(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定部は、前方又は後方のうち、一方において第1の所定距離内に他の車両が存在せず、他方において第2の所定距離内に他の車両が存在する所定の車両を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報生成装置。
前記特定部は、前方及び後方の双方において、前記第1の所定距離内に他の車両が存在しない車両を、前記所定の車両として特定しないことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報生成装置。
前記特定部は、車両が停止する場合に、第3の所定距離以上離れた地点から停止位置まで、所定速度以下で走行した車両を、前記所定の車両として特定しないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、複数の運転者の走行履歴の全てを用いてドライバーモデルを生成するため、大量の走行履歴を処理する必要が生じ、ドライバーモデルの生成に長い時間や高いコストを要してしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、特定のドライバーの走行速度データに着目して、安全速度情報を生成しているところ、当該安全速度情報が当該特定のドライバーの属性(例えば、年齢など)に依存してしまう。そのため、特許文献2に記載の技術では、ドライバーの属性ごとに互いに異なる複数の安全速度情報を生成する必要が生じ、汎用性の高い走行モデルを生成することができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題に鑑み、処理する情報量を減らしつつ、汎用性の高い走行モデルを生成可能な情報生成装置、情報生成方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における情報生成装置は、複数の車両の各々から、走行軌跡を示すプローブ情報を受信する受信部と、前方又は後方のいずれか一方において第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する特定部と、受信した当該プローブ情報のうち、当該所定の車両のプローブ情報を抽出する抽出部と、当該所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該特定部は、前方又は後方のうち、一方において第1の所定距離内に他の車両が存在せず、他方において第2の所定距離内に他の車両が存在する所定の車両を特定することを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該特定部は、複数の区間ごとに、当該所定の車両を特定し、当該抽出部は、当該複数の区間ごとに、当該所定の車両のプローブ情報を抽出することを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、車両が走行した道路の渋滞情報を取得する取得部をさらに備え、当該特定部は、当該車両が走行した道路のうち当該渋滞情報が存在する区間において、当該車両を当該所定の車両として特定しないことを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該複数の車両の各々は、前方又は後方を走行する他の車両を検出可能な検出装置を備え、当該特定部は、当該検出装置による検出結果と、受信した当該プローブ情報とに基づいて、当該所定の車両を特定することを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該複数の車両の各々は、車両の前方の停止線又は横断歩道を検出可能な検出装置を備え、当該特定部は、交差点において停止した場合に当該検出装置が当該停止線又は横断歩道を検出した車両を、当該所定の車両として特定することを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該複数の車両の各々は、車両の前方の障害物を検出可能な検出装置を備え、当該特定部は、当該検出装置によって前方に障害物が検出された車両を、当該所定の車両として特定しないことを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該特定部は、当該複数の車両のうち、交差点から所定の範囲内において加速した車両を、当該所定の車両として特定しないことを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該特定部は、前方及び後方の双方において、当該第1の所定距離内に他の車両が存在しない車両を、当該所定の車両として特定しないことを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態における情報生成装置において、当該特定部は、車両が停止する場合に、第3の所定距離以上離れた地点から停止位置まで、所定速度以下で走行した車両を、当該所定の車両として特定しないことを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態における情報生成方法は、プローブ情報を受信する受信ステップと、前方又は後方のいずれか一方において、第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する特定ステップと、受信した当該プローブ情報のうち、当該所定の車両のプローブ情報を抽出する抽出ステップと、当該所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の一実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、プローブ情報を受信する受信機能と、前方又は後方のいずれか一方において、第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する特定機能と、受信した当該プローブ情報のうち、当該所定の車両のプローブ情報を抽出する抽出機能と、当該所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する生成機能と、を実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態における記録媒体は、コンピュータに、プローブ情報を受信する受信機能と、前方又は後方のいずれか一方において、第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する特定機能と、受信した当該プローブ情報のうち、当該所定の車両のプローブ情報を抽出する抽出機能と、当該所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する生成機能と、を実行させるプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車列の先頭又は最後尾を走行している車両のプローブ情報を用いるため、全ての車両を対象にする場合に比べて、処理する情報量を減らすことができる。また、特定のドライバーに着目するのではなく、車列の先頭又は最後尾を走行している車両に着目しているため、生成される走行モデルがドライバーの属性に依存する可能性が低減される。その結果、処理する情報量を減らしつつ、汎用性の高い走行モデルを生成可能な情報生成装置、情報生成方法、プログラム及び記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<一実施形態>
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明の一実施形態において、情報生成システムに含まれる情報生成装置は、走行モデルを生成する。走行モデルは、車両が道路を走行する際の標準的な走行態様であり、当該道路を車両が走行する際の標準的な速度や走行軌跡を含む。走行モデルは、ドライバーモデルと表現されてもよい。走行モデルは、例えば、車両のドライバーに対して経路案内する際に用いられる。情報生成システムは、標準的な走行態様である走行モデルを用いて経路案内することにより、例えば、ドライバーに対して、安全な走行を促すことが可能となる。
【0024】
ここで、走行モデルを生成する場合に、複数の車両から収集されるプローブ情報を用いることが考えられる。しかし、複数の車両から収集されるプローブ情報は、大量のデータ容量となる可能性があり、そのような大量のプローブ情報を用いて走行モデルを生成すると、情報生成装置の処理負荷が上昇してしまうという問題が生じる。
【0025】
そこで、本発明の一実施形態における情報生成装置は、車列の先頭又は最後尾を走行する所定の車両に着目し、当該所定の車両のプローブ情報を用いて走行モデルを生成する。車列の先頭又は最後尾を走行する所定の車両は、前方(先頭の場合)又は後方(最後尾の場合)に存在する他の車両の走行態様に依存することなく、ドライバーが自由に道路を走行できる可能性が高い。すなわち、車列の先頭又は最後尾を走行する所定の車両は、標準的な走行態様により道路を走行していると捉えることができる。そこで、情報生成装置は、車列の先頭又は最後尾を走行する所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する。
【0026】
このように、所定の車両のプローブ情報を用いて走行モデルを生成することにより、大量のプローブ情報を用いる必要がなくなるため、必要となるデータの容量を削減することができる。その結果、情報生成装置の処理負荷の上昇を低減することが可能となる。
【0027】
また、特定のドライバーに着目するのではなく、複数の車両を含む車列の先頭又は最後尾を走行している車両に着目しているため、生成される走行モデルが、ドライバーの属性に依存する可能性が低減される。その結果、汎用性の高い走行モデルを生成することが可能となる。なお、ドライバーの属性は、例えば、ドライバーの年齢や性別、運転歴などである。
【0028】
(情報生成システムの構成例)
図1は、本発明の一実施形態における情報生成システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、情報生成システム1は、情報生成装置2と、車両端末3と、NW(Network)4とを含む。なお、車両端末3は、情報処理端末と記載されてもよい。
【0029】
情報生成装置2は、経路案内を行う際に用いる走行モデルを生成する機能を有する。情報生成装置2は、車両端末3から収集したデータ(例えば、プローブ情報)に基づいて、走行モデルを生成する。情報生成装置2は、複数の車両のうち、所定の車両に備わる車両端末3から受信したプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する。なお、情報生成装置2は、車両端末3から収集したデータ(例えば、プローブ情報)に加えて、車両の前方又は後方に関する情報を用いて、走行モデルを生成してもよい。なお、所定の車両については、後述する。
【0030】
また、情報生成装置2は、生成した走行モデルに基づいて、車両端末3に対する経路案内を行う機能を有していてもよい。この場合、情報生成装置2は、例えば、車両端末3からの要求に応じて、車両端末3の現在位置から目的地までの経路を探索し、走行モデルに基づいて、探索した経路に沿った経路案内を行う。
【0031】
なお、車両端末3が、情報生成装置2から配信された走行モデルに基づいて、現在位置から目的地までの経路に沿った経路案内を実行してもよい。この場合、情報生成装置2は、地図情報及び走行モデルを、車両端末3に配信する。そして、車両端末3が、地図情報に基づいて車両の現在位置から目的地までの経路を探索し、走行モデルに基づいて、探索した経路に沿った経路案内を実行する。なお、以下では、車両端末3が、情報生成装置2によって配信された走行モデルに基づいて経路案内を行う場合を例にして、説明する。
【0032】
情報生成装置2は、例えば、サーバ装置やコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、クラウド上に分散されたサーバ装置などである。なお、本発明の一実施形態において、情報生成装置2は、これらに限定されない。
【0033】
車両端末3は、例えば、自動車やバス、トラックなどの各種の車両とともに移動する装置である。なお、車両端末3は、バイクや自転車とともに移動する装置であってもよい。車両端末3は、例えば、車両に設置されていてもよいし、車両を運転するユーザによって保持される端末であってもよい。車両端末3は、情報生成装置2から配信された走行モデルに基づいて、当該車両端末3の現在位置から目的地までの経路に沿った経路案内を実行する機能を有する。
【0034】
車両端末3は、例えば、カーナビゲーションシステムに関するサービスを提供可能な装置(カーナビゲーション装置)である。また、車両端末3は、カーナビゲーション装置に限られず、例えば、スマートフォンや携帯電話(例えば、フィーチャーフォン)、コンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、PDA(personal digital assistant)、ウェアラブル端末などであってもよい。なお、本発明の一実施形態において、車両端末3は、これらに限定されない。
【0035】
NW4は、情報生成装置2と車両端末3の間を接続するための通信網である。情報生成装置2は、NW4を介して、走行モデルや地図情報、経路案内に関する情報を車両端末3に対して配信する。また、車両端末3は、NW4を介して、所定の情報(例えば、プローブ情報)を情報生成装置2に送信する。NW4は、例えば、有線ネットワークや無線ネットワークである。具体的には、NW4は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、CDMA(code division multiple access)などである。なお、NW4は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信などであってもよい。なお、NW4は、これらの例に限られず、例えば車間通信や路車間通信で用いられるNWなどであってもよい。
【0036】
(情報生成装置の構成例)
図2は、本発明の一実施形態における情報生成装置2の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報生成装置2は、通信部20と、第1記憶部21と、第2記憶部22と、制御部23とを含む。
【0037】
通信部20は、車両端末3と接続するための通信インターフェースである。情報生成装置2は、通信部20を介して、車両端末3に走行モデルや地図情報を送信する。通信部20が実行する通信は、有線、無線のいずれの通信であってもよく、どのような通信プロトコルを用いるものであってもよい。
【0038】
通信部20は、車両端末3から、プローブ情報を受信してもよい。プローブ情報は、車両の走行軌跡を示す情報である。具体的には、プローブ情報は、例えば、車両の位置を示す位置情報と、当該車両が当該位置に存在した時刻とを対応付けた複数の情報である。
【0039】
また、プローブ情報は、車両の位置情報と時刻とに基づいて求められた、該車両の走行軌跡であってもよい。なお、車両の走行軌跡は、車両端末3の位置情報などから求めることができる。車両端末3の位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)により把握可能である。
【0040】
また、プローブ情報は、所定の属性を含んでいてもよい。所定の属性は、例えば、車両や特定車両を操作するユーザの属性(例えば、年齢や性別など)や、車両や特定車両の車種(自動車やバス、トラックなど)である。また、所定の属性は、例えば、車両や特定車両の大きさや重さなどであってもよい。
【0041】
なお、通信部20は、複数の車両端末3の全部又は一部から、プローブ情報を受信してもよい。また、通信部20は、プローブ情報を収集するための特定の自動車であるプローブカーから、プローブ情報を受信してもよい。また、情報生成装置2は、プローブ情報を提供する他のシステムや他のサーバ装置(図示しない)から、プローブ情報を受信してもよい。
【0042】
また、通信部20は、車両端末3から、車両の前方又は後方に関する情報を受信してもよい。車両の前方又は後方に関する情報は、例えば、前方又は後方を走行する他の車両であり、例えば、車種(普通自動車、トラック)や車種、車間距離などである。また、車両の前方又は後方に関する情報は、車両の前方の停止線又は横断歩道や、車両の前方の障害物に関する情報であってもよい。
【0043】
第1記憶部21は、通信部20を介して受信した、車両端末3のプローブ情報を記憶する。第1記憶部21は、複数の車両端末3ごとに、プローブ情報を記憶してもよい。
【0044】
また、第1記憶部21は、通信部20を介して受信した、車両の前方又は後方に関する情報を記憶してもよい。第1記憶部21は、複数の車両端末3ごとに、車両の前方又は後方に関する情報を記憶してもよい。
【0045】
第2記憶部22は、地図情報を記憶する。第2記憶部22は、例えば、特定の国や県、州などの特定の地域の地図情報を記憶する。また、第2記憶部22は、例えば、特定の地域について、階層構造をなすメッシュ状の地図情報を記憶する。地図情報は、表示用の地図情報であるパーセルデータや、経路計算用のリージョンデータである。また、地図情報は、道路のネットワーク構造をリンクとノードで構成されていてもよい。
【0046】
また、第2記憶部22は、制御部23によって生成された走行モデルを記憶する。例えば、第2記憶部22は、道路に含まれる複数の区間ごとに、走行モデルを記憶する。また、第2記憶部22は、地図情報に含まれる複数のリンクごとに、走行モデルを記憶してもよい。
【0047】
第2記憶部22に記憶される走行モデルは、例えば、所定のタイミングで、最新の走行モデルに更新されてもよい。所定のタイミングは、新たにプローブ情報や車両の前方又は後方に関する情報を受信したときや、所定の周期など、どのようなタイミングであってもよい。
【0048】
制御部23は、プログラム内のコードや命令によって所定の機能を実行するための機能を備え、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)である。また、制御部23は、例えば、マイクロプロセッサ(microprocessor)やマルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application−specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などであってもよい。なお、本発明の一実施形態において、制御部23は、これらに限定されない。
【0049】
図2に示すように、制御部23は、受信部231と、取得部232と、特定部233と、抽出部234と、生成部235と、配信部236とを含む。
【0050】
受信部231は、複数の車両の各々から、走行軌跡を示すプローブ情報を受信し、第1記憶部21に記憶する処理を実行する。また、受信部231は、車両の前方又は後方に関する情報を受信し、第1記憶部21に記憶してもよい。なお、受信部231は、複数の車両のうちの所定の車両から、プローブ情報や車両の前方又は後方に関する情報を受信してもよい。また、受信部231は、複数の車両の各々又は一部から、複数の時点において、プローブ情報や車両の前方又は後方に関する情報を受信してもよい。
【0051】
取得部232は、複数の車両の各々から、当該車両が走行した道路の渋滞情報を取得する処理を実行する。取得部232は、例えば、渋滞情報を通知する他の装置(図示しない)から、道路の渋滞情報を取得する。
【0052】
特定部233は、プローブ情報に基づいて、前方又は後方のいずれか一方において第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する処理を実行する。また、特定部233は、(車両端末3に備わる車載カメラやレーダーにより測定した車両の前方又は後方に関する情報に基づいて、前方又は後方のいずれか一方において第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定してもよい。前方又は後方のいずれか一方において第1の所定距離内に他の車両が存在しない車両は、車列の先頭又は最後尾の車両である可能性が高い。言い換えると、前方又は後方の車との間に一定以上の距離があれば、車列の先頭または最後尾にある状況と同様の状況にある。そこで、特定部233は、このような車両を、所定の車両として特定する。
【0053】
また、特定部233は、プローブ情報や車両の前方又は後方に関する情報に基づいて、前方又は後方のうち、一方において第1の所定距離内に他の車両が存在せず、他方において第2の所定距離内に他の車両が存在する所定の車両を特定してもよい。前方又は後方のうち、一方において第1の所定距離内に他の車両が存在せず、他方において第2の所定距離内に他の車両が存在する車両は、車列の先頭又は最後尾の車両である可能性が高い。そこで、特定部233は、このような車両を、所定の車両として特定する。
【0054】
図3は、特定部233が特定する所定の車両について説明するための図である。
図3において、車両3Aは、その前方において、第1の所定距離α内に、他の車両が存在しない。そのため、特定部233は、車両3Aを、車列の先頭の車両であるとして、所定の車両と特定する。第1の所定距離αは、例えば、100[m]や300[m]など、どのような距離であってもよい。また、第1の所定距離αは、道路ごとに設定されてもよく、例えば、高速道路では500[m]、一般道路では100[m]などのように設定されてもよい。
【0055】
また、
図3において、車両3Aは、その後方において、第2の所定距離β内に、他の車両3Bが存在する。そこで、特定部233は、車両3Aがその前方において第1の所定距離α内に他の車両が存在しないことに加え、その後方において第2の所定距離β内に他の車両3Bが存在することにより、当該車両3Aを車列の先頭の車両であるとして、所定の車両と特定してもよい。第2の所定距離βは、例えば、30[m]や100[m]など、どのような距離であってもよい。また、第1の所定距離αは、道路ごとに設定されてもよく、例えば、高速道路では100[m]、一般道路では30[m]などのように設定されてもよい。
【0056】
同様にして、車両3Cは、その後方において、第1の所定距離α内に、他の車両が存在しない。そのため、特定部233は、車両3Cを、車列の最後尾の車両であるとして、所定の車両と特定する。
【0057】
また、車両3Cは、その前方において、第2の所定距離β内に、他の車両3Dが存在する。そこで、特定部233は、車両3Cがその後方において第1の所定距離α内に他の車両が存在しないことに加え、その前方において第2の所定距離β内に他の車両3Cが存在することにより、当該車両3Cを車列の最後尾の車両であるとして、所定の車両と特定してもよい。
【0058】
また、特定部233は、前方及び後方の双方において、第1の所定距離α内に他の車両が存在しない車両を、所定の車両として特定しない。車両の前方でも後方でも、第1の所定距離α内に他の車両が存在しない場合、当該車両は車列の先頭又は最後尾を走行しているのではなく、単独走行している可能性が高い。単独走行している車両は、ドライバーの属性によって様々な走行態様となるため、標準的な走行態様とはいえず、当該車両のプローブ情報を走行モデルの生成に用いないことが望ましい。また、単独走行している車両は、ドライバーのその時々の気分が影響して走行態様が安定しない傾向が生じる場合もあり、標準的な走行態様とはいえず、やはり当該車両のプローブ情報を走行モデルの生成に用いないことが望ましい。そこで、特定部233は、単独走行している車両を、所定の車両として特定しない。
【0059】
また、特定部233は、交差点において停止した場合に車両端末3が停止線又は横断歩道を検出した車両を、所定の車両として特定してもよい。
【0060】
図4は、特定部233が特定する所定の車両について説明するための他の図である。
図4において、車両3Eは、交差点で停止した場合、複数の車両を含む車列の先頭で停止しているため、停止線5又は横断歩道6を検出することができる。言い換えると、車列の先頭を走行する車両は、交差点で停止した場合、停止線5又は横断歩道6を検出することになる。そこで、特定部233は、交差点において停止した場合に車両端末3が停止線又は横断歩道を検出した車両3Eを、所定の車両として特定する。なお、停止線5又は横断歩道6は、車両端末3に備わる車載カメラやレーダーにより、検出することができる。
【0061】
一方、特定部233は、車両が交差点で停止した際に、停止線5又は横断歩道6を検出した場合であっても、交差点の先の道路(交差点を通過後の道路)において渋滞情報がある場合には、当該車両を所定の車両として特定しない。交差点の先の道路に渋滞情報がある場合、交差点では車列の先頭で停止した車両であっても、その後すぐに前方の車両に追いつき、車列の先頭ではなくなるためである。
【0062】
また、特定部233は、交差点から所定の範囲内において加速した車両を、所定の車両として特定しない。所定の範囲内は、例えば、50[m]などであるが、どのような範囲であってもよい。交差点から所定の範囲内において加速した車両は、標準的な走行態様とはいえず、当該車両のプローブ情報を走行モデルの生成に用いないことが望ましいからである。
【0063】
また、特定部233は、車両端末3によって前方に障害物が検出された車両を、所定の車両として特定しない。障害物は、例えば、人間や動物、岩石、ボールなど、道路上において車両の走行を妨害する可能性のある物体である。また、障害物は、道路そのものの破損などであってもよい。
【0064】
図5は、特定部233が特定する所定の車両について説明するための他の図である。なお、
図5における車両の配置は、
図3の車両の配置と同様である。
図5において、車両3Aは、当該車両3Aに備わる車両端末3によって、その前方に存在する障害物7を検出する。例えば、車両3Aは、車両端末3に備わる車載カメラやレーダーにより測定した車両の前方又は後方に関する情報に基づいて、当該車両3Aの前方に存在する障害物7を検出する。この場合、車両3Aは、検出された障害物7を避けるため、速度を低下させることや、車線を変更することなどを行う可能性が高い。このように、障害物7を避けた車両は、標準的な走行態様とはいえず、当該車両のプローブ情報を走行モデルの生成に用いないことが望ましい。そこで、特定部233は、車両端末3によって前方に障害物7が検出された車両を、所定の車両として特定しない。
【0065】
また、特定部233は、車両が停止する場合に、第3の所定距離以上離れた地点から停止位置まで所定速度以下で走行した車両を、所定の車両と特定しない。例えば、ハイブリッド車や電気自動車は、停止する場合に、停止位置から一定の距離離れた場所から低速度で走行する場合がある。そのような走行を行う車両は、標準的な走行態様とはいえず、当該車両のプローブ情報を走行モデルの生成に用いないことが望ましい。そこで、特定部233は、そのような車両を所定の車両として特定しない。第3の所定距離は、例えば、50[m]などであるが、どのような距離であってもよい。
【0066】
抽出部234は、受信したプローブ情報のうち、所定の車両のプローブ情報を抽出する機能を実行する。例えば、抽出部234は、道路に含まれる複数の区間ごとに、所定の車両のプローブ情報を抽出する。また、抽出部234は、地図情報に含まれる複数のリンクごとに、所定の車両のプローブ情報を抽出してもよい。
【0067】
生成部235は、所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する機能を実行する。例えば、生成部235は、道路に含まれる複数の区間ごとに、走行モデルを生成する。また、生成部235は、地図情報に含まれる複数のリンクごとに、走行モデルを生成してもよい。また、生成部235は、道路に含まれる複数の車線ごとに、走行モデルを生成してもよい。また、生成部235は、生成した走行モデルを、第2記憶部22に記憶する。
【0068】
配信部236は、生成した走行モデルを、車両端末3に配信する機能を実行する。例えば、配信部236は、所定のタイミングで、生成した走行モデルを、車両端末3に配信する。また、配信部236は、地図情報を、車両端末3に配信してもよい。
【0069】
(車両端末の構成例)
図6は、本発明の一実施形態における車両端末3の構成例を示す図である。なお、上述したように、車両端末3は、情報処理端末と記載されてもよい。
図6に示すように、車両端末3は、通信部30と、入出力部31と、表示部32と、マイク/スピーカー33と、GPS34と、測定部35と、記憶部36と、制御部37とを含む。
【0070】
通信部30は、情報生成装置2と接続するための通信インターフェースである。車両端末3は、通信部30を介して、情報生成装置2から地図情報を受信する。また、情報生成装置2は、通信部30を介して、所定のタイミングで、情報生成装置2に対してプローブ情報を送信する。所定のタイミングは、例えば、所定の周期や任意のタイミングなど、どのようなタイミングであってもよい。なお、通信部30が実行する通信は、有線、無線のいずれの通信であってもよく、どのような通信プロトコルを用いるものであってもよい。
【0071】
入出力部31は、車両端末3に対する各種操作を入力する機能、および、車両端末3で処理された処理結果を出力する機能を含む。入出力部31は、例えば、タッチパネルなどであり、ユーザの指やスタイラスなどの指示具による接触とその接触位置を検出可能である。また、入出力部31は、例えば、キーボードやマウス等のポインティングデバイス、音声による操作入力が可能な装置等であってもよい。また、入出力部31は、スピーカーなどの音声出力装置や3D(three dimensions)出力装置、ホログラム出力装置などであり、処理結果を出力する機能を含む。なお、入出力部31は、これらに限定されず、どのような装置であってもよい。
【0072】
表示部32は、例えば、液晶ディスプレイやOELD(organic electroluminescence display)などのモニタである。また、表示部32は、ヘッドマウントディスプレイや、プロジェクションマッピング、ホログラムなど、空間に画像やテキスト情報等を表示可能な装置により実現されてもよい。表示部32は、情報生成装置2が作成した地図情報に基づいて、地図を表示するための画面表示などを表示する。
【0073】
マイク/スピーカー33は、音声入力や音声出力が可能なデバイスである。車両端末3のユーザは、マイク/スピーカー33を用いて、音声の入出力を行う。
【0074】
GPS34は、車両端末3の現在位置を収集するための機能を備える。GPS34は、例えば、所定のタイミングで、車両端末3の現在位置を収集する。所定のタイミングは、例えば、所定の周期や任意のタイミングなど、どのようなタイミングであってもよい。GPS34は、収集した車両端末3の現在位置を、当該現在位置を取得した時刻とともに、プローブ情報として記憶部36に記憶する。また、GPS34は、収集した車両端末3の現在位置を、当該現在位置を取得した時刻とともに、通信部30を介して情報生成装置2に送信してもよい。
【0075】
測定部35は、車両の前方又は後方に関する情報を測定する機能を備える。測定部35は、例えば、車載カメラやレーダーであり、映像や画像、所定の周波数のレーザーを用いて、車両の前方又は後方の物体を測定可能である。測定部35は、例えば、車両の前方又は後方を走行する他の車両を測定する。また、測定部35は、車両の前方の停止線又は横断歩道を測定する。また、測定部35は、車両の前方の障害物を測定可能である。測定部35は、測定した車両の前方又は後方に関する情報を、記憶部36に記憶する。
【0076】
記憶部36は、車両端末3が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を含む。記憶部36は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。また、記憶部36は、情報生成装置2から配信された地図情報を記憶する。
【0077】
また、記憶部36は、車両端末3のプローブ情報を記憶してもよい。記憶部36は、例えば、GPS34により収集した自端末の現在位置と、当該現在位置を取得した時刻と、を対応付けたプローブ情報を記憶する。また、記憶部36は、車両の位置情報と時刻とに基づいて求められた当該車両の走行軌跡を、プローブ情報として記憶してもよい。また、記憶部36に記憶されるプローブ情報は、所定の属性を含んでいてもよい。なお、記憶部36に記憶されたプローブ情報は、所定のタイミングで、情報生成装置2に送信される。
【0078】
また、記憶部36は、測定部35によって測定された測定結果である、車両の前方又は後方に関する情報を記憶してもよい。記憶部36は、例えば、車両の前方又は後方を走行する他の車両や、車両の前方の停止線又は横断歩道、車両の前方の障害物に関する情報を記憶してもよい。
【0079】
制御部37は、プログラム内のコードや命令によって所定の機能を実行するための機能を備え、例えば、中央処理装置(CPU)である。また、制御部37は、例えば、マイクロプロセッサやマルチプロセッサ、ASIC、FPGAなどであってもよい。なお、本発明の一実施形態において、制御部37は、これらに限定されない。
【0080】
図6に示すように、制御部37は、探索部371と、案内部372と、表示処理部373とを含む。
【0081】
探索部371は、記憶部36に記憶された地図情報に基づいて、GPS34によって特定された車両の現在位置から、入出力部31から入力された目的地までの経路を探索する処理を実行する。経路の探索は、例えば、ダイクストラ法などを用いることができる。なお、探索部371による経路の探索は、道路の渋滞情報などを加味して実行されてもよい。
【0082】
案内部372は、探索された経路に沿った経路案内を行う処理を実行する。例えば、案内部372は、情報生成装置2から配信された走行モデルに基づいて、探索された経路に沿った経路案内を行う。
【0083】
表示処理部373は、記憶部36に記憶されている地図データに基づいて、表示部32に車両端末3の現在位置を含む地図を表示させるための表示データを作成し、表示部32に表示させる機能を備える。また、表示処理部373は、車両端末3の現在位置から目的地までの経路を含む地図を表示するための表示データを作成し、表示部32に表示させてもよい。なお、表示処理部373は、地図に加えて、渋滞情報などを該地図上に表示するための表示データを作成し、表示部32に表示させてもよい。表示処理部373は、地図のほか、種々の情報を表示部32に表示するための表示データを作成し、表示部32に表示させてもよい。
【0084】
(情報生成装置の動作例)
図7は、本発明の一実施形態において、走行モデルを生成及び配信する場合における、情報生成装置2の動作例を示すフローチャートである。
【0085】
図7に例示するように、情報生成装置2の受信部231は、複数の車両の各々から、プローブ情報、又は、車両の前方若しくは後方に関する情報を受信する(S101)。
【0086】
続いて、特定部233は、プローブ情報、又は、車両の前方若しくは後方に関する情報に基づいて、前方又は後方のいずれか一方において、第1の所定距離内に他の車両が存在しない所定の車両を特定する(S102)。なお、特定部233は、上記で説明した各種条件に基づいて、所定の車両を特定してもよい。
【0087】
その後、抽出部234は、受信した複数の車両の各々のプローブ情報のうち、所定の車両のプローブ情報を抽出する(S103)。そして、生成部235は、抽出した所定の車両のプローブ情報を用いて、走行モデルを生成する(S104)。なお、生成部235は、道路に含まれる複数の区画ごと又は複数のリンクごとに、走行モデルを生成してもよい。
【0088】
最後に、配信部236は、所定のタイミングで、生成した走行モデルを車両端末3に配信する(S105)。
【0089】
(車両端末の動作例)
図8は、本発明の一実施形態において、経路案内を行う場合における、車両端末3の動作例を示すフローチャートである。
【0090】
車両端末3の入出力部31は、ユーザから、目的地に関する情報を受け付ける(S201)。
【0091】
探索部371は、記憶部36に記憶された地図情報に基づいて、GPS34によって特定された車両の現在位置から、入出力部31から入力された目的地までの経路を探索する(S202)。
【0092】
その後、表示処理部373は、表示部32に車両端末3の現在位置を含む地図を表示させるための表示データを作成し、表示部32に表示させる(S203)。
【0093】
そして、案内部372は、表示部32に表示した表示データ、及び、情報生成装置2から配信された走行モデルに基づいて、探索された経路に沿って経路案内を行う(S204)。
【0094】
上記の通り、本発明の一実施形態における情報生成装置2は、複数の車両を含む車列の先頭又は最後尾を走行する所定の車両に着目し、当該所定の車両のプローブ情報を用いて走行モデルを生成する。そのため、複数の車両から収集した大量のプローブ情報を用いて走行モデルを生成する必要がなくなり、必要となるデータの容量を削減することができる。その結果、情報生成装置2の処理負荷の上昇を低減することが可能となる。
【0095】
また、特定のドライバーに着目するのではなく、車列の先頭又は最後尾を走行している車両に着目しているため、生成される走行モデルが、ドライバーの属性に依存する可能性が低減される。その結果、汎用性の高い走行モデルを生成することが可能となる。
【0096】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。