特許第6886946号(P6886946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886946
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20210603BHJP
   H01H 50/14 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H01H50/54 D
   H01H50/14 B
   H01H50/54 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-90681(P2018-90681)
(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-197646(P2019-197646A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】益子 拓樹
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−153052(JP,U)
【文献】 実開昭54−001167(JP,U)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0460095(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00−50/92
H01H 45/00−45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石コイルが嵌挿された固定コアと、前記電磁石コイルの駆動時に前記固定コアに接極し、非駆動時に開極するよう対向配置された可動コアと、前記可動コアと接続し、接点ばねを介してa接点およびb接点の可動接触子を支持する可動絶縁台と、a接点およびb接点の固定接触子を支持する上部絶縁台と、を有する電磁接触器において、
一列に並べた前記a接点およびb接点の内、前記b接点を中央に配置し、かつ前記a接点を前記b接点の両側に配置し、
中央の前記b接点と両側の前記a接点とで形成される凹部であって、前記b接点の下側に前記可動コアを配置し、
前記a接点では可動接触子が固定接触子の上方に、また、前記b接点では可動接触子が固定接触子の下方に配置した電磁接触器。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁接触器において、
中央に2つのb接点を配置し、前記b接点の両側にそれぞれ1つのa接点を配置した電磁接触器。
【請求項3】
請求項に記載の電磁接触器において、
前記a接点の接触子同士を接続する短絡板と、前記b接点の接触子同士を接続する短絡板とを備える電磁接触器。
【請求項4】
請求項に記載の電磁接触器において、
接点構成を1a1bとした電磁接触器。
【請求項5】
請求項に記載の電磁接触器において、
電源側または負荷側の前記a接点の接触子と前記b接点の接触子を短絡させ、c接点とした電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器の内部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁石による可動コアの吸引を利用して接点の開閉を行う電磁接触器においては、a接点(ノーマリーオープン接点、NO接点)および/またはb接点(ノーマリークローズ接点、NC接点)を備えている。
【0003】
b接点を有する電磁接触器が特許文献1に記載されている。特許文献1には「橋絡形の可動接触子に対向して接点ユニットフレームの端子台座にb接点仕様の固定接触子を備えた電磁接触器であり、b接点仕様の固定接触子は、前記端子台座上に保持した平板状の端子部と、該端子部の後端からL字状に起立延在する接点台と、該端子台の先端部に前記可動接触子の接点と対向する固定接点を接合した構成になり、かつ前記接点台の起立基部から先端部との間で、その板面の一方の側縁を凹状に切欠してフレーム外方に通じるガス抜き通路を確保するようにしたものにおいて、前記固定接触子の端子台先端部に接合した固定接点の形状を、前記ガス抜き通路に向けて先端が先細りになる略三角形に形成した」(請求項1)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−37022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の電磁接触器においては、b接点仕様の固定接触子は端子部からL字形に起立する構造となっている。そのため、特許文献1に記載された固定接触子の構造は接点部の寸法が大きくなってしまい、製品自体の寸法が大きくなるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、電磁接触器の接点部の寸法を小さくし、小形の電磁接触器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、代表的な本発明の「電磁接触器」の一例を挙げるならば、
電磁石コイルが嵌挿された固定コアと、前記電磁石コイルの駆動時に前記固定コアに接極し、非駆動時に開極するよう対向配置された可動コアと、前記可動コアと接続し、接点ばねを介してa接点およびb接点の可動接触子を支持する可動絶縁台と、a接点およびb接点の固定接触子を支持する上部絶縁台と、を有する電磁接触器において、一列に並べた前記a接点およびb接点の内、前記b接点を中央に配置し、かつ前記a接点を前記b接点の両側に配置し、中央の前記b接点と両側の前記a接点とで形成される凹部であって、前記b接点の下側に前記可動コアを配置し、前記a接点では可動接触子が固定接触子の上方に、また、前記b接点では可動接触子が固定接触子の下方に配置したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁接触器の接点部の寸法を小さくし、小形の電磁接触器を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の電磁接触器の一例を示す断面図である。
図2】実施例1の電磁接触器の可動部の一例を示す斜視図である。
図3】実施例1の電磁接触器の、a接点およびb接点の電磁石非励磁状態または励磁状態を示す図である。
図4】実施例1の電磁接触器の電気回路図である。
図5】実施例1の電磁接触器と、a接点およびb接点の配置を変えた電磁接触器を比較した図である。
図6】実施例2の電磁接触器の一例を示す断面図である。
図7】実施例2の電磁接触器の電気回路図である。
図8】実施例3の電磁接触器の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本発明の実施例1の電磁接触器の断面図を示す。図1は、電磁石の非励磁状態を示すものである。また、図2に、実施例1の電磁接触器の可動部の斜視図を示す。
【0012】
本図において、電磁接触器100は、電磁石部200と接点部300から構成されている。電磁石部200は、電磁石コイル40のボビンが嵌挿された固定コア81と、電磁石コイル40の励磁による駆動時に、この固定コア81に積極し、励磁解除による非駆動時に開極するよう対向配置された可動コア80とを有している。接点部300は、固定接触子61,71との間で接触圧を確保する接点ばね50を介して可動接触子60,70を支持する可動絶縁台20と、固定接触子61,71を支持する上部絶縁台10とを有している。また、電磁石部200および接点部300を支持する固定絶縁台30を有している。そして、固定接触子61と可動接触子60とでa接点(ノーマリーオープン接点、NO接点)を構成し、固定接触子71と可動接触子70とでb接点(ノーマリークローズ接点、NC接点)を構成している。
【0013】
本実施例において、電磁接触器は2a2bの4接点構造をしており、中央2極にb接点を、両端2極にa接点を配置している。また、図2に示すように、可動部は、接点ばね50を介してa可動接触子60とb可動接触子70とが取り付けられた可動絶縁台20と、可動コア80とが一体化されている。そして、図1に示すように、a接点では可動接触子60が固定接触子61の上方に、また、b接点では可動接触子70が固定接触子71の下方に配置されている。
【0014】
電磁接触器の電磁石コイル40に電流が流れると、可動コア80が固定コア81側に引き寄せられる。その時、連動して可動絶縁台20が移動し、a可動接触子60とb可動接触子70は同時に動く。そして、a接点は閉、b接点は開となる。
【0015】
図3に、電磁石の非励磁状態と励磁状態の、a接点とb接点のON/OFFを示す。図は、図1に示される電磁接触器を左側90°より見た図である。図3(a)は電磁石非励磁状態のa接点を示し、図3(c)は電磁石励磁状態のa接点を示す。電磁石が非励磁状態では固定接触子61と可動接触子60とが離れており、a接点はOFFである。電磁石が励磁されることにより、固定接触子61と可動接触子60とが接触し、a接点がONとなる。図3(b)は電磁石非励磁状態のb接点を示し、図3(d)は電磁石励磁状態のb接点を示す。電磁石が非励磁状態では固定接触子71と可動接触子70とが接触しており、b接点はONである。電磁石が励磁されることにより、固定接触子71と可動接触子70とが開き、b接点がOFFとなる。
【0016】
図4に、本実施例の電磁接触器の電気回路図を示す。2a2bの4接点構造を備えている。
本実施例の構造においては、中央2極にb接点を、両端2極にa接点を配置することで左右対称の接点構成となり、接点ばね50の荷重が、中央の可動コア80を基準に左右のバランスが取れるようになっている。
【0017】
また、本構造は可動接触子60,70、固定接触子61,71からなる電気回路を入切する部分を接点部300とし、可動コア80,固定コア81および電磁石コイル40からなる接触器を作動させるための部分を電磁石部200としたとき、b固定接触子71は接点部の上部に配置され、a固定接触子61は接点部の下部に配置されるため、接点部300は中央のb固定接点71の下側が下に凹んだスペースが確保できる。その凹んだ部分に可動コア80を配置することにより、電磁石部200が上に凸の形に構成することができ、電磁石部200のスペースを無駄なく確保することができる。
【0018】
図5に、本実施例のa接点およびb接点の配置構成と、a接点およびb接点を逆にした配置構成とを対比して示す。図5(a)に示すように、b接点を中央に、a接点を両側に配置し、可動コアをa接点の間で、b接点の下方に配置することにより、電磁接触器の高さ寸法を抑制し小型化を図ることができる。また、接点部付近に可動コアを配置することで、電磁石の力を接点部に有効に伝えることができ、高効率化を図ることができる。
【0019】
なお、図1では中央2極にb接点を配置したが、中央に1極または3極以上のb接点を配置してもよい。また、図1では両端に1極のa接点を配置したが、両端にそれぞれ2極以上のa接点を配置してもよい。
【実施例2】
【0020】
図6に、本発明の実施例2の電磁接触器の断面図を示す。
実施例2では、実施例1に示した2a2b接点の電磁接触器において、a固定接触子短絡板62を用いてa接点同士を短絡し、b固定接触子短絡板72を用いてb接点同士を短絡する。
【0021】
図7に、本実施例の電磁接触器の電気回路図を示す。a固定接触子同士がa固定接触子短絡板62で短絡され、b固定接触子同士がb固定接触子短絡板72で短絡されており、図に示すように、a可動接触子同士を電線で短絡し、b可動接触子同士を電線で短絡することにより、1a1b接点とすることができる。
【0022】
本実施例の構造により内部的には2a2b接点であるが、使用上は1a1b接点の電磁接触器とすることができる。通常の内部1a1b接点の構成の電磁接触器では、接点を左右に配置すると、a接点とb接点でばね荷重の方向が異なるため、左右の荷重バランスが取れない問題があり、a接点とb接点を中央に縦に配置する必要がある。これに対し、本構造では左右に配置するため、ばね荷重のバランスを保ったまま接点部の縦方向のスペースを小さくすることができる。また、通電時に電流が2相に分流するため、1相あたりの電流を小さくすることができ、接点の発熱の抑制が期待できるため、大電流の通電が可能となる。
【実施例3】
【0023】
図8に、本発明の実施例3の電磁接触器の電気回路図を示す。
実施例3では、実施例1に示した2a2b接点の電磁接触器において、a固定接触子およびb固定接触子同士を固定接触子短絡板73を用いて短絡する。そして、図に示すように、a可動接触子同士を電線で短絡し、b可動接触子同士を電線で短絡することにより、1c接点(トランスファー接点、切替接点)とすることができる。
【0024】
本実施例の構造により内部的には2a2b接点であるが、使用上は1c接点の電磁接触器とすることができる。本構造ではa接点およびb接点を左右に配置するため、ばね荷重のバランスを保ったまま接点部の縦方向のスペースを小さくすることができる。また、通電時に電流が2相に分流するため、1相あたりの電流を小さくすることができ、接点の発熱の抑制が期待できるため、大電流の通電が可能となる。
【符号の説明】
【0025】
10 上部絶縁台
20 可動絶縁台
30 固定絶縁台
40 電磁石コイル
50 接点ばね
60 a可動接触子
61 a固定接触子
62 a固定接触子短絡板
70 b可動接触子
71 b固定接触子
72 b固定接触子短絡板
73 固定接触子短絡板
80 可動コア
81 固定コア
100 電磁接触器
200 電磁石部
300 接点部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8