特許第6886546号(P6886546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886546
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20210603BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20210603BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H01L21/30 572B
   H01L21/306 R
   H01L21/304 651M
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 643A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-83758(P2020-83758)
(22)【出願日】2020年5月12日
(62)【分割の表示】特願2015-192337(P2015-192337)の分割
【原出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2020-127048(P2020-127048A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 裕次
(72)【発明者】
【氏名】林 航之介
【審査官】 冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−233493(JP,A)
【文献】 特開2014−082318(JP,A)
【文献】 特開2010−123884(JP,A)
【文献】 特開2006−332198(JP,A)
【文献】 特開2013−211377(JP,A)
【文献】 特開2015−029041(JP,A)
【文献】 特開2007−088257(JP,A)
【文献】 特開2008−004878(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0258582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30、21/304−21/3063、21/308、21/46、21/465−21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の被処理面に液体を供給するノズルと、
前記基板の被処理面を非接触で覆うように設けられ、前記ノズルから前記基板の被処理面に供給された前記液体を加熱する加熱体と、
前記加熱体を加熱する加熱源と、
前記基板を支持する第1支持部材及び前記加熱体を支持する第2支持部材を有する支持部と、
前記基板の被処理面に交わる軸を回転軸として前記支持部を回転させることによって、前記基板と前記加熱体とを一緒に回転させる回転機構と、
前記基板を支持する前記第1支持部材と前記加熱体を支持する前記第2支持部材とを上下方向に相対移動させる上下機構と、
前記ノズルが前記基板の被処理面に前記液体を供給する処理中、前記基板の被処理面と前記加熱体との離間距離が変わるように前記上下機構を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記加熱体は、前記基板の被処理面の全領域を覆う大きさ以上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板の被処理面と前記加熱体との間に不活性ガスを供給する供給ノズルを備えることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板の被処理面と前記加熱体との間から気体を吸引する吸引ノズルを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記加熱源は、電磁波により前記加熱体を加熱することを特徴とする請求項1から4の
いずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶パネルなどを製造する製造工程では、ウェーハや液晶基板などの基板の被処理面に例えばレジスト剥離液やエッチング液、洗浄液などの処理液を供給し、基板の被処理面を処理する基板処理装置が用いられる。この基板処理装置の中には、回転機構により基板を水平状態で回転させ、基板の被処理面の略中央に処理液を供給し、その処理液を遠心力によって被処理面に広げる枚葉式のスピン処理装置が開発されている。
【0003】
この枚葉式のスピン処理装置では、処理液が高温に温められ、処理に用いられることがある。例えば、SPM(硫酸及び過酸化水素水の混合液)が100℃以上に温められ、レジスト剥離液として用いられる。また、リン酸溶液が100℃以上に温められ、Si3N4(窒化ケイ素)部材のエッチング液として用いられる。この処理液を温める方法としては、加熱源(例えばヒータプレート)を基板の被処理面に近接させて設け、その加熱源によって基板の被処理面やその被処理面上の処理液を加熱する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−51477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の加熱源は基板の被処理面に近接した状態で設けられているため、基板が回転機構の振動によって振れ動くと、加熱源と接触することがある。基板と加熱源が接触すると、基板と加熱源のどちらか一方又は両方が損傷する場合がある。この基板や加熱源の損傷を避けるためには、基板と加熱源との離間距離に一定のマージンを設ける必要がある。ところが、一定のマージンを設けた場合には、基板の被処理面上の処理液を均一に高温にすることが難しくなり、基板を均一に処理することは困難となる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基板や加熱源の損傷を抑えることができ、さらに、基板を均一に処理することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る基板処理装置は、基板の被処理面に液体を供給するノズルと、前記基板の被処理面を非接触で覆うように設けられ、前記ノズルから前記基板の被処理面に供給された前記液体を加熱する加熱体と、前記加熱体を加熱する加熱源と、前記基板を支持する第1支持部材及び前記加熱体を支持する第2支持部材を有する支持部と、前記基板の被処理面に交わる軸を回転軸として前記支持部を回転させることによって、前記基板と前記加熱体とを一緒に回転させる回転機構と、前記基板を支持する前記第1支持部材と前記加熱体を支持する前記第2支持部材とを上下方向に相対移動させる上下機構と、前記ノズルが前記基板の被処理面に前記液体を供給する処理中、前記基板の被処理面と前記加熱体との離間距離が変わるように前記上下機構を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、基板や加熱源の損傷を抑えることができ、さらに、基板を
均一に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る支持部及び加熱体の概略構成を示す平面図である。
図3】第1の実施形態に係る上下機構の上下動作を説明するための第1の説明図である。
図4】第1の実施形態に係る上下機構の上下動作を説明するための第2の説明図である。
図5】第1の実施形態に係る基板処理工程の流れを示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る基板処理装置の上下機構の概略構成を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る基板処理装置の気体供給部の概略構成を示す図である。
図8】第4の実施形態に係る基板処理装置の気体吸引部の概略構成を示す図である。
図9】第5の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、処理室11と、カップ12と、支持部13と、回転機構14と、上下機構15と、加熱体16と、加熱源17と、複数のノズル18と、流体供給部19と、制御部20とを備えている。
【0012】
処理室11は、基板Wを処理するための処理ボックスである。処理ボックスは、例えば直方体や立方体などの箱形状に形成されている。この処理室11内は、ダウンフロー(垂直層流)によって清浄に保たれている。
【0013】
カップ12は、処理室11内に設けられている。このカップ12は、支持部13を周囲から囲むように円筒形状に形成されている。カップ12の周壁の上部は径方向の内側に向かって傾斜しており、また、支持部13上の基板Wが露出するように開口している。このカップ12は、回転する基板Wから飛散した処理液あるいは流れ落ちた処理液を受け取る。なお、カップ12の底面には、受け取った処理液を排出するための排出口(不図示)が形成されている。
【0014】
支持部13は、カップ12内の中央付近に位置付けられ、カップ12内で基板W及び加熱体16を水平状態で支持する。この支持部13は、水平面内で回転可能に設けられており、例えばスピンテーブルと呼ばれる。また、支持部13は、複数の支持部材13a、複数の支持部材13b及びカバー13cを有している。
【0015】
各支持部材13aは、例えばL字形状に形成されてカバー13c上に設けられ、ウェーハなどの基板Wを支持する。支持部材13aは、基板Wの下面を支持する支持面から上端である上面までの高さが基板Wの厚さを超えるように形成されている。これらの支持部材13aは、図2に示すように、基板Wの外周面に沿って等間隔で並べられている。なお、各支持部材13aが基板Wとして液晶基板を支持するようにしても良い。各支持部材13bは、図1に示すように、例えばL字形状に形成されており、前述の各支持部材13aよりも基板Wの外周側に位置付けられ、カバー13cを貫通するように設けられている。これらの支持部材13bは、各支持部材13aが基板Wを支持する支持高さよりも、加熱体16を支持する支持高さが高くなるように形成されている。このため、各支持部材13bは、各支持部材13a上の基板Wの上方にその基板Wに非接触の状態で加熱体16を保持する。これらの支持部材13bは、図2に示すように、加熱体16の外周面に沿って等間隔で並べられている。なお、各支持部材13bのうち、加熱体16の中央を間にして対向する二つの支持部材13bの一組だけが上下方向(高さ方向)に移動可能に形成されている。カバー13cは、上端が閉じる円筒形状に形成されており、その内部は空洞である。
【0016】
図1に戻り、回転機構14は、支持部13の下方に設けられ、支持部13を水平面内で回転させるように構成されている。例えば、回転機構14は、支持部13の中央(例えばカバー13cの中央)に連結された回転軸やその回転軸を回転させるモータ(いずれも不図示)などを有している。この回転機構14は、モータの駆動により回転軸を介して支持部13を水平面内で回転させる。回転機構14は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。なお、回転機構14は、支持部13上の基板W及び加熱体16に共通の回転機構として機能する。
【0017】
上下機構15は、支持部13の下方に設けられ、前述の一組の支持部材13b、すなわち加熱体16を上下方向に移動させる(昇降させる)ように構成されている。この上下機構15は、支持部13の回転及び回転機構14の回転動作を阻害しないように形成されている。また、上下機構15は、アーム15aと、移動駆動源15bとを備えている。この上下機構15は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0018】
アーム15aは、カバー13cの下方からその内部に侵入し、一組の支持部材13bを下方から押し上げる部材である。例えば、アーム15aは、その両側が直角に曲げられてコの字(又はUの字)形状に形成されている。このアーム15aは、コの字形状の両端(各上端)がそれぞれ一組の支持部材13bの下面に対向するように位置付けられ、上下方向に移動可能に設けられている。移動駆動源15bは、アーム15aを上下方向に移動させるための駆動源である。この移動駆動源15bとしては、例えば、エアシリンダや電動シリンダ、油圧シリンダなどを用いることが可能である。一例として、移動駆動源15bはピストンロッドを有している。このピストンロッドがアーム15aに連結されており、移動駆動源15bはピストンロッドの上下動によりアーム15aを上下方向に移動させる。
【0019】
加熱体16は、各支持部材13bのうち一組の支持部材13b(二つの支持部材13b)上に固定されて設けられており、各支持部材13aにより支持されている基板W(以下、適宜、各支持部材13a上の基板Wという)の被処理面(図1中の基板Wの上面)の上方にその被処理面から離されて(基板Wと間を空けて)位置付けられている。この加熱体16は、各支持部材13a上の基板Wの被処理面の全領域を覆う大きさ以上の板形状に形成されている(図2参照)。加熱体16は、前述の一組の支持部材13bの上下移動により上下方向に移動する。この加熱体16は、加熱源17により加熱されて自身の温度を上げ、各支持部材13a上の基板Wの被処理面、さらに、その被処理面に各ノズル18から供給された液体を加熱する。なお、加熱体16の中央には、貫通孔16aが形成されている。
【0020】
加熱源17は、加熱体16の上方に設けられており、加熱体16と異なり、上下動作(昇降動作)を行わないように固定されている。この加熱源17は、複数のランプ17aを有している。これらのランプ17aは、直管形のランプであり、加熱体16の上方に水平状態で互いに平行になるよう、加熱体16だけを加熱する範囲に設けられている。この加熱源17は、下方に位置する加熱体16を非接触で加熱する。ランプ17aの光が加熱体16に照射されると、加熱体16は光を吸収することで加熱される。ランプ17aとしては、例えば、ハロゲンランプや遠赤外線ランプを用いることが可能である。加熱源17は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。ここで、ランプ17aの波長は、例えば800〜1500nmである。加熱体16の材質は、例えば、炭化ケイ素(SiC)であるが、ランプ17aの光を吸収することができる材質であれば良い。また、加熱体16としては、光を吸収する材質がコーティングされた部材を用いることも可能である。
【0021】
各ノズル18は、支持部13の上方であって加熱体16の貫通孔16a内に挿入されており、各支持部材13a上の基板Wの被処理面の中心付近に対向するように設けられている。これらのノズル18は、各支持部材13a上の基板Wの被処理面に向けて液体あるいは気体を供給する。各ノズル18としては、SPM供給用のノズル、APM(アンモニアと過酸化水素水と水の混合液)供給用のノズル、DIW(超純水)供給用のノズル、N2(窒素)供給用のノズルが設けられている。なお、各ノズル18は、加熱体16と一緒に回転しないように加熱体16には固定されておらず、加熱体16用の上下機構15と別の上下機構(不図示)により上下方向(高さ方向)に移動可能に形成されている。
【0022】
流体供給部19は、各種の液体(SPM、APM、DIW)や気体(N2)などの流体を種類ごとに対応するノズル18に供給する。この流体供給部19は、例えば、各種の液体や気体を個別に貯留する複数のタンク、それらのタンク及び各ノズル18を接続する複数の配管、液体や気体の流量を調整する複数の調整弁(いずれも不図示)などを備えている。流体供給部19は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0023】
制御部20は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも不図示)を備えている。この制御部20は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて回転機構14や上下機構15、加熱源17、流体供給部19などを制御する。例えば、制御部20は、各支持部材13a上の基板Wの被処理面に向けて各ノズル18から個別に流体(液体あるいは気体)を供給して基板Wを処理する基板処理の制御や、各支持部材13a上の基板Wの上面(被処理面)と各支持部材13b上の加熱体16の下面との鉛直離間距離(高さ方向の離間距離)を調整する調整処理の制御などを行う。なお、以下、「各支持部材13a上の基板Wの上面と各支持部材13b上の加熱体16の下面」を単に「基板Wの上面と加熱体16の下面」という。
【0024】
次に、前述の上下機構15の上下動作について図3及び図4を参照して説明する。
【0025】
図3に示すように、上下機構15が初期状態である場合、上下機構15のアーム15aの両端(各上端)と一組の支持部材13bの下面とは離れている状態である。このとき、各支持部材13bは初期位置に存在し、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lは最短になっている。また、各支持部材13aの上面は、各支持部材13a上の基板Wの上面よりも高い位置にある。このため、各支持部材13b上の加熱体16が下降しても、その加熱体16の下面は基板Wの上面に接触する前に各支持部材13aの上面に当接する。したがって、各支持部材13aは加熱体16の下方向への移動を規制するストッパとして機能する。これにより、加熱体16と基板Wとの接触が物理的に抑制されるため、加熱体16の移動に伴って加熱体16や基板Wが損傷することを抑えることができる。また、各支持部材13aにより、加熱体16と基板Wとの間隔をSPM処理に最適な間隔にすることができ、さらに、加熱体16を支持する各支持部材13bが下がり過ぎることを抑えることができる。なお、各支持部材13がそれぞれ下降制限部材として機能する。
【0026】
図4に示すように、上下機構15のアーム15aが上昇すると、そのアーム15aの両端(各上端)と一組の支持部材13bの下面とが当接する。さらに、アーム15aが上昇すると、一組の支持部材13bは下方からアーム15aにより押し上げられ、その一組の支持部材13b上の加熱体16が上昇する。これにより、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lは長くなる。逆に、上下機構15のアーム15aが下降すると、一組の支持部材13bは下がり、その一組の支持部材13b上の加熱体16も下降する。これにより、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lは短くなる。なお、各ノズル18も加熱体16の下面から突出しないように加熱体16の上下移動と一緒に他の上下機構(不図示)により上下方向に移動する。
【0027】
ここで、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間が処理空間となる。このため、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離L、すなわち処理空間の大きさは上下機構15の上下動作により調整されることになる。この鉛直離間距離Lの調整は、必要に応じて基板Wの処理前後や処理中、搬入時や搬出時などに実行される。例えば、基板Wの搬入後から基板Wの処理前までに鉛直離間距離Lは最短にされたり、基板Wの処理中に流体の種類に応じて変えられたりする。また、基板Wの搬入時や搬出時には、鉛直離間距離Lは最長にされる。
【0028】
液体の種類に応じて、基板Wと加熱体16との距離を変更する具体的な例としては、SPMのような高温処理(例えば100℃程度の処理)を行う場合には、基板Wと加熱体16の垂直離間距離Lを1mmとし、APMのような洗浄処理(例えば数十℃程度の処理)を行う場合には、前述の高温処理は必要ないので垂直離間距離Lを離すように5mmとする。例えば、加熱体16をランプ17aで200℃くらいに加熱し、SPM処理の場合には、加熱体16と基板Wとの垂直離間距離Lを1mm程度にすることで、SPM自体を100℃ぐらいの温度にする。一方、APM処理の場合には、加熱体16と基板Wとの垂直離間距離Lを5mm程度にすることで、APM自体を60℃〜80℃くらいの温度にする。なお、SPMの温度を上げることはレジストの剥離性を向上させるためであり、APMの温度を上げることは塵を取りやすくするためである。
【0029】
次に、前述の基板処理装置10が行う基板処理工程について図5を参照して説明する。
【0030】
図5に示すように、ステップS1において、基板Wがハンドリング装置(不図示)により搬入され、支持部13の各支持部材13a上に載置される。このとき、加熱体16は、載置済の基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが最長になるように上下機構15により最大高さ位置まで上昇している。このため、基板Wと加熱体16は十分に離れており、また、一組の支持部材13bだけが上昇しているため、ハンドリング装置による基板Wの搬入をスムーズに行うことができる。
【0031】
ステップS2において、加熱源17が駆動し、加熱源17により加熱体16が加熱され始める。これにより、加熱体16はSPMの供給前に加熱されるため、SPMの供給後に加熱されるよりも、加熱効率を良くすることができる。ただし、基板Wが搬入される数秒前に加熱源17を駆動させることも可能である。
【0032】
ステップS3において、加熱体16が上下機構15により下降し、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが1mm程度に最短にされ、支持部13が回転機構14により回転し、支持部13の各支持部材13a上の基板Wが水平状態で回転し始める。同時に、支持部13の各支持部材13b上の加熱体16も回転機構14により回転し始める。すなわち、基板W及び加熱体16は共通の回転機構14によって一緒に回転し始めることになる。このとき、加熱体16により回転中の基板Wの被処理面は加熱され始める。
【0033】
ステップS4において、基板Wの回転開始から所定時間後、SPMがノズル18から回転中の基板Wの被処理面に供給され始める。このときの所定時間は、基板Wや加熱体16の回転開始から、それらの回転が安定するまでに要する時間である。加熱源17により加熱体16が加熱され、回転中の基板Wの被処理面及びその被処理面に供給されたSPMが加熱体16により加熱される。なお、ステップS4において、基板Wの被処理面に供給されたSPMは遠心力によって被処理面の全体に広がるため、前述の所定時間後、処理空間はSPMで満たされた状態になっている。つまり、基板Wの回転開始からの所定時間は、SPMが基板Wの被処理面の全体に行き渡り、処理空間がSPMにより満たされるまでに要する時間である。SPMの供給開始から所定時間後、SPMの供給が停止される。このときの所定時間は、SPMによる基板処理時間であり、例えば10秒〜1分程度である。
【0034】
ここで、加熱体16は、基板Wを加熱する際、加熱源17により加熱されて所定温度以上になっており、回転中の基板Wの被処理面及びその被処理面に供給されたSPMを加熱し、SPMの温度を100℃程度にする。詳述すると、加熱体16は、基板Wの被処理面上のSPMに接触して直接的にSPMを加熱するが、それだけではなく、基板Wの被処理面を非接触で加熱して間接的にもSPMを加熱することになる。この加熱時には、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが最短になっている。このため、基板Wの被処理面上の処理液を短時間で均一に高温にすることが可能であり、基板Wを均一に処理することができる。
【0035】
ステップS5において、加熱体16が上下機構15により上昇し、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが5mm程度にされ、APMがノズル18から回転中の基板Wの被処理面に供給される。基板Wの被処理面に供給されたAPMは遠心力によって被処理面の全体に広がり、処理空間はAPMで満たされた状態になる。これにより、基板W及び加熱体16がAPMによって洗浄される。このとき、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lは5mm程度であり、APMの温度は60℃〜80℃程度となる。APMの供給開始から所定時間後、APMの供給が停止される。
【0036】
ステップS6において、加熱源17の駆動が停止され、加熱源17による加熱体16の加熱が止められる。これにより、加熱体16の温度は徐々に低下していき、基板Wの温度も低下していく。
【0037】
ステップS7において、DIWが他のノズル18から回転中の基板Wの被処理面に供給される。基板Wの被処理面に供給されたDIWは遠心力によって被処理面の全体に広がり、処理空間はDIWで満たされた状態になる。DIWの供給開始から所定時間後、DIWの供給が停止される。これにより、基板W及び加熱体16がDIWによって洗浄される。このとき、基板W及び加熱体16は例えば常温のDIWによって冷やされることになる。
【0038】
ここで、前述の洗浄処理工程(ステップS5及びS7)では、使用する液体の種類に応じて、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lを上下機構15により変更することが可能である。また、液体の種類によっては、液体の温度を上昇させることで処理能力を向上させることができる場合がある。この場合には、ステップS7の後に加熱源17の駆動を停止することも可能である。
【0039】
ステップS8において、N2がノズル18から回転中の基板Wの被処理面に供給される。基板Wの被処理面に供給されたN2は遠心力によって被処理面の全体に広がり、処理空間はN2で満たされた状態になる。N2の供給開始から所定時間後、N2の供給が停止される。これにより、基板W及び加熱体16は、N2の供給さらに回転による液切りによって急速に乾燥される。
【0040】
ステップS9において、回転機構14による支持部13の回転が停止され、支持部13の各支持部材13a上の基板Wの回転が停止される。同時に、支持部13の各支持部材13b上の加熱体16の回転も停止される。すなわち、基板W及び加熱体16に共通の回転機構14の回転動作が停止され、基板W及び加熱体16の回転は一緒に停止されることになる。
【0041】
ステップS10において、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが上下機構15により最長にされ、各支持部材13a上の基板Wがハンドリング装置(不図示)により搬出される。このとき、基板Wと加熱体16は十分に離れており、また、一組の支持部材13bだけが上昇している。このため、ハンドリング装置による基板Wの搬出をスムーズに行うことができる。なお、基板Wと加熱体16は、互いにハンドリング装置による基板Wの搬出を阻害しない高さになるように離れている。また、処理開始前と処理終了後には、一組の支持部材13bはハンドリング装置による基板Wの搬出を阻害しない位置に存在する。
【0042】
このような基板処理工程において、支持部13上の基板Wと加熱体16は、同じ回転機構14により同期して一緒に回転する。このとき、回転機構14は例えば回転動作によって微小でも振動する。この振動は支持部13を介して支持部13上の基板W及び加熱体16の両方に伝達する。基板W及び加熱体16に伝わる振動の波形(特に振動の方向や振幅など)は同じになるため、その振動により基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離Lが変わることを抑えることが可能となる。これにより、支持部13上の基板Wと加熱体16とが接触することを抑制することができ、その結果、基板Wや加熱体16の損傷、特に基板Wの被処理面の損傷を抑えることができる。また、処理空間をより狭くすることが可能となるため、基板Wの被処理面上の処理液を短時間で均一に高温にすることが可能であり、基板Wを均一に処理することができる。
【0043】
各支持部材13bのうち、加熱体16の中央を間にして対向する一組の支持部材13bが上下方向に移動可能に形成されている。これにより、移動可能な支持部材13bの本数が二本となるため、移動可能な支持部材13bの本数が二本より多い場合に比べ、各支持部材13bを上下方向に移動させる上下機構15を簡略化することができる。さらに、一組の支持部材13bが基板Wの搬入及び搬出を邪魔することはなく、基板Wの搬入及び搬出を容易に行うことができる。
【0044】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、加熱源17は加熱体16を介して支持部13上の基板Wを加熱することになる。これにより、加熱源17が支持部13上の基板Wと接触することを防止することができる。さらに、基板Wと加熱体16が共通の支持部13により支持されており、その支持部13が回転機構14により回転するように形成されている。これにより、基板Wと加熱体16が共通の回転機構14により一緒に回転するため、基板Wと加熱体16とを近接させた状態でも、基板Wと加熱体16が回転機構14の振動により接触することを抑えることが可能である。したがって、加熱源17の損傷、基板Wや加熱体16の損傷を抑えることができ、さらに、基板Wを均一に処理することができる。
【0045】
各支持部材13aは、加熱体16の下降を制限する制限位置を決める下降制限部材として機能する。これにより、加熱体16と基板Wとの接触が物理的に抑制されるため、加熱体16の移動に伴って加熱体16や基板Wが損傷することを抑えることができる。また、各支持部材13aにより、加熱体16と基板Wとの間隔を基板処理(例えばSPM処理)に最適な間隔にすることができ、さらに、加熱体16を支持する各支持部材13bが下がり過ぎることを抑えることができる。
【0046】
ここで、ハロゲンランプや遠赤外線ランプで基板Wを直接加熱する場合には、基板Wの放射熱により基板Wの外周温度が低下するため、基板Wの被処理面上の処理液を均一な温度にすることは難しい。また、基板Wの外周温度を上昇させるためには、ランプを基板Wの外周に確保する必要があり、基板W以外の部材も加熱されるため、その部材に熱によるダメージなどが生じることがある。そこで、第1の実施形態では、基板Wの被処理面を非接触で覆う加熱体16を設け、その加熱体16を加熱源17により加熱することで、放射熱による基板Wの外周温度の低下を抑え、基板Wの被処理面の処理液を均一な温度にすることができる。さらに、基板W以外の部材(例えばカバー13c)の加熱を防止し、熱によるダメージの発生を抑止することができる。なお、ランプ17aが加熱体16だけを加熱する範囲にランプ17aを配置することから、熱による基板W以外の部材のダメージを確実に抑えることができる。
【0047】
また、加熱体16は、各支持部材13a上の基板Wの被処理面の全領域を覆う大きさ以上に形成されている。これにより、放射熱による基板Wの外周の温度低下を確実に抑えることが可能となるので、より確実に基板Wの被処理面の処理液を均一な温度にすることができる。
【0048】
また、基板Wと加熱体16とを上下方向に移動させる上下機構15が設けられている。これにより、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離を調整することが可能となる。その結果、確実に基板Wや加熱体16の損傷を抑えることができ、さらに、確実に基板Wを均一に処理することができる。また、ノズル18が基板Wの被処理面に液体を供給する処理中、基板Wの被処理面と加熱体16との離間距離が変わるように上下機構15が制御部20により制御される。これにより、さらに確実に基板Wを均一に処理することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(上下機構の追加)について説明し、その他の説明は省略する。
【0050】
図6に示すように、第2の実施形態においては、各支持部材13aが上下方向(高さ方向)に移動可能に形成されており、それらの支持部材13aを上下方向に移動させる上下機構21が設けられている。
【0051】
上下機構21は、前述の上下機構15と同様に支持部13の下方に設けられ、各支持部材13a、すなわち基板Wを上下方向に移動させるように形成されている。この上下機構21は、支持部13の回転、回転機構14の回転動作及び上下機構15の上下動作を阻害しないように構成されている。また、上下機構21は、アーム21aと、移動駆動源21bとを備えている。この上下機構21は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0052】
アーム21aは、カバー13cの下方からその内部に侵入し、各支持部材13aを下方から押し上げる部材である。例えば、アーム21aは、L字形状の複数の部材が用いられ、それらの個々の端部が接合されて形成されている。このアーム21aは、各上端がそれぞれ各支持部材13aの下面に対向するように位置付けられ、上下方向に移動可能に設けられている。移動駆動源21bは、アーム21aを上下方向に移動させるための駆動源である。この移動駆動源21bとしては、例えば、エアシリンダや電動シリンダ、油圧シリンダなどを用いることが可能である。一例として、移動駆動源21bはピストンロッドを有している。このピストンロッドがアーム21aに連結されており、移動駆動源21bはピストンロッドの上下動によりアーム21aを上下方向に移動させる。
【0053】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、支持部13の各支持部材13aを上下方向に移動させる上下機構21を設けることによって、基板Wも上下方向に移動することになる。これにより、基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離の調整自由度を向上させることが可能となる。その結果、確実に基板Wや加熱体16の損傷を抑えることができ、さらに、確実に基板Wを均一に処理することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(気体供給部の追加)について説明し、その他の説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、第3の実施形態においては、気体供給部31が設けられている。この気体供給部31は、筒体31aと、ベアリング31bと、蓋体31cと、配管31dと、調整弁31eと、気体貯留部31fとを備えている。筒体31aは、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間に気体を供給する供給ノズルとして機能する。
【0056】
筒体31aは、その端部が加熱体16の貫通孔16aにベアリング31bを介して設けられている。この筒体31aは、ベアリング31b内に挿入されており、ベアリング31bによって加熱体16と共に回転しないが、一方で加熱体16と共に上下方向に移動する。筒体31aの上端の開口は蓋体31cにより密閉されている。ベアリング31bは例えばラビリンスシール構造のベアリングである。各ノズル18は、蓋体31cを貫通して筒体31a内に挿入されており、それぞれの下端が加熱体16の下面と同じ高さになるように設けられている。配管31dの一端は蓋体31cを貫通して筒体31a内に挿入されており、他端は気体貯留部31fに接続されている。この配管31dの途中には、気体の流量を調整する調整弁31eが設けられている。この調整弁31eは、制御部20に電気的に接続されており、その開口度が制御部20により制御される。気体貯留部31fは、気体として不活性ガス(例えばN2)を貯留している。なお、供給タイミングや供給時間、供給流量などの供給条件は予め設定されている。気体を供給する時期は基板Wを処理している時である。また、気体は、SPMの供給に影響を与えない程度の気体圧力で吐出され
る。
【0057】
この気体供給部31では、調整弁31eが開かれると、気体貯留部31f内の不活性ガスは配管31dを流れ、筒体31a内に供給される。筒体31a内に供給された不活性ガスは、筒体31aの下端の開口から排出され、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間に供給される。この処理空間に供給された不活性ガスは基板Wの被処理面に沿って広がり、処理空間は不活性ガスで満たされた状態になる。この処理空間の雰囲気が不活性ガス雰囲気に維持され、塵や埃などの異物が処理空間に侵入することを抑えることができる。さらに、加熱源17から発生する金属(浮遊金属)などの異物が処理空間に侵入することを抑えることができる。また、筒体31a内に異物が混入することも抑制することができる。このとき、不活性ガスの供給により筒体31a内が不活性ガス雰囲気になりつつ、その不活性ガス雰囲気が処理空間内にも漏れていく。
【0058】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、処理空間に不活性ガスを供給することによって、処理空間の雰囲気を不活性ガス雰囲気とし、塵や埃などの異物が処理空間に侵入することを抑制することが可能となるので、処理空間を清浄に保つことができる。
【0059】
また、ベアリング31bが加熱体16の中央に設けられ、各ノズル18を収容する筒体31aはそのベアリング31b内に挿入されている。これにより、筒体31aは加熱体16と共に回転しないが、一方で加熱体16と共に上下方向に移動することになる。このように、筒体31a及び加熱体16を共通の上下機構15により上下方向に移動させることが可能になるので、個別に上下機構を設ける場合に比べ、装置構成を簡略化することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第4の実施形態では、第3の実施形態との相違点(気体吸引部の追加)について説明し、その他の説明は省略する。
【0061】
図8に示すように、第4の実施形態においては、気体吸引部41が設けられている。この気体吸引部41は、第3の実施形態に係る筒体31a、ベアリング31b、蓋体31c及び配管31dに加え、吸引ポンプ41aを備えている。なお、第3の実施形態に係る調整弁31e及び気体貯留部31fは不要である。筒体31aは、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間から気体を吸引する吸引ノズルとして機能する。
【0062】
吸引ポンプ41aは、配管31dの途中に設けられており、筒体31a内の空気を吸引して排出する。この吸引ポンプ41aは、制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。なお、吸引タイミングや吸引時間、吸引流量などの吸引条件は予め設定されている。気体を吸引する時期は基板Wを処理している時である。吸引の開始は処理液を供給する前や後でも良い。吸引の停止は処理液の供給停止と同時、もしくは、停止から所定時間経過してからでも良い。
【0063】
この気体吸引部41では、吸引ポンプ41aが駆動すると、筒体31a内の空気が配管31dを介して吸引ポンプ41aにより吸引されて排出される。このため、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間の空気も筒体31aの下端の開口から吸引される。筒体31a内に吸引された空気は配管31dを介して排出される。これにより、処理空間から塵や埃などの異物を除去することができる。さらに、加熱源17から発生した金属(浮遊金属)などの異物が処理空間に侵入した場合でも、その異物を取り除くことができる。また、筒体31a内から異物を取り除くこともでき、さらに、加熱された処理液の蒸気を吸引することもできる。例えば、加熱されたSPMは蒸気を出しながら処理をしている状態になるため、この蒸気を取り除くことが可能となる。
【0064】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、処理空間から空気を吸引することによって、処理空間から塵や埃などの異物を除去することが可能となるので、処理空間を清浄に保つことができる。
【0065】
また、第3の実施形態と同様、ベアリング31bが加熱体16の中央に設けられ、各ノズル18を収容する筒体31aはそのベアリング31b内に挿入されている。これにより、筒体31aは加熱体16と共に回転しないが、一方で加熱体16と共に上下方向に移動することになる。このように、筒体31a及び加熱体16を共通の上下機構15により上下方向に移動させることが可能になるので、個別に上下機構を設ける場合に比べ、装置構成を簡略化することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について図9を参照して説明する。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点(下降制限部材)について説明し、その他の説明は省略する。
【0067】
図9に示すように、第5の実施形態においては、複数の下降制限部材51が設けられている。これらの下降制限部材51は、例えば円柱状に形成されて支持部13のカバー13c上に固定されており、各支持部材13aに替わって加熱体16の下降を制限する制限位置を決める。なお、各支持部材13aは、基板Wの下面を支持する支持面から上端である上面までの高さが基板Wの厚さとほぼ同じ、あるいは、基板Wの厚さ以下に形成されている。
【0068】
各下降制限部材51は、各支持部材13aよりも基板Wの外周側であって各支持部材13bよりも基板Wの内周側に位置付けられている。これらの下降制限部材51の個々の上面は、各支持部材13a上の基板Wの上面よりも高くなっている。このため、各支持部材13b上の加熱体16が下降しても、その加熱体16の下面は基板Wの上面に接触する前に各下降制限部材51の上面に当接する。したがって、各下降制限部材51は、加熱体16の下方向への移動を規制するストッパとして機能する。これにより、加熱体16と基板Wとの接触が物理的に抑制されるため、加熱体16の移動に伴って加熱体16や基板Wが損傷することを抑えることができる。また、各下降制限部材51により、加熱体16と基板Wとの間隔をSPM処理に最適な間隔にすることができ、さらに、加熱体16を支持する各支持部材13bが下がり過ぎることを抑えることができる。
【0069】
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(他の実施形態)
また、前述の各実施形態においては、加熱源17の一例としてランプ17aを用いているが、これに限るものではなく、例えば、IH(誘導加熱)ヒータなどの加熱器を用いることが可能である。さらに、ランプ17aの形状も直管形に限るものではなく、例えば、丸形や球形など各種の形状を採用することが可能である。なお、ランプ17aやIHヒータは、どちらも電磁波(光も電磁波に含まれる)により加熱体16を加熱する加熱器である。
【0071】
また、前述の各実施形態においては、一例として、ノズル18から基板Wの被処理面に液体を供給する処理中、基本的に基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離を一定に維持しているが、これに限るものではなく、例えば、その処理中に前述の鉛直離間距離を変えることも可能である。この場合には、処理中にも鉛直離間距離を適宜調整することで、確実に基板Wや加熱体16の損傷を抑えることができ、さらに、確実に基板Wを均一に処理することができる。
【0072】
また、前述の各実施形態においては、各支持部材13bのうち、加熱体16の中央を間にして対向する一組の支持部材13bを上下方向に移動可能に形成しているが、これに限るものではなく、例えば、基板Wの大きさに応じ、基板Wの搬入及び搬出を可能にする範囲で、他の支持部材13bも上下方向に移動可能に形成することが可能である。ただし、移動可能な支持部材13bの本数をできるだけ抑えることで、各支持部材13bを上下方向に移動させる上下機構15を簡略化することができる。
【0073】
また、前述の各実施形態においては、一組の支持部材13bを別体としているが、これに限るものではなく、一体としてもよい。例えば、一組の支持部材13bの下端を環状の部材(リング状)で接続して一組の支持部材13bを一体とすることが可能である。また、アーム15aの先端(上端)にローラを設けることで、環状の部材との摩擦を低減させることができる。別態様として、環状の部材とアーム15aの先端を磁石にして、磁石の反発を使って非接触で一組の支持部材13bを昇降させることも可能である。
【0074】
また、前述の第1、第3、第4、第5の実施形態においては、加熱体16だけを上下方向に移動させており、前述の第2の実施形態においては、基板Wと加熱体16の両方を上下方向に移動させているが、これに限るものではない。例えば、基板Wだけを上下方向に移動させることも可能であり、基板Wと加熱体16とを相対移動させて基板Wの上面と加熱体16の下面との鉛直離間距離を変更することが可能であればよい。
【0075】
また、前述の第2の実施形態においては、各支持部材13aを上下方向に移動可能に形成しているが、これに限るものではなく、例えば、各支持部材13aのうち、二本や三本、四本などのように所定の本数だけを移動可能に形成することも可能である。ただし、基板Wを確実に支持することが重要である。したがって、基板Wを確実に支持することが可能な範囲内で、移動可能な支持部材13aの本数を抑えることによって、各支持部材13aを上下方向に移動させる上下機構21を簡略化することができる。
【0076】
また、前述の第3の実施形態においては、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間に上方から気体を供給しているが、これに限るものではなく、例えば、その処理空間に対して横方向から気体を供給することも可能である。
【0077】
また、前述の第4の実施形態においては、基板Wの上面と加熱体16の下面との間の空間、すなわち処理空間に対して上方から気体を吸引しているが、これに限るものではなく、例えば、その処理空間に対して横方向から気体を吸引することも可能である。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10 基板処理装置
13 支持部
13a 支持部材
14 回転機構
15 上下機構
16 加熱体
17 加熱源
18 ノズル
20 制御部
21 上下機構
31a 筒体
31b ベアリング
51 下降制限部材
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9