【実施例】
【0022】
本発明の実施例に係るフラッシュメモリの概略構成を
図6に示す。本実施例のフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリセルアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続された入出力バッファ120と、入出力バッファ120からアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力バッファ120からコマンドデータ等を受け取り、各部を制御するコントローラ140と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axのデコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路150と、ワード線選択回路150によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページにプログラムすべきデータを保持するページバッファ/センス回路160と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayのデコード結果に基づき列等を選択する列選択回路170と、電源端子に供給される供給電圧VCCを監視し、供給電圧VCCが検出レベルに降下したことを検出したときリセット信号PDDRSTを出力するパワーダウン検出回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0023】
メモリセルアレイ110は、列方向に配置されたm個のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのブロックには、複数のNANDストリングが形成され、1つのNANDストリングは、複数のメモリセル(例えば、64個)と、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを直列に接続して構成される。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線に接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線に接続される。NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するタイプであってもよい。
【0024】
読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタを導通させ、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15〜20V)を印加し、非選択ワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加する。
【0025】
パワーダウン検出回路180は、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したことを検出すると、HレベルからLレベルに遷移したリセット信号PDDRSTをコントローラ140に出力する。コントローラ140は、リセット信号PDDRSTに応答してROM/RAMから読み出されたコードに従いパワーダウン動作を実行する。パワーダウン動作では、例えば、コントローラ140を含む内部回路のリセットや、内部電圧発生回路190に含まれるチャージポンプ回路の停止等が行われる。
【0026】
図7に、本発明の第1の実施例に係るパワーダウン検出回路180の内部構成を示す。図中、
図2に示すパワーダウン検出回路10と同一構成については同一参照番号を附している。本実施例のパワーダウン検出回路180は、
図2に示す構成に加えて、BGR回路30の基準電圧VREFIに基づきパワーダウン検出用の基準電圧VREFPDD(以下、PD検出用基準電圧と称す)を生成するトリミング回路182を備えている。トリミング回路182は、パワーダウン検出用のトリミング信号TR_VREFPDD(以下、PD検出用トリミング信号と称す)に基づき基準電圧VREFIを調整し、温度依存性が抑制されたPD検出用基準電圧VREFPDDを生成する(VREFPDD<VREFI)。また、抵抗分割回路50Aは、供給電圧VCCとGND間に接続された抵抗ラダーを含み、ノードNに供給電圧VCCを抵抗分割した内部電圧VCC_DIVを生成する。本実施例では、基準電圧VREFIよりも低いPD検出用基準電圧VREFPDDを用いてパワーダウン検出を行う。それ故、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したとき、コンパレータ60がVCC_DIV<VREFPDDを検出するように、内部電圧VCC_DIVが調整される。
【0027】
トリミング回路182は、特に限定されないが、例えば、PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDに応じたアナログ電圧を生成するDAC(可変抵抗)を含む。
図8に、トリミング回路182の一例を示す。基準電圧VREFIとGNDとの間に接続された抵抗ラダーの複数のタップ間にスイッチSW1、SW2〜SWnが接続される。PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDは、トリミングコード(例えば、3ビット)を含み、トリミングコードによって選択された1つまたは複数のスイッチSW1〜SWnがオンされ、出力ノードN1からPD検出用基準電圧VREFPDDが出力される。
【0028】
トリミング回路182に供給される基準電圧VREFIは、BGR回路30によって生成された温度補償された電圧、つまり温度依存性が抑制された電圧であり、基準電圧VREFIからPD検出用基準電圧VREFPDDを生成することで、PD検出用基準電圧VREFPDDの温度依存性が抑制され、コンパレータ60は、温度依存性のないパワーダウン検出をすることができる。PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDは、基準電圧VREFを調整するためにトリミング回路40に入力されるトリミング信号TR_VREFと同様に、メモリセルアレイ110のヒューズメモリに格納され、これらのトリミング信号は、電源投入時またはパワーアップ検出時にヒューズメモリからコントローラ140のレジスタに読み出される。
【0029】
図9に、本実施例のパワーダウン検出回路の動作波形を示す。時刻t1で、供給電圧VCCがノイズあるいはピーク電流等の何らかの要因により降下すると、供給電圧VCCを抵抗分割した内部電圧VCC_DIVも同様に降下する。時刻t2で供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに到達したとき、コンパレータ60は、内部電圧VCC_DIVがPD検出用基準電圧VREFPDDを低下したことを検出し(VCC_DIV<VREFPDD)、Lレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。PD検出用基準電圧VREFPDDの破線で示す範囲h1は、PD検出用トリミング信号TR_VREFPDDによってPD検出用基準電圧を調整可能な範囲を示し、パワーダウン検出レベルの破線の範囲h2は、PD検出用基準電圧VREFPDDの調整範囲に対応するパワーダウン検出レベルの調整可能な範囲を示す。例えば、供給電圧VCCが1.8V、基準電圧VREFIが1.2Vであるとき、PD検出用基準電圧VREFPDDを1.1Vに調整することでパワーダウン検出レベルを1.3Vから1.2Vに変更することができる。
【0030】
図10(A)は、基準電圧VREFIの温度依存性を示し、
図10(B)は、PD検出用基準電圧VREFPDDの温度依存性を示す。BGR回路30によって生成される基準電圧VREFI(例えば、1.2V)は、温度補償された電圧である。このような基準電圧VREFIを調整したPD検出用基準電圧VREFPDDは、やはり温度依存性が抑制された電圧である。
図5に示すように、1.1Vまたは1.0Vに変更された基準電圧VREFIは温度依存性を有するのに対し、
図10(B)に示すように、1.1Vまたは1.0Vに調整されたPD検出用基準電圧VREFPDDは温度依存性が抑制される。これにより、コンパレータ60は、動作温度に依存することなく安定したパワーダウンの検出を行うことができる。また、トリミング回路182は、トリミング回路40とは別にパワーダウン検出用に設けられるため、トリミング回路40の制約を受けることなく、個別にパワーダウン検出レベルを調整することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。BGR回路30は、供給電圧VCCの降下により低電圧で動作すると、期待する基準電圧VREFIよりも低い電圧を出力する可能性がある。例えば、基準電圧VREFIが1.2Vを生成するように設計されているとき、供給電圧VCCが1.3V程度のパワーダウン検出レベルまで降下すると、基準電圧VREFIが1.2Vよりも低くなることがある。そうすると、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルまで降下しているにもかかわらず、コンパレータ60は、VCC_DIV<VREFPDDを検出することができず、リセット動作が適切に実行されない事態が生じてしまう。
【0032】
この様子を
図12(A)に示す。時刻t1で、供給電圧VCCが降下し、それに応じて内部電圧VCC_DIVが降下する。時刻t2で、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルまで降下する。時刻t2より前の時刻t1Aで、BGR回路30の動作が不安定になり、基準電圧VREFIが低下を開始し、同時にPD検出用基準電圧VREFPDDも低下する。その結果、時刻t2で、PD検出用基準電圧VREFPDDが内部電圧VCC_DIVと交差せず、内部電圧VCC_DIVの降下を検出することができなくなってしまう。
【0033】
第2の実施例は、このような事態を解消するものである。
図11は、本発明の第2の実施例に係るパワーダウン検出回路180Aの構成を示し、
図7と同一構成については同一参照番号を附している。本実施例のパワーダウン検出回路180Aはさらに、供給電圧VCCが一定レベルまで降下したことを検出するコンパレータ60Aと、コンパレータ60Aの検出結果に基づきBGR回路30に供給される電圧を供給電圧VCCから昇圧された電圧VXXに切替えるための切替回路200と、供給電圧VCCを昇圧した昇圧電圧VXXを生成する昇圧回路210とを含む。昇圧回路210は、例えば、チャージポンプ回路を含み、昇圧回路210は、フラッシュメモリ100の読出し、プログラム、消去等の動作のために使用されるものであってもよいし、パワーダウン検出回路180Aに専用に設けられたものであってもよい。
【0034】
本実施例の抵抗分割回路50Bは、ノードN1に第1の内部電圧VCC_DIV1を生成し、さらにノードN2に第2の内部電圧VCC_DIV2を生成する。第1の内部電圧VCC_DIV1は、第1の実施例の内部電圧VCC_DIVと同じものである。第2の内部電圧VCC_DIV2は、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下するよりも前に供給電圧VCCが一定レベルまで降下したことを検出するための電圧であり、VCC_DIV2<VCC_DIV1の関係にある。コンパレータ60Bには、PD検出用基準電圧VREFPDDと、第2の内部電圧VCC_DIV2とを比較し、VCC_DIV2<VREFPDDを検出すると、Lレベルに遷移した検出信号DETを出力する。
【0035】
切替回路200は、供給電圧VCCとBGR回路30の電圧供給ノードVCC_BGRとの間に接続されたP型のトランジスタPMOS1と、昇圧回路210の出力と電圧供給ノードVCC_BGRとの間に接続されたP型のトランジスタPMOS2と、コンパレータ60から出力される検出信号DETを入力するインバータINとを含む。トランジスタPMOS1のゲートにはインバータINの出力が印加され、トランジスタPMOS2のゲートには検出信号DETが印加される。VCC_DIV2>VREFPDDの間、コンパレータ60Aは、Hレベルの検出信号DETを出力し、その間、トランジスタPMOS1が導通し、トランジスタPMOS2が非導通となり、BGR回路30には、供給電圧VCCが供給される。VCC_DIV2<VREFPDDがコンパレータ60Aによって検出されると、検出信号DETがLレベルに遷移し、トランジスタPMOS1が非導通となり、トランジスタPMOS2が導通し、BGR回路30には、昇圧回路210により生成された昇圧電圧VXXが供給される。
【0036】
図12(B)に、本実施例のパワーダウン検出回路の動作波形を示す。時刻t1で、供給電圧VCCが降下すると、それに応じて電圧供給ノードVCC_BGRの電圧、第1および第2の内部電圧VCC_DIV1、VCC_DIV2も降下する。時刻t2で、供給電圧VCCが切替検出レベルにまで降下すると、コンパレータ60Aは、VCC_DIV2<VREFPDDを検出し、HレベルからLレベルに遷移した検出信号DETを出力する。切替回路200は、検出信号DETに応答してトランジスタPMOS1をオフし、トランジスタPMOS2をオンし、電圧供給ノードVCC_BGRに昇圧電圧VXXを供給する。その後、供給電圧VCCがさらに降下しても(破線で示す)、電圧供給ノードVCC_BGRの電圧は、昇圧電圧VXXからのチャージにより即座に降下せず、一定期間、ある程度の電位を保つ。電圧供給ノードVCC_BGRの電圧の低下が抑制されることで、その間、BGR回路30の動作は安定し、期待された基準電圧VREFIを生成し、トリミング回路180も同様に、期待されたPD検出用基準電圧回VREFPDDを生成する。
【0037】
時刻t3で、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに降下したとき、コンパレータ60は、VCC_DIV1<VREFPDDを検出し、HレベルからLレベルに遷移したリセット信号PDDRSTを出力する。
【0038】
このように本実施例によれば、供給電圧VCCが低下したときのBGR回路30の動作を昇圧電圧VXXで保証するようにしたので、基準電圧VREFIの低下を抑制し、供給電圧VCCがパワーダウン検出レベルに到達したことを確実に検出することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。