(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各産業では、製品のコンパクト化やスリム化が進んでおり、そういった製品を製造したり検査したりする工程もますます複雑になり、それら各工程で用いられる装置の複雑性も増している。こういった状況から、装置の使い方はますます難しくなり、作業者の操作エラーを誘発しやすいという問題がある。こういった問題は、各産業に属する企業等の損失を増加させる方向に作用する。
【0006】
上記のような複雑性が存在する状況において、対象機器の操作等にしてユーザーが発する質問は、状況に応じてその質問の意図が異なり得るという問題がある。また、ユーザーからの質問に対して単に回答を返すだけでは、ユーザーがすべての正しい操作方法にたどりつくとは限らないという問題がある。つまり、オペレーション支援装置には、状況に依存する質問の意図に応じた答弁を行うことが求められる。また、オペレーション支援装置が、単に質問に対する答弁を返すだけではなく、必要に応じて、対象機器を適切に制御できることが好ましい。
【0007】
本発明は、上記のような状況を考慮して為されたものであり、質問内容の表層だけではなくその状況にも応じた対応を行うことができ、また、場合によってはユーザーに代わって対象装置の制御の少なくとも一部を行うことのできる、オペレーション支援装置、オペレーション支援方法、およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるオペレーション支援装置は、質問を取得するための入力部と、対象装置についての説明画面を表示する表示部と、前記対象装置を制御するための制御命令を実行する制御命令実行部と、質問と画面識別情報とに基づいて、前記質問の意図を表す意図情報を出力するための情報を持ち、機械学習可能に構成したモデルと、前記質問と、前記入力部が前記質問を取得した際に表示されていた説明画面を識別するための画面識別情報とに基づいて、前記モデルから前記意図情報を取得し、取得した前記意図情報に対応する答弁と、前記意図情報と前記画面識別情報とに対応する制御命令と、前記意図情報と前記画面識別情報とに対応する遷移先の説明画面を識別するための遷移先画面識別情報と、を求める推論部と、前記推論部が求めた前記答弁を出力し、前記推論部が求めた前記制御命令を前記制御命令実行部に実行させ、前記推論部が求めた前記遷移先画面識別情報に対応する説明画面を前記表示部に表示させる、アプリケーションプログラムを実行させるアプリケーション稼働部と、を備えるものである。
【0009】
[2]また、本発明の一態様は、上記のオペレーション支援装置において、前記質問と、前記画面識別情報と、前記意図情報と、を含む学習用データを供給して、前記モデルの機械学習を行う機械学習処理部、をさらに備えるものである。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記のオペレーション支援装置において、前記表示部は、前記アプリケーション稼働部が出力した前記答弁を表示するものである。
【0011】
[4]また、本発明の一態様は、上記のオペレーション支援装置において、前記意図情報と前記答弁との対応関係を記憶する答弁記憶部、を備え、前記推論部は、取得した前記意図情報に基づいて前記答弁記憶部を参照することにより、前記意図情報に対応する前記答弁を求めるものである。
【0012】
[5]また、本発明の一態様は、上記のオペレーション支援装置において、前記意図情報と前記画面識別情報とに対応して、前記制御命令の情報と前記遷移先画面識別情報とを記憶し、前記意図情報と前記画面識別情報とに基づく前記推論部からの問い合わせに対して、対応する前記制御命令と前記遷移先画面識別情報とを応答する制御命令生成部、を備え、前記推論部は、取得した前記意図情報と前記画面識別情報とに基づいて前記制御命令生成部への問い合わせを行うことにより、前記制御命令と前記遷移先画面識別情報とを求めるものである。
【0013】
[6]また、本発明の一態様は、入力部が、質問を取得し、表示部が、対象装置についての説明画面を表示し、制御命令実行部が、前記対象装置を制御するための制御命令を実行し、質問と画面識別情報とに基づいて、前記質問の意図を表す意図情報を出力するための情報を持ち、機械学習可能に構成したモデルを持ち、推論部が、前記質問と、前記入力部が前記質問を取得した際に表示されていた説明画面を識別するための画面識別情報とに基づいて、前記モデルから前記意図情報を取得し、取得した前記意図情報に対応する答弁と、前記意図情報と前記画面識別情報とに対応する制御命令と、前記意図情報と前記画面識別情報とに対応する遷移先の説明画面を識別するための遷移先画面識別情報と、を求め、アプリケーション稼働部が、前記推論部が求めた前記答弁を出力し、前記推論部が求めた前記制御命令を前記制御命令実行部に実行させ、前記推論部が求めた前記遷移先画面識別情報に対応する説明画面を前記表示部に表示させる、アプリケーションプログラムを実行させる、オペレーション支援方法である。
【0014】
[7]また、本発明の一態様は、コンピューターを、上記[1]から[5]までのいずれかに記載のオペレーション支援装置、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オペレーション支援装置は、質問の状況に応じた意図に基づいて、答弁し、外部のハードウェアを制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、オペレーション支援装置は、ユーザーが入力した質問を基に、その質問の意図を表す意図情報を推定し、その意図情報に基づいた処理を行う。この意図情報は、以下において「インテンツ」とも呼ばれる。インテンツは、質問のテキスト(表層)と、そのときの状況とに基づいて推定されるものである。
【0018】
なお、本実施形態において、「質問」とは、ユーザーが入力部11から入力する文等である。ただし、ここでの「質問」は、構文としての疑問文の形式を有する文には限らない。例えば、ユーザーが入力する表現であって、「〇〇がわからない」、「〇〇が稼働しない」、「〇〇が見えない」、「〇〇を稼働させたい」、「〇〇を止めたい」、「〇〇の設定を変えたい」などの、装置の操作等に関連する任意の言語表現を、本実施形態では「質問」として扱う。
【0019】
実施形態において説明する「画面ID」は、オペレーション支援装置に表示される説明画面の種類を一意に識別するための情報である。「画面ID」は、「画面識別情報」とも呼ばれる。また、次に遷移する先の説明画面は「遷移先画面」と呼ばれる。「遷移先画面ID」は、この遷移先画面の種類を一意に識別するための情報である。「遷移先画面ID」は、「遷移先画面識別情報」とも呼ばれる。なお、説明画面は、オペレーションを行う対象である装置(対象装置3)についての説明のための画面である。説明画面は、テキストや、画像(静止画)や、映像(動画像)を含むものであってもよい。また、オペレーション支援装置が説明画面を表示する際に、所定の音声による説明をも出力するようにしてもよい。また、制御命令は、オペレーション支援装置が外部の装置等を制御するために実行し得る命令である。「制御命令ID」は、この制御命令を一意に識別するための情報である。「制御命令ID」は、「制御命令識別情報」とも呼ばれる。
【0020】
図1は、本実施形態によるオペレーション支援装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、オペレーション支援装置1は、入力部11と、アプリケーション稼働部12と、推論部21と、答弁記憶部22と、制御命令生成部23と、学習モデル31と、機械学習処理部32と、制御命令実行部41と、ハードウェア制御部42と、表示部43とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、コンピューターと、プログラムとで実現することが可能である。また、各機能部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリーである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。また、各機能部の少なくとも一部の機能を、プログラムではなく専用の電子回路として実現してもよい。
【0021】
具体的には、オペレーション支援装置1は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、各種の携帯型端末装置(例えば、タブレット型端末装置や、スマートフォン等)を用いて実現される。対象装置3のオペレーションを行うユーザーが、オペレーション支援装置1を操作する。
【0022】
対象装置3は、オペレーションの対象となる装置等である。対象装置3は、例えば、製造現場や、サービス実施の現場で使用される装置である。対象装置3は、例えば、製造装置、加工装置、検査装置、搬送装置等(ただし、これらに限定されない)の装置である。対象装置3が内部にカメラを備えるものであってもよい。一例として、対象装置3が半導体製品を検査するための検査装置である場合、そのカメラが検査対象である半導体製品を撮影する。そのカメラが撮影する画像は、本来は対象装置3内で処理するための画像であるが、その画像の信号をオペレーション支援装置1に渡すようにしてもよい。この場合には、オペレーション支援装置1側の表示画面に、カメラが撮影した画像を表示させることもできる。オペレーション支援装置1と対象装置3とは、有線または無線の通信手段で接続される。オペレーション支援装置1と対象装置3とが、インターネット等の通信回線で相互に接続されてもよい。
【0023】
オペレーション支援装置1を構成する各部の機能を、次に説明する。
【0024】
入力部11は、ユーザーからの入力を取得する機能を有するものである。入力部11は、例えば、キーボードからの文字入力の信号を取得する。また、入力部11は、タッチパネルによる文字入力の信号を取得する。あるいは、入力部11は、マイクロフォン等によってユーザーの声を取得し、音声認識処理を行うことによる、音声入力機能を持つものであってもよい。
【0025】
アプリケーション稼働部12は、アプリケーションプログラムを稼働させるための手段である。具体的には、アプリケーション稼働部12は、アプリケーションプログラムを実行するための処理装置(CPU等)と、データ等を記憶するメモリーとを持つ。アプリケーション稼働部12は、対象装置3を制御するための専用のアプリケーションプログラムを実行する。
【0026】
アプリケーションプログラムを実行することにより、アプリケーション稼働部12は、入力部11から質問のテキストを取得する。また、アプリケーション稼働部12は、その質問のテキストを、推論部21に渡す。また、アプリケーション稼働部12は、表示している説明画面を識別するための画面IDを把握している。アプリケーション稼働部12は、上記の質問が入力されたときの画面IDを、推論部21に渡す。アプリケーション稼働部12は、上記の質問および画面IDに基づいて推論部21が求めた、答弁を受け取り、出力する。また、アプリケーション稼働部12は、推論部21が求めた制御命令を制御命令実行部41に実行させる。また、アプリケーション稼働部12は、推論部21が求めた遷移先画面IDに対応する説明画面を表示部43に表示させる。このように、アプリケーションプログラムは、入力された質問に対応して、答弁を出力したり、制御命令を実行させたり、特定の説明画面(対象装置3の説明)を表示させたりすることができる。
【0027】
推論部21は、入力される質問に基づく推論の処理を行う。具体的には、推論部21は、アプリケーション稼働部12から、質問のテキストと、画面ID(画面識別情報)とを受け取る。そして、推論部21は、画面IDは、入力部11が質問を取得した際に表示されていた説明画面を識別するための識別情報である。推論部21は、学習モデル31に対して質問と画面IDとを渡し、その応答として学習モデル31からインテンツ(意図情報)を受け取る。また、推論部21は、インテンツに基づいて答弁記憶部22を参照することにより、当該インテンツに対応する答弁を求める。また、推論部21は、インテンツと上記の画面IDとに基づいて、制御命令生成部23に問い合わせを行うことにより、それらに対応する制御命令と、それらに対応する遷移先画面ID(遷移先画面識別情報)とを求める。遷移先画面IDは、次に遷移すべき先の説明画面を識別するための識別情報である。推論部21は、上記のように得られた、答弁と、制御命令と、遷移先画面IDとを、アプリケーション稼働部12に返す。
【0028】
答弁記憶部22は、インテンツ(意図情報)に対応付けて答弁を記憶する。つまり、答弁記憶部22を参照することにより、インテンツに関連付けられた答弁を読み出すことができる。答弁は、例えば、テキストデータとして表される。
【0029】
制御命令生成部23は、インテンツ(意図情報)と画面ID(画面識別情報)との組合せに対応付けて、制御命令の情報と遷移先画面ID(遷移先画面識別情報)とを記憶している。制御命令生成部23は、記憶しているその情報に基づいて、推論部21からの問い合わせに対応して、インテンツと画面IDとに対応する制御命令および遷移先画面IDを応答する。
【0030】
学習モデル31は、質問と画面ID(画面識別情報)とに基づいて、質問の意図を表すインテンツ(意図情報)を出力するための情報を持つ。学習モデル31においては、入力情報である質問および画面IDと、出力情報であるインテンツとの関係を機械学習可能であるようにしている。学習モデル31は、例えば、ニューラルネットワークを用いて構成される。
【0031】
機械学習処理部32は、学習用データを学習モデル31に供給することにより、学習モデル31に機械学習処理を行わせる機能を持つ。学習用データは、画面ID(画面識別情報)と、質問と、インテンツ(意図情報)との組の集合のデータである。なお、学習モデル31が機械学習済みである場合には、機械学習処理部32を省略してオペレーション支援装置1を構成してもよい。
【0032】
制御命令実行部41は、外部の装置等を制御するための命令を実行する。制御命令実行部41は、例えば、対象装置3を制御するための命令を実行する。これらの外部装置の制御は、例えば、入出力ポートからの信号の出力により行う。また、制御命令実行部41は、表示部43に、文字や画像を表示させるための命令を実行してもよい。具体的には、制御命令実行部41は、質問のテキストや、答弁のテキストや、説明画面などを、表示部43に表示させることができる。
【0033】
ハードウェア制御部42は、制御命令実行部41が実行する制御命令にしたがい、外部のハードウェア(対象装置3など)を制御する。ハードウェア制御部42は、具体的には、I/Oポート等から、制御信号を出力する。
【0034】
表示部43は、画像や文字等を表示するものである。具体的には、表示部43は、対象装置3についての説明のための説明画面を表示したり、ユーザーが入力する質問のテキストを表示したり、オペレーション支援装置1が出力する答弁のテキストを表示したり、外部からの画像信号に基づいて画像を表示したりする。外部からの画像信号とは、例えば、対象装置3が備えるカメラが撮影した画像(映像)の信号である。表示部43が表示する画面の構成例については、後で、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図2および
図3は、オペレーション支援装置1内における情報(信号)のやりとりの流れの例を示す概略図である。以下、この概略図に沿ってオペレーション支援装置1の動作手順の例を説明する。
【0036】
まず、
図2のステップS1において、入力部11は、ユーザーからの質問を取得し、アプリケーション稼働部12に渡す。質問は、キーボード等の打鍵あるいは音声認識等の手段を用いて取得される。アプリケーション稼働部12は、テキストデータの形式で、質問を取得する。質問が取得される時点においても、アプリケーション稼働部12は、所定の説明画面を表示部43に表示させている。アプリケーション稼働部12は、現在表示中の説明画面の画面IDを把握している。
【0037】
次に、ステップS2において、アプリケーション稼働部12は、現在の説明画面の画面IDと、ステップS1で取得した質問のテキストとを、推論部21に渡す。これにより、推論部21は、推論の処理を開始する。
【0038】
次に、ステップS3において、推論部21は、ステップS2で取得した画面IDと質問とを、学習モデル31に渡す。学習モデル31は、既に機械学習済みである。学習モデル31は、機械学習の結果に基づいて、それらの画面IDと質問とに適合するインテンツを求める。
【0039】
次に、ステップS4において、学習モデル31は、ステップS3で求めたインテンツを、推論部21に渡す。推論部21は、このインテンツを受け取る。
【0040】
次に、ステップS5において、推論部21は、ステップS4で受け取ったインテンツに基づいて、答弁記憶部22を参照するためのアクセスを行う。答弁記憶部22は、記憶している情報に基づいて、そのインテンツに対応する答弁を特定する。
【0041】
次に、ステップS6において、答弁記憶部22は、上記のインテンツに対応する答弁を推論部21に渡す。言い換えれば、推論部21は、上記のインテンツに対応する答弁の情報を答弁記憶部22から読み出す。なお、推論部21が得るのは、例えば、答弁のテキストデータである。
【0042】
次に、ステップS7において、推論部21は、制御命令生成部23に、ステップS2で受け取った画面IDと、ステップS4で受け取ったインテンツとを、渡す。制御命令生成部23は、これらの情報を受け取る。制御命令生成部23は、画面IDとインテンツとの組合せの入力に対応する、制御命令と遷移先画面IDとの情報を、予め記憶している。つまり、制御命令生成部23は、受け取った画面IDとインテンツとの組合せに対応する、制御命令および遷移先画面IDの情報を生成する。
【0043】
次に、ステップS8において、制御命令生成部23は、ステップS7で生成した制御命令および遷移先画面IDを、推論部21に渡す。つまり、推論部21は、上記の画面IDとインテンツとに基づき、制御命令および遷移先画面IDを獲得する。
【0044】
次に、ステップS9において、推論部21は、ステップS6で得られた答弁と、ステップS8で得られた制御命令および遷移先画面IDとを、アプリケーション稼働部12上で稼働するアプリケーションプログラムに渡す。アプリケーション稼働部12は、これらの、答弁と、制御命令と、遷移先画面IDとを受け取る。
【0045】
次に、
図3に移って、ステップS10において、アプリケーション稼働部12で稼働するアプリケーションプログラムは、制御命令実行部41に、ステップS9で受け取った答弁のテキストを渡す。また、上記アプリケーションプログラムは、制御命令実行部41に、ステップS9で受け取った制御命令を渡す。また、上記アプリケーションプログラムは、制御命令実行部41に、ステップS9で受け取った遷移先画面IDによって識別される画面を渡す。
【0046】
次に、ステップS11において、制御命令実行部41は、ハードウェア制御部42に、ステップS10で受け取った制御命令を渡す。これにより、ハードウェア制御部42は、その制御命令を実行することができる。制御命令は、例えば、対象装置3を制御するための命令である。つまり、制御命令実行部41が制御命令を実行することにより、例えば、対象装置3の挙動を制御することができる。
【0047】
次に、ステップS12において、制御命令実行部41は、表示部43に、ステップS10で受け取った答弁のテキストや、遷移先画面IDによって識別される画面(画面を表す信号)を渡す。これにより、表示部43は、遷移先の画面(対象装置3の説明用の画面)を表示することができる。また、表示部43は、推論部21が出力した答弁を表示することができる。
【0048】
図4、
図5、
図6は、オペレーション支援装置1が処理するデータ間の関係を示す。
【0049】
図4は、オペレーション支援装置1での処理における、質問内容と画面IDとインテンツとの関係を示す概略図である。ここで、質問内容は、入力部11がユーザーから取得した質問のテキストである。画面IDは、入力部11がユーザーから質問をしたときに表示されていた画面を識別する識別情報である。つまり、画面IDは、質問が生じた状況を表す情報である。インテンツは、この状況における上記質問内容の意図を表す意図情報である。
図2を参照しながら説明したように、学習モデル31は、入力される質問内容と画面IDとに基づいて、そのインテンツを推定し、出力する。学習モデル31は、予め機械学習済みであるため、入力される質問内容と画面IDに対応するインテンツの情報を持っている。学習モデル31は、必ずしも決定的な質問内容と画面IDとインテンツの関係の情報を持っていなくてもよい。しかしながら、学習モデル31は、質問内容と画面IDとに対応する、インテンツの尤度の情報を少なくとも持っている。学習モデル31は、そのような情報に基づいて、インテンツを推定することができる。
【0050】
図5は、オペレーション支援装置1での処理における、インテンツと答弁内容の関係を示す概略図である。ここで、インテンツは、上記のように学習モデル31から出力される情報である。答弁内容は、出力すべき答弁のテキストである。既に説明したように、答弁記憶部22は、インテンツと答弁内容とを対応付けて記憶している。つまり、インテンツをキーとして用いながら答弁記憶部22を検索することにより、そのインテンツに対応する答弁内容を取得することができる。つまり、答弁記憶部22は、インテンツから答弁内容への変換テーブルに相当するデータを記憶している。推論部21は、答弁記憶部22を参照することにより、インテンツから答弁内容への変換を行うことができる。
【0051】
図6は、オペレーション支援装置1での処理における、インテンツと画面IDと制御命令と遷移先画面IDとの関係を示す概略図である。既に説明したように、制御命令生成部23は、インテンツと画面IDと制御命令と遷移先画面IDとの対応関係の情報を記憶している。言い換えれば、制御命令生成部23は、インテンツと画面IDとの組合せを、制御命令と遷移先画面IDとに変換するための変換テーブルに相当するデータを記憶している。制御命令生成部23は、推論部21からインテンツと画面IDとを受け取ると、この変換テーブル相当するデータを参照して、出力すべき制御命令と遷移先画面IDとを決定することができる。
【0052】
以上、
図4、
図5、
図6を参照しながら説明したように、オペレーション支援装置1は、質問内容(テキスト)と画面IDとを基に、答弁内容(テキスト)と、制御命令と、遷移先画面IDと求めるための情報および処理ロジックを持っている。
【0053】
図7は、オペレーション支援装置1が使用することのできる制御命令の種類を列挙したテーブルである。図示するように、制御命令の制御対象は、対象装置3を含む。オペレーション支援装置1は、これらの制御対象の装置の各々について、複数の種類の制御命令を使用することができる。ここでは、便宜的に、制御命令を識別するための制御命令IDを付与している。例えば、制御対象が対象装置3である制御命令の制御命令IDは、「C−A−」で始まり、連番を含んでいる。例えば、制御命令IDがC−A−01の制御命令は「電源on」のための命令である。制御命令IDがC−A−02の制御命令は「電源
off」のための命令である。制御命令IDがC−A−03の制御命令は「モーター系初期化」のための命令である。制御命令IDがC−A−04の制御命令は「搬送開始」のための命令である。制御命令IDがC−A−05の制御命令は対象装置3が持つカメラの電源をonにするための命令である。制御命令IDがC−A−06の制御命令は対象装置3が持つカメラの電源をoffにするための命令である。さらに他の制御命令が存在してよい。
【0054】
図7に記載の制御命令記号列は、制御命令実行部41が実際に実行するコードである。制御命令記号列は、例えば、文字列、16進数文字列、あるいはビット列等として表され得る。
【0055】
図7に例示した制御命令、あるいはその他の制御命令を、オペレーション支援装置1は実行することができる。具体的には、前述の通り、制御命令生成部23は、特定の状況に応じて、制御命令を適宜選択し、生成する。生成された制御命令を、制御命令実行部41が実行できる。なお、
図7では、単一の命令を列挙したが、制御命令生成部23は、複数の命令をシーケンシャルに実行するような制御命令や、複数の命令を並行して実行するような制御命令を生成してもよい。また、制御命令実行部41は、そういった命令をも実行する。
【0056】
図8は、オペレーション支援装置1の表示部43が表示する画面の構成例を示す概略図である。この画面は、例えば、カラー液晶ディスプレイなどを用いて表示される。図示するように、画面1001は、説明画面表示領域1002と、撮影画像表示領域1003と、質問・答弁表示領域1004とを含む。同図に示す説明画面表示領域1002と、撮影画像表示領域1003と、質問・答弁表示領域1004との配置は、一例であり、他の配置としてもよい。説明画面表示領域1002と、撮影画像表示領域1003と、質問・答弁表示領域1004との各々は、スクロール可能であってもよいし、スクロール不可であってもよい。
【0057】
説明画面表示領域1002は、対象装置3の操作方法等の説明を表示するための画面の表示領域である。図示する例では、説明画面表示領域1002は、説明画面の画面ID(G00101)と、画面のタイトル「操作のしかた」を表示している。
【0058】
撮影画像表示領域1003は、対象装置3が持つカメラが撮影した画像(静止画あるいは動画)を表示するための領域である。つまり、撮影画像表示領域1003は、対象装置3が出力する画像を表示することができる。
【0059】
質問・答弁表示領域1004は、オペレーション支援装置1が取得した質問のテキストと、その質問に対応してオペレーション支援装置1が出力する答弁のテキストとを表示するための領域である。図示する例では、領域内の右側のスピーチバルーン内に質問が表示されている。また、領域内の左側のスピーチバルーン内に答弁が表示されている。質問と答弁とは、時系列にしたがって表示されている。なお、このような質問と答弁の表示方法は、一例である。他の表示方法を用いて質問や答弁を表示するようにしてもよい。
【0060】
図9は、アプリケーション稼働部12で稼働するアプリケーションプログラムが管理する説明画面の管理テーブルを示す概略図である。図示するように、この管理テーブルは、画面IDと、画面タイトルと、画面定義との各項目を持つリレーショナル形式のデータである。アプリケーションプログラムは、オペレーション支援装置1の中、または外部に記憶されるこの管理テーブルにアクセス可能である。画面IDは、説明画面の種別を一意に識別するための識別情報である。画面タイトルは、その画面のタイトルを表す文字列である。
図8にも例示したように、例えば、説明画面表示領域1002内に画面IDやタイトルを表示してもよい。画面定義は、画面の構成についての定義情報である。アプリケーションプログラムは、この画面定義を参照することにより、画面を構成し、その画面を提示するための映像信号を、表示部43に渡すことができる。画面定義の情報は、画像や、映像(動画)や、テキスト等を含んでもよい。図示する例では、この管理テーブルは、それぞれユニークな画面IDに対応して、「操作のしかた」、「エラーメッセージ」、「初期化のしかた」、「充電警告表示」などといったタイトルを有する画面の情報を保持することができる。
【0061】
図10は、学習モデル31の機械学習を行うための学習用データの例を示す概略図である。図示するように、学習用データは、画面ID(画面識別情報)と、質問と、インテンツ(意図情報)との組の集合のデータである。図示するデータ例における第1行目は、画面IDが「G02231」、質問が「カメラから画像が見えません」、インテンツが「カメラの画像が見えない」というデータである。機械学習処理部32は、
図10に示すような構造を持つ大量のデータを、学習用データとして学習モデル31に供給することにより、学習モデル31の機械学習を行う。このような機械学習により、学習モデル31は、画面IDと質問が与えられたときに、それらに対応するインテンツを推定できるようになる。
【0062】
図11は、具体的な質問例に基づくオペレーション支援装置1の動作の状況を示す概略図である。図示する例では、入力部11は、「カメラ画面が真っ黒」という質問をアプリケーション稼働部12に渡す。アプリケーション稼働部12は、その質問のテキストと、現在表示されている説明画面の画面ID(G02232)とを、推論部21に渡す。推論部21は、その質問のテキストと、画面IDとを、学習モデル31に渡す。学習モデル31は、推論部21から渡された質問のテキストと画面IDとに基づいて、モデルの作用により、インテンツを推定する。本例で、推定されたインテンツは、「カメラの画面が見えない」である。なお、インテンツは、このような文のテキストの形式であってもよいし、何らかの記号であってもよい。学習モデル31は、このインテンツを、推論部21に返す。推論部21は、このインテンツに基づいて、答弁記憶部22から、「この画面でカメラの電源を確認できます。」という答弁を取得する。また、推論部21は、このインテンツと、上記の画面ID(G02232)とに基づいて、制御命令生成部23から、遷移先画面ID(G02501)と、「カメラ電源on」の制御を行うための制御命令とを取得する。これにより、アプリケーション稼働部12において稼働するアプリケーションプログラムは、「この画面でカメラの電源を確認できます。」という答弁を出力し、遷移先画面ID(G02501)によって識別される説明画面を表示し、「カメラ電源on」に該当する制御命令を実行するような処理を行うことが可能となる。
【0063】
図11に示した処理は、一例であり、オペレーション支援装置1は、答弁記憶部22に記憶された情報に基づいて、様々な答弁を出力することが可能となる。また、オペレーション支援装置1は、制御命令生成部23に記憶された情報に基づいて、様々な制御命令を実行させたり、様々な説明画面を表示させたりすることが可能となる。
【0064】
一例として、オペレーション支援装置1は、「モーター系の初期化を行いたい」というインテンツに対応して、モーター系の初期化に関する説明画面を表示したり、モーター系の初期化に関する制御命令を対象装置3に対して実行したりすることができる。
その他にも、オペレーション支援装置1は、対象装置
3を稼働させたり、その稼働を停止させたり、対象装置
3の設定を変更したりなどといった、様々な操作をすることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態におけるオペレーション支援装置等の少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0066】
以上、実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。なお、複数の変形例を、組み合わせることが可能な限りにおいて、組み合わせて実施してもよい。
【0067】
[変形例]
上記の実施形態では、答弁のテキストを画面に表示する場合を説明したが、代わりに、録音メッセージや合成音声等を用いて答弁の音声を出力するようにしてもよい。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【解決手段】モデルは、質問と画面識別情報とに基づいて、質問の意図を表す意図情報を出力するための情報を持ち、機械学習可能に構成されたものである。推論部は、質問と、入力部が質問を取得した際に表示されていた説明画面を識別するための画面識別情報とに基づいて、モデルから意図情報を取得し、取得した意図情報に対応する答弁と、意図情報と画面識別情報とに対応する制御命令と、意図情報と画面識別情報とに対応する遷移先の説明画面を識別するための遷移先画面識別情報と、を求める。アプリケーションプログラムは、推論部が求めた答弁を出力し、推論部が求めた制御命令を制御命令実行部に実行させ、推論部が求めた遷移先画面識別情報に対応する説明画面を表示部に表示させる。