特許第6886695号(P6886695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886695
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】光硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210603BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20210603BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20210603BHJP
   A45D 31/00 20060101ALI20210603BHJP
   A45D 29/18 20060101ALI20210603BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20210603BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61K8/37
   A61K8/46
   A61K8/35
   A61K8/55
   A61K8/49
   A61Q3/02
   A45D31/00
   A45D29/18
   C08G75/045
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-101070(P2017-101070)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2017-210475(P2017-210475A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-102791(P2016-102791)
(32)【優先日】2016年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一生
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−005260(JP,A)
【文献】 特開2015−189668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A45D 29/00−31/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、多官能チオール及び光重合開始剤を含有し、
該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー全体の平均アクリル当量が400〜2000であり、
かつ、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの全て又は一部が、重量平均分子量が3000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである
光硬化性人工爪組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル系モノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は(2−メチル
−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートである請求項1に
記載の光硬化性人工爪組成物。
【請求項3】
重量平均分子量が3000以上、平均アクリル当量が2000以下、アクリロイル基に基づく官能基数が2〜6のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、請求項1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施すというネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強や装飾の目的で、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料を爪に塗布することもなされている。
【0003】
ここで、装飾又は補強のために使用される爪装飾材料としては、ニトロセルロース系のラッカーを有機溶剤に溶解し、これに各種色調の顔料を加えたものがある。これらは、爪や人工爪に塗布した後、有機溶剤を揮発させて、光沢に優れた被膜を形成するものである。そして、この被膜はアセトン等の有機溶剤を用いて容易に拭き取ることができる。しかし、この種の爪装飾材料は、有機溶剤を含むため、使用時に揮発する有機溶剤を、使用者が直接吸引する恐れがある。また、形成される被膜は強靭な被膜とはなり得ず、擦れ、衝撃等の刺激により容易に剥離してしまう恐れがある。
一方最近では、ウレタンアクリレート系オリゴマーとアクリル系モノマーを含むジェル状の爪被覆材料を爪に塗布し、紫外線を照射して硬化させる、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。
これらは、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
しかしながら、実際には、光硬化時において、酸素による硬化阻害が発生し、光硬化後に特に塗布層の表面において未硬化の組成物が存在することがある。そしてこのような場合には、未硬化の組成物を拭き取ることが必要であった。
【0004】
このような人工爪組成物として、特許文献1に記載されているように、該組成物中に紫外線の照射により重合可能な、重量平均分子量3,000〜50,000のポリウレタンアクリレートやモノマー成分を含有する、爪への密着性や除去性に優れた人工爪組成物は公知である。
また、特許文献2に記載されているように、ウレタンアクリレートオリゴマー及びヒドロキシエチルアクリレートを含有し、人体に安全なUVAにより短時間で硬化させることができる人工爪組成物も公知である。
特許文献3には、ネイル用の除去可能なゲル硬化性の組成物であって、ジ−[ヒドロキシエチルメタクリリック]トリメチルヘキシルジカルバメート、メタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及び溶剤を含有する組成物であり、さらに配合し得る成分のうちの一種としてポリウレタンアクリレートオリゴマーも例示されているが、浸漬による除去性に関する具体的な結果は何ら示されていない。
しかし、これらの組成物の使用は、未だ硬化性が不十分であり、皮膚への刺激性を低くすることができず、未硬化のモノマーを拭き取っても、艶と硬度を十分に有する人工爪の被膜を得ることができなかった。
そのため、特許文献4に記載されるように、1分子内にラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物、およびチオール化合物を含有する人工爪原料組成物とすることによって、接着性及び除去性を向上させることが記載されているが、屈曲性に関しては検討していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−229725号公報
【特許文献2】特開2010−105967号公報
【特許文献3】特許第5756604号公報
【特許文献4】特開2014−5260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各特許文献1〜3には、重量平均分子量3,000〜50,000のポリウレタンアクリレートを含有する人工爪組成物や、分子量が不明なウレタンアクリレートオリゴマーと2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含有する人工爪組成物、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び他の光重合性モノマーを含有することを基礎とし、さらに分子量が不明なウレタンアクリレートオリゴマー他多種の成分を配合しえる人工爪組成物が記載されているが、特に特許文献3に記載の発明は具体的データに裏付けられておらず、しかも浸漬による除去性であって、決して溶剤を用いた拭き取りによる除去を想定していないので、依然として簡便に人工爪組成物を除去でき、硬化された組成物は十分に耐屈曲性に優れるものではない。また、一般にジェルネイルは低出力の紫外線によって硬化されるので、空気中の酸素による硬化阻害によって残存した未硬化樹脂を、紫外線の照射後に拭き取り除去する際に、硬化された人工爪組成物が十分な架橋密度を有しないときには、表面に微細な凹凸が発生し、光沢度が低下することになる。
また特許文献4には、多官能チオールとウレタンアクリレートオリゴマーを含有する組成物が記載されており、その組成物によれば、硬化時において未硬化成分を残留させず、接着性に優れるとされるが、硬化後の被膜が硬すぎるので割れやすいものであった。
本発明は光硬化性人工爪組成物において、紫外線により硬化させることによっても硬化後の被膜が適度な強度を備える硬化性を有し、皮膚への刺激性が低く、かつ、硬化後において未硬化のモノマーを有しないので、被膜の形成が速やかで、且つ適切な屈曲性を備え艶がある被膜表面とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成物からなる光硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
1.ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、多官能チオール及び光重合開始剤を含有し、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー全体の平均アクリル当量が400〜2000であり、かつ重量平均分子量が3000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する光硬化性人工爪組成物。
2.(メタ)アクリル系モノマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートである1に記載の光硬化性人工爪組成物。
3.重量平均分子量が3000以上で、平均アクリル当量が400〜2000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのアクリロイル基に基づく官能基数が2〜6である1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紫外線等による硬化後に未硬化成分が残存しないので、拭き取り除去する必要がない。そして硬化被膜の表面に微細な凹凸を発生させることがないので、十分に優れた艶を有する被膜を形成させることができる。
また、有機溶媒を使用することなく、装飾や補強の目的でも爪表面を長期にわたり、確実に被覆することができる。
硬化後の組成物が硬すぎず屈曲性に優れるために、実使用において爪が受ける衝撃によっても被膜が欠損せず、爪の屈曲に追従する被膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の光硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュア、ジェルネイルのように爪の表面に、ベースコート、中間層であるカラーコート層、あるいはトップコート層として被覆を行うための組成物であり、従来の紫外線等により硬化されるラジカル重合性のマニキュア等と同様の紫外線硬化用の設備を用いて爪表面を被覆するものである。さらに、硬化後の表面には、未硬化の成分が残存しないので、未硬化の成分を除去する必要がない。
本発明の光硬化性人工爪組成物は特にジェルネイルとして使用することができる。使用者の爪に直接塗布されるベースコート、該ベースコートの上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコートのいずれにも使用されるものである。
ベースコートは一般的には透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。
カラーコートはソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色されるコートである。
トップコートは、ベースコートと同様に、透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。最上層であるため、ジェルネイルの艶を発揮させる作用を有する。本発明の光硬化性人工爪組成物は被膜表面の光沢度に優れるので、特にトップコート用として使用することが好ましい。
硬化後には酸素による重合阻害等を原因として未重合の光重合性成分が被膜内に存在することがないので、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて未硬化成分を拭き取る工程が不要である。
いずれの層に関しても硬化後少なくとも2週間、欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しない。
【0010】
以下に本発明の光硬化性人工爪組成物の具体的組成について説明する。
[平均アクリル当量が400〜2000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を付加反応させて得ることができる。
本発明の光硬化性人工爪組成物において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを全光硬化性人工爪組成物中に10〜99重量%、好ましくは30〜70重量%となるように含有させることができる。99重量%よりも多く含有すると硬化時に収縮が発生し、硬化後の被膜にしわが発生する可能性がある。含有する量が10重量%よりも少ないと、十分な硬度の被膜を形成させることができず、被膜表面に傷が付きやすくなる。
このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することにより、臭いが少なく伸縮性に優れ、かつ被膜の透明度が高く黄変せず、艶を有する高い硬度の硬化した光硬化性人工爪組成物の被膜を得ることができる。そのため、トップコート用に適した光硬化性人工爪組成物とすることができる。
使用されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、その全てのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの平均アクリル当量が400〜2000となるようにする。そのような平均アクリル当量とすることによって、硬化後に残存する未硬化樹脂を削減し屈曲性を向上させることができる。
同時に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの中の全て又は一部のものとして、重量平均分子量が3000以上のものを使用することが必要である。このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用し、多官能チオールと併用することによって、光硬化性人工爪組成物の硬化速度を十分に速くでき、かつ硬化後において、被膜内に未硬化樹脂を残すことがない。全ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中重量平均分子量が3000以上のものの含有比率は50重量%以上であること及び/又はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー全体の重量平均分子量、つまり光硬化性人工爪組成物中の各ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの配合量を考慮した加重平均の平均分子量が2500以上であることが好ましく、硬化後の被膜の屈曲性を良好にさせる点では、3000以上であることがさらに好ましい。
なお、平均アクリル当量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが有するアクリロイル基に基づく官能基数で除した値である。
好ましいウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば重量平均分子量が3000以上で、1分子当たりのアクリロイル基に基づく官能基数が2のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、つまり平均アクリル当量が1500から、重量平均分子量が2000で1分子当たりのアクリロイル基に基づく官能基数が6以上、つまり平均アクリル当量が333の範囲である。
このようなウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3500、アクリロイル基に基づく官能基数6、平均アクリル当量:3500/6=583)、ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3000、アクリロイル基に基づく官能基数2、平均アクリル当量:3000/2=1500)、ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3500、アクリロイル基に基づく官能基数2、平均アクリル当量:3500/2=1750)、ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:15000、官能基数2、平均アクリル当量:15000/2=7500)、ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1500、アクリロイル基に基づく官能基数6、平均アクリル当量:1500/6=250)等を採用できる。
なかでも、また重量平均分子量が3000以上でアクリル当量が2000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、アクリロイル基に基づく官能基数が2〜4のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させるか、もしくは、このオリゴマーに加えて、さらに重量平均分子量が3000以上で平均アクリル当量が2000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、アクリロイル基に基づく官能基数が6のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを併用することがより好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することにより、未硬化樹脂を残さない反応速度を保ちつつ、十分な屈曲性をもつ被膜が得られる。一方重量平均分子量が3000未満で、アクリル当量が400以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、アクリロイル基に基づく官能基数が6のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用した場合、未硬化樹脂を残さない反応速度は得られるが、十分な屈曲性をもつ被膜は得られない。
なお、重量平均分子量が3000未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを併用することも可能であるが、その際には、本発明による効果を毀損しない程度の量を併用するに留めることが必要である。例えば全ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中に、重量平均分子量が3000未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを50重量%以上となるように多く併用すると、硬化後の被膜の硬度が高すぎて、衝撃を受けることにより割れやすくなる可能性がある。
そして光硬化性人工爪組成物中の各ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの配合量を考慮した加重平均の平均アクリル当量は400〜2000であり、屈曲性をさらに良好にすることを考慮するとより好ましい平均アクリル当量は600〜2000である。
【0011】
[その他の(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明の光硬化性人工爪組成物には、平均アクリル当量が2000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させることによる効果を阻害しない範囲において、それ以外の(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させることができる。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、平均アクリル当量が2000を超えるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーや、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられるが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させることによる作用を阻害しない範囲において含有させることができる。
【0012】
[多官能チオール]
本発明の光硬化性人工爪組成物に含有される多官能チオールは、1分子中にチオール基が2つ以上、好ましくは3つ以上存在する化合物である。
このような多官能チオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールが本来有する水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得たものが好ましい。
このような多官能チオールとしては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が挙げられる。
このような多官能チオールを含有させることによって、光硬化性人工爪組成物の粘度を調節することに加え、硬化した光硬化性人工爪組成物を拭き取って除去する際の拭き取り性を向上させることができる。
本発明の光硬化性人工爪組成物において、多官能チオールを全光硬化性人工爪組成物中に1.0〜50.0重量%、好ましくは2.0〜20.0重量%、さらに好ましくは7.0〜18.0重量%となるように含有させることができる。50.0重量%よりも多く含有すると硬化時の硬化速度が速すぎて、爪表面への塗布や、硬化時の取り扱いが困難になる可能性があり、含有する量が1.0重量%よりも少ないと、硬化速度が低下して、硬化後においても未硬化成分を含有する可能性がある。
【0013】
[単官能(メタ)アクリル系モノマー]
本発明の光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、(メタ)アクリル系モノマーの中でも単官能(メタ)アクリル系モノマーは、光硬化性人工爪組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
そのような単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
また、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートを使用することもできる。
単官能アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド化合物等、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、2−オキセパノンホモポリマー、2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルエステル、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート等の酸性の重合性モノマーも使用することができる。
この単官能(メタ)アクリル系モノマーは配合しないこともでき、配合するときの配合比率としては、全光硬化性人工爪組成物中に30.0重量%以下、好ましくは20.0重量%以下となるように含有させることができ、さらには含有しないことが好ましい。30.0重量%を超えて配合すると、硬化速度が減衰し、未硬化樹脂が残存する可能性がある。
なお、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又はイソボルニル(メタ)アクリレートを配合することが好ましく、このときに硬化後の被膜の硬度と屈曲性のバランスが良好になる。これらの化合物を配合する場合には、好ましくはその合計の配合量を20重量%以下とすることが好ましい。
【0014】
[多官能(メタ)アクリル系モノマー]
本発明の光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、上記のモノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーの中でも多官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、ラジカル重合しうる不飽和基を1分子中に2以上有する化合物であって、本発明の光硬化性人工爪組成物に配合できる化合物の1種である。ラジカル重合しうる不飽和基としては、炭素−炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基等を挙げることができる。
そしてこれらの多官能(メタ)アクリル系モノマーには、光硬化性人工爪組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
このような多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等のトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等のエリスリトール類の(メタ)アクリレート類、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを使用することができる。
このような多官能(メタ)アクリル系モノマーは被膜の強度を調整するために配合することができ、配合するときの配合比率としては、0〜30.0重量%、好ましくは0〜25.0重量%である。30.0重量%を超えて配合すると、硬化時において被膜の収縮が大きくなる可能性がある。また、多官能(メタ)アクリル系モノマーを含まない場合においても、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの比率で補える可能性がある。
【0015】
[光重合開始剤]
本発明の光硬化性人工爪組成物に配合される光重合開始剤は、LEDを光源とした紫外線や365〜410nm付近の波長の光(可視光の一部)によっても十分に硬化することができ、硬化時の発熱量を抑制することができるものが好ましい。
そのような光重合開始剤として、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アシッドエステル類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等を使用することができる。
これらの光重合開始剤として、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、フェニル酢酸、α−オキソ−,オキシジ−2,1−エタンジイルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、又はオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノンなどが好適に用いられる。なかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドを使用することが好ましい。
これらの開始剤は、染料、顔料や重合性化合物の光吸収によってもラジカル生成反応が阻害されず、またラジカル発生効率が高く、光硬化性人工爪組成物の硬化性を高めることができる点で好ましい。
これらの光重合開始剤は本発明の光硬化性人工爪組成物中0.5〜20.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%となるように配合することができる。20.0重量%を超えると、過剰な量のラジカルが発生することになるので、ラジカル重合反応が多くの開始点からなされ、その結果、硬化後のポリマーの分子量が小さくなって硬化膜が脆くなり、膜を維持できない可能性がある。また、0.5重量%未満であると十分な量のラジカルが発生できないので、ラジカル重合反応が長時間に及ぶこととなり、硬化不良となる可能性が高い。
【0016】
本発明の光硬化性人工爪組成物には、光沢度、粘度や透明性、硬化性などに悪影響を与えない範囲で各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、ポリオール類、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、着色剤、顔料、低応力化剤、抗菌剤、重合禁止剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0017】
着色剤としては公知の顔料、光輝材、染料を使用することができ、特に爪被覆用として使用されている無機顔料、光輝材有機顔料や染料を使用することができる。また、これらの着色剤を添加しない場合や透明となる程度の量、若しくは染料を添加することにより透明性がある光硬化性人工爪組成物とすることもできる。また、硬化前の光硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の光硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
使用できる顔料及び染料の種類、及びそれらの含有量としては、紫外線の照射による硬化を阻害しない程度のものとすることが必要である。
【0018】
<光硬化性人工爪組成物による被覆方法>
本発明の光硬化性人工爪組成物は、使用者自身の爪の表面にサンディングを施す等して爪表面に凹凸を形成させる必要がない他は、公知の紫外線硬化型の光硬化性人工爪組成物と同様の方法により爪表面に塗布することができる。また、爪への下地層として、あるいは中間層、さらにトップコート層として使用することができる。
そのため、本発明の光硬化性人工爪組成物は筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。もちろん、爪表面に本発明の光硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を被膜表面に付着させることも可能である。
また、シートの片面に本発明の未硬化の光硬化性人工爪組成物からなり、かつ爪の形状を有する層を設け、この層を爪表面に重ねるようにして付着させ、この光硬化性人工爪組成物からなる層からシートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化することもできる。このようなシート表面に予め光硬化性人工爪組成物からなる層を設けておけば、使用時に筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能である。そして使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でも良い。
塗布後の光硬化性人工爪組成物の硬化に関しても公知の紫外線硬化用の装置を用いて行うことができる。含有される化合物や顔料等の成分によって、硬化に必要な照射エネルギーは異なるものの、その光照射による照射エネルギー(積算光量)は、5mJ/cm以上1000mJ/cm以下であるのが好ましく、10mJ/cm以上800mJ/cm以下であるのがより好ましい。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートが得られる。
光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。
その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザーダイオード(UV−LD)が好ましい。
【実施例】
【0019】
表1に示す全配合成分(図中数値は重量%)を容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ80℃まで加温し1時間撹拌した。撹拌後80℃で2時間静置し脱泡した。これらの工程を全て遮光下にて行った。
<組成物の評価>
(未硬化樹脂の有無)
硬質塩化ビニル板上に100μmとなるように作成した被膜に、32W LED−UV(405nm)を60秒照射し硬化させた。指触により未硬化樹脂の有無を評価した。
5:未硬化樹脂を認めなかった。
1:未硬化樹脂を認めた。
(屈曲性)
硬質塩化ビニル板上に100μmとなるように作成した被膜に、32W LED−UV(405nm)を60秒照射し硬化させた。被膜のある面を山側にして硬化塩化ビニル板を折り曲げ、180°折り、伸ばした時の被膜の状態を評価した。
評価 5:被膜に欠損が見られない。
4:被膜に折り曲げた痕跡が見られる。
3:被膜に僅かな欠損がみられる。
2:被膜の一部が欠損し、剥離している。
1:被膜が著しく欠損又は大部分が剥離している。
【0020】
オリゴマーA:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3500、アクリロイル基に基づく官能基数6、平均アクリル当量:3500/6=583)
オリゴマーB:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3000、アクリロイル基に基づく官能基数2、平均アクリル当量:3000/2=1500)
オリゴマーC:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3500、アクリロイル基に基づく官能基数2、平均アクリル当量:3500/2=1750)
オリゴマーD:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:15000、アクリロイル基に基づく官能基数2、平均アクリル当量:15000/2=7500)
オリゴマーE:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1500、アクリロイル基に基づく官能基数6、平均アクリル当量:1500/6=250)
なお、下記表1中の重量平均分子量の値は、含有する各オリゴマーの配合量を考慮して加重平均した値である。
HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート
IBXA :イソボルニルアクリレート
MEDOMA :(2―メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル アクリレート
PPEOA :ポリペンタエリスリトールオクタアクリレート
TEMMP :トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
PEMP :ペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
DPMP :ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
PEMB :ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)
光重合開始剤A:ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
光重合開始剤B:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
【0021】
【表1】
【0022】
上記の実施例1〜13の結果によると、硬化された光硬化性人工爪組成物表面に未硬化樹脂を認められず、かつ爪が受ける衝撃により被膜が殆ど欠損せず、爪の屈曲に追従する被膜を形成することができた。これに対し、多官能チオールを含有しないか、平均アクリル当量が高い比較例1〜3の結果によると、硬化された光硬化性人工爪組成物表面に未硬化樹脂が認められ、さらに平均アクリル当量が低い比較例4によれば、硬化後に未硬化樹脂はないものの、屈曲性に劣る被膜が形成されたので、爪が受ける衝撃により被膜が欠損し、爪の屈曲に追従する被膜を形成できなかった。