(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、資材の搬送を容易かつ高い自由度で行うことが可能な、資材搬送装置、資材搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の資材搬送装置は、構造物の構築現場に仮設され、上方に向かって開口したガイド溝を有するガイドレールと、前記ガイド溝内で走行可能なキャスター部材を備え、資材に着脱可能に装着される複数の仮設ブラケットと、を備え、前記キャスター部材は、鉛直軸周りに回転自在に前記仮設ブラケットに設けられた側部ローラと、該側部ローラの内側に設けられ、球状に形成されて前記ガイド溝の底面上で任意の方向に回転自在な底部ローラと、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、仮設ブラケットを資材に装着し、仮設ブラケットのキャスター部材をガイドレールのガイド溝に収めた状態とすると、キャスター部材がガイド溝内でガイドレールの延びる方向に移動可能となる。これにより、資材をガイドレールの延びる方向に沿って搬送することができる。このとき、キャスター部材は、底部ローラがガイド溝の底面上で任意の方向に回転することで、ガイド溝の範囲内で高い自由度で移動する。また、ガイド溝内でキャスター部材が移動する際に、キャスター部材がガイド溝の側面に接触した場合には、側部ローラが回転する。したがって、キャスター部材とガイド溝の側面との間で生じる摩擦抵抗を抑えることができる。
【0007】
本発明の一態様においては、前記側部ローラはベアリングを介して前記仮設ブラケットに設けられ、前記底部ローラは、前記側部ローラが前記ガイド溝の側面に接触したときに、任意の方向に回転自在となるように、前記側部ローラに設けられている。
このような構成によれば、側部ローラがガイド溝の側面に接触したときであっても、側部ローラがベアリングを介して設けられているため側部ローラ自体が回転する。また、側部ローラが回転しても、底部ローラは側部ローラに任意の方向に回転自在となるように設けられているため、常にガイド溝に沿って移動することができる。したがって、側部ローラがガイド溝の側面に接触しても、ガイド溝に沿った移動が可能である。
【0008】
本発明の別の態様においては、本発明の資材搬送装置は、前記ガイドレールは、水平面内で第一の方向に延びるよう、互いに平行に配置され、前記資材に装着された複数の前記仮設ブラケットの前記キャスター部材が前記ガイド溝にそれぞれ収められる複数本の第一ガイドレールと、複数本の前記第一ガイドレールの端部に接続され、前記水平面内で前記第一の方向とは異なる第二の方向に延びる第二ガイドレールと、をさらに備える。
このような構成によれば、資材を、第一ガイドレールに沿った方向と、第二ガイドレールに沿った方向とに搬送することができる。これにより、第一ガイドレール、第二ガイドレールを適宜設置することで、構築現場内で、資材を高い自由度で目的位置まで搬送することができる。
このとき、互いに平行に配置された複数の第一ガイドレールで資材を搬送するときには、資材に設けられた複数の仮設ブラケットのキャスター部材のそれぞれを、複数の第一ガイドレールのそれぞれのガイド溝に沿って移動させる。また、第二ガイドレールで資材を搬送するときには、複数の仮設ブラケットのキャスター部材を、一本の第二ガイドレールのガイド溝に収めて移動させる。
【0009】
本発明の資材搬送方法は、上記したような資材搬送装置を用いた資材搬送方法であって、構造物の構築現場に前記ガイドレールを仮設する工程と、資材に前記仮設ブラケットを取り付ける工程と、前記仮設ブラケットの前記キャスター部材を、前記ガイドレールの前記ガイド溝内に収め、前記資材を前記ガイドレールに沿って目的位置まで搬送する工程と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、資材に装着した仮設ブラケットのキャスター部材をガイドレールのガイド溝に収めた状態で、キャスター部材がガイド溝内でガイドレールの延びる方向に移動することで、資材をガイドレールの延びる方向に沿って搬送することができる。このとき、キャスター部材は、底部ローラがガイド溝の底面上で任意の方向に回転することで、ガイド溝の範囲内で高い自由度で移動する。また、ガイド溝内でキャスター部材が移動する際に、キャスター部材がガイド溝の側面に接触した場合には、側部ローラが回転する。したがって、キャスター部材とガイド溝の側面との間で生じる摩擦抵抗を抑えることができる。
【0010】
本発明の一態様においては、本発明の資材搬送方法は、前記ガイドレールを仮設する工程は、前記構造物の外周端部よりも張り出した位置から前記構造物の内方に向かって延びるよう、前記ガイドレールを仮設する。
このような構成によれば、構造物の外周端部よりも張り出した位置において、仮設ブラケットを装着した資材をクレーンで揚重しながら、仮設ブラケットのキャスター部材をガイドレールのガイド溝に載せることができる。キャスター部材をガイドレールに載せた後は、仮設ブラケットのキャスター部材をガイドレールのガイド溝に沿って移動させることで、資材を構造物の内方に搬送することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、資材の搬送を容易かつ高い自由度で行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明による資材搬送装置、資材搬送方法を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明の実施形態に係る資材搬送装置、資材搬送方法の構成を示す断面図を
図1に示す。
図1の資材搬送装置の構成を示す平面図を
図2に示す。
図1、
図2に示されるように、資材搬送装置10は、ガイドレール20と、仮設ブラケット30と、を備えている。
この資材搬送装置10は、例えば、建築中の構造物1に対し、構造物1の外壁を構成する壁パネル(資材)2を、この壁パネル2の取付位置(目的位置)まで搬送する。ここで、構造物1には、壁パネル2を支持するための支持柱3が予め設置されている。また、構造物1には、壁パネル2の取付位置、すなわち支持柱3よりも、構造物1の外方に向かって張り出す張り出し部1hが形成されているものとする。
各図においては、資材搬送装置10と区別するため、壁パネル2にはハッチングをかけて示されている。
【0015】
ガイドレール20は、第一ガイドレール20Aと、第二ガイドレール20Bと、を備える。
第一ガイドレール20Aは、互いに平行に二本一対で設けられている。これら第一ガイドレール20Aは、水平面内で、構造物1の張り出し部1hの外周端部1sよりも張り出した位置から構造物1の内方に向かう第一の方向に延びるよう、設けられている。第一ガイドレール20Aは、構造物1の外周端部1sよりも外方に張り出した一端部20cが、例えば構造物1の外周側に設けられた仮設足場50の横管51に支持されている。第一ガイドレール20Aの他端部(端部)20dは、構造物1の内方に設けられた壁パネル2の支持柱3に、ブラケット4を介して支持されている。
第一ガイドレール20Aは、他端部20d側の一定長部分20eが、図示しない連結ピンを介して、下方に折り畳み可能となっている。第一ガイドレール20Aは、一定長部分20eを折り畳むと、他端部20dが第二ガイドレール20Bから下方かつ第一ガイドレール20Aの一端部20c側に離間する。
第二ガイドレール20Bは、二本一対の第一ガイドレール20Aの他端部20dに接続され、水平面内で第一ガイドレール20Aと交差する第二の方向に延びるよう設けられている。第二ガイドレール20Bは、支持柱3に溶接等によって固定されたブラケット4上に支持されている。
【0016】
図1の資材搬送装置において、第一ガイドレールと第二ガイドレールとの連結部分の構成を示す平面図を
図3に示す。
図1の資材搬送装置を構成する仮設ブラケットを示す正面図を
図4に示す。
図4の仮設ブラケットを示す側面図を
図5に示す。
図3〜
図5に示されるように、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bは、それぞれ、上方に向かって開口したガイド溝21を有している。ガイド溝21は、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bのそれぞれが延びる方向に連続して形成されている。このガイド溝21は、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bに形成された底面21bと、底面21bの両側部から上方に向かって立ち上がる一対の側面21sと、が一体に形成されている。
また、
図3に示されるように、第二ガイドレール20Bは、第一ガイドレール20Aの他端部20dが接続される部分において、第二ガイドレール20Bのガイド溝21が第一ガイドレール20Aのガイド溝21に連通するよう、側面21sに切り欠き21kが形成されている。
【0017】
図4の仮設ブラケットを資材である壁パネルに取り付けた状態を示す正面図を
図6に示す。
図6に示されるように、仮設ブラケット30は、壁パネル2の幅方向両側にそれぞれ設けられる。
図4、
図5に示されるように、各仮設ブラケット30は、プレート部材31と、キャスター部材32と、を備えている。
プレート部材31は、板状で、壁パネル2に、取付ボルト33によって着脱可能に装着される。プレート部材31は、壁パネル2よりも幅方向外方に向かって突出する突出部31sを有している。突出部31sには、水平面内に位置するベース部36と、ベース部36とプレート部材31とを連結する補強プレート37と、が溶接等により接合されている。
キャスター部材32は、ベース部36に設けられている。キャスター部材32は、底部ローラ34と、ローラ保持部38と、ネジシャフト39と、を備える。
底部ローラ34は、球状であり、その一部が、ローラ保持部38から下方に突出している。ローラ保持部38は、図示しない複数のベアリングボールを介し、底部ローラ34をその中心回りの任意の方向に回転自在に支持している。ローラ保持部38は、上下方向に連続する円柱状をなしている。ネジシャフト39は、ローラ保持部38から上方に向かって延びるように設けられている。ネジシャフト39は、ベース部36に形成された、上下方向に貫通する貫通孔に下方から挿入されている。ベース部36の貫通孔とネジシャフト39との間には、円環状のベアリング40が設けられている。このベアリング40により、ネジシャフト39は、上下方向に延びるその中心軸C回りに回転自在に支持されている。これにより、円柱状のローラ保持部38は、ネジシャフト39とともに、中心軸C回りに回転自在となっている。このように、中心軸C回りに回転自在とされたローラ保持部38により、側部ローラ35が形成されている。
【0018】
上記したような資材搬送装置10においては、壁パネル2を搬送するには、その幅方向両側に仮設ブラケット30を取り付ける。各仮設ブラケット30のキャスター部材32を、ガイドレール20(第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20B)のガイド溝21に収めた状態で、壁パネル2をガイドレール20が連続する方向に移動させると、ガイド溝21内で、底部ローラ34がガイド溝21の底面21b上で回転する。これによって、壁パネル2は、ガイドレール20が連続する方向に容易に搬送される。ここで、
図2に示されるように、壁パネル2を二本一対の第一ガイドレール20Aで搬送するときには、幅方向両側の仮設ブラケット30のキャスター部材32を、二本一対の第一ガイドレール20Aのそれぞれのガイド溝21に収め、壁パネル2を、第一ガイドレール20Aが連続する方向、言い換えると壁パネル2の厚み方向に搬送する。
また、壁パネル2を第二ガイドレール20Bで搬送するときには、壁パネル2の幅方向両側に設けた仮設ブラケット30のキャスター部材32を、一本の第二ガイドレール20Bのガイド溝21に収め、壁パネル2を、第二ガイドレール20Bが連続する方向、言い換えると、壁パネル2の厚み方向に直交する方向に搬送する。
ここで、キャスター部材32は、底部ローラ34がガイド溝21の底面21b上で任意の方向に回転するので、ガイド溝21の幅の範囲内で高い自由度で移動する。また、ガイド溝21内でキャスター部材32が移動する際に、キャスター部材32がガイド溝21の側面21sに接触した場合には、側部ローラ35(ローラ保持部38)が回転する。したがって、キャスター部材32のローラ保持部38とガイド溝21の側面21sとの間で生じる摩擦抵抗が抑えられる。
【0019】
以上のように、キャスター部材32は、鉛直軸C周りに回転自在に仮設ブラケット30に設けられた側部ローラ35(ローラ保持部38)と、側部ローラ35の内側に設けられ、球状に形成されてガイド溝21の底面21b上で任意の方向に回転自在な底部ローラ34と、を備える。
また、側部ローラ35(ローラ保持部38)はベアリング40を介して仮設ブラケット30に設けられ、底部ローラ34は、側部ローラ35がガイド溝21の側面21sに接触したときに、任意の方向に回転自在となるように、側部ローラ35に設けられている。
【0020】
次に、上記したような資材搬送装置10における資材搬送方法について詳細に説明する。
(ガイドレール20を仮設する工程)
資材搬送装置10において、壁パネル2を所定の取付位置まで搬送するには、まず、構造物1の構築現場にガイドレール20を仮設する。これには、二本一対の第一ガイドレール20Aのそれぞれにおいて、一端部20cを仮設足場50の水平管51上に載せ、他端部20dを、支持柱3に取り付けたブラケット4上に載せ、それぞれ図示しないボルト等によって固定する。このとき、第一ガイドレール20Aは、構造物1の外周端部1sよりも張り出した位置から構造物1の内方に向かって延びるよう仮設する。また、第二ガイドレール20Bは、構造物1に対して、壁パネル2を取り付ける壁面に沿って延びるように仮設する。
【0021】
(壁パネル2に仮設ブラケット30を取り付ける工程)
次に、壁パネル2に仮設ブラケット30を取り付ける。これには、壁パネル2の幅方向両側に、仮設ブラケット30のプレート部材31を、取付ボルト33によって固定する。
【0022】
(壁パネル2をガイドレール20に沿って搬送する工程)
次に、壁パネル2をガイドレール20に沿って搬送する。これには、まず、
図1に示されるように、クレーンのワイヤWで、仮設ブラケット30を装着した壁パネル2を揚重し、構造物1の外周端部1sよりも張り出した第一ガイドレール20Aの一端部20cにおいて、仮設ブラケット30のキャスター部材32を二本一対の第一ガイドレール20Aのガイド溝21に収める。
このようにして、壁パネル2を第一ガイドレール20Aに載せた後、仮設ブラケット30のキャスター部材32を第一ガイドレール20Aのガイド溝21に沿って移動させる。このとき、クレーンのワイヤWが構造物1に干渉しない位置にあるときには、クレーンのワイヤWで壁パネル2を持ち上げつつ、壁パネル2を第一ガイドレール20Aに沿って移動させるようにしてもよい。これにより、壁パネル2の全荷重が第一ガイドレール20Aに作用せず、より軽い力で壁パネル2を第一ガイドレール20Aに沿って移動させることができる。クレーンのワイヤWが構造物1に干渉する位置では、クレーンのワイヤWを壁パネル2から取り外し、壁パネル2を第一ガイドレール20Aに沿って移動させる。
壁パネル2に装着された仮設ブラケット30のキャスター部材32が第一ガイドレール20Aの他端部20dに到達すると、キャスター部材32は、第一ガイドレール20Aの他端部20dに接続された第二ガイドレール20Bのガイド溝21に、切り欠き21kを通して入り込む。
壁パネル2の幅方向両側の仮設ブラケット30のキャスター部材32が、第二ガイドレール20Bのガイド溝21に入り込んだら、
図1中に仮想線Lで示したように、第一ガイドレール20Aの他端部20d側の一定長部分20eを下方に折り畳む。これにより、壁パネル2を第二ガイドレール20Bに沿って移動させるときに、第一ガイドレール20Aの一定長部分20eに干渉するのを避ける。
この後、壁パネル2を、第二ガイドレール20Bのガイド溝21に沿って移動させ、この壁パネル2の取付位置まで搬送する。
【0023】
(壁パネル2を取り付ける工程)
図6の壁パネルを構造物に固定した状態を示す正面図を
図7に示す。
図6の壁パネルを構造物に固定した状態を示す側面図を
図8に示す。
壁パネル2が所定の取付位置まで搬送されたら、この壁パネル2を、取り付け対象の支持柱3に取り付ける。これには、
図7、
図8に示されるように、壁パネル2を、支持柱3に取り付けられたブラケット4に、固定金具70を介して固定する。固定金具70は、断面L字状で、壁パネル2に沿う第一面71と、第一面71の上端から水平方向に突出し、ブラケット4にボルト73によって固定される第二面72と、を有している。
ここで、固定金具70の第一面71には、上下方向に一定長を有する長穴71hが形成されている。固定金具70は、壁パネル2に対し、長穴71hに通したボルト74によって固定されている。このとき、固定金具70は、長穴71hの範囲内で上下方向の位置が調整可能となっている。
本実施形態において、固定金具70及びブラケット4は、上下方向に間隔をあけた2個所に設けられている。
また、下側の固定金具70の上方には、高さ位置調整機構75が設けられている。この高さ位置調整機構75は、壁パネル2に固定され、壁パネル2から支持柱3側に向かって水平方向に突出するプレート部76aを有したブラケット76と、高さ調整ボルト77と、を備える。
高さ調整ボルト77は、プレート部76aを上下に貫通する雌ネジ孔(図示無し)にねじ込まれている。高さ調整ボルト77の先端部は、支持柱3に取り付けられたブラケット4の上面に上方から突き当たる。これにより、高さ調整ボルト77の先端部をブラケット4の上面に突き当てた状態で、高さ調整ボルト77を回転させると、壁パネル2が上下方向に変位し、固定金具70の長穴71hの範囲内で、支持柱3に対する高さを調整することができる。
【0024】
(仮設ブラケット30を取り外す工程)
壁パネル2を、所定の取付位置において、固定金具70を介して固定した後は、取付ボルト33を緩め、仮設ブラケット30を壁パネル2から取り外す。
このとき、上記の壁パネル2を取り付ける工程において、高さ調整ボルト77によって、壁パネル2を僅かに上昇させ、仮設ブラケット30のキャスター部材32を、第二ガイドレール20Bのガイド溝21の底面21bから上方に浮き上がらせておいてもよい。すると、仮設ブラケット30に壁パネル2の荷重が作用せず、仮設ブラケット30の取り外しを容易に行うことができる。
これによって、資材搬送装置10によって所定の取付位置まで搬送した壁パネル2の取付作業が完了する。
【0025】
上述したような資材搬送装置10によれば、仮設ブラケット30を壁パネル2に装着し、仮設ブラケット30のキャスター部材32をガイドレール20のガイド溝21を収めた状態とすると、キャスター部材32がガイド溝21内でガイドレール20の延びる方向に移動可能となる。これにより、壁パネル2をガイドレール20の延びる方向に沿って搬送することができる。キャスター部材32は、底部ローラ34がガイド溝21の底面21b上で任意の方向に回転することで、ガイド溝21の幅の範囲内で高い自由度で移動する。また、ガイド溝21内でキャスター部材32が移動する際に、キャスター部材32がガイド溝21の側面21sに接触した場合には、ベアリング40を介して設けられた側部ローラ35(ローラ保持部38)が回転する。したがって、キャスター部材32とガイド溝21の側面21sとの間で生じる摩擦抵抗を抑えることができる。これにより、壁パネル2を、容易かつ高い自由度で搬送することが可能となる。
また、側部ローラ35(ローラ保持部38)がガイド溝21の側面21sに接触したときであっても、側部ローラ35がベアリング40を介して設けられているため側部ローラ35自体が回転する。また、側部ローラ35が回転しても、底部ローラ34は側部ローラ35に任意の方向に回転自在となるように設けられているため、常にガイド溝21に沿って移動することができる。したがって、側部ローラ35がガイド溝21の側面21sに接触しても、ガイド溝21に沿った移動が可能である。
【0026】
また、壁パネル2は、第一ガイドレール20Aに沿った方向と、第二ガイドレール20Bに沿った方向とに搬送することができる。これにより、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bを適宜設置することで、構築現場内で、壁パネル2を、容易かつ高い自由度で搬送することが可能となる。
また、互いに平行に配置された二本一対の第一ガイドレール20Aで壁パネル2を搬送するときには、壁パネル2の幅方向両側に設けられた仮設ブラケット30のキャスター部材32を、二本一対の仮設ブラケット30のガイド溝21で支持する。第二ガイドレール20Bで壁パネル2を搬送するときには、幅方向両側の仮設ブラケット30のキャスター部材32を、一本の第二ガイドレール20Bのガイド溝21で支持する。このように、壁パネル2を、幅方向両側の仮設ブラケット30によって、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bに支持させることで、壁パネル2を安定して搬送することができる。
また、取付位置においては、壁パネル2が第二ガイドレール20Bによって安定的に支持されているので、固定金具70による壁パネル2の取付作業を容易に行うことができる。すなわち、クレーンで壁パネル2を取付位置まで揚重する場合では、クレーンに揚重されて不安定な壁パネル2を作業員が手で支えながら、壁パネル2のブラケット4に対する位置合わせを行わなければならない。これに対し、本実施形態の構成によれば、壁パネル2の取付作業の大幅な効率化を図ることが可能となる。
【0027】
また、構造物1の外周端部1sよりも張り出した位置において、仮設ブラケット30を装着した壁パネル2をクレーンのワイヤWで揚重しながら、仮設ブラケット30のキャスター部材32を第一ガイドレール20Aの一端部20cでガイド溝21に載せるようにした。これにより、キャスター部材32をガイドレール20に載せた後は、仮設ブラケット30のキャスター部材32を第一ガイドレール20Aのガイド溝21に沿って移動させることで、壁パネル2を構造物の内方に搬送することができる。すると、クレーンで壁パネル2を取付位置まで揚重する場合に比較し、壁パネル2を揚重するクレーンの占有時間を大幅に減らすことができる。したがって、壁パネル2の取付作業の効率化を図ることが可能となる。
【0028】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の資材搬送装置、資材搬送方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、互いに平行な二本一対の第一ガイドレール20Aで壁パネル2を搬送する際、その搬送方向を、壁パネル2の厚み方向に一致させるようにしたが、これに限らない。
本発明の実施形態に係る資材搬送装置、資材搬送方法の変形例の構成を示す平面図を
図9に示す。
図9に示されるように、幅方向両側のキャスター部材32の間隔よりも、二本一対の第一ガイドレール20Aの間隔を小さくし、互いに平行な二本一対の第一ガイドレール20Aに対し、壁パネル2が平面視した状態で斜めになるように支持したまま、第一ガイドレール20Aに搬送するようにしてもよい。
この場合、幅方向一方の側のキャスター部材32が、他方の側のキャスター部材32よりも先に、第一ガイドレール20Aから第二ガイドレール20Bに乗り移る。幅方向一方の側のキャスター部材32を、第二ガイドレール20Bのガイド溝21に沿って壁パネル2の幅方向外側に向かって移動させると、壁パネル2は、徐々に第二ガイドレール20Bと平行になる。最終的に、幅方向他方の側のキャスター部材32は、第一ガイドレール20Aから第二ガイドレール20Bに乗り移る。
【0029】
(その他の変形例)
また、上記実施形態においては、底部ローラ34を保持するローラ保持部38が、ベアリング40によって回転自在に保持されることで、側部ローラ35を構成しているが、これに限らない。例えば、ローラ保持部38を、架設ブラケット30のベース部36に回転不能に固定し、ローラ保持部38の外側に、鉛直軸回りで回転自在な円筒状の側部ローラを、ローラ保持部38とは別に設けるようにしてもよい。このような側部ローラは、例えば、ローラ保持部38の外周面に、円環状のベアリングを介して設ければ、鉛直軸回りで回転自在となる。
【0030】
また、上記実施形態においては、壁パネル2を、第一ガイドレール20Aと第二ガイドレール20Bとによって、水平面内で互いに交差する二方向に搬送するようにしたが、これに限らない。例えば、壁パネル2を、二本一対の第一ガイドレール20Aのみによって、壁パネル2の取付位置まで搬送するようにしてもよい。また、壁パネル2を、第二ガイドレール20Bのみによって、壁パネル2の取付位置まで搬送するようにしてもよい。
また、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bに沿って壁パネル2を搬送するときには、施工階に設けた小型のクレーン、ホイスト等を用い、壁パネル2を持ち上げながら搬送してもよい。また、ウインチなどによって、壁パネル2を引っ張りながら、第一ガイドレール20A、第二ガイドレール20Bに沿って搬送してもよい。
加えて、壁パネル2を所定の取付位置まで搬送した後、壁パネル2を第二ガイドレール20Bで支持したまま、本設の固定金具70で支持柱3に設けたブラケット4に固定するようにしたが、壁パネル2の支持柱3に対する具体的な取付構造は、上記した以外の構成としてもよい。
また、壁パネル2を所定の取付位置まで搬送した後、壁パネル2を第二ガイドレール20Bから降ろした後、支持柱3等に固定することも可能である。
さらに、上記したような資材搬送装置10で搬送する資材は、壁パネル2に限らず、柱や梁、床や天井を形成するパネル等、各種の資材であってもよい。資材の大きさや形状等によっては、資材に3以上の仮設ブラケット30を設けるとともに、仮設ブラケット30の数に応じた本数のガイドレールを設けてもよい。また、資材が、各図に示した形状とは異なる形状を備えた壁パネル2であってもよいのは言うまでもない。
また、構造物1の構造については、上記に例示した以外のいかなる構成であってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。