(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収性コアを平面視して、前記前方側凸部は前記中高中央部から前記第一領域側に向かって横方向の長さが漸次狭くなっており、前記後方側凸部は前記中高中央部から前記第二領域側に向かって横方向の長さが漸次狭くなっており、
前記吸収性コアを平面視して、前記第一領域及び前記第二領域には、縦方向及び横方向に延びる溝部と、該溝部によって区画化されて形成された複数の小吸収部とが配されており、該小吸収部は該溝部の坪量よりも坪量が高い、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態のナプキン1を肌側シート側から視た平面図が示されている。本実施形態のナプキン1は、
図1に示すように、着用者の前後方向に対応する縦方向Xに長い形状の吸収性コア41を備え、前方区域A及び後方区域Cを有する。ナプキン1は、
図1に示すように、着用者の液排泄部に対向配置される排泄対向区域Bと、該排泄対向区域Bの縦方向Xの前後に配置された前方区域A及び後方区域Cとに区分されている。
【0011】
本明細書において、縦方向Xは、着用者の前後方向に対応しており、吸収性物品(ナプキン1)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(ナプキン1)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致している。したがって、特段の断りがない場合には、本明細書において、長手方向(縦方向X)の長さは、縦方向Xで測定される距離である「長さ」を意味し、横方向Yの長さは、横方向Yで測定される距離である「幅」を意味する。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。また、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
【0012】
ナプキン1は、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄対向区域Bと、該排泄対向区域Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方区域Aと、該排泄対向区域Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方区域Cとを有している。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方区域A、排泄対向区域B及び後方区域Cの順番で区分される。
【0013】
尚、本発明の吸収性物品において、排泄対向区域Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部1Wを有する場合には、縦方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
【0014】
本実施形態のナプキン1は、
図1に示すように、肌対向面を形成する液透過性の肌側シート2、非肌対向面を形成する非肌側シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。吸収体4は、吸収性コア41と、該吸収性コア41を包むコアラップシート(不図示)とから構成されている。
【0015】
ナプキン1では、肌側シート2は、
図1に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、非肌側シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に肌側シート2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部1Sを形成している。非肌側シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、肌側シート2及び非肌側シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
【0016】
ナプキン1では、サイドシート5は、
図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において肌側シート2の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、肌側シート2の縦方向Xの全長に亘って配されている。
【0017】
ナプキン1では、一対のサイドシート5,5は、それぞれ、
図1に示すように、接合部6にて肌側シート2に接合されている。曲線による横方向Yへの凹凸を交互に縦方向Xに連続して配した波状の接合部6は、平面視において、中心線CLを中心として横方向Yに対称に一対配されている。このように、サイドシート5が、波状の接合部6にて肌側シート2に接合されて固定されると、波状に配された接合部6の接合部群よりも横方向Yの内方に、サイドシート5と肌側シート2とで画成される空間部が形成される。この空間部は、中心線CLに向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の体液が該空間部に収容されるようになり、結果として体液の漏れが効果的に防止できる。
【0018】
ナプキン1では、サイドフラップ部1Sは、
図1に示すように、排泄対向区域Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これによりナプキン1は、その縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部1W,1Wを備えるようになる。ウイング部1Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。また、肌側シート2及び非肌側シート3は、
図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
【0019】
ナプキン1では、
図1に示すように、肌側シート2と吸収性コア41とが圧搾一体化された線状圧搾溝7を備えている。好適に、ナプキン1では、肌側シート2の肌対向面に、肌側シート2及び吸収体4が非肌側シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝7が形成されている。線状圧搾溝7における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含んでいることを意味する。尚、線状圧搾溝7は、線状に延びていれば、溝の底部の厚みが一定であってもよく、溝の底部の厚みが一定でなくてもよい。溝の底部の厚みが一定でない圧搾溝としては、例えば、圧搾溝の底部に、相対的に深く窪んでいる部分(高圧搾部)と相対的に浅く窪んでいる部分(低圧搾部)とが形成されている形態が挙げられる。線状圧搾溝7は、肌側シート2及び吸収体4に関して、構成部材である各々の繊維の密度が、該線状圧搾溝7の周囲部の密度よりも高くなっている。
【0020】
ナプキン1では、線状圧搾溝7は、
図1に示すように、吸収性コア41の縦方向Xに延びる一対の縦圧搾溝73,73と、一対の縦圧搾溝73,73の横方向Yの外側に一対の第2縦圧搾溝73A,73Aとを有している。好適に、ナプキン1では、線状圧搾溝7は、吸収体4の前方区域A及び後方区域Cに、それぞれ横方向Yに延びる第1横圧搾溝71と、吸収体4の排泄対向区域Bの縦方向Xに沿う両側部に縦方向Xに延びる縦圧搾溝73とを有している。ナプキン1では、第1横圧搾溝71は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状であり、縦圧搾溝73は、排泄対向区域Bにおいて横方向Y外方に向けて凸の曲線状である。第1横圧搾溝71は、一対の縦圧搾溝73よりも内側に、一対の縦圧搾溝73に亘って横方向Yに延びている。ナプキン1では、前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73が繋がってリング状の全周溝を形成している。このように形成された線状圧搾溝7は、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。一対の第2縦圧搾溝73A,73Aは、リング状の全周溝を形成する前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73とは独立して配されている。第2縦圧搾溝73Aは、縦圧搾溝73と同様に、排泄対向区域Bにおいて横方向Y外方に向けて凸の曲線状である。
【0021】
ナプキン1では、吸収体4を構成する吸収性コア41は、
図2に示すように、縦方向Xの前方区域A側に位置する第一領域41F及び後方区域C側に位置する第二領域41Rを有し、第一領域41Fと第二領域41Rとの間に中間領域41Mを有している。中間領域41Mは中高部42を備えている。ナプキン1では、吸収性コア41の中間領域41Mは、排泄対向区域Bに配置されている。好適に、ナプキン1では、吸収性コア41の中間領域41Mと排泄対向区域Bは、縦方向において一致している。したがって、ナプキン1では、排泄対向区域Bに中高部42を有している。尚、ナプキン1では、
図2に示すように平面視して、ナプキン1の前方区域Aの大きさと吸収性コア41の第一領域41Fの大きさとが略一致しており、ナプキン1の後方区域Cの大きさと吸収性コア41の第二領域41Rの大きさとが略一致している。
【0022】
ナプキン1が、横方向Y両外側に一対のウイング部1Wを備える場合には、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付け根どうし間に中間領域41Mが存在している。より具体的には、ナプキン1の中間領域41Mは、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付根どうし間に亘って存在している。尚、ナプキン1の前方区域Aの大きさと吸収性コア41の第一領域41Fの大きさとが略一致しており、ナプキン1の後方区域Cの大きさと吸収性コア41の第二領域41Rの大きさとが略一致している場合には、ナプキン1の中間領域41Mの縦方向Xの長さは、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付根どうし間の長さと同一である。
【0023】
また、中間領域41Mは、後述する中高境界溝部43及び後述する中高横溝部47を除き、中間領域41Mの前方に位置する第一領域41F及び中間領域41Mの後方に位置する第二領域41Rの各領域における吸収性コア41の厚みよりも厚みが厚くなっている。ナプキン1では、吸収性コア41は、ナプキン1の縦方向Xと同方向に長い形状を有する。したがって、吸収性コア41の縦方向は、ナプキン1の縦方向Xと同方向であり、吸収性コア41の横方向は、ナプキン1の横方向Yと同方向である。
【0024】
中間領域41Mの備える中高部42は、その厚みが、
図3に示すように、吸収性コア41における第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みよりも厚く形成されており、且つ、その坪量が、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも高く形成されている。ここで、中高部42の厚み及び坪量とは、中高部42における後述する中高境界溝部43及び後述する中高横溝部47が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。また、中高部42の厚み及び坪量と比較する第一領域41F及び第二領域41Rのそれぞれの厚み及び坪量は、第一領域41F及び第二領域41Rに後述する溝部45が形成されている場合には、第一領域41F及び第二領域41Rにおける溝部45が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。ナプキン1の吸収性コア41は、コア材料の坪量に差を設けて厚み差を設けてあるため、坪量の均一な吸収性コアの一部を圧縮して厚み差を設ける場合とは異なり、吸収性コア41は、全体として柔軟である。
【0025】
中高部42の厚みは、中高部42を肌に向かって突出させて、吸収性コア41の液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの厚みの、好ましくは120%(即ち、1.2倍)以上、より好ましくは140%以上であり、また、好ましくは、700%以下、より好ましくは、500%以下であり、また、着用時における身体への追従性や違和感を抑える観点から、好ましくは120%以上700%以下、より好ましくは140%以上500%以下である。また、中高部42の厚みと第一領域41F又は第二領域41Rの厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは6.0mm以下であり、また、好ましくは1.0mm以上8.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上6.0mm以下である。上述した構成は、本実施形態のナプキン1のように中高部42が排泄対向区域Bに設けられているときに、特に有効である。
具体的に、中高部42の厚みは、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下であり、また、好ましくは2.0mm以上10.0mm以下、より好ましくは3.0mm以上7.0mm以下である。なお、中高部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、中高部42の厚み方向に増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
なお、中高部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、中高部42の厚み方向において、横方向Y又は縦方向X又は、その両方向に漸次的な厚み増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
具体的に、第一領域41F又は第二領域41Rの厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは7.0mm以下、より好ましくは3.5mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上7.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上3.5mm以下である。
ナプキン1では、第一領域41F又は第二領域41Rの厚みは、後述する溝部45が存在しない部分において、略均一に形成されていることが好ましいが、第一領域41F又は第二領域41Rの横方向Y又は縦方向Xに漸次的な厚みの増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
中高部42、第一領域41F又は第二領域41R、後述する中高隣接部44等の吸収性コア41の各部の厚みは、以下の方法によって測定される。
【0026】
<吸収性コア41の各部の厚みの測定方法>
吸収性コアを水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収性コア41から測定対象物である中高部42、第一領域41F又は第二領域41R等を切り出す。そして、切り出した測定対象物における5cN/cm
2の荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計 PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と切り出した測定対象物との間に、荷重が5cN/cm
2となるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。吸収性コア41における第一領域41F又は第二領域41R等の厚みを測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
【0027】
ナプキン1では、吸収性コア41における中高部42の坪量は、中高部42を肌に向かって突出させ、排泄対向区域Bにおける吸収性コアの液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは100g/m
2以上、より好ましくは200g/m
2以上であり、そして、好ましくは1500g/m
2以下、より好ましくは1200g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは100g/m
2以上1500g/m
2以下、より好ましくは200g/m
2以上1200g/m
2以下である。また、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量又は第二領域41Rの坪量は、好ましくは50g/m
2以上、より好ましくは100g/m
2以上であり、そして、好ましくは1000g/m
2以下、より好ましくは900g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは50g/m
2以上1000g/m
2以下、より好ましくは100g/m
2以上900g/m
2以下である。第一領域41Fの坪量又は第二領域41Rの坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した第一領域41F又は第二領域41Rのサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。吸収性コア41における中高部42の坪量を測定する際には、後述する中高境界溝部43及び後述する中高横溝部47を含まないように測定する。また、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量又は第二領域41R等の坪量を測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
【0028】
中高部42は、
図2に示すように吸収性コア41を平面視して、吸収性コア41の縦方向Xと直交する横方向Yの全長に亘って延在し且つ吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sに従って縦方向Xに所定の長さに延在する中高中央部421、中高中央部421の縦方向Xの前端部から第一領域41F側に向かって凸の1個の前方側凸部422、及び中高中央部421の縦方向Xの後端部から第二領域41R側に向かって凸の1個の後方側凸部423を有している。即ち、ナプキン1では、中高部42は、前方側凸部422、中高中央部421及び後方側凸部423に区分されている。
【0029】
中高部42の中高中央部421は、
図2に示すように、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間に亘って帯状に延在しており、中高中央部421の横方向Yの長さが、吸収性コア41の幅と同一となっている。なお、ここで吸収性コア41の幅とは、中高部42を含めた吸収性コア41の幅を意味する。吸収性コア41は、吸収性物品が多少ズレた状態で着用されても、十分な吸収性能が発現できるように、中高中央部421の面積をできるかぎり広くすることが好ましく、中高中央部421は、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間に亘って縦方向Xに一定の間隔であることが好ましく、両側縁41s,41sはそれぞれ、縦方向Xに平行であり、且つ直線状となっていることがより好ましい。更に、ナプキン1の装着位置がズレた状態でも、十分な吸収性能を発現し、更にフィット性を向上させる観点より、吸収性コア41は、その横方向Yの最大長さが、中高中央部421の横方向Yの最大長さと同一となっていることが、より一層好ましい。ただし、製造時における、吸収性コア41における中高部42の横方向Yの位置ズレ、中高部42の欠け、生産方法に起因する型の抜き傾斜、端部の丸めや面取り等により、中高部42の幅と吸収性コア41の幅とが多少異なる程度、例えば、中高部42の最大幅と吸収性コア41の最大幅とが5%程度の幅の差の範囲であれば同一の幅とする。最大幅とは横方向Yにおける最も長い位置での距離を意味する。なお、ナプキン1においては、
図2に示すように、中高部42の横方向Yにおける最大幅(横方向Yの最大長さ)が、吸収性コア41の中間領域41Mにおける最大幅(横方向Yの最大長さ)と同じであり、吸収性コア41の最大幅(横方向Yの最大長さ)と同じである。
【0030】
中高部42の中高中央部421は、ナプキン1では、
図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その高さが低くなるように形成されている。即ち、中高中央部421における縦方向Xに延びる中心線CL上に配された中央部が、最も高さが高く形成されている。このように中高中央部421が形成されていると、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させることができる。
【0031】
中高部42の中高中央部421は、ナプキン1では、
図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その坪量が小さくなるように形成されている。即ち、中高中央部421における縦方向Xに延びる中心線CL上に配された中央部が、最も坪量が大きく形成されている。このように中高中央部421が形成されていると、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させることができる。
【0032】
ナプキン1の中高中央部421は、
図4に示すように断面視して、中心線CL上に配された中央部の高さ(T1)の、最も高さの小さい側縁41sでの高さ(T2)に対する比(T1/T2)は、排泄部に中高部が可能な限り隙間なく密着できる観点から、1.1以上、特に1.3以上であることが好ましく、また、着用時の違和感を与え難くする観点から、4以下、特に3以下であることが好ましく、具体的には、1.1以上4以下、特に1.3以上3以下であることが好ましい。
また、ナプキン1の中高中央部421は、ナプキン1に思わぬシワや折れを生じさせない観点から、少なくとも肌当接面側に、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量よりも坪量が低い凹部を有さない形態となっている。ここで、第一領域41F及び第二領域41Rの坪量とは、第一領域41F及び第二領域41Rが溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。
【0033】
また、中高部42の前方側凸部422は、
図2に示すように、中高中央部421の前端部に1個配されている。ナプキン1では、前方側凸部422は、前方側凸部422の頂部422tが縦方向Xに延びる中心線CL上に配されており、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sが、それぞれ、頂部422tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びている。
【0034】
また、中高部42の後方側凸部423は、
図2に示すように、中高中央部421の後端部に1個配されている。後方側凸部423は、前方側凸部422と同様に、後方側凸部423の頂部423tが縦方向Xに延びる中心線CL上に配されており、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sが、それぞれ、頂部423tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びている。
【0035】
ナプキン1では、
図2に示すように吸収性コア41を平面視して、前方側凸部422は中高中央部421から第一領域41F側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっており、後方側凸部423は中高中央部421から第二領域41R側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっている。即ち、吸収性コア41における前方側凸部422及び後方側凸部423は、それぞれ、縦方向Xに沿う両側部から横方向Yの中央部に位置する頂部422t,423tに向かって、その幅dが漸減するように形成されている。好適に、ナプキン1の吸収性コア41における前方側凸部422では、両側辺422s,422sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部422tに向かって漸減している。同様に、ナプキン1の吸収性コア41における後方側凸部423では、両側辺423s,423sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部423tに向かって漸減している。ここで、幅dが漸減しているとは、頂部422t,423tに向って幅dが連続的に少しずつ減少していることである。
【0036】
ナプキン1における吸収性コア41では、前方側凸部422及び後方側凸部423の内の前方側凸部422を例に挙げて説明すると、両側辺422s,422sがそれぞれ屈曲せずに真っ直ぐに延びている。一方の側辺422sと縦方向Xに延びる中心線CLとのなす角αは、身体形状へのフィット性及び動きの中での追従性向上の観点から、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上であり、そして、好ましくは75°以下、より好ましくは60°以下であり、具体的には、好ましくは20°以上75°以下、より好ましくは30°以上60°以下である。後方側凸部423も前方側凸部422と同様である。
【0037】
中高部42の縦方向Xの全長L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1の、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは75%以下であり、また、好ましくは25%以上90%以下、より好ましくは30%以上75%以下である。
なお、全長L1とは吸収性コア41の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を示し、全長L2とは中高部42の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する。
【0038】
中高部42を構成する中高中央部421の縦方向Xの全長L3は、中高部42の全長L2の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また、好ましくは20%以上90%以下、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0039】
中高部42を構成する前方側凸部422の縦方向Xの全長L4は、中高部42の全長L2の、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また、好ましくは、5%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。中高部42を構成する後方側凸部423の縦方向X全長も、前方側凸部422の縦方向Xの全長L4と同様である。
なお、全長L4とは前方側凸部422の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する。
【0040】
ナプキン1では、
図2に示すように吸収性コア41を平面視して、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄対向区域Bの吸収面を確保する観点から、中高中央部421の表面積S1が、前方側凸部422の表面積S2及び後方側凸部423の表面積S3それぞれよりも大きく形成されていることが好ましい。ここで各部位の表面積は、肌対向面側の面の面積を意味する。中高中央部421の表面積S1は、吸収性コア41の排泄対向区域Bの吸収面を確保する観点から、前方側凸部422の表面積S2或いは後方側凸部423の表面積S3の、好ましくは100%(即ち、1倍)以上、より好ましくは160%以上であり、また、好ましくは、3600%以下、より好ましくは、2000%以下であり、具体的には、好ましくは100%以上3600%以下、より好ましくは160%以上2000%以下である。
好適に、中高中央部421の表面積S1は、好ましくは20cm
2以上、より好ましくは30cm
2以上であり、また、好ましくは200cm
2以下、より好ましくは150cm
2以下であり、具体的に、好ましくは20cm
2以上200cm
2以下、より好ましくは30cm
2以上150cm
2以下である。
前方側凸部422の表面積S2或いは後方側凸部423の表面積S3は、好ましくは5cm
2以上、より好ましくは10m
2以上であり、また、好ましくは40cm
2以下、より好ましくは30cm
2以下であり、具体的に、好ましくは5cm
2以上50cm
2以下、より好ましくは10cm
2以上40cm
2以下である。
【0041】
ナプキン1では、
図2に示すように、吸収性コア41は、中間領域41Mに中高部42と中高部42以外の部分との境界を区画する中高境界溝部43を有している。中高境界溝部43は、ナプキン1では、中高部42を構成する前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延在する前方中高境界溝部43aと、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延在する後方中高境界溝部43cとを有している。ナプキン1では、前方中高境界溝部43a及び後方中高境界溝部43cは、吸収性コア41の横方向Yの全長(全幅)に亘り配されている。このため、脚部からの吸収性コア41の幅方向の内側に働く力に対し、ナプキン1の縦方向に縦シワが生じ難く、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる。このように、吸収性コア41では、前方中高境界溝部43aと後方中高境界溝部43cとによって中高部42との境界を区画している。
【0042】
ナプキン1では、吸収性コア41における中高境界溝部43の溝幅は、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは、0.1mm以上、より好ましくは、0.5mm以上であり、また、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。尚、中高境界溝部43の溝幅及び後述する厚みは、中高境界溝部43の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。
ナプキン1では、吸収性コア41における中高境界溝部43での厚みは、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.15mm以上、また、好ましくは、7.0mm以下、より好ましくは、3.5mm以下であり、また、好ましくは、0.08mm以上、7.0mm以下、より好ましくは、0.15mm以上3.5mm以下である
【0043】
ナプキン1では、中高境界溝部43は、中高部42の坪量よりも低く、更に、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも坪量が低く形成されている。ここで、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。中高境界溝部43の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは20g/m
2以上であり、そして、好ましくは350g/m
2以下、より好ましくは250g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは10g/m
2以上350g/m
2以下、より好ましくは20g/m
2以上250g/m
2以下である。尚、中高境界溝部43の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中高境界溝部43の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
【0044】
中高部42は、
図2に示すように吸収性コア41を平面視して、前方側凸部422及び後方側凸部423の少なくとも一方に、横方向Yに延びる中高横溝部47を有していればよいところ、ナプキン1では、前方側凸部422に前方中高横溝部47aを有し、後方側凸部423に後方中高横溝部47cを有している。ここで、中高横溝部47は横方向Yに延びていれば、連続する直線状に延びていても、間欠的に配された不連続線状に延びていてもよく、曲線状に延びていてもよい。ナプキン1の中高横溝部47である前方中高横溝部47a及び後方中高横溝部47cは、何れも、連続する直線状に延びている。また、中高横溝部47が横方向Yに延びているとは、横方向Yに延びる吸収性コア41の二等分線とのなす角が45度未満の範囲で延びることを意味しており、ナプキン1では、前方中高横溝部47a及び後方中高横溝部47cの何れも、該二等分線に平行に延びている。
【0045】
ナプキン1では、中高横溝部47の一端が、中高境界溝部43に接していることが好ましいが、
図2に示すように、中高横溝部47の両端が、中高境界溝部43における異なる部分に接している。好適には、前方中高横溝部47aが前方側凸部422の両側辺422s,422sに亘って延び、前方中高横溝部47aの両端が、両側辺422s,422sに沿って延在する前方中高境界溝部43aと異なる部分で接している。同様に、後方中高横溝部47cが後方側凸部423の両側辺423s,423sに亘って延び、後方中高横溝部47cの両端が、両側辺423s,423sに沿って延在する後方中高境界溝部43cと異なる部分で接している。
【0046】
中高横溝部47は、前方側凸部422及び後方側凸部423の一方に、少なくとも1本配されていればよいが、1本以上10本以下配されていることが好ましく、2本以上5本以下配されていることが更に好ましい。ナプキン1では、前方中高横溝部47aが前方側凸部422に2本配されており、各前方中高横溝部47aが、前方側凸部422の両側辺422s,422sに亘って、横方向Yに延びる吸収性コア41の二等分線に平行に延びている。また、後方中高横溝部47cが後方側凸部423に2本配されており、各後方中高横溝部47cが、後方側凸部423の両側辺423s,423sに亘って、前記二等分線に平行に延びている。
【0047】
ナプキン1では、前方側凸部422に前方中高横溝部47aが配されており、後方側凸部423に後方中高横溝部47cが配されており、前方中高横溝部47aと後方中高横溝部47cとの間に、リング状の全周溝を形成する前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73とは独立した一対の第2縦圧搾溝73A,73Aが配されている。尚、ナプキン1のように、前方側凸部422に前方中高横溝部47aが複数本配され、後方側凸部423に後方中高横溝部47cが複数本配されている場合には、ナプキン1の横方向Yに延びる中心線(不図示)に最も近く存在する前方中高横溝部47aと後方中高横溝部47cとの間に、一対の第2縦圧搾溝73A,73Aが配されていることが好ましい。このような位置に一対の第2縦圧搾溝73A,73Aが配されていると、中高部42における前方中高横溝部47a及び後方中高横溝部47cの影響を受け難く、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。
【0048】
ナプキン1は、横方向Y両外側に一対のウイング部1W,1Wを備えている。そして、ナプキン1では、一対のウイング部1W,1Wにおける前方区域A側に位置する付け根どうしを結ぶ前方側仮想線ILaの位置と前方側凸部422の前方中高横溝部47aの位置とが一致しており、一対のウイング部1W,1Wにおける後方区域C側に位置する付け根どうしを結ぶ後方側仮想線ILcの位置と後方側凸部423の後方中高横溝部47cの位置とが一致している。尚、ナプキン1のように、前方側凸部422に前方中高横溝部47aが複数本配されている場合には、その内の1本の前方中高横溝部47aの位置が前方側仮想線ILaの位置と一致していればよい。同様に、ナプキン1のように、後方側凸部423に後方中高横溝部47cが複数本配されている場合には、その内の1本の後方中高横溝部47cの位置が後方側仮想線ILcの位置と一致していればよい。このように、前方側仮想線ILaの位置と前方中高横溝部47aの位置とが一致し、後方中高横溝部47cの位置と後方側仮想線ILcの位置とが一致していると、着用時のナプキン1のフィット性が向上する。
【0049】
ナプキン1では、吸収性コア41の中高部42における中高横溝部47の溝幅は、排泄液の吸収性と身体へのフィット性、吸収体の耐久性等の観点から、中高境界溝部43の溝幅と同じか狭いことが好ましく、具体的に、好ましくは、0.1mm以上、より好ましくは、0.5mm以上であり、また、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。尚、中高横溝部47の溝幅及び後述する厚みは、中高横溝部47の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。
ナプキン1では、吸収性コア41の中高部42における中高横溝部47での厚みは、排泄液の吸収性能の観点から、中高境界溝部43での厚みと同じか、高いことが好ましく、具体的に、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.15mm以上であり、また、好ましくは、10.0mm以下、より好ましくは、8.0mm以下であり、また、好ましくは0.08mm以上10.0mm以下、より好ましくは、0.15mm以上8.0mm以下である。
【0050】
ナプキン1では、吸収性コア41の中高部42における中高横溝部47の坪量は、身体へのフィット性と吸収性能の観点から、中高部42の坪量よりも低いことが好ましく、溝部45の坪量よりも高いことが好ましい。具体的に、中高横溝部47の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは20g/m
2以上であり、そして、好ましくは800g/m
2以下、より好ましくは600g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは10g/m
2以上800g/m
2以下、より好ましくは20g/m
2以上600g/m
2以下である。尚、中高横溝部47の坪量は、上述のように切り出した中高横溝部47の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
【0051】
ナプキン1では、吸収性コア41は、
図2に示すように、その中間領域41Mにおける中高部42を除き、更に、中高境界溝部43を除く領域に、中高隣接部44を有している。即ち、ナプキン1では、吸収性コア41における中間領域41Mが、中高部42、中高境界溝部43及び中高隣接部44からなっている。中高隣接部44は、中間領域41Mにおいて、中高部42を構成する前方側凸部422に隣接する第一領域41F側に配された前方中高隣接部44aと、中高部42を構成する後方側凸部423に隣接する第二領域41R側に配された後方中高隣接部44cとを有している。ナプキン1では、前方中高隣接部44aは、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。前方中高隣接部44aにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。ナプキン1では、後方中高隣接部44cも、前方中高隣接部44aと同様に、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。後方中高隣接部44cにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。
【0052】
ナプキン1では、中高隣接部44は、
図3に示すように、その厚みが、中高境界溝部43及び中高横溝部47での厚みよりも大きく、且つ、吸収性コア41における中高部42の厚みよりも小さく形成されている。更には、身体の動きへの追従性の観点からは、中高隣接部44は、その厚みが、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みと同じか小さくなっていることが好ましい。尚、身体の動きに対し、繰り返し変形した際の吸収性コア41の強度の観点から、中高隣接部44は、その厚みが、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みより大きくなっていてもよい。
中高隣接部44の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上7.0mm以下である。
中高隣接部44の厚みは、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法に基づいて測定される。
【0053】
ナプキン1では、中高隣接部44は、その坪量が、吸収性コア41の中高部42の坪量より小さく、且つ、中高境界溝部43及び中高横溝部47の坪量よりも大きく形成されている。更には、身体の動きへの追従性の観点からは、中高隣接部44は、その坪量が、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量と同じか小さくなっていることが好ましい。尚、身体の動きに対し、繰り返し変形した際の吸収性コア41の強度の観点から、中高隣接部44は、その坪量が、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも大きくなっていてもよい。ここで、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。中高隣接部44の坪量は、好ましくは20g/m
2以上、より好ましくは50g/m
2以上であり、そして、好ましくは800g/m
2以下、より好ましくは700g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは20g/m
2以上800g/m
2以下、より好ましくは50g/m
2以上700g/m
2以下である。尚、中高隣接部44の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中高隣接部44のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
【0054】
ナプキン1では、
図2に示すように、吸収性コア41を平面視して、第一領域41F及び第二領域41Rには、縦方向X及び横方向Yに延びる溝部45と、溝部45によって区画化されて形成された複数の小吸収部46とが配されている。このように配された小吸収部46は、その坪量が、溝部45の坪量よりも高くなっている。第一領域41F及び第二領域41Rに配された溝部45は、縦方向Xに延びる縦溝45Xと、横方向Yに延びる横溝45Yとからなる。そして、縦方向Xに延びる縦溝45Xは、横方向Yに一定の間隔を空けて配され、横方向Yに延びる横溝45Yは、縦方向Xに一定の間隔を空けて配されている。小吸収部46は、縦溝44Y及び横溝44Xで区画された格子の目の位置に配されている。上述した第一領域41F及び第二領域41Rの厚み及び坪量とは、小吸収部46の厚み及び坪量を意味する。
【0055】
ナプキン1では、第一領域41F及び第二領域41Rに溝部45及び小吸収部46を有し、中間領域41Mに中高部42、中高境界溝部43、中高横溝部47及び中高隣接部44を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
【0056】
上述したナプキン1の吸収性コア41は、例えば、
図5(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
【0057】
また、
図5(a)に示すように、1個の集積用凹部55の底面56の一部には、吸収性コア41の中間領域41Mを形成するための1つの凹部56bが形成されている。また、凹部56bには、その底面に、中高部42と中高隣接部44とを区分する中高境界溝部43を形成するための第1難通気性部材57が配置され、中高横溝部47を形成するための第3難通気性部材59が配置されている。第1難通気性部材57は、中高境界溝部43に対応する位置に配され、凹部56bの底面から突出するように固定されている。第3難通気性部材59は、中高横溝部47に対応する位置に配され、凹部56bの底面から突出するように固定されている。また、凹部56bに隣接する回転方向Rの上流側領域及び下流側領域の底面56には、溝部45を形成するための第2難通気性部材58が配置されている。第2難通気性部材58は、縦溝44Y及び横溝44Xに対応する位置に配され、集積用凹部55の底面56から突出するように固定されている。第1難通気性部材57、第2難通気性部材58及び第3難通気性部材59は、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
【0058】
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、吸水性ポリマーとパルプ繊維とを混合したコア材料を供給することによって、
図5(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41の前駆体が得られる。吸収性コア41の前駆体は、コアラップシート(不図示)で被覆された後に、ロータリーカッター等でカットされ、搬送方向にベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される。このようにして吸収性コア41が得られる。このようにして得られたコアラップシート(不図示)で被覆された吸収性コア41は、一対のロール間に単回又は複数回通すこと等により、全体又は部分的に加圧し適度に圧縮させる。これにより、凹部56bに堆積した部分が、坪量及び厚みともに相対的に大きい中高部42となる。同様に、凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域に堆積したコア材料からなる部分が、坪量が相対的に小さい吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rとなる。また、凹部56bの第1難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも相対的に小さい中高境界溝部43となる。また、凹部56bの第3難通気性部材59上に堆積したコア材料からなる部分が、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも相対的に小さい中高横溝部47となる。凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域の第2難通気性部材58上に堆積したコア材料からなる部分が、小吸収部46の坪量よりも相対的に小さい溝部45となる。
【0059】
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
肌対向面を形成する肌側シート2は、液透過性を有し、熱可塑性合成樹脂を含む素材で構成され、例えば、エアースルー繊維不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の繊維不織布を好適に用いることができる。熱可塑性樹脂の例として、エチレン、プロピレン等のオレフィン系ポリマー、又は、ポリエチレンテレフタレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。肌側シート2は、例えば、坪量が10〜100g/m
2であり、厚さが0.5〜5.0mmであることが好ましい。また、肌側シート2は、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができ、穿孔フィルム等を用いることもできる。
【0060】
非肌側シート3は、難透液性又は、不透過性を有し、熱可塑性合成樹脂を含む素材で構成され、例えば、合成樹脂製フィルム、合成樹脂製フィルムと不織布の積層体や、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層繊維不織布、エアースルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができる。非肌側シート3は、例えば、坪量が10〜50g/m
2であり、厚さが、8〜200μmであることが好ましい。
【0061】
吸収性コア41のコア材料は、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体を含んでなる。繊維材料としては、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維材料は、全体又は一部がパルプ繊維であることが好ましく、繊維材料中のパルプ繊維の割合は50〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%であり、更に好ましくは100質量%である。
また、吸収性コア41には吸水性ポリマーが含有されていてもよい。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。吸水性ポリマーが含有されることで、より安定的に大量の血液などの排泄液を素早く吸収し、保持することができる。また、吸収性コア41には、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて配合しても良い。
【0062】
吸収性コア41を被覆するコアラップシート(不図示)としては、ティッシュペーパー、透水性の不織布等が挙げられる。吸収体4は、吸収性コア41の上下両面をコアラップシート(不図示)で被覆して形成されている。コアラップシート(不図示)は、吸収性コア41の形成材料の漏れ出しを防止したり、吸収性コア41の保形性を高めたりする目的で使用される。吸収性コア41の肌対向面側を被覆するコアラップシート(不図示)と肌側シート2との間、及び吸収性コア41の非肌対向面側を被覆するコアラップシート(不図示)と非肌側シート3との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤により互いに接合されていることが好ましい。
【0063】
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアースルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。
【0064】
サイドシート5と肌側シート2とを接合する接合部6は熱シール加工により常法に従って形成することができる。
線状圧搾溝7(第1横圧搾溝71、第2横圧搾溝72、縦圧搾溝73及び第2縦圧搾溝73A)は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
【0065】
上述した本実施形態のナプキン1の作用効果について説明する。
ナプキン1は、
図1〜
図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに厚みが厚く且つ坪量の高い中高部42を有し、中高部42は、
図2に示すように、吸収性コア41を平面視して、横方向Yの全長に亘って延在する中高中央部421と、中高中央部421の縦方向Xの前端部から第一領域41F側に向かって凸の前方側凸部422と、中高中央部421の縦方向Xの後端部から第二領域41R側に向かって凸の後方側凸部423とを有している。その為、吸収性物品であるナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、体液の吸収性能を十分に発揮できる。そして、前方側凸部422及び後方側凸部423の少なくとも一方には、中高横溝部47を有している。その為、中高横溝部47を有する前方側凸部422又は後方側凸部423が、身体形状への追従性に優れることで着用者に違和感を与え難く、着用者の肌との間に隙間を生じ難く、十分な吸収性能が発現できる。このように、ナプキン1は、多少ズレた状態で着用されても、身体形状へのフィット性に優れ、十分な吸収性能が発現できる。
【0066】
また、ナプキン1は、
図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに中高部42と、中高部42以外の部分を区画する坪量の低い中高境界溝部43を有している。そして、中高横溝部47の一端が、中高境界溝部43に接している。その為、ナプキン1の着用時に、中高横溝部47に起因して、前方側凸部422又は後方側凸部423が曲がり易く、身体形状への追従性に更に優れ、着用者の肌との間に隙間を生じ難く、十分な吸収性能が発現できる。特に、ナプキン1では、中高横溝部47が、前方側凸部422に前方中高横溝部47aを有し、後方側凸部423に後方中高横溝部47cを有している。その為、ナプキン1の着用時に、中高横溝部47に起因して、前方側凸部422及び後方側凸部423が曲がり易く、身体形状への追従性に更に優れ、十分な吸収性能が発現できる。また、ナプキン1では、
図2に示すように、前方中高横溝部47aが前方側凸部422の両側辺422s,422sに亘って延び、前方中高横溝部47aの両端が、両側辺422s,422sに沿って延在する前方中高境界溝部43aと異なる部分で接している。同様に、後方中高横溝部47cが後方側凸部423の両側辺423s,423sに亘って延び、後方中高横溝部47cの両端が、両側辺423s,423sに沿って延在する後方中高境界溝部43cと異なる部分で接している。その為、ナプキン1の着用時に、中高横溝部47に起因して、前方側凸部422及び後方側凸部423が更に曲がり易く、身体形状への追従性に更に優れ、十分な吸収性能が発現できる。
【0067】
また、ナプキン1においては、
図2に示すように、前方側凸部422は中高中央部421から第一領域41F側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっており、後方側凸部423は中高中央部421から第二領域41R側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっている。その為、ナプキン1の着用時に、中高部42の前方側凸部422及び後方側凸部423の対応部分が隙間に入り込み易く、身体形状への追従性に更に優れている。また、ナプキン1は、
図2に示すように、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rに、溝部45及び小吸収部46を有しているので、溝部45を起点に折れ曲り易く、着用者に違和感を与え難くなっている。
【0068】
また、ナプキン1は、
図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに、中高部42を構成する前方側凸部422に隣接する第一領域41F側に配された前方中高隣接部44aと、中高部42を構成する後方側凸部423に隣接する第二領域41R側に配された後方中高隣接部44cとを有している。そして、中高隣接部44の厚みが、吸収性コア41における第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚み以下の大きさであり、且つ、中高部42の厚みよりも小さく形成されている。その為、ナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、着用者の肌との間に隙間を生じ難く、十分な吸収性能が発現できる。ナプキン1では、中高隣接部44の坪量が、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量より小さく、且つ、中高境界溝部43の坪量よりも大きく形成されているので、前記効果のうち、着用者への違和感を低減する効果をより一層奏することができる。
【0069】
尚、特にナプキン1を長時間にわたり装着する場合などで、身体の動きにより、ナプキン1が繰り返し変形することで、中高隣接部44が破損して吸収性能を損なうおそれがある場合には、中高隣接部44の厚みは、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの厚みより大きくなっていてもよい。
更に、身体の動きより、繰り返し変形することで、中高隣接部44が破損して吸収性能を損なう場合には、中高隣接部44の坪量は、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量より大きくなっていてもよい。
【0070】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は本実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0071】
例えば、ナプキン1の吸収性コア41における前方側凸部422では、
図2に示すように、両側辺422s,422sがそれぞれ屈曲せずに、吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sから頂部422tに向かって真っ直ぐに直線状に延びており、前方側凸部422の幅dが、吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sから頂部422tに向かって連続的に漸減しているが、前方側凸部422の幅dが単に漸減していれば、段階的に漸減していてもよい。前方側凸部422が真っ直ぐに直線状に延びており、前方側凸部422の幅dが、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部422tに向かって連続的に漸減していることで、身体へのフィット性の向上に加え、前記積繊装置における前記集積用凹部55から離型する際の離型性が向上する点から好ましい。後方側凸部423も同様である。
【0072】
また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、厚みが同じであるが、中高部42の厚みよりも小さければ、互いに異なる厚みであってもよい。また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、坪量が同じであるが、中高部42の坪量よりも小さければ、互いに異なる坪量であってもよい。また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、溝部45及び小吸収部46を有しているが、有していなくてもよく、異なる形状の溝部45及び小吸収部46を有していてもよい。
【0073】
また、ナプキン1では、排泄対向区域B内に中高部42を有しているが、排泄対向区域Bから前方区域A側又は後方区域C側の一部にまで延在していてもよい。例えば、前方側凸部422が排泄対向区域Bの中高中央部421から前方区域A内にまで延在しており、後方側凸部423が排泄対向区域Bの中高中央部421から後方区域C内にまで延在していてもよい。このように中高部42が排泄対向区域Bから前方区域A側又は後方区域C側にまで延在している場合、中高部42は、前方区域A又は後方区域Cにおける中高部42の外周域の部分と比較して厚みが厚くなっている。
【0074】
また、ナプキン1の吸収性コア41は、その全体が一体成形されているが、一体成形されていなくてもよい。例えば、吸収性コア41において、第一領域41Fから第二領域41Rに亘って同じ高さにコア材料で形成しておき、次に、別のコア材料で形成されたものを配置して中高部42を形成してもよい。
【0075】
また、ナプキン1は、
図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に、サイドシート5を配しているが、サイドシート5の自由端部に、縦方向Xに伸長状態の弾性部材を配して防漏カフを形成していてもよい。
【0076】
また、ナプキン1は、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)の一本と、前方側凸部422の前方中高横溝部47aの位置とが一致していることが、個装時の収納性、持運び性、さらに使用時の折り線からの漏れ防止の点より好ましく、同様に、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第2折曲線の位置と後方側凸部423の後方中高横溝部47cの位置とが一致していることが、好ましい。
【0077】
また、ナプキン1は、
図2に示すように、前方中高横溝部47a及び後方中高横溝部47cが前方側凸部422又は後方側凸部423に同数の2本配されているが、異なる本数であってもよい。
【0078】
また、
図1に示すナプキン1では、肌側シート2と吸収性コア41とが圧搾一体化された線状圧搾溝7は、
図1に示すように、前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73から形成されるリング状の全周溝と、該全周溝とは独立した一対の第2縦圧搾溝73A,73Aとを有する形態であるが、他の形状の形態であってもよい。例えば、線状圧搾溝7は、一対の第2縦圧搾溝73A,73Aを有さずに、前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73から形成されるリング状の全周溝のみを有する形態であってもよい。
【0079】
また、ナプキン1の吸収性コア41は、溝部45を肌対向面側から非肌対向面側に向かって窪むように形成しているが、溝部45を非肌対向面側から肌対向面側に向かって窪むように形成してもよい。これにより、液拡散性及び液保持性が向上する。
【0080】
また、ナプキン1においては、ナプキン1の前方区域Aの大きさと吸収性コア41の第一領域41Fの大きさとは略一致しているが、一致していなくてもよい。また、ナプキン1の後方区域Cの大きさと吸収性コア41の第二領域41Rの大きさとは略一致しているが、一致していなくてもよい。
【0081】
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0083】
〔実施例1〕
図1〜
図2に示すナプキン1と同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製した。肌側シートとして坪量30g/m
2のエアースルー不織布を用い、非肌側シートとして坪量25g/m
2の非透湿ポリエチレン製フィルムシートを用い、サイドシートとして坪量20g/m
2の撥水性スパンボンド不織布を用いた。吸収性コアとしては、
図2に示す形態のものを用いた。吸収性コア41は、パルプ繊維と吸水性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コア41は、中間領域41Mに中高部42を有し、中高部42は、吸収性コア41の全幅に亘る中高中央部421と、中高中央部421の前後端部にそれぞれ前方側凸部422及び後方側凸部423とを有している。中高部42の厚みは7.0mmであり、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みは3.0mmであった。中高部42の坪量は450g/m
2であり、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量は240g/m
2であった。また、中高部42の縦方向Xの全長L2は、120mm、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1は、190mmで、その63%であった。また、中高横溝部47を、前方側凸部422及び後方側凸部423にそれぞれ1本配した。中高横溝部47は、前方側凸部422及び後方側凸部423の全幅に亘って配されており、その溝幅が2mmであり、その厚みが2mmであり、その坪量が100g/m
2であった。厚み及び坪量は上述した方法により測定した。また、吸収性コアは、その横方向Yの最大長さが、中高中央部421の横方向Yの最大長さと同一であった。
以上の形態の吸収性コアを、ティッシュペーパーで被覆して吸収体を形成し、肌側シートと非肌側シートとの間に挟み、実施例1のナプキンとした。吸収体と肌側シートとの間及び吸収体と非肌側シートとの間は接着剤を介して接合した。
【0084】
〔比較例1〕
図6に示す形態の吸収性コア41’を用いて、生理用ナプキンを製造する以外は、実施例1のナプキンと同様にして、比較例1のナプキンを作製した。
図6に示す形態の吸収性コア41’は、
図2に示す形態の吸収性コアに比べて、中高部42’が、吸収性コア41’の全幅に亘って形成されておらず、吸収性コア41’の横方向の中央部に配されていた。また、中高部42’には縦方向X及び横方向Yに延びる溝部が配され、溝部によって区画された格子の目の位置に小吸収部が配されていた。中高部42’の小吸収部の坪量は450g/m
2であり、中高部42’の周囲の領域の坪量は240g/m
2であった。
【0085】
〔評価〕
以下の方法により、実施例1のナプキン及び比較例1のナプキンについて、常法通りに着用してもらった後に、実施例1のナプキン及び比較例1のナプキンそれぞれについて、吸収範囲、吸収性、柔軟性、液拡散性及び横漏れに関して、下記評価基準により評価してもらった。
【0086】
・吸収範囲の評価基準:「A 吸収範囲が十分である」、「B 吸収範囲がやや良い」、「C 吸収範囲がやや狭い」、「D 吸収範囲が狭い」
・吸収性の評価基準:「A 吸収性が十分である」、「B 吸収性がやや良い」、「C 吸収性にやや不安がある」、「D 吸収性に不安がある」
・柔軟性・フィット性の評価基準:「A 柔軟性が十分でありフィット性が優れている」、「B 柔軟性がやや良くフィット性が良い」、「C やや硬くフィット性がやや悪い」、「D 硬いくフィット性が悪い」
・液拡散性の評価基準:「A 液拡散性が十分である」、「B 液拡散性がやや良い」、「C 液拡散性にやや不安がある」、「D 液拡散性に不安がある」
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1のナプキンは、比較例1のナプキンに比べ、吸収範囲が十分であり、吸収性が十分であることがわかった。また柔軟性にも優れていることがわかった。更に、実施例1のナプキンは、液拡散性が良く、横漏れも発生しなかった。このような実施例1のナプキンを使用すれば、多少ズレた状態で着用されても、身体形状へのフィット性に優れることで着用者に違和感を与え難く、着用者の肌との間に隙間を生じ難く、十分な吸収性能が発現できることが期待できる。