(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記操作部は、上記排水弁の動作を電動で操作可能な電動操作ユニットであり、この電動操作ユニットは、外部からの電力により回転駆動可能な電動回転軸を備え、この電動回転軸は、上記回転巻取部に連結され、
上記回転巻取部は、上記電動回転軸の回転駆動により上記電動回転軸の回転半径よりも大きい回転半径で回転可能である請求項1記載の排水弁操作装置。
上記回転巻取部の外周には、上記第1連結部材及び上記第2連結部材のそれぞれの他端が取り付け可能な第1取付部及び第2取付部がそれぞれ設けられ、各取付部は、上記回転巻取部の回転中心軸線方向にほぼ並列して配置され、
上記第1連結部材及び上記第2連結部材は、上記回転巻取部の平面視においてその回転中心に対して一方側と他方側とに互いに対称に配置され、
上記電動操作ユニットの電動操作の開始前の状態における上記回転巻取部の上記第1取付部及び上記第1連結部材の他端の待機位置は、上記第1連結部材が上記第1方向に上記回転巻取部の外周に沿って所定長さだけ予め巻き取られた上記第1位置に設定されており、且つ、
上記電動操作ユニットの電動操作の開始前の状態における上記回転巻取部の上記第2取付部及び上記第2連結部材の他端の待機位置は、上記第2連結部材が上記第2方向に上記回転巻取部の外周に沿って上記所定長さだけ予め巻き取られた上記第2位置に設定されている請求項2記載の排水弁操作装置。
さらに、上記排水弁と上記第1連結部材の一端とを間接的に連結する第1レバー部と、上記排水弁と上記第2連結部材の一端とを間接的に連結する第2レバー部と、を有し、
上記第1レバー部は、上記第1連結部材を摺動可能に保持すると共に上記第1連結部材の他端を係合/係合解除可能に連結する第1連結部を備え、
上記第2レバー部は、上記第2連結部材を摺動可能に保持すると共に上記第2連結部材の他端を係合/係合解除可能に連結する第2連結部を備えている請求項3記載の排水弁操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による排水弁操作装置について説明する。
まず、
図1により、本発明の一実施形態による排水弁操作装置が適用される洗浄水タンク装置を備えたトイレシステムの概略について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置が適用された洗浄水タンク装置を備えたトイレシステムを示す概略分解斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態による排水弁操作装置1は、トイレシステムTの壁掛式水洗大便器2に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置4に設けられている。
この洗浄水タンク装置4の左右両側は、トイレシステムTの水洗大便器2の後端部を壁W1を介して壁裏側から固定する固定装置6によって固定されている。
また、洗浄水タンク装置4は、壁W1の裏側領域内に隠蔽された重力給水式の貯水タンク8を備えており、この貯水タンク8内の洗浄水について重力を利用して水洗大便器2に洗浄水を供給するものである。
【0017】
なお、壁掛式水洗大便器2については、洗浄水タンク装置4から供給された洗浄水が便器本体10内のボウル部(図示せず)の高さ方向の落差により汚物を排出する、いわゆる、洗い落とし式便器に適用してもよいし、サイホン作用を利用してボウル部(図示せず)内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路(図示せず)から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式便器等、種々の形態の水洗大便器に適用可能である。
【0018】
つぎに、
図2は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置が適用された洗浄水タンク装置の内部構造を示す概略正面図である。
図2に示すように、洗浄水タンク装置4の貯水タンク8の内部には、本実施形態の排水弁操作装置1、給水弁装置12、及び、排水弁装置14がそれぞれ設けられている。
【0019】
まず、
図2に示すように、給水弁装置12は、水道等の貯水タンク8の外部の給水源(図示せず)と接続される給水管16と、この給水管38から給水される洗浄水の吐水と止水を切り替える給水バルブ18と、貯水タンク8内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ18を開閉するフロート20とを備えている。
なお、給水弁装置12の詳細については、従来のものと同様であるため、説明を省略する。
【0020】
つぎに、
図2に示すように、排水弁装置14は、上下動することにより貯水タンク8の底部の排水口22を開閉する排水弁である排水弁体24を備えている。
便器洗浄を開始する際には、本実施形態の排水弁操作装置1の操作部である電動操作ユニット26(詳細は後述する)の電動操作により、排水弁体24の引き上げ操作(開弁操作)が可能となっている。
また、
図2に示すように、排水弁体24が開弁している状態では、貯水タンク8内の洗浄水が排水口22からその下方(下流側)の接続管28内を通過して、便器本体10の導水路(図示せず)内に流入するようになっている。
【0021】
つぎに、
図3〜
図9を参照して、本発明の一実施形態による排水弁操作装置1及び排水弁装置14の詳細について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを示す概略正面図である。
また、
図4は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを斜め上方から見た分解斜視図であり、
図5は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを斜め下方から見た分解斜視図である。
さらに、
図6は、
図3のVI−VI線に沿った断面図であり、
図7は、
図3のVII−VII線に沿った断面図である。
また、
図8は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、開弁操作を開始する前の待機状態(閉弁状態)を示す。
【0022】
まず、
図3〜
図7に示すように、本実施形態による排水弁操作装置1は、ホルダ30を介して貯水タンク8内に固定された電動操作ユニット26、上下のケーシング32,34、プーリ36、留め具38、第1連結部材である大洗浄モード用の操作ワイヤ40、その外側の保護チューブ42、第2連結部材である小洗浄モード用の操作ワイヤ44、その外側の保護チューブ46を備えている。
【0023】
電動操作ユニット26は、DCモータ(図示せず)、ギヤボックス(図示せず)、及び、アクチュエータ(図示せず)等を内蔵しており、外部からの電力により回りに回転駆動可能な電動回転軸26aを備えている。
また、電動操作ユニット26の操作においては、例えば、水洗大便器2の周辺に設置された人感センサ(図示せず)が感知して送信された信号、及び/又は、使用者がリモコン(図示せず)等を操作して送信された信号に基づいて、コントローラ(図示せず)がDCモータ(図示せず)やアクチュエータ(図示せず)の駆動を制御し、電動回転軸26aの回転駆動が制御されるようになっている。
さらに、電動操作ユニット26には、電動回転軸26aが初期位置P0から所定の回転角度θ1だけ回転した後に、電動回転軸26aを反転させる方向に付勢して初期位置P0に確実に復帰させる戻りばね(図示せず)等も設けられている。
なお、これらの電動操作ユニット26の構造の詳細については、従来の構造と同様であるため、説明を省略する。
また、本実施形態では、人感センサ(図示せず)及びリモコン(図示せず)の双方を備えた形態であってもよいし、いずれか一方を省略して他方のみから送信される信号に基づいて、コントローラ(図示せず)が電動操作ユニット26の電動回転軸26aを作動させるようにしてもよい。
【0024】
つぎに、
図4〜
図7に示すように、上下のケーシング32,34は、プーリ36を回転可能に保持する保持部である。
また、プーリ36は、電動操作ユニット26の電動回転軸26aが連結される軸部36aと、この軸部36aから半径方向外側に突出する概ね円環状の回転巻取部36bとを備えている。
プーリ36の軸部36aの内部には、その軸方向に雌穴36c(
図5参照)が形成されており、電動操作ユニット26の電動回転軸26aは下側から挿入可能となっている。
また、プーリ36の軸部36aの雌穴36cに電動回転軸26aが挿入された状態では、プーリ36の軸部36aの外面の所定位置に留め具38が外側から嵌められることにより、プーリ36の軸部36aが電動回転軸26aに対して固定され、軸方向に抜け止めされるようになっている。
【0025】
さらに、
図8に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40の一端の突起40aは、詳細は後述する排水弁装置14の第1レバー部(大洗浄モード用の操作レバー48)の第1連結部(連結部48a)に係合/係合解除可能に連結されている。
同様に、小洗浄モード用の操作ワイヤ44の一端の突起44aは、詳細は後述する排水弁装置14の第2レバー部(小洗浄モード用の操作レバー50)の第2連結部(連結部50a)に係合/係合解除可能に連結されている。
一方、プーリ36の回転巻取部36bの外周面には、第1取付部である取付穴36d及び第2取付部である取付穴36e(
図5参照)がそれぞれ設けられている。そして、各操作ワイヤ40,44の他端の突起40b,44bは、プーリ36の回転巻取部36bの各取付穴36d,36e(
図5参照)にそれぞれ嵌合されている。
また、
図5に示すように、回転巻取部36bの各取付穴36d,36e同士は、回転巻取部36bの回転軸線A1方向にほぼ並列して配置されている。そして、大洗浄モード用の操作ワイヤ40の突起40bが取り付けられる取付穴36dが上方に位置し、小洗浄モード用の操作ワイヤ44の突起44bが取り付けられる取付穴36eが下方に位置している。
さらに、
図5に示すように、プーリ36の回転巻取部36bの外周面には、各取付穴36d,36e以外のほぼ全周に亘って、ガイド溝36f,36gがそれぞれ上下並列に形成されている。そして、各操作ワイヤ40,44は、回転巻取部36bにより巻き取られる際に、対応するガイド溝36f,36gに沿ってガイドされるようになっている。
なお、各操作ワイヤ40,44は、それぞれに対応する各保護チューブ42,46に対して摺動可能となっている。
また、
図8に示すように、各保護チューブ42,46の各一端42a,46aは、排水弁装置14の上方部分にそれぞれ固定されている。
一方、
図4〜
図7に示すように、各保護チューブ42,46の各他端42b,46bは、ケーシング32,34により上下から挟持されて固定されている。
【0026】
つぎに、
図6及び
図7において、プーリ36の回転中心軸線A1を通り左右方向に延びる軸線を「X」、及び、プーリ36の回転中心軸線A1を通り前後方向に延びる軸線を「Y」とする。
図6及び
図7に示すように、各保護チューブ42,46の各他端42b,46bは、平面視において、プーリ36の回転中心軸線A1及び軸線Xに対して互いに対称に配置されており、それぞれ前側と後側に位置している。
したがって、
図6及び
図7に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40及び小洗浄モード用の操作ワイヤ44についても、プーリ36の回転中心軸線A1及び軸線Xに対して互いに対称に配置されており、それぞれ前側と後側に位置している。
また、
図6に示すように、電動操作ユニット26の電動操作が開始される前の待機状態S0では、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が、ガイド溝36fとの接点C1からガイド溝36fに沿って第1方向R1に所定長さα0だけ予め巻き取られた状態となっている。
すなわち、
図6に示すように、回転巻取部36bの第1取付穴36d及び操作ワイヤ40の突起40bのそれぞれの待機位置P0は、操作ワイヤ40が、ガイド溝36fとの接点C1からガイド溝36fに沿って第1方向R1に所定長さα0だけ予め巻き取られた位置に設定されている。
また、
図6に示すように、この操作ワイヤ40が予め巻き取られた所定長さα0は、ガイド溝36fの全周(円弧)長さのほぼ1/4の長さとなっている。
同様に、
図7に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44についても、ガイド溝36gとの接点C2からガイド溝36gに沿って第2方向R2に所定長さα0だけ予め巻き取られた状態となっている。
すなわち、
図7に示すように、回転巻取部36bの第2取付穴36e及び操作ワイヤ44の突起44bのそれぞれの待機位置P0についても、操作ワイヤ44が、ガイド溝36gとの接点C2からガイド溝36gに沿って第1方向R1とは反対の第2方向R2に所定長さα0だけ予め巻き取られた位置に設定されている。
また、
図7に示すように、この操作ワイヤ44が予め巻き取られた所定長さα0は、ガイド溝36gの全周(円弧)長さのほぼ1/4の長さとなっている。
【0027】
つぎに、
図4及び
図6に示すように、回転巻取部36bの内周側には、中心軸線A1を中心に半円弧状に回転制限用のガイド溝36hが形成されている。
また、
図5及び
図6に示すように、上側ケーシング34内の天面には、回転制限用のガイド溝36h内に突出する回転制限用の突起34aが設けられている。
これらの回転制限用のガイド溝36h及び回転制限用の突起34aは、プーリ36が回転中心軸線A1を中心に回転して際に、プーリ36の回転角度を制限する回転角度制限手段と機能するようになっている。
すなわち、洗浄モードに応じてプーリ36が第1方向R1又は第2方向R2に回転操作された際には、回転制限用の突起34aが回転制限用のガイド溝36hの周方向の端部の一方に当接することにより、プーリ36の回転可能な角度範囲が制限されるようになっている。
ここで、
図6に示すように、電動操作ユニット26の電動操作が開始される前の待機状態S0における回転制限用の突起34aの待機位置P0は、平面視でプーリ36の回転中心軸線Aよりも右側領域で且つ軸線X上に位置している。
また、
図6に示すように、電動操作ユニット26の電動操作が開始される前の待機状態S0における回転制限用のガイド溝36hの待機位置P0では、平面視でガイド溝36hの周方向の両端部36i,36jのそれぞれが、プーリ36の回転中心軸線Aよりも前側領域と後側領域のそれぞれに位置し、かつ、軸線Y上に位置している。
すなわち、
図6に示すように、平面視における待機位置P0のガイド溝36hの両端部36i,36jは、突起34ajを中心にガイド溝36hの周方向に対称に位置している。
【0028】
つぎに、
図8に示すように、洗浄水タンク装置4の貯水タンク8内に設けられている排水弁装置14は、洗浄水タンク装置4が壁W1の裏側に隠蔽されて、貯水タンク8内の奥行スペースも小さく限られている。したがって、貯水タンク8内に配置された排水弁装置14の全体形状についても、概ね細長くスリムな筒状形状となっている。
また、排水弁装置14は、排水口形成部材52、排水弁体24、大洗浄用制御筒54、フロート56、小洗浄用制御筒58、水錘60、カム62、制御筒蓋64、オーバーフロー管66、大洗浄モード用の操作レバー48、フック部材68、及び、小洗浄モード用の操作レバー50を備えている。
【0029】
まず、
図8に示すように、排水口形成部材52は、貯水タンク8の底部に接続され、貯水タンク8内の底面に排水口22を形成する共に、この排水口22の上縁に沿って弁座52aを形成している。
図8に示すように、排水弁体24は、オーバーフロー管66の下端付近に取り付けられており、オーバーフロー管66が最低位置にあるとき、弁座52aに当接して排水口22を閉止するようになっている。
また、
図8に示すように、オーバーフロー管66は、制御筒54,58、及び制御蓋64を上下方向に貫いて上下方向に摺動可能となっている。オーバーフロー管66の上方開口形成部66aの外面には、大洗浄モード用の操作レバー48が連結されている。
そして、大洗浄モードの開弁操作時に、操作レバー48が操作ワイヤ40により引き上げられることにより、オーバーフロー管66及び排水弁体24が上昇して、排水口22が開放されるようになっている。
さらに、
図8に示すように、制御蓋64の内側且つオーバーフロー管66の上方開口形成部66aの下方には、フック部材68が設けられている。このフック部材68には、小洗浄モード用の操作レバー50が連結されている。
そして、小洗浄モードの開弁操作時に、操作レバー50が操作ワイヤ44により引き上げられることにより、フック部材68と共にオーバーフロー管66及び排水弁体24が上昇して、排水口22が開放されるようになっている。
すなわち、オーバーフロー管66及び排水弁体24の全体が、実質的には、排水弁として機能するようになっている。
また、貯水タンク8内の水位がオーバーフロー管66の上端位置を超えた場合には、この超えた洗浄水がオーバーフロー管66内から、これと常時連通している排水口22内に排出されるようになっている。
【0030】
つぎに、
図8に示すように、排水口形成部材52の上方に設けられた大洗浄用制御筒54内には、フロート56が設けられている。大洗浄用制御筒54の側面には、開口面積を調節可能な開口54aが形成されており、この開口54aにより大洗浄用制御筒54内と貯水タンク8内とが連通している。
そして、
図8に示すように、フロート56は、大洗浄用制御筒54内の水位に応じてオーバーフロー管66と共に上下動可能となっている。
また、このフロート56は、浮力の影響を受け易い発泡スチロール(EPS)等の材料で形成されているため、大洗浄用制御筒54内の洗浄水によってフロート56に浮力が作用した際に、フロート56自体が上昇し易くなっている。
【0031】
つぎに、
図8に示すように、大洗浄用制御筒54の上方に設けられた小洗浄用制御筒58内には、桶状の水錘60が設けられている。小洗浄用制御筒58の側面には、開口面積を調節可能な開口58aが形成されており、この開口58aにより小洗浄用制御筒58内と貯水タンク8内とが連通している。
そして、
図8に示すように、水錘60内には、洗浄水が常時満水に貯水されている。この水錘60は、小洗浄用制御筒58内の水位に応じて上下動可能となっている。
なお、オーバーフロー管66の外面を取り囲む水錘60の内周側上縁部60aは、オーバーフロー管66が上昇した際に、オーバーフロー管66の外面のリブ66bが下側から当接可能となっている。そして、オーバーフロー管66のリブ66bが水錘60の内周側上縁部60aに当接した状態では、オーバーフロー管66の上昇と共に水錘60も一体的に上昇可能となっている。
【0032】
つぎに、
図8に示すように、水錘60には、水錘制御用のカム62が回動可能に連結されている。
この水錘制御用のカム62は、大洗浄モードにおいては、常時オーバーフロー管66に当接しないようになっている。
ちなみに、
図8に示すように、待機状態(開弁前の初期位置)のカム62については、その下端が小洗浄用制御筒58内の突起58bに当接することにより、カム62の上端がオーバーフロー管66に対して遠位側に回動した状態となっている。
その後、大洗浄モードの開弁動作に伴って、オーバーフロー管66の上昇と共に水錘60が上昇した際には、カム62の上端が制御筒蓋64のガイド部64aに当接し、フック部材68のリブ68a側(近位側)に回動するようになっている。
そして、カム62の上端がフック部材68のリブ68aに当接して引っ掛かることによりオーバーフロー管66の外面に当接することなく、水錘60が宙吊りになるようになっている。
これにより、水錘60の重量が開弁後のオーバーフロー管66に対して作用することがないため、オーバーフロー管66の閉弁動作を遅延させることができるようになっている。
一方、水錘制御用のカム62は、小洗浄モードにおいては、下降するオーバーフロー管66に当接することにより、水錘60の荷重が閉弁時のオーバーフロー管66に対して作用するようになっている。これにより、小洗浄モード時のオーバーフロー管66の閉弁動作が、大洗浄モード時よりも早めることができるようになっている。
【0033】
つぎに、
図9は、
図8に示す本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置における各レバー部と各操作ワイヤとの連結部を拡大した拡大断面図である。
図9に示すように、大洗浄モード用の操作レバー48及び小洗浄モード用の操作レバー50の各連結部48a,50aには、上下方向に貫く貫通穴48b,50bがそれぞれ形成されている。
各貫通穴48b,50bの直径は、各操作ワイヤ40,44の直径よりも大きく、かつ、各突起40a,44aの直径よりも小さく設定されている。
これにより、各操作ワイヤ40,44は、各貫通穴48b,50bに対して上下方向に摺動可能であると共に、各操作ワイヤ40,44が上昇した際には、各突起40a,44aは、各連結部48a,50aに下側から係合した状態で上方へ抜け出さないようになっている。
【0034】
つぎに、
図6〜
図19を参照して、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の動作(作用)について、排水弁装置の動作と合わせて説明する。
まず、
図6〜
図14を参照して、本実施形態による排水弁操作装置1を用いて大洗浄モードの開弁操作を行ったときの動作について説明する。
図10は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを示す
図6と同様な断面図であり、大洗浄モードを開始した状態のプーリ及び大洗浄用の操作ワイヤを示す。
また、
図11は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを示す
図7と同様な断面図であり、大洗浄モードを開始した状態のプーリ及び小洗浄用の操作ワイヤを示す。
さらに、
図12は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、大洗浄モードを開始したときの開弁状態を示す。
また、
図13は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、大洗浄モードの閉弁途中の状態を示す。
さらに、
図14は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、大洗浄モードが完了した閉弁状態を示す。
【0035】
まず、
図6〜
図9に示すように、排水弁装置14の排水弁体24が排水口22を閉止している待機状態S0から、本実施形態の排水弁操作装置1の電動操作ユニット26の電動操作により排水弁体24について、大洗浄モードで開弁操作する。
この際、例えば、使用者がリモコン(図示せず)等の所定の操作ボタン(図示せず)を押すことにより大洗浄モードの便器洗浄操作を指示するか、或いは、人感センサ(図示せず)が使用者を検知すると、これらの信号が制御装置(図示せず)に送信される。
そして、
図6及び
図7に示す電動操作ユニット26の電動回転軸26aが作動し、この電動回転軸26aと共にプーリ36が回転中心軸線A1を中心に第1方向R1に回転し、大洗浄モードの開弁操作を開始する。
【0036】
つぎに、
図10及び
図11に示すように、プーリ36は、待機位置P0から回転中心軸線A1を中心に第1方向R1に回転角度θ1(例えば、θ1=83.5[°])だけ回転し、大洗浄モードの開始状態S1となる。この状態S1では、回転巻取部36bの回転制限用のガイド溝36hの一方側の端部36iが回転制限用の突起34aに当接し、プーリ36の回転が制限される(
図10参照)。
このとき、
図10に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40は、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36fに巻き付きながら第1量α1[mm]だけ移動する。
これにより、
図12に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が待機位置P0から位置P1まで第1量α1[mm]だけ引き上げられる。
同時に、操作ワイヤ40の突起40aが大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aに係合した状態で引き上げられる。
よって、
図12に示すように、大洗浄モード用の操作レバー48が、第1量α1[mm]に等しい所定距離H1[mm](H1=α1)だけ引き上げられる。
また、
図12に示すように、大洗浄モード用の操作レバー48の引き上げにより、排水弁装置14のオーバーフロー管66及び排水弁体24についても、閉弁位置P1から最上位置P1まで所定距離H1[mm](H1=α1)だけ引き上げられる。
このとき、
図12に示すように、大洗浄用制御筒54内のフロート56についても、浮力により最上位置まで上昇し、オーバーフロー管66及び排水弁体24の上昇をサポートする。
また、
図12に示す状態S1の排水弁装置14において、大洗浄モードの開弁動作に伴って、オーバーフロー管66の上昇と共に、オーバーフロー管66のリブ66bが水錘60の内周側上縁部60aに下側から当接した状態となる。これにより、水錘60もオーバーフロー管66と一体的に上昇する。
さらに、
図12に示すように、カム62の上端は、制御筒蓋64のガイド部64aの傾斜面に当接し、フック部材68のリブ68a側(近位側)にガイドされながら回動する。そして、カム62の上端がフック部材68のリブ68aに当接して引っ掛かる。これにより、オーバーフロー管66の外面に当接することなく、水錘60が宙吊りになり、以後、閉弁するまでの間、水錘60の重量がオーバーフロー管66に対して作用することがない。
よって、オーバーフロー管66は、水錘60の影響を受けることなく、スムーズに最上位置まで引き上げられる。
これらにより、排水弁体24がスムーズに開弁し、貯水タンク8内の洗浄水が排水口22から便器本体4の導水路(図示せず)への排水が開始される。
【0037】
一方、
図11に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44は、プーリ36の第1方向R1の回転により、回転巻取部36bのガイド溝36gから巻き解かれながら第1量α1[mm]だけ移動する。
これにより、
図12に示すように、小モード用の操作ワイヤ44が待機位置P0から位置P1まで第1量α1[mm]だけ下降する。同時に、操作ワイヤ44の突起44aが小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50aに対して係合することなく下降する。
よって、大洗浄モードの開始状態S1では、小洗浄モード用の操作レバー50が引き上げられることなく、静止した状態となる。
ちなみに、
図12に示す状態S1の貯水タンク8内の洗浄水の水位は、
図8に示す待機状態S0の満水水位WL0から水位WL1まで低下している。
【0038】
つぎに、
図10〜
図12に示す状態S1の後、電動操作ユニット26のDCモータ(図示せず)が所定時間停止して、電動回転軸26aが所定時間停止する。これにより、排水弁体24が最上位置P1で所定時間開弁した状態になる。
そして、排水弁体24が所定時間開弁した後、電動操作ユニット26のDCモータ(図示せず)が再び作動する。
これにより、電動回転軸26a及びプーリ36は、回転中心軸線A1を中心に第2方向R2に回転角度θ1だけ回転(反転)した後に再び停止し、
図6及び
図7に示す待機状態S0と同様な状態2となる。
【0039】
すなわち、
図10に示す状態S1から
図6に示す状態S2までの大洗浄モード用の操作ワイヤ40は、
図10に示す位置P1から
図6に示す位置P0にまで、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36fから巻き解かれながら第1量α1[mm]だけ移動する。
これにより、
図13に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40は、位置P1から位置P0まで第1量α1[mm]だけ下降した状態S2となる。
同時に、操作ワイヤ40の突起40aが大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aに対して係合することなく下降する。
【0040】
一方、
図11に示す状態S1から
図7に示す状態S2までの小洗浄モード用の操作ワイヤ44は、
図11に示す位置P1から
図7に示す位置P0にまで、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36gに巻き付きながら第1量α1[mm]だけ移動する。
これにより、
図13に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44が位置P1から位置P0まで第1量α1[mm]だけ引き上げられた状態S2となる。
同時に、操作ワイヤ44の突起44aが、小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50a付近まで上昇する。
このとき、
図13に示す状態S2の貯水タンク8内の水位は、
図12に示す水位WL1から水位WL2まで下降している。
また、
図13に示す状態S2の大洗浄用制御筒54内の水位についても、
図12に示す満水水位から水位h1まで下降している。これにより、フロート56も下降するため、このフロート56と共に、オーバーフロー管66及び排水弁体24、並びに、大洗浄モード用の操作レバー48については、位置P1から距離H2(
図13参照)だけ下降した位置P2となる。
さらに、
図13に示す状態S2の小洗浄用制御筒58内の水位についても、満水水位t0から水位t1まで下降している。
しかしながら、
図13に示す状態S2では、カム62の上端が、フック部材68のリブ68aに当接して引っ掛かった状態となる。よって、水錘60及びカム62はオーバーフロー管66及び排水弁体24の動作には関与することなく、水錘60が小洗浄用制御筒58内の水位で浮いた状態となっている。
【0041】
つぎに、
図13に示す状態S2の後、貯水タンク8内の水位がさらに下降すると、フロート56の浮力がなくなるため、オーバーフロー管66及び排水弁体24、並びに、大洗浄モード用の操作レバー48がさらに下降する。
最終的には、
図14に示すように、排水弁体24が弁座52aに当接して排水口22を閉止した状態、すなわち、大洗浄モードが完了した状態S3となる。
また、
図14に示すように、状態S3では、フロート56は、大洗浄用制御筒54内の洗浄水の水位h2によりフロート56が浮いた状態となる。
さらに、
図14に示すように、状態S3では、小洗浄用制御筒58内の洗浄水の水位t2は、最低水位となっている。しかしながら、カム62の上端がフック部材68のリブ68aに当接して引っ掛かった状態が維持されているため、小洗浄用制御筒58内で浮いた状態となっている。
そして、
図14に示すように、貯水タンク8内の水位が大洗浄モードの最低水位DWL1となる。
これらの結果、大洗浄モードにおいては、
図14に示すように、貯水タンク8内の満水水位WL0から最低水位DWL1まで低下した洗浄水量が、排水口22から便器本体10に導水路(図示せず)に供給されて、大洗浄モードによる便器洗浄が行われる。
【0042】
つぎに、
図6〜
図9及び
図15〜
図19を参照して、本実施形態による排水弁操作装置1を用いて小洗浄モードの開弁操作を行ったときの動作について説明する。
図15は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを示す
図6と同様な断面図であり、小洗浄モードを開始した状態のプーリ及び大洗浄用の操作ワイヤを示す。
また、
図16は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置の電動操作ユニットを示す
図6と同様な断面図であり、小洗浄モードを開始した状態のプーリ及び小洗浄用の操作ワイヤを示す。
さらに、
図17は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、小洗浄モードを開始したときの開弁状態を示す。
また、
図18は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、小洗浄モードの閉弁途中の状態を示す。
さらに、
図19は、本発明の一実施形態による排水弁操作装置によって操作される排水弁装置の概略正面断面図であり、小洗浄モードが完了した閉弁状態を示す。
【0043】
まず、
図6〜
図9に示すように、排水弁装置14の排水弁体24が排水口22を閉止している待機状態S0から、本実施形態の排水弁操作装置1の電動操作ユニット26の電動操作により排水弁体24について、小洗浄モードで開弁操作する。
この際、例えば、使用者がリモコン(図示せず)等の所定の操作ボタン(図示せず)を押すことにより小洗浄モードの便器洗浄操作を指示するか、或いは、人感センサ(図示せず)が使用者を検知すると、これらの信号が制御装置(図示せず)に送信される。
そして、
図6及び
図7に示す電動操作ユニット26の電動回転軸26aが作動し、この電動回転軸26aと共にプーリ36が回転中心軸線A1を中心に第1方向R1と反対の第2方向R2に回転し、小洗浄モードの開弁操作を開始する。
【0044】
つぎに、
図15及び
図16に示すように、プーリ36は、待機位置P0から回転中心軸線A1を中心に第2方向R2に回転角度θ2(例えば、θ2=83.5[°])だけ回転し、小洗浄モードの開始状態S4となる。この状態S4では、回転巻取部36bの回転制限用のガイド溝36hの他方側の端部36jが、回転制限用の突起34aに当接し、プーリ36の回転が制限される(
図15参照)。
このとき、
図16に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44は、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36gに巻き付きながら、大洗浄モード時の第1量α1と等しい第2量α2[mm](α2=α1)だけ移動する。
これにより、
図17に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44が待機位置P0から位置P3まで第2量α2[mm]だけ引き上げられる。
同時に、操作ワイヤ44の突起40aが小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50aに係合した状態で引き上げられる。
よって、
図17に示すように、小洗浄モード用の操作レバー50が、第2量α2[mm]に等しい所定距離H1[mm](H1=α2)だけ引き上げられる。
また、
図17に示すように、小洗浄モード用の操作レバー50の引き上げにより、この操作レバー50に連結されているフック部材68が引き上げられる。そして、このフック部材68の上昇により、オーバーフロー管66が引き上げられる。これにより、排水弁体24についても、閉弁位置P0から最上位置P3まで所定距離H1[mm](H1=α2)だけ引き上げられる。
よって、小洗浄モードについても、大洗浄モードと同様な動作で、排水弁体24がスムーズに開弁し、貯水タンク8内の洗浄水が排水口22から便器本体4の導水路(図示せず)への排水が開始される。
【0045】
一方、
図15に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40は、プーリ36の第2方向R2の回転により、回転巻取部36bのガイド溝36fから巻き解かれながら第2量α2[mm]だけ移動する。
これにより、
図17に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が待機位置P0から位置P3まで第2量α2[mm]だけ下降する。
同時に、操作ワイヤ40の突起40aが大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aに対して係合することなく下降する。
よって、小洗浄モードの開始状態S4では、大洗浄モード用の操作レバー48が大洗浄モード用の操作ワイヤ40自体によっては、引き上げられることはない。
しかしながら、
図17に示すように、状態S4では、大洗浄モード用の操作レバー48は、オーバーフロー管66に連結されているため、オーバーフロー管66及び排水弁体24と共に閉弁位置P0から最上位置P3まで所定距離H1[mm]だけ上昇した状態となる。
【0046】
また、
図17に示す状態S4の排水弁装置14においても、大洗浄モードの開弁動作と同様に、小洗浄モードの開弁動作に伴って、オーバーフロー管66の上昇と共に、オーバーフロー管66のリブ66bが水錘60の内周側上縁部60aに下側から当接した状態となる。これにより、水錘60もオーバーフロー管66と一体的に上昇する。
ここで、
図17に示す状態S4の排水弁装置14の小洗浄用制御筒58内の水錘60のカム62については、その上端が制御筒蓋64のガイド部64aの傾斜面に当接することにより、オーバーフロー管66側にガイドされながら回動する。
しかしながら、
図17に示す状態S4の小洗浄モードにおいては、大洗浄モードとは異なり、フック部材68及びそのリブ68aがオーバーフロー管60と共に上昇した状態となっている。
よって、カム62の上端がフック部材68のリブ68aに引っ掛かることはなく、オーバーフロー管66の外面に当接した状態となる。
なお、小洗浄モードにおける
図8に示す待機状態S0から
図17に示す状態S4に達する前までの開弁途中の状態では、カム62の上端がオーバーフロー管66の外面に当接しないため、水錘60内の水位が満水状態であっても、この水錘60の重量がオーバーフロー管66に作用することはない。
また、
図17に示す状態S4では、貯水タンク8内の洗浄水の水位は、大洗浄モードの状態S1と同様に、
図8に示す待機状態S0の満水水位WL0から水位WL1まで低下している。
【0047】
つぎに、
図15〜
図17に示す状態S4の後、電動操作ユニット26のDCモータ(図示せず)が所定時間停止して、電動回転軸26aが所定時間停止する。これにより、排水弁体24が最上位置P3で所定時間開弁した状態になる。
そして、排水弁体24が所定時間開弁した後、電動操作ユニット26のDCモータ(図示せず)が再び作動する。
これにより、電動回転軸26a及びプーリ36は、回転中心軸線A1を中心に第1方向R1に回転角度θ1だけ回転(反転)した後に再び停止し、
図6及び
図7に示す待機状態S0と同様な状態S5となる。
【0048】
すなわち、
図16に示す状態S4から
図7に示す状態S5までの小洗浄モード用の操作ワイヤ44は、
図16に示す位置P3から
図7に示す位置P0にまで、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36gから巻き解かれながら第2量α2[mm]だけ移動する。
これにより、
図18に示すように、小洗浄モード用の操作ワイヤ44は、位置P3から位置P0まで第2量α2[mm]だけ下降する。
同時に、操作ワイヤ44の突起44aが、小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50aに対して係合することなく下降する。
【0049】
一方、
図15に示す状態S4から
図6に示す状態S5までの大洗浄モード用の操作ワイヤ40は、
図15に示す位置P3から
図6に示す位置P0にまで、プーリ36の回転巻取部36bのガイド溝36fに巻き付きながら第2量α2[mm]だけ移動する。
これにより、
図18に示すように、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が位置P3から位置P0まで第2量α2[mm]だけ引き上げられた状態S5となる。
このとき、操作ワイヤ40の突起40aは、大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aに係合することなく、この連結部48aから下方に離間している。
また、
図18に示す状態S5の貯水タンク8内の水位は、
図17に示す水位WL1から水位WL3まで下降している。
このとき、
図18に示す状態S5の小洗浄用制御筒58内の水位については、満水水位t0から水位t3まで下降している。
さらに、
図18に示す状態S5では、小洗浄用制御筒58内の水錘60は浮いた状態となっているが、カム62がオーバーフロー管66に当接した状態が維持されているため、オーバーフロー管66が水錘60と共に一体的に下降するようになっている。
【0050】
つぎに、
図18に示す状態S5の後、貯水タンク8内の水位がさらに下降すると、オーバーフロー管66も下降する。このとき、オーバーフロー管66には水錘60の重量が作用しているため、オーバーフロー管66及び排水弁体24は、大洗浄モードよりも速い速度で下降する。
最終的には、
図19に示すように、排水弁体24が弁座52aに当接して排水口22を閉止した状態、すなわち、小洗浄モードが完了した状態S6となる。
また、
図19に示すように、状態S6では、小洗浄用制御筒58内の洗浄水の水位t4が最低水位となり、水錘60も最低位置となっている。このとき、カム62の下端は、小洗浄用制御筒58内の突起58bに当接することにより、オーバーフロー管66から離間する方向(遠位側)に回動し、待機状態の初期位置に復帰する。
そして、
図19に示すように、貯水タンク8内の水位が小洗浄モードの最低水位DWL2となる。この小洗浄モードの最低水位DWL2は、大洗浄モードの最低水位DWL1よりも高い水位(DWL2>DWL1)となっている。
これらの結果、小洗浄モードにおいては、
図19に示すように、貯水タンク8内の満水水位WL0から最低水位DWL2まで低下した洗浄水量が、排水口22から便器本体10に導水路(図示せず)に排水されて、大洗浄モードの洗浄水量よりも少ない洗浄水量の小洗浄モードによる便器洗浄が行われる。
【0051】
上述した本発明の一実施形態による排水弁操作装置1によれば、洗浄水量がそれぞれ異なる大洗浄モード及び小洗浄モードのそれぞれを実行する際に、電動操作ユニット26の電動回転軸26aを所望の洗浄モードに応じて異なる方向R1又はR2に同一回転操作量θ1だけ単純に回転操作すると、共通のプーリ36の回転巻取部36bを用いて簡単に異なる洗浄モードに切り替えることができる。
また、回転巻取部36bが各洗浄モードに応じて大洗浄モード用の操作ワイヤ40又は小洗浄モード用の操作ワイヤ44のいずれか一方を同一量α1又はα2だけ巻き取ることにより、洗浄モードに関わらず排水弁体24の一定の引き上げ量H1の開弁操作を正確に行うことができ、異なる洗浄モードの便器洗浄を簡単に実行することができる。
【0052】
また、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、洗浄水量がそれぞれ異なる大洗浄モード及び小洗浄モードのそれぞれを実行する際に、電動操作ユニット26の電動回転軸26aを所望の洗浄モードに応じて回転操作すると、プーリ36の回転巻取部36bについて電動回転軸26aの回転半径よりも大きい回転半径で所望の洗浄モードに応じて異なる方向R1又はR2に同一回転量だけ回転させることができる。
したがって、プーリ36の回転巻取部36bが洗浄モードに応じて大洗浄モード用の操作ワイヤ40又は小洗浄モード用の操作ワイヤ44のいずれか一方について同一量α1又はα2だけ自動で巻き取ることができる。これにより、洗浄モードに関わらず排水弁体24の一定の引き上げ量H1の開弁操作を自動で行うことができ、異なる洗浄モードの便器洗浄を簡単に自動で実行することができる。
また、プーリ36の回転巻取部36bが電動回転軸26aの回転半径よりも大きい回転半径で回転可能であるため、電動回転軸26aの回転角度θ1に対してプーリ36の回転巻取部36bが大洗浄モード用の操作ワイヤ40又は小洗浄モード用の操作ワイヤ44のいずれか一方について比較的大きな引き上げ量で引き上げることができる。
よって、排水弁体24の開弁操作を効率良く行うことができる。
【0053】
さらに、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、まず、電動操作ユニット26の電動操作の開始前の待機状態S0から、電動操作ユニット26の電動回転軸26を第1方向R1に回転操作した場合には、プーリ36の回転巻取部36bが待機状態S0から第1方向R1に回転し、各取付穴36d,36eが待機位置P0から第1方向R1に第1量α1だけ移動する。
これにより、大洗浄モード用の操作ワイヤ40については、回転巻取部36bにより待機位置P0から第1方向R1にさらに第1量α1だけ巻き取られる一方、小洗浄モード用の操作ワイヤ44については、回転巻取部36bにより待機位置P0から第1方向R1に第1量α1だけ巻き解かれる。
一方、電動操作ユニット26の電動回転軸26aを第1方向R1と反対の第2方向R2に回転操作した場合には、回転巻取部36bが待機状態S0から第2方向R2に回転し、各取付穴36d,36eが待機位置P0から第2方向R2に第1量α1と同一の第2量α2だけ移動する。
これにより、大洗浄モード用の操作ワイヤ40については、回転巻取部36bにより待機位置P0から第2方向R2に第2量α2だけ巻き解かれる一方、小洗浄モード用の操作ワイヤ44については、回転巻取部36bにより待機位置P0から第2方向R2にさらに第2量α2だけ巻き取られる。
したがって、回転巻取部36bが洗浄モードに応じて大洗浄モード用の操作ワイヤ40又は小洗浄モード用の操作ワイヤ44のいずれか一方について、同一量α1,α2だけ自動でスムーズに巻き取ることができ、洗浄モードに関わらず排水弁体24の一定の引き上げ量H1の開弁操作を自動で確実に行うことができる。
また、各取付穴36d,36eが回転巻取部36bの回転中心軸線A1方向にほぼ並列して配置されている。さらに、大洗浄モード用の操作ワイヤ40及び小洗浄モード用の操作ワイヤ44が、
図6及び
図7に示すように、回転巻取部36bの平面視においてその回転中心軸線A1に対して一方側と他方側とに互いに対称に配置されている。これにより、洗浄モードに応じて回転巻取部36bが回転した際にも、大洗浄モード用の操作ワイヤ40と小洗浄モード用の操作ワイヤ44が互いに干渉することなく、確実に且つスムーズに移動することができる。
【0054】
また、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、まず、電動操作ユニット26の電動回転軸26aの第1方向R1の回転操作により、プーリ36の回転巻取部36bが待機状態S0から第1方向R1に回転した場合には、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が回転巻取部36bによって第1量α1だけ巻き取られる。
これにより、大洗浄モード用の操作ワイヤ40の一端の突起40aと大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aとが係合した状態で、操作ワイヤ40、大洗浄モード用の操作レバー48、オーバーフロー管66、及び排水弁体24が第1量α1だけ上昇する。
同時に、小洗浄モード用の操作ワイヤ44が回転巻取部36bによって第1量α1だけ巻き解かれる。
これにより、小洗浄モード用の操作ワイヤ44の一端の突起44aと小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50aとの係合が解除された状態で、操作ワイヤ44が第1量α1だけ下降する。
これらにより、小洗浄モード用の操作レバー50は引き上げられることなく、大洗浄モード用の操作レバー48が操作ワイヤ40により引き上げられて、排水弁体24の大洗浄モードによる開弁操作を正確に実行することができる。
一方、電動操作ユニット26の電動回転軸26aの第2方向R2の回転操作により、回転巻取部36bが待機状態S0から第2方向R2に回転した場合には、小洗浄モード用の操作レバー50が回転巻取部36bによって第1量α1と同一の第2量α2だけ巻き取られる。これにより、操作ワイヤ44の一端の突起44aと小洗浄モード用の操作レバー50の連結部50aとが係合した状態で、操作ワイヤ44、小洗浄モード用の操作レバー50、オーバーフロー管66、及び排水弁体24が上昇する。
同時に、大洗浄モード用の操作ワイヤ40が回転巻取部36bによって第2量α2だけ巻き解かれて、操作ワイヤ40の一端の突起40aと大洗浄モード用の操作レバー48の連結部48aとの係合が解除された状態で、操作ワイヤ40が第2量α2だけ下降する。
これらにより、小洗浄モード用の操作レバー50が操作ワイヤ44により引き上げられて、排水弁体24の小洗浄モードによる開弁操作を正確に実行することができる。
【0055】
さらに、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、プーリ36の回転巻取部36bの回転制限用のガイド溝36h及び上側ケーシング34の回転制限用の突起34aが、プーリ36の回転巻取部36bの回転角度θ1を制限する回転角度制限手段として機能している。
これにより、洗浄モードに応じて第1方向R1又は第2方向R2に回転操作される回転巻取部36bの回転角度θ1の範囲について、所定角度(例えば、θ1=83.5[°])の範囲内に制限することができる。
したがって、開弁操作時の排水弁体24の引き上げ量H1を正確に管理することができる。
【0056】
また、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、洗浄モードに関わらず排水弁体24の一定の引き上げ量H1の開弁操作を正確に行うことができ、異なる洗浄モードの便器洗浄を簡単に実行することができる洗浄水タンク装置4を提供することができる。
【0057】
さらに、本実施形態による排水弁操作装置1によれば、洗浄モードに関わらず排水弁体24の一定の引き上げ量H1の開弁操作を正確に行うことができ、異なる洗浄モードの便器洗浄を簡単に実行することができるトイレシステムTを提供することができる。
【0058】
なお、上述した本実施形態による排水弁操作装置1においては、壁W1の裏側に隠蔽された洗浄水タンク装置4に適用し、電動操作ユニット26の電動操作によって排水弁装置14を開弁操作する形態を採用している。
しかしながら、本実施形態による排水弁操作装置1は、壁裏等に隠蔽されていない洗浄水タンク装置にも適用可能である。
また、プーリ36の回転操作については、電動操作ユニット26による電動操作に限られず、プーリ36に連結されたハンドル等を手動で回転操作してもよい。
【0059】
また、上述した本実施形態による排水弁操作装置1においては、2本の操作ワイヤ40,44を用いて、大小の2種類の洗浄モードによる便器洗浄が可能な形態について説明した。
しかしながら、本実施形態の排水弁操作装置1と2本の操作ワイヤ40,44を変更することなく、排水弁装置14の構造のみを適宜変更することにより、例えば、大中小の3種類の洗浄モード、或いは、4種類以上の洗浄モードによる便器洗浄を可能にすることができる。
【0060】
さらに、上述した本実施形態の排水弁操作装置1では、プーリ36の回転角度を制限する手段として、上側ケーシング34の回転制限用の突起34aを雄側とし、回転巻取部36bの回転制限用のガイド溝36hを雌側とする形態について説明したが、雄側と雌側とを互いに入れ替えてもよい。
また、プーリと、このプーリを回転可能に保持するケーシングとの双方に対して、プーリが所定角度回転した際に、互いに当接可能な突起等を設けることにより、回転角度を制限するような形態にしてもよい。