特許第6886892号(P6886892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886892
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ケーブルグランド
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/013 20060101AFI20210603BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20210603BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20210603BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H02G15/013
   F16J15/10 P
   H05K7/00 M
   H02G3/22
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-158630(P2017-158630)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2019-37094(P2019-37094A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】597017443
【氏名又は名称】デンカエレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】前迫 義幸
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−517274(JP,A)
【文献】 特開2012−102792(JP,A)
【文献】 特開2012−175716(JP,A)
【文献】 特開2008−193793(JP,A)
【文献】 特開2006−158172(JP,A)
【文献】 特開2011−147262(JP,A)
【文献】 実開平05−059076(JP,U)
【文献】 特開平10−326978(JP,A)
【文献】 実開平05−018216(JP,U)
【文献】 米国特許第05676339(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/013
F16J 15/10
H02G 3/22
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物の開口に取付けられ、内部に挿入されたケーブルを保持するケーブルグランドであって、
取付対象物の第1面と対向するベースプレートと、
前記ベースプレートの一方の側に設けられ、挿入されたケーブルを保持可能なケーブル保持部と、
前記ベースプレートの他方の側に設けられ、取付対象物の前記第1面とは反対側の第2面と係合可能な複数の係合片を有する本体取付部と、
前記本体取付部において前記ベースプレートと取付対象物との間に装着される円環状のパッキンと、
を備え、
前記本体取付部の前記係合片は、厚さの異なる取付対象物の前記第2面とそれぞれ係合可能な複数の段差部が、前記本体取付部におけるケーブルの貫通方向に沿って階段状に設けられ、
前記パッキンは、前記ベースプレート側の領域よりも取付対象物側の領域の弾性率が低くなるように形成されている、
ケーブルグランド。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブルグランドであって、
複数種類の前記係合片が、前記本体取付部の周方向に沿って複数設けられており、各種類の前記係合片における前記段差部の位置は、前記本体取付部のケーブルの貫通方向でそれぞれ異なることを特徴とする、
ケーブルグランド。
【請求項3】
請求項2に記載のケーブルグランドであって、
複数種類の前記係合片の間には、溝部が設けられていることを特徴とする、
ケーブルグランド。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のケーブルグランドであって、
複数の前記係合片は、前記本体取付部の周方向に沿って複数設けられており、前記本体取付部の中心軸を挟んで対向する一対の前記係合片のうち、一方の前記係合片の前記段差部は、他方の前記係合片の前記段差部よりも小さいことを特徴とする、
ケーブルグランド。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のケーブルグランドであって、
前記パッキンは、取付対象物側の一部に中空構造の弾性部が複数設けられていることを特徴とする、
ケーブルグランド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルグランドに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット、車両、船舶、航空機、工場設備等において、機器(パネル等)、構造物(壁等)のケーブル取出し口には、ケーブルグランドが取付けられている。ケーブルグランドは、ケーブル挿入口からの水、油、塵埃等の侵入を防止すると共に、振動によるケーブルの緩み、引っ張りによるケーブルの位置ずれ等を防止する機能を有する。従来、ケーブルグランドの固定には、グランド本体をケーブル取出し口に装着した後、その反対側に突出したネジ部にロックナットを嵌めて、工具で締め込む方式が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−151176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のケーブルグランドは、ロックナットを締め込んで取付ける構造であるため、グランド本体とロックナットとが供回りしないように、グランド本体を装着した側と反対側(例えば、船舶等の鉄板の反対側)に、それぞれ作業員が必要となっていた。そのため、従来のケーブルグランドは、取付けに時間、労力、人件費等がかかるという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、ワンタッチで取付けることができ且つより高い防水性が得られるケーブルグランドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、取付対象物の開口に取付けられ、内部に挿入されたケーブルを保持するケーブルグランドであって、取付対象物の第1面と対向するベースプレートと、前記ベースプレートの一方の側に設けられ、挿入されたケーブルを保持可能なケーブル保持部と、前記ベースプレートの他方の側に設けられ、取付対象物の前記第1面とは反対側の第2面と係合可能な複数の係合片を有する本体取付部と、前記本体取付部において前記ベースプレートと取付対象物との間に装着される円環状のパッキンと、を備え、前記本体取付部の前記係合片は、厚さの異なる取付対象物の前記第2面とそれぞれ係合可能な複数の段差部が、前記本体取付部におけるケーブルの貫通方向に沿って階段状に設けられ、前記パッキンは、前記ベースプレート側の領域よりも取付対象物側の領域の弾性率が低くなるように形成されているケーブルグランドに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワンタッチで取付けることができ且つより高い防水性が得られるケーブルグランドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のケーブルグランド1の分解斜視図である。
図2】本体取付部13における係合片130の構成を示す部分拡大図である。
図3】グランド本体10をX2側から見たときの図である。
図4】パッキン40の構成を示す断面図である。
図5】パッキン140の構成を示す断面図である。
図6】(A)〜(C)は厚さの異なる取付対象物100にケーブルグランド1を取付けた場合の一例を示す図である。
図7】取付け工具200の一例を示す斜視図である。
図8】(A),(B)は取付け工具200によるケーブルグランド1の取付け方向を示す図である。
図9】ケーブルグランド1の取外し形態を示す図である。
図10】第2実施形態の本体取付部13Aにおける係合片130の構成を示す部分拡大図である。
図11】第3実施形態のケーブルグランド1Bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。また、図面においては、部材の断面を示すハッチングを適宜に省略する。
本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば「平行」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ平行とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のケーブルグランド1の分解斜視図である。なお、本明細書等においては、ケーブルグランド1の中心線Cと平行な方向を、X(X1−X2)方向又はケーブルの貫通方向として説明する。また、ケーブルグランド1の中心線Cは、ケーブルグランド1を構成する各部(後述)においても共通の中心線とする。
【0011】
図1において、取付対象物100は、上述した産業用ロボット、車両、船舶、航空機、工場設備等における機器(パネル等)、構造物(壁等)の一部を概念的に示したものである。なお、取付対象物100は、ケーブルグランド1を取付可能であれば、上記機器、構造物に限定されない。また、第1実施形態のケーブルグランド1の基本的な構成は、後述する第2実施形態のケーブルグランド1Aと共通である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態のケーブルグランド1は、グランド本体10、スリーブ20、キャップ30及びパッキン40を備える。
グランド本体10は、ケーブル(不図示)が貫通可能な略円筒形の部材である。グランド本体10は、後述するベースプレート11、キャップ取付部12及び本体取付部13を備える。
【0013】
本実施形態のグランド本体10において、ベースプレート11、キャップ取付部12及び本体取付部13は、一体に形成されている。また、グランド本体10及びキャップ30(後述)は、例えば、ポリアミド(PA)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂又はこれら樹脂とファイバとの混合物により形成される。
【0014】
ベースプレート11は、パッキン40を介して取付対象物100の取付面100aと当接する部分である。ベースプレート11は、グランド本体10においてケーブルの貫通方向の略中央に設けられている。本実施形態のベースプレート11は、六角形に形成されている。ベースプレート11は、六角形であるため、ベースプレート11をレンチ等の工具で固定することにより、キャップ30を適切なトルクで締め込むことができる。なお、ベースプレート11は、六角形に限らず、四角形、八角形等に形成されていてもよい。
【0015】
キャップ取付部12は、スリーブ20及びキャップ30が取付けられる部分である。キャップ取付部12と、スリーブ20及びキャップ30(後述)とを組み合わせることにより、ケーブルグランド1に挿入されたケーブル(不図示)を保持することができる。キャップ取付部12、スリーブ20及びキャップ30は、本実施形態のケーブル保持部を構成する。
【0016】
キャップ取付部12のX1側の端部には、複数の接触片121が設けられている。これら接触片は、略三角形の断面形状を有し、周方向において互いに一部が重なり合うように配置されている(この形状は、一般にラメラ構造とも呼ばれる)。なお、複数の接触片121の内周面は、キャップ取付部12に設けられたスリーブ20の外周面と当接する。一方、キャップ取付部12のX2側(接触片121が設けられていない部分)には、雄ネジ122が設けられている。雄ネジ122は、キャップ30に設けられた雌ネジ(不図示)と螺合可能なネジ山である。
【0017】
本体取付部13は、取付対象物100(ケーブル取出し口100b)に取付けられる部分である。本体取付部13において、ベースプレート11とX2側の端部との間には、複数の係合片130が周方向に沿って設けられている。係合片130は、ケーブルグランド1が取付対象物100ケーブル取出し口100bに挿入されたときに、取付対象物100の裏面(X2側の面)100cと係合する部分である。係合片130が取付対象物100の裏面100cと係合することにより、ケーブルグランド1のX方向への移動が規制される。本体取付部13における係合片130の構成については、後述する。
【0018】
スリーブ20は、複数の接触片121(キャップ取付部12)の内周側に挿入される円筒形の部材である。スリーブ20の内径は、挿入されるケーブルの外径と同じか、やや大きな径となるように設定されている。スリーブ20は、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム等により形成される。
【0019】
キャップ30は、キャップ取付部12(グランド本体10)に取付けられる部材である。キャップ30には、ケーブル挿入口30aが形成されている。ケーブル挿入口30aは、ケーブルが挿入される穴である。キャップ30は、X2側の内周面に、キャップ取付部12の雄ネジ122と螺合可能な雌ネジ(不図示)が設けられている。キャップ30において、雌ネジが設けられている部分の外周面には、スパナ等の工具が嵌合可能となるように、X方向から見て六角形に形成されている。
【0020】
キャップ30は、X1側(雌ネジが形成されていない部分)の内周面に、キャップ取付部12の接触片121と係合可能な線状の突起(不図示)が設けられている。この突起は、キャップ30のケーブル挿入口30aから放射線状に雌ネジの部分まで設けられている。この突起は、キャップ30の中心線Cを中心として、等間隔で複数箇所(例えば、4箇所)に設けられている。それぞれの突起は、キャップ30が締め込まれた位置において、隣接する接触片121間の隙間と係合する。
【0021】
また、キャップ30において、六角形に形成された部分よりもX1側は、略球面状に形成されている。すなわち、キャップ30のX1側は、ケーブル挿入口30aに向かって、内径が徐々に小さくなるように形成されている。そのため、キャップ30を締め込むと、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルの外周面は、キャップ取付部12に設けられた複数の接触片121により、ほぼ均等な押圧力で保持される。また、キャップ30を締め込むと、スリーブ20全体が内径側に押圧されるため、スリーブ20の内周面とケーブルの外周面との間の隙間が閉じられる。そのため、スリーブ20とケーブルとの間において、より高い防水性が得られる。本実施形態のケーブルグランド1は、例えば、外径が3〜25mm程度のケーブルを保持させるのに有効である。
【0022】
パッキン40は、本体取付部13において、ベースプレート11と取付対象物100との間に装着される円還状の部材である。ベースプレート11と取付対象物100の取付面100aとの間をパッキン40で密閉することにより、より高い防水性が得られる。パッキン40は、例えば、シリコンゴム(SI)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等により形成される。パッキン40の構成については、後述する。
【0023】
次に、本体取付部13に設けられた係合片130の構成について説明する。
図2は、本体取付部13における係合片130の構成を示す部分拡大図である。図3(A),(B)は、グランド本体10をX2側から見たときの図である。
【0024】
図2に示すように、係合片130は、グランド本体10(本体取付部13)において、半径方向の外側に向かって突出する部分である。半径方向の外側とは、グランド本体10の中心線Cから外側に離れる方向である。係合片130のX2側の端部(以下、「固定部分」ともいう)は、グランド本体10の外周面から突出することなく、グランド本体10と一体に形成されている。一方、係合片130のX1側から固定部分までの部分(以下、「可動部分」ともいう)は、グランド本体10の外周面から突出している。
【0025】
係合片130の周囲には、グランド本体10の内周面まで貫通する凹形状の溝部13aが形成されている。すなわち、係合片130は、X2側の端部(固定部分)を除いて、溝部13aによりグランド本体10と分離されている。そのため、係合片130において、可動部分は、グランド本体10の半径方向の内側に向けて弾性変形することができる。
【0026】
図2に示すように、係合片130には、複数の段差部131〜133が階段状に設けられている。段差部131〜133は、取付対象物100の裏面100cと係合可能な面である。段差部131〜133は、パッキン40のX2側の面(以下、「パッキン面」ともいう)40aとの距離Lがそれぞれ異なる(L1〜L3)。各距離は、ケーブルグランド1が取付けられる取付対象物100の厚みに対応して設定される。例えば、距離L1,L2,L3を、それぞれ1.3mm,2.0mm,2.9mmとした場合、ケーブルグランド1は、厚さの異なる3種類(1.6mm,2.3mm,3.2mm)の取付対象物100に取付けることができる。
【0027】
ここで、距離L1,L2,L3は、ケーブルグランド1を取付対象物100に取り付けた状態で、パッキン40の弾性変形量を約20%(0.3mm)とした場合の数値である。すなわち、取付対象物100の厚さが1.6mm、2.3mm及び3.2mmのいずれであっても、ケーブルグランド1を取付対象物100に取り付けたときに、パッキン40は同じ割合で弾性変形する。なお、パッキン40の弾性変形量は、この例に限らず、適宜に設定される値である。また、上述した取付対象物100の厚さは一例であり、この例に限定されない。
【0028】
本実施形態の係合片130は、図3(A)に示すように、本体取付部13の周方向に沿って、等間隔で4箇所(中心線Cを中心に90°毎)に設けられている。また、係合片130は、図3(B)に示すように、本体取付部13の周方向に沿って、等間隔で6箇所(中心線Cを中心に30°毎)に設けられていてもよい。係合片130の機能については、後述する。
【0029】
次に、パッキン40の構成について説明する。
図4は、パッキン40の構成を示す図である。図4(A)は、パッキン40の平面図である。図4(B)は、図4(A)のs1−s1線における断面図である。図4(C)は、図4(A)のs2−s2線における断面図である。
パッキン40は、図4(A)及び(B)に示すように、X1側(ベースプレート11側)となる第1領域41と、X2側(取付対象物100側)となる第2領域42と、を備える。第1領域41と第2領域42は、前述したゴム材料により一体に形成されている。
【0030】
第1領域41は、ゴム材料が均一に形成されている。
第2領域42は、内部が中空構造となる弾性部42a及び42bが交互に複数設けられている。弾性部42a及び42bは、断面が略円形となる円筒形状の穴である。弾性部42a及び42bは、図4(A)に示すように、パッキン40の周方向に沿って、等間隔で16箇所(中心線Cを中心に22.5°毎)に設けられている。なお、弾性部42a及び42bの数及び配置は、本例に限定されない。弾性部42a及び42bの数及び配置は、パッキン40の外径、内径、厚さ等により適宜に選択される。
【0031】
弾性部42aは、図4(A)に示すように、パッキン40の外周面から内周面側に向けて形成されている。弾性部42aは、図4(B)に示すように、パッキン40の内周面まで貫通していない。弾性部42bは、図4(A)に示すように、パッキン40の内周面から外周面側に向けて形成されている。弾性部42bは、図4(C)に示すように、パッキン40の外周面まで貫通していない。
パッキン40の第2領域42は、上述した弾性部42a及び42bを備えるため、第1領域41よりも弾性率が低くなっている。
【0032】
パッキン40の装着された本体取付部13を、取付対象物100のケーブル取出し口100bに挿入し、取付対象物100側に押し付けると、パッキン40の第2領域42(弾性部42a及び42b)は、取付対象物110の取付面100a(図1参照)と密着した状態で弾性変形する。そのため、パッキン40は、取付対象物100の取付面100aに対して、第2領域42の接触面積が広くなった状態で密着する。このように、グランド本体10に設けられたベースプレート11と取付対象物100の取付面100aとの間は、弾性変形したパッキン40により強固に密閉されるため、より高い防水性が得られる。本形態のパッキン40を備えたケーブルグランド1によれば、防水の保護等級において、より高いレベルの防水性を得ることができる。なお、防水の保護等級は、ケーブルグランド1の仕様により異なり、例えば、IP68レベルの防水性を得ることも可能である。
【0033】
次に、パッキン40の他の実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した図4に示す形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜に付して、重複する説明を適宜に省略する。
図5は、パッキン140の構成を示す断面図である。図5(A)は、パッキン140の平面図である。図5(B)は、図5(A)のs3−s3線における断面図である。
【0034】
本形態のパッキン140は、図5(B)に示すように、X1側(ベースプレート11側)となる第1領域141と、X2側(取付対象物100側)となる第2領域142と、を備える。第1領域141と第2領域142は、前述したゴム材料により一体に形成されている。第1領域141は、ゴム材料が均一に形成されている。一方、第2領域142は、内部が中空構造となっている。第2領域142の中空部分には、空気層142aが形成されている。空気層142aは、図5(A)に示すように、パッキン140の周方向に沿って円環状に形成されている。このように、本実施形態のパッキン140は、第2領域142に空気層142aが形成されているため、第1領域141よりも第2領域142の弾性率が低くなっている。
【0035】
本実施形態において、パッキン40の装着された本体取付部13を、取付対象物100のケーブル取出し口100bに挿入し、取付対象物100側に押し付けると、パッキン140の第2領域142(空気層142a)が、取付対象物110の取付面100aと密着した状態で弾性変形する。そのため、パッキン140は、取付対象物100の取付面100aに対して、第2領域142の接触面積が広くなった状態で密着する。このように、本実施形態においても、グランド本体10に設けられたベースプレート11と取付対象物100の取付面100aとの間は、弾性変形したパッキン140により強固に密閉されるため、より高い防水性が得られる。
【0036】
次に、本体取付部13に設けられた係合片130の機能について説明する。
図6(A)〜(C)は、厚さの異なる取付対象物100にケーブルグランド1を取付けた場合の一例を示す図である。図6(A)〜(C)において、係合片130の距離L1,L2,L3は、それぞれ1.3mm,2.0mm,2.9mmとし、取付対象物100の厚さは、同じく1.6mm,2.3mm,3.2mmとする。なお、これらの距離、厚さは一例であり、これに限定されない。また、パッキン40の弾性力により、許容範囲内であれば、僅かな寸法の誤差は吸収される。
【0037】
ケーブルグランド1の本体取付部13側を、取付対象物100のケーブル取出し口100b(図2参照)に挿入し、X2側に強く押圧すると、本体取付部13の係合片130は、ケーブル取出し口100bの内部を通過する際に、ケーブル取出し口100bの内周面との間に生じる押圧力により、半径方向の内側に向けて弾性変形する。本体取付部13の係合片130(いずれかの段差部)は、取付対象物100の取付面100aから反対側となる裏面100cに達した時点で押圧力が開放され、その位置でグランド本体10の外周面よりも外側に復帰する。
【0038】
図6(A)に示すように、取付対象物100の厚さが1.6mmの場合、係合片130の段差部131(距離L1)は、取付対象物100の裏面100cを超えた時点で押圧力が開放され、この位置でグランド本体10の外周面よりも外側に復帰して、取付対象物100の裏面100cと係合する。なお、段差部131が取付対象物100の裏面100cを超える前に、段差部132,133も取付対象物100の裏面100cを超えるが、この時点では、ケーブルグランド1が更にX2側に押し込まれているため、段差部132,133は、取付対象物100の裏面100cと係合することはない。なお、図6(A)では、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルCAを想像線(二点鎖線)で示す。
【0039】
図6(B)に示すように、取付対象物100の厚さが2.3mmの場合、係合片130の段差部132(距離L2)は、取付対象物100の裏面100cを超えた時点で押圧力が開放され、この位置でグランド本体10の外周面よりも外側に復帰して、取付対象物100の裏面100cと係合する。なお、段差部132が取付対象物100の裏面100cを超える前に、段差部133も取付対象物100の裏面100cを超えるが、この時点では、ケーブルグランド1が更にX2側に押し込まれているため、段差部133は、取付対象物100の裏面100cと係合することはない。なお、取付対象物100の厚さが2.3mmの場合、段差部132が取付対象物100の裏面100cを超えた時点で、ケーブルグランド1を更にX2側に押し込むことはできない。そのため、ケーブルグランド1は、段差部132において、取付対象物100の裏面100cと係合する。
【0040】
図6(C)に示すように、取付対象物100の厚さが3.2mmの場合、係合片130の段差部133(距離L3)は、取付対象物100の裏面100cを超えた時点で押圧力が開放され、この位置でグランド本体10の外周面よりも外側に復帰して、取付対象物100の裏面100cと係合する。なお、取付対象物100の厚さが3.2mmの場合、段差部133が取付対象物100の裏面100cを超えた時点で、ケーブルグランド1を更にX2側に押し込むことはできない。そのため、ケーブルグランド1は、段差部133において、取付対象物100の裏面100cと係合する。
【0041】
上述した図6(A)〜(C)において、本体取付部13の係合片130を、取付対象物100の裏面100cと係合させると、ケーブルグランド1(ベースプレート11)と取付対象物100の取付面100aとの間は、弾性変形したパッキン40により強固に密閉されるため、より高い防水性を得ることができる。
【0042】
また、ケーブルグランド1を取付対象物100に取付けた後、ケーブルCA(図6(A)参照)をキャップ30のケーブル挿入口30a(図1参照)から挿入し、所定の長さ分だけ反対側に送り込んだ後、キャップ30をキャップ取付部12(グランド本体10)の雄ネジ122に被せて、キャップ30のX2側の内周面に形成された雌ネジと螺合させる。そして、キャップ30を工具等により時計回りに締め込むことにより、キャップ30がX2側にねじ込まれ、キャップ30のX2側の内周面に形成された雌ネジ(不図示)と、キャップ取付部12(グランド本体10)の雄ネジ122とが締結される。
【0043】
また、キャップ30を締め込むと、キャップ30のX1側に略球面状に形成された部分の内周面が、キャップ取付部12のX1側に設けられた複数の接触片121(図1参照)と当接して、複数の接触片121を半径方向の内側に向けて押圧する。この押圧により、複数の接触片121は、半径方向の内側に向けて弾性変形する。複数の接触片121が半径方向の内側に向けて弾性変形すると、キャップ取付部12の内周面に設けられたスリーブ20は、半径方向の内側に向けて均等に押圧される。これにより、スリーブ20に挿入されたケーブルの外周面とスリーブ20の内周面とが強固に密着するため、ケーブルグランド1の内部においてケーブルが固定される。ケーブルが固定されることにより、キャップ30のケーブル挿入口30aからの水、油、塵埃等の侵入が防止されると共に、振動によるケーブルの緩み、引っ張りによるケーブルの位置ずれ等が防止される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のケーブルグランド1は、取付対象物100にワンタッチで取付けることができる。また、ケーブルグランド1を取付対象物100に取付けると、ケーブルグランド1(ベースプレート11)と取付対象物100の取付面100aとの間は、弾性変形したパッキン40により強固に密閉される。そのため、取付け後に、更にロックナットによる締め込みを行うことなしに、より高い防水性を得ることができる。
【0045】
本実施形態のケーブルグランド1は、厚さの異なる複数(本例では3種類)の取付対象物100に取付けることができる。これによれば、取付対象物100の厚みに適合するように、複数種のケーブルグランドを準備する必要がないので、部品点数を削減することができる。また、ケーブルグランドを製造する金型の数を削減できるので、コストの低減が可能になると共に、生産性をより向上させることができる。
【0046】
また、従来は、防水性を高めるために、取付対象物100のケーブル取出し口100bに雌ネジを形成すると共に、ケーブルグランドに雄ネジを形成し、この雌ネジと雄ネジとを螺合させていた。しかし、本実施形態のケーブルグランド1は、取付対象物100及びグランド本体10のいずれにもネジ山を形成しなくても、より高い防水性が得られるため、構造を簡素化できると共に、作業性を向上させることができる。また、本実施形態のケーブルグランド1は、ケーブル取出し口100bに雌ネジの形成されている既存の取付対象物100にも取付けることができるので、より多くの場所、用途に使用することができる。
【0047】
次に、ケーブルグランド1の取付け、取外しについて説明する。
図7は、取付け工具200の一例を示す斜視図である。図8(A),(B)は、取付け工具200によるケーブルグランド1の取付け方法を示す図である。
【0048】
図7に示すように、取付け工具200は、押圧部210と、把持部220と、を備える。押圧部210は、ケーブルグランド1の頭部(キャップ30)に当接された状態で、ハンマー等の工具により叩かれる部分である。本実施形態の押圧部210には、ケーブル穴211,213及び215(以下、単に「ケーブル穴」ともいう)が設けられている。各ケーブル穴には、それぞれ径の異なるケーブルが嵌め込まれる。ケーブル穴211は、最少径のケーブルが嵌め込まれる穴である。ケーブル穴213は、中間径のケーブルが嵌め込まれる穴である。ケーブル穴215は、最大径のケーブルが嵌め込まれる穴である。なお、図7では、押圧部210に3種類のケーブル穴を設けた例を示しているが、ケーブル穴の大きさ、個数等は、図7の例に限らず、適宜に設定される。
【0049】
各ケーブル穴には、溝部212,214及び216(以下、単に「溝部」ともいう)が設けられている。溝部は、押圧部210の側面からケーブル穴まで貫通している。後述するように、押圧部210は、硬質ゴム等により形成されているため、溝部の間隔を広げることにより、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルに取付け工具200を嵌め込むことができる。また、ケーブル穴にケーブルが嵌め込まれた状態で、溝部の間隔を広げることにより、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルから取付け工具200を取り外すことができる。
【0050】
把持部220は、取付け工具200の握り部分である。作業者は、把持部220を手で握ることにより、取付け工具200を支えることができる。押圧部210及び把持部220は、硬質ゴム等により一体に形成されている。取付け工具200の厚さとしては、一例として、5〜7mm程度が挙げられる。
【0051】
ケーブルグランド1を取付対象物100に取付ける場合、図8(A)に示すように、ケーブルグランド1の本体取付部13を、取付対象物100のケーブル取出し口100bに挿入する。これにより、ケーブルグランド1は、ケーブル取出し口100bに仮止めされた状態となる。この状態で、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルCAに、取付け工具200(例えば、ケーブル穴215)を嵌め込む。そして、取付け工具200の押圧部210を、ハンマー(不図示)でX2方向に叩く(押圧する)。これにより、図8(B)に示すように、取付対象物100に打ち込まれた本体取付部13の係合片130が、取付対象物100の裏面100cと係合するため、ケーブルグランド1を取付対象物100に取付けることができる。この後、取付け工具200の溝部216の間隔を広げることにより、ケーブルグランド1に挿入されたケーブルCAから取付け工具200を取り外すことができる。
【0052】
なお、図8では、ケーブルCAが挿入されたケーブルグランド1を取付対象物100に取り付ける例について説明したが、ケーブルCAが挿入されていない(挿入前)ケーブルグランド1を取付対象物100に取り付ける場合は、取付け工具200の押圧部210をケーブルグランド1のキャップ30に当接させた状態で、ハンマーによりX2方向に叩けばよい。
【0053】
次に、ケーブルグランド1を取付対象物100から取外す場合について説明する。図9(A),(B)は、取外し工具300によるケーブルグランド1の取外し方法を示す図である。
ケーブルグランド1を取付対象物100から取外す場合、図9(A)に示すような取外し工具300を用いることで、より簡単且つ確実にケーブルグランド1を取り外すことができる。取外し工具300は、略円筒形の部材であり、一方の端部に環状の押圧板301が設けられている。押圧板301は、ハンマー等の工具により叩かれる部分である。押圧板301の中央部には、開口301aが設けられている。開口301aは、後述するように、ドライバー等の工具が挿入される部分である。取外し工具300の他方の端部は、開放されている。取外し工具300は、押圧板301を含め、全体が金属、樹脂等により一体に形成されている。
【0054】
ケーブルグランド1を取付対象物100から取外す場合、図9(A)に示すように、取付対象物100に取付けられているケーブルグランド1の本体取付部13に取外し工具300を被せる。これにより、取外し工具300は、本体取付部13に仮止めされた状態となる。この状態で、押圧板301をハンマー(不図示)でX1方向に叩いて、取外し工具300をX1側に移動させる。取外し工具300のX1側の端部が、取付対象物100の裏面100cまで達すると、図9(B)に示すように、ケーブルグランド1の本体取付部13に設けられた係合片130は、半径方向の内側に向けて弾性変形する。これにより、係合片130と取付対象物100の裏面100cとの係合が解除され、ケーブルグランド1は、X1方向に移動可能となる。そして、取外し工具300の開口301a(押圧板301)からドライバー等の工具(不図示)を挿入して、ケーブルグランド1の本体取付部13をX1側に押し込むことにより、ケーブルグランド1をX1側から押し出すことができる。この場合、取付対象物100の取付面100a側に、ケーブルグランド1を引き抜くための作業者を配置する必要がないため、ケーブルグランド1の取外し作業を一人の作業者で行うことができる。なお、図9(B)に示す状態において、工具を用いることなしに、取付対象物100の取付面100a側からケーブルグランド1をX1方向に引き抜いてもよい。
なお、図9では、取付対象物100からケーブルCAが挿入されていないケーブルグランド1を取外す例について説明したが、同様の手順により、取付対象物100からケーブルCAが挿入されたケーブルグランド1を取外すこともできる。
【0055】
取外し工具300の内径L4、ケーブルグランド1の本体取付部13の外径L5同じか、僅かに大きな径とすることが好ましい。図9(A)では、L4=L5として図示している。このような構成とすることにより、取外し工具300をハンマーで叩いた際に、ケーブルグランド1の係合片130(本体取付部13)を、半径方向の内側に向けてより確実に弾性変形させることができる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態のケーブルグランド1Aは、係合片が2列に設けられている点が第1実施形態と相違する。第2実施形態のケーブルグランド1Aにおいて、その他の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、図10においては、主に本体取付部13A及びその周辺のみを図示し、ケーブルグランド1Aの全体の図示を省略する。また、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
図10は、第2実施形態の本体取付部13Aにおける係合片130の構成を示す部分拡大図である。
図10に示すように、第2実施形態のケーブルグランド1Aは、2種類の係合片130が、本体取付部13Aの周方向に沿って2列設けられている。ここでは、一方の係合片を「130A」、他方の係合片を「130B」として説明する。係合片130Aと係合片130Bとの間には、溝部13bが設けられている。そのため、係合片130A及び係合片130Bは、それぞれ独立して弾性変形することができる。
【0058】
係合片130Aには、複数の段差部131〜133が階段状に設けられている。段差部131〜133は、図2(第1実施形態)に示す段差部131〜133と同じであり、パッキン面40aとの距離が、それぞれL1〜L3となるように形成されている。
【0059】
係合片130Bには、複数の段差部137〜139が階段状に設けられている。段差部137〜139は、パッキン面40aとの距離Lがそれぞれ異なる(L7〜L9)。各距離は、ケーブルグランド1が取付けられる取付対象物100の厚みに対応して設定される。例えば、距離L7,L8,L9を、それぞれ4.2mm,5.7mm,8.7mmとした場合、ケーブルグランド1Aは、厚みの異なる3種類(4.5mm,6.0mm,9.0mm)の取付対象物100に取付けることができる。すなわち、上述した2種類の係合片130A及び130Bにおいて、各段差部のパッキン面40aからの位置は、本体取付部13におけるケーブルの貫通方向でそれぞれ異なる。
【0060】
このように、第2実施形態のケーブルグランド1Aは、係合片130Aにおいて、厚さ1.6mm,2.3mm,3.2mmの取付対象物100に取付けることができ、係合片130Bにおいて、厚さ4.5mm,6.0mm,9.0mmの取付対象物100に取付けることができる。したがって、第2実施形態のケーブルグランド1Aは、厚みの異なる6種類の取付対象物100に取付けることができる。
【0061】
なお、一つの係合片130に6種類の段差部を設けた場合、係合片130の弾性変形量が大きくなり、係合片130の負荷が増大する。そのため、係合片130の破損を招くこともあり得る。また、係合片130の弾性変形量が大きくなるため、弾性変形した係合片130がケーブルと干渉しないように、挿入されるケーブルの外径が制約されることもあり得る。しかし、第2実施形態のケーブルグランド1Aは、係合片が2列(130A,130B)、に設けられているため、係合片130A,130Bの負荷が増大することがなく、係合片130の破損を抑制できる。また、本実施形態によれば、係合片130A,130Bの弾性変形量が大きくならないため、挿入されるケーブルの外径の制約を少なくできる。
【0062】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態のケーブルグランド1Bを示す図である。図11は、ケーブルグランド1Bを、X2側から見たときの図である。
第3実施形態のケーブルグランド1Bは、大きさの異なる2種類の係合片を備えている点が第1実施形態と相違する。第3実施形態のケーブルグランド1Bにおいて、その他の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、図11においては、主に本体取付部13B及びその周辺のみを図示し、ケーブルグランド1Bの全体の図示を省略する。また、第3実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
図11に示すように、第3実施形態のケーブルグランド1Bは、本体取付部13Bの周方向に沿って、係合片130及び130Cが6箇所に設けられている。このうち、係合片130は、第1実施形態の係合片130と同じである。係合片130Cは、係合片130よりも段差部(符号略)の高さが低くなるように形成されている。係合片130Cにおいて、パッキン面40aからの距離(図2参照)は、係合片130と同じである。係合片130及び130Cは、本体取付部13の周方向に沿って、等間隔で6箇所(中心線Cを中心に60°毎)に交互に設けられている。
【0064】
上述したように、第3実施形態のケーブルグランド1Bは、大きさの異なる2種類の係合片が本体取付部13Bの周方向に沿って複数設けられている。そのため、ケーブルグランド1Bを取付対象物100に取り付けた際に、係合片130よりも高さが低い係合片130Cは、係合片130よりも少ない押圧力で取付対象物100に押し込むことができる。したがって、第1実施形態の係合片130を6箇所に設けた構成と比べて、より少ない押圧力でケーブルグランド1Bを取付対象物100に取り付けることができる。また、係合片130及び130Cは、本体取付部13の周方向に沿って、等間隔に交互に設けられているため、本体取付部13の周方向における固定力を均等化できる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施例に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0066】
(変形形態)
ベースプレート11(グランド本体10)のX2側の面に環状の溝を形成し、パッキン40(140)の第1領域41側を、その溝に埋め込む構成としてもよい。このような構成とすることにより、パッキン40(140)の位置ずれを抑制できる。
【0067】
図4に示すパッキン40において、弾性部42a及び42bの断面は、略円形に限らず、多角形(例えば、八角形等)でもよいし、楕円形等であってもよい。また、弾性部42a及び42bの配置は、図4に示す例に限定されない。例えば、パッキン40の厚さ方向(X方向)において、弾性部42a及び42bの位置は、交互に異なっていてもよいし、パッキン40の周方向において、2列に設けられていてもよい。
【0068】
また、図5に示すパッキン140において、第1領域141及び第2領域142を、それぞれ別の材料で形成してもよい。その場合、第1領域141及び第2領域142を接着剤等で貼り合わせることにより、一つのパッキン140として構成することができる。また、パッキン140の第2領域142は、中空構造に限らず、例えば、第1領域41よりも弾性率の低い材料で構成してもよい。
【0069】
複数の係合片130(図3参照)は、グランド本体10の周方向に沿って、等間隔で少なくとも2箇所に設けられていればよい。また、複数の係合片130は、グランド本体10の周方向に沿って、好ましくは、等間隔で3箇所に設けられていればよい。
また、第2実施形態では、係合片130を2列設ける例について説明したが、これに限らず、3列設けてもよい。更に、1つの係合片130における段差部は、少なくとも2つあればよく、4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,1A:ケーブルグランド、10:グランド本体、11:ベースプレート、12:キャップ取付部、13:本体取付部、13a,13b:溝部、20:スリーブ、30:キャップ、40,140:パッキン、41,141:第1領域、42,142:第2領域、130,130A,130B,130C:係合片、131〜133,137〜139:段差部、200:取付け工具、300:取外し工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11