(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力デバイスが、第3の回転軸を中心に回転可能であり、前記処理装置が、前記連結部と動作可能に関連付けられ、第3のスケーリング因子による前記第3の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第3の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させる、請求項1に記載のロボット外科用システム。
前記第2のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも小さく、前記第3のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも大きい、請求項4に記載のロボット外科用システム。
前記処理装置が、前記アイドル位置から前記第1の回転位置に向かう前記入力デバイスの回転量に基づいて、前記第1の移動軸を中心に前記外科用ツールの半径方向速度を変化させる、請求項11に記載のロボット外科用システム。
前記処理装置が、円滑な方法または段階的な方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記第1の移動軸を中心に前記外科用ツールの前記半径方向速度を変化させる、請求項12に記載のロボット外科用システム。
前記ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、前記入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることであって、前記第3の入力距離が、前記第1のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって前記第3の出力距離にスケーリングされる、回転させること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
前記ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、前記入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることであって、前記第3の入力距離が、前記第1及び第2のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって前記第3の出力距離にスケーリングされる、回転させること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は概して、外科用手技の間に、ロボットシステムのツールの移動に対するユーザインターフェースの入力デバイスの移動のスケーリングに関する。本開示のある態様では、ロボット外科用システムは、連結部、入力デバイス、及び処理装置を含む。連結部は、ベースに対して外科用ツールを移動可能に支持する。入力デバイスは、第1及び第2の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、入力デバイスと通信する。処理装置はまた、連結部と動作可能に関連付けられ、第1のスケーリング因子による第1の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第1の移動軸を中心に外科用ツールを回転させ、第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子による第2の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第2の移動軸を中心に外科用ツールを回転させる。
【0007】
態様では、第2のスケーリング因子は、第1のスケーリング因子よりも小さい。第1のスケーリング因子は、約1.0であってもよい。
【0008】
いくつかの態様では、入力デバイスは、第3の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、連結部と動作可能に関連付けられ得、第3のスケーリング因子によって第3の回転軸を中心に入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第3の移動軸を中心に外科用ツールを回転させる。第1、第2及び第3のスケーリング因子は、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよいし、2つのスケーリング因子が互いに等しく、他のスケーリング因子と異なっていてもよい。例えば、第2のスケーリング因子は、第1のスケーリング因子よりも小さくてもよく、第3のスケーリング因子は、第1のスケーリング因子よりも大きくてもよい。
【0009】
本開示の別の態様では、ロボット外科用システムは、連結部、入力デバイス、及び処理装置を含む。連結部は、ベースに対して外科用ツールを移動可能に支持する。入力デバイスは、第1の回転軸を中心に回転可能である。入力デバイスは、第1の回転軸を中心に第1の入力方向において、アイドル位置から第1の回転位置に向かって回転可能である。処理装置は、入力デバイスと通信し、かつ連結部と動作可能に関連付けられ、入力デバイスがアイドル位置から第1の回転位置に向けて回転されるとき、外科用ツールを第1の出力方向において第1の移動軸を中心に回転させ、入力デバイスがアイドル位置にあるとき、第1の移動軸を中心に外科用ツールの半径方向位置を維持する。
【0010】
態様では、処理装置は、アイドル位置から第1の回転位置に向かう入力デバイスの回転量に基づいて、第1の移動軸を中心に外科用ツールの半径方向速度を変化させる。処理装置は、円滑なまたは段階的な方法のうちの少なくとも1つの方法で、第1の移動軸を中心に外科用ツールの半径方向速度を変化させることができる。
【0011】
いくつかの態様では、入力デバイスは、第2の回転位置に向かって、第1の方向とは反対の第2の方向に第1の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、連結部と動作可能に関連付けられ得、入力デバイスがアイドル位置から第2の回転位置に向かって回転されるとき、第1の移動軸を中心に、第1の出力方向とは反対の第2の出力方向において外科用ツールを回転させる。
【0012】
特定の態様では、入力デバイスは、第2の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、連結部と動作可能に関連付けられ、第1のスケーリング因子による第2の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第2の移動軸を中心に外科用ツールを回転させる。入力デバイスは、第3の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、連結部と動作可能に関連付けられ得、第2のスケーリング因子による第3の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第3の移動軸を中心に外科用ツールを回転させる。第1のスケーリング因子は、第1のスケーリング因子とは異なってもよい。
【0013】
本開示の別の態様では、外科用ロボットを動作させる方法が、第1の回転軸を中心にロボット外科用システムの入力デバイスを回転させることと、第2の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることとを含む。第1の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることは、ロボット外科用システムのツールを、第1の移動軸を中心に第1の出力距離分回転させるために、入力デバイスを第1の入力距離分回転させることを含む。第1の入力距離は、第1のスケーリング因子によって第1の出力距離にスケーリングされる。第2の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることは、ツールを、第2の移動軸を中心に第2の出力距離分回転させるために、入力デバイスを第2の入力距離分回転させることを含む。第2の入力距離は、第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子によって第2の出力距離にスケーリングされる。
【0014】
態様では、本方法は、ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることを含む。第3の入力距離は、第1のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって第3の出力距離にスケーリングされ得る。第3のスケーリング因子もまた、第2のスケーリング因子とは異なってもよい。
【0015】
本開示の別の態様では、外科用ロボットを動作させる方法が、ロボット外科用システムのツールを、第1の出力速度で、第1の出力方向において、第1の移動軸を中心に回転させるために、ロボット外科用システムの入力デバイスを、アイドル位置から第1の回転位置に、第1の入力方向において、第1の回転軸を中心に回転させることと、第1の移動軸を中心としたツールの回転を停止させるために、入力デバイスをアイドル位置に戻すことと、を含む。
【0016】
態様では、本方法は、ツールを、第1の出力速度よりも大きい第2の出力速度で、第1の出力方向において、第1の移動軸を中心に回転させるために、入力デバイスを、第1の回転位置を越えて第2の回転位置に、第1の入力方向において、第1の回転軸を中心に回転させることを含む。
【0017】
いくつかの態様では、本方法は、ツールを、第1の出力速度で、第1の出力方向とは反対の第2の出力方向において、第1の移動軸を中心に回転させるために、入力デバイスを、アイドル位置から第3の回転位置に、第1の入力方向とは反対の第2の入力方向において、第1の回転軸を中心に回転させることを含む。
【0018】
本開示のある態様では、ロボット外科用シミュレータは、仮想連結部、入力デバイス、及び処理装置を含む。仮想連結部は、仮想ベースに対して仮想外科用ツールを事実上支持する。入力デバイスは、第1及び第2の回転軸を中心に回転可能である。処理装置は、入力デバイスと通信する。処理装置はまた、仮想連結部と動作可能に関連付けられ、ユーザインターフェースのディスプレイ上の第1のスケーリング因子による第1の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第1の移動軸を中心に仮想外科用ツールを回転させ、ディスプレイ上の第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子による第2の回転軸を中心とした入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第2の移動軸を中心に仮想外科用ツールを事実上回転させる。
【0019】
本開示の別の態様では、ロボット外科用シミュレータは、仮想連結部、入力デバイス、及び処理装置を含む。仮想連結部は、仮想ベースに対して仮想外科用ツールを事実上支持する。入力デバイスは、第1の回転軸を中心に回転可能である。入力デバイスは、第1の回転軸を中心に第1の入力方向において、アイドル位置から第1の回転位置に向かって回転可能である。処理装置は、入力デバイスと通信し、かつ仮想連結部と動作可能に関連付けられ、入力デバイスがアイドル位置から第1の回転位置に向けて回転されるとき、仮想外科用ツールを第1の出力方向において第1の移動軸を中心に回転させ、入力デバイスがアイドル位置にあるとき、第1の移動軸を中心に仮想外科用ツールの半径方向位置を維持する。
【0020】
本開示の別の態様では、外科用手技をシミュレートする方法が、第1の回転軸を中心にロボット外科用システムの入力デバイスを回転させることと、第2の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることとを含む。第1の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることは、ロボット外科用システムの仮想ツールを、第1の移動軸を中心に第1の出力距離分回転させるために、入力デバイスを第1の入力距離分回転させることを含む。第1の入力距離は、第1のスケーリング因子によって第1の出力距離にスケーリングされる。第2の回転軸を中心に入力デバイスを回転させることは、仮想ツールを、第2の移動軸を中心に第2の出力距離分回転させるために、入力デバイスを第2の入力距離分回転させることを含む。第2の入力距離は、第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子によって第2の出力距離にスケーリングされる。
【0021】
態様では、本方法は、仮想ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることを含む。第3の入力距離は、第1のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって第3の出力距離にスケーリングされ得る。第3のスケーリング因子もまた、第2のスケーリング因子とは異なってもよい。
【0022】
本開示の例示的な実施形態のさらなる詳細及び態様が、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ロボット外科用システムであって、
ベースに対して外科用ツールを移動可能に支持する連結部と、
第1の回転軸及び第2の回転軸を中心に回転可能な入力デバイスと、
前記入力デバイスと通信し、かつ前記連結部と動作可能に関連付けられ、第1のスケーリング因子による前記第1の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第1の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させ、前記第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子による前記第2の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第2の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させる処理装置と、を備える、ロボット外科用システム。
(項目2)
前記第2のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも小さい、項目1に記載のロボット外科用システム。
(項目3)
前記第1のスケーリング因子が1.0である、項目1に記載のロボット外科用システム。
(項目4)
前記入力デバイスが、第3の回転軸を中心に回転可能であり、前記処理装置が、前記連結部と動作可能に関連付けられ、第3のスケーリング因子による前記第3の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第3の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させる、項目1に記載のロボット外科用システム。
(項目5)
前記第3のスケーリング因子が、前記第2のスケーリング因子と等しい、項目4に記載のロボット外科用システム。
(項目6)
前記第3のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも大きい、項目4に記載のロボット外科用システム。
(項目7)
前記第2のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも小さい、項目6に記載のロボット外科用システム。
(項目8)
前記第1のスケーリング因子が1.0である、項目7に記載のロボット外科用システム。
(項目9)
前記第3のスケーリング因子が、前記第1及び第2のスケーリング因子とは異なる、項目4に記載のロボット外科用システム。
(項目10)
前記第2のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも小さく、前記第3のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子よりも大きい、項目4に記載のロボット外科用システム。
(項目11)
ロボット外科用システムであって、
ベースに対して外科用ツールを移動可能に支持する連結部と、
第1の回転軸を中心に回転可能な入力デバイスであって、前記第1の回転軸を中心に第1の入力方向において、アイドル位置から第1の回転位置に向かって回転可能である、入力デバイスと、
前記入力デバイスと通信し、かつ前記連結部と動作可能に関連付けられ、前記入力デバイスが前記アイドル位置から前記第1の回転位置に向かって回転されるとき、前記外科用ツールを第1の出力方向において第1の移動軸を中心に回転させ、前記入力デバイスが前記アイドル位置にあるとき、前記第1の移動軸を中心に前記外科用ツールの半径方向位置を維持する、処理装置と、を備える、ロボット外科用システム。
(項目12)
前記処理装置が、前記アイドル位置から前記第1の回転位置に向かう前記入力デバイスの回転量に基づいて、前記第1の移動軸を中心に前記外科用ツールの半径方向速度を変化させる、項目11に記載のロボット外科用システム。
(項目13)
前記処理装置が、円滑な方法または段階的な方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記第1の移動軸を中心に前記外科用ツールの前記半径方向速度を変化させる、項目12に記載のロボット外科用システム。
(項目14)
前記入力デバイスが、前記第1の回転軸を中心に、前記第1の方向とは反対の第2の方向において第2の回転位置に向かって回転可能であり、前記処理装置が、前記連結部と動作可能に関連付けられ、前記入力デバイスが前記アイドル位置から前記第2の回転位置に向かって回転されるとき、前記第1の移動軸を中心に、前記第1の出力方向とは反対の第2の出力方向において前記外科用ツールを回転させる、項目11に記載のロボット外科用システム。
(項目15)
前記入力デバイスが、第2の回転軸を中心に回転可能であり、前記処理装置が、前記連結部と動作可能に関連付けられ、第1のスケーリング因子による前記第2の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第2の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させる、項目11に記載のロボット外科用システム。
(項目16)
前記入力デバイスが、第3の回転軸を中心に回転可能であり、前記処理装置が、前記連結部と動作可能に関連付けられ、第2のスケーリング因子による前記第3の回転軸を中心とした前記入力デバイスのスケーリングされた回転に基づいて、第3の移動軸を中心に前記外科用ツールを回転させる、項目15に記載のロボット外科用システム。
(項目17)
前記第1のスケーリング因子が、前記第2のスケーリング因子とは異なる、項目16に記載のロボット外科用システム。
(項目18)
外科用ロボットを動作させる方法であって、
ロボット外科用システムのツールを、第1の移動軸を中心に第1の出力距離分回転させるために、ロボット外科用システムの入力デバイスを、第1の回転軸を中心に第1の入力距離分回転させることであって、前記第1の入力距離が、第1のスケーリング因子によって前記第1の出力距離にスケーリングされる、回転させることと、
前記ツールを、第2の移動軸を中心に第2の出力距離分回転させるために、前記入力デバイスを、第2の回転軸を中心に第2の入力距離分回転させることであって、前記第2の入力距離が、前記第1のスケーリング因子とは異なる第2のスケーリング因子によって前記第2の出力距離にスケーリングされる、回転させることと、を含む、方法。
(項目19)
前記ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、前記入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることであって、前記第3の入力距離が、前記第1のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって前記第3の出力距離にスケーリングされる、回転させること、をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ツールを、第3の移動軸を中心に第3の出力距離分回転させるために、前記入力デバイスを、第3の回転軸を中心に第3の入力距離分回転させることであって、前記第3の入力距離が、前記第1及び第2のスケーリング因子とは異なる第3のスケーリング因子によって前記第3の出力距離にスケーリングされる、回転させること、をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
外科用ロボットを動作させる方法であって、
ロボット外科用システムのツールを、第1の出力速度で、第1の出力方向において、第1の移動軸を中心に回転させるために、ロボット外科用システムの入力デバイスを、アイドル位置から第1の回転位置に、第1の入力方向において、第1の回転軸を中心に回転させることと、
前記第1の移動軸を中心とした前記ツールの回転を停止させるために、前記入力デバイスを前記アイドル位置に戻すことと、を含む、方法。
(項目22)
前記ツールを、前記第1の出力速度よりも大きい第2の出力速度で、前記第1の出力方向において、前記第1の移動軸を中心に回転させるために、前記入力デバイスを、前記第1の回転位置を越えて第2の回転位置に、前記第1の入力方向において、前記第1の回転軸を中心に回転させること、をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ツールを、前記第1の出力速度で、前記第1の出力方向とは反対の第2の出力方向において、前記第1の移動軸を中心に回転させるために、前記入力デバイスを、前記アイドル位置から第3の回転位置に、前記第1の入力方向とは反対の第2の入力方向において、前記第1の回転軸を中心に回転させること、をさらに含む、項目21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本開示の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、図面中、同じ参照番号は、いくつかの図のそれぞれにおける同一または対応する要素を示す。本明細書に使用される際、用語「臨床家」は、医師、看護師、または任意の他の看護提供者を指し、支援要員を含み得る。この説明全体を通して、用語「近位」は、臨床家に最も近いデバイスまたはその構成要素の一部分を指し、用語「遠位」は、臨床家から最も遠いデバイスまたはその構成要素の一部分を指す。加えて、本明細書に使用される際、用語「ニュートラル」は、スケーリングされていないことを意味すると理解される。
【0026】
本開示は概して、外科用手技の間に、ロボットシステムのツールの移動に対するユーザインターフェースの入力デバイスの移動のスケーリングに関する。具体的には、本開示は、ロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸を中心とした移動のスケーリングに関する。これらの軸の各々を中心としたスケーリングは、ポジティブ(すなわち、入力デバイスの移動に対するツールの移動の増加)、ネガティブ(すなわち、入力デバイスの移動に対するツールの移動の減少)、またはニュートラル(すなわち、入力デバイスの移動に対するツールの移動に等しい)であり得る。ポジティブな様態での移動のスケーリングは、臨床家が人体解剖学によって許容されるものからの器用さを増加させることを可能にする。例えば、手首作用(例えば、ロール軸を中心に)がポジティブな様態でスケーリングされる場合、臨床家は、臨床家の手首の4分の1回転で各方向にツールを完全に回転させることができる。
【0027】
図1を参照すると、本開示に従うロボット外科用システム1が、ロボットシステム10、処理装置30、及びユーザインターフェース40として概して示されている。ロボットシステム10は、一般的に、連結部12及びロボットベース18を含む。連結部12は、組織に作用するように構成されたエンドエフェクタまたはツール20を移動可能に支持する。連結部12は、組織に作用するように構成されたエンドエフェクタまたはツール20を支持する末端部14をそれぞれ有するアームの形態にあってもよい。加えて、アーム12の末端部14は、外科部位「S」を画像化するための画像化デバイス16を含んでもよい。ユーザインターフェース40は、処理装置30を通してロボットベース18と通信する。
【0028】
ユーザインターフェース40は、3次元画像を表示するように構成された表示デバイス44を含む。表示デバイス44は、アーム12の末端部14上に位置付けられた画像化デバイス16によって取り込まれるデータを含み得、及び/または外科手術室の中に位置付けられた画像化デバイス(例えば、外科部位「S」内に位置付けられた画像化デバイス、患者「P」に隣接して位置付けられた画像化デバイス、画像化アーム52の遠位端に位置付けられた画像化デバイス56)によって取り込まれるデータを含み得る、外科部位「S」の3次元画像を表示する。画像化デバイス(例えば、画像化デバイス16、56)は、外科部位「S」の視覚画像、赤外線画像、超音波画像、X線画像、熱画像、及び/または任意の他の既知の実時間画像を取り込んでもよい。画像化デバイスは、取り込まれた画像化データを処理装置30に伝送し、処理装置30は、画像化データから実時間に外科部位「S」の3次元画像を生成して、その3次元画像を表示のために表示デバイス44に伝送する。
【0029】
ユーザインターフェース40はまた、臨床家が、ロボットシステム10を操作すること(例えば、アーム12、アーム12の末端部14、及び/またはツール20を移動すること)を可能にする制御アーム43で支持されている入力ハンドル42を含む。入力ハンドル42のそれぞれは、処理装置30と通信して、それに制御信号を伝送し、及びそこからフィードバック信号を受信する。さらにまたは代替的に、入力ハンドル42のそれぞれは、外科医が、アーム12の末端部14に支持されたツール20を操作すること(例えば、締める、把持する、発射する、開く、閉じる、回転する、突く、スライスすることなど)を可能にする入力デバイス46(
図2)を含んでもよい。
【0030】
図2をさらに参照すると、入力ハンドル42のそれぞれは、事前定義された作業空間を通して移動可能であり、外科部位「S」内でアーム12の末端部14、例えばツール20を移動させる。表示デバイス44上の3次元画像は、入力ハンドル42の移動が、表示デバイス44上に見られるように、アーム12の末端部14を移動させるように配向される。3次元画像は静止したままである一方で、入力ハンドル42の移動は、3次元画像内のアーム12の末端部14の移動にスケーリングされる。3次元画像の配向を維持するために、入力ハンドル42の運動学的マッピングは、アーム12の末端部14の配向に対するカメラの向きに基づいている。表示デバイス上の3次元画像の配向は、患者「P」の上方からの見え方に対して鏡映を作ってもよいし、または回転されてもよいことが認識されるであろう。加えて、表示デバイス44上の3次元画像のサイズが、外科部位の実際の構造よりも大きいまたは小さいようにスケーリングされてもよく、臨床家が外科部位「S」内の構造をより良く見えることを可能にすることが、認識されるであろう。入力ハンドル42が移動されると、ツール20は、以下に詳述されるように、外科部位「S」内で移動される。本明細書に詳述されるように、ツール20の移動はまた、ツール20を支持するアーム12の末端部14の移動を含んでもよい。
【0031】
ロボット外科用システム1の構造及び動作の詳細な考察に関しては、米国特許第8,828,023号が参照され得、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
上で詳述したように、ユーザインターフェース40は、ロボットシステム10と動作可能に通信して、患者に対して外科用手技を実行するが、シミュレートされた環境において、ロボットシステム及び/またはツールを事実上作動させるために、ユーザインターフェース40が外科用シミュレータ(図示せず)と動作可能に通信可能であることが想定されている。例えば、外科用ロボットシステム1は、ユーザインターフェース40がロボットシステム10を作動させるために結合された第1のモードと、ユーザインターフェース40がロボットシステムを事実上作動させるための外科用シミュレータに結合された第2のモードと、を有することができる。外科用シミュレータは、スタンドアロン装置または処理装置30に一体化されていてもよい。外科用シミュレータは、ユーザインターフェース40を介して臨床家に視覚、聴覚、力、及び/または触覚フィードバックを提供することによって、ユーザインターフェース40とインターフェースを取っている臨床家に事実上応答する。例えば、臨床家が入力ハンドル42とインターフェースを取ると、外科用シミュレータは、事実上組織に作用する代表的なツールを移動させる。外科用シミュレータは、患者に対して外科用手技を行う前に、臨床家が外科用手技を行うことを可能にすることが想定される。加えて、外科用シミュレータを使用して、外科用手技を行う臨床家を訓練することができる。さらに、外科用シミュレータは、臨床家が外科用手技を計画することができるように、提案された外科用手技の間に「合併症」をシミュレートすることができる。
【0033】
ツール20の移動は、入力ハンドル42の移動に対してスケーリングされる。入力ハンドル42が事前定義された作業空間内で移動されるとき、入力ハンドル42は、制御信号を処理装置30に送信する。処理装置30は、制御信号を分析して、制御信号に応答してツール20を移動させる。処理装置30は、スケーリングされた制御信号をロボットベース18に伝送して、入力ハンドル42の移動に応答してツール20を移動させる。処理装置30は、Input
distance(例えば、入力ハンドル42のうちの一方によって移動された距離)をスケーリング因子S
Fで除算することによって制御信号をスケーリングして、スケーリングされたOutput
distance(例えば、末端部14の一方が移動される距離)に到達する。スケーリング因子S
Fは、約1〜約10の範囲内(例えば、3)にある。このスケーリングは、以下の式によって表わされる。
Output
distance=Input
distance/S
F
スケーリング因子S
Fが大きいほど、入力ハンドル42の移動に対するツール20の移動が小さくなることが認識されるであろう。
【0034】
X、Y及びZ座標軸に沿った入力ハンドル42のツール20の移動に対するスケーリング移動の詳細な説明については、2015年9月21日に出願された「Dynamic Input Scaling for Controls of Robotic Surgical System」と題する共通所有の国際特許出願第PCT/US2015/051130号、及び2016年1月20日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/14031号に参照が記載されているが、これらの開示の各々の全ての内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0035】
図2及び3をさらに参照すると、X、Y及びZ座標軸の各々に対する入力デバイス46の回転は、ロール軸「R」、ピッチ軸「P」、及びヨー軸「Y」(RPY)を中心としたツール20の回転にスケーリングされ得る。RPY軸は、ハンドル装置42及び/または入力デバイス46の移動が、表示デバイス44の臨床家の見え方に関連するように、表示デバイス44上に表示されるカメラフレームに配向されていることが認識されるであろう。具体的には、ロール軸「R」はZ座標軸を中心に、ピッチ軸「P」はX座標軸を中心に、ヨー軸「Y」はY座標軸を中心にする。RPY軸の各々を中心とした入力デバイス46の回転のスケーリングは、ポジティブ、ネガティブ、あるいはニュートラルな様態でスケーリングされ得る。ポジティブな様態で回転をスケーリングすることによって、臨床家は、RPY軸の特定の1つを中心とした入力デバイス46の回転を減少させて、それぞれのRPY軸を中心としたツール20の所望の回転を達成することができる。ポジティブなスケーリングは、臨床家が人体の自然な動きを超えた器用さを有することを可能にする。例えば、臨床家は、入力デバイス46を解放することなく、臨床家の手首の動きに可能な範囲を超えてツール20を転がすことができる。対照的に、ネガティブな様態で回転をスケーリングすることによって、臨床家は、入力デバイス46の回転に応答して、ツール20のRPY軸の特定の1つを中心としたツール20の回転をより正確に制御することができる。
【0036】
RPY軸の各々を中心とした入力デバイス46の回転は、ツール20の回転に対して異なる様態でスケーリングされ得る。例えば、コントロールシャフト43を中心とした入力デバイス46の回転、すなわちロール軸「R」を中心とした回転は、ポジティブな様態でスケーリングされ得、ピッチ軸「P」を中心とした入力デバイス46の回転は、ニュートラルな様態でスケーリングされ得、かつヨー軸「Y」を中心とした入力デバイス46の回転は、ネガティブな様態でスケーリングされ得る。本明細書では、スケーリングの任意の他の組み合わせが考えられ、本開示の一部を形成する。
【0037】
ツール20の回転は、RPY軸のそれぞれの1つを中心とした入力デバイス46の回転に応答してスケーリングされる。それぞれのRPY軸を中心とした移動は、上で詳述したように、XYZ座標軸に沿った移動と同様に、スケーリング因子S
Fによってスケーリングされた角度で測定される。上記の例を続けると、ロール軸「R」を中心とした回転がポジティブな様態でスケーリングされ、ロールスケーリング因子RS
Fは、Output
angleがロール軸「R」を中心としたInput
angleよりも大きいように、1.0未満、例えば約0.10〜約0.95である。加えて、ピッチ軸「P」を中心とした回転がニュートラルな様態でスケーリングされ、ピッチスケーリング因子PS
Fは、Output
angleがピッチ軸「P」を中心としたInput
angleに等しくなるように、約1.0に等しい。さらに、ヨー軸「Y」を中心とした回転がネガティブな様態でスケーリングされ、ヨースケーリング因子YS
Fは、Output
angleがヨー軸「Y」を中心としたInput
angleよりも小さいように、1.0よりも大きい、例えば約1.10〜約10.0である。RPYスケーリング因子RS
F、PS
F、及びYS
Fの各々は、RPYスケーリング因子の別の1つと等しくてもよく、またはRPYスケーリング因子の各々が互いに異なっていてもよいことが考えられる。
【0038】
さらにまたは代替的に、RPYスケーリング因子のうちの1つは、入力デバイス46がアイドル位置からそれぞれのRPY軸を中心とした移動の限界まで、RPY軸のうちのそれぞれの1つを中心に回転されるとき、変化されてもよい。例えば、入力デバイス46がアイドル位置(
図2)からロール軸「R」を中心に回転されるとき、ロールスケーリング因子RS
Fは、最初約1.0であり、入力デバイス46がロール軸「R」を中心とした回転の限界に近づいたとき、約0.5のロールスケーリング因子RS
Fに減少する。ロールスケーリング因子RS
Fのこの変化は、線形様態、指数的様態、または関数的様態であり得る。さらに、ロールスケーリング因子RS
Fの変化は、アイドル位置に隣接する第1の様態(例えば、固定、線形、指数的、または関数的)であってもよく、かつ回転の限界に隣接する第2の様態(例えば、固定、線形、指数的、または関数的)であってもよい。RPYスケーリング因子の変化は、それぞれの連結部12に取り付けられたユーザインターフェース40(
図1)またはツール20(
図1)とインターフェースを取っている臨床家に対してカスタマイズ可能であり得る。さらにまたは代替的に、RPYスケーリング因子の変化は、臨床家または処理装置30(
図1)が、1つ以上のRPYスケーリング因子の様態(例えば、ポジティブ、ニュートラル、またはネガティブ)、または1つ以上のRPYスケーリング因子の値を変化させる際の様態(例えば、固定、線形、指数的、または関数的)を変化させ得るように、外科用手技の間、動的であり得る。移動または回転が限界に近づくときにスケーリング因子を変化させる方法の詳細な考察については、「Repositioning Method of Input Device for Robotic Surgical System」と題された2015年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/118,123号が参照され得、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
1つ以上のRPYスケーリング因子は、交換または置換ツール(例えば、ツール20)がアーム12の末端部に取り付けられた後に変化され得、ツールが入力デバイス46から位置ずれして取り付けられたとき、入力デバイス46をツールと整列させることが考えられる。具体的には、臨床家が入力ハンドル46を中心または整列位置から離れて移動するとき、各方向のRPYスケーリング因子はよりネガティブになり得、臨床家が、ツールが入力デバイス46と整列されるまで、入力ハンドル46を中心または整列位置に向けて移動するとき、よりポジティブになり得る。ツールが入力デバイス46と整列されるとき、RPYスケーリング因子は、対称的に、ポジティブ、ニュートラル、またはネガティブに動作するように戻る。
【0040】
本開示の別の実施形態では、RPY軸を中心としたツール20の回転は、初期またはアイドル位置から変位または回転位置までの入力デバイス46の変位に応答して抑制されてもよい。そのような実施形態では、入力デバイス46が
図2に示すアイドル位置にあるとき、ツール20は、RPY軸に対するその位置を維持する。入力デバイス46が特定のRPY軸を中心に回転されるとき、ツール20は、等速度で、入力デバイス46の回転方向に関連する方向において、特定のRPY軸を中心に回転される。例えば、入力デバイス46がアイドル位置(
図2)からロール軸「R」を中心に回転されるとき、ツール20は、最初に約1°/秒の角速度で回転する。ロール軸「R」を中心とした入力デバイス46のさらなる回転は、ツール20の回転に影響を与えない。ツール20の回転を停止するために、入力デバイス46をアイドル位置に戻す。入力デバイス46がアイドル位置を越えて回転されたときにツール20が回転されるように、アイドル位置は、単数または0度の位置であってもよく、または約−5°〜約5°の回転の範囲であってもよいことが考えられる。
【0041】
代替的に、特定のRPY軸を中心としたツール20の回転速度は、特定のRPY軸を中心とした入力デバイス46の角変位に応答して変化してもよい。例えば、入力デバイス46がアイドル位置(
図2)からロール軸「R」を中心に回転されるとき、ツール20は、最初に約1°/秒の角速度で回転し、入力デバイス46がロール軸「R」を中心とした回転の限界に近づいたとき、ロール軸「R」を中心に回転するツールの角速度が約10°/秒に増加する。ツール20の回転の角速度の変化は、ロール軸「R」を中心とした入力デバイス46の回転に応答して、線形、指数的、または関数的であってもよい。さらに、ツール20の回転の角速度の変化は、円滑または段階的であってもよい。
【0042】
以下に詳述されるように、ロール軸「R」を中心としたツール20の回転をスケーリングするための方法は、本開示に従って以下に詳述される。方法は、ユーザインターフェース40のワールドフレームにおける入力デバイスまたはハンドル46の回転に基づいて、ツール20の配向または回転をスケーリングする。ワールドフレームにおける入力ハンドル46の配向は、
【化1】
として表される。処理装置30(
図1)は、
【化2】
としてワールドフレーム内の入力デバイス46の回転をスケーリングし、入力ハンドル46の回転に応答して、ツール20の回転を増加させる。スケーリングのニュートラルな配向では、入力ハンドル46は、
【化3】
などその物理的な配向がニュートラルな配向に一致するように、位置付けられている。
【0043】
ニュートラルな配向は、ハンドルR
orientationの配向の任意の配向が、以下のようなニュートラルな配向に関連するように、ワールドフレーム内に
【化4】
行列として定義され得る。
【数1】
【0044】
次に、スケーリングSは、
【化5】
などの
【化6】
に適用され得る。上記の2つの式を組み合わせると、次のようになる。
【数2】
【0045】
固定スケーリング因子による入力ハンドル46の回転のスケーリングは、回転ベクトル「R」が、下記の式のように、回転ベクトルにスケイラ「s」を乗算することによってスケーリングされ得るように、オイラー回転ベクトルとして表現され得る。
【数3】
入力及び出力が回転行列である場合、
【化7】
がオイラー回転ベクトル「R」を回転行列に変換して、
【化8】
が回転行列「R」をオイラー回転ベクトルに変換して、
【化9】
のような変換が必要である。
【0046】
上記の式は、1つの行列表現を有するが、2πの倍数で異なる無限個の回転ベクトル表現を有する剛体回転に基づくエイリアシングを被る可能性がある。ツール20の大きな回転が許容される場合、回転ベクトルの変換は、同じ姿勢が、スケーリングされた出力に不連続を生じさせる可能性のある回転ベクトル値の数にマッピングされるように、異なる方法でエイリアスすることができる。不連続を避けるために、2πの倍数で大きさを変更することによって、回転ベクトル「R」が以前の配向に一致するように、回転ベクトル「R」からエイリアシングが除去される。このアンチエイリアシング関数は、最終式が以下のようになるように、
【化10】
として表すことができる。
【数4】
【0047】
入力ハンドル46のスケーリングはまた、各軸を中心とした回転が異なる様態でスケーリングされるように、所与の軸に対して固有であってもよい。例えば、ピッチまたはヨー軸を中心としたスケーリングは、異なる様態で、またはロール軸を中心としたスケーリングから分離してスケーリングされてもよい。個々の軸のスケーリングを分離するために、相対的な配向
【化11】
は、
【化12】
のように、ピッチ及びヨーコンポーネントとロールコンポーネントとに分解される。次に、各回転をオイラー回転ベクトルに変換し、その後に角度をスケーリングすることによって、R
py及びR
rollの各々に均一なスケーリングを適用することができる。ピッチ/ヨーコンポーネントのR
pyは、ピッチ/ヨースケーリング因子S
py及びロールコンポーネントのR
rollがロールスケーリング因子S
rollによってスケーリングされることによってスケーリングされ得る。上で詳述したように、エイリアシングを避けるために、2πより大きい回転は避けるべきであることが認識されるであろう。
【0048】
分離したスケーリングが、
【数5】
として、表され得る。
ここで
【化13】
は、因子「s」によって回転「R」の均一なスケーリングを表す。
【0049】
【化14】
からR
rollを抽出することは、入力ハンドル46の軸の配向を考慮に入れ、入力ハンドル46の軸に対してロールをスケーリングする。R
pyは、スケーリングされた配向が、ハンドルのニュートラルな配向及びロール軸「R」の両方に依存するように、入力ハンドル46の方向またはハンドルのロール軸「R」(
図2)に依存して、抽出されたR
rollを除去することによりR
pyを計算することによって考慮されるニュートラルな配向に対してスケーリングされる。
【0050】
単一の動作として、軸に特化した配向を実行することが効果的であり得る。単一の動作を使用するこのような方法は、スケールされた配向に対応する物理的な配向を計算する本開示に従って本明細書に記載される。この単一の動作から、スケーリングされた配向の誤差を表すために、または、ツール20の減少した自由度によって制限に達する(すなわち、特異点に近づくまたは特異点に達する)とき、あるいは作業空間の縁に達しているとき、フィードバックが臨床家に提供され得る。単一の動作は、全ての配向で正確であるために逆になる。具体的には、エイリアシングは、スケーリングされた回転の各々について考慮されるべきである。
【0051】
単一の動作は、上述したように分解を回避し、ロール軸を中心とした回転をスケーリング因子S
rollによってスケーリングするスケーリングを組み合わせ、ロールコンポーネントのない回転を異なるスケーリング因子S
pyによってスケーリングし、中間の回転を途中である様態で処理する。このようなスケーリングされた回転は、下記の式で表される。
【数6】
【化15】
は、ニュートラルな配向から離れた全体の回転であり、
【化16】
は、以下で説明するように導出される、組み合わせられたスケーリング演算子である。S
2は、S
roll及びS
pyスケーリング因子に依存し、かつニュートラルフレームに対するロール軸
【化17】
の方向に依存することに留意されたい。
【0052】
異方性スケーリングを使用してツール20のスケーリングされた配向を計算する別の方法は、本開示に従って記載される。異方性スケーリングは、入力回転に加えて3つのパラメータによって入力ハンドル46の動きをスケーリングする。第1のパラメータは、
【化18】
(すなわち、上で詳述したロール軸「R」)である固定軸「w」であり、第2のパラメータは、スケーリング因子
【化19】
であり、第3のパラメータは、スケーリング因子
【化20】
である。スケーリング因子
【化21】
とスケーリング因子
【化22】
とは、互いに等しくてもよく、または互いに異なっていてもよい。軸「w」を中心とした回転は、スケーリング因子
【化23】
によってスケーリングされ、軸「w」(すなわち、
【化24】
)に垂直な任意の軸を中心とした回転は、スケーリング因子
【化25】
によってスケーリングされる。異方性スケーリングが正確であるためには、以下の条件を満たす必要がある。まず、軸「w」を中心とした回転、または軸「w」に垂直な任意の軸を中心とした回転が、それぞれスケーリング因子
【化26】
、またはスケーリング因子
【化27】
、によって正確にスケーリングされ、第2に、任意の中間軸を中心とした回転が、スケーリング因子s
0とs
wとの間の因子によってスケーリングされ、第3に、
【化28】
である場合、スケーリングが等方的な回転スケーリングに対応することである。
【0053】
入力ハンドル46の動きを異方性的にスケーリングするために、鏡映のためのハウスホルダー変換を引き起こす演算子
【化29】
は、回転ベクトル「r」が以下のように表現されるように、上で詳述したオイラー回転ベクトル「R」に適用される。
【数7】
ここで
【化30】
は、オイラー回転ベクトル「R」を回転行列に変換し、
【化31】
は、回転行列「R」をオイラー回転ベクトルに変換し、
【化32】
は、回転ベクトル「R」の大きさを2πの倍数だけ変化させることによって、回転ベクトル「R」からエイリアシングを除去する。
【0054】
上で詳述した条件において異方性スケーリングの検証が正確であることは、以下で説明される。第1の条件では、
【化33】
なので、
【化34】
である。軸「w」を中心とせず、軸「w」から独立していない第2の回転条件では、回転軸は、方向を変更することができ(すなわち、
【化35】
である場合、軸は「v」平面から±wに向かって離れて移動する、または反対の方向に移動する)、回転角度は、s
0とs
wとの間の因子によってスケーリングされる。最後に、第3の条件を満たすためには、スケーリン因子が、
【化36】
であるとき、
【化37】
である。
【0055】
異方性スケーリングの最終変換の逆数は、以下のように計算することができる。
【数8】
【0056】
軸「w」が可変である場合、
【化38】
を計算するためにベクトル演算が使用され得る。例えば、ベクトル演算は
【化39】
となり、
【化40】
を再計算し、演算子行列として
【化41】
を使用することができる。三角法の代わりにベクトル演算を用いることにより、上記の異方性スケーリング法を実行するコスト及び/または時間を低減することができる。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は、当該技術分野が認めるような広さの範囲にあること及び明細書が同様に読み取られることが意図されるように、本開示をそれらの実施形態に限定することは意図されない。上記実施形態の任意の組み合わせもまた、想定され、添付の特許請求の範囲内にある。したがって、上記説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲内の他の修正を想定するであろう。