(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886817
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ベンチレーテッド型ブレーキ・ディスク
(51)【国際特許分類】
F16D 65/12 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
F16D65/12 B
F16D65/12 R
F16D65/12 U
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-541080(P2016-541080)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-540947(P2016-540947A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】IB2014066950
(87)【国際公開番号】WO2015092671
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年11月24日
【審判番号】不服2020-11636(P2020-11636/J1)
【審判請求日】2020年8月21日
(31)【優先権主張番号】MI2013A002137
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511283848
【氏名又は名称】フレニー ブレンボ ソシエテ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マロナティ、ジャンルイジ
(72)【発明者】
【氏名】オベルティ、レオーネ
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ、ニーノ
【合議体】
【審判長】
平田 信勝
【審判官】
田村 嘉章
【審判官】
杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4083435(US,A)
【文献】
特表2011−520080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00 - 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(Z)と同軸である2つのプレート(3、4)によって画定される制動帯(2)を備える、ベンチレーテッド型のタイプのブレーキ・ディスクにおいて、前記プレートが相互に面し、間隙(5)を形成するように離間され、前記プレート(3、4)が対向する表面(6、7)を有し、前記対向する表面(6、7)からプレート接続要素(8、9、10)が前記プレート(6、7)を接続するために軸方向に延在し、前記対向する表面(6、7)が、前記間隙(5)内に前記接続要素(8、9、10)と共に前記ディスクを冷却するための通気ダクトの境界を画定し、各接続要素が2つの端部(11、12)を有し、前記2つの端部(11、12)で前記接続要素が前記プレート(6、7)の1つに対してそれぞれ接合される、ブレーキ・ディスクであって、
複数の前記接続要素(8、9、10)が、前記端部(11、12)から少なくとも1つの所与の方向に延在する細長い頂部(13)に関連付けられ、
前記細長い頂部(13)が前記接続要素及び前記プレートと一体に形成され、
前記細長い頂部(13)が前記2つのプレートの前記対向する表面(6、7)を基準として隆起し、各々が、前記2つの対向する表面の間の軸方向の距離より短い高さで前記2つの対向する表面(6又は7)の一方から隆起し、
前記細長い頂部(13)が、径方向外向きの方向に延在する細長い頂部(13c)を含み、
径方向外向きの方向に延在する前記細長い頂部(13c)は、前記プレートの外側周囲縁部(C)まで延在し、
前記細長い頂部(13)が、円周方向又は接線方向に延在する細長い頂部(13a、13b)を含み、
前記接続要素(8、9、10)が、外側アレイ(21)、中間アレイ(23)及び内側アレイ(22)を含む3つの同心円形アレイ上に構成され、前記細長い頂部(13)が前記中間アレイ(23)の前記接続要素(9)のみによって形成され、
前記細長い頂部(13)のうちの少なくとも一部が、前記間隙(5)を通過し且つ前記軸(Z)に対して垂直である幾何学的な中央面を基準とした実質的な鏡面構造に従って、反対側の前記対向する表面(6、7)によって形成される対応する突出部の反対側にあり、前記表面(6、7)に対して軸方向において位置合わせされることを特徴とする、ブレーキ・ディスク。
【請求項2】
前記複数の接続要素(9)の各々が3つの細長い頂部(13a、13b、13c)に関連付けられ、前記細長い頂部のうちの2つ(13a、13b)が円周方向において2つの反対方向に延在し、第3の細長い頂部(13c)が前記プレートの前記外側周囲縁部(C)まで径方向外向きに延在することを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ・ディスク。
【請求項3】
各細長い頂部(13)が丸みのある自由端(15)を有することを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ・ディスク。
【請求項4】
各細長い頂部(13)が軸方向の断面平面で見た場合に凸形のプロフィールを有することを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ・ディスク。
【請求項5】
各細長い頂部(13)が凹面円弧(14)により前記プレートのそれぞれの前記対向する表面(6、7)に対して接合されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ・ディスク。
【請求項6】
前記細長い頂部(13)が、前記プレート(3、4)及び前記接続要素(8、9、10)と同じ材料から成型されることによって作られることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ・ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力車のための、また限定しないが詳細には、自動車及び商用車のための、ベンチレーテッド型ブレーキ・ディスク(ventilated brake disc)に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルと、そこから延在し、キャリパのパッドと協働することが意図される制動帯と呼ばれる環状部分と、を備えるブレーキ・ディスクが知られている。ベンチレーテッド型ディスク(ventilated disc)では、制動帯が、通常はピン又はタブの形態である複数の接続要素により互いに接続される、相互に面する一対のプレートで作られる。2つのプレートの外側表面が両側の制動面を画定する。内側の対向する表面が、ピン又はタブと共に、ディスクの回転運動中に空気がその中で遠心方向に流れるようにディスクを冷却するための通気ダクト(ventilation duct)を画定する。
【0003】
通気を改善するために及び温度変化による亀裂を低減するために、通気ダクトの有効性を向上させるための成形される接続要素を有するベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクが提案されている。
【0004】
本出願人の名義の国際公開第2008/136032(A2)号が、2つの同心アレイに分配されるタブの形態の接合要素を備えるベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクを開示しており、これらのタブは実質的に径方向に細長く、ディスクの好適な回転方向の方を向く凹状部分を有する。
【0005】
国際公開第2008/136032(A2)号のベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクは、3つの同心アレイに分配されるピンの形態の接続要素を提供しており、ここでは、径方向において最も外側のアレイが涙滴形状の断面を有するピンを備え、径方向において最も内側のアレイが径方向に細長いピンを備え、径方向において中間のアレイがひし形断面を有するピンを備え、このひし形の頂点は丸みを有し、その主対角線が実質的に径方向となるように方向付けられる。
【0006】
国際公開第2012/164465(A1)号が、3つの同心アレイに分配されるピンの形態の接続要素を備えるベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクを開示しており、ここでは、径方向において中間のアレイのピンが、4つの丸みのある点を有する星形などの成形される断面を有する。径方向において最も外側のアレイのピンの間に、軸方向において位置合わせされる突出部が配置され、これが、制動帯の2つのプレートの2つの対向する内側表面から突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/136032(A2)号
【特許文献2】国際公開第2012/164465(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的はベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクの動作寿命を延ばすことである。本発明の具体的な目的は、可能な限り、熱亀裂の発生を低減又は排除することである。具体的には、ベンチレーテッド型のタイプのブレーキ・ディスク内での通気が、その機械的特性に影響することなくその動作温度を低下させることにより最適化及び改善されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によれば、ブレーキ・ディスクの熱伝達面を拡大させてそれにより請求項1のプリアンブルで定義されるタイプのベンチレーテッド型ブレーキ・ディスク内で交換される熱出力(thermal power)を増大させることにより、上述の目的が達成される。要約すると、上記プレート接続要素のうちの少なくとも複数のプレート接続要素が、1つ又は複数の所与の方向に従って接続要素の端部から延在する細長い頂部に関連付けられる。これらの細長い頂部は接続要素及びプレートと一体に形成され、2つのプレートの対向する表面から隆起する。好適で有利な特徴は従属請求項で定義される。
【0010】
単に非限定的な実例として与えられる例示の実施例を用いて、本発明によるブレーキ・ディスクの複数の実施例を以下で説明する。添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ベル側のプレートが部分的に切り取られている、ベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクを示す斜視図である。
【
図3】
図1の線III−IIIに沿う、ブレーキ・ディスクを示す部分断面図である。
【
図4】
図2の細部の別の実施例を示す斜視図である。
【
図5】
図2の細部の別の実施例を示す斜視図である。
【
図6】
図2の細部の別の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照すると、例えば自動車などの動力車に対して装着されることが意図される本発明によるベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクが、全体として1で示される。ディスク1が概略円形構成を有し、図においてZで示される軸の周りに展開される。
【0013】
本文脈では、「軸方向」という表現は軸Zに平行な方向を示す。「径方向」は軸方向又は軸Zに対して垂直な方向を示す。ディスクに対しての「接線方向又は円周方向」は、Z軸上にその中心を有する円周に一致する方向を示す。
【0014】
ディスク1が、支持ベル(support bell)20と、ベル20と同軸である制動帯2とを備える。車両に対して制動動作を作用させるためのブレーキ・キャリパ(図示せず)と協働することが意図される制動帯2が、軸Zと同軸である2つのプレート3、4によって画定される。第1のプレート3が支持ベル20の側に配置され、対して、第2のプレート4が反対側に配置される。2つのプレートは相互に面し、軸方向において離間されて間隙5を形成する。
【0015】
2つのプレート3、4は対向する表面6、7を有し、これらの表面6、7から、接続要素8、9、10がプレート間を横方向又は軸方向に延在する。対向する表面6、7が、接続要素8、9、10と共に、間隙5内に、ディスクの回転中にその中で空気を遠心方向に流すためのディスク冷却通気ダクト(disc−cooling ventilation duct)50を画定する。接続要素がプレート3、4と同じ材料で作られ、好適には、プレートと共に一部品として作られる(具体的には、融着される)。
【0016】
添付図に示される実施例では、プレート3、4の間の接続要素8、9、10がピラー状又はピン状の要素である。有利には、接続要素8、9、10が2つのプレート3、4の対向する表面6、7に沿って均等に分配される。
【0017】
接続要素が、外側アレイ21すなわち軸Zから遠いアレイと、内側アレイ22すなわち軸Zに近いアレイとを含む、少なくとも2つの同心円形アレイに沿うように構成される。
【0018】
本明細書で説明される実施例によれば、接続要素8、9及び10は、外側アレイ21、中間アレイ23及び内側アレイ22に相当する、3つの同心円形アレイ上に構成される。
【0019】
好適には、最も外側のアレイ21の各要素10が、最も内側のアレイ22の対応する要素8に対して径方向において位置合わせされ、対して、中間アレイ23の要素9が内側の接続要素8及び外側の接続要素10を基準として円周方向にジクザグ状である。
【0020】
遠心方向の空気流れを通過させるのを促進するために、接続要素8、9、10は、好適には、軸平面において径方向に細長い断面又は軸方向断面を有する。
【0021】
示されない別の実施例によれば、2つのプレートの間の接続要素が実質的に径方向に細長いタブを備えることができる。
【0022】
各接続要素8、9、10が2つの個別の端部11、12すなわちベース部分を有し、ここで、同じ接続要素がプレート3、4に対して接合される。
【0023】
この実例では接続要素9である、複数の接続要素が、そのベース部分から少なくとも1つの所与の方向に延在する細長い頂部13に関連付けられる。細長い頂部13は接続要素9及びプレート3、4と一体に形成され、2つのプレートの対向する表面6、7から隆起する。
【0024】
各細長い頂部は、2つの対向する表面6、7の間の軸方向の距離より短い高さでそれぞれの表面6又は7から浮き出る。
【0025】
一実施例では、細長い頂部のうちの少なくとも複数の細長い頂部が表面6と表面7との間の距離の半分より短い高さでそれぞれの表面6又は7から浮き出る。
【0026】
好適には、細長い頂部13はプレート3、4及び接続要素8、9、10と同じ材料で作られ、好適には、プレート及び接続要素と共に一部品として作られる(具体的には、融着される)。
【0027】
図1〜3に示される実施例では、細長い頂部13は中間アレイ23の接続要素9のみで形成される。示されない他の実施例では、細長い頂部13は内側アレイ22の接続要素8によって形成されてよい。
【0028】
特定の有利な実施例によれば、各接続要素9(或いは、8又は10)に対して3つの細長い頂部13a、13b、13cが備え付けられ、これらのうちの2つ13a、13bが円周方向又は接線方向において2つの反対方向に延在し、第3のより細長い頂部13cがプレートの外側周囲縁部Cの近傍まで径方向外向きに延在する。
【0029】
図4に示される別の実施例によれば、1つの細長い頂部13cのみが各接続要素9(或いは、8又は10)に備え付けられ得、これは径方向外向きに延在する。
【0030】
図5に示される別の実施例によれば、1つのより長い頂部13aのみが各接続要素9(或いは、8又は10)に備え付けられ得、これは接線方向又は円周方向に延在する。
【0031】
図6に示される別の実施例によれば、2つの細長い頂部13a、13bが各接続要素9(或いは、8又は10)に備え付けられ得、これらは接線方向又は円周方向において2つの反対方向に延在する。
【0032】
好適には、軸方向の断面平面(cross−section plane)において、各細長い頂部13は丸みのある自由端15を有し、凸形のプロフィールを有する。
【0033】
好適には、各細長い頂部13は凹面円弧(concave radius)14によりプレートのそれぞれの表面6又は7に対して接合される。
【0034】
図3に見られるように、各細長い頂部13は、好適には、間隙5を通過し且つ軸Zに対して垂直である幾何学的な中央面を基準とした実質的な鏡面構造に従って、反対側の対向する表面上に設けられる対応する細長い頂部の反対側にあり、それに対して軸方向において位置合わせされる。
図3では、上記の構成を細長い頂部13cに関連させて見ることができるが、この鏡面の幾何形状が、設けられる場合は細長い頂部13a及び/又は13bにも適用され得ることを理解されたい。この実施例では、各細長い頂部は、表面6と表面7との間の距離の半分より短い高さでそれぞれの表面6又は7から浮き出る。
【0035】
図1及び2の実施例では、径方向において中間のアレイ23の接続要素9がひし形として好適には成形される断面を有し、このひし形が、丸みのある頂点と、わずかに凹形である辺と、径方向に方向付けられる主対角線とを有する。
【0036】
この実施例では、第3の頂部が外側アレイ21の2つの接続要素10の間を延在し、その断面が、好適には、径方向外側に広がるか又は分岐する三角形として成形される。
【0037】
図1及び2の例示の実施例では、径方向において内側のアレイ22の接続要素8が好適には涙滴形状の断面を有し、これは径方向の外向きの方向を向くその一部分が細長い。
【0038】
機能的観点では、細長い頂部13が、結果として質量を増大させることなく、間隙5内の熱伝達面を全体として増大させることになる。同時に、細長い頂部13は通気ダクトを通過する空気流れの乱流を増大させ、それにより、対流によりブレーキ・ディスクの熱をより多く除去する。このようにして、交換される熱出力を増加させることが達成され、それにより動作温度が低下し、ブレーキ・ディスクの動作寿命が延びる。
【0039】
概して、本発明がその達成を可能にする有利な結果を得るのに、接続要素の軸方向断面のこの特定の幾何形状が義務的であったり極めて重要であったりするわけではない。しかし、この断面は、その幾何形状に関係なく、好適には、丸みのある頂点を有し、また、先細の全体形状、又は、通気ダクトを通る空気の良好なアクセス、分布及び流れを促進するような形状、のいずれかを有する。
【0040】
図1及び2に示される実施例では、8で示される外側アレイ21のカラム状の要素が、概略ダイヤモンド形状又はひし形の断面を有し、丸みのある頂点と、実質的に径方向に方向付けられる主対角線とを有する。
【0041】
また、好適には、細長い頂部13を備えない接続要素がその根元部分又はベース部分に凹面円弧16を有し、ここで、接続要素が2つのプレートのうちの1つのプレートに対して接合される。
【0042】
接続要素8、9及び10のサイズは、このディスクの意図される対象の車両のタイプに基づいて変更され得る。
【0043】
本出願人によって実行された比較試験により以下のことが実証された:
− 質量、材料、及び、縁部の状態が同じ場合、上で考察したタイプの細長い頂部を有するブレーキ・ディスクがより良好な熱放出を確実にする(出力除去がおよそ10%向上する);
− 従来の接続要素を有するブレーキ・ディスクと比較すると、上で考察したタイプの細長い頂部を有するディスクは、機械的応力(およそ10÷30%低下する)と、熱放出(出力除去がおよそ2%向上する)との両方において有利となり得る。
【0044】
本発明を用いて得られるディスクの物理的性能、機械的性能及び熱的性能を評価するために、従来のタイプの2つのベンチレーテッド型ブレーキ・ディスク(以下の表で、ディスクI及びディスクIIとして示される)と、本発明によるブレーキ・ディスク(以下で、ディスクIIIとして示される)との間で比較解析を行った。ディスクIは31個の円形カラムの接続ピンを備える「標準的」なベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクであり、ディスクIIは国際公開第2012/164465(A1)号に示されるタイプの31ピンのベンチレーテッド型ディスクである。ディスクIIIは
図1〜3による31個の接続ピンを備えるベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクである。
【0045】
以下の表に記載される値は、標準的なディスクと比較して本発明によるディスクでは除去される熱出力が有意に+23.4%増加することを示している。ディスクIIIが標準的なディスクIより約1kg小さい質量を有することに留意されたい。
【0047】
以下のグラフが、標準的なディスクI(511℃)と比較した場合の、試験中にディスクIII(440℃)上で検出された動作温度の71℃の低下(すなわち、14%)を示す。この有意な温度低下により直ちに、制動帯の耐性及び剛性に影響することなく、熱亀裂の形成が大きく低減されることになる。
【0049】
最後に、本発明によるベンチレーテッド型ブレーキ・ディスクは、従来のディスクのように融着されることにより作られ得ることから、製造が容易であり、製造の費用対効果が高い。外部の構成要素が使用されることはなく、また、ブレーキ・ディスクの材料以外の材料が使用されることもないことから、追加の後作業を必要とすることなく融着プロセス中のディスクの製造が最適化される。
【0050】
本発明によるブレーキ・ディスクの種々の態様及び実施例を説明してきた。各実施例が任意の他の実施例と組み合わされても又は任意の他の実施例から独立して作られてもよいことを理解されたい。また、本発明は本明細書で説明される実施例のみに限定されず、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内で変更され得る。