(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも内面がポリオレフィン系樹脂からなりかつ内容物が収容された容器のフランジ部に、請求項1〜5のいずれか1つに記載の易開封性蓋材が熱融着されてなる、包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、飲料や食品の市場においても、多品種少量生産のニーズが高まっており、一般に、商品寿命が短く、商品の仕様変更の頻度が高い傾向にある。したがって、包装材料である容器や蓋材についても、このようなニーズに適切に対応する必要が生じている。
Tダイ押出成形法によるシーラントフィルムを用いた蓋材は、大量生産に適しているが、多品種少量生産の場合、コストが高くなるため、対応が難しい。
一方、蓋材のシーラントフィルムとしてインフレーションフィルムを用いる場合、小ロットであっても比較的コストを抑えることが可能であるため、多品種少量生産に対応できると考えられる。しかしながら、インフレーションフィルムよりなるシーラントフィルムを用いた蓋材の場合、例えば、容器のフランジ部への熱融着を、例えばシール幅を狭くして高温、高圧力の厳しいシール条件下で行うと、開封時に、アルミニウム箔等のバリア層とシーラントフィルムとの間で界面剥離が起こり、熱融着層以外の素材が容器側に残る「膜残り」や、シール箇所を起点に蓋材表面にシワや層間剥離(デラミネーション)が生じるおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記の課題に鑑みて考案されたものであって、バリア層および易開封性熱融着層を有する易開封性蓋材として、多品種少量生産のニーズに対応可能であって、開封性に優れたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)バリア層と、バリア層の一方の面に積層された易開封性熱融着層とを備えており、易開封性熱融着層は、バリア層側に位置する基部層およびバリア層とは反対側に位置する熱融着部層を有するインフレーションフィルムによって形成されており、基部層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなり、熱融着部層は、変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなる、易開封性蓋材。
【0008】
2)基部層は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂からなり、熱融着部層は、変性ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂からなる、上記1)の易開封性蓋材。
【0009】
3)熱融着部層を構成する樹脂の主成分である変性ポリエチレン樹脂が、ポリエチレン樹脂およびポリスチレンエラストマーを含んでいる、上記2)の易開封性蓋材。
【0010】
4)基部層の厚さが、易開封性熱融着層全体の厚さの15〜45%である、上記1)〜3)のいずれか1つの易開封性蓋材。
【0011】
5)基部層のメルトフローレート(MFR)が、熱融着部層のメルトフローレート(MFR)よりも小さい、上記1)〜4)のいずれか1つの易開封性蓋材。
【0012】
6)少なくとも内面がポリオレフィン系樹脂からなりかつ内容物が収容された容器のフランジ部に、上記1)〜5)のいずれか1つの易開封性蓋材が熱融着されてなる、包装体。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の易開封性蓋材によれば、易開封性熱融着層がインフレーションフィルムによって形成されているので、小ロットの場合でも比較的コストが抑えられ、多品種少量生産のニーズに適切に対応することができる。
しかも、上記1)の易開封性蓋材によれば、易開封性熱融着層を形成するインフレーションフィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなる基部層と、変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなる熱融着部層とを有している多種多層構造のものであるので、容器のフランジ部への熱融着を、例えば線シールのような厳しいシール条件下で行った場合でも、シワやデラミネーション等の熱融着後の外観異常や、開封時の膜残りの発生が抑えられ、優れた開封性が得られる。
【0014】
上記2)の易開封性蓋材によれば、容器のフランジ部への熱融着時の加熱温度を比較的低く設定することが可能であり、したがって、容器のフランジ部の熱変形が抑えられ、また、容器のフランジ部とのなじみが良くなる。
【0015】
上記3)の易開封性蓋材によれば、開封時に、シール箇所において易開封性熱融着層が切れやすくなる、すなわち、易開封性熱融着層内での凝集破壊が起こりやすくなるため、界面剥離による「膜残り」の発生が効果的に抑えられる。
【0016】
上記4)の易開封性蓋材によれば、蓋材としてのシール性能を維持しながら、容器のフランジ部への熱融着後の変形が抑制される。
【0017】
上記5)の易開封性蓋材によれば、容器のフランジ部への熱融着時の加熱による易開封性熱融着層、特に基部層の熱変形が少ないため、熱融着後の型付が抑えられる。
【0018】
上記6)の包装体によれば、多品種少量生産のニーズに適切に対応することが可能であるとともに、シワやデラミネーション等の熱融着後の外観異常や、開封時の膜残りの発生が効果的に抑えられ、優れた開封性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0021】
図1は、この発明による易開封性蓋材の層構造を示すものである。
図示の易開封性蓋材(2)は、バリア層(21)と、バリア層(21)の一方の面(
図1の下面)に積層された易開封性熱融着層(22)とを備えた積層シートにより形成されている。
【0022】
バリア層(21)は、内容物をガス、水蒸気、光等から保護するためのものであって、少なくとも、ガス等の遮断性を有する材料からなる層、好適には、金属箔層または金属蒸着フィルム層(以下、両者をまとめて「金属層(211)」という。)を有している。
このバリア層(21)は、
図1に示すように、金属層(211)に加えて、金属層(211)の外表面(
図1の上面)に積層された保護層(212)を有しているのが好ましく、それによって蓋材(2)の耐腐食性等が向上する。
金属層(211)を構成する金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス鋼(SUS)箔、ニッケル箔、チタン箔などが挙げられるが、特に、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔は、好適には、JIS H4160(2006)で規定されたA1N30H−O、A8079H−O、またはA8021H−Oよりなるものが用いられる。アルミニウム箔の厚さは、好ましくは6〜50μm、より好ましくは7〜15μmである。アルミニウム箔の片面または両面には、必要に応じて、クロメート処理などの下地処理が施される。
保護層(212)は、フィルム層または樹脂コート層によって構成される。保護層(212)を構成するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムやポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)フィルムなどのポリエステル系樹脂フィルム、延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(OPP)などのポリオレフィン系樹脂フィルム、延伸ナイロン樹脂フィルム(ONy)などのポリアミド系樹脂フィルムが挙げられ、これらのフィルムが単層または複数層で用いられる。フィルム層の厚さは、保護層(212)としての強度および熱融着時の熱伝導を考慮すると、10〜25μm程度が好ましい。
保護層(212)を構成するフィルム層と金属層(211)との積層は、例えば、ドライラミネートにより接着層(213)を介して行われる。接着層(213)を構成する接着剤としては、例えば2液硬化型ウレタン樹脂接着剤が用いられる。
保護層(212)を構成する樹脂コート層は、硝化綿やエポキシメラミン等などのコート剤を金属層(211)の所要の面に塗工して硬化させることにより形成される。樹脂コート層の厚さは、加工性を考慮すると、0.5〜4μm程度が好ましい。
【0023】
易開封性熱融着層(22)は、容器(3)のフランジ部(31)に蓋材(2)を熱融着するための層として機能するとともに、蓋材(2)の内面を構成するものである(
図2,3参照)。
易開封性熱融着層(22)は、シーラントフィルムよりなる。この発明において、シーラントフィルムは、バリア層(21)側(
図1の上側)に位置する基部層(221)と、バリア層(21)とは反対側(
図1の下側)に位置する熱融着部層(222)とを有するインフレーションフィルムによって形成されている。上記インフレーションフィルムの基部層(221)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなり、熱融着部層(222)は、変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂からなる。基部層(221)および熱融着部層(222)は、それぞれ単層とする他、複数層としてもよい。すなわち、易開封性熱融着層(22)には、多種多層構造のインフレーションフィルムが用いられている。
基部層(221)を構成する樹脂の主成分であるポリオレフィン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等のポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂(PP)が挙げられるが、好適には、ポリエチレン樹脂が用いられる。ポリプロピレン樹脂の場合、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)となされる。
熱融着部層(222)を構成する樹脂の主成分である変性ポリオレフィン系樹脂は、主剤となるポリエチレン樹脂(例えばLDPE)やポリプロピレン樹脂等に異種ポリマーを混合したものであって、例えば、スチレングラフトポリエチレン樹脂等の変性ポリエチレン樹脂や、変性ポリプロピレン樹脂が挙げられるが、好適には、変性ポリエチレン樹脂が用いられる。変性ポリプロピレン樹脂の場合、無延伸の変性ポリプロピレン樹脂フィルムとなされる。また、熱融着部層(222)を構成する樹脂には、主成分である変性ポリオレフィン系樹脂に加えて、粘着付与剤などが含まれている。包装体(1)を開封する際、この熱融着部層(222)が凝集破壊を起こすことにより、蓋材(2)が容器(3)のフランジ部(31)から分離して開封される。
易開封性熱融着層(22)の厚さ、すなわち基部層(221)および熱融着部層(222)を有するインフレーションフィルムの厚さは、好ましくは10〜50μm程度、より好ましくは25〜35μm程度となされる。基部層(221)の厚さは、易開封性熱融着層(22)の厚さの15〜45%程度とするのが好ましい。
基部層(221)のメルトフローレート(以下、「MFR」という。)は、熱融着部層(222)のMFRより小さいものとなされているのが好ましい。基部層(221)のMFRは、好ましくは0.5〜3.0g/10分、より好ましくは1.5〜2.5g/10分となされる。熱融着部層(222)のMFRは、好ましくは3.0〜5.0g/10分、より好ましくは3.0〜4.0g/10分となされる。なお、ここにいうMFRは、基部層(221)または熱融着部層(222)がポリエチレン系樹脂フィルムである場合、JIS K7210−1(2014)(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したものであり、基部層(221)または熱融着部層(222)がポリプロピレン系樹脂フィルムである場合、JIS K7210−1(2014)(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したものである。
基部層(221)の密度は、好ましくは0.88〜0.945g/cm
3となされ、一方、熱融着部層(222)の密度は、好ましくは0.88〜0.92g/cm
3となされる。なお、これらの密度は、JIS K7112(1999)のD法(密度こうばい管)に準拠して測定したものである。
【0024】
バリア層(21)と易開封性熱融着層(22)との積層は、ドライラミネートまたは共押出により、接着層(23)を介して行われる。接着層(23)を構成する接着剤としては、ドライラミネートの場合、例えば2液硬化型ウレタン樹脂接着剤が用いられ、共押出の場合、例えばポリエチレン樹脂接着剤が用いられる。
【0025】
図2および
図3は、この発明による包装体(1)を示したものである。図示の通り、包装体(1)は、飲料や食品等の内容物(C)が収容されている容器(3)と、容器(3)のフランジ部(31)に熱融着されている上記蓋材(2)とよりなる。
容器(3)は、例えば、射出成形や真空圧空成形等によりカップ状またはトレイ状に成形された樹脂成形品よりなる。樹脂製容器(3)の材質としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等のポリオレフィン系樹脂が用いられる。容器(3)のフランジ部(31)は、径方向外方を向いたほぼ水平な環状のものとなされている。なお、容器は、容器内面側にポリオレフィン系樹脂層を有するとともにアルミニウム箔等の金属層を有する積層シートから成形されたものであっても構わない。
図示は省略したが、蓋材(2)には、通常、その外周縁の長さの一部から径方向外方に突出した摘み部が一体に設けられている。
容器(3)のフランジ部(31)の上面に蓋材(2)を熱融着する手段は特に限定されないが、通常、熱板方式が用いられる。特に、被シール面に夾雑物が混入している場合であってもシール強度を高く保持するために、例えば、シール部の幅が1.0〜3.0mm程度の熱板を用いて、加熱温度140〜300℃程度、加圧力500〜2000N程度、加熱加圧時間0.5〜1.5秒程度のシール条件下で行う線シールが好適に用いられる。なお、
図2および
図3では、シール箇所(4)に対応して、容器(3)のフランジ部(31)上面および蓋材(2)に凹部を表示したが、これはシール位置との関係を明確にするためであり、実際には、蓋材(2)と容器(3)のフランジ部(31)とが十分に熱融着されていれば、凹部は形成されていなくて良い。
【0026】
上記包装体(3)を開封する場合、蓋材(2)の摘み部を手指でつまんで引き上げると、容器(3)のフランジ部(31)と蓋材(2)とのシール箇所(4)において、蓋材(2)における易開封性熱融着層(22)の熱融着部層(222)内で凝集破壊が起こり、それによって蓋材(2)が容器(3)のフランジ部(31)から分離され、包装体(3)が開封される(
図3参照)。
【実施例】
【0027】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<実施例1>
JIS H4160(2006)で規定されたA8079−Oからなる厚さ20μmのアルミニウム箔の一方の面に、2液硬化型ウレタン樹脂接着剤を厚さ3μmで塗布しておいてから、保護層として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを、そのコロナ処理面がアルミニウム箔と対向するようにドライラミネートした。
次に、上記アルミニウム箔の他方の面に、2液硬化型ウレタン樹脂接着剤を厚さ3μmで塗布しておいてから、易開封性熱融着性樹脂層として厚さ30μmのシーラントフィルムを、そのコロナ面がアルミニウム箔と対向するようにドライラミネートした。シーラントフィルムには、2種2層構造のインフレーションフィルムを用いた。具体的には、インフレーションフィルムは、アルミニウム箔側に位置する第1層が、MFR=2g/10分である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を主成分とする樹脂よりなる厚さ10μmの層(基材部層)となされ、アルミニウム箔とは反対側に位置する第2層が、MFR=3.7g/10分である変性ポリエチレン樹脂(詳細には、主剤となる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)にポリスチレンエラストマーを添加したもの)を主成分としかつ粘着付与剤を添加した樹脂よりなる厚さ20μmの層(熱融着部層)となされたものである。
上記ドライラミネート後、40℃で72時間エージングすることにより、蓋材用の積層シートを得た。
そして、得られた積層シートを、縦90mm、横90mmの略方形にカットすることにより、蓋材を作製した。
次に、ポリプロピレン樹脂製のカップ状容器(フランジ部の外径77mm、内径71mm)のフランジ部上面に、上記蓋材を、易開封性熱融着層がフランジ部と対向するように配置して、両者を熱融着させた。熱融着は、線シール、すなわち、幅1mmのシール部を有する熱板を用い、加熱温度190℃、加圧力90kgf、加熱加圧時間2秒の条件下で行った。
以上の工程により、実施例1の包装体サンプルを作製した。
【0029】
<実施例2>
インフレーションフィルムの第2層(熱融着部層)の樹脂の主成分としてMFR=4g/10分である変性ポリエチレン樹脂を使用した点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例2とした。
【0030】
<実施例3>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の樹脂の主成分としてMFR=1g/10分である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用した点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例3とした。
【0031】
<実施例4>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の厚さを20μmとし、第2層(熱融着部層)の厚さを26μmとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例4とした。
【0032】
<実施例5>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の厚さを4μmとし、第2層(熱融着部層)の厚さを20μmとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例5とした。
【0033】
<実施例6>
インフレーションフィルムの第2層(熱融着部層)の樹脂の主成分である変性ポリエチレン樹脂を、主剤となる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)にポリプロピレンエラストマーを添加したものであってMFR=3.3g/10分であるものとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例6とした。
【0034】
<実施例7>
インフレーションフィルムの第2層(熱融着部層)の樹脂の主成分である変性ポリエチレン樹脂を、主剤となる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)にポリプロピレンエラストマーおよびポリスチレンエラストマーを添加したものであってMFR=3.5g/10分であるものとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例7とした。
【0035】
<実施例8>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の樹脂の主成分をMFR=9g/10分であるポリプロピレン樹脂(PP)とするとともに、第2層(熱融着部層)の樹脂の主成分をMFR=10.5g/10分である変性ポリプロピレン樹脂とした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例8とした。
【0036】
<実施例9>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の厚さを4μmとし、第2層(熱融着部層)の厚さを26μmとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例9とした。
【0037】
<実施例10>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の厚さを20μmとし、第2層(熱融着部層)の厚さを10μmとした点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを実施例10とした。
【0038】
<
参照例>
インフレーションフィルムの第1層(基部層)の樹脂の主成分としてMFR=4.3g/10分である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用するとともに、第2層(熱融着部層)の樹脂の主成分としてMFR=3.7g/10分である変性ポリエチレン樹脂を使用した点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを
参照例とした。
【0039】
<比較例1>
易開封性熱融着性樹脂層(シーラントフィルム)として、1種1層構造のインフレーションフィルム、すなわち、MFR=3.7g/10分である変性ポリエチレン樹脂(具体的には、主剤となる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)にポリスチレンエラストマーを添加したもの)を主成分としかつ粘着付与剤を添加した樹脂よりなる厚さ30μmのインフレーションフィルムを用いた点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを比較例1とした。
【0040】
<比較例2>
インフレーションフィルムの第1層を、第2層と同一の樹脂、すなわち、MFR=3.7g/10分である変性ポリエチレン樹脂(具体的には、主剤となる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)にポリスチレンエラストマーを添加したもの)を主成分としかつ粘着付与剤を添加した樹脂よりなるものとした、つまり、易開封性熱融着層を1種2層構造のインフレーションフィルムで構成した点を除いて、実施例1と同じ要領にて包装体サンプルを作製し、これを比較例2とした。
【0041】
実施例1〜1
0、参照例および比較例1,2の包装体サンプルについて、易開封性熱融着層(インフレーションフィルム)の構成の異同をまとめると、以下の表1の通りとなる。
なお、各サンプルのMFRは、ポリエチレン系樹脂フィルムについては、JIS K7210−1(2014)(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定し、ポリプロピレン系樹脂フィルムについては、JIS K7210−1(2014)(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したものである。
【0042】
【表1】
【0043】
<外観および開封性評価>
実施例1〜1
0、参照例および比較例1,2の包装体サンプルについて、蓋材の外観に熱融着による熱変形等の異常が見られるか否かを目視で確認した。評価は、異常なしを「〇」、シール箇所に若干の変形が見られたものを「△」、シール箇所にシワやデラミネーションが発生したものを「×」とした。
また、実施例1〜1
0、参照例および比較例1,2の包装体サンプルについて、それぞれの蓋材を、剥離力25N、掴み移動速度50mm/分の条件で90°剥離し、その時の剥離面の状態を観察した。評価は、蓋材がインフレーションフィルムの第2層内で凝集剥離していた場合を「〇」、蓋材のシール箇所の一部に層間剥離または界面剥離が見られたものを「△」、蓋材のシール箇所にインフレーションフィルム以外の素材(アルミニウム箔等)が残った場合を「×」とした。
これらの評価結果を、以下の表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2から明らかなように、実施例1〜1
0については、外観および開封性ともに良好な結果が得られたが、比較例1,2の場合、蓋材のシール箇所にシワやデラミネーションが発生し、また、開封後に「膜残り」が見られた。