(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、
図1〜3を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る浄水カートリッジを設ける循環型給水器を説明する模式図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る浄水カートリッジの斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る浄水カートリッジを、短手方向に平行な面により切断した場合の断面図である。
【0011】
図1に示すように、浄水カートリッジ100は、循環型給水器101の水循環経路上に設けて使用することができる。循環型給水器101において、浄水カートリッジ100は、貯水タンク102と給水部103との間を循環する水を浄化し、給水部103に浄水を供給する。循環型給水器101は、
図1に示す矢印の方向に水を循環させながら、水の浄化及び浄化した水の供給を行う。
【0012】
循環型給水器101において、貯水タンク102に貯留された水は、ポンプ104に吸い上げられて、給水部103に送られる。給水部103に送られた水は自重により落下し、浄水カートリッジ100内に流入する。浄水カートリッジ100内に流入して浄化された水は、貯水タンク102に落下して貯水される。循環型給水器101は、使用開始時にこのような水の循環を例えば30分程度継続して行うことで、給水部103に浄水が常時供給されるようになる。
【0013】
循環型給水器101は、水の循環により浄化された水が給水部103に常時供給され、また水の循環により給水部103に生じる水流によりペットの興味を引くため、ペットに水飲みを促すと共に、浄化されたきれいな水を常時提供することができる。したがって、循環型給水器101は、例えば、イヌ、ネコ等のペット用給水器として好適に利用可能である。
【0014】
(浄水カートリッジ100)
本実施形態において、浄水カートリッジ100は、本体部111、水導入口112、排水口113、濾材114、メッシュ部材115、土手部116、空気溜り部117、及びメッシュ部材118を備えている。
【0015】
本体部111は、その上部面に水導入口112が設けられており、その底部面に排水口113が設けられており、その内部に濾材114が格納される。循環型給水器101に浄水カートリッジ100を設置した場合、水導入口112から本体部111内に流入した水は、自重によって下方に流れ、濾材114により浄化されて排水口113から流れ出る。本体部111は、内部に空間を有し、上部から底部に向かって広がるテーパー形状であってもよいが、浄水カートリッジ100を設置する浄水器のカートリッジ取付部の形状に合わせた形状であればよい。
【0016】
(水導入口112)
水導入口112は、外部からの水を内部に導入するものである。浄水カートリッジ100を循環型給水器101に設置した場合、水導入口112は、貯水タンク102と給水部103との間の水循環経路上に位置し、水循環経路からの水を浄水カートリッジ100内部に導入する。水導入口112は、本体部111の上部面に設けられており、メッシュ部材115により覆われている。
【0017】
水導入口112は、上部面の最外部まで開口するように設けられていてもよいし、上部面の最外部までは開口せず、上部面の一部に設けられていてもよい。水導入口112の開口面積により浄水カートリッジ100内への水の流入量が変化するため、水の流入量を増やして浄化効率を向上させるために、水導入口112の開口面積は大きい方が好ましい。また、水導入口112は、浄水カートリッジ100内への水の流入及び流出の円滑化のため、排水口113の直上に設けられていることが好ましい。また、水導入口112の開口面積は、浄化効率を考慮した場合、排水口113の開口面積より小さいことが好ましい。
【0018】
水導入口112は、上部面に1つのみ設けられていてもよいし、
図2に示すように、複数設けられていてもよい。例えば、小さい水導入口112を複数設けることによって、大きい水導入口112を1つ設ける場合よりも、水導入口112を覆うメッシュ部材115にかかる負荷が低減し、メッシュ部材115が剥がれたり、撓んだりすることを防ぐことができる。
【0019】
水導入口112が設けられる上部面の形状は特に限定されないが、例えば、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、好ましくは、平面である。上部面が平面であることにより、メッシュ部材115により水導入口112を覆いやすく、製造工程が容易なため製造コストを低減することができる。また、上部面が平面であることにより、メッシュ部材115を湾曲させる必要がないため、メッシュ部材115に不要な負荷がかからず、メッシュ部材115の耐久性を高めることができる。
【0020】
ここで、水導入口112から導入された水の流路が鉛直方向になるように浄水カートリッジ100を設置したとき、水導入口112が設けられた上部面は、水平に対して傾斜する傾斜面である。水導入口112が設けられた上部面が傾斜面であることによって、水導入口112を覆うメッシュ部材115の網目に生じた気泡を傾斜面の上側に誘導することができる。傾斜面の上側には、空気溜り部117が設けられているので、傾斜面の上側に誘導された気泡は空気溜り部117に集合する。
【0021】
水導入口を覆うメッシュ部材の網目に気泡が生じ、この気泡がメッシュ部材の網目に留まった場合、水導入口からの水の流入が妨げられ、浄化効率が低下してしまう。浄水カートリッジ100においては、水導入口112が設けられた上部面が傾斜していることにより、その上側に気泡が誘導されるので、メッシュ部材115の網目に気泡が留まらず、気泡により水の流入が妨げられることを防ぐことができる。
【0022】
傾斜面は、水平に対する傾きが、5度以上、90度未満であることが好ましく、これにより、メッシュ部材115の網目に生じた気泡を好適に上側に誘導することができる。
【0023】
また、傾斜面は複数設けられてもよく、この場合、それぞれの傾斜面に少なくとも1つの水導入口112が設けられ、また、それぞれの傾斜面の上側に空気溜り部117が設けられる。また、複数の傾斜面が設けられている場合に、1つの空気溜り部117に複数の傾斜面の上側のそれぞれが接続されるように設けられていてもよい。すなわち、複数の傾斜面が設けられることにより、例えば、浄水カートリッジ100の上部を多角錐台形状としてもよい。
【0024】
(メッシュ部材115)
メッシュ部材115は、水導入口112を覆うように設けられている。メッシュ部材115は、水導入口112を完全に覆うために、水導入口112の開口部よりも大きいものであり、水導入口112の外側の上部面に貼り付けられていることが好ましい。メッシュ部材115の材質、形状等は特に限定されず、従来公知のメッシュ部材を好適に使用可能である。メッシュ部材115の網目の開口面積は、濾材114の最小粒径よりも小さいことが好ましい。メッシュ部材115として不織布を用いれば、使用時の接触等により粉砕する可能性のある活性炭等の濾材であっても流出を防ぐことができるため、より好ましい。
【0025】
循環型の給水器において、循環する水中に活性炭等の濾材が流出した場合、その濾材が浄水カートリッジ内に戻ることなく循環し、給水部に流れ込む可能性がある。濾材が給水部に流れ込んだ場合、外観上好ましくないだけでなく、水と一緒に誤飲される可能性がある。
【0026】
浄水カートリッジ100においては、水導入口112がメッシュ部材115により覆われているので、本体部111内に収容された濾材114が外部に流出することを確実に防ぎつつ、水の導入が可能になる。また、メッシュ部材115は、毛やほこり等の比較的大きな不純物を、浄水カートリッジ100内に侵入する前に取り除くこともできる。
【0027】
(排水口113)
排水口113は、浄化した水を外部に排出する。排水口113は、本体部111の底部面に設けられている。浄水カートリッジ100を循環型給水器101に設置した場合、排水口113は、貯水タンク102と給水部103との間の水循環経路上に位置し、浄水カートリッジ100内で浄化した水を水循環経路に流出させる。
【0028】
排水口113は、底部面の最外部まで開口するように設けられていてもよいし、底部面の最外部までは開口せず、底部面の一部に設けられていてもよい。排水口113の開口面積により浄水カートリッジ100からの浄水の流出量が変化するため、水の流出量を増やして浄化効率を向上させるために、排水口113の開口面積は大きい方が好ましい。また、排水口113は、浄水カートリッジ100内への水の流入及び流出の円滑化のため、水導入口112の直下に設けられていることが好ましい。また、排水口113の開口面積は、浄化効率を考慮した場合、水導入口112の開口面積より大きいことが好ましい。
【0029】
排水口113は、底部面に1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。例えば、小さい排水口113を複数設けることによって、大きい排水口113を1つ設ける場合よりも、排水口113を覆うメッシュ部材118にかかる負荷が低減し、メッシュ部材118が剥がれたり、撓んだりすることを防ぐことができる。
【0030】
排水口113が設けられる底部面の形状は特に限定されないが、例えば、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、好ましくは、平面である。底部面が平面であることにより、メッシュ部材118により排水口113を覆いやすく、製造工程が容易なため製造コストを低減することができる。また、底部面が平面であることにより、メッシュ部材118を湾曲させる必要がないため、メッシュ部材118に不要な負荷がかからず、メッシュ部材118の耐久性を高めることができる。
【0031】
(メッシュ部材118)
排水口113は、メッシュ部材118により覆われていてもよい。これにより、本体部111内に収容された濾材114が外部に流出することを確実に防ぎつつ、浄水カートリッジ100内で浄化された水を流出させることが可能である。
【0032】
メッシュ部材118は、排水口113を完全に覆うために、排水口113の開口部よりも大きいものであり、排水口113の外側の底部面に貼り付けられていることが好ましい。メッシュ部材118の材質、形状等は特に限定されず、従来公知のメッシュ部材を好適に使用可能である。メッシュ部材118の網目の開口面積は、濾材114の最小粒径よりも小さいことが好ましい。メッシュ部材118として不織布を用いれば、使用時の接触等により粉砕する可能性のある活性炭等の濾材であっても流出を防ぐことができるため、より好ましい。
【0033】
(土手部116)
土手部116は、水導入口112の周囲の少なくとも一部を囲む。これにより土手部116は、所定量の水を水導入口112上で保持することができる。したがって、浄水カートリッジ100を循環型給水器101に設置した場合、例えば、給水部103から自重により落下する水の落下速度が速い又は落下量が多く、水導入口112から水が流入しきらずに溢れてしまったとしても、土手部116の内側に保持することができる。その結果、浄水カートリッジ100内に流入せずに溢れ出す水の量を低減することができ、浄水カートリッジ100の浄化効率が向上する。
【0034】
循環型の給水器において水を自重濾過する場合、浄水カートリッジに流入せずに溢れ出す水の量が多いと、浄化されずに循環する水の量が増えてしまうため好ましくない。したがって、循環型給水器に用いる場合、浄水カートリッジ100が土手部116を有することは特に好適である。また、土手部116が設けられていることによって、水導入口112が設けられている傾斜面の傾斜がきつい場合や、水導入口112を覆うメッシュ部材115の目開きが小さい場合であっても、浄水カートリッジ100内に好適に水を流入させることができる。
【0035】
土手部116は、水導入口112が設けられた上部面から突出し、水導入口112の周囲の少なくとも一部を囲むように設けられていれば、その形状は特に限定されない。例えば、水導入口112の形状が四角形である場合には、土手部116の形状は、その四方を囲む壁状であってもよいし、水導入口112の形状が円形である場合には、土手部116の形状は、その周囲を取り囲む筒状であってもよい。また、土手部116の上部面からの高さは、給水部103からの水の落下速度及び落下量、水導入口112からの水の流入速度及び流入量等に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
土手部116において、浄水カートリッジ100の傾斜面の上側に位置する部分の内側には空間が設けられており、この空間が空気溜り部117であることが好ましい。この場合、土手部116において空気溜り部117を内部に有する部分は、他の部分よりも幅が広くなっていてもよい。
【0037】
(空気溜り部117)
空気溜り部117は、内部に空間を有し、水導入口112の外側であって、水導入口112から導入された水の流路が鉛直方向になるように設置したとき、傾斜面の上側に位置するように設けられている。空気溜り部117は、水導入口112を覆うメッシュ部材115の網目に生じ、傾斜面の上側に誘導された気泡を、水導入口112よりも外側に集合させる。このように、傾斜面の上側のメッシュ部材115よりも外側に気泡が集まるので、メッシュ部材115の網目から気泡をより確実に取り除くことができ、気泡により水の流入が妨げられることを、より確実に防ぐことができる。
【0038】
空気溜り部117は、傾斜面よりも上側に突出するように設けられていることが好ましい。これにより、空気溜り部117により気泡が集合しやすくなり、メッシュ部材115の網目から気泡をさらに確実に取り除くことができる。
【0039】
空気溜り部117の形状は特に限定されず、例えば、上方向に突出する突起部であってもよいし、横方向に突出する突起部であってもよい。空気溜り部117は、傾斜面の上側と本体部111の側壁とで囲まれた空間であり得、傾斜面の上側から横方向に突出する壁と本体部111の側壁とが直角に交わって形成される空間でもよいし、傾斜面の上側と本体部111の側壁とが鋭角に交わって形成される空間でもよい。また、空気溜り部117は、傾斜面の上側から上方向に突出する壁と、当該壁から横方向に延伸する壁と、本体部111の側壁とに囲まれる凸形状であってもよい。また、傾斜面が複数設けられている場合には、空気溜り部117は、複数の傾斜面の上側に囲まれる凸形状であってもよいし、複数の傾斜面のそれぞれの上側から上方向に突出する壁と、その壁を接続する横方向に延伸する壁とにより囲まれる凸形状であってもよい。
【0040】
空気溜り部117は、土手部116の内側に設けられた空間であることが好ましい。これにより、土手部116が空気溜り部117を兼ねることができるので、製造工程が容易であり、製造コストを低減することができる。また、土手部116が空気溜り部117を兼ねることにより、空気溜り部117と土手部116とを別々設ける場合よりも浄水カートリッジ100を小型化できる。
【0041】
空気溜り部117の容積は、メッシュ部材115の網目に生じた気泡を十分に収容することが可能な容積であればよく、水導入口112の開口面積、メッシュ部材115の目開き、浄水カートリッジ100の容積等に応じて適宜決定することができる。空気溜り部117の容積は、例えば、浄水カートリッジ1の容積の1%以上、10%以下であってもよい。
【0042】
空気溜り部117の上部には穴が形成されていてもよく、これにより、空気溜り部117に集まった空気を外部に排出することができる。空気溜り部117に形成される穴は、濾材114が外部に流出しない程度の大きさであることが好ましく、また、濾材114の径よりも大きい穴が形成される場合には、穴を不織布等のメッシュ部材で覆うことが好ましい。
【0043】
(濾材114)
濾材114は、本体部111内の水導入口112と排水口113との間に格納され、水導入口112から本体部111内に流入した水を浄化するものである。濾材114は、イオン交換樹脂119及び活性炭120を含み得るが、これに限定されず、他の公知の濾材に変更してもよいし、他の公知の濾材をさらに組み合わせて含んでもよい。
【0044】
濾材114が活性炭120を含む場合、水中の残留塩素やカビ臭、およびトリハロメタンなどの有機化合物を好適に除去することができる。また、活性炭120は、人体やその他動物の体にほとんど害がないため、誤飲による悪影響を抑えることができる。
【0045】
濾材114がイオン交換樹脂119を含む場合、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、セシウム、ヨウ素等のイオン化物質を好適に除去することができる。また、イオン交換樹脂119は吸水により膨張するため、水圧による濾材114の偏りが生じにくく、水が濾材114を十分に通過しないこと(いわゆるショートパス)による浄化不良を防ぐことができる。
【0046】
本体部111に対する濾材114の充填量については特に限定されないが、本体部111内部の濾材114が充填されていない空間の高さや容積、水の流入速度や流入量、本体部111の形状、濾材114の種類や形状等に応じて適宜設定することができる。濾材114の充填量は、これらを考慮した上で、十分に水を浄化することが可能な量であればよい。例えば、本体部111の内部空間の高さに対し、濾材114の充填時の高さは1/2以上、9/10以下であり、2/3以上であることがより好ましい。
【0047】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。