(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動機構は、前記容器保持部を直線状に搬送するとともに、複数の容器が収容可能な前記容器保持部としての検体ラックに容器が収容された状態で搬送する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体測定装置。
前記移動機構は、前記容器保持部としての回転テーブルを含み、前記回転テーブルに配置された容器を、前記回転テーブルを回転することにより搬送する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体測定装置。
前記移動機構により前記容器保持部を前記検知部に対して相対移動させながら、所定の位置における前記検知部の検知結果を記憶する、請求項14〜19のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の検体処理システム900では、検知部904により容器902の栓903の有無を検知する場合に、搬送機構906による搬送を一旦停止させて、ラック905から容器902を上方に引き上げてから検知を行っているため、容器902の栓903の有無を検知する動作の時間が長くなるという不都合がある。従来の検体測定装置では、測定部の検体を測定することが装置全体の律速となっていたため、測定部に検体を迅速に供給する必要がなかった。すなわち、測定部による検体を測定するシーケンス時間が長かったため、容器の状態を検知する動作の時間を短くする必要がなかった。
しかし、上記特許文献1の検体処理システムにおいて、測定部による検体を測定するシーケンス時間が短縮された場合は、容器の栓の有無を検知するなどの容器の状態を検知する動作が律速になり、測定時間の短縮化を阻害するという問題点がある。
【0006】
この発明は、容器の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による検体測定装置(100)は、検体を測定する測定部(10)と、検体を収容可能な容器(40、42)の有無を検知するための検知部(20、21、22、23)と、複数の配置位置の各々に容器(40、42)を配置可能な容器保持部を検知部(20、21、22、23)に対して相対移動させる移動機構(30)と、を備え、検知部(20、21、22、23)は
、移動機構(30)が駆動を継続した状態で
、複数の配置位置が検出位置を通過しながら複数の配置位置における容器(40、42)の有無の検知を実行し、複数の配置位置における容器の有無に基づいて、容器が存在する配置位置に対する作業を実行し、容器が存在しない配置位置に対する作業を実行しない。
【0008】
第1の局面による検体測定装置(100)では、上記のように構成することによって、容器(40、42)を検知する場合に、検知部(20、21、22、23)に対する容器(40、42)の相対移動を一旦停止させる必要がないので、容器(40、42)の相対移動を一旦停止させて検知する場合に比べて、容器(40、42)の有
無を検知する時間を短縮することができる。これにより、容器(40、42)の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、検知部(20、21、22、23)は、移動機構(30)による検知部(20、21、22、23)に対する容器
保持部の相対移動量に基づいて、容器(40、42
)の有無の検知を実行する。このように構成すれば、容器(40、42)が検知部(20、21、22、23)による検知が可能な位置にいるタイミングで、検知部(20、21、22、23)による検知を実行することができるので、容器(40、42)の相対移動を一旦停止させなくても、容器(40、42)の有
無を容易に検知することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、移動機構(30)は、モータ(30a)とエンコーダ(30b)とを含み、検知部(20、21、22、23)は、エンコーダ(30b)により取得したモータ(30a)の駆動量に基づいて、容器(40、42
)の有無の検知を実行する。このように構成すれば、移動機構(30)の移動量または移動位置を容易に取得することができる。
【0011】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、移動機構(30)は、検知部(20、21、22、23)による検知を実行する際に、検知部(20、21、22、23)に対して容器
保持部を移動させる。このように構成すれば、容器(40、42)を検知部(20、21、22、23)に対して一旦停止させることなく容器(40、42
)の有無を検知することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、容器
保持部の移動区間に検知部(20、21、22、23)との相対位置が既知である基準位置が設定され、移動機構(30)は、基準位置を始点として容器
保持部を移動させる。このように構成すれば、基準位置から検知部(20、21、22、23)の検知位置までの所定の距離だけ容器(40、42)が移動されたタイミングで検知部(20、21、22、23)による検知を実行することにより、容器(40、42)を移動させながらでも容器(40、42)の検知を確実に行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、移動機構(30)は、検知部(20、21、22、23)による検知を実行する際に、容器
保持部に対して検知部(20、21、22、23)を移動させる。このように構成すれば、検知部(20、21、22、23)を容器(40、42)に対して一旦停止させることなく容器(40、42
)の有無を検知することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、検知部(20、21、22、23)は初期位置が設定されており、移動機構(30)は、初期位置を始点として検知部(20、21、22、23)を移動させる。このように構成すれば、初期位置から容器(40、42)の位置までの所定の距離だけ検知部(20、21、22、23)が移動されたタイミングで検知部(20、21、22、23)による検知を実行することにより、検知部(20、21、22、23)を移動させながらでも容器(40、42)の検知を確実に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、移動機構(31)は、容器
保持部を直線状に搬送するとともに、複数の容器(40、42)が収容可能な
容器保持部としての検体ラック(105)に容器(40、42)が収容された状態で搬送する。このように構成すれば、複数の容器(40、42)を検体ラック(105)に収容した状態で直線状に移動させながら検知部(20、21、22、23)による検知を実行することができるので、複数の容器(40、42)を移動させながら検知することができる。これにより、複数の容器(40、42)の各々を一旦停止させながら検知を行う場合に比べて、検知時間を効果的に短縮することができる。
【0016】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、移動機構(30)は、
容器保持部としての回転テーブル(32、33)を含み、回転テーブル(32、33)に配置された容器(40、42)を、回転テーブル(32、33)を回転することにより搬送する。このように構成すれば、回転テーブル(32、33)に配置された容器(40、42)を回転テーブル(32、33)の回転を一旦停止させることなく検知することができる。
【0018】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、検知部(20、21、22、23)は、容器(40、42)を検知することにより、容器(40、42)の配置を検知する。このように構成すれば、容器(40、42)の有無に基づいて、容器(40、42)が無い位置に対する作業を行わずに、容器(40、42)が有る位置に対してのみ作業を行うことができる。これにより、測定時間の短縮化を効果的に促進することができる。
【0019】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、移動機構(30)を制御する制御部(50)を備え、制御部(50)は、移動機構(30)により容器
保持部を検知部(20、21、22、23)に対して相対移動させながら、所定の位置における検知部(20、21、22、23)の検知結果を記憶させる。このように構成すれば、制御部(50)により容器(40、42)の検知のための相対移動を制御し、検知結果を記憶させることができる。
【0020】
この場合、好ましくは、情報を取得する情報取得部(61)を備え、情報取得部(61)は、制御部(50)により記憶された検知部(20、21、22、23)の検知結果に基づいて、容器(40、42)の有
無の情報を取得する。このように構成すれば、検知結果を記憶させる制御部(50)が、容器(40、42)の有
無の検知結果を解析して情報として取得する必要がないので、検知を実行する際の処理負担が増大するのを抑制することができる。
【0021】
上記第1の局面による検体測定装置(100)において、好ましくは、情報を記憶する記憶部(52)と、情報を関連付ける情報取得部(61)とを備え、検知部(20、21、22、23)は、容器(40、42)の有
無に関する第1情報を取得し、記憶部(52)は、第1情報の取得時の、タイミング、検知部(20、21、22、23)に対する容器(40、42)の位置のうち少なくとも一方に関する第2情報を記憶し、情報取得部(61)は、第2情報に基づいて、第1情報と、容器(40、42)の識別および移動機構(30)上の容器(40、42)の位置の少なくとも一方に関する第3情報と、を関連付ける。このように構成すれば、検知部(20、21、22、23)による検知を実行した後、情報取得部(61)により情報を関連付けて解析することができるので、検知を実行する際の処理負担が増大するのを抑制することができる。
【0022】
この発明の第2の局面による検体測定方法は、検知部(20、21、22、23)に対して複数の配置位置の各々に容器(40、42)を配置可能な容器保持部を相対移動させる移動機構(30)を駆動させ
、移動機構(30)が駆動を継続した状態で、
複数の配置位置が検出位置を通過しながら検体を収容可能な複数の容器(40、42)の有無を検知し、検知部(20、21、22、23)による検知に基づいて、複数の配置位置における容器(40、42)の有無を特定し、容器が存在する配置位置に対する作業を実行し、容器が存在しない配置位置に対する作業を実行しないで、検体を測定する。
【0023】
第2の局面による検体測定方法では、上記のように構成することによって、容器(40、42)を検知する場合に、検知部(20、21、22、23)に対する容器(40、42)の相対移動を一旦停止させる必要がないので、容器(40、42)の相対移動を一旦停止させて検知する場合に比べて、容器(40、42)の有
無を検知する時間を短縮することができる。これにより、容器(40、42)の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することができる。
【0024】
上記第2の局面による検体測定方法において、好ましくは、移動機構(30)による検知部(20、21、22、23)に対する容器
保持部の相対移動量に基づいて、容器(40、42
)の有無の検知を実行する。このように構成すれば、容器(40、42)が検知部(20、21、22、23)による検知が可能な位置にいるタイミングで、検知部(20、21、22、23)による検知を実行することができるので、容器(40、42)の相対移動を一旦停止させなくても、容器(40、42)の有
無を容易に検知することができる。
【0025】
上記第2の局面による検体測定方法において、好ましくは、移動機構(30)は、検知部(20、21、22、23)による検知を実行する際に、検知部(20、21、22、23)に対して容器
保持部を移動させる。このように構成すれば、容器(40、42)を検知部(20、21、22、23)に対して一旦停止させることなく容器(40、42
)の有無を検知することができる。
【0026】
この場合、好ましくは、容器保持部の移動区間に検知部(20、21、22、23)との相対位置が既知である基準位置が設定され、移動機構(30)は、移動機構(30)により、基準位置を始点として容器
保持部を移動させる。このように構成すれば、基準位置から検知部(20、21、22、23)の検知位置までの所定の距離だけ容器(40、42)が移動されたタイミングで検知部(20、21、22、23)による検知を実行することにより、容器(40、42)を移動させながらでも容器(40、42)の検知を確実に行うことができる。
【0027】
上記第2の局面による検体測定方法において、好ましくは、移動機構(30)は、検知部(20、21、22、23)による検知を実行する際に、容器
保持部に対して検知部(20、21、22、23)を移動させる。このように構成すれば、検知部(20、21、22、23)を容器(40、42)に対して一旦停止させることなく容器(40、42
)の有無を検知することができる。
【0028】
この場合、好ましくは、検知部(20、21、22、23)は初期位置が設定されており、移動機構(30)により、初期位置を始点として検知部(20、21、22、23)を移動させる。このように構成すれば、初期位置から容器(40、42)の位置までの所定の距離だけ検知部(20、21、22、23)が移動されたタイミングで検知部(20、21、22、23)による検知を実行することにより、検知部(20、21、22、23)を移動させながらでも容器(40、42)の検知を確実に行うことができる。
【0029】
上記第2の局面による検体測定方法において、好ましくは、移動機構(30)により容器
保持部を検知部(20、21、22、23)に対して相対移動させながら、所定の位置における検知部(20、21、22、23)の検知結果を記憶する。このように構成すれば、制御部(50)により容器(40、42)の検知のための相対移動を制御し、検知結果を記憶することができる。
【0030】
この場合、好ましくは、記憶した検知部(20、21、22、23)の検知結果に基づいて、容器(40、42)の有無の情報を取得する。このように構成すれば、検知結果を記憶させる制御部(50)が、容器(40、42)の有無の検知結果を解析して情報として取得する必要がないので、検知を実行する際の処理負担が増大するのを抑制することができる。
第3の局面による検体測定装置は、検体を測定する測定部と、検体を収容可能な容器のキャップの有無を検知するための検知部と、複数の容器を検知部に対して相対移動させる移動機構と、を備え、検知部は
、移動機構が駆動を継続した状態で
、複数の容器が検出位置を通過しながら複数の容器のキャップの有無の検知を実行し、複数の容器のキャップの有無に基づいて、容器に対する動作を変更する。
第4の局面による検体測定方法は、検知部に対して複数の容器を相対移動させる移動機構を駆動させ
、移動機構が駆動を継続した状態で、
複数の容器が検出位置を通過しながら検体を収容可能な容器のキャップの有無を検知し、検知部による検知に基づいて、複数の容器のキャップの有無を特定し、容器に対する動作を変更し、検体を測定する。
【発明の効果】
【0031】
容器の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(検体測定装置の概略)
まず、
図1を参照して、一実施形態による検体測定装置100の概要について説明する。
【0034】
検体測定装置100は、対象成分を含む検体を測定する装置である。
【0035】
検体は、被検体から採取された生体由来の検体を含む。検体には、測定の対象成分が含まれる。検体は、検体そのものであってもよいし、検体に所定の試薬を添加して調製された測定用試料であってもよい。被検体は、主としてヒトであるが、ヒト以外の他の動物であってもよい。検体測定装置100は、たとえば患者から採取された検体の臨床検査または医学的研究のための測定を行う。生体由来の検体は、たとえば、被検体から採取された血液(全血、血清または血漿)、尿、またはその他の体液などの液体、あるいは、採取された体液や血液に所定の前処理を施して得られた液体などである。また、検体は、たとえば、液体以外の、被検体の組織の一部や細胞などであってもよい。検体測定装置100は、検体中に含有される所定の対象成分を検出する。対象成分は、たとえば、血液や尿検体中の所定の成分、細胞や有形成分を含んでもよい。対象成分は、DNA(デオキシリボ核酸)などの核酸、細胞および細胞内物質、抗原または抗体、タンパク質、ペプチドなどでもよい。
【0036】
検体測定装置100は、検体を測定する測定部101を備える。測定部101は、血球計数装置、血液凝固分析装置、免疫測定装置、尿中有形成分分析装置などの単独の分析装置として機能する測定ユニットであってもよい。測定部101は、単独の分析装置としては機能せず、他のユニットとの協働によって、検体の測定を行うために必要な作業を行う構成であってもよい。
【0037】
測定部101は、検体に含まれる成分の測定を行うように構成されている。具体的には、測定部101は、試薬容器の試薬が検体に添加された測定用試料を測定して、検体の成分を測定する。測定部101による対象成分の測定方法は問わず、化学的方法、光学的方法、電磁気学的方法などの対象成分に応じた方法が採用できる。測定部101による測定結果に基づいて、たとえば対象成分の有無、対象成分の数または量、対象成分の濃度や存在比率などが分析される。
【0038】
検体測定装置100は、検体を収容可能な容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を検知するための検知部20を備えている。検知部20は、たとえば、容器40の有無を検知する。また、検知部20は、容器40の配置を検知する。また、検知部20は、たとえば、容器40のキャップの有無を検知する。検知部20は、たとえば、光を照射して反射を検知するセンサ、光を照射して透過を検知するセンサ、容器40を撮像するカメラなどであってもよい。また、検知部20は、ラインカメラであってもよい。また、検知部20は、磁気センサ、接触センサ、渦電流を検知するセンサ、超音波センサなどであってもよい。
【0039】
検体測定装置100は、容器40を検知部20に対して相対移動させる移動機構30を備えている。移動機構30は、たとえば、コンベア、回転テーブルなどであり、容器40を相対移動させてもよい。また、移動機構30は、リニアモータを含み、容器40を検知部20に対して相対移動させてもよい。移動機構30は、移動しない検知部20に対して容器40を移動させてもよいし、移動しない容器40に対して検知部20を移動させてもよい。また、移動機構30は、容器40および検知部20の両方を移動させてもよい。また、移動機構30は、ラックに収容された容器40を移動させてもよい。
【0040】
ここで、本実施形態では、検知部20は、移動機構30により相対移動されている状態の容器40の検知を実行する。つまり、検知部20は、容器40の相対移動を一旦停止させることなく検知を実行する。
【0041】
本実施形態の検体測定装置100では、上記の構成によって、容器40を検知する場合に、検知部20に対する容器40の相対移動を一旦停止させる必要がないので、容器40の相対移動を一旦停止させて検知する場合に比べて、容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を検知する時間を短縮することができる。これにより、容器40の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することができる。
【0042】
(検体測定方法)
次に、本実施形態の検体測定方法について説明する。
【0043】
本実施形態の検体測定方法は、検体を収容可能な容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を、検知部20に対して検体を相対移動させている状態で検知し、検知部20による検知結果に基づいて、容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を特定し、検体を測定する。
【0044】
本実施形態の検体測定方法では、上記の構成によって、容器40を検知する場合に、検知部20に対する容器40の相対移動を一旦停止させる必要がないので、容器40の相対移動を一旦停止させて検知する場合に比べて、容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を検知する時間を短縮することができる。これにより、容器40の状態を検知する動作が、検体の測定時間の短縮化を阻害するのを抑制することができる。
【0045】
(検体測定装置の構成)
図2を参照して、
図1に示した検体測定装置100のより具体的な構成例について説明する。
図2では、検体測定装置100の一例として血液凝固分析の自動測定装置を示している。
【0046】
(血液凝固測定)
たとえば、
図2において、検体測定装置100は、検体に試薬を添加することにより調製された測定試料に送光部から光を照射し、測定試料に照射された光の透過光または散乱光を受光部により検出する。検体は、血液から分離された血漿または血清である。検体測定装置100は、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法を用いて検体の分析を行う。分析部104は、検出した光に基づいて検体を分析する。
【0047】
凝固法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、検体中のフィブリノーゲンがフィブリンに転化する凝固時間が測定される。凝固法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。
【0048】
合成基質法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定試料中の酵素に対する発色性合成基質の作用による発色度合いが測定される。合成基質法の測定項目としては、ATIII(アンチトロンビンIII)、α2−PI(α2−プラスミンインヒビター)、PLG(プラスミノーゲン)などがある。
【0049】
免疫比濁法では、検体中の凝固・線溶因子などに対して抗原抗体反応を生じる試薬が検体に添加され、試薬に含有される物質が抗原抗体反応の結果として凝集する。免疫比濁法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、測定試料中の試薬含有物質の凝集速度が測定される。免疫比濁法の測定項目としては、Dダイマー、FDP(フィブリン分解産物)などがある。
【0050】
凝集法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定試料中の血小板などが凝集反応する過程の吸光度変化が測定される。凝集法の測定項目としては、vWF:RCo(フォンビルブランドリストセチンコファクター)や血小板凝集能などがある。
【0051】
(免疫測定)
また、たとえば、検体測定装置100は、免疫測定分析の自動測定装置でもよい。検体測定装置100は、血液中の対象成分と試薬中の成分との抗原抗体反応を利用して、対象成分を検出する。対象成分として、たとえば、血液に含まれる抗原または抗体、タンパク質や、ペプチドなどを検出する。免疫測定装置は、血清または血漿を検体として取得して、検体に含まれる抗原または抗体などを定量測定または定性測定する。なお、抗原抗体反応は、抗原と抗体との反応のみならず、アプタマー等の特異的結合物質を用いた反応を含む。アプタマーは、特定の物質と特異的に結合するように合成された核酸分子またはペプチドである。
【0052】
検体測定装置100は、試料から生じた光、すなわち、検体に含まれる被検物質に基づく化学発光を測定する。検体測定装置100は、測定部が測定した光に基づいて測定データを生成する。
【0053】
ここで、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光である。化学発光は、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、励起状態から基底状態に戻る時に放出される光である。測定部が測定する化学発光は、たとえば、酵素免疫化学発光法(CLEIA)に基づくものであり、酵素と基質との反応により生じた光である。
【0054】
酵素免疫化学発光測定法では、たとえば2STEP法では、(1)反応容器中で検体中の被検物質を固相担体に担持させた後、(2)被検物質を担持した固相と液相とを分離する1次BF分離を行い、(3)反応容器中の被検物質を担持した固相に標識物質を結合させ、(4)2次BF分離を行い、(5)反応容器中に化学発光基質を加えて酵素反応を発生させる。酵素免疫化学発光測定法には、2STEP法の他に、公知の1STEP法、D−1STEP法(ディレイドワンステップ法)などがある。2STEP法の測定項目としてはHBsAgがある。1STEP法の測定項目としてはHBsAbがある。D−1STEP法の測定項目としてはFT3、FT4、TSHなどがある。
【0055】
なお、測定部が測定する化学発光は、たとえば、化学発光分析法(CLIA)、電気化学発光分析法(ECLIA)、蛍光酵素測定法(FEIA法)、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)、BLEIA法(生物発光酵素免疫法)などに基づく光であってもよい。
【0056】
(血球分析)
また、たとえば、検体測定装置100は、血球測定分析の自動測定装置でもよい。検体測定装置100は、血液検体と試薬とを混合して調製した測定用試料を流路中に流し、流路中を流れる血球成分を検出し、計数する。血球分析用のユニットの測定部は、たとえばフローサイトメトリー法による測定を行う。すなわち、測定部は、試料を流通させる流路部と、流路部を流れる試料に測定光を照射する送光部と、試料に照射された光を検出する受光部とを含む。
【0057】
測定部は、流路部に形成したシース液の流れの中に細胞などの粒子を流して、流れる粒子に送光部からレーザー光を照射し、散乱光や蛍光を受光部により検出する。検体測定装置100は、測定部が測定した光に基づいて個々の粒子を解析する。たとえば、散乱光強度と蛍光強度をパラメータとして組み合わせたスキャッタグラムなどが作成され、スキャッタグラムの分布などに基づき試料が解析される。フローサイトメトリー法による測定項目としては、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、MONO(単球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)などがある。
【0058】
また、検体測定装置100は、たとえばシースフローDC検出法による測定を行う。すなわち、測定部は、試料を流通させる開口部が設けられた流路部と、開口部を挟んで対向するように配置された一対の電極(図示せず)間の電気的な変化を検出する検出部とを含む。測定部は、開口部を通過するシース液の流れの中に細胞などの粒子を流して、電極間には直流電流を流す。測定部は、粒子が開口部を通過する際のパルス状の電流変化に基づいて、個々の粒子を検出する。シースフローDC検出法による測定項目としては、WBC(白血球)数、RBC(赤血球)数、HGB(ヘモグロビン量)、HCT(ヘマトクリット値)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均ヘモグロビン量)、MCHC(平均ヘモグロビン濃度)、PLT(血小板数)などがある。
【0059】
(全体構成)
図2の構成例では、検体測定装置100は、測定部101、搬送部102および分析部104を備えている。また、検体測定装置100は、検知部20として検知部21、22および23を備えている。また、検体測定装置100は、移動機構30として移動機構31と、回転テーブル32および33とを備えている。
【0060】
図2の構成例では、検体測定装置100は、検体を収容する容器40から検体を吸引して、容器42に定量分注する機能を備えている。
【0061】
搬送部102には、検体ラック105が設置される。検体ラック105には、検体を収容した容器40が複数本設置できる。搬送部102は、ユーザにより設置された検体ラック105を搬送して、各容器40を所定の検体吸引位置501または502に位置付ける。検体ラック105および容器40には、バーコードなどに識別情報を記録したラベル(図示せず)が貼付されている。検体ラック105および容器40の識別情報は、搬送経路の途中に設置されたリーダ103により読み出され、分析部104に送信される。識別情報によって、容器40中の検体と、検体の測定結果とが対応付けられて管理される。
【0062】
搬送部102には、容器40を検知部21に対して相対移動させる移動機構31が設けられている。検知部21は、移動機構31により相対移動されている状態の容器40の検知を実行する。
【0063】
移動機構31は、容器40を直線状に搬送するとともに、複数の容器40が収容可能な検体ラック105に容器40が収容された状態で搬送する。これにより、複数の容器40を検体ラック105に収容した状態で直線状に移動させながら検知部21による検知を実行することができるので、複数の容器40を移動させながら検知することができる。その結果、複数の容器40の各々を一旦停止させながら検知を行う場合に比べて、検知時間を効果的に短縮することができる。
【0064】
移動機構31は、検知部21による検知を実行する際に、停止している検知部21に対して容器40を移動させる。これにより、容器40を検知部21に対して一旦停止させることなく容器40の配置および構造のうち少なくとも一方を検知することができる。
【0065】
検知部21は、容器40の検知以外のタイミングでも、継続してセンシングを行っている。これにより、検知部21のセンシングのオンオフ制御を頻繁に行う必要がないので、容器40の検知のための制御負担が増大するのを抑制することができる。
【0066】
測定部101は、容器40中の検体を吸引して、容器42に定量分注するための検体分注部110および120を備えている。
【0067】
検体分注部110および120は、検体分注用のピペット111を旋回可能に保持する分注アームにより構成されている。ピペット111は、図示しないポンプと接続されており、検体の定量吸引および吐出ができる。検体分注部110は、ピペット111を移動させて検体吸引位置501の容器40から所定量の検体を吸引できる。検体分注部120は、ピペット111を移動させて検体吸引位置502の容器40から所定量の検体を吸引できる。検体分注部110および120は、それぞれ、ピペット111を移動させて、吸引した検体を所定の検体分注位置に配置された容器42内に吐出できる。検体分注部110および120は、検体を吸引する容器40のキャップ41の有無に基づいて、吸引方法を変えて検体を吸引する。検体分注部110および120は、容器40にキャップ41が取り付けられている場合は、容器40を上方から押さえるようにして、ピペット111をキャップ41に挿入する。検体分注部110および120は、容器40にキャップ41が取り付けられていない場合は、容器40を押さえずにピペット111を容器40に対して下降させる。また、容器40にキャップ41が取り付けられている場合に、キャップ41を開栓してから吸引してもよい。
【0068】
測定部101は、検体分注部110により吸引した検体に所定の試薬が添加されることにより調製された測定試料に対して、光学的な測定を行う。
【0069】
測定部101は、検体および試薬を収容して測定試料が調製される容器42を各部に移送する機構を備える。
図2の構成例では、測定部101は、容器42を搬送する回転テーブル32を備える。回転テーブル32は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。回転テーブル32は、周方向に沿って配列された複数の保持孔131を含む。保持孔131には、それぞれ1つずつ容器42を設置できる。検体分注部110は、検体分注位置503で回転テーブル32に保持された新しい容器42に、吸引した検体を分注できる。検体分注部120は、回転テーブル32上の検体を収容する容器42から、検体を吸引することもできる。
【0070】
つまり、移動機構30は、回転テーブル32および33を含み、回転テーブル32および33に配置された容器42を、回転テーブル32および33を回転することにより搬送する。これにより、回転テーブル32および33に配置された容器42を回転テーブル32および33の回転を一旦停止させることなく検知することができる。
【0071】
新しい容器42は、容器収納部(図示せず)に多数収納されており、容器収納部から1つずつ取り出される。容器収納部から取り出された容器42は、回転テーブル32の保持孔131に設置できる。
【0072】
検知部22は、回転テーブル32に配置された容器42の有無を検知することができる。検知部22は、回転テーブル32に容器42が置かれたことを確認するために用いられる。また、検知部22は、回転テーブル32から容器42が取り出されたことを確認するために用いられる。また、検知部22は、初期動作において、回転テーブル32に容器42が配置されていないことを確認するために用いられる。
【0073】
図2の構成例では、検体測定装置100は、容器42中の検体に試薬を添加して、測定試料を調製する機能を備えている。測定試料は、検体と試薬との混合液である。
【0074】
測定部101は、容器42を搬送可能な把持機構160を備える。把持機構160は、容器42を把持して移送し、保持孔131に容器42を設置したり、保持孔131から容器42を取り出したりできる。また、把持機構160は、保持した容器42を廃棄口261に移送できる。
【0075】
測定部101は、測定に使用する試薬容器191を収容する試薬テーブル190と、試薬テーブル190に設置された試薬容器から試薬を吸引および吐出するための試薬分注部200および210とを備える。
【0076】
試薬テーブル190は、回転テーブル32の内側に配置され、平面視で円形状を有する。試薬テーブル190には、複数の試薬容器191を周方向に沿って設置できる。試薬テーブル190は、周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器191を所定の試薬吸引位置に位置付けることができる。
【0077】
試薬分注部200および210は、試薬分注用のピペット(図示せず)を備えている。ピペットは、図示しないポンプと接続されており、試薬の定量吸引および吐出ができる。試薬分注部200は、試薬テーブル190上の所定の試薬吸引位置に位置付けられた試薬容器191から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部200は、ピペットを試薬分注位置に移動させて、試薬分注位置の容器42に所定量の試薬を吐出できる。
【0078】
試薬分注部210は、試薬テーブル190上の所定の試薬吸引位置に位置付けられた試薬吸引位置の試薬容器191から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部210は、ピペットを試薬分注位置に移動させて、試薬分注位置の容器42に所定量の試薬を吐出できる。
【0079】
測定部101は、検体が分注された容器42を保持して加温するための回転テーブル33を備える。回転テーブル33は、検体を収容した複数の容器42をそれぞれ保持するための複数の保持孔221と、容器42を把持して移送するための把持機構222とを含む。回転テーブル33は、複数の保持孔221にそれぞれ保持された容器42を加温するためのヒータ(図示せず)を内蔵している。
【0080】
回転テーブル33は、平面視で円形状を有し、複数の保持孔221が周方向に沿って配列されている。回転テーブル33は、周方向に回転可能であり、ヒータによって所定温度に加温しながら、回転によって複数の保持孔221に設置された容器42を周方向に移送できる。把持機構222は、容器42を把持して移送し、保持孔221に容器42を設置したり、保持孔221から容器42を取り出したりできる。
【0081】
検知部23は、回転テーブル33に配置された容器42の有無を検知することができる。検知部23は、回転テーブル33に容器42が置かれたことを確認するために用いられる。また、検知部23は、回転テーブル33から容器42が取り出されたことを確認するために用いられる。また、検知部23は、初期動作において、回転テーブル33に容器42が配置されていないことを確認するために用いられる。
【0082】
検体測定装置100は、試薬テーブル190、試薬分注部200および回転テーブル33を備えずに、調製された測定試料を予め収容させた容器42に対して測定を行う構成であってもよい。
【0083】
測定部101は、容器42中の測定試料に対する光学的な測定を行うための検出ユニット230を備える。検出ユニット230は、検体を収容した容器42を設置するための容器設置部231と、容器設置部231に対応して設けられた受光部とを含んでいる。
【0084】
図2の構成例では、検出ユニット230は、容器設置部231を複数備えている。検出ユニット230は、複数の容器設置部231が所定間隔を隔てて直線状に2列配列されている。
【0085】
測定部101は、検出ユニット230に容器42を移送するための把持機構180を含む。
【0086】
把持機構180は、直交する3軸方向であるX、YおよびZの各方向への移動機構(図示せず)を備え、容器42を把持して移送できる。把持機構180は、回転テーブル33の保持孔221から容器42を取り出して試薬分注位置に移送し、試薬が分注された後の容器42を検出ユニット230の容器設置部231に設置できる。また、把持機構180は、測定済みの容器42を容器設置部231から取り出して、廃棄口260に移送できる。
【0087】
検出ユニット230の容器設置部231に設置された容器42内の測定試料に対して、光学的な測定が行われる。光照射部は、検出ユニット230の容器設置部231に設置された容器42に対して、測定用の光を照射する。受光部は、容器42に照射された光の透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。電気信号は、分析部104に送信される。分析部104は、受光部から出力される電気信号に基づいて、検体を分析する。
【0088】
(制御装置)
図3に示すように、検体測定装置100は、測定部101の動作を制御する制御装置60を備えている。制御装置60は、検体測定装置100の各部の動作を制御する。制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置を備え、記憶部に記憶されたプログラムに従って、測定部101内の各部および搬送部102を制御する。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびハードディスクなどの記憶媒体を備え、制御装置60の動作に必要なプログラムおよびデータを記憶している。
【0089】
図4に示すように、制御装置60は、情報取得部61と、メモリ62とを含んでいる。情報取得部61は、プログラムにより制御されるソフトウェア的な構成でもよい。メモリ62は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびハードディスクなどの記憶媒体を備えている。制御装置60は、移動機構30を制御する制御部50を制御する。制御部50は、FPGA(field−programmable gate array)51などのハードウェア的な構成を含んでいる。FPGA51は、情報を記憶する記憶部52が設けられている。
【0090】
移動機構30は、モータ30aとエンコーダ30bとを含んでいる。制御部50は、エンコーダ30bによる駆動量または駆動位置を検知しながら、モータ30aを駆動させる。検知部20は、エンコーダ30bにより取得したモータ30aの駆動量または駆動位置に基づいて、相対移動されている状態の容器40または42の検知を実行する。これにより、移動機構30の移動量または移動位置を容易に取得することができる。
【0091】
具体的には、制御部50は、移動機構30により容器40または42を検知部20に対して相対移動させながら、所定の相対位置における検知部20の検知結果を記憶部52に記憶させる。これにより、制御部50により容器40または42の検知のための相対移動を制御し、検知結果を記憶させることができる。
【0092】
情報取得部61は、情報を取得することが可能である。情報取得部61は、制御部50により記憶された検知部20の検知結果に基づいて、容器40または42の配置および構造のうち少なくとも一方の情報を取得する。これにより、検知結果を記憶させる制御部50が、容器40または42の配置および構造のうち少なくとも一方の検知結果を解析して情報として取得する必要がないので、検知を実行する際の処理負担が増大するのを抑制することができる。
【0093】
また、情報取得部61は、情報を関連付けることが可能である。また、検知部20は、容器40または42の有無および容器40のキャップ41の有無のうち少なくとも一方に関する第1情報を取得する。記憶部52は、第1情報の取得時の、タイミング、検知部20に対する容器40または42の相対位置のうち少なくとも一方に関する第2情報を記憶する。情報取得部61は、第2情報に基づいて、第1情報と、容器40または42の識別および移動機構30上の容器40または42の位置の少なくとも一方に関する第3情報と、を関連付ける。これにより、検知部20による検知を実行した後、情報取得部61により情報を関連付けて解析することができるので、検知を実行する際の処理負担が増大するのを抑制することができる。
【0094】
FPGA51は、移動機構30の容器40または42の有無、および、キャップ41の有無を、を容器40または42の相対移動を停止させる事なく高速で判別する。具体的には、FPGA51は、容器40または42の有無を相対移動の動作中に判別し、ラッチ下結果を上位に伝える。また、FPGA51は、容器位置と容器40または42の有無の関係を、モータ30aのパルス値またはエンコーダ30bから求め、結果をラッチする。
【0095】
FPGA51は、たとえば、動作クロックが20MHzにより動作する。FPGA51は、容器位置が、監視開始位置ポジション+1ポジション目位置+容器間隔×nに設定されて動作する。容器有無の確定は、容器ポジションを検知部20が通過したもののみ確定される。FPGA51は、全ての検知が終了すると、エンドフラグを0から1にする。
【0096】
(検知部)
図5および
図6に示すように、検知部20(21)は、容器40のキャップ41の有無を検知する。検知部20は、発光部20aと受光部20bとを含んでいる。検知部20は、発光部20aから可視光または赤外光を受光部20bに向けて照射する。発光部20aおよび受光部20bは、上下方向において互いに異なる高さ位置に配置されている。つまり、発光部20aは、受光部20bに対して斜め方向に光を照射する。検知部20は、容器40にキャップ41が無い場合に、
図5に示すように、発光部20aの光が受光部20bに到達する。検知部20は、受光部20bにより光を検出する場合にキャップ41が無いことを検知する。また、検知部20は、容器40にキャップ41が有る場合に、
図6に示すように、発光部20aの光がキャップ41により遮られ、受光部20bに光が到達しない。検知部20は、受光部20bにより光を検出しない場合にキャップ41が有ることを検知する。検知部20の発光部20aおよび受光部20bの位置は、使用する容器40およびキャップ41の大きさや種類により調整されてもよい。
【0097】
図7に示すように、検知部20(22および23)は、容器42の存在を検知することにより、容器42の配置を検知する。検知部22および23は、それぞれ、回転テーブル32および33の近傍に設けられている。また、検知部22および23は、反射型のセンサである。検知部22および23は、容器42が存在する場合に、反射光を検知する。また、検知部22および23は、容器42が存在しない場合に、反射光を検知しない。検知部22および23は、アナログ式のセンサを用いてもよい。
【0098】
図8に示すように、検知部20は、移動機構30の移動量または移動位置に基づいて、相対移動されている状態の容器40または42の検知を実行する。これにより、容器40または42が検知部20による検知が可能な相対位置にいるタイミングで、検知部20による検知を実行することができるので、容器40または42の相対移動を一旦停止させなくても、容器40または42の配置および構造のうち少なくとも一方を容易に検知することができる。
【0099】
具体的には、移動機構30の容器40または42の移動区間に検知部20との相対位置が既知である基準位置が設定されている。移動機構30は、基準位置を始点として容器40または42を移動させる。これにより、基準位置から検知部20の検知位置までの所定の距離d1だけ容器40または42が移動されたタイミングで検知部20による検知を実行することにより、容器40または42を移動させながらでも容器40または42の検知を確実に行うことができる。また、距離d1を移動させた後は、容器40または42が配置される間隔d2分だけ相対移動される毎に検知部20による検知を実行する。また、容器40または42が配置される位置を、監視幅d3分だけ相対移動中に検知を実行する。
【0100】
制御部50は、検知位置に容器40または42の配置位置が来るたびに、検知部20による検知信号をFPGA51によりラッチして記憶する。
【0101】
図9に示すように、移動機構30は、検知部20による検知を実行する際に、停止している容器40または42に対して検知部20を移動させてもよい。これにより、検知部20を容器40または42に対して一旦停止させることなく容器40または42の配置および構造のうち少なくとも一方を検知することができる。
【0102】
この場合、検知部20は初期位置が設定されており、移動機構30は、初期位置を始点として検知部20を移動させる。これにより、初期位置から容器40または42の位置までの所定の距離だけ検知部20が移動されたタイミングで検知部20による検知を実行することにより、検知部20を移動させながらでも容器40または42の検知を確実に行うことができる。
【0103】
図10に示すように、移動機構30は、検知部20による検知を実行する際に、検知部20と容器40または42との両方を移動させてもよい。
【0104】
(キャップ検知処理)
図11を参照して、制御部50によるキャップ検知処理について説明する。
【0105】
ステップS1における制御装置60からの搬送開始指示に基づいて、ステップS2において、制御部50は、移動機構30による容器40の搬送を開始する。
【0106】
ステップS3において、制御部50は、エンコーダ30bの信号に基づいて、移動機構30の搬送位置が検知位置か否かを判断する。検知位置でなければ、制御部50は、搬送位置が検知位置に到達するまでステップS3の判断を繰り返す。検知位置であれば、ステップS4に進む。ステップS4において、制御部50は、検知部20による検知結果を記憶する。
【0107】
ステップS5において、制御部50は、検知位置の残りがあるか否かを判断する。残りがあれば、ステップS3に戻る。残りがなければ、ステップS6に進む。ステップS6において、制御部50は、検知を終了する。また、制御部50は、容器40の搬送を停止する。
【0108】
制御装置60は、ステップS7において、検知部20による検知が終了すると、任意のタイミングにおいて、制御部50により記憶された検知結果を取得する。制御装置60は、全ての検知結果を制御部50から取得すると、ステップS8において、検知結果をリセットする。これにより、次の検知を実行することが可能となる。
【0109】
(容器検知処理)
図12を参照して、制御部50による容器検知処理について説明する。
【0110】
この容器検知処理は、検体測定装置100の初期動作において、回転テーブル32および33に容器42が配置されていないことを検知するために行われる。ステップS11における制御装置60からの回転テーブル回転開始指示に基づいて、ステップS12において、制御部50は、回転テーブル32または33の回転を開始する。制御部50は、たとえば、数秒で1回転するように回転テーブル32または33を回転させる。
【0111】
ステップS13において、制御部50は、エンコーダ30bの信号に基づいて、回転テーブル32または33の回転位置が検知位置か否かを判断する。検知位置でなければ、制御部50は、回転位置が検知位置に到達するまで、ステップS13の判断を繰り返す。検知位置であれば、ステップS14に進む。ステップS14において、制御部50は、検知部20による検知結果を記憶する。
【0112】
ステップS15において、制御部50は、検知位置の残りがあるか否かを判断する。つまり、制御部50は、1回転分回転テーブル32または33を回転させたか否かを判断する。残りがあれば、ステップS13に戻る。残りがなければ、ステップS16に進む。ステップS16において、制御部50は、回転テーブル32または33の回転を停止させて、検知を終了する。
【0113】
制御装置60は、ステップS17において、検知部20による検知が終了すると、任意のタイミングにおいて、制御部50により記憶された検知結果を取得する。制御装置60は、回転テーブル32または33に容器42が有る場合、回転テーブル32または33に配置されている容器42を廃棄する。制御装置60は、全ての検知結果を制御部50から取得すると、ステップS19において、検知結果をリセットする。これにより、次の検知を実行することが可能となる。
【0114】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。