特許第6886973号(P6886973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886973
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/00 20060101AFI20210603BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20210603BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   C08G73/00
   G03F7/004 503Z
   G03F7/031
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-520790(P2018-520790)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】JP2017018625
(87)【国際公開番号】WO2017208837
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2019年12月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-110750(P2016-110750)
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106139
【氏名又は名称】サンアプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118061
【弁理士】
【氏名又は名称】林 博史
(72)【発明者】
【氏名】白石 篤志
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−114386(JP,A)
【文献】 特開2014−108974(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0030076(US,A1)
【文献】 特開2012−246456(JP,A)
【文献】 特表2004−533473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00−73/26,
G03F7/004,
C09B23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)で表されるオニウム塩
(B)増感剤
(C)窒素原子を有するカチオン重合性化合物
を必須成分として含有し、増感剤(B)がポリメチン系色素であり、窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)がアジリジン化合物であることを特徴とする、感光性組成物。
【化1】
〔式(1)中、Rfは互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基であり、かつそれぞれの基の炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子で80%以上置換した基であり、nは1〜5の整数であり、Aは1価のオニウムカチオンである。〕
【請求項2】
一般式(1)中のAがスルホニウムカチオンまたはヨードニウムカチオンである請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
一般式(1)中のRfが互いに独立して、水素原子をフッ素原子で90%以上置換した炭素数1〜8のアルキル基である請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の感光性組成物に対し、波長400nm〜1500nmの可視光〜赤外光領域の光を照射する工程を含むことを特徴とする感光性組成物の硬化方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載の感光性組成物に対し、波長700nm〜1200nmの近赤外光領域の光を照射する工程を含むことを特徴とする感光性組成物の硬化方法。
【請求項6】
請求項またはに記載の方法で感光性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可視〜赤外領域の光線に感光し、硬化させる感光性組成物に関する。さらに詳しくは可視〜赤外領域の光線を照射し硬化させる感光性組成物であり、例えばコーティング剤、塗料、平版印刷版等に用いられる。
また、本発明は露光部、未露光部の現像液への溶解性差を利用したパターニングを経て形成される製品若しくは部材(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料又は接着剤等)の製造に好適に用いられる感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)照射により、液状物質を硬化させるUV硬化技術は、その作業性(速硬化性)や低VOC化の観点から、コーティング剤や塗料、印刷インキ等に適用範囲が広がりつつある。
一般に感光性組成物は、光重合開始剤、ラジカル(又はカチオン)重合性モノマー、オリゴマー又はポリマー、用途に応じ着色剤及び添加剤からなる。着色剤は大別して顔料及び染料からなり、塗膜を着色させるために配合されるが、光を遮蔽してしまうだけでなく、その色に応じた光吸収特性を持ち照射する光の一部を吸収するため、着色剤を含む感光性組成物では塗布された塗膜の深部にまで光が届かないことがある。これに対し、特定の光重合開始剤を使用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、記録材料等において利用されている小型で安価な半導体レーザーを光源として使用する為には、長波長、特に近赤外領域に対する感度が必要である。しかし、公知の感光性組成物は近赤外領域に対して感度を有していないか、有してはいても十分な高感度でなく、高い感度を有する場合には感光性組成物の保存性が十分でないと言う欠点を有している。
そこで長波長の領域において高感度な開始剤として特定の開始剤が提案されている(例えば特許文献2〜3参照)。
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載の特定の開始剤を用いた感光性組成物も照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在する場合や厚い膜厚の場合、あるいは光源が長波長領域にある場合の硬化性が十分ではなく、また組成物に対する開始剤の溶解性が低い等の課題がある。
しかし、特許文献1〜3に記載の特定の開始剤を用いた感光性組成物についても、照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在する場合や感光性組成物の膜厚が厚く照射した光が減衰する場合、あるいは光源が長波長領域にある場合においては、硬化性が十分ではなく、また組成物に対する開始剤の溶解性が低い等の課題がある。

【0005】
一方、ラジカル重合系では硬化物の収縮、酸素阻害による硬化性低下等の課題がある。これらを解決するため一般的に含酸素環状化合物(たとえばエポキシ化合物やオキセタン化合物等)をモノマーとして用いる、カチオン重合系での検討が行われている(例えば特許文献4〜5参照)。しかし、カチオン重合系で一般的に用いられる含酸素環状化合物では、特に可視〜近赤外領域で用いられる感光剤(ここでは開始剤や増感剤、着色剤等を含む)が有する塩基性により、重合が阻害される課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−19142号公報
【特許文献2】特開平2−157760号公報
【特許文献3】特開平5−247110号公報
【特許文献4】特開2003−119414号公報
【特許文献5】特開2010−106254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、(1)照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が感光性組成物中に高濃度で存在する場合;(2)感光性組成物の膜厚が厚く照射した光が減衰する場合;(3)照射する光源が可視光〜赤外光、特にエネルギーが小さい赤外光を照射する場合;
何れの場合に対しても硬化性に優れる感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、可視光〜赤外光に対し優れた感度を有する感光性組成物を見出すに至った。
すなわち本発明は、
(A)一般式(1)で表されるオニウム塩
(B)増感剤
(C)窒素原子を有するカチオン重合性化合物
を必須成分として含有することを特徴とする、感光性組成物である。
【0009】
【化1】
【0010】
〔式(1)中、Rfは互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基であり、かつそれぞれの基の炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子で80%以上置換した基であり、nは1〜5の整数であり、Aは1価のオニウムカチオンである。〕
【0011】
更に本発明は、上記記載の感光性組成物に波長400nm〜1500nmの可視光〜赤外光領域の光を照射する工程を含むこと特徴とする硬化方法である。
【0012】
更に本発明は、上記感光性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感光性組成物は、波長400nm〜1500nmの可視光〜赤外光領域の光に感光して効率よく強酸を発生し、硬化させることができる。また、紫外光〜可視光領域に吸収を有する添加剤、着色剤を配合した組成物であっても、エネルギー線の透過が妨げられないので効率よく硬化物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の感光性組成物は、一般式(1)で表されるオニウム塩(A)を含有することを特徴とする。
【0016】
【化2】
【0017】
式(1)中、Rfは互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基であり、かつそれぞれの基の炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子で80%以上置換した基であり、nは1〜5の整数であり、Aは1価のオニウムカチオンである。
【0018】
炭素数1〜8のアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシルなどの分岐アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基が挙げられる。
【0019】
炭素数2〜8のアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−1−プロペニルなどの直鎖または分岐状のものが挙げられる。
【0020】
炭素数6〜10(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル等単環式複素環;及びインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル等縮合多環式複素環)が挙げられる。
アリール基としては、以上の他に、アリール基中の水素原子の一部が炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基で置換されていてもよい。
【0021】
式(1)中Rfは、上記炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基における炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子で通常、80%以上置換されたものである。好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満では、本発明の感光性組成物において重合開始能が低下する。
Rfの中でも、原料の入手しやすさから、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。特に好ましいRfは、炭素数が1〜4、かつフッ素原子の置換率が100%のアルキル基であり、具体例としては、CF、CFCF、(CFCF、CFCFCF、CFCFCFCF、(CFCFCF、CFCF(CF)CF及び(CFCが挙げられる。
【0022】
式(1)中、nはリン原子に置換する置換基Rfの個数を表し、1〜5の整数である。
原料入手の観点から、好ましくはn=1〜3であり、特に好ましくはn=2〜3である。
【0023】
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては[(CF)PF、 [(CFPF、[(CFPF、[(CFCF)PF、 [(CFCFPF、 [(CFCFPF、 [((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[(CFCFCF)PF、[(CFCFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCFCF)PF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[(CFCFCFCF)PF、[(CFCFCFCFPF、及び[(CFCFCFCFPFが挙げられ、
これらのうち、[(CFPF、[(CFPF、[(CFCFPF、 [(CFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[(CFCFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[(CFCFCFCFPF及び[(CFCFCFCFPFが特に好ましい。
【0024】
式(1)中、Aは1価のオニウムカチオンである。
1価のオニウムカチオンとは、非共有電子対を持つ元素を含んだ化合物にプロトン又は陽イオン型の原子団(アルキル基等)が配位して生じる陽イオンを意味し、1価のオニウムカチオンとしては以下のカチオンが挙げられる。
【0025】
オキソニウムカチオン(トリメチルオキソニウムカチオン、トリエチルオキソニウム及びテトラメチレンメチルオキソニウムカチオン等);
ピリリニウムカチオン(4−メチルピリリニウムカチオン及び2,6−ジフェニルピリリニウムカチオン等);
クロメニウムカチオン(2,4−ジメチルクロメニウムカチオン等);
イソクロメニウムカチオン(1,3−ジメチルイソクロメニウムカチオン等);
アンモニウムカチオン[アンモニウムカチオン、1級アンモニウムカチオン(n−ブチルアンモニウムカチオン等)、2級アンモニウムカチオン(ジエチルアンモニウムカチオン等)、3級アンモニウムカチオン(トリエチルアンモニウムカチオン等)、4級アンモニウムカチオン(テトラメチルアンモニウムカチオン、フェニルトリメチルアンモニウムカチオン及びテトラブチルアンモニウムカチオン等)];
ピロリジニウムカチオン(N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン及びN,N−ジエチルピロリジニウムカチオン等);
イミダゾリニウムカチオン(N,N'−ジメチルイミダゾリニウムカチオン及びN−エチル−N'−メチルイミダゾリニウムカチオン等);
アミジニウムカチオン(N,N'−ジメチルテトラヒドロピリミジニウムカチオン、N−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン及びN−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムカチオン等);
モルホリニウムカチオン(N,N'−ジメチルモルホリニウムカチオン等)、ピペリジウムカチオン(N,N'−ジエチルピペリジニウムカチオン等);
ピリジニウムカチオン(N−メチルピリジニウムカチオン、N−メトキシピリジニウムカチオン、N−ブトキシピリジニウムカチオン、N−ベンジルオキシピリジニウムカチオン、及びN−ベンジルピリジニウムカチオン等)。
イミダゾリウムカチオン(N,N'−ジメチルイミダゾリウムカチオン及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等);
キノリウムカチオン(N−メチルキノリウムカチオンカチオン及びN−ベンジルキノリウムカチオン等);
イソキノリウムカチオン(N−メチルイソキノリウム等);
チアゾニムカチオン(ベンジルベンゾチアゾニウムカチオン等);
アクリジウムカチオン(ベンジルアクリジウムカチオン及びフェナシルアクリジウム等);
ジアゾニウムカチオン(フェニルジアゾニウムカチオン、2,4,6−トリエトキシフェニルジアゾニウムカチオン、2,4,6−トリヘキシルオキシフェニルジアゾニウムカチオン及び4−アニリノフェニルジアゾニウムカチオン等);
グアジニウムカチオン(ヘキサメチルグアニジニウムカチオン及び2−ベンジル−2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオン等)。
ホスホニウムカチオン[3級ホスホニウムカチオン(トリフェニルホスホニウムカチオン及びトリtert−ブチルホスホニウムカチオン等)並びに4級ホスホニウムカチオン(テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラ−p−トリルホスホニウムカチオン、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、トリフェニルブチルカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン及びテトラブチルホスホニウムカチオン等)等]。
スルホニウムカチオン{トリフェニルスルホニウムカチオン、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムカチオン、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド及び4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウムカチオン等};
スルホキソニウムカチオン(トリフェニルスルホキソニウム等);
チアンスレニウムカチオン[5−(4−メトキシフェニル)チアンスレニウム、5−フェニルチアンスレニウム及び5−トリルチアンスレニウムカチオン等];
チオフェニウムカチオン(2−ナフチルテトラヒドロチオフェニウム等);
ヨードニウムカチオン[ジフェニルヨードニウムカチオン、ジ−p−トリルヨードニウムカチオン及び4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムカチオン等]。
【0026】
上記オニウムカチオンの中でも、反応性の面からスルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、ピリジニウムカチオンが好ましく、熱安定性の面からスルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが特に好ましい。
【0027】
好ましいヨードニウムカチオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウムカチオン、ジ−p−トリルヨードニウムカチオン及び4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムカチオンの他、ジ−(4−tertブチル)フェニルヨードニウムカチオン、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムカチオン、ジ−4−イソプロピルフェニルヨードニウムカチオン、ビス(2,4−ジイソプロピルフェニル)ヨードニウムカチオン、4−ヘキシルフェニル(p−トリル)ヨードニウムカチオン、4−シクロヘキシルフェニル(p−トリル)ヨードニウムカチオン、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウムカチオン、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウムカチオン等が挙げられる。
【0028】
好ましいスルホニウムカチオンの具体例としては、上記トリフェニルスルホニウムカチオン、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムカチオン、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド及び4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウムカチオンの他、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウムカチオン、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムカチオン、4−tertブチルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、ジフェニルフェナシルスルホニウムカチオン等が挙げられる。
【0029】
好ましいヨードニウム塩の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0030】
【化3】
【0031】
好ましいスルホニウム塩の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
本発明の、一般式(1)で表されるオニウム塩は、複分解法によって製造できる。複分解法は例えば、新実験化学講座14−I巻(1978年、丸善)p−448;Advance in Polymer Science,62,1−48(1984);新実験化学講座14−III巻(1978年、丸善)pp1838−1846;有機硫黄化学(合成反応編、1982年、化学同人)、第8章、pp237−280;日本化学雑誌,87,(5),74(1966);特開昭64−45357号公報、特開昭61−212554号公報、特開昭61−100557号公報、特開平5−4996号公報、特開平7−82244号公報、特開平7−82245号公報、特開昭58−210904号公報、特開平6−184170号公報などに記載されているが、まずオニウムカチオンのF、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオン塩;OH塩;ClO塩;FSO、ClSO、CHSO、CSO、CFSOなどのスルホン酸イオン類との塩;HSO、SO2−などの硫酸イオン類との塩;HCO、CO2−、などの炭酸イオン類との塩;HPO、HPO2−、PO3−などのリン酸イオン類との塩などを製造し、これを式(1)で表されるオニウム塩を構成するアニオンのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩または4級アンモニウム塩と、必要により、KPF、KBF、LiB(Cなどの他のアニオン成分とを理論量以上含む溶媒及び水溶液中に加えて複分解させる。
溶媒としては、水や有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン及びジオキサン等)、塩素系溶剤(クロロホルム及びジクロロメタン等)、アルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、ニトリル(アセトニトリル等)及び極性有機溶剤(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン等)が含まれる。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0034】
これにより生成した目的のオニウム塩は、結晶または油状で分離してくる。油状物の場合、析出した油状物を有機溶剤溶液から分離し、さらに油状物に含有する有機溶剤を留去することにより得られる。結晶の場合、析出した固体を有機溶剤溶液から分離し、さらに、固体に含有する有機溶剤を留去することにより得られる。このようにして得られた目的のオニウムの塩を必要により再結晶または水や溶媒による洗浄等の方法で精製することができる。
【0035】
再結晶による精製は、目的のオニウム塩を少量の有機溶剤で溶解し、その有機溶剤からの分離は、目的のオニウム塩を含む有機溶剤溶液に対して直接(又は濃縮した後)、貧溶剤を加えて目的のオニウム塩を析出させることにより行うことができる。ここで用いる貧溶剤としては、鎖状エーテル(ジエチルエーテル及びジプロピルエーテル等)、エステル(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、脂肪族炭化水素(へキサン及びシクロヘキサン等)及び芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)が含まれる。また、温度による溶解度差を利用して、精製を行うこともできる。精製は、再結晶(冷却による溶解度の差を利用する方法、貧溶剤を加えて析出させる方法及びこれらの併用)によって精製することができる。また、光塩基発生剤が油状物である場合(結晶化しない場合)、油状物を水又は貧溶媒で洗浄する方法により精製できる。
【0036】
このようにして得られたオニウム塩の構造は、一般的な分析手法、例えば、H、13C、19F、31Pなどの各核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルあるいは元素分析などによって同定することができる。
【0037】
上記の複分解反応に用いるフッ素化アルキルフルオロリン酸塩としては、反応性の観点からアルカリ金属の塩が好ましい。この塩は前駆体であるフッ素化アルキルフルオロホスホランとフッ化アルカリ金属とをジメチルエーテル、ジエトキシエタン、アセトニトリルまたはこれらの混合物のような非プロトン性の溶媒中、−35〜60℃で反応させて得られる(米国特許6210830号公報)。
【0038】
前駆体のフッ素化アルキルフルオロホスホランは、例えば、アルキルホスフィンを常圧下、−15〜20℃の温度でフッ化水素酸により電気化学的にフッ素化する方法(米国特許6264818号公報)などにより得られる。電気化学的フッ素化の進行は電気量に比例し、通常、理論的電気量の90〜150%、特に110〜130%が消費された時点でフッ素化を終了する。これによりアルキル基の水素原子が80%以上、好ましくは90%以上がフッ素で置換されたフッ素化アルキルフルオロホスホランが得られる。目的のフッ素化アルキルフルオロホスホランは電解液から分離するので分液により回収し、必要により蒸留によって精製する。
【0039】
本発明の感光性組成物は、可視領域〜赤外領域(400nm〜1500nm)の波長の光を吸収し、オニウム塩(A)に対しエネルギー又は電子移動により分解を引き起こす増感剤(B)を含む。
【0040】
増感剤(B)としては、公知(特開平11−279212号公報及び特開平09−183960号公報等)に記載の増感剤を含む、可視領域〜赤外領域に吸収を有する化合物が用いられる。特に、赤外領域である700nm〜1500nmに吸収を有する増感剤は「IR吸収剤」、「IR色素」とも呼ばれる。
【0041】
可視領域(400nm〜700nm)に吸収を有する増感剤(B−1)の具体例としては、ベンゾキノン{1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン等};ナフトキノン{1,4−ナフトキノン、1,2−ナフトキノン等};アントラキノン{2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、等};アントラセン{アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン等};ピレン;1,2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン{チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等};フェノチアジン{フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン等};キサントン;クマリン{7−(ジエチルアミノ)4−(トリフルオロメチル)クマリン、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、10−アセチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等};ケトン{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ビス(4,4’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及びビス(4,4’−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等};カルバゾール{N−フェニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等};クリセン{1,4−ジメトキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等};フェナントレン{9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等}等が挙げられる。
特に、電子受容性の観点から、ナフトキノン系、ベンゾフェノン系、キサントン系、アントラキノン系、チオキサントン系の増感剤を使用したときに、高い増感効果が得られるため、好ましい。
【0042】
赤外領域(700nm〜1500nm)に吸収を有する増感剤(B−2)としては、シアニン色素、(チオ)ピリリニウム色素、スクアリウム色素等のポリメチン色素;アミニウム色素、ジイモニウム色素等のN,N−ジアリールイミノカチオン骨格を有する色素;フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン;フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン;及びフタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン;フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリンの金属錯体等が使用できる。
特に、原料の入手のしやすさ及び感光性組成物への溶解性等の観点から、ポリメチン色素が好ましい。
【0043】
好ましいポリメチン色素の具体例としては、以下のような化合物が例示される。
【0044】
【化5】
【0045】
【化6】
【0046】
本発明の感光性組成物が含む窒素原子を含むカチオン重合性化合物(C)としては、カチオン重合性を有する化合物の中で、含窒素複素環化合物が制限無く公知のものを使用することができる。例えば、アジリジン、アゼチジンのような窒素を有する環状化合物や、オキサゾリン、オキサジンといった酸素と窒素を有する複素環化合物が挙げられる。
【0047】
アジリジンとは、窒素を有する3員環化合物である。単官能アジリジン化合物の具体例としては、アジリジン、N−メチルアジリジン、N−エチルアジリジン、N−tertブチルアジリジン、2−メチルアジリジン、2,3−ジメチルアジリジン、2,2−ジメチルアジリジン、2−エチルアジリジン及びシクロヘキセンイミン等が挙げられる。
【0048】
その他アジリジン化合物としては、アジリジンと(メタ)アクリレート化合物とをマイケル付加反応により二重結合部分にアジリジニル基を結合させた化合物も本発明の感光性組成物に好適に用いられる。(尚、上記及び下記において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。)
【0049】
そのようなアジリジン化合物としては、単官能〜六官能のアジリジン化合物が挙げられる。
単官能アジリジンとしては、3−(1−アジリジル)プロピオン酸エチル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸2−エチルヘキシル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸ブトキシメチル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸ジメチルアミノエチル、3−(1−アジリジル)プロピオン酸ポリエチレンオキサイドモノメチルエーテルエステル及び3−(1−アジリジル)プロピオン酸ポリプロピレンオキサイドモノアルキルエーテルエステル等が挙げられる。
【0050】
二官能アジリジンとしては、ビス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)1,4−ブタンジオールエステル、ビス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)1,6−ヘキサンジオールエステル、ビス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)ネオペンチルグリコールエステル及びビス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)ポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。
【0051】
三官能アジリジンとしては、トリメチロールプロパントリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、トリメチロールプロパントリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ジペンタエリスルトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びソルビトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル等が挙げられる。
【0052】
四官能アジリジンとしては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ソルビトールテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びジトリメチロールプロパンテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル等が挙げられる。
【0053】
五官能アジリジンとしては、ソルビトールペンタキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びジペンタエリスリトールペンタキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルが挙げられる。
【0054】
六官能アジリジンとしては、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びソルビトールヘキサキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル等が挙げられる。
【0055】
その他多官能アジリジンとしては、各種(メタ)アクリレートオリゴマーにアジリジンを付加させた化合物、ポリ(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルエポキシオリゴマー、ポリ(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルウレタンオリゴマー、ポリ(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルポリエーテルオリゴマー及びポリ(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルポリシロキサンオリゴマー等が挙げられる。
【0056】
これらの内、硬化速度の観点から好ましいのは、トリメチロールプロパントリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、トリメチロールプロパントリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ジペンタエリスルトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ソルビトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ソルビトールテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ソルビトールペンタキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、及びジペンタエリスリトールペンタキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びソルビトールヘキサキス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルであり、さらに入手しやすさからトリメチロールプロパントリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、トリメチロールプロパントリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(2−メチル−1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ペンタエリスリトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル、ジペンタエリスルトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステル及びソルビトールトリス(3−(1−アジリジル)プロピオン酸)エステルがより好ましい。
【0057】
アゼチジンとは、窒素を有する4員環化合物である。単官能アゼチジン化合物の具体例としては、アゼチジン、N−メチルアゼチジン、N−エチルアゼチジン、N−tertブチルアゼチジン、3,3−ジメチルアゼチジン及び3−ヒドロキシアゼチジン等が挙げられる。
【0058】
その他アゼチジン化合物としては、アジリジン化合物と同様、アゼチジンと(メタ)アクリレート化合物とをマイケル付加反応により二重結合部分にアゼチジニル基を結合させた化合物も本発明の感光性組成物に好適に用いられる。好ましい具体例も、アジリジン化合物と同様のものが挙げられる。
【0059】
上記アジリジン及びアゼチジンと(メタ)アクリレート化合物とをマイケル付加反応により二重結合部分にアジリジニル基及びアゼチジニル基を結合させた化合物の合成法としては、例えば特公表2013−515819号公報、WO2015170081号公報に開示されている。
【0060】
本発明の感光性組成物に用いられるオキサゾリン化合物としては、オキサゾリン、2−メチルオキサゾリン、2−エチルオキサゾリン、2−tert−ブチルオキサゾリン、4,4−ジメチルオキサゾリン、4,4−ジメチル−2−エチルオキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼン及び1,4−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼン等が挙げられる。
オキサジン化合物としては、5,6−ジヒドロ−4H−3,1−オキサジン、2−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−3,1−オキサジン、2−フェニル−5,6−ジヒドロ−4H−3,1−オキサジン、2−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン、2−フェニル−4H−3,1−ベンゾオキサジン及び6,6’−メチレンビス[(N−フェニル)ベンゾオキサジン]、6,6’−ビス[(N−フェニル)ベンゾオキサジン]スルホン等が挙げられる。
【0061】
本発明の感光性組成物には、硬化性を損なわない範囲で、(C)以外のその他公知のカチオン重合性化合物を使用してもよい。
例えば、少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のフェノール(フェノール、ビスフェノールA、フェノールノボラック及びこれらのアルキレンオキシド付加体した化合物)のグリシジルエーテル等芳香族エポキシド;
少なくとも1個のシクロヘキセンやシクロペンテン環を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる化合物(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等)等の脂環式エポキシド;
脂肪族多価アルコール又はこのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテル(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等)、脂肪族多塩基酸のポリグリシジルエステル(ジグリシジルテトラヒドロフタレート等)、長鎖不飽和化合物のエポキシ化物(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等)等の脂肪族エポキシドエポキシド;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等オキセタン化合物;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル及びシクロヘキシルビニルエーテル等脂肪族モノビニルエーテル;
2−フェノキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル及びp−メトキシフェニルビニルエーテル等芳香族モノビニルエーテル;
ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル及びトリエチレングリコールジビニルエーテル等多官能ビニルエーテル;
1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタン等ビシクロオルトエステル;
1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン及び3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等スピロオルトカーボネート;
1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン及び1,4,6−トリオキサスピロ[4.5]デカン等スピロオルトエステル
等が挙げられる。
【0062】
本発明の感光性組成物において、一般式(1)で表されるオニウム塩(A)の含有量は、オニウム塩(A)及び窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)の合計重量に基づいて、0.1重量%〜30重量%、好ましくは重量0.5%〜20重量%、さらに好ましくは1重量%〜10重量%である。なお、一般式(1)で表されるオニウム塩(A)は、2種以上を併用してもよい。
【0063】
本発明の感光性組成物において、増感剤(B)の含有量は、増感剤(B)、オニウム塩(A)及び窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)の合計重量に基づいて、通常0.005〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。
これら増感剤(B)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
本発明の感光性組成物において、窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)の含有量は、オニウム塩(A)及び窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)の合計重量に基づいて、70重量%〜99.9重量%、好ましくは80重量%〜99.5重量%、さらに好ましくは90重量%〜99重量%である。なお、窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)は、2種以上を併用してもよい。
【0065】
本発明の感光性組成物には、感光性組成物の硬化物の外観や物性を制御するために一般的に使用される他の添加剤(J)を含むことができる。その他の添加剤(J)としては、着色剤(Ja)、金属酸化物粒子(Jb)及び金属粒子(Jc)等が含まれる。
【0066】
本発明における着色剤(Ja)としては、従来、塗料及びインキ等に使用されている無機顔料及び有機顔料等の顔料並びに染料が使用できる。
【0067】
無機顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、アルミナ、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト及びチタンブラック等が挙げられる。
【0068】
有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料;β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料;銅フタロシニンブルー、ハロゲン化銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、イソシンドリノン系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ペリノン系及びペリレン系等の多環式又は複素環式化合物が挙げられる。
【0069】
染料の具体例として、イエロー染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類若しくは開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料及びモノメチンオキソノール染料等のメチン染料;ナフトキノン染料及びアントラキノン染料等のキノン系染料等;キノフタロン染料、ニトロ、ニトロソ染料、アクリジン染料並びにアクリジノン染料等が挙げられる。
【0070】
マゼンタ染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、ピラゾロトリアゾール類、閉環型活性メチレン化合物類若しくはヘテロ環(ピロール、イミダゾール、チオフェン及びチアゾール誘導体等)を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類又はピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料及びオキソノール染料等のメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料;ナフトキノン、アントラキノン及びアントラピリドン等のキノン系染料並びにジオキサジン染料等の縮合多環系染料等を挙げられる。
【0071】
シアン染料としては、インドアニリン染料及びインドフェノール染料等のアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料及びメロシアニン染料等のポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピロロピリミジノン若しくはピロロトリアジノン誘導体を有するアリール又はヘテリルアゾ染料(C.I.ダイレクトブルー14等)並びにインジゴ・チオインジゴ染料を挙げられる。
【0072】
着色剤(Ja)の粒子径は、塗膜の鮮映性の観点から、平均粒子径として0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.01μm〜1.0μmが更に好ましい。
【0073】
着色剤(Ja)の添加量は特に限定されないが、感光性組成物の合計重量に基づいて1〜60重量%であることが好ましい。
【0074】
顔料を用いる場合は、その分散性及び感光性組成物の保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加することが好ましい。
顔料分散剤としてはビックケミー社製顔料分散剤(Anti−Terra−U、Disperbyk−101,103、106、110、161、162、164、166、167、168,170、174、182、184又は2020等)、味の素ファインテクノ社製顔料分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール社製顔料分散剤(ソルスパーズ5000、12000、32000、33000及び39000等)が挙げられる。これらの顔料分散剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。顔料分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、感光性組成物中に0.1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0075】
本発明の感光性組成物は、金属酸化物粒子(Jb)又は金属粒子(Jc)を含有することにより、例えばセラミック電子部品のグリーンシート形成及び電極層形成に使用することができる。
【0076】
金属酸化物粒子(Jb)は、誘電体層を形成する際に使用される。(Jb)としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化ニオブ及びチタン酸ジルコン酸鉛等が挙げられ、好ましいのはチタン酸バリウムである。また、酸化アルミニウムや酸化ケイ素、酸化チタン等は基材の保護のためのコーティング層形成の際に使用される。
【0077】
(Jb)の粒子径は、誘電率の観点から、平均粒子径として0.01μm〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.01μm〜1.0μmである。
【0078】
金属粉末(Jc)は導電体層を形成する際に使用される貴金属及び卑金属であり、具体的には、パラジウム、ニッケル、銅、銀及び金等が挙げられ、好ましいのはパラジウム、ニッケル及び銅である。
(Jc)の平均粒子径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。
【0079】
本発明の感光性組成物は、必要により溶剤及び密着性付与剤(シランカップリング剤等)等を含有することができる。
溶剤としては、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテル及びプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等)、エステル類(エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート及びプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、メシチレン及びリモネン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ゲラニオール、リナロール及びシトロネロール等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン及び1,8−シネオール等)が挙げられる。これらは、単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
感光性組成物における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の合計重量に基づいて0〜99重量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜95重量%、特に好ましくは5〜90重量%である。
【0080】
密着性付与剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム及びアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。密着性付与剤を用いる場合の含有量は、感光性組成物の合計重量にもとづいて0〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
【0081】
本発明の感光性組成物は、更に、使用目的に合わせて、無機微粒子、分散剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、スリップ剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等を含有することができる。
【0082】
本発明の感光性組成物は、一般式(1)で表されるオニウム塩(A)、窒素原子を有するカチオン重合性化合物(C)、増感剤(B)、必要により用いる着色剤(Ja)、必要により用いる金属酸化物粒子(Jb)、必要により用いる金属粒子(Jc)、必要により用いる溶剤及び必要により用いる密着性付与剤を公知の撹拌混合装置(撹拌機の付属した混合容器及びペイントシェーカー等)を用いて均一混合する方法及び公知の混練機(ボールミル及び3本ロールミル等)を用いて混練する方法等で得られる。均一混合温度及び混練温度は通常10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃である。
【0083】
本発明の感光性組成物は、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、キセノンランプあるいはLED光源を使用した、可視領域〜赤外領域にエネルギー線を照射できる光源が使用できる。また、用途によっては、一般的に使用されている高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ等においても、400nm以上にもエネルギー線が発生しているので、使用できる。
【0084】
本発明の感光性組成物は、光を照射することによって強酸を発生させ、硬化反応を促進させて、硬化物を得ることができる。したがって、このような硬化物の製造方法としては、光源となる光の波長に応じた増感剤(B)を選択し、該感光性組成物に含有させたものを用いて光を照射するか、用いた増感剤(B)が有する吸収波長に該当する光源を用いて光を照射する工程を含むことが好ましい。なお、硬化反応の際には必要に応じて加熱してもよい。加熱温度は、通常、30℃〜200℃であり、好ましくは35℃〜150℃、更に好ましくは40℃〜120℃である。
【0085】
本発明の感光性組成物の基材への塗布方法としては、用途に応じてスピンコート、ロールコート及びスプレーコート等の公知のコーティング法並びに平版印刷、カルトン印刷、金属印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷といった公知の印刷法を適用できる。また、微細液滴を連続して吐出するインクジェット方式の塗布にも適用できる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されることは意図するものではない。なお、以下特記しない限り、%は重量%を意味する。
【0087】
製造例1 トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−1)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いトリブチルホスフィンの電解フッ素化によりトリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度90%、収率60%)を合成した。
ついで1Lの反応容器に、フッ化カリウム18.0gとジメトキシエタン600mlを加え攪拌懸濁させ、液温を20〜30℃に保ちながら、得られたトリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン202.6gを滴下した。室温で24時間攪拌した後、反応液をろ過し、ろ液からジメトキシエタンを減圧下で留去して、白色粉体136.0gを得た。19F及び31P−NMRにより、このものはトリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−1)であることを確認した。
【0088】
製造例2 トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−2)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いトリプロピルホスフィンの電解フッ素化によりトリス(ヘプタフルオロプロピル)ジフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度89%、収率52%)を合成した。
製造例1において、トリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン202.6gをトリス(ヘプタフルオロプロピル)ジフルオロホスホラン161.0gとする以外は製造例1と同様の操作を行い、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−2)を得た。
【0089】
製造例3 トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−3)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いトリエチルホスフィンの電解フッ素化によりトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度97%、収率72%)を合成した。
製造例1において、トリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン202.6gをトリス(ヘプタフルオロプロピル)ジフルオロホスホラン119.0gとする以外は製造例1と同様の操作を行い、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−3)を得た。
【0090】
製造例4 トリス(ノナフルオロイソブチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−4)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いトリイソブチルホスフィンの電解フッ素化によりトリス(ノナフルオロイソブチル)ジフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度89%、収率47%)を合成した。
製造例1において、トリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン202.6gをトリス(ノナフルオロイソブチル)ジフルオロホスホラン202.6gとする以外は製造例1と同様の操作を行い、トリス(ノナフルオロイソブチル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−4)を得た。
【0091】
製造例5 トリス(ヘプタフルオロイソプロピル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−5)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いトリイソプロピルホスフィンの電解フッ素化によりトリス(ヘプタフルオロイソプロピル)ジフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度89%、収率43%)を合成した。
製造例1において、トリス(ノナフルオロブチル)ジフルオロホスホラン202.6gをトリス(ヘプタフルオロイソプロピル)ジフルオロホスホラン161.0gとする以外は製造例1と同様の操作を行い、トリス(ヘプタフルオロイソプロピル)トリフルオロリン酸カリウム(AN−5)を得た。
【0092】
製造例6 ビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−6)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いジプロピルクロロホスフィンの電解フッ素化によりビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度90%、収率53%)を合成した。
ついで1Lの反応容器に、フッ化ナトリウム16.1gとジメトキシエタン600mlを加え攪拌懸濁させ、液温を20〜30℃に保ちながら、得られたビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロホスホラン119.0gを滴下した。室温で24時間攪拌した後、反応液をろ過し、ろ液からジメトキシエタンを減圧下で留去して、白色粉体115.5gを得た。19F及び31P−NMRにより、このものはビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−6)であることを確認した。
【0093】
製造例7 ビス(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−7)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いジエチルクロロホスフィンの電解フッ素化によりビス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度96%、収率68%)を合成した。
製造例6において、ビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロホスホラン119.0gをビス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスホラン91.0gとする以外は製造例6と同様の操作を行い、ビス(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−7)を得た。
【0094】
製造例8 ビス(ノナフルオロブチル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−8)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いジブチルクロロホスフィンの電解フッ素化によりビス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度77%、収率67%)を合成した。
製造例6において、ビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロホスホラン119.0gをビス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスホラン146.8gとする以外は製造例6と同様の操作を行い、ビス(ノナフルオロブチル)テトラフルオロリン酸ナトリウム(AN−8)を得た。
【0095】
製造例9 (ノナフルオロブチル)ペンタフルオロリン酸リチウム(AN−9)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いブチルジクロロホスフィンの電解フッ素化により(ノナフルオロブチル)テトラフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度90%、収率53%)を合成した。
ついで1Lの反応容器に、フッ化リチウム8.1gとジメトキシエタン600mlを加え攪拌懸濁させ、液温を20〜30℃に保ちながら、得られた(ノナフルオロブチル)テトラフルオロホスホラン91.0gを滴下した。室温で24時間攪拌した後、反応液をろ過し、ろ液からジメトキシエタンを減圧下で留去して、白色粉体87.0gを得た。19F及び31P−NMRにより、このものは(ノナフルオロブチル)ペンタフルオロリン酸リチウム(AN−9)であることを確認した。
【0096】
製造例10 (ペンタフルオロエチル)ペンタフルオロリン酸リチウム(AN−10)の合成
特許文献(米国特許6264818号公報)に従いジクロロエチルホスフィンの電解フッ素化により(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロホスホラン(ガスクロマトグラフィー純度90%、収率53%)を合成した。
ついで1Lの反応容器に、フッ化リチウム8.1gとジメトキシエタン600mlを加え攪拌懸濁させ、液温を20〜30℃に保ちながら、得られた(ノナフルオロブチル)テトラフルオロホスホラン63.0gを滴下した。室温で24時間攪拌した後、反応液をろ過し、ろ液からジメトキシエタンを減圧下で留去して、白色粉体57.0gを得た。19F及び31P−NMRにより、このものは(ペンタフルオロエチル)ペンタフルオロリン酸リチウム(AN−10)であることを確認した。
【0097】
製造例11 オニウム塩(A1−1):ジフェニルヨードニウムトリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートの合成
反応容器にジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成製)4.3gとジクロロメタン30gを加えた。攪拌しながら製造例1で合成したカリウム塩(AN−1)8.0g、さらに水50mLを加えて室温下18時間攪拌した。静置後水層を分液により除去し、さらに有機層を水50mLで5回洗浄した。有機溶媒を減圧下で留去することにより白色固体9.7gを得た。H、19F及び31P−NMRにより、このものはオニウム塩(A1−1)であることを確認した。
【0098】
製造例12 オニウム塩(A1−2):ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートの合成
製造例11において、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート4.3gに代えてジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(東京化成製)5.4gとする以外は製造例11に記載の方法に従い、目的物10.9gを得た。H、19F及び31P−NMRよりこの白色固体がオニウム塩(A1−2)であることを確認した。
【0099】
製造例13 オニウム塩(A1−3):(4−イソプロピルフェニル)トリルヨードニウムトリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートの合成
反応容器に4−メチルヨードベンゼン20gを加え、さらに酢酸50mL、硫酸10mLを加えて溶解させ、氷水浴にて冷却しながら15℃以下で過硫酸カリウム10gを少しずつ加えた。20℃で4時間反応させ、そこへクメン24.4gを20℃を超えないように滴下した。その後室温で20時間反応させた。反応液を、カリウム塩(AN−1)80gを水500mLで溶解したものへ投入し、さらに3時間攪拌した。そこへジクロロメタン500mLを加えた。静置後水層を分液により除去し、有機層を水100mLにて5回洗浄を行った。ジクロロメタンを濃縮し、シクロヘキサンで再結晶を行い、白色固体95gを得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−3)であることを確認した。
【0100】
製造例14 オニウム塩(A1−4):(4−イソプロピルフェニル)トリルヨードニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの合成
製造例13において、カリウム塩(AN−1)80gに代えてカリウム塩(AN−3)45gとする以外は製造例13に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRによりオニウム塩(A1−4)であることを確認した。
【0101】
製造例15 オニウム塩(A1−5):(4−イソプロピルフェニル)トリルヨードニウムトリス(ヘプタフルオロイソプロピル)トリフルオロホスフェートの合成
製造例13において、カリウム塩(AN−1)80gに代えてカリウム塩(AN−5)60gとする以外は製造例13に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−5)であることを確認した。
【0102】
製造例16 オニウム塩(A1−6):ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロホスフェートの合成
製造例12において、カリウム塩(AN−1)8.0gに代えてナトリウム塩(AN−7)3.6gとする以外は製造例12に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−6)であることを確認した。
【0103】
製造例17 オニウム塩(A1−7):ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロホスフェートの合成
製造例12において、カリウム塩(AN−1)8.0gに代えてナトリウム塩(AN−6)4.5gとする以外は製造例12に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−7)であることを確認した。
【0104】
製造例18 オニウム塩(A1−8):(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムトリス(ノナフルオロイソブチル)トリフルオロホスフェートの合成
特許文献(特開平06−184170公報)に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−8)であることを確認した。
【0105】
製造例19 オニウム塩(A1−9):ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム(ノナフルオロブチル)ペンタフルオロホスフェートの合成
製造例12において、カリウム塩(AN−1)8.0gに代えてリチウム塩(AN−9)4.0gとする以外は製造例12に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−9)であることを確認した。
【0106】
製造例20 オニウム塩(A1−10):ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム(ペンタフルオロエチル)ペンタフルオロホスフェートの合成
製造例12において、カリウム塩(AN−1)8.0gに代えてリチウム塩(AN−10)2.6gとする以外は製造例12に記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A1−10)であることを確認した。
【0107】
製造例21 オニウム塩(A2−1):トリフェニルスルホニウムトリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートの合成
反応容器にトリフェニルスルホニウムブロミド(東京化成製)3.4gとジクロロメタン50mLを加えた。攪拌しながら製造例1で合成したカリウム塩(AN−1)8.0g、さらに水50mLを加えて室温下8時間攪拌した。静置後水層を分液により除去し、さらに有機層を水50mLで5回洗浄した。有機溶媒を減圧下で留去することにより白色固体9.2gを得た。H、19F及び31P−NMRにより、このものはオニウム塩(A2−1)であることを確認した。
【0108】
製造例22 オニウム塩(A2−2):トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェートの合成
反応容器にビス(4−フルオロフェニル)スルホキシド23.8gを加え、さらにTHF200mLを加えた。氷浴下0℃に冷却し、そこへトリメチルシリルクロリド50gを滴下した。2時間攪拌し、10℃以下を保ちながら4−フルオロブロモベンゼンより常法にて調製される1.0mol/LのTHF溶液250mLを滴下した。滴下終了後室温で8時間反応させた。反応液を水1Lに投入し、トルエン500mLにて2回洗浄した。水層へカリウム塩(AN−2)65gを加え、さらに4時間攪拌した。ジクロロメタン700mLを加え分液にて水層を除去し、水500mLで5回洗浄を行った。ジクロロメタン層を濃縮し、シクロヘキサンにて結晶化を行い、88gの白色固体を得た。H、19F及び31P−NMRにより、この白色固体がオニウム塩(A2−2)であることを確認した。
【0109】
製造例23 オニウム塩(A2−3):(4−フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの合成
特許文献(WO2005−116038)の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−3)であることを確認した。
【0110】
製造例24 オニウム塩(A2−4):チオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム)ビス[トリス(ヘプタフルオロイソプロピル)トリフルオロホスフェート]の合成
特許文献(特開2013−227368)の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−4)であることを確認した。
【0111】
製造例25 オニウム塩(A2−5):(4−フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ノナフルオロイソブチル)トリフルオロホスフェートの合成
特許文献(WO2005−116038公報)の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−5)であることを確認した。
【0112】
製造例26 オニウム塩(A2−6):トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムビス(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロホスフェートの合成
反応容器にトリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフラートアルドリッチ製)5.8gとジクロロメタン50mLを加えた。攪拌しながら製造例7で合成したナトリウム塩(AN−7)3.9g、さらに水50mLを加えて室温下8時間攪拌した。静置後水層を分液により除去し、さらに有機層を水50mLで5回洗浄した。有機溶媒を減圧下で留去することにより白色固体6.2gを得た。H、19F及び31P−NMRにより、このものはオニウム塩(A2−6)であることを確認した。
【0113】
製造例27 オニウム塩(A2−7):トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムビス(ノナフルオロブチル)テトラフルオロホスフェートの合成
製造例26において、ナトリウム塩(AN−7)3.9gに代えてナトリウム塩(AN−8)6.0gとする以外は製造例26と記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−7)であることを確認した。
【0114】
製造例28 オニウム塩(A2−8):トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム(ノナフルオロブチル)ペンタフルオロホスフェートの合成
製造例22において、カリウム塩(AN−2)65gに代えてリチウム塩(AN−9)35gとする以外は製造例22と記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−8)であることを確認した。
【0115】
製造例29 オニウム塩(A2−9):トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム(ペンタフルオロエチル)ペンタフルオロホスフェートの合成
製造例22において、カリウム塩(AN−2)65gに代えてリチウム塩(AN−10)25gとする以外は製造例22と記載の方法に従い、目的物を得た。H、19F及び31P−NMRにより、オニウム塩(A2−9)であることを確認した。
【0116】
<実施例1〜34及び比較例1〜17>
[感光性組成物の調製]
カチオン重合性化合物(C)及び(C’)100g、オニウム塩(A)3g、増感剤(B)0.3gを均一混合し、本発明の感光性組成物(Q−1)〜(Q−34)及び比較感光性樹脂組成物(Q’−1)〜(Q’−17)を調製した。使用した原材料の種類は表1に示した。この感光性組成物をガラス基板(76mm×52mm)に、アプリケーター(40μm)を用いて塗布し、光源として照射装置LIGHTNINGCUREスポット光源LC8(浜松ホトニクス社製)を用いて露光を行い、以下の評価方法にて硬化性を確認した。その結果を表1に示す。
[使用した原材料]
A1−1〜A2−9(上記に記載オニウム塩)
A’−1:トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスファート
A’−2:下記化学式で表されるスルホニウム塩混合物(モル比1:1)
A’−3:ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
B−1:B−201(ポリメチン色素の具体例として上記記載)
B−2:B−204(ポリメチン色素の具体例として上記記載)
B−3:3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)
C−1:トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]
C−2:トリメチロールプロパントリス[3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート]
C−3:ペンタエリスリトールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]
C’−1:3',4'−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
[硬化性]
硬化性−1:赤外透過フィルター(HOYA製)R72(700nm以下カット)を通して露光し、硬化性を確認した。
硬化性評価:
◎ 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかない。
○ 表面にタックはないが、爪で傷がつく。
△ 表面にタックが残る。
× 液状のまま硬化しない。
【0117】
【化7】
【0118】
【表1】
【0119】
<実施例35〜39及び比較例18〜20>
[感光性組成物の調製]
カチオン重合性化合物(C−1)100g、オニウム塩(A)3g、増感剤(B−3)0.3gを均一混合し、本発明の感光性組成物(Q−35)〜(Q−39)及び比較感光性樹脂組成物(Q’−18)〜(Q’−20)を調製した。使用した原材料の種類は表1に示した。この感光性組成物をガラス基板(76mm×52mm)に、アプリケーター(40μm)を用いて塗布し、光源として照射装置LIGHTNINGCUREスポット光源LC8(浜松ホトニクス社製)を用いて露光を行い、以下の評価方法にて硬化性を確認した。その結果を表2に示す。使用した原材料は上記記載のとおりである。
[硬化性]
硬化性−2:シャープカットフィルター(HOYA製)Y44(430nm以下カット)を通して露光し、硬化性を確認した。
硬化性評価:
◎ 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかない。
○ 表面にタックはないが、爪で傷がつく。
△ 表面にタックが残る。
× 液状のまま硬化しない。
【0120】
【表2】
【0121】
表1と表2より、本発明の感光性組成物は比較の感光性組成物と比べて高感度であることが分かる。特に赤外領域で露光を行う場合には、カチオン重合性化合物の選択が重要であることが分かる。
【0122】
<実施例40〜44及び比較例21〜23:顔料を含む感光性組成物の例>
[感光性組成物の調製]
顔料として酸化チタン(石原産業社製「タイペークR−930」)30部、顔料分散剤(ルーブリゾール社製「ソルスパーズ32000」)3部、及びカチオン重合性化合物(C−2)60部、増感剤(B−2)0.5部及び表2に示すオニウム塩(A)又は比較用オニウム塩(A’)5部を、ボールミルを用いてそれぞれ25℃で3時間混練し、本発明の感光性組成物(Q−40)〜(Q−44)及び比較感光性樹脂組成物(Q’−21)〜(Q’−23)を製造し、以下の方法で塗膜硬化性(硬化性−3)の評価を行い、結果を表3に記載した。
[硬化性]
硬化性−3:これら感光性組成物を、表面処理を施した厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム[東洋紡(株)製コスモシャインA4300]に、アプリケーターを用いて膜厚20μmとなるように塗布した。光源として照射装置LIGHTNINGCUREスポット光源LC8(浜松ホトニクス社製)を用いて露光を行い、以下の評価方法にて硬化性を確認した。
硬化性評価:
◎ 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかない。
○ 表面にタックはないが、爪で傷がつく。
△ 表面にタックが残る。
× 液状のまま硬化しない。
【0123】
【表3】
【0124】
<実施例45〜49及び比較例24〜26:染料を含む感光性組成物の例>
[感光性組成物の調製]
染料としてダイレクトブルー14(東京化成製)、顔料分散剤(ルーブリゾール社製「ソルスパーズ32000」)3部、及びカチオン重合性化合物(C−3)60部、増感剤(B−2)0.5部及び表2に示すオニウム塩(A)又は比較用オニウム塩(A’)5部を、ボールミルを用いてそれぞれ25℃で3時間混練し、本発明の感光性組成物(Q−45)〜(Q−49)及び比較感光性樹脂組成物(Q’−24)〜(Q’−26)を製造し、以下の方法で塗膜硬化性(硬化性−4)の評価を行い、結果を表4に記載した。
[硬化性]
硬化性−4: これら感光性組成物を、表面処理を施した厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム[東洋紡(株)製コスモシャインA4300]に、アプリケーターを用いて膜厚20μmとなるように塗布した。光源として照射装置LIGHTNINGCUREスポット光源LC8(浜松ホトニクス社製)を用いて露光を行い、以下の評価方法にて硬化性を確認した。
硬化性評価:
◎ 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかない。
○ 表面にタックはないが、爪で傷がつく。
△ 表面にタックが残る。
× 液状のまま硬化しない。
【0125】
【表4】
【0126】
表3と表4の結果から、本発明の感光性組成物は照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在していても効率よく硬化が可能であり、比較の感光性組成物と比べて高感度であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の感光性組成物は、光(特に可視領域〜赤外領域)を利用して、塗料、コーティング剤、各種被覆材料(ハードコート、耐汚染被覆材、防曇被覆材、耐触被覆材、光ファイバー等)、粘着テープの背面処理剤、粘着ラベル用剥離シート(剥離紙、剥離プラスチックフィルム、剥離金属箔等)の剥離コーティング材、印刷板、歯科用材料(歯科用配合物、歯科用コンポジット)インキ、インクジェットインキ、ポジ型レジスト(回路基板、CSP、MEMS素子等の電子部品製造の接続端子や配線パターン形成等)、レジストフィルム、液状レジスト、ネガ型レジスト(半導体素子及びFPD用透明電極(ITO,IZO、GZO)等の表面保護膜、層間絶縁膜、平坦化膜等の永久膜材料等)、MEMS用レジスト、ポジ型感光性材料、ネガ型感光性材料、各種接着剤(各種電子部品用仮固定剤、HDD用接着剤、ピックアップレンズ用接着剤、FPD用機能性フィルム(偏向板、反射防止膜等)用接着剤、回路形成用及び半導体封止用絶縁フィルム、異方導電性接着剤(ACA)、フィルム(ACF)、ペースト(ACP)等)、ホログラフ用樹脂、FPD材料(カラーフィルター、ブラックマトリックス、隔壁材料、ホトスペーサー、リブ、液晶用配向膜、FPD用シール剤等)、光学部材、成形材料(建築材料用、光学部品、レンズ)、注型材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め材、シーリング材、フリップチップ、COF等のチップ封止材、CSPあるいはBGA等のパッケージ用封止材、光半導体(LED)封止材、光導波路材料、ナノインプリント材料、光造用、及びマイクロ光造形用材料等に好適に用いられる。