特許第6886722号(P6886722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886722
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20210603BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20210603BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   E04B1/58 601E
   E04B5/02 G
   F16B5/06 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-35657(P2019-35657)
(22)【出願日】2019年2月28日
(65)【公開番号】特開2020-139323(P2020-139323A)
(43)【公開日】2020年9月3日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592090809
【氏名又は名称】松尾建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 哲吾
(72)【発明者】
【氏名】山崎 心
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−212785(JP,A)
【文献】 特開昭54−149218(JP,A)
【文献】 特開平11−081628(JP,A)
【文献】 特開2016−056597(JP,A)
【文献】 特開2004−353289(JP,A)
【文献】 米国特許第04198042(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38 − 1/61
E04B 1/00 − 1/36
E04B 5/02
F16B 5/00 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形鋼からなる梁材にスラブ状の床材を固定する固定具であって、
前記床材の下面に設けられて当該床材の下面へ前記梁材を押し付けるように当該梁材をクランプするクランプ手段を備え
前記クランプ手段が、
前記床材の上面と下面との間を連絡するように当該床材の側面に嵌合する断面コ字形をなす取付具と、
前記床材に嵌合する前記取付具の下部に突設されたねじ軸と、
前記ねじ軸に差し込まれる筒状のスペーサと、
前記ねじ軸に螺合するナットと、
前記スペーサと前記ナットとの間に基端側を位置させるように前記ねじ軸に差し込まれて先端側を前記梁材に当接させるクランププレートとを有している
ことを特徴とする固定具。
【請求項2】
請求項に記載の固定具において、
前記クランプ手段の前記ねじ軸が、前記取付具の下部に対をなして突設され、
前記クランプ手段の前記スペーサ及び前記ナットが、各前記ねじ軸にそれぞれ設けられ、
前記クランプ手段の前記クランププレートが、対をなす前記ねじ軸に基端側を差し込まれる単一の部材である
ことを特徴とする固定具。
【請求項3】
請求項又は請求項に記載の固定具において、
前記クランプ手段の前記取付具が、
前記床材の上面に当接する上板と、
前記床材の下面に当接する下板と、
前記床材の側面に当接して前記上板と前記下板とを連結する側板と
を具え、
前記床材の下面の周縁に設けられて前記クランプ手段の前記取付具の前記下板の厚さと同じ厚さをなす調整板を備えている
ことを特徴とする固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形鋼からなる梁材にスラブ状の床材を固定する固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物には、種々の材料(建築資材)が使用されている。近年では、建築資材の一つとして、直交集成板(Cross Laminated Timber:CLT)が注目されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
直交集成板は、ひき板をその繊維方向が平行するように並べたものをその繊維方向が直交するように交互に積層接着した木系材料であり、軽量かつ強度に優れたものである。このような木系材料を使用することにより、建築資材の総重量を抑えた建築物を造ることができる。
【0004】
そして、例えば、形鋼等の金属系材料を梁材として使用することによって建築物としての剛性を確保すると共に、CLT等のスラブ状の木系材料を床材として使用することによって建築物を軽量化することにより、当該建築物の耐震性能および免震性能等を格段に向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−087479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような形鋼からなる梁材にスラブ状の床材を固定する場合には、例えば、梁材に複数のスタッドを立設すると共に、床材に複数のスタッド挿通穴(貫通穴)を形成し、対応する梁材のスタッドと床材のスタッド挿通穴とを一致させるように梁材のスタッドに床材のスタッド挿通穴をそれぞれ挿通して梁材上に床材を位置決め配設した後、床材のスタッド挿通穴に樹脂を充填して硬化させることにより、梁材と床材とを固定するようにしている。
【0007】
このため、床材の複数のスタッド挿通穴を梁材の複数のスタッドに正確に位置合わせしなければならず、作業に非常に手間がかかってしまっていた。
【0008】
このようなことから、本発明は、形鋼からなる梁材にスラブ状の床材を容易に固定することができる固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するための、本発明に係る固定具は、形鋼からなる梁材にスラブ状の床材を固定する固定具であって、前記床材の下面に設けられて当該床材の下面へ前記梁材を押し付けるように当該梁材をクランプするクランプ手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段が、前記床材の上面と下面との間を連絡するように当該床材の側面に嵌合する断面コ字形をなす取付具と、前記床材に嵌合する前記取付具の下部に突設されたねじ軸と、前記ねじ軸に差し込まれる筒状のスペーサと、前記ねじ軸に螺合するナットと、前記スペーサと前記ナットとの間に基端側を位置させるように前記ねじ軸に差し込まれて先端側を前記梁材に当接させるクランププレートとを有していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段の前記ねじ軸が、前記取付具の下部に対をなして突設され、前記クランプ手段の前記スペーサ及び前記ナットが、各前記ねじ軸にそれぞれ設けられ、前記クランプ手段の前記クランププレートが、対をなす前記ねじ軸に基端側を差し込まれる単一の部材であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段の前記取付具が、前記床材の上面に当接する上板と、前記床材の下面に当接する下板と、前記床材の側面に当接して前記上板と前記下板とを連結する側板とを具え、前記床材の下面の周縁に設けられて前記クランプ手段の前記取付具の前記下板の厚さと同じ厚さをなす調整板を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段が、前記床材の下面に埋設されて当該床材の下面側に位置する端部にねじ穴を形成されためねじ軸と、前記めねじ軸の前記ねじ穴に螺合するボルトと、前記ボルトを差し込まれる筒状のスペーサと、前記ボルトの頭部と前記スペーサとの間に基端側を位置させるように当該ボルトを差し込まれて先端側を前記梁材に当接させるクランププレートとを有していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段の前記めねじ軸が、前記床材の下面に対をなして埋設され、前記クランプ手段の前記ボルト及び前記スペーサが、各前記めねじ軸にそれぞれ設けられ、前記クランプ手段の前記クランププレートが、対をなす前記めねじ軸に各々螺合する前記ボルトを基端側に差し込まれる単一の部材であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る固定具は、上述した固定具において、前記クランプ手段の前記めねじ軸が、前記床材の内部側に位置する端部側の外周面に当該床材内からの抜け及び当該床材内での回転を抑える突起を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る固定具によれば、クランプ手段が、床材の下面へ梁材を押し付けるようにクランプすることから、梁材に対して位置合わせをする必要がまったくなく、梁材に対する床材の定常の位置合わせを行うだけで済ますことができるので、梁材に床材を容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る固定具の第一番目の実施形態の要部の外観図であり、Aが側面図、Bが底面図である。
図2】本発明に係る固定具の第一番目の実施形態に利用する床材の外観図であり、Aが上面側からの斜視図、Bが下面側からの斜視図である。
図3図2の床材に図1の取付具を取り付けた状態の外観図であり、Aが上面側からの斜視図、Bが下面側からの斜視図である。
図4図3の床材を梁材に固定した状態の断面図である。
図5】本発明に係る固定具の第二番目の実施形態の外観図であり、Aが側面図、Bが底面図である。
図6図5のめねじ軸の外観図であり、Aが側面図、BがAのB−B線断面矢線視図である。
図7】本発明に係る固定具の第二番目の実施形態に利用する床材の下面側からの斜視図である。
図8図7の床材に図5,6のめねじ軸を取り付けた状態の下面側からの斜視図である。
図9図8の床材を梁材に固定した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る固定具の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
〈第一番目の実施形態〉
本発明に係る固定具の第一番目の実施形態を図1〜4に基づいて説明する。
【0020】
本実施形態に係る固定具は、図1〜4に示すように、形鋼からなる梁材10にスラブ状の床材20を固定する固定具であって、前記床材20の下面に設けられて当該床材20の下面へ前記梁材10を押し付けるように当該梁材10をクランプするクランプ手段であるクランパ110を備えている。
【0021】
前記梁材10は、H形鋼やI形鋼等の形鋼(金属系材料)からなり、そのフランジ部(リブ部)11を水平方向に沿わせるように配向され、平面視でロ字形(井桁状)となるように組み付けられる。
【0022】
前記床材20は、直交集成板(CLT)等の木系材料からなる本体パネル21の上面及び下面並びに側面を包囲するように石膏やけい酸カルシウム等の無機系材料からなる耐火パネル22が取り付けられ、その上面にラワン合板等の木系材料からなる保護板23がさらに取り付けられたスラブ状のものである。
【0023】
前記クランパ110は、前記床材20の上面20aと下面20bとの間を連絡するように当該床材20の側面20cに嵌合する断面コ字形をなす取付具111と、前記床材20に嵌合する取付具111の下部に突設されたねじ軸112と、ねじ軸112に差し込まれる筒状のスペーサ113と、ねじ軸113に螺合するナット114と、スペーサ113とナット114との間に基端側を位置させるようにねじ軸112に差し込まれて先端側を前記梁材10に当接させるクランププレート115とを有している。
【0024】
前記取付具111は、前記床材20の上面20aに当接する上板111aと、前記床材20の下面20bに当接する下板111bと、前記床材20の側面20cに当接して上板111aと下板111bとを連結する側板111cとを具えている。
【0025】
前記ねじ軸112は、取付具111の下板111bの下面(下部)に対をなして突出するように溶接接合されている。前記スペーサ113は、対をなすねじ軸112に同軸をなしてそれぞれ着脱可能に差し込まれている。前記ナット114は、対をなすねじ軸112にそれぞれ着脱可能に螺合している。前記クランププレート115は、対をなすねじ軸112に基端側を着脱可能に差し込まれる単一の部材となっている。
【0026】
そして、前記固定具は、さらに、前記床材20の下面20bの周縁に設けられて前記クランパ110の取付具111の下板111bの厚さと同じ厚さをなすラワン合板等の木系材料からなる調整板120を備えている。
【0027】
前記調整板120は、前記床材20の下面20bの各隅ごとに周縁に沿うようにL字形をなしてそれぞれ取り付けられ(四つ)、隣り合う間にクランパ110の取付具111の下板111bを入り込ませることができるようになっている。
【0028】
このような本実施形態に係る固定具を使用して梁材10に床材20を固定する方法を次に説明する。
【0029】
まず、工場において、前記床材20の下面20bの四隅に前記調整板120をそれぞれ取り付けた後(図2参照)、当該床材20を建設現場にまで搬送する。
【0030】
そして、建設現場において、前記床材20に取り付けられた調整板120の隣り合う間にクランパ110の取付具111の下板111bを位置させるように当該床材20の四辺に当該取付具111を差し込んで嵌合させることにより取り付ける(図3参照)。なお、このとき、クランパ110のスペーサ113、ナット114、クランププレート115は、ねじ軸112から取り外されている。
【0031】
次に、平面視でロ字形(井桁状)に組み付けられた前記梁材10のフランジ部10a上に前記床材20の下面20bの周縁を位置させるように当該床材20を載置した後、対をなすねじ軸112にスペーサ113をそれぞれ差し込むと共にクランププレート115の基端側を差し込むと、クランププレート115の先端側が前記梁材10のフランジ部10aの下面に当接する。
【0032】
続いて、対をなすねじ軸112にナット114をそれぞれ螺合して締め付けると、クランププレート115の先端側が前記梁材10のフランジ部10aの上面を前記床材20の下面20bへ押し付けるようにクランプする。これにより、前記床材20は、前記梁材10に固定される(図4参照)。
【0033】
つまり、本実施形態に係る固定具は、梁材10に対して床材20をクランプするようにして固定しているのである。
【0034】
このため、本実施形態に係る固定具においては、梁材10に対して位置合わせをする必要がまったくなく、梁材10に対する床材20の定常の位置合わせを行うだけで済ますことができる。
【0035】
したがって、本実施形態に係る固定具によれば、梁材10に床材20を容易に固定することができるので、固定作業に要する手間を大幅に削減することができ、作業効率を大きく向上させることができる。
【0036】
また、クランパ110の取付具111の下板111bの厚さと同じ厚さをなす調整板120を前記床材20の下面20bに取り付けたことから、クランパ110の取付具111の当該床材20への取り付けに伴って生じる当該床材20の下面20bと前記梁材10のフランジ部10aとの間の隙間を埋めるように塞ぐことができるので、当該梁材10に対して当該床材20をより安定して固定することができる。
【0037】
〈第二番目の実施形態〉
本発明に係る固定具の第二番目の実施形態を図5〜9に基づいて説明する。ただし、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る固定具は、図5〜9に示すように、前記梁材10に前記床材20を固定する固定具であって、前記床材20の下面に設けられて当該床材20の下面へ前記梁材10を押し付けるように当該梁材10をクランプするクランプ手段であるクランパ210を備えている。
【0039】
前記クランパ210は、前記床材20の下面20bに埋設されて当該床材20の下面20b側に位置する端部にねじ穴211aを形成されためねじ軸211と、めねじ軸211のねじ穴211aに螺合するボルト212と、ボルト212を差し込まれる筒状のスペーサ113と、ボルト212の頭部212aとスペーサ113との間に基端側を位置させるようにボルト212を差し込まれて先端側を前記梁材10に当接させるクランププレート115とを有している。
【0040】
前記めねじ部材211は、前記床材20の内部側に位置する端部側の外周面に当該床材20内からの抜け及び当該床材20内での回転を抑える突起211bを複数形成され、当該床材20の下面20bに対をなして埋設されている。
【0041】
前記ボルト212は、対をなすめねじ軸211のねじ穴211aにそれぞれ着脱可能に螺合している。前記スペーサ113は、各ボルト212に同軸をなしてそれぞれ着脱可能に差し込まれている。前記クランププレート115は、対をなすめねじ軸211のねじ穴211aに各々螺合するボルト212を基端側に着脱可能に差し込まれる単一の部材となっている。
【0042】
このような本実施形態に係る固定具を使用して梁材10に床材20を固定する方法を次に説明する。
【0043】
まず、工場において、前記床材20の下面20bの四辺の規定箇所に、クランパ210のめねじ軸211の直径よりもわずかに小さい直径の下穴20dを形成した後(図7参照)、当該床材20を建設現場にまで搬送する。
【0044】
そして、建設現場において、前記床材20の下面20bの下穴20d内にクランパ210のめねじ軸211を埋設させるように打ち込むことにより取り付ける(図8参照)。なお、このとき、クランパ210のボルト212、スペーサ113、クランププレート115は、めねじ軸211から取り外されている。
【0045】
次に、平面視でロ字形(井桁状)に組み付けられた前記梁材10のフランジ部10a上に前記床材20の下面20bの周縁を位置させるように当該床材20を載置した後、クランププレート115の基端側にボルト212を差し込んでから、当該ボルト212にスペーサ113を差し込んで、対をなすめねじ軸112のねじ穴211aに上記ボルト212をそれぞれ螺合すると、クランププレート115の先端側が前記梁材10のフランジ部10aの下面に当接する。
【0046】
引き続き、前記ボルト212をそれぞれ締め付けると、クランププレート115の先端側が前記梁材10のフランジ部10aの上面を前記床材20の下面20bへ押し付けるようにクランプする。これにより、前記床材20は、前記梁材10に固定される(図9参照)。
【0047】
つまり、本実施形態に係る固定具は、前述した実施形態に係る固定具と同様に、梁材10に対して床材20をクランプするようにして固定しているのである。
【0048】
このため、本実施形態に係る固定具においては、前述した実施形態に係る固定具と同様に、梁材10に対して位置合わせをする必要がまったくなく、梁材10に対する床材20の定常の位置合わせを行うだけで済ますことができる。
【0049】
したがって、本実施形態に係る固定具によれば、前述した実施形態に係る固定具と同様に、梁材10に床材20を容易に固定することができるので、固定作業に要する手間を大幅に削減することができ、作業効率を大きく向上させることができる。
【0050】
また、前述した実施形態に係る固定具よりも部材点数を減らすことができるので、前述した実施形態に係る固定具よりも低コスト化を図ることができる。
【0051】
〈他の実施形態〉
なお、前述した第一番目の実施形態においては、工場において、床材20に調整板120をそれぞれ取り付けた後、当該床材20を建設現場にまで搬送するようにしたが、他の実施形態として、例えば、工場において、床材20に調整板120を取り付けることなく当該床材20を建設現場にまで搬送した後、建設現場において、当該床材20に調整板120をそれぞれ取り付けるようにすることも可能である。
【0052】
また、前述した第一番目の実施形態においては、前記床材20の下面20bの周縁に取付具111の下板111bの厚さと同じ厚さをなす調整板120を取り付けるようにしたが、他の実施形態として、例えば、前記床材20に対するクランパ110の取り付け位置(例えば、少なくとも各辺の各隅寄りにそれぞれ取り付ける)等によっては、調整板120を省略することも可能である。
【0053】
また、前述した第一番目の実施形態においては、ねじ軸112を取付具111の下板111bに対をなして(二本)設けるようにしたが、他の実施形態として、例えば、ねじ軸112を取付具111の下板111bに一本又は三本以上設けるようにすることも可能である。しかしながら、前述した第一番目の実施形態のように、ねじ軸112を取付具111の下板111bに対をなして(二本)設けるようにすれば、梁材10に床材20を固定する際にクランププレート115が旋回してしまうことを低コストで防止できるので、非常に好ましい。
【0054】
また、前述した第二番目の実施形態においては、建設現場において、床材20にめねじ軸211を埋設させるように打ち込むことにより取り付けるようにしたが、他の実施形態として、例えば、工場において、床材20の下面20bの下穴20d内にめねじ軸211を埋設させるように打ち込むことにより取り付けた後、当該床材20を建設現場にまで搬送するようにすることも可能である。
【0055】
また、前述した第二番目の実施形態においては、めねじ軸211を床材20の下面20bに対をなして(二本)埋設してボルト212を二本使用するようにしたが、他の実施形態として、例えば、めねじ軸211を床材20の下面20bに一本又は三本以上埋設してボルト212を一本又は三本以上使用するようにすることも可能である。しかしながら、前述した第二番目の実施形態のように、めねじ軸211を床材20の下面20bに対をなして(二本)埋設してボルト212を二本使用するようにすれば、梁材10に床材20を固定する際にクランププレート115が旋回してしまうことを低コストで防止できるので、非常に好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る固定具は、梁材に床材を容易に固定することができるので、建設業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 梁材
10a フランジ部(リブ部)
20 床材
20a 上面
20b 下面
20c 側面
20d 下穴
21 本体パネル
22 耐火パネル
23 保護板
110 クランパ
111 取付具
111a 上板
111b 下板
111c 側板
112 ねじ軸
113 スペーサ
114 ナット
115 クランププレート
120 調整板
210 クランパ
211 めねじ軸
211a ねじ穴
211b 突起
212 ボルト
212a 頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9