(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動工具に装着可能な本体ケースと、前記本体ケースに設けられ、吸込口を備えたノズルを前端に有する筒状のスライド部と、前記ノズルから吸い込まれた粉塵を貯留する集塵部と、を含んでなる電動工具用集塵装置であって、
前記スライド部には、前記本体ケースに設けられたガイド部に前後方向へスライド可能に支持される被ガイド部が設けられ、前記ガイド部及び前記被ガイド部は、前記スライド部の中心を通る断面線より半分側の領域内にのみ配置されていると共に、
前記被ガイド部は、前記スライド部から突出したレール状の突起であり、前記突起には、前記スライド方向と直交する横断面で見て4方向に被ガイド面が形成されて、
前記スライド部は、前記本体ケースを前記電動工具へ装着した状態で、前記電動工具の先端工具の真下に位置するように前記本体ケースに配置されて、前記突起は、前記スライド部の真下から左右何れかへずれる位置に配置され、前記ガイド部及び前記突起は、前記スライド部の中心より左右何れか一方側の領域内にのみ配置されていることを特徴とする電動工具用集塵装置。
前記本体ケースに、前記スライド部を前方へ突出付勢する渦巻きバネが設けられて、前記渦巻きバネは、前記ガイド部と前記被ガイド部との間を通って前記スライド部に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3は、電動工具であるハンマードリル1に電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)40を装着した集塵システムSの一例を示すもので、
図1は前方からの斜視図、
図2は側面図、
図3は平面図、
図4は正面図である。
(ハンマードリルの説明)
ハンマードリル1は、
図5及び8にも示すように、本体ハウジング2の前側下部に、出力軸5を上向きにしたモータ4を収容するモータハウジング3を上下方向に内設し、その上方に、クランク機構及び回転機構を収容したギヤハウジング6を内設して、その前方に、ツールホルダを前向きに収容する前ハウジング7を組み付けて、本体ハウジング2の後部に、側面視コ字状のハンドルハウジング8を連結している。ツールホルダの先端には、操作スリーブ9によって先端工具(
図1〜3では、120mm以上の最大穿孔深さに対応できるドリルビット(以下「ロングビットLB」という。)を示す。)が装着可能となっている。10は、ハンドルハウジング8に内蔵したスイッチに設けたスイッチレバー、11は電源コードである。
【0010】
ツールホルダには、クランク機構のコネクティングロッドによって往復動するピストンを含む打撃機構が設けられて、本体ハウジング2の側面に設けられたチェンジレバー12により、打撃機構を動作させて先端工具に打撃を付与するハンマモード、回転機構を動作させてツールホルダと共に先端工具を回転させるドリルモード、打撃機構と回転機構とを同時に動作させて先端工具に打撃と回転とを付与するハンマドリルモードとが選択可能となっている。
【0011】
モータハウジング3内において、モータ4の出力軸5は、
図8に示すように、ギヤハウジング6を貫通してクランク機構の図示しないギヤに噛合しており、ギヤハウジング6の下方に形成されるファン収容室13内で出力軸5には、それぞれ遠心ファンである上側ファン14と下側ファン15とが仕切盤16を介して上下に設けられている。本体ハウジング2の前面には、ファン収容室13と連通する開口17が形成される一方、モータハウジング3の下部背面には、下側吸気口18が形成されている。
【0012】
また、上側ファン14の上方でファン収容室13内には、出力軸5の貫通孔21を有して上側ファン14の上方から本体ハウジング2の前面に延び、ファン収容室13よりも左右及び後方が一回り小さい下板20と、下板20の外周に沿って立設されてギヤハウジング6との間を閉塞する周板22とからなる皿部材19が設けられている。この皿部材19により、ファン収容室13内に、上側ファン14と連通して内部を仕切る分離室23を形成している。皿部材19の下板20の前部は、本体ハウジング2の前部内側で下方へ一段落ち込む深底部24となり、周板22も、深底部24と合わせて下方へ長くなって本体ハウジング2の前面に至り、開口17を閉塞している。この前面の閉塞部分に、開口17よりも一回り小さい縦長四角形状の3つの上側吸気口25,25・・が左右方向に並べて形成されている。そして、本体ハウジング2の右側面には、本体ハウジング2とギヤハウジング6との間を通ってファン収容室13と連通する本機側排気口26,26が形成されている。
【0013】
上側吸気口25の後方で深底部24には、左右方向のピン28によって下端が回転可能に支持されるシャッタ部材27が収容されている。このシャッタ部材27は、常態では、ピン28に巻回されて深底部24とシャッタ部材27とに係止するトーションバネ29により、前方への起立位置に付勢されている。起立位置でのシャッタ部材27の前面には、各上側吸気口25に嵌合して各上側吸気口25を閉塞する3つの嵌合凸部30,30・・が突設されている。
さらに、本体ハウジング2の前面下側には、本体ハウジング2の前側周面に沿って突設される受けフランジ31と、その左右へ対称に設けられ、上方及び左右外向きに開放する半円状の下切欠き32,32とが設けられている。また、前ハウジング7の下面には、後方下向きに突出する爪33が形成されて、前ハウジング7には、サイドハンドル34が装着可能となっている。
【0014】
(集塵装置の説明)
集塵装置40は、
図9〜11にも示すように、ハンマードリル1へ装着される本体ケース41と、本体ケース41へ着脱可能に装着されるダストボックス42と、本体ケース41に連結されて先端にノズル44を備えたスライド部43とからなる。
まず本体ケース41は、左右の半割ケース41a,41bを組み合わせてなり、前面がダストボックス42の結合面、後面がハンマードリル1への装着面となる縦長の箱状体で、
図12,13に示すように、ハンマードリル1の上側吸気口25に対応する位置には、四角穴45が貫通形成されている。また、本体ケース41の後面で四角穴45の下方には、ハンマードリル1のモータハウジング3の前面形状に沿って形成され、モータハウジング3への装着状態でその前面に当接する複数の当接リブ46,46・・が配置されている。
さらに、本体ケース41の上面には、ハンマードリル1への装着時に爪33を受け入れるガイド溝47が前後方向に凹設されており、ガイド溝47の下方で本体ケース41の内部に、揺動板48が横向きに設けられている。
【0015】
この揺動板48は、
図8に示すように、前端に設けた左右方向の軸49によって上下へ揺動可能に支持され、後端で左右方向の中央には、フック50が上向きに設けられて、本体ケース41に設けた透孔51を介してガイド溝47内に出没可能となっている。この揺動板48は、軸49に設けた図示しないトーションバネにより、フック50がガイド溝47内に突出する上方位置に付勢されている。揺動板48の中央部上面には、ボタン部52が設けられて、開口53を介して本体ケース41の上面に突出している。よって、ボタン部52の押し込み操作によって揺動板48を下方位置に揺動させれば、フック50をガイド溝47から下方へ退避させることができる。
【0016】
さらに、本体ケース41の後面で左右両側には、ハンマードリル1のモータハウジング3の前面両側に当接可能な係止板54,54が、上下方向に設けられて、係止板54,54の下部には、互いの対向側へ突出する係止軸55,55が突設されている。当接リブ46は、係止板54,54の間に形成されて、係止軸55,55は、最下位置の当接リブ46を受けフランジ31に係止させた状態で、下切欠き32,32に係止可能となっている。
一方、本体ケース41の前面側で上側の内面には、ダストボックス42の後述する着脱用係止爪129が弾性係止する係止段部56が形成され、下側の内面には、ダストボックス42の受け凹部123が嵌合可能な軸部57が左右方向に形成されている。
【0017】
また、本体ケース41の左側面上側には、中間筒58が設けられている。この中間筒58は、
図9に示すように、本体ケース41の左側の半割ケース41aと、その半割ケース41aにネジ止めされる外カバー59とによって形成され、前方に開口して左側へ張り出す上端の受け筒部60と、受け筒部60と連通して本体ケース41の左側面に沿って下向きに形成された後、前方へ折曲し、下端が前向きに開口する案内筒部61とを備えている。
さらに、中間筒58の前方で本体ケース41の左側上部には、スライド部43を下方から支持する支持アーム62が設けられている。この支持アーム62は、本体ケース41から斜め前方へ突出し、上面に、
図6,12にも示すように、本体ケース41寄りの上側受け面63と、その外側の下側受け面64との上下二段の水平な受け面を備えている。この両受け面63,64に跨がって固定されたガイド金具65を介して、後述する如くスライド部43が前後へスライド可能に保持されている。上側受け面63の前後端縁には、ガイド金具65の位置決め突起66,66が突設され、支持アーム62の左側には、スライド部43の左外側へ回り込む円弧状のストッパ67が突設されている。
【0018】
スライド部43は、アルミ等の金属製である中空の筒状体で、右側面には、前後方向に長孔70が形成されている。左側面には、全長に亘って上下二本のレール71,71が平行に設けられて、両レール71,71に上下から係合してレール71,71に沿って摺動可能な前ストッパ72及び後ストッパ73が、支持アーム62のストッパ67を挟んで前後に設けられている。レール71,71の間には、複数の歯からなるラック74が設けられて、各前後ストッパ72,73には、ラック74に噛合した状態で上方へ突出付勢されるロックボタン75がそれぞれ設けられている。よって、ロックボタン75を押し込んでラック74との噛合を解除すると、前後ストッパ72,73はレール71,71に沿って摺動可能となり、ロックボタン75の押し込みを解除すると、ロックボタン75が上方への突出位置へ復帰してラック74と噛合し、前後ストッパ72,73の摺動を規制することになる。
【0019】
ノズル44は、スライド部43の前端に連結されてスライド部43から右斜め上側へ略直角に突出する筒状体で、ノズル44の基端は、スライド部43の内部に突出している。ノズル44の先端には、ビットが貫通するリング状の吸込口76が形成されて、吸込口76の後側の開口には、中心の透孔から放射状に複数の切込みを形成したゴムキャップ77が嵌着され、前側の開口には、被加工面への当接状態で被加工面との間を閉塞するゴム製の閉塞リング78が着脱可能に嵌着されている。
また、スライド部43内で中間筒58の受け筒部60とノズル44の基端との間には、集塵経路の一部となる蛇腹状のフレキシブルホース79が接続されている。ここでのスライド部43の後端は開放されて、内部のフレキシブルホース79の後部が露出して受け筒部60に接続されている。
【0020】
(スライド部のガイド構造の説明)
次に、ガイド金具65によるスライド部43のガイド構造について詳述する。
まず、ガイド金具65は、
図14に示すように、支持アーム62の上側受け面63にネジ止めされる上板80と、下側受け面64上に載置される下板81と、上下板80,81同士を連結する連結部82とからなる。上板80は、平面視外形が前後方向に延びる矩形状で、前後両端に一対のネジ止め孔83,83と、その外側に一対の切欠き84,84が形成されている。下板81も、平面視外形が前後方向に延びる矩形状であるが、長手方向の中央部には、外側へ開放する逃げ凹部85が形成されている。
【0021】
また、下板81には、左右の長手辺から立ち上がる一対の立ち上げ部86,86と、立ち上げ部86,86の上端から内側へ対向状に延びる一対の被り部87,87とが形成されている。外側の立ち上げ部86及び被り部87は、逃げ凹部85によって前後に分離している。
このガイド金具65は、上板80を上側受け面63に、下板81を下側受け面64にそれぞれ載置して上板80の切欠き84,84に上側受け面63の位置決め突起66,66をそれぞれ嵌合させて位置決めした状態で、ネジ止め孔83,83を介してネジ88,88によって上側受け面63に上板80をネジ止めすることで、支持アーム62に固定される。
【0022】
一方、スライド部43の下面には、ガイドレール90が、長手方向に沿って同じ金属で一体に設けられている。このガイドレール90は、長孔70の下側の下縁に沿って下向きに形成される上レール91と、上レール91の下端へ直交状に連結される下レール92とからなる横断面逆T字状を有し、下レール92をガイド金具65の下板81に長手方向から嵌合させて上レール91を被り部87,87の間を通過させることで、ガイド金具65によって前後方向へスライド可能にガイドされる。下レール92は、下板81への嵌合状態で、底面に長手方向へ凹設した凹溝93を除いて下板81の底面に当接する下面92aと、左右の立ち上げ部86,86に当接する左右の側面92b,92bと、被り部87,87に当接する上面92cとの4面でガイドされることになる。
【0023】
また、下板
81とガイドレール90とは、
図6に示すように、スライド部43の中心Oを通る水平方向の断面線Lより下側の領域で、且つスライド部43の左右幅Hよりも小さい幅内(下板
81及びガイドレール90が、スライド部43の平面視から突出しない領域内)に配置されている。
よって、スライド部43は、ガイド金具65によって回転を規制された状態で、前後ストッパ72,73がストッパ67に当接する範囲で本体ケース41の上方左側で前後移動可能に保持される。このスライド部43の前後移動に伴い、フレキシブルホース79はノズル44の基端と中間筒58の受け筒部60との間で伸縮することになる。受け筒部60は、スライド部43の内径よりも小さくなっており、スライド部43が後退する際は、長孔70を介して受け筒部60がスライド部43内へ相対的に進入することでスライド部43の後退を許容することになる。
【0024】
一方、支持アーム62内において、ガイド金具65の下板81の下方には、
図7に示すように、渦巻きバネ94が、左右方向の支持ピン95によって回転可能に支持されている。この渦巻きバネ
94の外周側の端部94aが、下側受け面64に設けた透孔96及び下板81の逃げ凹部85を介して下板81の上面に至り、そのまま下レール92の凹溝93内を通ってガイド金具65の後方へ引き出されて、下レール92の後端にネジ止めされて後ストッパ73の後退位置を規制する止めリング97に連結されている。従って、常態でのスライド部43は、渦巻きバネ94の引張力により、後ストッパ73がストッパ67に当接する前進位置(初期位置)へ付勢されることになる。
【0025】
次に、ダストボックス42は、
図15〜17にも示すように、深底箱状のボックス本体100と、そのボックス本体100の開口101側で且つ長手方向の一端側にヒンジ軸102によって回転可能に結合される蓋体103とを備えてなる。蓋体103には、ボックス本体100よりも一回り小さい四角筒状のフィルタ収納部104が一体形成されている。このフィルタ収納部104は、ボックス本体100の開口101を閉じた状態でボックス本体100内に突出するもので、内部には、蓋体103側の開口に嵌着される矩形状の枠体106に、枠体106の長手方向と平行な折り目で短手方向に折り畳まれた紙製のフィルタ107を取り付けたフィルタユニット105が収容されている。蓋体103側の開口には、キャップカバー108が被せられて、フィルタユニット105はキャップカバー108によって固定されている。蓋体103におけるヒンジ軸102と反対側の端部には、側面視がL字状となって先端がフィルタ収納部104の外側で平行に延びるループ部109が形成されている。
【0026】
また、蓋体103の左側縁側には、本体ケース41への結合状態で案内筒部61と接続され、前後端が開口する四角筒110が、蓋体103と直交状に設けられてボックス本体100内に突出している。ボックス本体100の内面には、四角筒110が収容される円弧溝状の案内路111が、周方向に沿って外面に張り出す格好で形成されている。但し、この案内路111は、前方へ行くに従って徐々に浅く形成されて、フィルタ収納部104の前方では、ボックス本体100と連続状に繋がっている。また、ボックス本体100の内面には、案内路111の上下端でフィルタ収納部104側へ平行に突出し、フィルタ収納部104の四角筒110側の側面から周方向へ延び、フィルタ収納部104の反対側の側面まで回り込む上下一対の上リブ112及び下リブ113が形成されている。
フィルタ収納部104は、ボックス本体100内への突出端も閉塞されて、ヒンジ軸102と反対の短手面(上側の短手面)側の面で突出端寄りの領域にのみ横長の通気孔114が形成されている。
【0027】
キャップカバー108の上側には、角筒状の装置側排気口115が形成されている。この装置側排気口115は、本体ケース41の四角穴45を貫通する筒体で、装置側排気口115の前端には、全周に亘ってシール部材116が設けられている。装置側排気口115内でダストボックス42の内部側には、内側へ凹む格好でコ字状の渡り片117が形成されて、渡り片117の底部に、斜め下向きの保持ボス118が形成されている。この保持ボス118には、別体の金属製である当接ピン119が差し込まれて、装置側排気口115及びシール部材116を貫通して斜め下向きに突出している。装置側排気口115は、渡り片117の下側に形成される出口120からフィルタ収納部104に連通している。121は、キャップカバー108の上面から前向きに設けられてループ部109の内側で蓋体103の上端に設けた係止突起122に係止する係止ループである。
【0028】
一方、ボックス本体100において、ヒンジ軸102側の端部の短手面には、ヒンジ軸102と平行な受け凹部123が形成されている。さらに、ヒンジ軸102と反対側の端部の短手面で開口際には、蓋体103を閉じた状態でキャップカバー108のループ部109が弾性係止する蓋用係止爪124が形成されている。同じ短手面には、蓋用係止爪124の左右に突設した一対の保持部125,125によって二股状の基端部が保持され、先端がボックス本体100の短手面に設けた凹部128内に位置するL字状の弾性片127となる操作部材126が設けられている。この操作部材126における基端部側の外面には、蓋用係止爪124と略同形状の着脱用係止爪129が形成されている。
【0029】
よって、蓋体103によってボックス本体100の開口101を閉じると、ボックス本体100の案内路111に蓋体103の四角筒110が嵌合して上下リブ112,113によってフィルタ収納部104との間で四角筒110の上下が仕切られる。こうしてダストボックス
42内には、
図16に示すように、四角筒110から吸い込まれた空気が案内路111から上下リブ112,113の間でボックス本体100の内周に沿って旋回し、フィルタ収納部104を挟んだ反対側の蓋体103の右側縁側に回り込む半円状の旋回流路131と、旋回流路131を旋回した空気がボックス本体100とフィルタ収納部104との間を通って衝突する蓋体103の内面部132とからなる粉塵分離部130が形成される。また、ボックス本体100内には、四角筒110と連通する第1集塵室D1が形成され、フィルタ収納部104内には、第1集塵室D1と区画される第2集塵室D2が形成される。133は、蓋体103の裏面で外周に沿って設けられ、フィルタ収納部104を囲んでボックス本体100の開口101との間をシールするシール材である。
【0030】
このダストボックス42を本体ケース41の前方から、蓋体103を後側、受け凹部123を下側にした向きで、先に受け凹部123を軸部57に係止させ、そのまま軸部57を支点にして後方へ回転させるように本体ケース41内に押し込む。すると、着脱用係止爪129が本体ケース41の係止段部56に弾性係止してダストボックス42が本体ケース41に結合される。このとき本体ケース41の中間筒58は、ダストボックス42の四角筒110の前端に接続されて連通する。同時に、蓋体103に設けた装置側排気口115が、本体ケース41の四角穴45を貫通して後方へ突出する。この状態で当接ピン119も四角穴45から後方へ突出することとなる。
【0031】
(ハンマードリルへの集塵装置の装着)
以上の如く構成された集塵システムSにおいては、ダストボックス42を装着した集塵装置40をハンマードリル1に装着する場合、まず本体ケース41の係止軸55,55を、ハンマードリル1に設けた下切欠き32,32にそれぞれ係止させる。次に、その傾斜姿勢から、集塵装置40の上側を後方へ押し上げるように回転させてハンマードリル1の前面に嵌合させると、揺動板48のフック50が前ハウジング7の爪33に当接して本体ケース41のガイド溝47に没入し、揺動板48を下方位置(解除位置)へ揺動させる。フック50が爪33を乗り越えると、
図8に示すように、揺動板48が上方位置(係止位置)へ揺動してフック50を上方へ突出させて前ハウジング7の爪33に係止させる。これにより集塵装置40の装着が完了する。
【0032】
この集塵装置40の装着に伴い、本体ケース41の四角穴45を貫通した装置側排気口115から突出した当接ピン119が、シャッタ部材27に当接し、トーションバネ29の付勢に抗してシャッタ部材27を後方へ倒伏させて、上側吸気口25を開放させる。これと同時に装置側排気口115のシール部材116が上側吸気口25の周囲に密着して、装置側排気口115と上側吸気口25とをシール状態で連通させる。よって、吸込口76から、ノズル44、スライド部43内のフレキシブルホース79、中間筒58、ダストボックス42の四角筒110から粉塵分離部130、通気孔114、フィルタ収納部104、出口120を介して装置側排気口115に至る集塵経路R1と、上側吸気口25からシャッタ部材27の上方を通って分離室23から上側ファン14に至る吸気経路R2とが接続されることになる。
【0033】
(ビットによる穿孔)
そして、スライド部43と共に突出付勢される吸込口76にビット(ロングビット又はショートビット)の先端が位置するように、スライド部43のレール71,71上での後ストッパ73の初期位置を調整して、穿孔深さに合わせて前ストッパ72の位置を調整する。その後、吸込口76を被穿孔面に当接させて、ハンマードリル1のスイッチレバー10を押し込み操作してスイッチをONさせると、モータ4が駆動して出力軸5が回転する。このとき、チェンジレバー12によってドリルモード或いはハンマドリルモードが選択されていれば、ビットが回転して被穿孔面への穿孔が可能となり、穿孔が進むに連れて
図19に示すようにビット(ここではロングビットLB)が吸込口76を貫通してスライド部43は渦巻きバネ94の付勢に抗して支持アーム62から相対的に後退する。このとき、受け筒部60はスライド部43内を相対的に前進し、フレキシブルホース79を収縮させる。
【0034】
ここでスライド部43は、下側に設けたガイドレール90が、支持アーム62上のガイド金具65により案内された状態でスライドする。直接ガイドされるのはガイドレール90となるが、ガイドレール90の下レール92が前述のように上下左右の4面においてガイド金具65の下板81に支持されているため、ガイドレール90はがたつくことなくスムーズにスライドできる。特に、スライド部43の下側で左右幅内の狭い領域にガイドレール90と下板81とを配置しているので、スライドの際にガイドレール90がこじれにくくなり、スライドの精度が良好となる。また、外部からの損傷も受けにくくなる。
【0035】
(集塵作用)
一方、出力軸5の回転によって下側ファン15が回転することで、モータハウジング3の下側吸気口18から外気が吸い込まれ、モータ4を通過して冷却した後、下側ファン15からファン収容室13を通って本機側排気口26から排出される。
同時に上側ファン14が回転することで、集塵装置40の吸込口76に吸引力が発生し、穿孔時に発生する粉塵と共に空気が吸込口76から吸い込まれ、ノズル44を介してフレキシブルホース79を通り、中間筒58からダストボックス42のボックス本体100の四角筒110内に入る。
【0036】
そして、
図16,18に実線矢印Aで示すように、四角筒110から出た空気は、案内路111及び上下リブ112,113に案内されて旋回流路131に沿って流れ、フィルタ収納部104の右側に回り込んで蓋体103の内面部132やボックス本体100の内面等に衝突する。すると空気は、点線矢印Bで示すように上側に向きを変えてフィルタ収納部104の側面から上面側に回り込み、通気孔114からフィルタ収納部104内に入る。よって、比較的大きな粉塵は、旋回流路131を空気が旋回する際や内面部132に衝突して向きを変える際に分離されてボックス本体100の第1集塵室D1内に落下する。上下リブ112,113は、フィルタ収納部104の右側では内面部132の手前で途切れているので、粉塵は下リブ113と内面部132との間の空間から落下できる。
【0037】
フィルタ収納部104に入った空気は、フィルタ107を通過して出口120を介して装置側排気口115を通り、ダストボックス42の外部に排出される。そして、上側吸気口25を通って分離室23に至り、倒伏位置にあるシャッタ部材27の上側を通って皿部材19の貫通孔21から上側ファン14及びファン収容室13を通り、本機側排気口26から排出される。
よって、細かい粉塵はフィルタ107に捕捉されてフィルタ収納部104にとどまる。この状態でフィルタ収納部104は上側の通気孔114を除いて第1集塵室D1とは区画されているので、フィルタ収納部104内の細かい粉塵は、ボックス本体100内の大きい粉塵とは分離した状態で第2集塵室D2内に貯留される。
【0038】
(集塵装置の取り外し及び粉塵の排出)
作業終了後、集塵装置40を取り外す際には、ボタン部52を押し込んで揺動板48を下方の解除位置へ揺動させてフック50を爪33から外し、そのまま集塵装置40を前方へ倒すように回転させると、そのまま集塵装置40を取り外すことができる。この取り外しと同時に当接ピン119が前方へ移動してシャッタ部材27の押し込みを解除するため、シャッタ部材27は起立位置へ復帰して上側吸気口25を閉塞する。
ダストボックス42からの粉塵の排出は、本体ケース41の前方から、ボックス本体100の操作部材126の弾性片127を押し込んで係止段部56への着脱用係止爪129の係止を解除すると、軸部57を中心に前側へ傾動させてそのまま本体ケース41から取り外すことができる。次に、蓋体103のループ部109を蓋用係止爪124から外して蓋体103をボックス本体100から開放させれば、第1集塵室D1内に貯留した大きな粉塵を排出することができる。このとき、フィルタ収納部104の第2集塵室D2も通気孔114を介して同時に外部へ開放されるため、ダストボックス42を傾けたり下向きにしたりすることで、細かい粉塵も通気孔114から排出可能となる。
【0039】
(スライド部のガイドに係る発明の効果)
このように、上記形態の集塵装置40によれば、スライド部43には、本体ケース41に設けられたガイド金具65へスライド可能に支持されるガイドレール90が設けられ、ガイド金具65及びガイドレール90は、スライド部43の中心を通る断面線Lより下半分側の領域内に配置されていることで、スライド部43の半分側の領域内にあるガイドレール90のみでスライド部43をガイドできるため、ガイド構造がコンパクトとなって狭い場所での操作性も良好となる。また、ガイドレール90が露出しにくくなるため、損傷のおそれが少なくなる。さらに、狭い領域でガイドレール90がガイドされることで、こじれやガタが生じにくくなり、スライド部43を摺動性を保ちつつ精度よくガイドすることができる。
【0040】
特にここでは、被ガイド部を、スライド部43から突出したレール状の突起(ガイドレール90)として、ガイドレール90に、スライド方向と直交する横断面で見て4方向に被ガイド面(下レール92の下面92a、両側面92b、92b、上面92c)を形成しているので、スライド部43を4方向の被ガイド面によってがたつきなくスムーズにガイドでき、ガイドの精度も良好となる。
また、ガイド部を金属製のガイド金具65としているので、強度が確保できる。
【0041】
さらに、スライド部43は、本体ケース41をハンマードリル1へ装着した状態で、ハンマードリル1のビットの真下から左側へずれる位置となるように本体ケース41に配置されて、ガイドレール90はスライド部43の下方に突出して、ガイド金具65及びガイドレール90は、スライド部43の中心より下側の領域内に配置されているので、ガイド金具65及びガイドレール90が平面視でスライド部43から露出することがなく、外部(特に上方)からの損傷を受けにくくなる。
加えて、本体ケース41に、スライド部43を前方へ突出付勢する渦巻きバネ94を設けて、渦巻きバネ94を、ガイド金具65とガイドレール90との間を通ってスライド部43に連結しているので、渦巻きバネ94を省スペースでスライド部43に連結することができる。
【0042】
なお、上記形態では、スライド部を単一のパイプとしているが、
図20,21に示すように、受け筒部60に、フレキシブルホース79の後部を覆ってスライド部43内に後方から挿入されるパイプ134を連結して、スライド部43をテレスコープ構造としてもよい。この場合、スライド部43の前後へのスライドがパイプ134にもガイドされることになり、より摺動性が高まる。また、フレキシブルホース79が露出しないため、フレキシブルホース79のズレや損傷が防止可能となる。
さらに、上記形態では、スライド部をビットの左側へオフセットさせているが、これに限らず、支持アームを本体ケースの右側へ突出させてスライド部をビットの右側へオフセットさせてもよい。
【0043】
但し、先の形態では、スライド部43の初期位置で、フレキシブルホース79の後部が接続される受け筒部60よりも後端が前側に位置するようにスライド部43の軸方向長さを短くしているので、スライド部43が最大ストローク後退しても受け筒部60から後方への後端の突出量が小さくて済み、作業の際にスライド部43が邪魔にならないという効果が得られる。すなわち、ノズルを備えた筒状のスライド部内に、集塵経路を形成するフレキシブルホース等の管体を内挿して当該管体の後端をケース本体に接続した集塵装置であって、スライド部の軸方向長さを、スライド部の最前方位置でその後端が、管体の後端とケース本体との接続位置よりも前方に位置するように短く設定した発明が把握できる。
【0044】
一方、上記形態のようにスライド部をビットの左右側へオフセットさせる構造に限らず、
図22〜24に示す集塵装置40Aのように、スライド部43Aがビットの真下に位置するように本体ケース41に対して支持させてもよい。
この集塵装置40Aは、ハンマードリル1Aの前側下部のモータハウジング3に前方からスライド結合され、内部に集塵モータ及び吸込ファンを収容した側面視L字状の本体ケース41を有し、モータハウジング3への結合と共に図示しない端子同士が電気的に接続されてハンマードリル1Aから電力が供給される。
【0045】
このスライド部43Aは、前端にノズル44が上向きに連結される前筒140と、前筒140に後方から挿入される中筒141と、中筒141に後方から挿入される後筒142とを有し、前方へ行くに従って大径となる3つの筒体からなるテレスコープ構造となっている。本体ケース41側の中間筒58は、本体ケース41内で左右方向の中央上部に設けられ、上端に突出させた受け筒部60が、後筒142の後端に接続されている。フレキシブルホース79は、
図25に示すように、スライド部43A内で受け筒部60とノズル44の基端との間に接続されている。
こうして前方側が大径となるテレスコープ構造としたことで、ノズル44が後退してスライド部43Aが収縮すると、最大径の前筒140内に中筒141と後筒142が順番に収容され、本体ケース41側では最小径の後筒142のみを保持すれば足りるため、本体ケース41がコンパクトとなる。
【0046】
そして、スライド部43Aのスライドをガイドするために、ここでは
図25,26に示すように、前後ストッパ72,73及びレール71、ラック74を有するスライドバー143が、前筒140の左側へ、連結板144を介して前筒140と平行且つ一体に連結されている。ガイドレール90Aは、スライドバー143の右側面側(前筒140側)へ倒T字状に一体形成されている。よって、この形態では、横向きとなるガイドレール90Aの91Aを左レールと称し、左レール91Aと直交する92Aを右レールと称する。
【0047】
ガイド金具65Aは、
図27,28に示すように、スライド部43Aとスライドバー143との間で支持アーム62内へ縦向きに形成された取付板145の左側面へ、前後位置で下向きに設けた取付片146,146を介して縦向きにネジ止めされる。ガイド金具65Aの上縁と、取付片146を除く下縁とには、左側に突出する上下の立ち上げ部86,86と、立ち上げ部86,86の先端から互いの対向側へ折曲する被り部87,87とが形成されて、ここにガイドレール90Aの右レール92Aが縦向きに嵌合することで、右レール92Aの上下左右の4面(被ガイド面147a〜147d)がガイド金具65Aに支持されるようになっている。なお、渦巻きバネ94は、ガイド金具65Aの左側に配置されて、端部94aは、スライドバー143の下面に沿って後方へ引き出されてスライドバー143の後端の止め具148にネジ止めされる。
【0048】
この集塵装置40Aにおいても、スライド部43Aには、本体ケース41に設けられたガイド金具65Aへスライド可能に支持されるガイドレール90Aが設けられ、ガイド金具65A及びガイドレール90Aは、スライド部43Aの中心を通る上下方向の断面線L1より左半分側で、且つスライド部43Aの上下高さH1よりも小さい高さ寸法内(上下の立ち上げ部86,86を含む部分及びガイドレール90Aが、スライド部43Aの右からの側面視でスライド部43Aから突出しない領域内)に配置されている。
よって、ガイドレール90Aのみでスライド部43Aをガイドでき、ガイド構造がコンパクトとなる。また、スライド部43Aとスライドバー143との間に位置するガイドレール90Aがガイドされるため、損傷のおそれが少ない上、狭い部分がガイドされることでこじれが生じにくくなり、スライド部43Aを精度よくガイドすることができる。
【0049】
特にここでは、スライド部43Aは、ドリルビットLBの真下に位置するように本体ケース41に配置されて、ガイドレール90Aは、スライド部43Aの真下から左側へずれる位置に配置され、ガイド金具65A及びガイドレール90Aは、スライド部43Aの中心より左側の領域内に配置されているので、ガイド金具65A及びガイドレール90が右からの側面視でスライド部43Aから露出することがなく、外部(特に側方)からの損傷を受けにくくなる。
【0050】
その他、各形態に共通して、ここではスライド部の突出付勢に渦巻きバネを用いているが、付勢手段はこれに限らず、ホースバネ等を用いることも可能である。
また、集塵装置の着脱について、上記形態では本体ケースの下側を係止させて上側を回転させる構造となっているが、これと逆に、本体ケースの上側を係止させて下側を回転させる構造も採用できる。さらに、左右何れか一方側を係止させて他方側を回転させる横向き回転式の着脱構造も採用可能である。ダストボックスも着脱可能な別体構造とするものに限らず、本体ケース内に一体の集塵部を設けて蓋体の開放によって粉塵の排出を可能としてもよい。
【0051】
そして、ハンマードリルの形態も、モータが横向きであったり、AC機でなく電源としてバッテリーパックを使用するDC機であったりしても差し支えない。勿論ハンマードリルに限らず、集塵装置を装着可能であれば、電動ドリル等の他の電動工具であっても本発明は適用可能である。