特許第6886843号(P6886843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886843
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20210603BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20210603BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A47L9/00 101
   A47L9/10 Z
   A47L9/16
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-43109(P2017-43109)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-143589(P2018-143589A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】及川 真愛
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】大津 育弘
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−023859(JP,A)
【文献】 特開2002−136458(JP,A)
【文献】 特開2015−089449(JP,A)
【文献】 特開2016−022086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00− 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した本体ケースと、
この本体ケースに対して着脱可能に設けられ、この本体ケースに取り付けられた状態で前記電動送風機の駆動により吸い込まれた塵埃を捕集する集塵装置とを具備し、
前記集塵装置は、
円筒状の外周面を有する本体部と、
前記外周面の一側に設けられた排気口と、
前記外周面の一側に設けられた逃げ部とを備え、
前記本体ケースは、
前記本体部の前記外周面に沿う円弧状に設けられた対向部と、
この対向部に設けられ、前記電動送風機の吸込側に連通し、前記対向部に対して前記本体部の一側を対向させて取り付けられた前記集塵装置の排気口に対して接続される接続口と、
前記本体ケースにて前記接続口に対する前記排気口の接続方向に沿って前記対向部に突設され、前記対向部に対して前記本体部の一側を対向させて取り付けられた前記集塵装置の逃げ部に挿入される突出部とを備え
前記突出部は、前記対向部に対して前記本体部の一側とは異なる他側を対向させて取り付けられた前記集塵装置の前記本体部の前記外周面と当接することで前記本体部と前記接続口との間に隙間を生じさせる
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
突出部は、接続口内に配置され、
逃げ部は、排気口である
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体ケースに対して着脱可能な集塵装置を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気掃除機に用いられる集塵装置として、電動送風機などを収容した本体ケースに対して着脱可能な、いわゆる集塵カップが用いられる。
【0003】
この集塵カップを本体ケースに取り付ける際には、集塵カップの後部に位置する排気口が本体ケースの接続口と接続される。これらの接続のシール性を向上するために、排気口を円弧に沿って湾曲させるとともに、本体ケースの受け部を接続口の形状に沿った円弧状に形成することで、集塵カップのがたつきなどによる隙間を生じにくくすることが考えられる。しかしながら、その場合、集塵カップが円筒状であることにより、使用者が集塵カップを、正位置に対して前後の向きを反対とした逆位置で誤って本体ケースに取り付けることが懸念される。このように集塵カップを逆位置で取り付けた場合、電動送風機の吸込側に連通する風路が形成されず、掃除ができない。
【0004】
この点、例えば集塵カップと本体ケースとの取り付け位置のみ異形状となるようにすることも考えられるものの、この場合には集塵カップなどのデザイン上の制約が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−58021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、集塵装置のデザイン上の制約を抑制しつつ、集塵装置を本体ケースに対して誤った向きで取り付けられないようにした電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、本体ケースと、集塵装置とを有する。本体ケースは、電動送風機を収容する。集塵装置は、本体ケースに対して着脱可能に設けられる。また、この集塵装置は、本体ケースに取り付けられた状態で電動送風機の駆動により吸い込まれた塵埃を捕集する。さらに、この集塵装置は、本体部と、排気口と、逃げ部とを備える。本体部は、円筒状の外周面を有する。排気口は、外周面の一側に設けられる。逃げ部は、外周面の一側に設けられる。本体ケースは、対向部と、接続口と、突出部とを備える。対向部は、本体部の外周面に沿う円弧状に設けられる。接続口は、対向部に設けられる。この接続口は、電動送風機の吸込側に連通し、対向部に対して本体部の一側を対向させて取り付けられた集塵装置の排気口に対して接続される。突出部は、本体ケースにて接続口に対する排気口の接続方向に沿って対向部に突設される。この突出部は、対向部に対して本体部の一側を対向させて取り付けられた集塵装置の逃げ部に挿入される。また、突出部は、対向部に対して本体部の一側とは異なる他側を対向させて取り付けられた集塵装置の本体部の外周面と当接することで本体部と接続口との間に隙間を生じさせる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の電気掃除機の集塵装置を逆位置で取り付けた状態を示す側面図である。
図2】同上集塵装置を正位置で取り付けた状態を示す側面図である。
図3】同上集塵装置を逆位置で取り付けた状態の一部を上方から模式的に示す平面図である。
図4】同上集塵装置を正位置で取り付けた状態の一部を上方から模式的に示す平面図である。
図5】同上電気掃除機の一部を示す斜視図である。
図6】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図6において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示す。この電気掃除機11は、風路形成体である管部12を備えている。また、この電気掃除機11は、掃除機本体13を備えている。
【0011】
管部12は、掃除機本体13に対して着脱可能に設けられている。この管部12は、接続管部15を備えている。また、この管部12は、ホース体16を備えている。さらに、この管部12は、手元操作部17を備えている。また、この管部12は、延長管18を備えていてもよい。さらに、この管部12は、吸込口体19を備えていてもよい。
【0012】
接続管部15は、掃除機本体13に接続される部分である。この接続管部15は、管部12の基端部に位置している。
【0013】
ホース体16は、可撓性を有して長尺状に形成され、接続管部15の先端側に連通している。
【0014】
手元操作部17は、ホース体16の先端側、すなわち接続管部15とは反対側に位置している。この手元操作部17には、把持部21が設けられている。またこの手元操作部17には、操作設定用の設定手段(設定部)である設定ボタン22が設けられている。
【0015】
把持部21は、例えば手元操作部17からホース体16側に向かってループ状に突設されている。
【0016】
設定ボタン22は、把持部21の上部に配置されている。
【0017】
延長管18は、例えば硬質の合成樹脂などにより長尺の筒状に形成されている。この延長管18は、ホース体16の先端側(手元操作部17)に対して着脱可能に接続される。
【0018】
吸込口体19は、例えば延長管18の先端側などに着脱可能に接続される。本実施形態に置いて、この吸込口体19としては、例えば床ブラシが用いられる。
【0019】
図1ないし図4に示す掃除機本体13は、集塵装置24を備えている。また、この掃除機本体13は、集塵装置24が着脱可能な本体ケース25を備えている。さらに、この掃除機本体13は、電動送風機26を備えている。また、この掃除機本体13は、図示しないが、本体制御部を備えている。さらに、この掃除機本体13は、図示しないが、電源部を備えている。また、この掃除機本体13は、走行輪29などの走行部を備えていてもよい。そして、本実施形態において、この掃除機本体13は、走行部などにより、被掃除面としての床面上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。なお、以下、前後方向および左右方向は、掃除機本体13の走行(移動)方向を基準とする。
【0020】
集塵装置24は、集塵カップとも呼ばれ、電動送風機26の動作により吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離して捕集するものである。この集塵装置24は、本実施形態において、含塵空気を内部で旋回させて塵埃を遠心分離(サイクロン分離)して捕集する、サイクロンカップである。この集塵装置24は、本体部31を備えている。また、この集塵装置24は、塵埃を分離する分離部32を備えている。さらに、この集塵装置24は、塵埃を溜める集塵部33を備えている。また、この集塵装置24は、含塵空気が導入される吸気口34を備えている。そして、この集塵装置24は、塵埃が分離された空気を排出する排気口35を備えている。また、この集塵装置24は、この集塵装置24を本体ケース25に対して係止する係止部36を備えている。なお、以下、集塵装置24において、上下方向とは、集塵装置24の軸方向における一端側と他端側とをいうものとする。すなわち、集塵装置24における上下方向は、集塵装置24単体の状態での上下方向を基準とするものとし、本体ケース25に対して装着した状態での集塵装置24の上下方向とは必ずしも一致しない場合もある。また、集塵装置24が本体ケース25に取り付けられた状態とは、特記しない限り、集塵装置24が本体ケース25に対して、電気掃除機11が正常に機能するための正規の向き(正位置)に取り付けられた状態をいうものとする。したがって、集塵装置24の前後方向は、集塵装置24を本体ケース25に対して正位置に取り付けた状態での掃除機本体13の走行方向を基準とする。
【0021】
本体部31は、円形状の外郭形状を有している。すなわち、この本体部31は、円筒状の外周面37を備えている。この本体部31は、例えば円筒状(円柱状)に形成されている。この本体部31は、本実施形態において、第1の本体部としてのカップ部38と、第2の本体部としての分離本体部39とに分割されている。
【0022】
外周面37は、排気口35を除く位置が、この排気口35よりも径方向に突出する円筒面となっている。
【0023】
カップ部38は、本体部31の下部を構成するものである。このカップ部38は、全体として有底円筒状に形成されている。このカップ部38は、例えば透明な合成樹脂などにより形成され、内部が目視可能となっている。また、このカップ部38は、本実施形態において、有底円筒状の第1の本体構成部としてのカップ部本体部41と、分離本体部39を支持する第2の本体構成部としての支持部42とを一体に備えている。また、このカップ部38には、図示しないが、集塵装置24の把持用の集塵装置ハンドルが設けられていてもよい。
【0024】
カップ部本体部41は、カップ部38の下部を構成している。このカップ部本体部41は、分離本体部39に対して外径寸法が小さく形成されている。
【0025】
支持部42は、カップ部38の上端部に位置している。この支持部42は、カップ部本体部41に対して拡大して形成されている。この支持部42は、分離本体部39と略等しい外径寸法を有している。したがって、カップ部38は、カップ部本体部41と支持部42とが連続する位置で段差状に拡径されている。換言すれば、外周面37は、このカップ部38の位置で、段差状となっている。
【0026】
集塵装置ハンドルは、カップ部38の側部に突設されている。この集塵装置ハンドルは、例えばカップ部本体部41の側部に配置されている。
【0027】
分離本体部39は、本体部31の上部を構成するものである。この分離本体部39は、円柱状に形成されている。すなわち、この分離本体部39は、外周面37の一部を構成する円筒状の集塵装置側対向部としての上部外周面44を備えている。この分離本体部39は、カップ部38の上部に対して着脱可能となっている。また、この分離本体部39の下部には、図示しないが、円筒状の筒部が突設されている。この筒部は、カップ部38の内部に上方から挿入されている。さらに、この筒部には、空気が通過する開口およびこの開口を覆うフィルタが設けられている。
【0028】
上部外周面44は、略一定の曲率(曲率半径)を有する円筒面である。この上部外周面44は、例えば硬質の合成樹脂により形成されている。
【0029】
分離部32は、本体部31の内部に設けられている。この分離部32は、少なくとも1ステージの遠心分離(サイクロン分離)部を備えている。本実施形態において、分離部32は、例えば吸気口34を介して導入された含塵空気から粗塵を遠心分離する第1遠心分離部と、この第1遠心分離部により粗塵が分離された含塵空気から細塵を遠心分離する第2遠心分離部とを備えている。第1遠心分離部は、カップ部38と分離本体部39の下部の筒部とにより構成されている。さらに、この第1遠心分離部は、粗塵を分離した含塵空気を、分離本体部39の筒部の開口(フィルタ)を介して第2遠心分離部へと通過させるようになっている。また、第2遠心分離部は、分離本体部39の内部に区画され、カップ部38の上方に位置している。
【0030】
集塵部33は、分離部32で分離された塵埃を溜める部分である。この集塵部33は、本体部31の内部に設けられている。本実施形態において、この集塵部33は、カップ部38の内部に区画されている。
【0031】
吸気口34は、集塵装置24の上流端となるものである。この吸気口34は、本体部31の本体ケース25に対向する一側である後側に設けられている。この吸気口34は、外周面37に開口されている。本実施形態において、この吸気口34は、カップ部38の後部に開口されている。したがって、この吸気口34は、集塵装置24の下部寄りに配置されている。この吸気口34は、カップ部38の内部へと、含塵空気をカップ部38内面の接線方向に沿って導入するようになっている。
【0032】
排気口35は、集塵装置24の下流端となるものである。この排気口35は、本体部31の本体ケース25に対向する一側である後側に設けられている。すなわち、この排気口35は、吸気口34と同側に配置されている。また、この排気口35は、外周面37に開口されている。本実施形態において、この排気口35は、分離本体部39の後部に開口されている。すなわち、この排気口35は、上部外周面44の後部に開口されている。このため、この排気口35は、集塵装置24の上部寄りに配置されている。したがって、上部外周面44は、排気口35の位置で窪み、排気口35以外の位置で基本的に凹凸を有しない形状となっている。換言すれば、この上部外周面44は、排気口35以外の位置がこの排気口35よりも径方向に突出して形成されている。
【0033】
係止部36は、本体部31の本体ケース25に対向する一側である後側に設けられている。この係止部36は、外周面37に設けられている。本実施形態において、この係止部36は、分離本体部39の後部で、かつ、排気口35の上部に設けられている。したがって、この係止部36は、上部外周面44に配置されている。この係止部36は、例えば上部外周面44に対して後方に突出する舌片状に設けられている。そして、この係止部36は、図示しない付勢部材(例えばばねなど)により付勢されて、本体ケース25に対する集塵装置24の係止を保持するとともに、操作部46の操作により付勢に抗して動作されることで本体ケース25に対する集塵装置24の係止を解除可能となっている。この操作部46は、本実施形態において、例えば本体部31の上部に配置されている。すなわち、この操作部46は、分離本体部39の上部に配置されている。
【0034】
本体ケース25は、例えば合成樹脂などにより中空状に形成されている。この本体ケース25は、掃除機本体13を把持するためのハンドル51を備えている。また、この本体ケース25は、管部12(接続管部15)が接続される本体吸込口52を備えている。さらに、この本体ケース25は、電動送風機26、本体制御部、および、電源部を収容する収容部53を備えている。さらに、この本体ケース25は、集塵装置24を支持する支持部54を備えている。そして、この本体ケース25は、集塵装置24が取り付けられる取付部55を備えている。また、この本体ケース25は、吸込接続口56を備えている。さらに、この本体ケース25は、接続口57を備えている。また、この本体ケース25は、図示しないが、吸込シール部材を備えていてもよい。また、この本体ケース25は、シール部材59を備えていてもよい。さらに、この本体ケース25は、リブ60を備えていてもよい。また、この本体ケース25は、突出部61を備えている。さらに、この本体ケース25は、本体吸込口52と集塵装置24とを連通する吸込風路部62を備えている。そして、この本体ケース25は、集塵装置24と電動送風機26の吸込側とを連通する連通風路部63を備えている。また、この本体ケース25は、係止受部64(図5)を備えている。さらに、この本体ケース25は、図示しないが、排気孔を備えている。
【0035】
ハンドル51は、本体ケース25の上部に、例えばループ状に位置している。このハンドル51は、本体ケース25の収容部53に設けられ、取付部55の上方後側に位置している。また、このハンドル51は、上側が後方に向けて傾斜するように設けられている。
【0036】
本体吸込口52は、吸込風路部62を介して吸込接続口56と連通する部分である。この本体吸込口52は、本体ケース25の前部に配置されている。この本体吸込口52は、支持部54の前端部に開口されている。
【0037】
収容部53は、本体ケース25の後部を構成している。この収容部53は、取付部55に位置する前端部に、本体ケース25に取り付けられた集塵装置24の一側である後側と対向する対向部66を備えている。すなわち、本体ケース25は、対向部66を備えている。この対向部66は、集塵装置24の外郭形状に沿う円弧状に設けられている。すなわち、この対向部66は、本体ケース25に対して取り付けられた集塵装置24の外周面37と略等しい曲率(曲率半径)で湾曲された円弧面である。したがって、この対向部66は、左右方向の中央部が左右方向の両側部に対して後側へと窪んだ形状となっている。また、この対向部66は、上下方向に長手状に設けられ、本体ケース25に取り付けられた集塵装置24の後側全体が対向するようになっている。さらに、この対向部66は、ハンドル51の下方に位置している。また、この対向部66は、ハンドル51の前部よりも後方に位置している。なお、この対向部66には、図示しないが、集塵装置24を本体ケース25に取り付けた状態で集塵装置24の集塵装置ハンドルが収納される収納凹部が設けられていてもよい。
【0038】
支持部54は、集塵装置24の下部を支持するものである。この支持部54は、本体ケース25の前部を構成している。また、この支持部54は、収容部53の前端側の下部から前方に向かって突設されている。さらに、この支持部54は、有底円筒状に設けられ、上側が開口されている。
【0039】
取付部55は、収容部53の前端部と支持部54の上部との間に区画されている。すなわち、この取付部55は、本体ケース25の前端部に位置し、前部、上部および左右両側部が開放された空間部である。この取付部55は、後部が対向部66により区画されている。また、この取付部55は、ハンドル51の下方に位置している。
【0040】
吸込接続口56は、吸込風路部62の下流端を構成し、本体ケース25(取付部55)に取り付けられた集塵装置24の上流側(吸込側)である吸気口34に連通するものである。この吸込接続口56は、収容部53の前部に開口されている。すなわち、この吸込接続口56は、取付部55に位置している。また、この吸込接続口56は、対向部66に開口されている。このため、この吸込接続口56は、前後方向に沿って開口方向を有している。この吸込接続口56は、対向部66の下部寄りに位置している。具体的に、この吸込接続口56は、本体ケース25(取付部55)に取り付けられた集塵装置24の外周面37においてカップ部38に対向する位置にて対向部66に配置されている。
【0041】
接続口57は、連通風路部63の上流端を構成し、本体ケース25(取付部55)に取り付けられた集塵装置24の下流側(排気側)である排気口35に連通するものである。この接続口57は、収容部53の前部に開口されている。すなわち、この接続口57は、取付部55に位置している。また、この接続口57は、対向部66に開口されている。また、この接続口57は、吸込接続口56に対して上方に離れて位置している。この接続口57は、本体ケース25の上部寄りに位置している。具体的に、この接続口57は、本体ケース25(取付部55)に取り付けられた集塵装置24の外周面37において分離本体部39の上部外周面44に対向する位置にて対向部66に配置されている。そして、この接続口57は、前後方向に沿って開口方向を有している。また、この接続口57は、例えば略水平方向に長手状、すなわち横長となっている。
【0042】
吸込シール部材は、集塵装置24の上流側である吸気口34と吸込接続口56とを気密に接続する、弾性を有するシールパッキンである。この吸込シール部材は、吸込接続口56の周囲を囲んで枠状に配置されている。すなわち、この吸込シール部材は、収容部53の前部に配置されている。また、この吸込シール部材は、取付部55に位置している。すなわち、この吸込シール部材は、対向部66に配置されている。そして、この吸込シール部材には、本体ケース25に取り付けられた集塵装置24の吸気口34の周囲の外周面37が圧接されるようになっている。
【0043】
同様に、シール部材59は、集塵装置24の下流側である排気口35と接続口57とを気密に接続する、弾性を有するシールパッキンである。このシール部材59は、接続口57の周囲を囲んで枠状に配置されている。すなわち、このシール部材59は、収容部53の前部に配置されている。また、このシール部材59は、取付部55に位置している。すなわち、このシール部材59は、対向部66に配置されている。そして、このシール部材59には、本体ケース25に取り付けられた集塵装置24の排気口35の周囲の外周面37(上部外周面44)が圧接されるようになっている。
【0044】
リブ60は、集塵装置24から排気されて接続口57に吸い込まれる空気を整流するとともに、集塵装置24が本体ケース25に対して取り外されている状態での接続口57の内部への大きな異物の混入を防止するものである。また、このリブ60は、シール部材59を取り付ける台座を兼ねている。このリブ60は、接続口57内に配置されている。したがって、このリブ60は、連通風路部63に配置されている。また、このリブ60は、例えば縦横に交差する格子状に設けられている。すなわち、このリブ60は、略水平方向に沿う横リブと、上下方向に沿う縦リブとを有している。
【0045】
突出部61は、本体ケース25に対する集塵装置24の取り付け向きを規制するものである。この突出部61は、本体ケース25にて接続口57に対する集塵装置24の排気口35の接続方向である前後方向に沿って対向部66に突設されている。すなわち、この突出部61は、先端側である前端側が、対向部66がなす円弧面に対して集塵装置24側である前方に向かって突出している。また、この突出部61は、図5に示すように、本実施形態ではリブ60に一体に設けられている。したがって、この突出部61は、接続口57内に配置されている。すなわち、この突出部61は、連通風路部63に配置されている。また、この突出部61は、リブ60において、縦リブに一体に設けられている。すなわち、この突出部61は、上下方向に沿って設けられている。本実施形態において、この突出部61は、先端側である前端側が円弧状となる半月状に形成されている。また、この突出部61は、互いに左右に離れて複数、例えば一対備えられている。
【0046】
吸込風路部62は、本体吸込口52と吸込接続口56とを連通し、支持部54から収容部53の前部に亘るL字状に形成されている。すなわち、この吸込風路部62は、上流側(本体吸込口52側)に対して下流側(吸込接続口56側)が上方に向かうように屈曲されている。
【0047】
連通風路部63は、接続口57と電動送風機26の吸込側とを連通し、接続口57から電動送風機26の吸込側に亘るL字状に形成されている。すなわち、この連通風路部63は、上流側(接続口57側)に対して下流側(電動送風機26の吸込側)が下方に向かうように屈曲されている。
【0048】
係止受部64は、集塵装置24を本体ケース25に対して係止保持する部分である。具体的に、この係止受部64は、集塵装置24の係止部36が挿入係止される部分である。この係止受部64は、収容部53の前部に凹設されている。すなわち、この係止受部64は、対向部66に凹設されている。また、この係止受部64は、例えば接続口57の上方に配置されている。
【0049】
排気孔は、電動送風機26の排気側と連通し、この電動送風機26を通過した空気を本体ケース25の外部に排気するものである。この排気孔は、例えば本体ケース25の後部に多数設けられている。
【0050】
電動送風機26は、本体ケース25(収容部53)内に、例えば吸込側を上方に向けて配置されている。この電動送風機26の上端部(吸込側)は、接続口57に対して下方に位置している。
【0051】
本体制御部は、設定ボタン22の操作に応じて電動送風機26の動作を制御するものである。この本体制御部は、例えばマイコンなどが好適に用いられる。
【0052】
電源部は、電動送風機26や本体制御部に給電する部分である。この電源部としては、例えば外部電源から給電されるコードリール装置、あるいは電池(二次電池)などが用いられる。
【0053】
走行輪29は、例えば大径に形成され、本体ケース25の後部両側などに回転自在に配置されている。
【0054】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0055】
集塵装置24を本体ケース25に対して正位置に取り付ける際には、集塵装置24(本体部31)の下部、本実施形態ではカップ部38の下部の前側を支持部54上に載置し、この位置を支点として集塵装置24(本体部31)の上部を後方に向かって回動させると、集塵装置24の本体部31の後側が対向部66へと接近する。このとき、集塵装置24は、突出部61と対向する後側の位置に排気口35が位置していることにより、回動にしたがって突出部61が外周面37(上部外周面44)と接触することなく排気口35へと挿入されることで、突出部61が集塵装置24の対向部66の前部への嵌合を妨げず、吸気口34の周囲が吸込シール部材に接触するとともに排気口35の周囲がシール部材59に接触し、吸気口34と吸込接続口56と、および、排気口35と接続口57とが、それぞれ密着される(図2および図4)。すなわち、排気口35が突出部61に対して、この突出部61が挿入される逃げ部として作用する。そして、係止部36が係止受部64に挿入係止されることで、吸気口34と吸込接続口56と、および、排気口35と接続口57とが圧接されて気密に接続され、この接続状態で集塵装置24が取付部55に取り付けられて本体ケース25に保持される。なお、集塵装置ハンドルは、対向部66に位置する収納凹部に収納されてもよい。
【0056】
したがって、掃除機本体13では、本体吸込口52から、吸込風路部62、吸込接続口56、吸気口34、集塵装置24(分離部32)、排気口35、接続口57、連通風路部63を介して電動送風機26の吸込側に連通する風路が気密に形成される。
【0057】
そして、使用者は、本体吸込口52に管部12(接続管部15)を接続し、設定ボタン22により電動送風機26の動作モードを設定すると、本体制御部がこの設定された動作モードに応じて電動送風機26を駆動させる。この電動送風機26の駆動により生じた負圧により、使用者は、例えば吸込口体19から塵埃を空気とともに吸い込む。この含塵空気は、吸込口体19から延長管18、手元操作部17、ホース体16、および、接続管部15を介して本体吸込口52へと吸い込まれる。この後、本体吸込口52から上記風路を介して集塵装置24へと吸い込まれた含塵空気は、分離部32により塵埃が分離されて排気口35から接続口57へと排出され、電動送風機26の吸込側へと吸い込まれ、この電動送風機26を冷却した後、排気孔から排出される。分離部32により分離された塵埃は、集塵部33に蓄積される。
【0058】
掃除が終了すると、使用者が設定ボタン22を操作することで、本体制御部が電動送風機26を停止させる。集塵装置24の集塵部33に溜められた塵埃は、必要に応じて集塵装置24を本体ケース25から取り外し、ごみ箱などに廃棄する。
【0059】
一方、集塵装置24を本体ケース25に対して、正位置とは前後の向きが反対側である逆位置など、正位置とは異なる誤った向きに取り付けようとする際には、集塵装置24(本体部31)の下部、本実施形態ではカップ部38の下部の前側を支持部54上に載置し、この位置を支点として集塵装置24(本体部31)の上部を後方に向かって回動させると、集塵装置24の本体部31の後側が対向部66へと接近する。このとき、集塵装置24は、突出部61と対向する位置にこの突出部61の逃げ部がないことにより、回動にしたがって突出部61が本体部31の外郭、例えば外周面37(上部外周面44)と当接して集塵装置24の対向部66の前部への嵌合を妨げ、本実施形態では特に分離本体部39が対向部66に嵌合する位置よりも前方に留まって分離本体部39がカップ部38の上部に対してずれた位置となり、本体部31と接続口57との間に隙間が生じる(図1および図3)。すなわち、本体部31の外郭は、排気口(逃げ部)35を除く位置が、この排気口(逃げ部)35よりも径方向に突出し集塵装置24が対向部66に対して本体部31の一側以外を対向させて取り付けられる状態(正位置以外の位置)では突出部61と接触する接触部68として作用する。また、仮に集塵装置24をカップ部38と分離本体部39とに分割し、カップ部38のみを支持部54上に載置して取付部55に取り付けた後、さらに分離本体部39をカップ部38の上部に装着しようとしても、同様に外周面37(上部外周面44)に対して突出部61が当接することで分離本体部39が対向部66に嵌合する位置よりも前方に留まって分離本体部39をカップ部38の上部に正しく装着できず、分離本体部39と接続口57とが密着せずに隙間ができた状態を維持する。
【0060】
このように、上記一実施形態によれば、集塵装置24の本体部31の外郭形状(外周面37)に沿う円弧状に設けられた対向部66に、本体ケース25の接続口57に対する集塵装置24の排気口35の接続方向に沿って突出部61を突設することにより、この突出部61が、対向部66に対して本体部31の後側を対向させて集塵装置24を本体ケース25に対して正位置に取り付けた場合には、逃げ部となる排気口35に挿入されることにより、集塵装置24の取り付けを妨げないものの、対向部66に対して本体部31の後側以外の位置を対向させて逆位置などで集塵装置24を本体ケース25に対して取り付けた場合には、突出部61が挿入される逃げ部がないことで、集塵装置24が突出部61に突き当たって接続口57に対して隙間が生じる。この結果、例えば集塵装置24の後側や対向部66を正位置でのみ嵌合するよう異形状とする必要がなく、集塵装置24のデザイン上の制約を抑制しつつ、集塵装置24を本体ケース25に対して誤った向きで取り付けられないようにできる。
【0061】
また、集塵装置24の本体部31の円形状の外周面37(上部外周面44)に排気口35を設け、本体ケース25の円弧状の対向部66に接続口57を設けたことにより、集塵装置24が本体ケース25に対して多少がたついた場合でも、排気口35と接続口57との間に隙間が生じにくく、これら排気口35と接続口57とのシール性を向上できる。
【0062】
そして、集塵装置24を本体ケース25に対して誤った向きで取り付けようとした場合には、上記のように集塵装置24と接続口57とが互いに離れて隙間が生じるので、接続口57が集塵装置24によって閉塞されることがなく、電動送風機26の過負荷を抑制できる。
【0063】
また、突出部61を、接続口57内に配置し、集塵装置24側に予め備えられている排気口35を突出部61の逃げ部とすることにより、突出部61を電動送風機26へと吸い込まれる空気の風路内に配置することができ、外観への影響が少なく、集塵装置24などのデザイン上の制約をより効果的に抑制できるだけでなく、従来の集塵装置24に対してデザインや設計を大きく変更する必要がなく、安価に対応できる。
【0064】
しかも、突出部61は、リブ60において上下方向に沿う縦リブと一体に設けて上下方向に沿わせたので、突出部61が、接続口57から連通風路部63を介して電動送風機26の吸込側へと吸い込まれる空気の流れに沿う方向となる。したがって、突出部61がこの空気の流れを妨げにくく、乱流の発生や吸込効率の低下を生じにくい。
【0065】
なお、上記一実施形態において、集塵装置24は、塵埃を遠心分離するものに限定されず、塵埃をフィルタにより分離するものや、慣性分離するものなどでもよい。
【0066】
また、集塵装置24は、カップ部38と分離本体部39とに分割されるものに限定されず、3以上の部分に分割されるものや、分割されないものであっても同様の作用効果を奏する。
【0067】
さらに、逃げ部は、排気口35とは別個に集塵装置24の本体部31の一側である後側(外周面37(上部外周面44)の後側)に凹設されていてもよい。この場合、突出部61は、接続口57の外部に配置されていてもよい。
【0068】
そして、電気掃除機11は、管部12と掃除機本体13とを備えたキャニスタ型のものとしたが、集塵装置24を本体ケース25に対して取り付ける構成であれば、アップライト型やスティック型の電気掃除機、あるいは自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)などでも対応できる。
【0069】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
11 電気掃除機
24 集塵装置
25 本体ケース
26 電動送風機
31 本体部
35 逃げ部となる排気口
37 外周面
57 接続口
61 突出部
66 対向部
図1
図2
図3
図4
図5
図6