(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886780
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20210603BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20210603BHJP
B65D 73/00 20060101ALI20210603BHJP
A61J 1/03 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
B65D83/04 D
B65D75/36
B65D73/00 F
A61J1/03 370
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-127227(P2016-127227)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-2179(P2018-2179A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】木曽 慎也
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0213721(US,A1)
【文献】
実開昭49−116221(JP,U)
【文献】
特開2009−208812(JP,A)
【文献】
特開2014−005055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
B65D 73/00
B65D 75/36
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を内側に収容した突出部と前記突出部の周囲に設けられたフランジ部を有するプラスチック成形体に、破断可能な蓋材シートが貼り付けられて前記突出部の開口部が閉鎖されたPTPシートが取り付けられたロック用の台紙から成り、
前記台紙には、前記PTPシートが取り付けられる側面と、前記側面に折罫線で区切られて連続し前記側面に折り返す覆い片が設けられ、
前記側面は、前記PTPシートを挟んだ状態で重ねて保持する第1側面と第2側面が設けられ、前記第1側面と前記第2側面には破断線が互いに重ねられた時に互いに一致する位置に各々設けられ、前記第1側面には、前記PTPシートの前記突出部が嵌合されて突出する透孔が設けられ、前記第2側面には、前記第1側面に重ねられた時に前記透孔に一致し前記PTPシートに収容された収容物が通過して取り出される押出用開口部が設けられ、
前記覆い片は、前記第2側面に前記折罫線で区切られて設けられ、前記第2側面に重ねられて糊付けされ、
前記各側面と前記覆い片は互いに同形状であり、前記覆い片は、前記突出部の開口部を塞いだ蓋材シートを覆い、前記覆い片には、折り返した時に前記側面の前記破断線と互いに一致する破断線が設けられ、
前記覆い片の前記破断線は、前記折罫線とは反対側の端部の近傍に設けられ、前記折罫線に対して略平行に形成され、前記覆い片の前記端部の近傍をその他の部分と区切る位置に設けられ、前記第2側面と前記覆い片は、前記覆い片の前記破断線と前記端部との間の部分で糊付けされ、
前記台紙を折り返した状態で互いに一致する前記各破断線が設けられた部分の前記各側面と前記覆い片は、子供には容易に切断することができない強度に設定されていることを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTP(プレススルーパッケージ)シートに台紙を取り付けて包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル等の薬剤を収容物とする包装技術としてPTPシートがある。PTPシートは、合成樹脂で作られたプラスチック成形体を有し、プラスチック成形体には、薬剤を収容する突出部と、突出部の周縁部に形成されたフランジ部が一体に成形されている。フランジ部の、突出部と反対側の面にアルミ箔などの破断可能な蓋材シートが貼り付けられて突出部が閉鎖され、薬剤を密閉している。また、PTPシートに紙製等の台紙を取り付けて、取り扱いを容易にするとともに台紙に薬剤についての情報を印刷して、多くの情報を消費者に伝達可能にしたものがある。
例えば、特許文献1に開示されている包装体は、台紙にはPTPシートのフランジ部の突出部が突出する側の面に重ねられる第一側面と、第一側面に形成され突出部が挿通される孔部を有している。第一側面に折罫線を介して連続し、フランジ部の反対側の面に折り返される第二側面と、第二側面に形成され第一側面に折り重ねられた時に孔部に対向する位置に形成された押出用開口部を備えている。PTPシートに収容されている錠剤を取り出す時は、第一側面の孔部に位置する突出部を押し、蓋材シートが錠剤に押されて破断して、第二側面の押出用開口部から錠剤を出すものである。
【0003】
特許文献2に開示されている包装体は、PTPシートの保持する第一側面と第二側面を有するとともに、第二側面に形成された透孔を覆う覆い片が設けられている。PTPシートに収容されている錠剤を取り出す時は、覆い片を開いた後、第一側面の孔部に位置する突出部を押し、蓋材シートが錠剤に押されて破断して、第二側面の透孔から錠剤を出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−5193号公報
【特許文献2】特開2014−5055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術の特許文献1に開示された包装体の場合、簡単な操作で錠剤を取り出すことができるものであり、子供の誤飲を防ぐ機能は全く設けられていない。特許文献2に開示された包装体も、覆い片があるものの覆い片は容易に開閉可能であり、子どもの誤飲防止には特に対応しいないものである。
【0006】
その他、子供の誤飲を防ぐ機能を有する包装体にはいろいろな種類があるが、シンプルな構造のものは誤飲を防ぐ機能が不十分であり、誤飲防止を確実にするために薬剤の取り出しを難しくすると、構造が複雑になりコストがかかるものであった。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、確実に収容物の誤飲を防ぐ包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、収容物を内側に収容した突出部と前記突出部の周囲に設けられたフランジ部を有するプラスチック成形体に、破断可能な蓋材シートが貼り付けられて前記突出部の開口部が閉鎖されたPTPシートが取り付けられたロック用の台紙から成り、前記台紙には、前記PTPシートが取り付けられる側面と、前記側面に折罫線で区切られて連続し前記側面に折り返す覆い片が設けられ、前記覆い片は前記突出部の開口部を塞いだ蓋材シートを覆い、前記側面と前記覆い片には、折り返した時に互いに一致する破断線が各々設けられ、
前記覆い片の前記破断線は、
前記折罫線とは反対側の端部の近傍に設けられ、前記覆い片の端部の
近傍をその他の部分と区切る位置に設けられ、前記側面と前記覆い片は、前記破断線と、前記破断線で区切られた前記端部との間の部分で糊付けされ、前記台紙を折り返した状態で互いに一致する前記各破断線が設けられた部分の前記側面と前記覆い片は、子供には容易に切断することができない強度に設定されている包装体である。
【0009】
前記側面と前記覆い片は互いに同形状であり、前記破断線は
、前記折罫線に対して略平行に設けられている。
【0010】
前記側面は、前記PTPシートを挟んだ状態で重ねて保持する第1側面と第2側面が設けられ、前記第1側面と前記第2側面には、前記破断線が互いに重ねられた時に互いに一致する位置に各々設けられ、前記第1側面には、前記PTPシートの前記突出部が嵌合されて突出する透孔が設けられ、前記第2側面には、前記第1側面に重ねられた時に前記透孔に一致し前記PTPシートに収容された収容物が通過して取り出される押出用開口部が設けられ、前記覆い片は、前記第1側面または前記第2側面に前記折罫線で区切られて設けられ、前記第2側面に重ねられて糊付けされている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装体は、簡単な構造で、確実に収容物の誤飲を防ぐことができる。破断線の破断に要する力は、
ロック用の台紙
及び破断線の強度等により適宜調整可能であり、子供には容易に切断することができないものに設定することができる。破断に際しては、正逆に折り曲げることにより、
大人にとっては比較的弱い力で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態の包装体の第1側面から見た斜視図(a)と覆い片から見た斜視図(b)である。
【
図2】この実施形態の包装体の開封した状態を示す斜視図である。
【
図3】この実施形態の包装体の台紙を表面側から見た展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜
図3はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の包装体10は、紙製等のブランクシートを打ち抜いて形成されたロック用の台紙12が設けられ
、台紙12は後述するPTPシート34の収容物である錠剤38の取り出しをロックする機能を有している。図3に示すように、台紙12は、第1側面14と第2側面16が折罫線18を介して設けられている。第1側面14と第2側面16は同形状であり、略正方形であり、各角部が曲線で面取りされている。
【0014】
第1側面14には、折罫線18の近傍に、破断線20が設けられている。破断線20は、折罫線18に対して平行な直線であり、第1側面14の折罫線18に交差する一対の端部に貫通している。第1側面14の、中心よりも折罫線18とは反対側の端部にわずかに近い位置に透孔22が設けられている。透孔22は、後述するPTPシート34の突出部36aが差し込まれる大きさの正円である。
【0015】
第2側面16には、折罫線18の近傍に、折罫線18で第1側面14に折り重ねた時に破断線20に重なる位置に、破断線24が設けられている。破断線24は、折罫線18に対して平行な直線であり、第2側面16の折罫線18に交差する一対の端部に貫通している。また、透孔22に対向する位置には、押出用開口部26が設けられている。押出用開口部26は、透孔22と同じ大きさの正円である。
【0016】
第2側面16の、折罫線18とは反対側の端部には、第2側面16と同形の覆い片28が折罫線30で区切られて設けられている。覆い片28には、折罫線30と反対側の端部28aの近傍に、破断線32が設けられている。破断線32は、折罫線30と端部28aに対して平行な直線であり、折罫線30で第2側面16に折り重ねた時に破断線24に重なる位置に設けられている。
【0017】
ここで、包装体10に収容するPTPシート34について説明する。PTPシート34は、プラスチック成形体36が設けられ、プラスチック成形体36には、収容物の薬剤である錠剤38を収容する突出部36aと、突出部36aの周縁部のフランジ部36bが設けられている。ここでは、1個の突出部3aがフランジ部36bの中心に設けられたものである。プラスチック成形体36のフランジ部36bには、突出部36aの突出方向と反対の面に薄いアルミ製の蓋材シート40が貼り付けられ、突出部36aが閉鎖されている。
【0018】
次に、包装体10の組立方法について説明する。ここでは
図3が台紙12の表面を見たものであり、表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。まず、第1側面14の裏面に、PTPシート34のプラスチック成形体36側の面を重ねて取り付ける。この時、透孔22にPTPシート34の突出部36aを差し込む。そして、第1側面14または第2側面16の裏面の任意の位置に糊を塗布する。例えば、PTPシート34の周囲を囲む位置である。さらに、第1側面14又は第2側面16の裏面の、折罫線18と破断線24の間の部分にも適宜糊を塗布する。そして、折罫線18を正折りして、第1側面56の裏面にPTPシート34を挟みながら第2側面16を糊付けする。
【0019】
次に、第2側面16の表面の、折罫線18と破断線24の間の部分、または覆い片28の表面の、端部28aと破断線32の間の部分に糊を塗布する。そして、折罫線30を逆折りして、第2側面16の表面に覆い片28を糊付けする。
【0020】
これにより台紙12は
図1に示すように畳み状態となり、PTPシート34を保持した状態となる。PTPシート34の、プラスチック成形体36の突出部36aの裏面には第2側面16の押出用開口部26が対向するが、覆い片28により覆われ、PTPシート34から錠剤38を取り出すことできず、ロック状態となる。なお、破断線20,24,32は互いに一致する。これでPTPシート34の、台紙12の取り付けが完了し、包装体10により包装される。
【0021】
包装体10から錠剤38を取り出す時は、互いに一致した破断線20,24,32を切断する。覆い片28は、破断線32と端部28aの間の部分で第2側面16に糊付けされるため、第2側面16との接続が解除され、折罫線30で片持ち状態となり、
図2に示すように、第2側面16から開き、ロックが解除状態となる。これにより、第2側面16の押出用開口部26が開放され、錠剤38の取り出しが可能となる。第2側面16の押出用開口部26には、PTPシート34の蓋材シート40が視認される。そして、第1側面14の透孔22に位置する突出部36aを押すことにより、蓋材シート40が錠剤38に押されて破断し、第2側面16の押出用開口部26から錠剤38が取り出される。なお、破断線20,24,32は、第1側面14、第2側面16、覆い片28が3層になっているため、台紙12の強度が高くて切断しにくいが、端部28aが位置する細長い部分を保持して正方向及び逆方向に何度か折り曲げることで破断線20,24,32を弱めることができ、弱い力で切断することができる。
【0022】
この実施形態の包装体10によれば、簡単な構造で、確実に錠剤38の誤飲を防ぐことができる。破断線20,24,32は、台紙12の強度により子供には容易に切断することができず、必要な時には正逆に折り曲げて弱い力で切断することができる。
【0023】
なお、この発明の包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、台紙の形状や透孔の位置、組立工程、破断線の位置等、適宜変更可能である。台紙の、第1側面と、第2側面、覆い片が連接する順番は自由に変更可能である。第1側面と第2側面及び覆い片の貼り合わせは、ホットメルトその他ヒートシール剤を貼り合わせ面に設けて行えば良く、糊の種類や貼り合わせ方法は問わない。この他、収容する錠剤等の薬剤、その他収容物の数は、適宜変更可能であり、PTPシートの突出部の数に合わせて透孔の数を変更して対応することができる。PTPシートの素材は、いろいろなものに対応することができる。収容される錠剤は、薬剤に限らず他の商品でもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 包装体
12 台紙
14 第1側面
16 第2側面
18,30 折罫線
20,24,32 破断線
22 透孔
26 押出用開口部
28 覆い片
28a 端部
30 折罫線
34 PTPシート
36 プラスチック成形体
36a 突出部
36b フランジ部
38 錠剤
40 蓋材シート