特許第6886937号(P6886937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886937
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】車両用電子キー
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   E05B19/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-62764(P2018-62764)
(22)【出願日】2018年3月28日
(65)【公開番号】特開2019-173383(P2019-173383A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森脇 秀之
【審査官】 加々美 一恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−098506(JP,A)
【文献】 特開2007−255013(JP,A)
【文献】 特開2000−248787(JP,A)
【文献】 実開平03−129673(JP,U)
【文献】 特開平02−074775(JP,A)
【文献】 特開平02−008470(JP,A)
【文献】 米国特許第05311757(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00−19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が収納されるケースを有する車両用電子キーであって、
上記ケースの本体部に固定され、キー保持部材を挿通可能な貫通孔が形成されたベース部材と、
上記ベース部材の貫通孔に連通する貫通孔を有し、上記ベース部材の貫通孔の内周部の少なくとも一部が露出するように上記ベース部材を覆う端部部材と、
を有し、
上記ベース部材は、上記端部部材を構成する樹脂以上の強度を有する樹脂から構成されるとともに、
上記ベース部材、および上記端部部材の少なくとも一方は、交換可能に構成されていることを特徴とする車両用電子キー。
【請求項2】
請求項1の車両用電子キーであって、
上記端部部材は、上記端部部材の貫通孔に垂直な方向から上記貫通孔に連通し、上記ケースの本体部側に開口する溝部が形成され、
上記ベース部材は、上記ケースの本体部側から上記端部部材の上記溝部に挿入されていることを特徴とする車両用電子キー。
【請求項3】
請求項2の車両用電子キーであって、
上記ベース部材と上記端部部材との当接面のうち、上記ベース部材を上記端部部材に挿入する方向に垂直な方向に互いに当接する当接面の少なくとも一方に、凸状部が形成されていることを特徴とする車両用電子キー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項の車両用電子キーであって、
上記ベース部材を構成する樹脂は、強化繊維を含む樹脂であることを特徴とする車両用電子キー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか1項の車両用電子キーであって、
上記ベース部材はフランジ部を有し、上記フランジ部が上記端部部材に固定されていることを特徴とする車両用電子キー。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項の車両用電子キーであって、
上記ベース部材を上記端部部材に挿入する方向の軸に対して非対称な部分を有し、上記ベース部材が、上記端部部材に挿入される際の上記軸周りの回転位置が1つに定まることを特徴とする車両用電子キー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの解錠等を行う車両用電子キーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの解錠等を行う車両用電子キーとして、キーホルダ等を取り付ける貫通孔が形成された樹脂製のケース内にIDコード発生回路が収納されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−59367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように樹脂製のケースに形成された貫通孔にキーホルダ等を取り付けると、貫通孔の内面や周囲などに傷がついて見栄えが悪くなったりするばかりでなく、キーホルダ等から加わる力によって貫通孔が破断したりすることがある。特に、厚さ方向の寸法を厚くしつつ成形時の精度を高めるなどのために内部に空洞を形成する場合、強度や剛性が低くなりがちである。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、貫通孔に取り付けられたキーホルダ等によって貫通孔の内面が傷ついたり貫通孔が破断したりしにくいようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
電子回路が収納されるケースを有する車両用電子キーであって、
上記ケースの本体部に固定され、キー保持部材を挿通可能な貫通孔が形成されたベース部材と、
上記ベース部材の貫通孔に連通する貫通孔を有し、上記ベース部材の貫通孔の内周部の少なくとも一部が露出するように上記ベース部材を覆う端部部材と、
を有し、
上記ベース部材は、上記端部部材を構成する樹脂以上の強度を有する樹脂から構成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、ケース端部の強度や剛性を高めたり、端部部材の傷付きを防止したり低減したりすることが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貫通孔に取り付けられたキーホルダ等によって貫通孔の内面が傷ついたり貫通孔が破断したりしにくいようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用電子キーの全体構成を示す斜視図である。
図2】車両用電子キーの端部付近の詳細な構成を示す分解斜視図である。
図3】車両用電子キーの端部付近の詳細な構成を示す分解斜視図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、図1に示すようにケース本体部110とケース端部120とを有する車両用電子キー100の例を説明する。
【0011】
ケース本体部110は、ケース本体下部111とケース本体上部112とが重ね合わされて構成されている。ケース本体部110の内部には、例えば車両のドアの解錠やエンジンの始動などをリモートコントロールするための電波を発する図示しない電子回路が収容されている。ケース端部120は、上記ケース本体部110の端部に設けられ、キーホルダやキーリング等のキー保持部材が取り付けられる貫通孔121a、および貫通孔122bが形成されている。
【0012】
上記ケース端部120は、より詳しくは、図2図4に示すように、端部部材121と、ベース部材122とを有している。
【0013】
端部部材121には、上記貫通孔121aに垂直な方向、すなわちケース本体部110側から上記貫通孔121aに連通し、上記ケース本体部110側に開口する溝部121bが形成されている。溝部121bの周囲には、後述するベース部材122のフランジ部122cが嵌まり込むフランジ受部121cが設けられている。
【0014】
一方、ベース部材122は、上記端部部材121の溝部121bにケース本体部110側から挿入される挿入部122aと、上記端部部材121のフランジ受部121cに嵌まり込むフランジ部122cとを有している。挿入部122aには、端部部材121の貫通孔121aに連通する貫通孔122bが形成されている。より詳しくは、例えば図4に示すように、貫通孔121aと貫通孔122bとによってケース端部120の貫通孔全体が形成されるようになっている。すなわち、端部部材121は、ベース部材122の貫通孔122bに連通する貫通孔121aを有し、ベース部材122の貫通孔122bの内周部の少なくとも一部が露出するようにベース部材122を覆うようになっている。また、貫通孔全体の少なくとも一部に、内周部材としてのベース部材122が設けられている。
【0015】
上記端部部材121は、例えば比較的安価で成型しやすいABS樹脂を用いて形成されている。一方、ベース部材122は、端部部材121以上の強度を有する樹脂、多くの場合には端部部材121以上の剛性も有する樹脂を用いて構成されている。また、さらに端部部材121よりも硬質の樹脂を用いて構成されるようにしてもよい。具体的には、例えばガラス繊維入りのPBT樹脂などの強化樹脂を用いて形成されている。すなわち、貫通孔全体の内周部の少なくとも一部に、端部部材121を形成する樹脂以上などの硬質の樹脂や高強度などの樹脂から成るベース部材122が設けられている。
【0016】
ベース部材122の上記フランジ部122cの周囲、すなわち端部部材121とベース部材122との当接面のうち、上記ベース部材122を上記端部部材121に挿入する方向に垂直な方向に互いに当接する当接面には、必須ではないが複数の凸状部122dが形成され、端部部材121のフランジ受部121cに嵌まり込んだときにがたつきを抑制し、または小さく抑えることができるようになっている。なお、上記のような凸部は端部部材121側に設けられてもよい。フランジ部122cにはネジ123が挿通されるネジ穴122eが形成され、上記ネジ123が端部部材121に形成された雌ネジ121dに螺合することによって、端部部材121がベース部材122に固定されるようになっている。なお、上記固定は接着剤によって行われるなどしてもよい。上記ベース部材122には、また、フランジ部122cに対して挿入部122aと反対側に係止部122fが形成され、後述するようにベース部材122をケース本体部110に固定し得るようになっている。上記係止部122fの形状は、特に限定されないが、例えば図4に示すように断面T字形状に形成されている。なお、端部部材121に同様の係止部等が形成されて、端部部材121が直接ケース本体部110に固定し得るようにされてもよい。
【0017】
ケース本体下部111およびケース本体上部112は、それぞれ、底壁111a・112aおよび側壁111b・112bを有し、内部に電子回路が収容される空間が形成されるようになっている。側壁111b・112bにおける端部側部分には、凹部111c・112cが形成され、ベース部材122の係止部122fが係合することにより、ベース部材122および端部部材121がケース本体部110に固定されるようになっている。
【0018】
ここで、端部部材121やベース部材122は、車両用電子キー100の長手方向の軸に対して線対称な形状を有していれば、上記軸に対して180度回転させても互いに、またはケース本体部110に組み付け可能にできる。一方、非対称な部分を設けることによって、回転位置を一意に定めることができる。
【0019】
上記のように、貫通孔121aの内周部よりも貫通孔122bの内周部の方が突出した部分を有するように設定されることによって、キーホルダ等との接触が主に貫通孔122bの内周部によって行われる。それゆえ、端部部材121よりも硬質の樹脂や、端部部材121以上の強度や硬度を有する樹脂でベース部材122を形成することによって、端部部材121の傷付きを防止したり低減したりすることが容易にできる。また、キーホルダ等から作用する力が主に貫通孔122bの内周部によって受けられ、ケース端部120が破損しにくいようにすることも容易にできる。ここで、端部部材121を構成するとベース部材122を構成する樹脂との強度が同じ場合でも、端部部材121の内部(溝部121b)が空洞の状態にされるよりも全体の強度等を高められることになる。それゆえ、例えば端部部材121の肉厚を薄く設定して成形時の形状精度を高めつつ、強度等を高めることも容易になる。しかも、ベース部材122として塗装が困難な樹脂を用いる場合でも、端部部材121として塗装が容易な樹脂を用いることによって外観の自由度を高めることが容易にできる。なお、貫通孔122bの内周部は、必ずしも、図4に示したように貫通孔121aの内周部よりも突出させるのに限らず、面一や貫通孔121aの内周部の方が突出するように設定される場合でも、各部の撓み等に応じて実際上、キーホルダ等から作用する力が主に貫通孔122bの内周部によって受けられるようにしてケース端部120が破損しにくいようにしてもよい。
【0020】
(その他の事項)
上記のように端部部材121とベース部材122との2つの部材を組み合わせて用いる場合には、例えば一方が損傷した場合などに一方だけ交換可能にすることができる。
【0021】
また、強度や硬度をある程度確保しつつ、金属製の強度部材を用いる場合に比べて軽量化や形状の自由度向上を図ることができる。
【0022】
一般に、金属プレートにプレス加工によって貫通孔を形成する場合には例えば2.6mm以上の金属プレートを用いることは困難である一方、端部部材121に形成される溝部121bの幅を2.6mm以下にすることは金型を形成することが困難である。これに対して、上記のように強度や硬度が異ならせた樹脂製の端部部材121およびベース部材122を用いることによって、貫通孔を形成することが容易で、かつ、ベース部材122の挿入溝を形成することも容易にすることができる。
【符号の説明】
【0023】
100 車両用電子キー
110 ケース本体部
111 ケース本体下部
111a・112a 底壁
111b・112b 側壁
111c・112c 凹部
112 ケース本体上部
120 ケース端部
121 端部部材
121a 貫通孔
121b 溝部
121c フランジ受部
121d 雌ネジ
121e 係止部
122 ベース部材
122a 挿入部
122b 貫通孔
122c フランジ部
122d 凸状部
122e ネジ穴
122f 係止部
123 ネジ
図1
図2
図3
図4