特許第6886746号(P6886746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6886746
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】雑穀選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/11 20060101AFI20210603BHJP
   B02B 5/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B07B13/11 D
   B02B5/02 103Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-211860(P2020-211860)
(22)【出願日】2020年12月21日
【審査請求日】2020年12月23日
(31)【優先権主張番号】特願2020-49525(P2020-49525)
(32)【優先日】2020年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392014140
【氏名又は名称】日ノ出工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吾妻 柄穂
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 拓美
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−163472(JP,A)
【文献】 特開昭57−38975(JP,A)
【文献】 実開昭56−151688(JP,U)
【文献】 特開2002−224623(JP,A)
【文献】 特開昭56−13072(JP,A)
【文献】 特開平2−160085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 13/11
B01J 4/00
B02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の雑穀の収穫時に該雑穀に混入する混入物と該雑穀とを含む対象物から該雑穀を選別する雑穀選別装置であって、
往路における搬送面である往路搬送面が所定の傾斜角をなして低い方から高い方に移動するコンベアと、
前記傾斜角を設定するための傾斜角設定手段と、
前記往路搬送面上に前記対象物を排出するスリット状の排出口、及び該排出口に沿って延在して回転しながら該対象物を該排出口から送り出す回転送出部材を有するホッパとを備え、
前記傾斜角設定手段は、
前記コンベアを、前記往路搬送面を横切る回動軸線の周りで回動し得るように支持するコンベア支持部と、
前記コンベアの前記回動軸線の周りにおける回動位置を設定するための回動位置設定部とを備え、
前記ホッパの前記排出口は、前記回動軸線に平行で、かつ該回動軸線の鉛直上方に位置することを特徴とする雑穀選別装置。
【請求項2】
前記排出口は、前記回転送出部材が挿入されて回転する部分円筒状の回転室であって、該排出口の長さ方向に延在して前記ホッパの底部に開口するスリット状の入口と、その下方に位置して該長さ方向に延在するスリット状の出口とを有する該回転室を備え、
前記回転送出部材は、前記雑穀の大きさに対応する溝幅及び深さを有し、螺旋状の溝として、又は多数の円環状の溝として、該回転送出部材の外周を廻る溝を備え、
前記溝には、前記回転送出部材が回転する方向に前記雑穀を掬い上げる刷毛状部材が該回転送出部材の周方向における所定のピッチで設けられることを特徴とする請求項1に記載の雑穀選別装置。
【請求項3】
前記回動軸線の鉛直方向の位置を設定する上下位置設定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の雑穀選別装置。
【請求項4】
前記コンベアの前記搬送面は、可撓性の部材で構成され、該コンベアの往路における該部材の両側には、該往路において該部材の両側を上方に曲がるように撓ませるローラが設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の雑穀選別装置。
【請求項5】
前記コンベアの復路における前記搬送面と摺動する静電気除去用のブラシを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の雑穀選別装置。
【請求項6】
前記往路搬送面に下方側から上方側に向けて風を送る送風手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の雑穀選別装置。
【請求項7】
前記ホッパのスリット状の前記排出口は、該スリットが該スリットの中心線を中心として該中心線の一方の側及び多方の側に交互に位置する形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の雑穀選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の雑穀の収穫時に該雑穀に混入する該雑穀以外の雑草種子や夾雑物等の混入物と該雑穀とを含む対象物から該雑穀を選別する雑穀選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような雑穀選別装置として、往路搬送面が所定の傾斜角をなして低い方から高い方に移動するコンベアを備え、搬送面上に対象物を供給するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1の装置では、コンベアの搬送面上に供給された籾と玄米を含む対象物中の籾は搬送面に付着して搬送面の上方に搬送され、玄米は搬送面の下方に滑り落ちることにより、対象物から籾と玄米を選別するようにしている。
【0004】
特許文献2の装置では、搬送面上に供給された豆類の整粒と被害粒を含む対象物中の整粒が搬送面の下方に転がり、被害粒が転がることなく搬送面の上方に搬送されることにより、対象物から被害粒と整粒を選別するようにしている。
【0005】
なお、特許文献2の装置では、対象物に含まれる莢、茎等の夾雑物については、コンベアの供給前に通路内を落下する途中で、送風機からの送風によって排除するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−9380号公報
【特許文献2】特公昭62−19227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2の装置では、それぞれ籾と玄米の混合物、豆類の整粒と被害粒の混合物を対象としている。このため、例えば、荏胡麻(種子)と雑草種子や夾雑物とが含まれる対象物から荏胡麻を選別するのには適していない。
【0008】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、荏胡麻等の各種雑穀の選別に対応できる雑穀選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の雑穀選別装置は、
所定の雑穀の収穫時に該雑穀に混入する混入物と該雑穀とを含む対象物から該雑穀を選別する雑穀選別装置であって、
往路における搬送面である往路搬送面が所定の傾斜角をなして低い方から高い方に移動するコンベアと、
前記傾斜角を設定するための傾斜角設定手段と、
前記往路搬送面上に前記対象物を排出するスリット状の排出口、及び該排出口に沿って延在して回転しながら該対象物を該排出口から送り出す回転送出部材を有するホッパとを備え、
前記傾斜角設定手段は、
前記コンベアを、前記往路搬送面を横切る回動軸線の周りで回動し得るように支持するコンベア支持部と、
前記コンベアの前記回動軸線の周りにおける回動位置を設定するための回動位置設定部とを備え、
前記ホッパの排出口は、前記回動軸線に平行で、かつ該回動軸線の鉛直上方に位置することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、コンベアの往路搬送面上に対象物が供給されると、所定の雑穀は往路搬送面の下方に転がってゆき、該雑穀以外の他の雑草種子や夾雑物は転がることなく往路搬送面により上方に搬送される。これにより、対象物から所定の雑穀を選別することができる。
【0011】
その際に、コンベアの回動位置を、該雑穀の種類に応じて適切に設定することにより、往路搬送面の傾斜角を該雑穀が転がり易く、かつその他の雑草種子や夾雑物が上方に搬送され易い角度に調整することができる。この設定に際しては、コンベアは往路搬送面を横切る回動軸線の周りで回動し、かつホッパの排出口は、該回動軸線に平行で、かつ該回動軸線の鉛直上方に位置するので、傾斜角の変更量に拘わらず、ホッパの排出口とそこから排出される対象物の往路搬送面における供給位置との位置関係は、一定に維持される。
【0012】
したがって、ホッパの排出口と対象物の往路搬送面に対する供給位置とを最適な位置関係に常に維持しつつ、選別しようとする雑穀の種類に応じて傾斜面の角度を適切に設定することができる。したがって、荏胡麻等の各種雑穀の選別に対応することができる。
【0013】
本発明において、
前記排出口は、前記回転送出部材が挿入されて回転する部分円筒状の回転室であって、該排出口の長さ方向に延在して前記ホッパの底部に開口するスリット状の入口と、その下方に位置して該長さ方向に延在するスリット状の出口とを有する該回転室を備え、
前記回転送出部材は、前記雑穀の大きさに対応する溝幅及び深さを有し、螺旋状の溝として、又は多数の円環状の溝として、該回転送出部材の外周を廻る溝を備え、
前記溝には、前記回転送出部材が回転する方向に前記雑穀を掬い上げる刷毛状部材が該回転送出部材の周方向における所定のピッチで設けられるのが好ましい。
【0014】
これによれば、回転送出部材の回転に伴って回転する螺旋状又は円環状の溝及び刷毛状部材により、対象物を傾斜面の幅方向に分散させながら効率的に回転室の出口から送り出し、傾斜面に供給することができる。これにより、効率的に該雑穀の選別を行うことができる。
【0015】
本発明において、前記回転軸線の鉛直方向の位置を設定する上下位置設定手段を備えるのが好ましい。これによれば、対象物に含まれる選別しようとする雑穀の種類や、雑草種子、夾雑物の種類に応じて、ホッパの排出口とコンベアの往路搬送面との距離を調整できるので、さらに効率的に選別処理を行うことができる。
【0016】
本発明において、前記コンベアの搬送面は、可撓性の部材で構成され、該コンベアの往路における該部材の両側には、該往路において該部材の両側を上方に向かって湾曲するように撓ませるローラが設けられるのが好ましい。
【0017】
これによれば、往路搬送面上を転がってゆく雑穀や往路搬送面により上方に搬送されてゆく混入物が往路搬送面から側方に逸脱するのを防止し、雑穀の選別を効率よく行うことができる。
【0018】
本発明において、前記コンベアの復路における前記搬送面と摺動する静電気除去用のブラシを備えるのが好ましい。
【0019】
これによれば、コンベアの搬送面に生じる静電気を除去し、選別の対象物が搬送面に付着して選別効率が劣化するのを防止することができる。
【0020】
本発明において、前記往路搬送面に下方側から上方側に向けて風を送る送風手段を備えるのが好ましい。
【0021】
これによれば、送風手段からの風により、対象物中の混入物である軽い雑草種子や夾雑物が搬送面の下方に滑落してゆくのを防止し、あるいは上方に搬送されるのを促進し、選別効率を向上させることができる。
【0022】
本発明において、前記ホッパのスリット状の前記排出口は、該スリットが該スリットの中心線を中心として該中心線の一方の側及び多方の側に交互に位置する形状を有するのが好ましい。
【0023】
これによれば、対象物が、スリットの中心線の一方の側及び多方の側に交互に位置する形状に応じてコンベアの進行方向にばらけた状態でコンベア上に落下する。これにより、対象物を混入物と雑穀とに効果的に分別し、選別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る雑穀選別装置の斜視図である。
図2図1の雑穀選別装置におけるホッパの断面図である。
図3図3Aは、図1の雑穀選別装置のホッパの回転室に挿入されて回転される回転送出部材の部分断面図であり、図3Bは、該回転送出部材の側面図である。
図4図1の雑穀選別装置の選別原理を示す図である。
図5図1の雑穀選別装置のホッパにおける往路搬送面の両側が上方に湾曲している様子を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る雑穀選別装置のホッパの排出口の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る雑穀選別装置を示す。この雑穀選別装置1は、所定の雑穀の収穫時に該雑穀に混入する混入物と該雑穀とを含む処理対象物から該雑穀を選別するものである。雑穀として、本実施形態では、荏胡麻(エゴマ)を対象としている。混入物としては、例えば雑草種子や夾雑物が該当する。
【0026】
図1に示すように、雑穀選別装置1は、往路において移動している搬送面である往路搬送面2が所定の傾斜角をなして低い方から高い方に移動するコンベア3と、往路搬送面2上に処理対象物を供給するためのホッパ4とを備える。
【0027】
ホッパ4は、往路搬送面2の傾斜角を設定する傾斜角設定手段5と、往路搬送面2上に処理対象物を排出するスリット状の排出口6(図2参照)と、回転しながら処理対象物を排出口6から送り出す回転送出部材7(図3参照)とを備える。ホッパ4には取っ手4aが設けられており、ホッパ4は容易に取り外せるようになっている。
【0028】
傾斜角設定手段5は、コンベア3を、往路搬送面2を横切る回動軸線8の周りで回動し得るように支持するコンベア支持部9と、回動軸線8の周りにおけるコンベア3の回動位置を任意に設定するための回動位置設定部10とを備える。ホッパ4の排出口6は、回動軸線8に平行で、かつ回動軸線8の鉛直上方に位置する。
【0029】
雑穀選別装置1のフレームには、該フレームを構成しつつその両側に位置するピラー11に沿って上下位置を設定変更し得るように、ピラー11にコンベア支持部9を固定する上下位置設定手段12が設けられる。したがって、回動軸線8の鉛直方向の位置は、上下位置設定手段12によってコンベア支持部9の上下位置を設定することにより設定することができる。
【0030】
回動位置設定部10は、コンベア支持部9から離れた位置において、コンベア3を横断するように、かつ上記の回動軸線8に平行な軸線の周りで回動自在にコンベア3に設けられた回動バー13と、回動バー13の中間部に回動し得るように下端部が連結され、上方に延びたボールねじ式のシリンダ14と、このシリンダ14を駆動するハンドル15とを備える。
【0031】
図2は、ホッパ4の回転送出部材7以外の部分の断面を示す。図2に示すように、ホッパ4の排出口6は、回転送出部材7が挿入されて回転する部分円筒状の回転室16を備える。回転室16は、排出口6の長さ方向に延在してホッパ4の底部に開口するスリット状の入口17と、その下方に位置して該長さ方向に延在するスリット状の出口18とを有する。
【0032】
図3A及び図3Bは、回転送出部材7の部分断面図及び側面図である。図3A及び図3Bに示すように、回転送出部材7は、螺旋状に外周を廻る溝19を備える。溝19は、雑穀の大きさに対応する溝幅及び深さを有する。例えば、選別対象とする雑穀が荏胡麻の場合、溝19の深さは3mm程度であり、溝の底部の断面は半径2mm程度の半円形を有し、回転送出部材7の長さ方向における溝19のピッチは5mm程度とされる。
【0033】
溝19には、回転送出部材7が回転する方向に雑穀としての荏胡麻を掬い上げる刷毛状部材20が、回転送出部材7の周方向における所定のピッチで設けられる。所定のピッチとしては、例えば、40°ピッチが該当する。
【0034】
コンベア3の搬送面は、可撓性の部材で構成される。往路における該部材の両側には、該部材を、往路搬送面2の両側が上方に湾曲するように撓ませるローラ21が設けられる。コンベア3の搬送面の復路には、該搬送面と摺動する静電気除去用のブラシ22が設けられる。図5に、この往路搬送面2の両側が上方に湾曲している様子を示す。
【0035】
コンベア3の上方側の端部には、処理対象物から選別された雑穀以外の混入物を収集するための収集路23と、収集路23の角度を調整するための角度調整部材24とが設けられる。
【0036】
図4は、雑穀選別装置1による選別原理を示す。図4に示すように、ホッパ4に荏胡麻25と荏胡麻25の収穫時に荏胡麻25に混入する荏胡麻25以外の雑草種子、夾雑物等の混入物26とを含む処理対象物27を投入すると、処理対象物27が、排出口6から順次、駆動中のコンベア3の往路搬送面2上に供給される。このとき、排出口6では回転送出部材7が回転しているので、処理対象物27は、往路搬送面2の幅方向に適切に分散されて供給される。
【0037】
供給された処理対象物27中の荏胡麻25は、粒状の形状を有するので、傾斜している往路搬送面2上を往路搬送面2の下方に転がってゆき、荏胡麻収集容器28内に収容される。一方、供給された処理対象物27中の混入物26は、転がることなく、往路搬送面2の上方に運ばれ、混入物収集容器29内に収容される。これにより、荏胡麻25と混入物26とが選別されてそれぞれ収集される。
【0038】
この間、図5に示すように、ローラ21によって往路搬送面2の両側が上方に向かって湾曲するように撓んでいるので、荏胡麻25や混入物26が往路搬送面2の両側に逸脱することはない。
【0039】
この雑穀選別装置1による選別は、傾斜角設定手段5により往路搬送面2の傾斜角を、極力荏胡麻25のみが下方に転がってゆくにように設定しておくことによって、効果的に行われる。この設定時に、往路搬送面2の傾斜角を変更しても、ホッパ4の排出口6は回動軸線8に平行でかつ回動軸線8の鉛直上方に位置するので、排出口6から往路搬送面2における処理対象物27の落下位置までの距離が変化することはない。したがって、この距離が変化することにより選別効率に悪影響を及ぼすことはない。
【0040】
また、この間、コンベア3の搬送面には、静電気が発生するが、このような静電気は、静電気除去用のブラシ22により除去されるので、混入物26等が搬送面に付着して、選別の妨げになることはない。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、傾斜角設定手段5により、往路搬送面2の傾斜角を荏胡麻25が往路搬送面2の傾斜角を該雑穀が転がり易く、かつその他の雑草種子や夾雑物が上方に搬送され易い角度に調整することができる。
【0042】
そして、この設定に際しては、ホッパの排出口6が往路搬送面2の回動軸線8に平行で、かつ回動軸線8の鉛直上方に位置するので、往路搬送面2の傾斜角の変更に拘わらず、ホッパ4の排出口6とそこから排出される処理対象物27の供給位置との位置関係を一定に維持することができる。したがって、処理対象物27の往路搬送面2に対する供給位置を最適な位置に常に維持しつつ、選別しようとする荏胡麻25に応じて往路搬送面2の傾斜角を適切に設定することができる。
【0043】
また、回転する螺旋状の溝19及び刷毛状部材20により、処理対象物27を往路搬送面2の幅方向に分散させながら効率的に回転室16の出口18から送り出し、往路搬送面2に供給することができる。これにより、効率的に荏胡麻25の選別を行うことができる。
【0044】
また、往路搬送面2の回動軸線8の鉛直方向の位置を設定する上下位置設定手段12により、ホッパ4の排出口6と排出口6からの往路搬送面2との距離を、選別しようとする荏胡麻25に適合するように調整できるので、さらに効率的に荏胡麻25の選別を行うことができる。
【0045】
また、ローラ21により、往路搬送面2の両側が上方に向かって湾曲するように撓みながら往路搬送面2が移動するので、荏胡麻25や混入物26を往路搬送面2の両側に逸脱させることなく、効率的に選別を行うことができる。
【0046】
また、静電気除去用のブラシ22により、搬送面に生じる静電気を除去することにより処理対象物27が搬送面に付着するのを防止し、これにより選別効率が劣化するのを防止することができる。
【0047】
図6は、本発明の別の実施形態に係る雑穀選別装置のホッパの排出口の形状を示す。同図に示すように、この実施形態では、ホッパ4のスリット状の排出口6bは、そのスリット18bがその長さ方向の中心線Cを中心としてその一方及び多方に交互に位置する。具体的には、スリット18bは、中心線Cを中心として正弦波状にうねった形状を有する。他の点については、上述した図1図5の実施形態と同様である。
【0048】
スリット18bの隙間の大きさや正弦波の一波長の長さは、選別の対象となる雑穀、すなわち荏胡麻25の大きさや、試行錯誤などに応じて、適切に設定される。
【0049】
図6の実施形態によれば、処理対象物27が、正弦波の波長や振幅に応じて往路搬送面2による搬送方向にランダムなタイミングで塊となることなくばらけた状態で往路搬送面2上に落下する。このため、処理対象物27を、混入物26と荏胡麻25とに効果的に分別し、選別精度を向上させることができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、往路搬送面2に下方側から上方側に向けて風を送る送風手段30を設けてもよい。この場合、送風手段30から送られる風が往路搬送面2に沿って上方側に向かって吹き流れるように導く導風板31を設けるのが好ましい。これによれば、送風手段30からの風により、処理対象物27中の軽い雑草種子や夾雑物等の混入物26が往路搬送面2の下方に滑落してゆくのを防止し、あるいは上方に搬送されるのを促進し、選別効率をさらに向上させることができる。
【0051】
また、ホッパ4の上部の周囲に側壁を追加的に設けてホッパ4の容量を増大させ、より多くの処理対象物27を一度に処理できるようにしてもよい。
【0052】
また、回転送出部材7の螺旋状の溝19は、螺旋状のものでなくてもよい。例えば、周方向に沿った円環状の溝を、回転送出部材7の長さ方向に多数並べたものであってもよい。この場合も、該溝と刷毛状部材20との協働により、対象物を効率的に回転室16の出口18から送り出し、往路搬送面2上に供給上にすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…雑穀選別装置、2…往路搬送面、3…コンベア、4…ホッパ、4a…取っ手、5…傾斜角設定手段、6、6b…排出口、7…回転送出部材、8…回動軸線、9…コンベア支持部、10…回動位置設定部、11…ピラー、12…上下位置設定手段、13…回動バー、14…シリンダ、15…ハンドル、16…回転室、17…入口、18…出口、18b…スリット、19…溝、20…刷毛状部材、21…ローラ、22…ブラシ、23…収集路、24…角度調整部材、25…荏胡麻、26…混入物、27…処理対象物、28…荏胡麻収集容器、29…混入物収集容器、30…送風手段、31…導風板、C…中心線。
【要約】
【課題】各種雑穀の選別に対応できる雑穀選別装置を提供する。
【解決手段】雑穀選別装置1は、往路搬送面2が傾斜角をなして低い方から高い方に移動するコンベア3と、傾斜角を設定する傾斜角設定手段5と、排出口6に沿って延在し、回転しながら処理対象物27を排出口6から送り出す回転送出部材7を有するホッパ4とを備える。傾斜角設定手段5は、コンベア3を、往路搬送面2を横切る回動軸線8の周りで回動し得るように支持するコンベア支持部9と、コンベア3の回動軸線8の周りにおける回動位置を設定するための回動位置設定部10とを備える。排出口6は、回動軸線8に平行で、かつ回動軸線8の鉛直上方に位置する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6