特許第6886759号(P6886759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886759
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】節電パネル、および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20210603BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20210603BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20210603BHJP
【FI】
   F24F1/0007 401D
   F24F13/08 A
   F24F11/46
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-220026(P2019-220026)
(22)【出願日】2019年12月5日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3220816号
【原出願日】2019年1月25日
(65)【公開番号】特開2020-118436(P2020-118436A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2020年2月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519029620
【氏名又は名称】村上 輝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】村上 輝夫
【審査官】 瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−156565(JP,A)
【文献】 実開昭57−116072(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室内機または室外機に設けられた空気取り入れ口に取り付ける節電パネルであって、
第1の面と前記第1の面の裏面である第2の面とを有するパネルシートと、
前記第1の面から前記第2の面に貫通する孔から構成される複数の開口部と、を有し、
前記開口部を構成する孔の内周面には、孔が貫通する第1方向に直交する第2方向内向きに突出した複数の突起部が形成され、
前記複数の突起部は、前記開口部の中心から見て、それぞれ前記第1の面に対して同じ傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする節電パネル。
【請求項2】
前記傾斜面の前記傾斜角度は、15°以上60°以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の節電パネル。
【請求項3】
前記開口部には、それぞれ、8個以上24個以下の前記突起部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の節電パネル。
【請求項4】
複数の前記節電パネルを互いに連結する連結部を備える、
ことを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の節電パネル。
【請求項5】
前記開口部は、円孔から構成される、
ことを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の節電パネル。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の節電パネルと、
前記第1の面から前記第2の面にむけて前記開口部を空気が通過するように前記節電パネルを取り付けた室外機または室内機と、
を備えることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、節電パネル、および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内部における空気の温度を調整するために用いられる空気調和機は、消費電力量を抑えることが求められている。
【0003】
特許文献1は、熱交換器に水をかけるドレン水分配部を有することで、熱効率を高めた空気調和機を開示する。特許文献2は、熱交換器を備えた室外機の外表面に、エバポレータ側から排出されたドレン水をかける空気調和機を開示する。しかし、ドレン水を熱交換器に直接かけたのでは、熱交換器に目詰まりが発生するおそれがあるので、特許文献1に開示された空気調和機では、ドレン水を濾過する多孔体を設けるとともに、熱交換器のフィン全体に光触媒を塗布している。また、特許文献2に開示されたtは、ドレン水を室外機の外表面に散布するものであるが、外表面の汚れを抑制するとともに、散布されたドレン水の気化を促進するため、室外機の外表面に光触媒が塗布されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−250543号公報
【特許文献2】特開2005−114200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2で開示されている空気調和機は、熱交換器のフィン全体または室外機の外表面に光触媒を塗布する必要があり、熱交換器や室外機の外表面にドレン水をかける装置を空気調和機に後付けで取り付けることが容易でない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、容易に取り付け可能であり、消費電力を抑制可能な節電パネル、および空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するため、本発明に係る節電パネルの一様態は、
空気調和機の室内機または室外機に設けられた空気取り入れ口に取り付ける節電パネルであって、
第1の面と前記第1の面の裏面である第2の面とを有するパネルシートと、
前記第1の面から前記第2の面に貫通する孔から構成される複数の開口部と、を有し、
前記開口部を構成する孔の内周面には、孔が貫通する第1方向に直交する第2方向内向きに突出した複数の突起部が形成され、
前記複数の突起部は、前記開口部の中心から見て、それぞれ前記第1の面に対して同じ傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする。
【0009】
前記傾斜面の前記傾斜角度は、15°以上60°以下であるとよい。
【0010】
前記開口部には、それぞれ、8個以上24個以下の前記突起部が形成されているとよい。
【0011】
複数の前記節電パネルを互いに連結する連結部を備えるとよい。
【0012】
前記開口部は、円孔から構成されるとよい。
【0013】
本発明の目的を達成するため、本発明に係る空気調和機の一様態は、
前記節電パネルと、
前記第1の面から前記第2の面にむけて前記開口部を空気が通過するように前記節電パネルを取り付けた室外機または室内機と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易に取り付け可能であり、消費電力を抑制可能な節電パネル、および空気調和機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る節電パネルの表面の一例を示す面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る節電パネルの裏面の一例を示す面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る節電パネルの一例を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る節電パネルの一例を示す部分断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る節電パネルの一例を示す部分断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る節電パネルの一例を示す断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る節電パネルの裏面の一例を示す斜視図である。
図8】(A)〜(C)は、本発明の実施の形態に係る節電パネルを空気調和機の室内機に取り付けた状態を示す図である。
図9】(A)および(B)は、本発明の実施の形態に係る節電パネルを空気調和機の室外機に取り付けた状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係る節電パネルを通過した空気の流れを示す図である。
図11】本発明の実施の形態に係る節電パネルを連結した図である。
図12】本発明の実施の形態に係る節電パネルからエバポレーターコイルに流れる空気の様子を示す図である。
図13】本発明の実施の形態に係る節電パネルからコンデンサユニットに流れる空気の様子を示す図である。
図14】変形例に係る節電パネルの裏面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態に係る節電パネル、および空気調和機について説明する。
【0017】
実施の形態に係る節電パネル100は、図1図5に示すように、パネルシート10と、複数の開口部20と、連結部30と、を有し、図8および図9に示すように、空気調和機200の室内機210または室外機220に設けられた空気取り入れ口211、221に取り付けられるものである。節電パネル100は、空気調和機200の室内機210または室外機220に取り付けられると、例えば、空気調和機200の消費電力を抑制することができる。
【0018】
図1図5に示すパネルシート10は、第1の面11と第1の面11の裏面である第2の面12とを有する樹脂シートと、樹脂シートに含まれるファインセラミックス粒子と、から構成される。樹脂シートは、シリコンゴムなどの合成樹脂を含む。ファインセラミックス粒子は、遠赤外線を放射し、マイナスイオンを発生する成分を含む。ファインセラミックス粒子の粒径は、好ましくは、1μm以上100μm以下であり、より好ましくは、5μm以上50μm以下である。例えば、ファインセラミックス粒子は、段戸石を粉砕した粒子であるとよい。段戸石は、愛知県東三河の領家変成帯で産出する石英片岩の一種である。段戸石の成分を表1に示す。ファインセラミックス粒子が段戸石を粉砕した粒子であることで、効率的に遠赤外線を放射し、マイナスイオンを発生する。前記ファインセラミックス粒子は、前述の素材に、限定されず、類似するその地のファインセラミックス粒子も採用可能である。
【0019】
【表1】
【0020】
開口部20は、第1の面11から第2の面12に貫通する円孔から構成され、径方向内向きに突出した16個の突起部21を有する。突起部21は、均等な間隔で配置され、厚み方向に見て、三角形の形状を有し、開口部20の中心から見て、それぞれ第1の面11に対して同じ傾斜角度θで傾斜する傾斜面22を有する。突起部21の突出長さD2は、好ましくは、開口部20の内径D1の100分の5以上100分の20以下であり、より好ましくは、開口部20の内径D1の100分の10以上100分の15以下である。図6に示す傾斜面22とパネルシート10の第1の面11との為す傾斜角度θは、好ましくは、15°以上60°以下であり、より好ましくは、20°以上45°以下である。節電パネル100の第2の面12は、図7に示すように、開口部20の周辺部23が盛り上がっている。これにより、パネルシート10に用いる材料を少なくしつつ、傾斜面22の傾斜角度θを大きくすることができる。開口部20が、傾斜面22を有する複数の突起部21を有することで、室内機210または室外機220の空気取り入れ口211、221に第2の面12が向かい合うように取り付けると、第1の面11に垂直な方向から流れる空気が開口部20を通過し、傾斜面22で空気の流れの向きが斜め方向に変わる。これにより、図10に示すように、開口部20の外周部分を通過した空気に螺旋状の空気の流れが生じる。尚、図中10aはパネルシート10の立上壁をカットした箇所であり(カット部)、空気の流れを作成する。
【0021】
連結部30は、図1図2の如く、節電パネル100の外周辺100aに、例えば、凹凸形状に形成されており、一例として、図11に示すように、複数の節電パネル100を連結するものである。これにより、空気調和機200の室内機210または室外機220に設けられた空気取り入れ口211、221の大きさや形状、その他の要求等に応じて、必要な枚数を、例えば、縦、及び/又は、横、斜め方向等の各方向に連結することができる。
【0022】
つぎに、節電パネル100を取り付けた空気調和機200について説明する。
【0023】
節電パネル100は、図8(A)に示すように、空気調和機200の床置きタイプの室内機210、図8(B)に示すように、壁面取り付けタイプの室内機210、または図8(C)に示すように、天井取り付けタイプの室内機210に取り付けられる。床置きタイプの室内機210に取り付ける場合、空気取り入れ口211に節電パネル100の第2の面12を向かい合わせて、タイラップ(登録商標)などの固定具を用いて取り付けるとよい。壁面取り付けタイプの室内機210に取り付ける場合、空気取り入れ口211に節電パネル100の第2の面12を向かい合わせて、空気取り入れ口211に裁置して取り付けるとよい。天井取り付けタイプの室内機210に取り付ける場合、下流に節電パネル100の第1の面11を向かい合わせて、空気取り入れ口211の網の上に裁置するとよい。
【0024】
節電パネル100を上記のように、室内機210に取り付けると、図12に示すように、節電パネル100の開口部20を通過した空気は、フィルタ212を通過し、さらにエバポレーターコイル(熱交換器)213を通過する。節電パネル100とフィルタ212との間に3〜5cmの間隔を開けるとよい。開口部20を通過した空気が、外周部に螺旋状の空気の流れを有することにより、エバポレーターコイル213のフィンに、強く接触する。これにより、螺旋状の空気の流れのない直線的に流れる空気に比べて、開口部20を通過した空気は、エバポレーターコイル213で効率的に熱交換を行うことができる。これにより、空気調和機200の消費電力を抑制することができる。
【0025】
また、節電パネル100は、図9(A)および図9(B)に示すように、空気調和機200の室外機220の空気取り入れ口221に節電パネル100の第2の面12を向かい合わせて、タイラップ(登録商標)などの固定具を用いて取り付けられる。
【0026】
節電パネル100を室外機220に取り付けると、図13に示すように、節電パネル100の開口部20を通過した空気は、ファン223によりコンデンサユニット(熱交換器)222を通過する。節電パネル100とコンデンサユニット222との間に3〜5cmの間隔を開けるとよい。開口部20を通過した空気が、外周部に螺旋状の空気の流れを有することにより、コンデンサユニット222のフィンに、強く接触する。これにより、螺旋状の空気の流れのない直線的に流れる空気に比べて、開口部20を通過した空気は、コンデンサユニット222で効率的に熱交換を行うことができる。これにより、空気調和機200の消費電力を抑制することができる。
【0027】
空気調和機200は、室内機210または室外機220に節電パネル100が取り付けられてもよい。この場合、空気調和機200の消費電力を抑制しつつ節電パネル100の使用量を少なくできる。また、室内機210および室外機220に節電パネル100が取り付けられると、室内機210または室外機220に節電パネル100が取り付けられた場合に比べて、空気調和機200の消費電力をより抑制できる。
【0028】
以上のように、本実施の形態の節電パネル100によれば、開口部20の外周部分を通過した空気に螺旋状の空気の流れが生じることにより、この空気の流れがエバポレーターコイル213またはコンデンサユニット222を通過することで、効率的に熱交換が行われる。これにより、空気調和機200の消費電力を抑制することができる。また、節電パネル100にファインセラミックス粒子がふくまれ、ファインセラミック粒子が段戸石を粉砕した粒子であると効率的に遠赤外線を放射し、マイナスイオンを発生することができる。室内機210に節電パネル100を取り付けるとマイナスイオンを含む空気を室内に循環させることができる。
【0029】
(変形例)
上述の実施の形態では、一つの開口部20に均等な間隔で16個の突起部21が設けられている例について説明した。開口部20を通過した空気に螺旋状の空気の流れを生じさせることができればよく、開口部20は、複数の突起部21を有すればよく、一つの開口部20に8個以上24個以下の突起部21を有することが好ましい。また、突起部21は、ランダムな間隔で配置されてもよい。
【0030】
上述の実施の形態では、厚み方向に見て、突起部21が三角形の形状を有する例について説明した。突起部21は、開口部20を通過した空気に螺旋状の空気の流れを生じさせることができればよく、形状は特に限定されず、厚み方向に見て、四角形や半円形であってもよい。
【0031】
上述の実施の形態では、開口部20の周辺部23が盛り上がっている例について説明した。節電パネル100の第2の面12の形状は、突起部21に傾斜面22を設けることができれば、限定されず、第2の面12は、図14に示すように、平面であってもよい。このようにすることで、成型金型の形状を複雑にすることなく成型可能である。
【0032】
上述の実施の形態では、開口部20が円孔から構成される例について説明した。開口部20は円孔に限定されず、楕円や多角形であってもよい。この場合、開口部20を構成する孔の内周面には、孔が貫通する第1方向に直交する第2方向内向きに突出した複数の突起部21を有するとよい。また、開口部20の大きさは、任意である。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。
【符号の説明】
【0034】
10…パネルシート
10a…カット部
11…第1の面
12…第2の面
20…開口部
21…突起部
22…傾斜面
23…周辺部
30…連結部
100…節電パネル
100a…外周辺
200…空気調和機
210…室内機
211…空気取り入れ口
212…フィルタ
213…エバポレーターコイル
220…室外機
221…空気取り入れ口
222…コンデンサユニット
223…ファン
D1…内径
D2…突出長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14