを変更することは、コンパレータ60に温度依存性を生じさせてしまう。BGR回路30は、ダイオードやトランジスタによる負の温度特性と抵抗による正の温度特性とがバランスされるように回路設計を行い、基準電圧VREFIに温度依存が生じないようにしている。このため、BGR回路において、例えば抵抗を変化させて基準電圧VREFIを任意に変更しようとすると、基準電圧VREFIに温度依存が生じてしまう。
【0013】
図5は、基準電圧の温度依存性を示すグラフであり、基準電圧VREFIとして1.2Vを生成するように回路設計された例を示している。基準電圧VREFIが1.2Vであれば、低温から高温にわたりほぼフラットな電圧であり、温度依存性が殆どないことがわかる。しかし、基準電圧VREFIが1.2Vよりも低下すると、抵抗の正の温度依存性が弱くなり、その結果、基準電圧VREFIが負の温度依存性を持つようになる。このため、基準電圧VREFIを直接入力するコンパレータ60の検出レベルに温度依存が生じ、その結果、動作温度が低いときと高いときでパワーダウン検出レベルが異なり、パワーダウン検出の動作が不安定になってしまう。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、温度依存性を抑制しつつパワーダウン検出レベルを調整可能なパワーダウン検出回路および半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るパワーダウン検出回路は、供給電圧に基づき温度補償された基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧を調整して前記基準電圧よりも低いパワーダウン検出用の基準電圧を生成する生成回路と、前記供給電圧よりも低い第1の内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、前記第1の内部電圧が前記パワーダウン検出用の基準電圧より低下したことを検出する第1の検出回路とを有する。
【0016】
ある実施態様では、前記基準電圧生成回路は、BGR回路を含む。ある実施態様では、パワーダウン検出回路はさらに、前記第1の内部電圧よりも低い第2の内部電圧が前記パワーダウン検出用の基準電圧より低下したことを検出する第2の検出回路と、前記第2の検出回路の検出結果に基づき前記基準電圧生成回路に印加される前記供給電圧を昇圧回路で生成された昇圧電圧に切替える切替回路とを含む。ある実施態様では、前記第2の内部電圧は、前記内部電圧生成回路によって生成される。ある実施態様では、前記生成回路は、予め用意されたトリミング信号に基づき前記パワーダウン検出用の基準電圧を生成する。ある実施態様では、前記トリミング信号は、電源投入時に不揮発性記憶回路から読み出され、かつ前記生成回路に供給される。ある実施態様では、前記第1の検出回路は、前記第1の内部電圧と前記パワーダウン検出用の基準電圧とを比較するコンパレータを含む。ある実施態様では、前記第2の検出回路は、前記第2の内部電圧と前記パワーダウン検出用の基準電圧とを比較するコンパレータを含む。
【0017】
本発明に係る半導体記憶装置は、上記記載のパワーダウン検出回路と、前記パワーダウン検出回路の前記第1の検出回路の検出結果に応答してパワーダウン動作を実行する実行手段とを含む。
【0018】
ある実施態様では、パワーダウン動作は、回路のリセットを含む。ある実施態様では、前記昇圧回路は、読出し、プログラムまたは消去を行うときに利用されるチャージポンプ回路を含む。ある実施態様では、前記基準電圧生成回路により生成された基準電圧は、別のトリミング回路により調整され、調整された基準電圧は、内部回路に供給される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、温度補償された基準電圧からパワーダウン検出用の基準電圧を生成するようにしたので、温度依存性を抑制しつつパワーダウン検出レベルを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】フラッシュメモリのパワーダウン検出動作を説明する図である。
図2】従来のパワーダウン検出回路の構成を示す図である。
図3】BGR回路の一般的な構成を示す図である。
図4】従来のパワーダウン検出回路の理想的な動作波形を示す図である
図5】BGR回路の基準電圧の温度依存性を示すグラフである。
図6】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの内部構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施例に係るパワーダウン検出回路の構成を示す図である。
図8】本発明の第1の実施例に係るパワーダウン検出回路の動作波形を示す図である。
図9】本実施例のトリミング回路の一例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施例に係るパワーダウン検出回路の温度依存性を示すグラフである。
図11】本発明の第2の実施例に係るパワーダウン検出回路の構成を示す図である。
図12図12(A)は、BGR回路の基準電圧が低下したときのパワーダウン検出回路の動作波形を示し、図12(B)は、本発明の第2の実施例に係るパワーダウン検出回路の動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の半導体記憶装置は、好ましい態様では、NAND型やNOR型のフラッシュメモリ、抵抗変化型メモリ、磁気変化型メモリ等の不揮発性メモリ、あるいはこのような不揮発性メモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどである。以下の説明では、NAND型のフラッシュメモリを例示する。
【実施例】
【0022】
本発明の実施例に係るフラッシュメモリの概略構成を図6に示す。本実施例のフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリセルアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続された入出力バッファ120と、入出力バッファ120からアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力バッファ120からコマンドデータ等を受け取り、各部を制御するコントローラ140と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axのデコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路150と、ワード線選択回路150によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページにプログラムすべきデータを保持するページバッファ/センス回路160と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayのデコード結果に基づき列等を選択する列選択回路170と、電源端子に供給される供給電圧VCCを監視し、供給電圧VCCが検出レベルに降下したことを検出したときリセット信号PDDRSTを出力するパワーダウン検出回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0023】
メモリセルアレイ110は、列方向に配置されたm個のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのブロックには、複数のNANDストリングが形成され、1つのNANDストリングは、複数のメモリセル(例えば、64個)と、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを直列に接続して構成される。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線に接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線に接続される。NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するタイプであってもよい。
【0024】
読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタを導通させ、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15〜20V)を印加し、非選択ワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加する。
【0025】
パワーダウン検出回路180は、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したことを検出すると、HレベルからLレベルに遷移したリセット信号PDDRSTをコントローラ140に出力する。コントローラ140は、リセット信号PDDRSTに応答してROM/RAMから読み出されたコードに従いパワーダウン動作を実行する。パワーダウン動作では、例えば、コントローラ140を含む内部回路のリセットや、内部電圧発生回路190に含まれるチャージポンプ回路の停止等が行われる。
【0026】
図7に、本発明の第1の実施例に係るパワーダウン検出回路180の内部構成を示す。図中、図2に示すパワーダウン検出回路10と同一構成については同一参照番号を附している。本実施例のパワーダウン検出回路180は、図2に示す構成に加えて、BGR回路30の基準電圧VREFIに基づきパワーダウン検出用の基準電圧VREFPDD(以下、PD検出用基準電圧と称す)を生成するトリミング回路182を備えている。トリミング回路182は、パワーダウン検出用のトリミング信号TR_VREFPDD(以下、PD検出用トリミング信号と称す)に基づき基準電圧VREFIを調整し、温度依存性が抑制されたPD検出用基準電圧VREFPDDを生成する(VREFPDD<VREFI)。また、抵抗分割回路50Aは、供給電圧VCCとGND間に接続された抵抗ラダーを含み、ノードNに供給電圧VCCを抵抗分割した内部電圧VCC_DIVを生成する。本実施例では、基準電圧VREFIよりも低いPD検出用基準電圧VREFPDDを用いてパワーダウン検出を行う。それ故、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したとき、コンパレータ60がVCC_DIV<VREFPDDを検出するように、内部電圧VCC_DIVが調整される。
【0027】
トリミング回路182は、特に限定されないが、例えば、PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDに応じたアナログ電圧を生成するDAC(可変抵抗)を含む。図8に、トリミング回路182の一例を示す。基準電圧VREFIとGNDとの間に接続された抵抗ラダーの複数のタップ間にスイッチSW1、SW2〜SWnが接続される。PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDは、トリミングコード(例えば、3ビット)を含み、トリミングコードによって選択された1つまたは複数のスイッチSW1〜SWnがオンされ、出力ノードN1からPD検出用基準電圧VREFPDDが出力される。
【0028】
トリミング回路182に供給される基準電圧VREFIは、BGR回路30によって生成された温度補償された電圧、つまり温度依存性が抑制された電圧であり、基準電圧VREFIからPD検出用基準電圧VREFPDDを生成することで、PD検出用基準電圧VREFPDDの温度依存性が抑制され、コンパレータ60は、温度依存性のないパワーダウン検出をすることができる。PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDは、基準電圧VREFを調整するためにトリミング回路40に入力されるトリミング信号TR_VREFと同様に、メモリセルアレイ110のヒューズメモリに格納され、これらのトリミング信号は、電源投入時またはパワーアップ検出時にヒューズメモリからコントローラ140のレジスタに読み出される。
【0029】
図9に、本実施例のパワーダウン検出回路の動作波形を示す。時刻t1で、供給電圧VCCがノイズあるいはピーク電流等の何らかの要因により降下すると、供給電圧VCCを抵抗分割した内部電圧VCC_DIVも同様に降下する。時刻t2で供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに到達したとき、コンパレータ60は、内部電圧VCC_DIVがPD検出用基準電圧VREFPDDを低下したことを検出し(VCC_DIV<VREFPDD)、Lレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。PD検出用基準電圧VREFPDDの破線で示す範囲h1は、PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDによってPD検出用基準電圧を調整可能な範囲を示し、パワーダウン検出レベルの破線の範囲h2は、PD検出用基準電圧VREFPDDの調整範囲に対応するパワーダウン検出レベルの調整可能な範囲を示す。例えば、供給電圧VCCが1.8V、基準電圧VREFIが1.2Vであるとき、PD検出用基準電圧VREFPDDを1.1Vに調整することでパワーダウン検出レベルを1.3Vから1.2Vに変更することができる。
【0030】
図10(A)は、基準電圧VREFIの温度依存性を示し、図10(B)は、PD検出用基準電圧VREFPDDの温度依存性を示す。BGR回路30によって生成される基準電圧VREFI(例えば、1.2V)は、温度補償された電圧である。このような基準電圧VREFIを調整したPD検出用基準電圧VREFPDDは、やはり温度依存性が抑制された電圧である。図5に示すように、1.1Vまたは1.0Vに変更された基準電圧VREFIは温度依存性を有するのに対し、図10(B)に示すように、1.1Vまたは1.0Vに調整されたPD検出用基準電圧VREFPDDは温度依存性が抑制される。これにより、コンパレータ60は、動作温度に依存することなく安定したパワーダウンの検出を行うことができる。また、トリミング回路182は、トリミング回路40とは別にパワーダウン検出用に設けられるため、トリミング回路40の制約を受けることなく、個別にパワーダウン検出レベルを調整することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。BGR回路30は、供給電圧VCCの降下により低電圧で動作すると、期待する基準電圧VREFIよりも低い電圧を出力する可能性がある。例えば、基準電圧VREFIが1.2Vを生成するように設計されているとき、供給電圧VCCが1.3V程度のパワーダウン検出レベルまで降下すると、基準電圧VREFIが1.2Vよりも低くなることがある。そうすると、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルまで降下しているにもかかわらず、コンパレータ60は、VCC_DIV<VREFPDDを検出することができず、リセット動作が適切に実行されない事態が生じてしまう。
【0032】
この様子を図12(A)に示す。時刻t1で、供給電圧VCCが降下し、それに応じて内部電圧VCC_DIVが降下する。時刻t2で、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルまで降下する。時刻t2より前の時刻t1Aで、BGR回路30の動作が不安定になり、基準電圧VREFIが低下を開始し、同時にPD検出用基準電圧VREFPDDも低下する。その結果、時刻t2で、PD検出用基準電圧VREFPDDが内部電圧VCC_DIVと交差せず、内部電圧VCC_DIVの降下を検出することができなくなってしまう。
【0033】
第2の実施例は、このような事態を解消するものである。図11は、本発明の第2の実施例に係るパワーダウン検出回路180Aの構成を示し、図7と同一構成については同一参照番号を附している。本実施例のパワーダウン検出回路180Aはさらに、供給電圧VCCが一定レベルまで降下したことを検出するコンパレータ60Aと、コンパレータ60Aの検出結果に基づきBGR回路30に供給される電圧を供給電圧VCCから昇圧された電圧VXXに切替えるための切替回路200と、供給電圧VCCを昇圧した昇圧電圧VXXを生成する昇圧回路210とを含む。昇圧回路210は、例えば、チャージポンプ回路を含み、昇圧回路210は、フラッシュメモリ100の読出し、プログラム、消去等の動作のために使用されるものであってもよいし、パワーダウン検出回路180Aに専用に設けられたものであってもよい。
【0034】
本実施例の抵抗分割回路50Bは、ノードN1に第1の内部電圧VCC_DIV1を生成し、さらにノードN2に第2の内部電圧VCC_DIV2を生成する。第1の内部電圧VCC_DIV1は、第1の実施例の内部電圧VCC_DIVと同じものである。第2の内部電圧VCC_DIV2は、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下するよりも前に供給電圧VCCが一定レベルまで降下したことを検出するための電圧であり、VCC_DIV2<VCC_DIV1の関係にある。コンパレータ60Bには、PD検出用基準電圧VREFPDDと、第2の内部電圧VCC_DIV2とを比較し、VCC_DIV2<VREFPDDを検出すると、Lレベルに遷移した検出信号DETを出力する。
【0035】
切替回路200は、供給電圧VCCとBGR回路30の電圧供給ノードVCC_BGRとの間に接続されたP型のトランジスタPMOS1と、昇圧回路210の出力と電圧供給ノードVCC_BGRとの間に接続されたP型のトランジスタPMOS2と、コンパレータ60から出力される検出信号DETを入力するインバータINとを含む。トランジスタPMOS1のゲートにはインバータINの出力が印加され、トランジスタPMOS2のゲートには検出信号DETが印加される。VCC_DIV2>VREFPDDの間、コンパレータ60Aは、Hレベルの検出信号DETを出力し、その間、トランジスタPMOS1が導通し、トランジスタPMOS2が非導通となり、BGR回路30には、供給電圧VCCが供給される。VCC_DIV2<VREFPDDがコンパレータ60Aによって検出されると、検出信号DETがLレベルに遷移し、トランジスタPMOS1が非導通となり、トランジスタPMOS2が導通し、BGR回路30には、昇圧回路210により生成された昇圧電圧VXXが供給される。
【0036】
図12(B)に、本実施例のパワーダウン検出回路の動作波形を示す。時刻t1で、供給電圧VCCが降下すると、それに応じて電圧供給ノードVCC_BGRの電圧、第1および第2の内部電圧VCC_DIV1、VCC_DIV2も降下する。時刻t2で、供給電圧VCCが切替検出レベルにまで降下すると、コンパレータ60Aは、VCC_DIV2<VREFPDDを検出し、HレベルからLレベルに遷移した検出信号DETを出力する。切替回路200は、検出信号DETに応答してトランジスタPMOS1をオフし、トランジスタPMOS2をオンし、電圧供給ノードVCC_BGRに昇圧電圧VXXを供給する。その後、供給電圧VCCがさらに降下しても(破線で示す)、電圧供給ノードVCC_BGRの電圧は、昇圧電圧VXXからのチャージにより即座に降下せず、一定期間、ある程度の電位を保つ。電圧供給ノードVCC_BGRの電圧の低下が抑制されることで、その間、BGR回路30の動作は安定し、期待された基準電圧VREFIを生成し、トリミング回路180も同様に、期待されたPD検出用基準電圧回VREFPDDを生成する。
【0037】
時刻t3で、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したとき、コンパレータ60は、VCC_DIV1<VREFPDDを検出し、HレベルからLレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。
【0038】
このように本実施例によれば、供給電圧VCCが低下したときのBGR回路30の動作を昇圧電圧VXXで保証するようにしたので、基準電圧VREFIの低下を抑制し、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに到達したことを確実に検出することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
30:BGR回路 40:トリミング回路
50、50A、50B:抵抗分割回路 60、60A:コンパレータ
100:フラッシュメモリ 110:メモリセルアレイ
120:入出力バッファ 130:アドレスレジスタ
140:コントローラ 150:ワード線選択回路
160:ページバッファ/センス回路 170:列選択回路
180:パワーダウン検出回路 182:トリミング回路
190:内部電圧発生回路 200:切替回路
210:昇圧回路
【要約】
【課題】 温度依存性を抑制しつつパワーダウン検出レベルを調整可能なパワーダウン検出回路を提供する。
【解決手段】 本発明のパワーダウン検出回路180は、供給電圧VCCに基づき基準電圧VREFIを生成するBGR回路30と、トリミング信号に基づき基準電圧VREFIを調整してパワーダウン検出用の基準電圧VREFPDDを生成するトリミング回路182と、供給電圧VCCよりも低い内部電圧VCC_DIVを生成する抵抗分割回路50Aと、内部電圧VCC¥DIVがパワーダウン検出用の基準電圧VREFPDDより低下したことを検出しリセット信号PDDRSTを出力するコンパレータ60とを含む。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12