特許第6886687号(P6886687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネダ技研の特許一覧

特許6886687リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル
<>
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000002
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000003
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000004
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000005
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000006
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000007
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000008
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000009
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000010
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000011
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000012
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000013
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000014
  • 特許6886687-リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886687
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】リング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20210603BHJP
   B42F 13/22 20060101ALI20210603BHJP
   B42D 3/04 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B42F7/00 A
   B42F13/22
   B42D3/04 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-44085(P2017-44085)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-144431(P2018-144431A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】593196528
【氏名又は名称】株式会社カネダ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金田 亨
(72)【発明者】
【氏名】山口 修二
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−262495(JP,A)
【文献】 特開2015−199301(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/066818(WO,A1)
【文献】 特開2016−124201(JP,A)
【文献】 特開2016−196197(JP,A)
【文献】 米国特許第04355916(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0079005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 13/22
B42D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い二本の基部と、それらの各基部の側面のそれぞれに一体に形成されて少なくとも一部で湾曲して該基部の正面側に延び、基部の相対変位に伴って開閉する複数対の半リング部とを有するリング式綴具を保持するリング式綴具ホルダーであって、
リング式綴具の前記基部の背面側で該背面に沿って延びるホルダー基板を具え、前記基部の背面に対向する前記ホルダー基板の表面に、前記基部を直接的に着脱可能な基部取付け箇所が設けられてなり、
前記基部取付け箇所が、リング式綴具の前記基部を該基部のいずれか一方の側面側から支持する少なくとも一個の片側壁部を有するリング式綴具ホルダー。
【請求項2】
前記基部取付け箇所が、リング式綴具の前記基部を該基部の両側面側から挟み込む少なくとも一個の側面挟持部を有してなる請求項1に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項3】
前記側面挟持部が、リング式綴具の前記基部の両側面に整合する内面形状を有してなる請求項2に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項4】
前記基部取付け箇所が、ホルダー基板の長手方向で、リング式綴具の前記基部の一端部に対応する位置に設けられて、前記一端部の周囲を取り囲む端部囲繞部と、ホルダー基板の長手方向で、リング式綴具の前記基部の他端部に対応する位置に設けられて、前記他端部に当該基部の側面側から引っ掛かって係合する端部係合部とを有してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項5】
前記端部係合部が、ホルダー基板の側縁に立設した側壁、及び、前記側壁からリング式綴具の前記基部側に向けて突き出る係合爪で構成されてなる請求項4に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項6】
ホルダー基板上で前記端部囲繞部を設けた箇所に、端部囲繞部内でのリング式綴具の基部の前記一端部の円滑な通過を可能にする擦抜け凹部が設けられてなる請求項4又は5に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項7】
前記ホルダー基板の前記表面が、該ホルダー基板の一方の側縁よりも他方の側縁で、リング式綴具側に隆起してなる請求項1〜のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項8】
前記ホルダー基板が幅方向に複数個並べて配置されてなる請求項1〜のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項9】
ホルダー基板の全体が一体に形成されてなる請求項1〜のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダー。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダーと、前記リング式綴具ホルダーの前記基部取付け箇所に基部が取り付けられたリング式綴具とを具えてなる綴具付きホルダー。
【請求項11】
リング式綴具が、基部の背面側で該基部と平行に延びる軸部と、基部の背面側に前記軸部を取り囲んで設けられて該軸部を支持する軸受け部とをさらに有し、前記軸部を中心とする基部の回動変位により、半リング部を開閉可能に構成されてなる請求項10に記載の綴具付きホルダー。
【請求項12】
リング式綴具の前記軸部が基部と一体に形成されてなる請求項11に記載の綴具付きホルダー。
【請求項13】
リング式綴具ホルダーにリング式綴具が、半リング部が開閉可能に保持されてなる請求項11又は12に記載の綴具付きホルダー。
【請求項14】
請求項1〜のいずれか一項に記載のリング式綴具ホルダーと、表表紙、裏表紙ならびに、表表紙および裏表紙の相互を連結する背表紙を含む表紙体とを具え、前記リング式綴具ホルダーが表紙体に取り付けられてなるファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、細長い二本の基部と、それらの各基部の側面のそれぞれに一体に形成されて少なくとも一部で湾曲して該基部の正面側に延び、基部の相対変位に伴って開閉する複数対の半リング部とを有するリング式綴具を保持するリング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイルに関するものであり、特に、かかるリング式綴具の使用態様の拡大、利便性の向上を実現するための技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のリング式綴具として従来は、たとえば、特許文献1〜3に記載されたもの等がある。
特許文献1には、細長い二本の基部と、それらの各基部の幅方向外側を向く側面のそれぞれに形成され、該基部の正面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部とを具えるリング式綴具であって、二本の基部のそれぞれの一端部を相互に連結することにより、当該一端部を中心として、それぞれの他端部が互いに離隔・接近する回動変位に基き、半リング部の開閉動作を可能にしたものが記載されている。
【0003】
特許文献2、3に記載された綴具はいずれも、互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二本の基部と、それらの各基部の幅方向外側を向く側面のそれぞれに形成され、該基部の正面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部とを具え、各基部の回動変位により、複数対の半リング部を、対をなす該半リング部のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたものである。
ここで、特許文献2では主として基部とは別部材としての金属製の軸部を、また特許文献3では基部と一体をなす軸部を、基部の背面側に設けるとともに、その軸部を支持する軸受け部を基板の背面側に一体に設けることにより、上述した基部の回動変位を実現している。
【0004】
かかるリング式綴具は、二本の基部が比較的細く、そのような基部に、略円環状のリング形状をなす複数対の半リング部を設けたことにより、リング式綴具に綴じ込んだ紙葉等を、当該リング形状に沿って大きく捲ることができるという利点を有する。
その他、このようなタイプのリング式綴具としては、特許文献4に記載されたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4261238号公報
【特許文献2】特許第5226146号公報
【特許文献3】特許第5657822号公報
【特許文献4】国際公開第2012/066818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したようなリング式綴具は一般に、表表紙や裏表紙を含む紙葉を綴じ込んで使用されるメモ帳その他の帳面に用いられており、かかるリング式綴具を、表表紙、裏表紙および背表紙を含む表紙体を有するファイルに取り付けて使用することは、基部が細くその取付けが困難であること等の理由より行われていない。
しかるに、そのようなリング式綴具の、ファイルへの着脱が可能になると、綴じ込んだ紙葉等を大きく捲れる利点とも相俟って、ユーザによるリング式綴具の使用態様が拡大し、また利便性が高まると考えられる。
【0007】
また、上述したようなリング式綴具を、壁やボードその他の所期した箇所に固定することができれば、リング式綴具の使用場所や使途が大きく増大し、それにより、リング式綴具の使用の幅がさらに広がることが予測される。
【0008】
この発明は、このような課題に対してなされたものであり、その目的とするところは、所定のリング式綴具の使用態様の拡大、ユーザによる利便性の向上に寄与することのできるリング式綴具ホルダー、綴具付きホルダーおよび、ファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のリング式綴具ホルダーは、細長い二本の基部と、それらの各基部の側面のそれぞれに一体に形成されて少なくとも一部で湾曲して該基部の正面側に延び、基部の相対変位に伴って開閉する複数対の半リング部とを有するリング式綴具を保持するものであって、リング式綴具の前記基部の背面側で該背面に沿って延びるホルダー基板を具え、前記基部の背面に対向する前記ホルダー基板の表面に、前記基部を直接的に着脱可能な基部取付け箇所が設けられてなり、前記基部取付け箇所が、リング式綴具の前記基部を該基部のいずれか一方の側面側から支持する少なくとも一個の片側壁部を有するものである。
ここで、「直接的に着脱可能」とは、ねじやリベットその他の固着具を用いることなしに、リング式綴具の基部を、リング式綴具ホルダーのホルダー基板の基部取付け箇所に取り付けるとともに、該基部取付け箇所から取り外すことができることを意味する。
【0010】
この発明のリング式綴具ホルダーでは、前記基部取付け箇所が、リング式綴具の前記基部を該基部の両側面側から挟み込む少なくとも一個の側面挟持部を有することが好ましい。
この場合においては、前記側面挟持部が、リング式綴具の前記基部の両側面に整合する内面形状を有することがより一層好ましい。
【0011】
また、この発明のリング式綴具ホルダーでは、前記基部取付け箇所が、ホルダー基板の長手方向で、リング式綴具の前記基部の一端部に対応する位置に設けられて、前記一端部の周囲を取り囲む端部囲繞部と、ホルダー基板の長手方向で、リング式綴具の前記基部の他端部に対応する位置に設けられて、前記他端部に当該基部の側面側から引っ掛かって係合する端部係合部とを有することが好ましい。
【0012】
ここでは、前記端部係合部が、ホルダー基板の側縁に立設した側壁、及び、前記側壁からリング式綴具の前記基部側に向けて突き出る係合爪で構成されるものとすることができる。
またここでは、ホルダー基板上で前記端部囲繞部を設けた箇所に、端部囲繞部内でのリング式綴具の基部の前記一端部の円滑な通過を可能にする擦抜け凹部が設けられていることが好ましい。
【0014】
ところで、この発明のリング式綴具ホルダーでは、前記ホルダー基板の前記表面が、該ホルダー基板の一方の側縁よりも他方の側縁で、リング式綴具側に隆起していることが好ましい。
【0015】
なお、この発明のリング式綴具ホルダーは、前記ホルダー基板が幅方向に複数個並べて配置されてなるものとすることができる。
また、この発明のリング式綴具ホルダーは、ホルダー基板の全体が一体に形成されてなるものであることが好ましい。
【0016】
この発明の綴具付きホルダーは、上記のいずれかのリング式綴具ホルダーと、前記リング式綴具ホルダーの前記基部取付け箇所に基部が取り付けられたリング式綴具とを具えてなるものである。
【0017】
ここで、リング式綴具が、基部の背面側で該基部と平行に延びる軸部と、基部の背面側に前記軸部を取り囲んで設けられて該軸部を支持する軸受け部とをさらに有し、前記軸部を中心とする基部の回動変位により、半リング部を開閉可能に構成されてなるものであることが好ましい。
このリング式綴具の前記軸部は基部と一体に形成されていることが好ましい。また、このリング式綴具は、リング式綴具ホルダーに、半リング部が開閉可能に保持されることが好ましい。
【0018】
この発明のファイルは、上記のいずれかのリング式綴具ホルダーと、表表紙、裏表紙ならびに、表表紙および裏表紙の相互を連結する背表紙を含む表紙体とを具え、前記リング式綴具ホルダーが表紙体に取り付けられてなるものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、所定のリング式綴具の基部を直接的に着脱可能な基部取付け箇所を設けたホルダー基板を具えるリング式綴具ホルダーにより、当該リング式綴具を、ファイルや壁、ボード等といったユーザが望む箇所に取り付けることが可能になるので、リング式綴具の利便性を大きく向上させるとともに、使用態様を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一の実施形態のリング式綴具ホルダーを示す斜視図である。
図2図1のリング式綴具ホルダーの正面図である。
図3図1のリング式綴具ホルダーを、それに保持させたリング式綴具とともに示す斜視図である。
図4図1のリング式綴具ホルダーを、それに保持させたリング式綴具とともに示す正面図である。
図5図1のリング式綴具ホルダーを表紙体に取り付けてなるファイルとしての使用例を示す斜視図である。
図6図1のリング式綴具ホルダーのホルダー基板にマグネット部材を取り付けた使用例を示す斜視図である。
図7図2のa−a線〜e−e線のそれぞれに沿う横断面図である。
図8図4のa−a線〜e−e線のそれぞれに沿う横断面図である。
図9図1のリング式綴具ホルダーにリング式綴具を保持させる際の動作を示す部分斜視図である。
図10】他の実施形態のリング式綴具ホルダーを示す斜視図である。
図11】さらに他の実施形態のリング式綴具ホルダーを示す斜視図である。
図12図10及び図11に示すリング式綴具ホルダーを具えるファイルの例を示す斜視図である。
図13図12に示すファイルを、各リング式綴具ホルダーにリング式綴具を保持させて閉じた状態で示す斜視図である。
図14図3に示すリング式綴具を構成する綴具構成部材の正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面に示すところに基き、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2にそれぞれ斜視図及び正面図で例示するリング式綴具ホルダー1は、図3及び図4に示すように、紙葉等を綴じ込む部分が少なくとも一部で湾曲して延びる円環状その他のリング状をなす所定のリング式綴具31を保持するためのものである。
【0022】
ここで、リング式綴具ホルダー1に保持されるリング式綴具31は、たとえば、それぞれ一方向に延びる棒状もしくは板状等の細長い二本の基部32と、それらの各基部32の外側を向く側面Sのそれぞれに一体に形成されて、その少なくとも一部で湾曲して基部32の側面Sから正面F側に延びる半リング部33とを有するものである。
【0023】
このリング式綴具31は、二本の基部32の回動変位等の相対変位に伴い、半リング部33を、その先端が互いに離隔する開放位置と該先端が互いに接近ないし接触する閉鎖位置との間で移動させて開閉させることができる。半リング部33の開放位置では、複数の貫通孔を有するルーズリーフ用紙その他の紙葉等の着脱を行うことができるとともに、半リング部分33の閉鎖位置では、該紙葉を綴じ込むことができる。
【0024】
上記のようなリング式綴具31を保持するため、リング式綴具ホルダー1は、図3及び図4に示すようにリング式綴具31を保持した状態で、リング式綴具31の基部32の背面B側で該背面Bに沿って延びて、正面視でほぼ長方形状をなす平板状のホルダー基板2を具える。なお図示の実施形態では、リング式綴具ホルダー1は、主としてこのホルダー基板2からなり、その全体がプラスチック製の一体物として射出成形により形成されたものである。また、ホルダー基板2には、リング式綴具31を保持した状態で、基部32の背面Bと対向する表面Sfに、基部32を、固着具なしで直接的に着脱可能な基部取付け箇所3a〜3dが設けられている。
【0025】
これにより、リング式綴具ホルダー1のホルダー基板2の基部取付け箇所3a〜3dに、リング式綴具31の基部32を、ねじ等の固着具を用いることなしに、またリング式綴具31を分解することなしに、工具不要にしてユーザの手で直接的に取り付けることができる。
【0026】
そして、リング式綴具ホルダー1は、たとえば、図5に示すように、ホルダー基板2の長手方向の中央や端部側に設けた三箇所の貫通穴4を用いて、表紙体52にリベット等の公知の手法にて取り付けることで、ファイル51の一部を構成するものとすることができる。この場合、綴じ込んだ紙葉等を大きく捲ることができるリング式綴具31を、ファイル51で用いることができ、また別のファイルに付け替えて用いることもできる。このような用途では、リング式綴具ホルダー1は、リング式綴具31と表紙体52との連結部材として機能する。なお、貫通穴4は必ずしも必要ではない。
このファイル51の表紙体52は、ファイル外装をなす表表紙53、裏表紙54ならびに、表表紙53および裏表紙54の相互間に跨ってそれらを連結する背表紙55で構成されており、リング式綴具ホルダー1は、表紙体52の背表紙55の内側に取り付けられている。
【0027】
あるいは、図6に示すように、リング式綴具ホルダー1のホルダー基板2の裏面Sb等に、たとえばマグネット部材71を取り付けることによって、リング式綴具ホルダー1を、冷蔵庫その他の家電機器またはボード等の所定の金属製の壁に固定可能とすることができる。
このように、リング式綴具ホルダー1により、従来は主としてメモ帳等の帳面に限定的に使用されていたリング式綴具31の使用場所や使途が拡大し、ユーザによる利便性の向上を実現することができる。
【0028】
ここで、リング式綴具ホルダー1のホルダー基板2に設けた基部取付け箇所3a〜3dは具体的には、側面挟持部3a、端部囲繞部3b、端部係合部3cおよび片側壁部3dのうちの少なくとも一つを含むものとして構成することができる。
【0029】
このうち、側面挟持部3aは、図7(a)及び図8(a)にホルダー基板2の長手方向に直交する横断面図で示すように、ホルダー基板2の表面Sfの各側縁からリング式綴具31側に延びる対をなす突出部分5a、5bからなるものであり、それらの突出部分5a、5bの間で、リング式綴具31の基部32がその基部32の両側面S側から挟み込まれる。
【0030】
側面挟持部3aの突出部分5a、5bの内面は、基部32の曲面状等の側面Sに沿って整合する形状とし、さらにこの実施形態のように、突出部分5a、5bの先端側でそれらが相互に近接する向きに湾曲して幅方向内側に向けて若干延びる形状とすることが、リング式綴具31の確実かつ強固な保持を実現する上で好ましい。
【0031】
この実施形態では、ホルダー基板2の長手方向の中央を隔てて両側にそれぞれ三個、合計六個の側面挟持部3aを設けており、各側面挟持部3aで、ホルダー基板2の一方の側縁側に位置する突出部分5aの長手方向の長さよりも、他方の側縁側に位置する突出部分5bの長手方向の長さを二倍程度長くしている。
なお、ホルダー基板2の表面Sfの側面挟持部3aを設けた箇所には、ホルダー基板2の表裏方向に貫通する孔部6が形成されている。
【0032】
端部囲繞部3bは、ホルダー基板2の長手方向で、リング式綴具31の基部32の一端部に対応するホルダー基板2の端部に設けられおり、基部32の一端部の周囲を取り囲んで、これを保持する。より詳細には、図示の実施形態では、端部囲繞部3bは、図7(b)及び図8(b)に示すように、ホルダー基板2の表面Sfの一方の側縁と他方の側縁との間に架け渡された橋梁状の形状を有し、その内面は、ホルダー基板2の表面Sfから離れる向きに凸のアーチ状をなす。
【0033】
そして、ホルダー基板2の表面Sf上で端部囲繞部3bを設けた箇所には、少なくともその表面Sfから窪む凹状、ここではホルダー基板2の表裏方向の全体にわたって貫通する貫通孔状の擦抜け凹部7が設けられている。
【0034】
このリング式綴具ホルダー1では、リング式綴具31を保持させる際に、その基部32を、ホルダー基板2の基部取付け箇所3a〜3dに取り付けるには、はじめに、図9(a)及び(b)に示すように、基部32の一端部が、端部囲繞部3bの内側を通過するように、基部32の一端部を端部囲繞部3b内に送り込む。
ここで、基部32の一端部及び他端部のそれぞれの先端には、他の部分に比して径が大きくユーザが保持する摘みとして機能する拡径先端部34が設けられており、この拡径先端部34を端部囲繞部3b内に潜らせて当該一端部を円滑に通過させるため、上述した擦抜け凹部7が有効に働くことになる。つまり、擦抜け凹部7は、端部囲繞部3b内に基部32の一端部を通す際の拡径先端部34の一時的な逃げ場所となる。
ちなみに、基部32の一端部が端部囲繞部3b内を通過して、基部32が基部取付け箇所3a〜3dに取り付けられた後、拡径先端部34は端部囲繞部3bに引っ掛かり、後述するように、ユーザが基部32の他端部を引っ張ることによる、リング式綴具31の半リング部32を開く動作を補助する。
【0035】
他方、端部係合部3cは、ホルダー基板2の長手方向で、リング式綴具31の基部32の他端部に対応するホルダー基板2の端部に設けられおり、基部32の他端部に基部の側面側から引っ掛かって係合する。
ここでは、端部係合部3cは、図7(c)及び図8(c)に示すように、ホルダー基板2の表面Sfの一方の側縁上に実質的に直立する側壁8と、この側壁8からリング式綴具31の基部32側に向けて突き出る係合爪9で構成されている。そして、これに対応するリング式綴具31の基部32の他端部の側面Sには、図8(c)に示すように、該側面Sから窪んで上記の係合爪9が入り込む係合凹部35が形成されている。
【0036】
この実施形態では、端部係合部3cの係合爪9は、図7(c)に示すように、図の下側に位置して側壁8の内面に対してほぼ90°をなす係合面10と、係合面10に連なって側壁8の内面と平行する内向き面11と、図の上側に位置して内向き面11と側壁8の内面とを斜めに連結する斜面12とで構成されており、図示の断面で台形状をなす。基部32を端部係合部3cに取り付ける際には、ユーザが基部32の他端部に加えるホルダー基板2の表面Sf側への力の作用により、基部32の他端部の側面Sが係合爪9の斜面12上で滑り、係合面10が他端部側面Sの係合凹部35の内側に係合する。
【0037】
片側壁部3dは、図7(d)及び図8(d)に示すように、ホルダー基板2の表面Sfのいずれか一方の側縁上に直立させて設けることができ、これにより、リング式綴具31の基部32が基部32のいずれか一方の側面S側から支持される。この片側壁部3dは、ホルダー基板2の長手方向に少なくとも一個設けることができ、仮に二個以上設ける場合は、それぞれをホルダー基板2の表面Sfの一方および他方の側縁のそれぞれに設けることも可能であるが、この実施形態では、他方の側縁のみに、長手方向の中央を隔てて二個ずつの計四個設けている。
【0038】
なお上述した基部取付け箇所3a〜3dは、図示の実施形態のように、ホルダー基板2の長手方向で、ホルダー基板2上の、リング式綴具31の半リング部33が配置される部分から若干ずらして、半リング部33の間の部分や端部に設けることが、基部取付け箇所3a〜3dにより基部32を強固に保持できる点で好適である。基部取付け箇所3a〜3dを、ホルダー基板2上の、半リング部33が配置される部分に設けた場合は、基部32の側面Sから延びる半リング部33の存在により、基部取付け箇所3a〜3dの、基部32との十分な接触面積が確保できない場合があることによる。
【0039】
また、この実施形態では、図7(e)及び図8(e)に示すところから解かるように、ホルダー基板2の表面Sfを、ホルダー基板2の一方の側縁よりも他方の側縁で、リング式綴具31側に隆起させて、その他方の側縁に、長手方向の略全長に延びる隆起部2aを形成している。この隆起部2aによっても、リング式綴具31の基部32が支持される。
【0040】
このようなリング式綴具ホルダー1に、リング式綴具31を保持させるには、はじめに、図9(a)及び(b)に示すように、リング式綴具31の基部32の一端部が端部囲繞部3b内を通過するように、基部32の一端部を、端部囲繞部3bの内側に潜らせる。このとき、先に述べたように、ホルダー基板2に対して傾斜する向きとなっている基部32の一端部の拡径先端部34が、ホルダー基板2の擦抜け凹部7内に一時的に入り込むことにより、基部32の一端部が端部囲繞部3b内を円滑に通過し、そしてその通過後は、拡径先端部34が端部囲繞部3bに引っ掛かる。
【0041】
次いで、基部32がホルダー基板2と平行な向きになるように、基部32の他端部を、ホルダー基板2の端部係合部3c側に向けて接近させて、各側面挟持部3aに、それらのそれぞれに対応する位置の基部32の各部分を挟み込ませるとともに、基部32の他端部を、端部係合部3cに引っ掛けて係合させる。これにより、片側壁部3dで、対応する位置の基部32の各部分が支持されて、ホルダー基板2の基部取付け箇所3a〜3dへの基部32の取付けが完了し、リング式綴具ホルダー1に、リング式綴具31を保持させることができる。
【0042】
リング式綴具ホルダー1からリング式綴具31を外すには、上述したところとは逆に、はじめに、基部32を僅かに側方に弾性変形させること等によって、基部32の他端部と端部係合部3cとの係合状態を解除し、次いで、ホルダー基板2を傾斜させて、基部32の他端部を端部係合部3cから離隔させるとともに、各側面挟持部3aに挟み込まれた基部32の各部分を外し、その後、基部32の一端部の拡径先端部34を擦抜け凹部7内に入り込ませつつ、基部32の一端部を端部囲繞部3b内から引き抜く。
【0043】
図10及び図11に、他の実施形態のリング式綴具ホルダー1a、1bを示す。
これらのリング式綴具ホルダー1a、1bは、図10及び図11に示すように、ホルダー基板2bを幅方向に二個もしくは三個並べて配置し、それらが一体に形成されたものである。なおここで、ホルダー基板2bは、基部取付け箇所をすべて側面挟持部3aとし、それらの側面挟持部3aで、ホルダー基板2bの表面Sfからの突出部分の突出高さを若干異なるものとしたことを除いて先に説明したホルダー基板2と実質的に同様の構成を有するものであるが、先述したホルダー基板2と同じ構成とすることも可能である。
【0044】
そして、図12図13に示すファイル61では、図10及び図11に示すそれぞれのリング式綴具ホルダー1a、1bを、裏表紙64に連なって閉じた状態で背表紙65に対向する折返し部分66の内側と、背表紙65の内側とのそれぞれに取り付けている。このファイル61では、図13に示すように、五個のリング式綴具31を着脱することができ、それらのそれぞれに綴じ込んだ紙葉を分けて収納することができる。
図示は省略するが、用途等に応じて、リング式綴具ホルダーのホルダー基板2bは四個以上とすることもできる。
【0045】
なお図示の例では、リング式綴具31は、基部32の背面B側で該基部32と平行に延びる軸部36と、基部32の背面B側に前記軸部36を取り囲んで設けられて軸部36を支持する軸受け部37とをさらに有する。より詳細には、リング式綴具31は、図14(a)及び(b)に示す綴具構成部材38を二個組み合せるとともに、その軸受け部37に金属製の軸部36としてのシャフト部材を通して構成されている。なお、たとえば基部32の背面Bの中央部には、図示しないコイルスプリングを設けることもできる。
このリング式綴具31では、ユーザが先述の拡径先端部34を把持して、それぞれの基部32をその長手方向に沿って相互に逆向きに引っ張って変位させた後、基部32を捩ることにより、軸受け部37が一体形成された基部32が、軸部36を中心として回動変位し、それに伴い、基部32に一体形成された半リング部33が開く動作が生じる。
【0046】
ここで、図示の実施形態のリング式綴具ホルダー1によれば、先に説明した基部取付け箇所3a〜3dにリング式綴具31の基部32を取り付けることにより、リング式綴具ホルダー1がリング式綴具31を保持した状態で、リング式綴具31を開くことができる。
特にこの実施形態では、基部取付け箇所3a〜3dに基部32を取り付けた際に、先述したように、基部32の一端部の拡径先端部34が端部囲繞部3bに引っ掛かることから、ユーザは、基部32の他端部の拡径先端部34のみを把持してこれを引っ張ると、基部32の回動変位及び、それに伴う半リング部33の開放・閉鎖を行うことができる。
【0047】
但し、上述したリング式綴具31は、この発明のリング式綴具ホルダーに保持させることのできる一例として、説明のために挙げたものにすぎず、この発明のリング式綴具ホルダーは、特許請求の範囲で特定したような、先述した特許文献に記載されたものを含む種々のリング式綴具を保持するべく、形状ないし構造を適宜変更することが可能である。
【0048】
たとえば、上述したリング式綴具に代えて、図示は省略するが、少なくとも一方の基部の背面に、その背面から間隔をおいて基部と平行に延びる一本以上の軸部としての両端固定シャフトを一体に設けるとともに、他方の基部の背面で、一方の基板の両端固定シャフトに隣接する位置に、両端固定シャフトの周囲を両端固定シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、それにより、シャフト把持部で把持させた両端固定シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能としたリング式綴具とすることが好ましい。この場合、当該リング式綴具の形状に合わせて、それを保持するリング式綴具ホルダーの形状を変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a、1b リング式綴具ホルダー
2、2b ホルダー基板
2a 隆起部
3a 側面挟持部(基部取付け箇所)
3b 端部囲繞部(基部取付け箇所)
3c 端部係合部(基部取付け箇所)
3d 片側壁部(基部取付け箇所)
4 貫通穴
5a、5b 突出部分
6 孔部
7 擦抜け凹部
8 側壁
9 係合爪
10 係合面
11 内向き面
12 斜面
31 リング式綴具
32 基部
33 半リング部
34 拡径先端部
35 係合凹部
36 軸部
37 軸受け部
38 綴具構成部材
51、61 ファイル
52、62 表紙体
53、63 表表紙
54、64 裏表紙
55、65 背表紙
66 折返し部分
71 マグネット部材
Sf ホルダー基板の表面
Sb ホルダー基板の裏面
F 基部の正面
B 基部の背面
S 基部の側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14