(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図14は、本実施形態に係る作業機の全体構成を示す概略側面図である。
図15は、作業機の全体構成を示す概略平面図である。
図16は、作業機の本体部分の断面図である。本実施形態では、作業機として歩行型の草刈機1が例示されている。
本発明の実施形態においては、
図14、
図15の矢印A1で示す方向を前方、前方の反対側の方向(
図14、
図15の矢印A2方向)を後方、
図14、
図15の矢印B1方向を左方、左方の反対側の方向(
図14、
図15の矢印B2方向)を右方として説明する。
【0013】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2として説明する。草刈機1の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向K2であって草刈機1の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向K2であって草刈機1の幅方向の中心に近づく方向である。
【0014】
図14〜
図16を参照して、先ず、草刈機1の概要を説明する。
図14、
図15に示すように、草刈機1は、機体2を有する。機体2は、走行装置(被動部)3によって走行可能に支持されている。走行装置3は、前部側の車輪である左の第1車輪4L及び右の第1車輪4Rと、後部側の車輪である左の第2車輪5L及び右の第2車輪5Rとを有する。
【0015】
機体2には、ミッションケース(ケース)M1が搭載されている。ミッションケースM1の上部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、エンジンである。なお、原動機E1は、電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。原動機E1の側方(右側方)には、原動機E1用の燃料を貯留する燃料タンクT1が配置されている。燃料タンクT1は、原動機E1に取り付けられている。
【0016】
図14、
図16に示すように、機体2の下方には、作業部が設けられている。作業部は、草を刈る草刈部6である。草刈部6は、ミッションケースM1の下部に設けられた刈刃軸(伝動軸)7の下部に取り付けられている。刈刃軸7は、機体2(草刈機1)の中心部に位置していて、ミッションケースM1の下部に縦軸心(上下方向に延伸する軸心)回りに回転可能に設けられている。
【0017】
図16に示すように、草刈部6は、刈刃軸7に連結されたブレード支持部6aと、ブレード支持部6aに縦軸心回りに回転自在に支持された刈刃ブレード6bとを有する。
図14、
図15に示すように、機体2の側部(左部)には、ハンドル装着部8が設けられている。このハンドル装着部8に操縦ハンドル9が取り付けられている。
次に、草刈機1の各部を詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、ミッションケースM1は、上端開口状のメインケース12と、メインケース12の上端開口を塞ぐ蓋体13と、メインケース12から下方に突出する第1支持筒部(支持筒部)14と、メインケース12から側方(右側方)に突出する第2支持筒部15とを有する。
蓋体13の左部には、上端開口状の入力部13aが設けられている。入力部13a内には、メインクラッチ11が配置されている。メインクラッチ11は、例えば、自動遠心クラッチである。メインクラッチ11には、原動機E1の出力軸10が連結されている。メインクラッチ11の下部には、ボス部11aが固定されている。したがって、ボス部11aに原動機E1の動力がメインクラッチ11を介して断続可能に伝達される。
【0019】
ミッションケースM1の左部には、駆動軸16が軸受17a,17bを介して縦軸心回りに回転可能に支持されている。駆動軸16の上部は、入力部13aに挿入されてボス部11aにスプライン結合等によって結合されている。これにより、駆動軸16は、ボス部11aと一体回転する。ボス部11aには、ブレーキ18が設けられ、ブレーキ18により駆動軸16を制動可能である。ブレーキ18は、例えば、バンドブレーキである。
【0020】
駆動軸16の中途部には、駆動ギヤ19が固定されていて、該駆動ギヤ19が駆動軸16と一体回転する。駆動ギヤ16に伝達された動力は、伝動体20に伝達される。したがって、原動機E1の動力は伝動体20に伝達される。伝動体20は、メインケース12の機体幅方向K2の中央部に位置していると共に、ミッションケースM1内に収容されている。伝動体20は、回転軸21と、第1伝動ギヤ(伝動ギヤ)22と、第2伝動ギヤ(伝動ギヤ)23とを有する。
【0021】
図2、
図3に示すように、回転軸21は、上下方向に延伸して配置されている。回転軸21の上部(一端部)は、蓋体13に設けた支持部25に軸受26を介して支持されている。これにより、回転軸21は、ミッションケースM1に縦軸心回りに回転自在に支持されている。第1伝動ギヤ22は、回転軸21の上部に嵌められたボス部22aを有する。ボス部22aは、軸受26の下方に配置されていると共に回転軸21と一体回転する。第1伝動ギヤ22は、駆動ギヤ19に噛合している。これにより、駆動ギヤ19から第1伝動ギヤ22に動力が伝達されて、回転軸21が回転する。
【0022】
第2伝動ギヤ23は、第1伝動ギヤ22の下方にスペーサ24を介して配置されている。スペーサ24は、筒状に形成され、回転軸21の外側に嵌められている。第2伝動ギヤ23は、例えば、ウォームギヤである。第2伝動ギヤ23は、回転軸21の外側に嵌められていると共に、回転軸21にキー結合等により結合されている。これにより、第2伝動ギヤ23は、回転軸21と一体回転する。
【0023】
回転軸21は、下部に、係合穴27と、クラッチ係合部28とを有する。係合穴27及びクラッチ係合部28は、第2伝動ギヤ23の下方に設けられている。
係合穴27は、回転軸21の中心部に形成された穴であって、回転軸21の下面から上方に向けて凹設して形成された円柱状の内面によって形成されている。
クラッチ係合部28は、回転軸21より径大に形成されていて、下面側に、第1噛合部28aを有する。
【0024】
図1に示すように、回転軸21(伝動体20)の下方に、刈刃軸7が同心状に配置されている。刈刃軸7の中途部及び下部は、第1支持筒部14に挿入されている。刈刃軸7の上部は、第1支持筒部14から上方に突出している。即ち、刈刃軸7(伝動軸)は、ミッションケースM1内に収容されている。刈刃軸7の中途部は、軸受31によって第1支持筒部14に回転自在に支持されている。刈刃軸7の下部は、軸受32によって第1支持筒部14に回転自在に支持されている。軸受32の下方には、取付体33が配置されている。取付体33は、刈刃軸7にスプライン結合等により結合されていて、刈刃軸7と一体回転する。取付体33にブレード支持部6aが固定されている。
【0025】
図2、
図3に示すように、刈刃軸7は、上部に、円柱状の軸部29を有する。刈刃軸7は、軸部29とは反対側の部位が第1支持筒部14に回転可能に支持されている。言い換えると、ミッションケースM1は、伝動軸の軸部20とは反対側の部位を回転可能に支持する支持筒部(第1支持筒部14)を有している。軸部29は、刈刃軸7の中心に位置し且つ上方突出状に設けられている。軸部29は、係合穴27に挿入しており、これによって伝動体20に係合している。軸部29と係合穴27との間には極小隙間を有し、軸部29と回転軸21とは、後述するクラッチシフタ35がクラッチ係合部28から外れているときに相対可能である。軸部29と係合穴27との間の隙間は、例えば、0.042mm〜0.018mmに設定される。
【0026】
刈刃軸7の上部の外面側であって、軸部29の下方には、スプライン34が軸心方向に形成されている。スプライン34は、軸部29の下端側から軸受31の手前まで形成されている。スプライン34には、クラッチシフタ35が嵌められている。クラッチシフタ35は、軸部29の下端に設けられた抜止め部材30によって抜止めされている。クラッチシフタ35は、第2噛合部35aと、フランジ部35bと、スプライン穴35cとを有する。
【0027】
第2噛合部35aは、クラッチシフタ35の上部に設けられ、第1噛合部28aに係脱可能に噛合する。フランジ部35bは、クラッチシフタ35の下部に設けられている。第1噛合部28aとフランジ部35bとの間は、周溝35dとされている。スプライン穴35Cは、クラッチシフタ35の中心に上下方向に貫通して形成された円柱穴の内周面にスプラインを形成することで構成されている。
【0028】
スプライン穴35Cにスプライン34が挿通されて噛合されている。これにより、クラッチシフタ35は、刈刃軸7と一体回転すると共に、刈刃軸7の軸心方向に移動可能である。言い換えると、伝動軸(刈刃軸7)の外側にクラッチシフタ35が一体回転可能で且つ軸心方向に移動可能に嵌められている。クラッチシフタ35は、刈刃軸7上を軸心方向に移動することで、
図2に示す第1位置X1と、
図3に示す第2位置X2とに移動可能である。
【0029】
第1位置X1は、第1噛合部28aに第2噛合部35aが噛合する位置である。即ち、第1位置X1では、伝動体20と、クラッチシフタ35と、刈刃軸7とが一体回転する。言い換えると、第1位置X1は、クラッチシフタ35が伝動体20に係合して伝動軸に原動機E1からの動力を伝達する位置である。
第2位置X2は、第2噛合部35aが第1噛合部28aから外れて、第1噛合部28aと第2噛合部35aとの噛合が解除する位置である。即ち、第2位置X2では、伝動体20から刈刃軸7へ動力が伝達されない。言い換えると、第2位置X2は、伝動体20から離反して伝動軸への動力の伝達を切断する位置である。
【0030】
クラッチ係合部28とクラッチシフタ35とは、伝動体20から草刈部6への動力伝達を断続する噛み合いクラッチである刈刃クラッチを構成している。
クラッチシフタ35と軸受31との間には、付勢部材36が設けられている。付勢部材36は、コイルバネによって構成され、刈刃軸7の外側に設けられている。即ち、刈刃軸7は、付勢部材36を挿通している。付勢部材36は、クラッチシフタ35をクラッチ係合部28に係合する方向(上方)に付勢している。付勢部材36は、刈刃軸7と同行回転する。
【0031】
図2、
図3に示すように、クラッチシフタ35は、シフトフォーク37によって第1位置X1と第2位置X2とに位置変更(操作)される。シフトフォーク37の先端側は、クラッチシフタ35の周溝35dに係合している。クラッチシフタ35は、シフトロッド38によって支持されている。シフトロッド38は、刈刃軸7の軸心及び機体幅方向K2に直交する方向に平行な軸心を有する。シフトロッド38にシフトフォーク37の基部が固定されている。図示省略の操作部材によってシフトロッド38を軸心回りにさせることによりシフトフォーク37が上下に揺動してクラッチシフタ35が上下に移動する。クラッチシフタ35は、第1位置X1と第2位置X2とにおいて、位置を保持可能である。
【0032】
図2、
図3に示すように、クラッチシフタ35の下方には、当接部材39が設けられている。当接部材39は、例えば、適度な摩擦係数があるプレート(摩擦板)によって形成される。当接部材39は、板面が上下を向くように(板厚方向を上下方向に一致させて)配置されている。当接部材39は、板厚方向に貫通する環状の縁部によって構成された挿通穴40を有する。この挿通穴40を刈刃軸7が挿通している。当接部材39は、クラッチシフタ35(フランジ部35b)と刈刃軸7の軸心方向で対向している。当接部材39は、軸受31の上方に位置している。また、付勢部材36は、挿通穴40を挿通している。即ち、挿通穴40は、付勢部材36を挿通可能な大きさに形成されている。
【0033】
図4に示すように、当接部材39は、本体部39aと、第1突片39bと、第2突片39cと、第3突片39dとを有する。本体部39aは、クラッチシフタ35に対向する部位であり、且つ挿通穴40を有する部位である。第1突片39bは、本体部39aから左方に延出している。第2突片39cは、本体部39aから前方に延出している。第3突片39dは、本体部39aから後方に延出している。
【0034】
当接部材39は、シフトロッド38との干渉を避ける切欠き部39eを有する。切欠き部39eは、本体部39aの右側、即ち、シフトロッド38が配置されている側に形成されている。切欠き部39eは、前後方向K1に延伸する切欠き面によって構成されている。
図2、
図3に示すように、切欠き部39eは、シフトロッド38の下部の側方(左側方)に位置していて、当接部材39がシフトロッド38に干渉するのを防止している。
【0035】
図4、
図5に示すように、第1支持筒部14は、当接部材39に当接する当接部(第1突部41a、第2突部41b、第3突部41c)を有する。当接部は、第1支持筒部14における当接部材39に対向する側の端面14aから当接部材39側に突出している。第1突部41aは、第1突片39bの下面に当接している。第1突部41aは、第1突片39bを支持している。第2突部41bは、第2突片39cの下面に当接している。第2突部41bに第2突片39cがボルト42aによって取り付けられている。第3突部41cは、第3突片39dの下面に当接している。第3突部41cに第3突片39dがボルト42bによって取り付けられている。以上によって、当接部材39がミッションケースM1側に固定されている。
【0036】
図3に示すように、クラッチシフタ35(フランジ部35b)は、第2位置X2に操作されると当接部材39に押し付けられる。クラッチシフタ35と当接部材39との当接面間に生じる摩擦力によってミッションケースM1に対して刈刃軸7を固定することができる。
クラッチシフタ35を第2位置X2に操作すると、付勢部材36は縮み、該付勢部材36の上端は、当接部材39の上面より下方に位置し、且つ、まだ縮むことが可能である。これにより、クラッチシフタ35を当接部材39に十分に押し付けることができる。また、当接部材39は、当接部によって第1支持筒部14の端面14aから間隔をあけて配置されているので、クラッチシフタ35を第2位置X2に操作した際に、付勢部材36を当接部材39の上面より下方に収めることができる。
【0037】
第2伝動ギヤ23は、走行系の動力を取り出す動力取付ギヤである。
図1に示すように、第2伝動ギヤ23には、第3伝動ギヤ43が噛合している。第3伝動ギヤ43は、例えば、ウォームホイールである。
図6に示すように、第3伝動ギヤ43は、前後方向に延伸する軸心を有する入力軸45に嵌められていて、該入力軸45と一体回転する。入力軸45は、ミッションケースM1の壁部44a,44bに回転自在に支持されている。入力軸45に伝達された動力は、変速機構48を介して第4伝動ギヤ46に伝達される。第4伝動ギヤ46は、ミッションケースM1の壁部44cに取り付けられた支軸57に相対回転可能に嵌められている。第4伝動ギヤは、例えば、ベベルギヤである。支軸57は、入力軸45と平行に配置されている。
【0038】
変速機構48は、入力軸45に伝達された動力を高低2段に変速して第4伝動ギヤ46に伝達する機構であって、第1ギヤ列49と、第2ギヤ列50と、変速シフタ51とを有する。第1ギヤ列49は、例えば、入力軸45からの動力を第4伝動ギヤ46に減速して伝達する。第2ギヤ列50は、例えば、入力軸45からの動力を第4伝動ギヤ46に増速して伝達する。変速シフタ51は、第1ギヤ列49又は第2ギヤ列50に係合して動力の伝達経路を選択的に切り替える。
【0039】
第4伝動ギヤ46に伝達された動力は、前後進切替機構52を介して出力軸(回転軸)53に伝達される。したがって、出力軸53は、原動機E1の動力によって駆動され、回転する。
図1に示すように、出力軸53は、機体幅方向K2に延伸する軸心を有し、クラッチシフタ35の右方に位置する支持壁54から第2支持筒部15を挿通し且つ第2支持筒部15から右方に突出している。出力軸53は、支持壁54、第2支持筒部15等に軸心回りに回転可能に支持されている。前後進切替機構52は、ミッションケースM1内であって、出力軸53の左部に設けられている。前後進切替機構52は、第4伝動ギヤ46に伝達された動力を前進用と後進用とに切り替えて走行装置3へ伝達する。
【0040】
図6に示すように、前後進切替機構52は、前進ギヤ55と、後進ギヤ56と、切替シフタ57とを有する。前進ギヤ55及び後進ギヤ56は、例えば、ベベルギヤであり、第4伝動ギヤ46に噛合している。切替シフタ57は、前進ギヤ55又は後進ギヤ56に選択的に係合し、第4伝動ギヤ46に伝達された動力を前進ギヤ55又は後進ギヤ56を介して出力軸53に伝達する。前進ギヤ55は、前進用の動力を出力軸53に伝達し、該出力軸53が正回転する。後進ギヤ56は、後進用の動力を出力軸53に伝達し、該出力軸53が逆回転する。
【0041】
図1に示すように、出力軸53は、第2支持筒部15から突出する伝動部53aを有する。伝動部53aの基部は、伝動ケース59に取り付けられたボス60に軸受を介して回転自在に支持されている。伝動部53aの突出端側(出力軸53の右端側)は、伝動ケース59内に挿入されている。この伝動部53aにトルクリミッタ58が取り付けられている。トルクリミッタ58は、出力軸53に伝達された原動機E1からの動力を走行装置3に伝達する。また、トルクリミッタ58は、走行装置3に過負荷がかかると動力の伝達(トルク伝達)を遮断する。
【0042】
図1に示すように、伝動ケース59は、トルクリミッタ58を挿通可能な装着口62を有する。装着口62は、伝動ケース59の内部と外部とを機体幅方向K2で連通する円柱状の縁部を有し、機体外方側が蓋体63で閉塞されている。蓋体63は、装着口62にシール材64を介して取り外し可能に取り付けられている。
図7に示すように、伝動ケース59は、第1車軸ケース66、第2車軸ケース67及び連結部材68と共に走行フレーム65を構成している。走行フレーム65は、機体2に取り付けられている。
【0043】
図15に示すように、伝動ケース59は、草刈機1(機体2)の右側に設けられ、機体2の前部から後部にわたって設けられている。
図7に示すように、第1車軸ケース66及び第2車軸ケース67は機体幅方向K2に延伸する軸心を有する筒体によって形成されている。
第1車軸ケース66は、ミッションケースM1の前方に位置し、右端側が伝動ケース59に連結されている。第1車軸ケース66内には、第1車軸71が収容されている。第1車軸71の左側は、第1車軸ケース66から突出している。第1車軸71の右側は、第1車軸ケース66から突出すると共に伝動ケース59を通って該伝動ケース59から右方に突出している。第1車軸71の左側に第1車輪4Lが取り付けられ、右側に第1車輪4Rが取り付けられている。第1車輪4L及び第1車輪4Rは、第1車軸71と一体回転する。
【0044】
第2車軸ケース67は、ミッションケースM1の後方に位置し、右端側が伝動ケース59に連結されている。第2車軸ケース67内には、第2車軸72が収容されている。第2車軸72の左側は、第2車軸ケース67から突出している。第2車軸72の右側は、第2車軸ケース67から突出すると共に伝動ケース59を通って該伝動ケース59から右方に突出している。第2車軸72の左側に第2車輪5Lが取り付けられ、右側に第2車輪5Rが取り付けられている。第2車輪5L及び第2車輪5Rは、第2車軸72と一体回転する。
【0045】
図7、
図8に示すように、トルクリミッタ58は、出力軸53に伝達された動力を走行装置3へ出力する出力ギヤ(出力部材)61を有する。出力ギヤ61から出力された動力は、第1伝達機構73によって第1車軸71に伝達され且つ第2伝達機構74によって第2車軸72に伝達される。第1伝達機構73及び第2伝達機構74は、伝動ケース59内に収容されている。
【0046】
第1伝達機構73は、第1伝達軸73a、第1伝達ギヤ73b、第1駆動歯車73c、第1従動歯車73d、第1チェーン73eとを有する。第1伝達軸73aは、伝動部53a(出力軸53)の前側で且つ上方側に配置され、伝動ケース59に軸受を介して回転自在に支持されている。第1伝達ギヤ73bは、出力ギヤ61に噛合していると共に第1伝達軸73aに取り付けられて該第1伝達軸73aと一体回転する。第1駆動歯車73cは、第1伝達軸73aに取り付けられて該第1伝達軸73aと一体回転する。第1従動歯車73dは、第1車軸71に取り付けられて、該第1車軸71と一体回転する。第1チェーン73eは、エンドレスチェーンであって、第1駆動歯車73cと第1従動歯車73dとにわたって巻掛けられていて、第1駆動歯車73cから第1従動歯車73dへ動力を伝達する。
【0047】
第2伝達機構74は、第2伝達軸74a、第2伝達ギヤ74b、第2駆動歯車74c、第2従動歯車74d、第2チェーン74eとを有する。第2伝達軸74aは、伝動部53a(出力軸53)の後側で且つ上方側に配置され、伝動ケース59に軸受を介して回転自在に支持されている。第2伝達ギヤ74bは、出力ギヤ61に噛合していると共に第2伝達軸74aに取り付けられて該第2伝達軸74aと一体回転する。第2駆動歯車74cは、第2伝達軸74aに取り付けられて該第2伝達軸74aと一体回転する。第2従動歯車74dは、第2車軸71に取り付けられて、該第2車軸71と一体回転する。第2チェーン74eは、エンドレスチェーンであって、第2駆動歯車74cと第2従動歯車74dとにわたって巻掛けられていて、第2駆動歯車74cから第2従動歯車74dへ動力を伝達する。
【0048】
草刈機1にあっては、走行装置3に強い負荷がかかると、
図3に示すように、第2伝動ギヤ23に強い反力F1が作用する。例えば、あゆみ板を走行させて草刈機1を軽トラックに積載するときなどである。第2伝動ギヤ23に強い反力F1が作用すると、回転軸21は、上部が軸受26によって支持されているが、下部は軸部29によって位置決めされているだけなので、係合穴27の内面の第3伝動ギヤ43側の部位27a(
図3参照)が軸部29の外面に接触する。このような場合、クラッチシフタ35をクラッチ係合部28から離反させて、伝動体20から刈刃軸7への動力伝達を遮断していても、係合穴27の内面から軸部29を介して刈刃軸7にわずかながら動力伝達可能な状態になる。しかし、クラッチシフタ35を第2位置X2にしているときには、クラッチシフタ35が当接部材39に当接する。このクラッチシフタ35と当接部材39との接触面間に生じる摩擦力によって刈刃軸7が連れ回りするのが防止される。したがって、クラッチシフタ35と当接部材39との接触面間に生じる摩擦力は、係合穴27の内面と軸部29の外面との接触面間に生じる摩擦力よりも大きい摩擦力に設定される。
【0049】
次に、トルクリミッタ58について詳細に説明する。
先ず、トルクリミッタ58の概要を説明する。
図9、
図10に示すように、トルクリミッタ58は、ハブ76と、出力ギヤ61と、押圧部材(第2伝動体)77と、押圧バネ(付勢部材)78と、押さえナット79と、ロックナット80とを有する。
【0050】
出力軸53の伝動部53aは、ハブ76を貫通している。言い換えると、ハブ76は、出力軸53の外側に嵌められていて該出力軸53と一体回転する。出力ギヤ61は、ハブ76に相対回転可能に嵌められている。押圧部材77は、ハブ76に一体回転可能で且つ軸心方向S1に移動可能に嵌められている。押圧バネ78は、押圧部材77を出力ギヤ61に向けて付勢している。押さえナット79は、押圧部材77から離反する方向の押圧バネ78の移動を規制する。ロックナット80は、押さえナット79の位置を固定する。
【0051】
次に、トルクリミッタ58の構造を詳細に説明する。
図9、
図10、
図11Aに示すように、伝動部53aは、先端側で且つ外面に、出力軸53の軸心O1に平行な第1係合面86を有する。第1係合面86は、互いに平行な2面(第1面86a、第2面86b)を含む。伝動部53aの先端側には、ネジ穴94が形成されている。ネジ穴189とは、部材に形成された円柱状の穴の内周面に雌ネジが形成された穴である。出力ギヤ61の中心部には、厚さ方向(出力軸53の軸心方向S1)に貫通する貫通穴84が形成されている。
【0052】
図9、
図10に示すように、ハブ76は、受けフランジ(第1伝動体)82を有する。受けフランジ82は、円板状に形成され、出力ギヤ61の一側方に位置している。出力ギヤ61は、受けフランジ82に面接触して当接する。受けフランジ82の外径は、出力ギヤ61の歯底円61b(歯部61aの歯底を連ねる円:
図11B参照)と略同径で且つ歯底円61bより若干径小に形成されている。
【0053】
ハブ76は、受けフランジ82の中心部から出力軸53の軸心方向S1に突出する軸部83を有する。軸部83は、受けフランジ82から出力軸53の先端に向けて突出している。軸部83は、基部側(受けフランジ82側)に、貫通穴84を挿通する円柱状のギヤ支持部83aを有する。出力ギヤ61は、ギヤ支持部83a(軸部83)に相対回転可能に支持される。
【0054】
軸部83は、ギヤ支持部83aから受けフランジ82とは反対側に向けて突出するネジ部85を有する。ネジ部85の外周面には、雄ネジが形成されている。また、ネジ部85の外面には、第1当接面88が形成されている。第1当接面88は、軸心方向S1に平行な平坦面であってネジ部85の基部から先端にわたって形成されている。
図9、
図10に示すように、ハブ76は、一端から他端にわたって貫通状に形成された挿通穴90を有する。言い換えると、挿通穴90は、受けフランジ82及び軸部83を貫通する穴である。挿通穴90に出力軸53(伝動部53a)が挿通されている。
【0055】
図10、
図11Aに示すように、挿通穴90には、第1係合面86に面接触して係合する第2係合面91が形成されている。第2係合面91は、第1面86aに係合する第3面91aと、第2面86bに係合する第4面91bとを含む。第1係合面86と第2係合面91とが面接触(係合)することにより、出力軸53とハブ76とが一体回転する。
図10に示すように、第1係合面86及び第2係合面91は、ハブ76の先端から軸心方向S1の中途部まで形成されている。これにより、伝動部53aの外周部及びハブ76の内周部に、互いに係合する第1段部92及び第2段部93が形成されている。第1段部92は、伝動部53a側の段部であり、第2段部93は、ハブ76側の段部である。ハブ76は、伝動部53aに先端側から嵌められ、第1段部92と第2段部93とが係合することにより、伝動部53aの先端から基部に向かう方向の移動が規制される。
【0056】
図11Aに示すように、押圧部材77はリング状の板材で形成されている。押圧部材77は、受けフランジ82とで出力ギヤ61を挟むように配置されている。また、出力ギヤ61は、受けフランジ82と押圧部材77との間に当接して配置されている。したがって、出力ギヤ61は、受けフランジ82及び押圧部材77に当接する当接面(滑り面)を有する。当接面は、受けフランジ82と当接する当接面61A及び押圧部材77と当接する当接面61Bである。また、本実施形態では、出力ギヤ61は、受けフランジ82及び押圧部材77に直接当接しており、出力ギヤ61と受けフランジ82との間、及び、出力ギヤ61と押圧部材77との間には、従来のような摩擦板は設けられていない。これにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0057】
図10に示すように、押圧部材77の外径は、出力ギヤ61の歯底円61bと略同径で且つ歯底円61bより若干径小に形成されている。押圧部材77の内周面(内周側の穴)89をネジ部85が挿通している。言い換えると、押圧部材77は、軸部83の外側に軸心方向S1に移動可能に嵌められている。押圧部材77の内周面89には、第1当接面88に面接触して係合する第2当接面89aが形成されている。第1当接面88と第2当接面89aとが面接触(係合)することにより、ハブ76と押圧部材77とが一体回転する。
【0058】
以上のように、受けフランジ82(ハブ76)及び押圧部材77は、出力軸53と一体回転する。
図9、
図10に示すように、押圧バネ78は、皿バネで構成され、出力ギヤ61とで押圧部材77を挟むように配置されている。押圧バネ78の内周穴78a(内周側の穴)をネジ部85が挿通している。押圧バネ78は、押圧部材77に当接して該押圧部材77を出力ギヤ61及び受けフランジ82に向けて付勢する。押圧バネ78の付勢力によってトルクリミッタ58の設定トルクが決定される。
【0059】
押さえナット79は、ネジ部85に先端側から螺合されて(ねじ込まれて)いて押圧部材77に当接する。押さえナット79は、押圧部材77に向けて突出して押圧バネ78の内周穴78aを挿通する環状の突部79aを有する。押さえナット79は、螺進させる(ねじ込む)ことで、押圧バネ78を押圧部材77に向けて押圧する。押さえナット79を螺進又は螺退(緩める)ことにより、押圧バネ78の付勢力(トルクリミッタ58の設定トルク)を調整できる。押圧バネ78の付勢力により、押圧部材77と出力ギヤ61との接触面間及び受けフランジ82と出力ギヤ61との接触面間に摩擦力が生じる。この摩擦力によって、ハブ76及び押圧部材77から出力ギヤ61へ動力が伝達されると共に、ハブ76及び押圧部材77と共に出力ギヤ61が一体回転する。ハブ76、押圧部材77及び出力ギヤ61が一体回転することにより、出力軸53に伝達された原動機E1からの動力が走行装置3側へ出力される。
【0060】
一方、走行装置3に過負荷がかかると、受けフランジ82及び押圧部材77に対して出力ギヤ61がスリップ(出力ギヤ61が受けフランジ82及び押圧部材77と相対回転)する。これにより、出力軸53から走行装置3への動力の伝達が遮断される。過負荷が解除されると、トルクリミッタ58は、動力伝達可能な状態に復帰する。
図10に示すように、ギヤ支持部83の幅(軸心方向S1の寸法)は、出力ギヤ61の厚さよりも若干小さい。これにより、押圧部材77を出力ギヤ61に十分に押し付けることができる。
【0061】
図10、
図11に示すように、ロックナット80は、押さえナット79の後からネジ部85に螺合されており、押さえナット79の緩みを防止する。
トルクリミッタ58は、ハブ76に、出力ギヤ61、押圧部材77、押圧バネ78、押さえナット79及びロックナット80を組み付けた状態で、伝動部53a(出力軸53)から取り外す又は取り付けることができる。
【0062】
トルクリミッタ58は、抜止めプレート
96及び取付ネジ(取付部材)81によって伝動部53aに取り付けられる。抜止めプレート
96は、ネジ部85の外周径よりも径大のリング状に形成されている。取付ネジ81は、抜止めプレート
96を伝動部53aの先端面に重ね合わせた状態で該抜止めプレート
96を挿通し、且つネジ穴94に螺合している。これにより、トルクリミッタ58が、伝動部53aから抜止めされている。抜止めプレート
96と取付ネジ81との間にはワッシャ95が介在されている。
【0063】
取付ネジ81を伝動部53aから取り外すことにより、トルクリミッタ58を伝動部53aから取り外すことができる。
図11Bに示すように、出力ギヤ61は、グリスG1を貯留する複数のグリス穴111を有する。本実施形態では、複数のグリス穴111は、第1グリス穴111a、第2グリス穴111b及び第3グリス穴111cの3つのグリス穴を含む。なお、グリス穴111は、1つでも2つでもよく、4つ以上であってもよい。即ち、グリス穴は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0064】
グリス穴111は、出力ギヤ61の貫通穴84と歯底円61bとの間の円板部61cに設けられている。円板部61cは、板厚が均一(
図9参照)のリング円板状である。したがって、当接面61A及び当接面61Bは、平坦な面である。
図9に示すように、グリス穴111は、円板部61cを出力軸53の軸心O1(出力ギヤ61の回転軸心)に平行な方向に貫通して形成された環状の縁部によって形成されている。また、グリス穴111は、円形穴で形成されている。
【0065】
なお、グリス穴111は、円弧状又は直線状の長穴やそれ以外の非円形穴で形成されていてもよい。また、グリス穴111は、当接面61A及び当接面61Bに形成された凹状の穴(有底の穴)であってもよい。
図11Bに示すように、複数のグリス穴111は、出力ギヤ61の周方向Y1において位置をずらせて設けられている。具体的には、第1グリス穴111a、第2グリス穴111b及び第3グリス穴111cは、出力ギヤ61における周方向Y1の位相が相互に異なっている。また、第1グリス穴111a、第2グリス穴111b、第3グリス穴111cは、周方向Y1に120°の間隔で位相をずらせて配置されている。詳しくは、出力軸53の軸心O1(出力ギヤ61の回転軸心)と第1グリス穴111aの中心D1とを通る線P1と、軸心O1と第2グリス穴111bの中心D2とを通る線P2との成す角度α1が120°である。また、軸心O1と第3グリス穴111cの中心D3とを通る線P3と、線P2との成す角度α2が120°である。また、線P1と線P3との成す角度α3が120°である。
【0066】
また、複数のグリス穴111は、軸心O1を中心とする異なる円周上に配置されている。詳しくは、第1グリス穴111aは、円板部61c(出力ギヤ61)の外周部61dに設けられ、第2グリス穴111bは、外周部61dと内周部61fとの間の部位である中周部61eに設けられ、第3グリス穴111cは、内周部61fに設けられている。
以上のように、複数のグリス穴111は、出力ギヤ61の周方向Y1且つ出力ギヤ61の径方向Y2に位置をずらせて設けられている。
【0067】
第1グリス穴111a、第2グリス穴111b及び第3グリス穴111cは、本実施形態では、1つずつ設けられているが、少なくとも1つずつ設けられていればよく、それぞれ複数設けられていてもよい。
また、複数のグリス穴111は、回転軌跡の一部が重なっている。詳しく説明すると、
図11Bに示すように、第1グリス穴111aの径方向Y2の外端(径外端という)の軌跡r1と、第1グリス穴111aの径方向Y2の内端(径内端という)の軌跡r2との間の領域R1が第1グリス穴111aの回転軌跡である。また、第2グリス穴111bの径外端の軌跡r3と、第2グリス穴111bの径内端の軌跡r4との間の領域R2が第2グリス穴111bの回転軌跡である。また、第3グリス穴111cの径外端の軌跡r5と、第3グリス穴111cの径内端の軌跡r6との間の領域R3が第3グリス穴111cの回転軌跡である。軌跡r2と軌跡r3との間の領域で、回転軌跡R1と回転軌跡R2とが重なっている。また、軌跡r4と軌跡r5との間の領域で、回転軌跡R2と回転軌跡R3とが重なっている。
【0068】
図11Cに示すように、本実施形態では、第1グリス穴111aの直径と、第2グリス穴111bの直径と、第3グリス穴111cの直径とは、同じ穴径dである。また、軸心O1と中心D1との間の距離L1は、軸心O1と中心D2と間の距離L2よりも大きく、且つ距離L1から距離L2を引いた値は、グリス穴の穴径dよりも小さい。
なお、第1グリス穴111aと第2グリス穴111bと第3グリス穴111cとの穴径は、異なっていてもよい。
【0069】
また、
図11Cに示すように、回転軌跡R1と回転軌跡R2との重なり代(ラップ代)をh1とし、回転軌跡R2と回転軌跡R3との重なり代(ラップ代)をh2とし、出力ギヤ61における貫通穴84の内周面から歯底円61bまでの径方向Y2の寸法をL4とすると、
本実施形態では、第1グリス穴111aと第2グリス穴111bと第3グリス穴111cの穴径dの総合計からラップ代h1及びラップ代h2を引いた値は、寸法L4に略等しい寸法或いは近似した寸法に設定される。
【0070】
上記トルクリミッタ58にあっては、出力ギヤ61に設定トルク以上のトルクが作用すると、出力ギヤ61が受けフランジ82及び押圧部材77と相対回転し、グリス穴111に貯留されたグリスG1が出力ギヤ61の当接面61A,61Bに付着する。この出力ギヤ61に付着したグリスG1によって、出力ギヤ61と受けフランジ82との間及び出力ギヤ61と押圧部材77との間に「かじり(焼き付き)」が生じるのを防止できる。これにより、滑りトルクの上昇を防止でき、安定した滑りトルクを得ることができる。
【0071】
また、複数のグリス穴が分散して形成され、且つ回転軌跡R1,R2,R3が重なっていることにより、出力ギヤ61の当接面61A,61BにグリスG1が略均等に付着する。また、複数のグリス穴を分散して形成することで、穴を形成することによる出力ギヤ61の強度低下を抑えることができる。
次に、燃料タンクT1の取付けについて説明する。
【0072】
図12、
図13に示すように、燃料タンクT1は、機体幅方向K2において原動機E1と並べて配置されている。原動機E1は、燃料タンクT1の配置側(タンク側という)に、空気を吸引してする冷却空気を取り入れる吸気部101を有する。吸気部101は、パンチングメタル等の通気性を有するカバー102によって覆われている。このカバー102を通して冷却空気が吸気される。原動機E1は、上部及び前部等に、取り入れた冷却空気を排出する排出部103を有する。
【0073】
原動機E1は、第1タンク取付部104Aと、第2タンク取付部104Bとを有する。第1タンク取付部104Aは、原動機E1のタンク配置側の上部に設けられている。第2タンク取付部104Bは、原動機E1のタンク配置側の下部に設けられている。
燃料タンクT1は、第1取付壁105Aと、第2取付壁105Bとを有する。第1取付壁105Aは、燃料タンクT1の上部に設けられている。第2取付壁105Bは、燃料タンクT1の下部に設けられている(
図14参照)。第1取付壁105Aは、第1スペーサ部材106A及び第2スペーサ部材106Bを介して第1タンク取付部104Aにボルト等によって取り付けられている。第2取付壁105Bは、第3スペーサ部材106C及び第4スペーサ部材106Dを介して第2タンク取付部104Bにボルト等によって取り付けられている。
【0074】
原動機E1と燃料タンクT1との間隔W1は、原動機E1と燃料タンクT1との間の隙間H1に侵入した刈草が該隙間H1に堆積せずに原動機E1の下方に抜ける間隔に設定されている。言い換えると、第1スペーサ部材196A〜第4スペーサ部材196Dの長さは、原動機E1と燃料タンクT1との間に刈草が堆積するのを防止することができる寸法に形成されている。これにより、清掃頻度が減少し、メンテナンス性を向上させることができる。また、冷却空気の取入が十分に行え、冷却性能を良好に発揮させることができる。
【0075】
次に、本実施形態の草刈機1の効果について説明する。
草刈機1は、原動機E1と、原動機E1の動力が伝達されて回転する伝動体20と、伝動体20と相対回転自在に係合する軸部29を有する伝動軸(刈刃軸7)と、伝動体20に係合して伝動軸に原動機E1からの動力を伝達する第1位置X1と、伝動体20から離反して伝動軸への動力の伝達を切断する第2位置X2とに移動可能なクラッチシフタ35と、伝動体20及び伝動軸を収容するケース(ミッションケースM1)と、ケース側に固定されていて、第2位置X2に位置するクラッチシフタ35が押し付けられる当接部材39と、を備えている。
【0076】
この構成によれば、クラッチシフタ35と当接部材39との間の摩擦力によって伝動軸が伝動体20と連れ回りするのを防止することができる。
また、クラッチシフタ35は、伝動軸の外側に一体回転可能で且つ軸心方向に移動可能に嵌められ、当接部材39は、伝動軸が挿通する挿通穴40を有すると共にクラッチシフタ35と伝動軸の軸心方向で対向している。
【0077】
この構成によれば、クラッチシフタ35を当接部材39に広い面積で押し付けることができる。
また、伝動軸の外側に設けられていてクラッチシフタ35を伝動体20に係合する方向に付勢する付勢部材36を備え、挿通穴40は、付勢部材36を挿通可能な大きさに形成されている。
【0078】
この構成によれば、クラッチシフタ35を当接部材39に押し付ける際に、付勢部材36が邪魔にならない。また、当接部材39を設けても付勢部材36を良好に組み込むことができる。
また、クラッチシフタ35を第1位置X1と第2位置X2とに位置変更させるシフトフォーク37と、シフトフォーク37を支持するシフトロッド38と、を備え、当接部材39は、シフトロッド38との干渉を避ける切欠き部39eを有する。
【0079】
この構成によれば、当接部材39とシフトロッド38とをコンパクトに組み込むことができる。
また、ケースは、伝動軸の軸部29とは反対側の部位を回転可能に支持する支持筒部(第1支持筒部14)を有し、支持筒部は、当接部材39に対向する側の端面から当接部材39側に突出していて、該当接部材39に当接する当接部(第1突部41a、第2突部41b、第3突部41c)を有する。
【0080】
この構成によれば、当接部材39と支持筒部の端面との間の空間に、例えば、クラッチシフタ35を第1位置X1へ付勢する付勢部材36を縮めた際における該付勢部材36を良好に収めることができる。
また、作業機1は、原動機E1と、原動機E1の動力によって回転する回転軸(出力軸53)と、回転軸の動力を被動部(走行装置3)に伝達するトルクリミッタ58と、を備え、トルクリミッタ58は、回転軸と一体回転する第1伝動体(受けフランジ82)及び第2伝動体(押圧部材77)と、第1伝動体と第2伝動体との間に当接して配置されていて、第1伝動体及び第2伝動体と一体回転することで被動部へ動力を出力すると共に設定トルク以上のトルクが作用した際に第1伝動体及び第2伝動体と相対回転する出力部材(出力ギヤ61)とを有し、出力部材は、第1伝動体及び第2伝動体とに当接する当接面61A,61BにグリスG1を付着させるべく該グリスG1を貯留する少なくとも1つのグリス穴111を有する。
【0081】
この構成によれば、出力部材の当接面に付着するグリスによって、かじり等による滑りトルクの上昇を防止することができ、安定した滑りトルクを確保することができる。過負荷が繰り返し作用しても安定した滑りトルクを維持することができる。
また、出力部材は、回転軸の軸心O1を中心とする異なる円周上に配置された複数のグリス穴111を有する。
【0082】
この構成によれば、グリスを出力部材の径方向に分散して付着させることができる。
また、出力部材は、該出力部材の周方向Y1に位置をずらせて設けられた複数のグリス穴111を有する。
この構成によれば、出力部材に複数の穴を形成することによる強度低下を小さくすることができる。
【0083】
また、出力部材は、回転軌跡の一部が重なる複数のグリス穴111を有する。
この構成によれば、グリスの付着のむらを防止することが可能である。
また、グリス穴111は、回転軸心方向に平行な方向に出力部材を貫通して形成されている。
この構成によれば、1つのグリス穴111で出力部材の両側の当接面にグリスを付着させることができる。
【0084】
また、出力部材は、外周部61dに設けられた少なくとも1つの第1グリス穴111Aと、外周部61dと内周部との間の部位である中周部61eに設けられた少なくとも1つの第2グリス穴111bと、内周部61fに設けられた少なくとも1つの第3グリス穴111cと、を含む複数のグリス穴111を有する。
この構成によれば、出力部材の当接面にグリスを外周部から内周部にわたって付着することができる。
【0085】
また、トルクリミッタ58は、駆動軸の外側に一体回転可能に嵌められたハブ76であって、第1伝動体と、第1伝動体から駆動軸の軸心方向に突出する軸部83とを含むハブ76と、軸部83の外側に一体回転可能で且つ軸心方向に移動可能に嵌められた第2伝動体に当接して該第2伝動体を第1伝動体に向けて付勢する付勢部材(押圧バネ78)とを有し、出力部材は、第1伝動体と第2伝動体との間で軸部83の外側に相対回転可能に嵌められている
この構成によれば、出力部材と第1伝動体及び第2伝動体とを直接当接させることによって構造の簡素化を図ることができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。