(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886683
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】用紙集積装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20210603BHJP
B42C 19/08 20060101ALI20210603BHJP
B42C 5/00 20060101ALI20210603BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20210603BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
B65H9/00 K
B42C19/08
B42C5/00
B65H31/26
B65H29/52
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-240222(P2016-240222)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-95379(P2018-95379A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加芝 正幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−135704(JP,A)
【文献】
特開平06−100226(JP,A)
【文献】
実開平07−031743(JP,U)
【文献】
特開2003−211865(JP,A)
【文献】
特開平08−282899(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0125255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
B65H 31/00
B65H 29/00
B65H 5/00
B65H 37/00
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送方向に用紙束を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送方向と直角な第2搬送方向に前記用紙束を搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部で搬送される前記用紙束を受け取る受取部と、
前記受取部から搬送される前記用紙束を集積する集積部と、を備え、
前記用紙束は、
前記第1搬送方向に前記受取部へ搬送されると共に、前記第2搬送方向に前記集積部から搬送され、
前記受取部は、
前記第1搬送方向に搬送される前記用紙束の前記第2搬送方向側の一辺を前記第2搬送方向側の他辺より上方で支持して、前記用紙束を湾曲するための支持部と、
前記支持部を前記第2搬送方向に移動する駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記集積部で集積される前記用紙束の上方に配置され、
前記受取部に配置される前記用紙束は、前記集積部に配置される前記用紙束に重なるように配置されることを特徴とする用紙集積装置。
【請求項2】
前記支持部は、
前記第1搬送方向に延設されると共に、
前記第1搬送部側に設けられ、かつ、搬送される前記用紙束の前記第2搬送方向側の一辺を前記支持部の上に導く傾斜部を備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙集積装置。
【請求項3】
第1搬送部で第1搬送方向に用紙束を搬送するステップと、
第2搬送部で前記第1搬送方向と直角な第2搬送方向に前記用紙束を搬送するステップと、
前記第1搬送部で搬送される前記用紙束を受取部で受け取るステップと、
前記受取部から搬送される前記用紙束を集積部で集積するステップと、
前記受取部で前記用紙束を受け取るとき、前記集積部で集積される前記用紙束の上方に配置される支持部で前記用紙束の前記第2搬送方向側の一辺を前記第2搬送方向側の他辺より上方で支持して、前記用紙束を湾曲するステップと、
前記支持部を前記第2搬送方向に移動するステップと、を備え、
前記受け取るステップは、前記受取部に配置される前記用紙束が前記集積部に配置される前記用紙束に重なるように前記用紙束を受け取ることを特徴とする用紙集積方法。
【請求項4】
前記支持部は、
前記第1搬送方向に延設されると共に、
前記第1搬送部側に設けられ、かつ、搬送される前記用紙束の一辺を前記支持部の上に導く傾斜部を備えることを特徴とする請求項3に記載の用紙集積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束を集積する用紙集積装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙集積装置は、用紙加工装置(例えば、特許文献1等に示される中綴じ冊子の作成装置)に設けられる。用紙集積装置は、前工程(印刷機・丁合機等)から排出される用紙束を集積部に搬送して、集積部で用紙束を集積及び整列して、その後、集積及び整列された用紙束を集積部から次工程(折り機・中綴じ機等)に搬送する。
【0003】
ところで、用紙集積装置の処理速度を上げるためには、搬送速度を上げたり、集積時間を短くしたりすることが考えられる。しかし、単に搬送速度を上げたり、集積時間を短くしたりするだけでは、用紙束を安定的に搬送することが難しく、用紙束の整列の精度が下がる問題がある。
【0004】
また、用紙加工装置が設置される敷地の面積又は形状に制約がある場合、用紙加工装置をコンパクトにする必要があるので、特許文献1の
図1に示される用紙集積装置の通り、前工程から集積部へ用紙束を搬送する第1搬送方向と、集積部から次工程へ用紙束を搬送する第2搬送方向と、が直角かつ水平に配置される。この用紙集積装置においても、上記の問題の通り、処理速度を上げることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、互いに略直角かつ水平な第1搬送方向と第2搬送方向とに用紙束を搬送する場合でも、用紙の整列の精度が下がることがなく、処理速度を上げることが可能な用紙集積装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る用紙集積装置は、
第1搬送方向に用紙束を搬送する第1搬送部と、
第1搬送方向と直角な第2搬送方向に用紙束を搬送する第2搬送部と、
第1搬送部で搬送される用紙束を受け取る受取部と、
受取部から搬送される用紙束を集積する集積部と、を備え、
用紙束は、
前記第1搬送方向に受取部へ搬送されると共に、
前記第2搬送方向に集積部から搬送され、
受取部は、
第1搬送方向に搬送される用紙束の
前記第2搬送方向側の一辺を
前記第2搬送方向側の他辺より上方で支持して、用紙束を湾曲するための支持部と、
支持部を第2搬送方向に移動する駆動部と、を備える。
【0008】
本発明に係る用紙集積装置において、
支持部は、集積部で集積される用紙束の上方に配置され、
受取部に配置される用紙束は、集積部に配置される用紙束に重なるように配置される。
【0009】
好ましくは、
支持部は、
第1搬送方向に延設されると共に、
第1搬送部側に設けられ、かつ、搬送される用紙束の
前記第2搬送方向側の一辺を支持部の上に導く傾斜部を備える。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る用紙集積方法は、
第1搬送部で第1搬送方向に用紙束を搬送するステップと、
第2搬送部で第1搬送方向と直角な第2搬送方向に用紙束を搬送するステップと、
第1搬送部で搬送される用紙束を受取部で受け取るステップと、
受取部から搬送される用紙束を集積部で集積するステップと、
受取部で用紙束を受け取るとき、
前記集積部で集積される前記用紙束の上方に配置される支持部で用紙束の
前記第2搬送方向側の一辺を
前記第2搬送方向側の他辺より上方で支持して、用紙束を湾曲するステップと、
支持部を第2
搬送方向に移動するステップと、を備える。
【0011】
本発明に係る用紙集積装置において、
前記受け取るステップは、前記受取部に配置される用紙束
が前記集積部に配置される
前記用紙束に重なるように
前記用紙束を受け取る。
【0012】
好ましくは、
支持部は、
第1搬送方向に延設されると共に、
第1搬送部側に設けられ、かつ、搬送される用紙束の一辺を支持部の上に導く傾斜部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る用紙集積装置及び方法は、互いに直角かつ水平な第1搬送方向と第2搬送方向とに用紙束を搬送する場合でも、用紙の整列の精度が下がることがなく、処理速度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】用紙集積装置を示す側面図であって、(A)は用紙束が受取部に搬送されたときの状態であり、(B)は(A)に続く状態である。
【
図4】用紙集積装置を示す側面図であって、(A)は
図3(B)に続く状態であり、(B)は(A)に続く状態であり、(C)は(B)に続く状態である。
【
図5】受取部及び集積部の配置の関係を比較する平面図であって、(A)は本実施形態であり、(B)は比較例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明に係る用紙集積装置の一実施形態を説明する。第1搬送方向Xと第2搬送方向Yとは、互いに略直角かつ水平である。上下方向Zは、略垂直方向である。
【0016】
[構成]
先ず、用紙集積装置の構成を説明する。
図1の通り、用紙集積装置は、第1搬送方向Xに用紙束Sを搬送するための第1搬送部3を備える。用紙集積装置は、第2搬送方向Yに用紙束Sを搬送するための第2搬送部4を備える。第1及び第2搬送部3,4は、例えば、ベルトコンベヤ等で構成される。
【0017】
用紙集積装置は、第1搬送部3で搬送される用紙束Sを受け取る受取部1を備える。受取部1は、用紙束Sを湾曲するための支持部10を備える。支持部10は、第1搬送方向Xに延設される。
図2及び
図3の通り、受取部10は、第1搬送部3で搬送される用紙束Sを載置するテーブル部14を備える。支持部10は、テーブル部14の上面よりも上方に配置される。
【0018】
用紙束Sは、第1搬送方向Xに延設されると共に、互いに対向する一辺Sa及び他辺Sbを有する。用紙束Sの一辺Saは、第2搬送部4側に配置される一方、他辺Sbは、その反対側に配置される。用紙束Sがテーブル部14に載置されるとき、搬送される用紙束Sの一辺Saは、支持部10で支持される一方、用紙束Sの他端部Sbは、テーブル部14に支持される。用紙束Sの一辺Saは、他辺Sbより上方で支持される。そのため、用紙束Sは、第2搬送方向Yに湾曲する。
【0019】
支持部10は、傾斜部10aを備える。傾斜部10aは、第1搬送部3側に設けられる。傾斜部10は、第1搬送部3側へ下がっているので、用紙束Sの一辺Saを滑らかに支持部10の上に導くことができる。
【0020】
用紙束Sは、第2搬送方向Yに延設されると共に、互いに対向する前辺Sc及び後辺Sdを有する。受取部1は、用紙束Sの前辺Scが当接するストッパー部11を備える。第1搬送部3で搬送される用紙束Sの前辺Scは、ストッパー部11に衝突する。受取部1は、第1搬送方向Xに延設された第1押圧部12を備える。第1押圧部12は、支持部10に対向して配置される。
【0021】
図2及び
図3の通り、受取部1は、支持部10を第2搬送方向Yに移動する第1駆動部13を備える。第1駆動部13は、モーター部130と、モーター部130の出力軸130aと、を備える。出力軸130aは、第1搬送方向Xに延設される。第1駆動部13は、出力軸130aに設けられた駆動プーリー132と、フレーム(不図示)に回転自在に設けられた従動プーリー133と、を備える。第1駆動部13は、各プーリー132,133に架け渡された無端ベルト131を備える。
【0022】
支持部10は、無端ベルト131に取り付けられる。無端ベルト131は、第2搬送方向Yに延設される。従って、モーター部130が出力軸130aを正逆回転すると、支持部10は、第2搬送方向Yに前進及び後進する。
【0023】
用紙集積装置は、受取部1から搬送される用紙束Sを集積する集積部2を備える。集積部2は、受取部1からの用紙束Sの一辺Saが当接するシャッター部20を備える。シャッター部20は、第1搬送方向Xに延設される。集積部2は、第1搬送方向Xに延設された第2押圧部21を備える。シャッター部20と第2押圧部21とは互いに対向して配置される。
【0024】
受取部1からの用紙束Sの他辺Sbは、第2押圧部21で位置決めされる。シャッター部20は、開閉するように構成される。第2押圧部21は、第2搬送方向Yに移動するよう構成される。シャッター部20が閉じるとき、用紙束Sが整列されて、開くとき、用紙束Sが第2搬送部4に搬送される。
【0025】
集積部2は、第1搬送方向Xに所定の間隔を置いて配置された一対の位置決め部22を備える。この間隔は、用紙束Sの一辺Sa及び他辺Sbの長さである。そのため、受取部1からの用紙束Sの前辺Sc及び後辺Sdが位置決め部22に当接して、第1搬送方向Xにおいて、用紙束Sが整列される。
【0026】
図3の通り、集積部2は、第2押圧部21を駆動する第2駆動部23を備える。第2駆動部23は、第2搬送方向Yに所定の間隔を置いて配置された一対のプーリー232と、各プーリー232に架け渡された無端ベルト231と、を備える。第2押圧部21は、無端ベルト231に取り付けられる。プーリー232は、モーター部(不図示)で回転するように構成される。無端ベルト231の回転により、第2押圧部21は、第2搬送方向Yに前進する。
【0027】
なお、本実施形態では、
図3及び
図4の通り、無端ベルト231が同一方向に回転するだけで、受取部1からの用紙束Sを連続して押すことができるように、2つの第2押圧部21が、所定の間隔を置いて、無端ベルト231に取り付けられており、一方の第2押圧部21が、無端ベルト231の上側に配置されるとき、他方の第2押圧部21は、無端ベルト231の下側に配置される。
【0028】
図3の通り、集積部2は、受取部1の下方に配置される。集積部2は、受取部1からの用紙束Sを載置するテーブル部(不図示)を備える。集積部2のテーブル部は、受取部1のテーブル部14の下方に配置される。受取部1の支持部10は、集積部2で整列される用紙束Sの上方に配置される。受取部1に配置される用紙束Sは、集積部2に配置される用紙束Sに上下方向Zに重なるように配置される。
【0029】
[動作]
次に、用紙集積装置の動作を説明する。
図1の通り、前工程(不図示の印刷機・丁合機等)から排出される用紙束Sは、第1搬送部3で第1搬送方向Xに搬送される。このとき、用紙束Sは、整列されていない。用紙束Sは、第1搬送部3で受取部1に搬送される。用紙束Sの一辺Saが支持部10の上に載置される一方、他辺Sbがテーブル部14の上に載置される。そのため、
図3(A)の通り、用紙束Sは、第2搬送方向Yに湾曲すると共に、前辺Scがストッパー部11に衝突して停止する。
【0030】
次に、
図3(B)の通り、支持部10が第2搬送方向Yに前進する。それにより、用紙束Sの一辺Saがテーブル部14よりも下方に垂れ下がる。その後、
図4(A)の通り、第1押圧部12が第2搬送方向Yに前進して、用紙束Sの他辺Sbを押す。それによって、用紙束Sは、第2搬送方向に受取部1から集積部2に搬送及び落下される。用紙束Sは、集積部2のテーブル部(不図示)に載置される。その後、支持部10は第2搬送方向Yに後進して元の位置に戻り、次の用紙束Sのために待機する。
【0031】
次に、
図4(B)の通り、第2押圧部21が第2搬送方向Yに前進して、用紙束Sの他辺Sbを押す。それによって、用紙束Sは第2搬送方向Yに搬送されて、用紙束Sの一辺Saは、閉じたシャッター部20に当接される。これにより、シャッター部20及び第2押圧部21が、用紙束Sの一辺Sa及び他辺Sbを整列する。さらに、上述の通り、位置決め部22が、用紙束Sの前辺Sc及び後辺Sdを整列する。これにより、用紙束Sの四辺が整列される。
【0032】
その後、
図4(C)の通り、シャッター部20が開くと共に、第2押圧部21が第2搬送方向Yに前進する。これにより、
図1の通り、整列された用紙束Sが、集積部2から第2搬送部4される。そして、用紙束Sは、第2搬送部4で集積部2から次工程(不図示の折り機・中綴じ機等)に搬送される。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、用紙束Sの一辺Saは、第2搬送部4側に配置される一方、他辺Sbは、その反対側に配置されるが、それぞれSa,Sbが反対に配置されてもよい。
【0034】
本発明に係る用紙集積装置の効果について説明する。
【0035】
用紙束Sが受取部1に搬送されるとき、用紙束Sがストッパー部11に衝突して停止する。そのとき、用紙束Sは湾曲しているので、衝撃に対する強度が上がる。そのため、用紙束Sの進入速度を上げても、用紙束Sが変形することがなく、用紙束Sを安定的に搬送できる。
【0036】
図5(A)の通り、本発明では、受取部1に配置される用紙束Sは、集積部2に配置される用紙束Sに重なるように配置される。一方、
図5(B)の通り、比較例では、用紙束Sが重ならない。そのため、本発明では、比較例に比べて、用紙束Sを受取部1から集積部2へ搬送する距離が短くなるので、用紙束Sの搬送速度を向上できる。
【符号の説明】
【0037】
1 受取部
2 集積部
3 第1搬送部
4 第2搬送部
10 支持部
10a 傾斜部
13 第1駆動部
23 第2駆動部
S 用紙束
Sa 用紙束の一辺
Sb 用紙束の他辺
X 第1搬送方向
Y 第2搬送方向
Z 上下方向