特許第6886802号(P6886802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6886802スティックフィーダおよび電子部品実装機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886802
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】スティックフィーダおよび電子部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   H05K13/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-222192(P2016-222192)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-81983(P2018-81983A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】向原 崇二
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−139210(JP,U)
【文献】 特開平06−227672(JP,A)
【文献】 実開昭63−139234(JP,U)
【文献】 特開平07−251331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を収容するスティックから前記電子部品を供給し、前記電子部品供給後に空になった前記スティックを落下させて排出するスティックフィーダであって、
前記スティックが落下する落下通路を区画するガイド部と、
落下する前記スティックが接触可能に、前記落下通路の幅方向片側の内面に配置される突起と、
を備え、電子部品実装機のフィーダ装着部の配置スペースに着脱可能に配置されるスティックフィーダであって、
前記落下通路は、前記突起が配置される基準部と、前記基準部の下側に配置され前記基準部よりも前記幅方向の幅が狭い幅狭部と、を有し、
前記幅狭部を区画し、前記落下通路の前記突起側の内面に対して前記幅方向反対側の内面に配置される部材は、前記突起に接触し傾動する前記スティックの曲率半径に入らないように配置されるスティックフィーダ
【請求項2】
前記落下通路の前記幅方向をX方向、水平面内において前記X方向に直交する方向をY方向として、
前記ガイド部は、前記Y方向に延在すると共に前記X方向に対向して配置される一対のガイド壁であり、
前記ガイド壁は、第一壁と、前記第一壁に対する前記Y方向突出量を変更可能な第二壁と、を有し、
前記突起は、前記第一壁に対して前記第二壁を固定する固定具である請求項1に記載のスティックフィーダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスティックフィーダが着脱可能に配置される配置スペースが、前記落下通路の前記幅方向に複数並んで配置されているフィーダ装着部を備える電子部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティックから電子部品を供給するスティックフィーダ、および当該スティックフィーダを備える電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
スティックフィーダは、電子部品実装機のデバイスパレットに、着脱可能に配置されている。スティックフィーダには、複数のスティックが搭載されている。スティックには、複数の電子部品が収容されている。電子部品は、プッシャにより、スティックから押し出される。押し出された電子部品は、電子部品実装機の吸着ノズルにより、基板の所定の装着座標まで、搬送される。全ての電子部品が押し出されたスティック(空のスティック)は、自重により、所定の落下通路を落下する。落下した空のスティックは、収容部材の上面に積み重なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−139491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、落下通路を落下する際、空のスティックが途中で引っ掛かってしまう場合がある。この場合、作業者が、手動で、空のスティックを落下通路から取り外し、収容部材に載置する必要がある。このため、煩雑である。
【0005】
この点、特許文献1には、空のマガジンの落下通路に複数の衝当部材が配置された、空マガジン回収装置が開示されている。複数の衝当部材は、落下通路を挟んで、水平方向両側に配置されている。水平方向一方の衝当部材(第一衝当部材)と、水平方向他方の衝当部材(第二衝当部材)と、の間には高度差が設定されている。空のマガジンは、落下通路を落下する際、まず第一衝当部材に、次に第二衝当部材に、衝突する。このため、マガジンの落下速度を減速することができる。ところが、同文献記載の空マガジン回収装置の場合、落下通路の水平方向両側に、第一衝当部材と、第二衝当部材と、が上下方向に交互に配置されている。このため、落下通路の水平方向幅が広くなってしまう。
【0006】
デバイスパレットにおいては、複数のスティックフィーダが水平方向に並んで配置されている。このため、単一のスティックフィーダに割り当てられる配置スペースには、制限がある。仮に、同文献記載の空マガジン回収装置付きのスティックフィーダをデバイスパレットに配置する場合、落下通路の水平方向幅が広い分だけ、広大な配置スペースが必要になる。このため、他のスティックフィーダの配置スペースが小さくなってしまう。なお、特許文献1には、落下通路における空のマガジンの引っ掛かりに関する記載はない。
【0007】
そこで、本発明は、落下通路を落下する際、空のスティックが途中で引っ掛かりにくいスティックフィーダ、および当該スティックフィーダを備える電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のスティックフィーダは、複数の電子部品を収容するスティックから前記電子部品を供給し、前記電子部品供給後に空になった前記スティックを落下させて排出するスティックフィーダであって、前記スティックが落下する落下通路を区画するガイド部と、落下する前記スティックが接触可能に、前記落下通路の幅方向片側の内面に配置される突起と、を備え、電子部品実装機のフィーダ装着部の配置スペースに着脱可能に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
落下通路の幅方向片側の内面には、突起が配置されている。このため、落下通路を落下する際、空のスティックが突起に接触しやすい。空のスティックが突起に接触すると、空のスティックが傾動する。このため、空のスティックが落下通路に引っ掛かりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である電子部品実装機の前側部分の上面図である。
図2】本発明の一実施形態であるスティックフィーダの前後方向部分断面図である。
図3図2のIII−III方向断面図である。
図4】突起無しスティックフィーダの左右方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のスティックフィーダおよび電子部品実装機の実施の形態について説明する。
【0012】
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。以降の図においては、左右方向が本発明の「落下通路の幅方向」、「X方向」に、前後方向が本発明の「Y方向」に、各々対応している。図1に、本実施形態の電子部品実装機の前側部分の上面図を示す。図1に示すように、電子部品実装機9は、デバイスパレット90と、XYロボット91と、を備えている。デバイスパレット90は、電子部品実装機9の前側部分に配置されている。デバイスパレット90は、本発明の「フィーダ装着部」の概念に含まれる。デバイスパレット90の上面には、複数の配置スペースAが左右方向に並んで設定されている。複数の配置スペースAには、各々、スティックフィーダ1が配置されている。このように、デバイスパレット90には、複数のスティックフィーダ1が、左右方向に並んで配置されている。
【0013】
XYロボット91は、Y軸ガイドレール910と、Y軸スライダ911と、X軸ガイドレール912と、装着ヘッド913と、吸着ノズル914と、を備えている。Y軸ガイドレール910は、電子部品実装機9のハウジング(図略)の天井に配置されている。Y軸スライダ911は、Y軸ガイドレール910に沿って(吊り下げられて)、前後方向に移動可能である。X軸ガイドレール912は、Y軸スライダ911に配置されている。装着ヘッド913は、X軸ガイドレール912に沿って、左右方向に移動可能である。吸着ノズル914は、装着ヘッド913に対して、下側に突出可能である。すなわち、吸着ノズル914は、前後左右上下方向に移動可能である。吸着ノズル914は、スティックフィーダ1の取出位置Bから基板(図略)の所定の装着座標まで、電子部品25を搬送可能である。
【0014】
<スティックフィーダの構成>
次に、本実施形態のスティックフィーダ1の構成について説明する。図2に、本実施形態のスティックフィーダの前後方向部分断面図を示す。図3に、図2のIII−III方向断面図を示す。図2図3に示すように、スティックフィーダ1は、フィーダ本体2と、搬送路部材3と、一対のガイド壁4と、スティック収容部5と、待機スティック支持部6と、使用スティック支持部7と、空スティック回収部8と、六つの固定部材20と、第三ケース21と、部品押出部22と、ケーブルケース23と、配線ケース24と、を備えている。
【0015】
フィーダ本体2は、デバイスパレット90の配置スペースAに着脱可能に取り付けられている。フィーダ本体2は、デバイスパレット90つまり電子部品実装機9に、電気的に接続されている。フィーダ本体2には、制御装置(図略)や後述する部品押出部22の駆動機構(図略)などが配置されている。
【0016】
搬送路部材3は、部品受け(取出位置設定部材)30とシュート(搬送路区画部材)31とを備えている。部品受け30は、フィーダ本体2の上面に配置されている。部品受け30には、取出位置Bが設定されている。シュート31は、フィーダ本体2の上面に配置されている。シュート31は、部品受け30の前側に連なっている。シュート31は、前後方向に延在する角筒状を呈している。シュート31の内部には、電子部品25用の搬送路が区画されている。
【0017】
一対のガイド壁4は、フィーダ本体2の前側に配置されている。一対のガイド壁4は、所定間隔だけ離間して、左右方向に対向して配置されている。一対のガイド壁4は、各々、第一壁40と第二壁41とを備えている。第一壁40は、フィーダ本体2の前端(デバイスパレット90の前端)から、前側に延在している。第一壁40には、ガイド孔400が開設されている。ガイド孔400は、前後方向に長い長孔状を呈している。第二壁41は、第一壁40の前側に連なっている。第二壁41には、三つの固定孔410が開設されている。三つの固定孔410は、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並んでいる。
【0018】
六つの固定部材20は、各々、ボルト200とワッシャ201とを備えている。六つの固定部材20のうち三つの固定部材20は左側のガイド壁4に、残りの三つの固定部材20は右側のガイド壁4に、各々配置されている。
【0019】
右側のガイド壁4において、固定部材20は、固定孔410に固定されている。具体的には、図3に示すように、右側(後述する落下通路Dから見て外側)から左側(後述する落下通路Dから見て内側)に向かって、ボルト200は、ワッシャ201、ガイド孔400を貫通し、固定孔410に螺着されている。第一壁40に対する固定部材20の固定位置は、ガイド孔400の前後方向長さの範囲内で、調整することができる。このため、第一壁40に対する第二壁41の前後方向突出量を変更することができる。つまり、ガイド壁4の前後方向長さを変更することができる。左側のガイド壁4における三つの固定部材20の配置は、上記右側のガイド壁4における三つの固定部材20の配置と、左右対称である。
【0020】
以下、六つのボルト200のうち、左側のガイド壁4の三つのボルト200の左右方向中央のボルト200を、適宜、「長軸ボルト200a」と称す。長軸ボルト200aは、残りの五つのボルト200よりも、軸方向長さ(左右方向長さ)が長い。このため、長軸ボルト200aは、第二壁41の左面(落下通路Dの幅方向片側の内面)から、左側(内側)に、突出量Maだけ突出している。長軸ボルト200aは、本発明の「固定具」および「突起」の概念に含まれる。
【0021】
図3に示すように、ケーブルケース23は、右側の第二壁41の左面に配置されている。ケーブルケース23は、所定間隔だけ離間して、固定孔410の下側に配置されている。ケーブルケース23の内部には、後述する部品押出部22のプッシャケーブル221が挿通されている。配線ケース24は、左側の第二壁41の右面(落下通路Dの幅方向片側の内面)に配置されている。配線ケース24は、所定間隔だけ離間して、固定孔410の下側に配置されている。配線ケース24の内部には、配線(後述する第三ケース21内の部材用の配線)240が挿通されている。
【0022】
スティック収容部5は、第一ケース50と第二ケース51とを備えている。スティック収容部5には、複数のスティック(部品収容部材)26が収容されている。スティック26は、前後方向に長い角筒状を呈している。スティック26の内部には、所定数の電子部品25が、前後方向に並んで収容されている。第一ケース50は、一対の第一壁40の上側に配置されている。図1に示すように、第一ケース50は、スティック26の後端を保持している。第一ケース50の下端には、第一開口500が開設されている。第二ケース51は、一対の第二壁41の上側に配置されている。第二ケース51は、所定間隔だけ離間して、第一ケース50の前側に配置されている。図1に示すように、第二ケース51は、スティック26の前端を保持している。第二ケース51の下端には、第二開口510が開設されている。第一ケース50と第二ケース51との間には、待機スペースEと使用スペースFとが区画されている。使用スペースFは、最下段に設定されている。使用スペースFには、使用中(電子部品25供給中)のスティック26が配置されている。待機スペースEは、使用スペースFの上側に設定されている。待機スペースEには、使用前の複数のスティック26が、数段積み重なっている。
【0023】
待機スティック支持部6は、使用スペースFと待機スペースEとの間に配置されている。待機スティック支持部6は、第一ピン(第一支持部材)60と、第二ピン(第二支持部材)61と、を備えている。第一ピン60は、第一ケース50の前側スペース(内部スペース)に対して、第一開口500を介して、後側から進退可能である。第二ピン61は、第二ケース51の後側スペース(内部スペース)に対して、第二開口510を介して、前側から進退可能である。第一ピン60、第二ピン61は、各々、アクチュエータ(図略。例えば、モータ、ソレノイド、油圧機構、空気圧機構など)を介して、フィーダ本体2の制御装置により、駆動される。制御装置は、第一ピン60および第二ピン61の位置を、支持位置(第一ピン60および第二ピン61がスティック収容部5の内部スペースに進入した位置)Naと、解放位置(第一ピン60および第二ピン61がスティック収容部5の内部スペースから退出した位置)Nbと、に切替可能である。支持位置Naにおいて、第一ピン60および第二ピン61は、待機スペースEの複数のスティック26を、下側から支持している。
【0024】
使用スティック支持部7は、使用スペースFの下側に配置されている。使用スティック支持部7は、第一ストッパ(第一支持部材)70と、第二ストッパ(第二支持部材)71と、を備えている。上側から見て、第一ストッパ70は、第一ケース50の前側スペース(内部スペース)に対して、第一開口500を介して、後側から進退可能である。第二ストッパ71は、第二ケース51の第二開口510に配置されている。第二ストッパ71は、後述する第三ケース21に固定されている。第一ストッパ70は、アクチュエータ(図略。例えば、モータ、ソレノイド、油圧機構、空気圧機構など)を介して、フィーダ本体2の制御装置により、駆動される。制御装置は、第一ストッパ70の位置を、支持位置(上側から見て、第一ストッパ70がスティック収容部5の内部スペースに進入した位置)Paと、解放位置(上側から見て、第一ストッパ70がスティック収容部5の内部スペースから退出した位置)Pbと、に切替可能である。支持位置Paにおいて、第一ストッパ70および第二ストッパ71は、使用スペースFのスティック26を、下側から支持している。
【0025】
第三ケース21は、第二ケース51の前側かつ一対の第二壁41の上側に配置されている。部品押出部22は、プッシャ220と、プッシャケーブル221と、を備えている。プッシャ220は、使用スペースF(詳しくは、使用スペースFに配置されているスティック26の内部)およびシュート31内部の搬送路に対して、第三ケース21の後壁を介して、前側から進退可能である。プッシャケーブル221は、ケーブルケース23を経由して、プッシャ220とフィーダ本体2とを連結している。プッシャケーブル221は、プッシャ220を駆動している。
【0026】
空スティック回収部8は、所定間隔だけ離間して、一対のガイド壁4の下側に配置されている。空スティック回収部8は、第一スティック受け80と第二スティック受け81とを備えている。第一スティック受け80は、チェーン82を介して、第一壁40に吊り下げられている。第二スティック受け81は、チェーン82を介して、第二壁41に吊り下げられている。
【0027】
<落下通路>
次に、本実施形態のスティックフィーダ1に区画されている落下通路Dについて説明する。図2図3に示すように、落下通路Dは、上側の使用スペースFと、下側の空スティック回収部8と、の間に区画されている。落下通路Dは、基準部Daと幅狭部Dbとを備えている。基準部Daは、一対の第二壁41の間に配置されている。基準部Daには、右側から長軸ボルト200aが突出している。
【0028】
幅狭部Dbは、左側の配線ケース24と、右側のケーブルケース23と、の間に配置されている。幅狭部Dbは、所定間隔だけ離間して、基準部Daに下側に配置されている。落下通路Dの上下方向全長において、幅狭部Dbの左右方向幅は最小である。長軸ボルト200aと幅狭部Dbとの間には、高度差Lが設定されている。配線ケース24は、左側の第二壁41の右面(内面)から、右側(内側)に突出している。ケーブルケース23は、右側の第二壁41の左面(内面)から、左側(内側)に突出している。このため、幅狭部Dbは、基準部Daよりも、左右方向幅が狭い。長軸ボルト200aの突出量Maは、ケーブルケース23の突出量Mbよりも、大きい。
【0029】
落下通路Dの前後方向長さは、スティック26の前後方向長さに応じて、調整可能である。すなわち、前述したように、第一壁40に対して、第二壁41は前側に移動可能である。このため、固定側部材(フィーダ本体2、部品受け30、シュート31、第一壁40、第一ケース50、第一ピン60、第一ストッパ70、第一スティック受け80)に対して、可動側部材(第二壁41、第二ケース51、固定部材20、第三ケース21、ケーブルケース23、配線ケース24、第二ピン61、第二ストッパ71、第二スティック受け81)は、前側に移動可能である。したがって、スティック26の前後方向長さに応じて、各スペース(落下通路D、待機スペースE、使用スペースF)の前後方向長さを調整することができる。
【0030】
<スティックフィーダの動き>
次に、本実施形態のスティックフィーダ1の動きについて説明する。スティックフィーダ1の制御装置は、部品押出ステップと、空スティック落下ステップと、待機スティック落下ステップと、を実行する。
【0031】
部品押出ステップにおいては、フィーダ本体2の制御装置が、プッシャ220により、使用スペースFのスティック26から、複数の電子部品25を押し出す。押し出された複数の電子部品25は、シュート31の搬送路を経由して、順に、一つずつ部品受け30(取出位置B)に到着する。取出位置Bに到着した電子部品25は、吸着ノズル914により取り出される。取り出された電子部品25は、基板(図略)の所定の装着座標に装着される。
【0032】
空スティック落下ステップにおいては、空のスティック26を空スティック回収部8に回収する。すなわち、図2に示すように、使用スペースFのスティック26が空になったら、フィーダ本体2の制御装置が、第一ストッパ70を、シュート31の下壁のガイド溝310に沿って、支持位置Paから解放位置Pbに切り替える。このため、スティック26の後端が、自重により、第一ストッパ70から落下する。一方、スティック26の前端は第二ストッパ71の上面710に支持されている。上面710には、後側(第一ストッパ70側)に向かって下降する傾斜が設定されている。このため、スティック26の後端の落下に伴って、スティック26の前端も、自重により、上面710から滑落する。このようにして、空のスティック26は、自重により落下通路Dに進入する。
【0033】
なお、第一ピン60および第二ピン61は、支持位置Naに設定されている。このため、使用スペースFのスティック26が落下通路Dに移動しても(落下しても)、待機スペースEの複数のスティック26は不動である。
【0034】
図4に、長軸ボルトの替わりに通常のボルトが配置されたスティックフィーダ(以下、「突起無しスティックフィーダ」と称す。)の左右方向断面図を示す。なお、図4は、図3に対応している。
【0035】
図4に示すように、突起無しスティックフィーダ1aの場合、落下通路Dにボルト200が突出していない。このため、空のスティック26は、滞りなく基準部Daを通過する。しかしながら、スティック26の左右方向幅(詳しくは、使用スペースFにおけるスティック26の左右方向幅)Dcは、幅狭部Dbよりも、若干短い程度である。このため、スティック26の落下経路や落下姿勢によっては、幅狭部Dbを通過する際、スティック26がケーブルケース23に接触してしまう。したがって、接触位置Hbを中心に、曲率半径Rbで、スティック26が左下側に傾動してしまう。よって、スティック26が配線ケース24に接触してしまう。勿論、スティック26が、まず配線ケース24に、続いてケーブルケース23に、接触する場合もある。このように、突起無しスティックフィーダ1aの場合、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かりやすい。
【0036】
これに対して、図3に示すように、本実施形態のスティックフィーダ1の場合、落下通路Dに長軸ボルト200aが突出している。前述したように、長軸ボルト200aの突出量Maは、ケーブルケース23の突出量Mbよりも、大きい。このため、基準部Daを通過する際、スティック26が長軸ボルト200aに接触してしまう。したがって、接触位置Haを中心に、曲率半径Raで、スティック26が左下側に傾動してしまう。ここで、前側から見て、図3に示す長軸ボルト200a接触時のスティック26の重心G(落下通路Dの左右方向中心に配置されている)と接触位置Haとの間の距離raは、図4に示すケーブルケース23接触時のスティック26の重心Gと接触位置Hbとの間の距離rbよりも、小さい。このため、図3に示す曲率半径Raは、図4に示す曲率半径Rbよりも、小さくなる。すなわち、図3に示すスティック26は、図4に示すスティック26よりも、小さく傾動する。したがって、図3に示すように、スティック26は、配線ケース24に接触しない。このように、本実施形態のスティックフィーダ1の場合、空のスティック26は、滞りなく幅狭部Dbを通過する。幅狭部Dbを通過したスティック26は、空スティック回収部8に収容される。
【0037】
待機スティック落下ステップにおいては、待機スペースEの最下段のスティック26を、使用スペースFに移動させる。すなわち、図2に示すように、 空のスティック26が落下した後は、フィーダ本体2の制御装置が、第一ストッパ70を、シュート31の下壁のガイド溝310に沿って、解放位置Pbから支持位置Paに切り替える。また、フィーダ本体2の制御装置が、第一ピン60および第二ピン61を、支持位置Naから解放位置Nbに切り替える。このため、待機スペースE最下段のスティック26が、使用スペースFに落下する。また、待機スペースEの残りのスティック26が、一段(スティック26の上下方向長さ分)ずつ落下する。
【0038】
<作用効果>
次に、本実施形態のスティックフィーダ1および電子部品実装機9の作用効果について説明する。図3に示すように、落下通路Dの右側(幅方向片側)の内面には、長軸ボルト200aが配置されている。このため、落下通路Dを落下する際、空のスティック26が長軸ボルト200aに接触しやすい。空のスティック26が長軸ボルト200aに接触すると、空のスティック26が傾動する。このため、空のスティック26が落下通路Dに引っ掛かりにくくなる。
【0039】
また、図3に示すように、使用スペースFにおいて、スティック26は、左右方向断面の長辺(上下両辺)が左右方向、つまり落下通路Dの幅方向を向くように配置されている。このため、仮に、このままの姿勢でスティック26が落下通路Dを落下すると、落下通路Dに引っ掛かりやすい。しかしながら、落下通路Dには、長軸ボルト200aが配置されている。このため、落下通路Dを落下する際、空のスティック26が長軸ボルト200aに接触しやすい。空のスティック26が長軸ボルト200aに接触すると、空のスティック26が傾動する。このため、スティック26の左右方向断面の長辺(使用スペースFにおける上下両辺)が、落下通路Dの幅方向に対して交差する方向(例えば上下方向)を向きやすい。したがって、空のスティック26が落下通路Dに引っ掛かりにくくなる。
【0040】
また、落下通路Dを落下する際、空のスティック26は、まず基準部Daを、次に幅狭部Dbを、通過する。長軸ボルト200aは、基準部Daに配置されている。このため、基準部Daを通過する際、空のスティック26が長軸ボルト200aに接触しやすい。空のスティック26が突起に接触すると、空のスティック26が傾動する。このため、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かりにくくなる。
【0041】
また、前側から見て、図3に示す距離raは、図4に示す距離rbよりも、小さい。このため、図3に示す曲率半径Raは、図4に示す曲率半径Rbよりも、小さくなる。すなわち、図3に示すスティック26は、図4に示すスティック26よりも、小さく傾動する。したがって、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かりにくくなる。
【0042】
また、基準部Daを通過する際、空のスティック26が長軸ボルト200aに接触すると、使用スペースFにおけるスティック26の上面投影面積に対して、幅狭部Db通過時における空のスティック26の上面投影面積を、小さくすることができる。このため、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かりにくくなる。
【0043】
また、基準部Daを通過する際、空のスティック26が長軸ボルト200aに接触すると、空のスティック26を傾動、あるいは回転させることができる。このため、空のスティック26が、幅狭部Dbを通過するのに適した姿勢をとりやすい。したがって、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かりにくくなる。
【0044】
また、図4に示すボルト200を図3に示す長軸ボルト200aに交換するだけで、図4に示す突起無しスティックフィーダ1aを、図3に示す本実施形態のスティックフィーダ1に、変更することができる。すなわち、ボルト交換という簡単な作業により、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かるのを、抑制することができる。
【0045】
ところで、仮に、デバイスパレット90において、スティックフィーダ1の配置スペースAに制限が無い場合、図4に示すスティック26の左右方向幅Dcに対して、幅狭部Dbを充分に大きく設定すれば、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かるのを、抑制することができる。しかしながら、デバイスパレット90においては、複数のスティックフィーダ1が左右方向(基板搬送方向)に並んで配置されている。このため、単一のスティックフィーダ1に割り当てられる配置スペースAには、制限がある。また、落下通路Dの左右方向幅は、配置スペースAの左右方向幅よりも、必然的に小さくなる。したがって、幅狭部Dbを大きく設定することは困難である。この点、本実施形態のスティックフィーダ1によると、図3図4に示すように、予め設定されている配置スペースAの左右方向幅、言い換えると落下通路Dの左右方向幅を拡張することなく、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かるのを、抑制することができる。
【0046】
また、長軸ボルト(突起)200aの突出量Maは、ケーブルケース(幅狭部Dbを区画する部材のうち、突起側のガイド壁4に配置されている部材)23の突出量Mbよりも、大きい。このため、ケーブルケース23に接触する経路を落下するスティック26を、必ず長軸ボルト200aに接触させることができる。
【0047】
<その他>
以上、本発明のスティックフィーダおよび電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0048】
ガイド壁4は、単一の部品製であってもよい。一対のガイド壁4の間に、落下通路Dが設定されていればよい。突起の形状は特に限定しない。ボルト、ピン、クリップなどを突起として用いてもよい。また、ケーブルケース23や配線ケース24を、突起として用いてもよい。また、ガイド壁4の内面と一体に突起を形成してもよい。また、突起は、落下通路Dの左側(幅方向片側)の内面に配置されていてもよい。複数の突起が、上下方向や前後方向に並んで配置されていてもよい。また、長軸ボルト200aの突出量Maは、ケーブルケース23の突出量Mbよりも、小さくてもよい。
【0049】
また、図3に示す落下通路Dの左右方向幅は、落下通路Dの全長に亘って、一定であってもよい。すなわち、落下通路Dに、基準部Da、幅狭部Dbが設定されていなくてもよい。この場合であっても、落下通路Dに長軸ボルト200aを配置することにより、スティック26を傾動させることができる。
【0050】
図3に示す長軸ボルト200a(突起)と幅狭部Dbとの間の高度差Lは、特に限定しない。好ましくは、長軸ボルト200a(突起)の左端(先端)と、配線ケース(幅狭部Dbを区画する部材のうち、突起と反対側のガイド壁4に配置されている部材)24と、の間に、曲率半径Raを越える距離が確保できればよい。こうすると、空のスティック26が幅狭部Dbに引っ掛かるのを、抑制することができる。
【0051】
デバイスパレット90に配置されるフィーダの種類は特に限定しない。例えば、スティックフィーダ1と、テープフィーダやトレイフィーダと、が混載されていてもよい。X方向は基板搬送方向(図1における左右方向)と一致していなくてもよい。例えば、図1における前後方向がX方向であってもよい。
【0052】
図3に示す幅狭部Dbの左右方向幅は、落下通路Dの上下方向全長において、最小でなくてもよい。落下通路Dのいずれかに、上側から下側に向かって左右方向幅が狭くなっている部分があれば、上側に基準部Daを、下側に幅狭部Dbを、設定することができる。基準部Da、幅狭部Dbの配置数は特に限定しない。
【符号の説明】
【0053】
1:スティックフィーダ、1a:突起無しスティックフィーダ、2:フィーダ本体、3:搬送路部材、4:ガイド壁、5:スティック収容部、6:待機スティック支持部、7:使用スティック支持部、8:空スティック回収部、9:電子部品実装機、20:固定部材、21:第三ケース、22:部品押出部、23:ケーブルケース、24:配線ケース、25:電子部品、26:スティック、30:部品受け、31:シュート、40:第一壁、41:第二壁、50:第一ケース、51:第二ケース、60:第一ピン、61:第二ピン、70:第一ストッパ、71:第二ストッパ、80:第一スティック受け、81:第二スティック受け、82:チェーン、90:デバイスパレット(フィーダ装着部)、91:XYロボット、200:ボルト、200a:長軸ボルト(固定具、突起)、201:ワッシャ、220:プッシャ、221:プッシャケーブル、240:配線、310:ガイド溝、400:ガイド孔、410:固定孔、500:第一開口、510:第二開口、710:上面、910:Y軸ガイドレール、911:Y軸スライダ、912:X軸ガイドレール、913:装着ヘッド、914:吸着ノズル、A:配置スペース、B:取出位置、D:落下通路、Da:基準部、Db:幅狭部、Dc:左右方向幅、E:待機スペース、F:使用スペース、G:重心、Ha:接触位置、Hb:接触位置、L:高度差、Ma:突出量、Mb:突出量、Na:支持位置、Nb:解放位置、Pa:支持位置、Pb:解放位置、Ra:曲率半径、Rb:曲率半径、ra:距離、rb:距離
図1
図2
図3
図4