特許第6886989号(P6886989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886989
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】膝装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20210603BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A61F5/01 N
   A61F5/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-10761(P2019-10761)
(22)【出願日】2019年1月25日
(62)【分割の表示】特願2016-531838(P2016-531838)の分割
【原出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2019-58796(P2019-58796A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/860,215
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518424305
【氏名又は名称】ユナイテッド サージカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UNITED SURGICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ティー.メイソン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル エス.モワール
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ケー.ボウマン
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−528104(JP,A)
【文献】 特開2012−183277(JP,A)
【文献】 特許第6474402(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前弓支持(28)と、
前記前弓支持から延在する内側支持(20)と、
前記前弓支持の遠位の前記内側支持に取り付けられる内側ヒンジ(26)と、
前記内側支持の近位の前記前弓支持に一体化されるヒンジ要素(160)と、
を備えた膝装具であって
前記ヒンジ要素が、前記内側ヒンジの回転軸に略垂直であり、かつ、前記内側ヒンジを貫通する前記内側支持上の非屈曲中立軸に略平行である回転軸を有
前記非屈曲中立軸は、膝が通常の非屈曲姿勢である際の前記膝装具の装着者の脚に略平行である、
膝装具。
【請求項2】
前記ヒンジ要素(160)は、可撓性を有し、脚および装具が非屈曲である中立位置から屈曲位置まで最大6°の前記内側支持(20)の中央内側への角度オフセットが可能である、請求項1に記載の膝装具。
【請求項3】
前記ヒンジ要素(160)は、厚み低減部(166)と、前記前弓支持(28)に係合する取付部分(168)と、を有するリビングヒンジであり、前記厚み低減部は、前記取付部分より柔軟性が高い、請求項1に記載の膝装具。
【請求項4】
前記内側支持と側方支持との間で延在する少なくとも1つのシンチングシステムをさらに備える、請求項1に記載の膝装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2013年7月30日に出願されたORTHOPEDIC BRACE SECURING AND TENSIONING SYSTEMという名称の、本出願と共通の譲受人を有する米国仮特許出願第61860215号明細書の優先権を主張し、その開示は本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は概して、解剖学的な支持装具の分野に関するものであり、より詳細には、膝装具に関する。また、本開示の他の実施形態は、任意選択可能なばね付勢されたストラップの引込み、ストラップの急速解放、および方向調整を有する、膝装具を含む整形装具のための固定およびラチェット式張力付与を含む張力付与のためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の膝装具では、膝を曲げる間に拘束されるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、膝を曲げる間に拘束される可能性を低減可能な膝装具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の膝装具は、前弓支持と、内側支持と、内側ヒンジと、ヒンジ要素と、を備える。内側支持は、前弓支持から延在する。内側ヒンジは、前弓支持の遠位の内側支持に取り付けられる。前記ヒンジ要素は、内側支持の近位の前弓支持に一体化される。ヒンジ要素は、内側ヒンジの回転軸に略垂直であり、かつ、内側ヒンジを貫通する内側支持上の非屈曲中立軸に略平行である回転軸を有する。
【0006】
論じられる特徴、機能、および利点は、本開示のさまざまな実施形態において独立して
実現することができ、または、詳細を以下の説明および図面に関して参照することができ
るさらに他の実施形態において、組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態を使用することができる例示的な整形膝装具の実施形態の側面等角図である。
図2A-2B】上部取付組立体の側面等角図および内側等角図である。
図3A-3B】シンチングシステム組立体の第1の実施形態の下向き組立分解等角図および上向き組立分解等角図である。
図3C】第1の実施形態の側断面図である。
図4A】非係合位置におけるシンチングシステム組立体のシンチング板の上面図である。
図4B】係合位置におけるシンチングシステム組立体のシンチング板の上面図である。
図5A】非係合位置におけるシンチングシステム組立体のラチェットアームの上面図である。
図5B】係合位置におけるシンチングシステム組立体のラチェットアームの上面図である。
図6】歯車組立体、軸、およびコイルばねを有するシンチングシステム組立体の本体底部の上面等角詳細図である。
図7】シンチングシステム組立体の底面等角詳細図である。
図8】シンチングシステム組立体の第2の実施形態の組立分解等角図である。
図9A】回転歯が係合した図8の実施形態の側断面図である。
図9B】回転歯が係合していない図8の実施形態の側断面図である。
図10】シンチングシステム組立体の第3の実施形態の組立分解等角図である。
図11】回転歯が係合した図10の実施形態の側断面図である。
図12】急速脱着組立体の組立分解等角図である。
図13】ストラップ先端が連結されていない急速脱着組立体の等角図である。
図14】解放ボタンおよびストラップ先端上で弾性的に押圧可能な舌部の詳細を示す等角部分断面図である。
図15】ネックから延在するD−リングを使用するストラップ先端の第2の実施形態の等角図である。
図16】単一点張力付与システムの等角図である。
図17】単一点張力付与システムの上面図である。
図18】単一点張力付与システムの側面図である。
図19】浮動アームの等角図である。
図20A】明瞭さのために浮動アームラチェット解放ループのない、非係合位置におけるラチェットおよびラチェットストップの等角図である。
図20B】明瞭さのために浮動アームラチェット解放ループのない、係合位置のラチェットおよびラチェットストップの等角図である。
図20C】ラチェット解放ループが示された等角図である。
図21A】第1の位置に浮動アームを制止するように係合される中央ピボットレバーアームのブルノーズ挿入前の等角詳細図である。
図21B】浮動アームが第2の位置に解放されたブルノーズ挿入後の中央ピボットレバーアームの等角詳細図である。
図22図1Aおよび2Bの側方調整ヒンジのためのリビングヒンジ実施形態の実施形態の等角詳細図である。
図23A-23B】側方調整ヒンジの向きおよび動作を示す膝装具の簡素化された正面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示される実施形態は、ラチェット式張力付与要素および急速解放取付具を
組み込む整形装具にストラップ調整システムを提供する。ストラップのばね付勢引込みが
、未使用時にストラップがもつれてねじれることを防止する便利な保管のために選択的に
行われる。固定されるとき、急速解放取付具のストラップ係合機能が、ストラップをある
角度で方向調整する。図1に示されるように、例示的な整形膝装具10は、患者の大腿で
受けられる上部取付組立体12と、患者の下脚で受けられる下部取付組立体14とから構
成される。各取付組立体(上部取付組立体については図2Aおよび2Bに詳細に示される
)は、側方支持16、18、および内側支持20、22を実装する。ヒンジ24および2
6は、上部および下部取付組立体の側方および内側支持をそれぞれ相互に連結する。各取
付組立体は、前弓支持28、30を含む。
【0009】
図1(右脚装具について)、さらに図2Aおよび2B(いずれかの脚の実施形態の使用
を示す左脚装具について)において示されるように、例示的実施形態の上部取付組立体1
2は、大腿の後方まわりで上部取付組立体の側面の前弓支持28に隣接する上部シンチン
グシステム組立体34から、前方支持に隣接する、上部取付組立体の内側の急速解放取付
組立体36まで伸長する上部後方ストラップ32を使用する。同様に、下部後方ストラッ
プ38は、後方大腿まわりで側方支持要素16上の側方ヒンジ24に隣接する下部シンチ
ングシステム組立体40から、内側ヒンジ26に隣接する、内側支持要素20上の下部急
速解放取付組立体42まで伸長する。
【0010】
図1に示されるように、下部取付組立体14は、ふくらはぎの後方のまわりで下部取付
組立体の側面の前弓支持30に隣接する底部シンチングシステム組立体46から、前方支
持に隣接する、下部取付組立体の内側の急速解放取付組立体48まで伸長する底部後方ス
トラップ44を有する。
【0011】
シンチングシステム組立体34、40、および46は、例示的な実施形態では同一であ
り、図3A〜8で詳細に示される。図3Aおよび3Bで最もよく分かるように、各シンチ
ングシステム組立体は、使用者が回転させるノブ50を組み込み、後により詳細に記載さ
れるように、関連するストラップに張力をかける、またはストラップを格納する。一対の
シンチング板52aおよび52bは、ラチェットホイール54から有効に係合または解放
される。また、一対のラチェットアーム56aおよび56bは、ラチェットホイール54
を解放可能に係合する。シンチング板、ラチェットアームおよびラチェットホイールは、
ノブ50を受ける本体頂部58で拘束される。スロット付き軸60は、後により詳細に記
載されるように、関連するストラップの巻取り収容および送り出しのために使用される。
傘歯車セット62はラチェットホイール54によって駆動されて、回転のためにボルト5
5によってラチェットホイール54と係合する第1の歯車64aと、軸の回転のために軸
60と係合する第2の歯車64bとを有する軸60に取り付けられる。コイルばね66は
、後により詳細に記載されるように、解放時にストラップを格納するために送り出す間、
軸60の回転張力付与のために使用される。傘歯車セット62は、軸60と継手ボルト5
5を貫通するノブ50の回転軸61との向きが直交することを可能にする。本体底部68
は、軸60および関連するストラップのための収容キャビティ70を提供する。
【0012】
装具が最初に取り付けられるとき、ラチェットアーム56a、56bおよびシンチング
板52a、52bはラチェットホイール54から離れており、関連するシンチングシステ
ム組立体34、40、46の軸60からストラップを引き抜くことが可能である。構成部
品がこの位置を実現する方法の詳細は、後で説明される。使用者は、各組立体のコイルば
ね66の抵抗に反して、各シンチングシステム組立体34、40、および46からストラ
ップを伸長する。次いでストラップ端部を、装具の反対側で、関連する急速解放組立体3
6、42、または48に挿入する(後に図8〜11についてより詳細に記載される)。次
いでばね66がストラップのいかなるたるみもなくす。この時点で、使用者は時計回りに
ノブ50を回し、ストラップを所望の張力に締める。ノブ50は、それぞれ、シンチング
板52aおよび52bのスロット74a、74bへと下方に延在する2本のピン72a、
72b(図3Bで最もよく分かる)を有する。シンチング板の初期位置が、図4Aに示さ
れる。シンチング板はそれぞれ、ラチェットアーム56a、56bによって占められる本
体頂部58の内部空間78へと下方に延在するピン76a、76bを有する。この時点で
、シンチング板ピンは、ラチェットホイールから離れてラチェットアームを保持している
。ノブを右に回転させると、ノブピン72a、72bは、シンチング板52a、52bの
スロット74a、74bに沿って摺動して、板を内向きに移動させて、図4Bに示される
ように、ラチェットホイール54を接触面80a、80bと係合させる。ノブ50を時計
回りに回し続けると、ラチェットホイール54が歯車セット62を回し、ストラップをス
ロット付き軸60のまわりに締め付ける。一方、シンチング板52aおよび52bから下
方に延在するピン76a、76bはそれぞれ、ばねアーム84a、84bの接触面82a
および82から外れ、ラチェットアーム56a、56bがラチェットホイール54に係合
することも可能にする。示される実施形態では、ばねアーム84aおよび84bは、本体
頂部58の表面90から延在するリテーナ88aおよび88bで受けられるピボットピン
86a、86bを含むラチェットアーム56a、56bと一体である。ノブ50を回し続
けると、シンチング板52a、52bは、スロット74a、74bのピン76aおよび7
6bによって付勢されて回転し、ラチェットホイール54を回転させ、歯車セット62お
よびスロット付き軸60を順番に回転させて、ストラップを締め付ける。この方向の回転
により、シンチング板ピンはばねアーム84a、84bを過ぎて摺動して、通過とともに
それらを屈曲させ、通過すると、より弛緩した位置に戻る。ばねアーム84a、84bは
ラチェットアーム56a、56bを付勢して、ラチェットホイール54との接触を維持す
る。ノブ50が解放されると、ラチェットアーム56a、56bは、ラチェットホイール
54、歯車62、およびスロット付き軸60が反対の方向に回転することを防止し、した
がってストラップの張力が維持される。
【0013】
装具を取り外すときは、急速解放ボタンを押し、後により詳細に記載されるように、ス
トラップを解放して、装具の取り外しを可能にする。ストラップを格納して、装具および
システムの再使用の準備をするために、ノブ50を停止するまで約半回転、反時計回りに
回転させる。この回転により、ノブピン72a、72bは、シンチング板52a、52b
のスロット74a、74bで、板をラチェットホイールから離す反対の方向に摺動した。
ピン72a、72bがスロット74a、74bの端部に当たると、板は回転を開始するで
あろう。半回転中、シンチング板ピン76a、76bは、各ラチェットアーム56a、5
6bのばねアーム84a、84bの接触面82a、82bに当たるであろう。ノブ50を
反時計回りに回し続けると、ピン76a、76bは、ばねアーム84a、84bの接触面
82a、82bまで乗り上げ、ラチェットアーム56a、56bをラチェットホイールか
ら引き離し、ストラップが取り出されている間は締められていたコイルばね66が、スト
ラップを巻き取ることを可能にする。ここで装具は、最初に記載されたのと同じ状態にな
る。
【0014】
図6および7は、収容キャビティ70にスロット付き軸60を収容する本体底部68に
関するさらなる詳細を提供する。収容キャビティは、スロット付き軸60に巻きつけられ
たときに格納される状態のストラップに、十分な容積を与える。中心に配置される歯車6
2およびコイルばね66の間隙および動作を提供するために、ストラップは、図1A、1
B、2A、および2Bに示されるように、スロット付き軸の反対側の端部で係合される2
本の平行バンドを組み込む。図7で参照されるように、2つの出口スロット71aおよび
71bは、ストラップバンドのために設けられる。
【0015】
典型的な右手操作のための時計回りの締め付けシステムとして記載されているが、シン
チングシステム組立体34、40、および46の要素は、左手操作のための反時計回りの
締め付けシステムとして作動するように、鏡像関係で形成されてもよい。
【0016】
押しボタンによって解放されるシンチングシステム組立体の第2の実施形態が、図8
よび9A、9Bに示される。第1の記載された実施形態と同様に、軸60が、ボルト55
で駆動される傘歯車64aおよび64bを有する歯車セット62によって回転する。しか
し、ノブ50の回転を歯車セット62に転送するための係合要素は、ノブ50内で係合さ
れるラチェットリング202を含む組立体であり、それはリテーナ206aおよび206
bに取り付けられる爪204aおよび204bによって拘束される。爪の方向により、ノ
ブ50および関連するラチェットリング202の回転は一方向にのみ可能になる。外歯ス
プライン210を有する係合リング208は、ノブ50の内部スプライン212によって
受けられる。係合リング202は、ボタン213を使用して、図9Aに示される第1の位
置から図9Bに示される第2の位置まで垂直に押し下げられる。第1の位置において、係
合リング208上の内歯214は、ボルト55によって歯車セット62に連結される歯車
駆動リング218上の歯セット216に係合する。したがって、第1の位置において、ノ
ブ50の回転により、軸60を回転させる歯車セット62が回転し、軸上のストラップ要
素(図2A、2Bの32、38)を締め付ける。ラチェットリング202に係合する爪2
04aおよび204bは、ストラップ要素のゆるみを防止する。図9Bに示されるように
第2の位置に係合リング202を押し下げることにより、係合リング208上の内歯21
4は駆動リング218上の歯セット216から解放され、駆動リングは自由に回転する。
係合リング208が押し下げられた第2の位置において、ストラップ要素は、軸60から
引き出すことができる。
【0017】
図9Aおよび9Bに示されるように、係合リング208のより低い周囲を取り囲むスナ
ップシェルフ220は、本体頂部58の表面90から延在する弾性リテーナ222によっ
て第2の位置に係合され、係合リングを押し下げられた第2の位置に維持する。ノブ50
の回転は、表面90から延在するランプ224との動作可能な接触のために係合リング2
08を回転させ、係合リングを上方へ付勢し、弾性リテーナ222からスナップシェルフ
220を切断し、駆動リング218上の歯セット216の、係合リング208上の内歯2
14との動作可能な再係合のために、係合リング208を第1の位置に戻す。
【0018】
代替的な係合要素リテーナによる押しボタンリリースを使用するシンチングシステムの
第3の実施形態が、図10および11に示される。第3の実施形態の要素および動作は、
上記の第2の実施形態と実質的に同一であるが、しかし、スナップシェルフ218は取り
除かれており、図11において参照される、スプライン212の選択された歯全体に延在
する1つまたは複数のスナップ機能226が、係合リング208の外歯スプライン210
上の関連する歯を支持する。ボタン213によって係合リング208を弾性的に押し下げ
ることにより、スプライン210の関連する歯の通過のために、スナップ機能226を押
し下げられた第2の位置に移動させる。外歯スプライン210上のスナップ機能226の
摩擦係合は、ノブ50の回転がランプ224を係合し、前述のとおり係合リング208を
付勢して第1の位置へ戻すまで、係合リングを押し下げられた第2の位置に保持する。
【0019】
シンチングシステムの実施形態のそれぞれにおいて、締め付け方向へのノブ50の回転
は、ストラップを締めるために、シンチングシステムのラチェット式要素を自動的に再係
合する。
【0020】
図1Aおよび1Bに対して記載される急速脱着組立体36、42、および48が、図1
2〜15に詳細に示される。図12に示されるように、急速脱着組立体(一例として示さ
れる組立体42)は、内側縦方向支持(一例として示される上部取付組立体12内側縦方
向支持20)に取り付けられる。案内フラップ91を有する捕捉シュー90は、ストラッ
プ先端92を受けるために、内側支持20に取り付けられる。先端92の挿入される端部
94は略半円形であり、シューの受入端部96も半円形の輪郭を有する。示される実施形
態では、受入端部96は、挿入される端部94に係合する弾性の板ばね97を組み込み、
後に記載されるように、解放時に先端92の排出を支援する。弾性押圧可能な舌部98は
、捕捉ブラケット100で係合される先端の表面から延在する。捕捉ブラケットに弾性的
に取り付けられる解放ボタン102は、舌部98を弾性的に変形させて、先端と平らにな
るように押し下げることができ、それを捕捉ブラケットから解放する。挿入時に先端92
によって弾性的に係合される板ばね97は、舌部98を平らにすると、先端92を捕捉シ
ュー90から外に付勢する。示される実施形態では、ボタン102は、図13に示される
ように、内側支持20の嵌合穴104を貫通し、急速解放が内側支持の内表面に取り付け
られることを可能にする。図14は、捕捉ブラケット100から舌部を解放するための、
ボタンおよび舌部の係合を示す急速脱着組立体の部分切取図を示す。
【0021】
先端92の挿入される端部94および捕捉シュー90の受入端部96の半円形輪郭は、
先端92から延在するネック110と捕捉シューの挿入スロットの壁112とが接触する
前に、先端92が名目上の挿入軸108のまわりの角度106で、捕捉シューにおいて旋
回する機能を提供し、それによって、関連するストラップ(図14に示される例の場合3
8)が、たわむまたは軟かい肌に食い込むことなく、脚の後部のまわりで自然な角度をと
ることを可能にする。
【0022】
図14に示されるように、ネック110はフランジ付き取付部114で終わり、ストラ
ップ38は縫合または同様の手段によってフランジ付き取付部114に固定される。ある
いは、ネック110は、図15に示されるようなD−リング116で終わってもよく、ス
トラップはD−リング116を通して挿入されて、折り返され、面ファスナーまたは同様
の手段でそれ自体に連結される。
【0023】
図1に戻ると、代替的なストラップ張力付与システムが、下部取付組立体14の上部ス
トラップ120に設けられる。このストラップ120は、側方支持上で始まり脚の後方を
通った後に内側支持上で終わるのとは反対にふくらはぎを取り囲むという点で、装具上の
他のストラップと異なる。図16〜21Bに示されるように、単一点張力付与組立体12
2には、ラチェット式張力付与および単一点取付および解放システムが設けられる。スト
ラップ120は(図1で最もよく分かるように)単一点張力付与組立体122から伸長し
、ふくらはぎの後部を横断して、下部取付組立体14の内側支持22上のガイド124を
貫通する。次いでストラップ120は、膝の直下でふくらはぎの前を通り、単一点張力付
与システム122に取り付けられる。図16、17、および18に示されるように、スト
ラップ120(破線で示される)は、単一点張力付与組立体122上の連結チャネル12
8(連結チャネルの前面は残りの要素の明瞭さのために示されていない)で受けられるブ
ルノーズ126で終わる。ノブ130は、後により詳細に記載されるように、ストラップ
に張力をかけるために回される。歯車組立体132は、ノブ130から延在するスピンド
ル136上の駆動ギヤ134aを使用してばね付勢スプール138に取り付けられる傘歯
車134bを駆動し、ストラップ120を格納または伸長する。浮動アーム140を有す
る単一点解放は、単一点張力付与システム122と一体化される。図15に詳細に示され
る浮動アーム140は、ブルノーズ126の係合スロット144で受けられるロック歯1
42を含み、連結チャネル128でブルノーズを拘束する(図16および18で最もよく
分かる)。解放ボタン146は、後に記載されるように、単一点解放動作およびストラッ
プ引込みのために浮動アームから延在する。ラチェット解放フープ148は、後により詳
細に記載されるように、浮動アームに堅固に取り付けられ、張力付与ラチェットを解放す
る。
【0024】
単一点張力付与組立体122の動作は、図20A〜20Cおよび21A、21Bに関し
て、最もよく理解される。図20Aに示されるように、初期状態において、後により詳細
に記載されるように、ラチェット解放フープ148(図20Cに示されるが、明瞭にする
ために図20Aには示されない)が駆動ギヤ134a後方のスピンドルに取り付けられる
ラチェットホイール152から、スピンドル136の軸に沿ってばね付勢されるラチェッ
トストップ150を解放する第1の位置で、浮動アーム140は保持される。この状態に
おいて、ばね付勢されたスプール138は、ストラップ120を格納するように、または
、そのばねに対抗してスプールを巻くストラップの伸長を可能にするように張力をかけら
れている。使用者はスプール138からのストラップを、ふくらはぎの後部のまわりで内
側支持22上のガイド124を通して延ばし、ブルノーズ126を連結チャネル128に
挿入する。ブルノーズの連結チャネルへの挿入の前、中心ピボットレバー154はロック
位置で休止し、図21Aに示されるように、ばね156によって付勢され、第1の位置に
浮動アーム140を拘束する。図21Bに示されるように、ブルノーズ126の連結チャ
ネル128への挿入時、ブルノーズは係合して、ばね156を圧縮する第2の位置に中心
ピボットレバー154を旋回させ、連結チャネルにブルノーズを拘束するためにブルノー
ズのスロット144に歯142を係合する第2の位置にばね158によって付勢される浮
動アーム140を解放し、ラチェット解放フープ148の位置を動かしてラチェットスト
ップ150を解放し、図20Bに示されるように、それがラチェットホイール152に係
合することを可能にする。この構成において、ノブ130を時計回りに回転させて、歯車
組立体132を通してスプール138を回転させ、必要に応じてストラップ120に張力
をかけることができる。ばね151によってスピンドルに沿って軸方向に付勢されるラチ
ェットストップ150は、ラチェットホイール152を係合し、張力を維持する。
【0025】
装具を取り外すために、解放ボタン146を押し下げることによってストラップ120
を解放し、同時に、ばね158に対抗して浮動アームを押し下げることによって第1の位
置に戻り、連結されたロック歯142をスロット144から引き抜くことによって、ブル
ノーズ126を連結チャネル128から切り離し、解放ループ148によってラチェット
ストップ150を解放する。ブルノーズの取り外しによって解放される中心ピボットレバ
ー154は、ラチェットホイール152、歯車組立体132、およびスプール138が自
由に回転する第1の位置に浮動アーム140を拘束するロック位置にばね156によって
付勢され、ストラップ120を格納する。
【0026】
典型的な右手操作のための時計回りの締付けシステムとして記載されているが、単一点
張力付与組立体122の要素は、左手操作のための反時計回りの締付けシステムで作動す
るように、鏡像関係で形成されてもよい。
【0027】
膝装具の実施形態における単一組立体として本明細書に記載されるが、シンチングシス
テム組立体およびそれらの関連するストラップを有する単一点張力付与組立体は、ストラ
ップ張力付与のためにさまざまな整形装具またはその他の装置で別々に使用されてもよい
【0028】
膝装具はさらに、膝を曲げる間に拘束することなく、膝装具10上での側面ヒンジ24
および26の非平行な並びを可能にする側方屈曲機能を組み込む。ヒンジ要素160は、
図2Aおよび2Bで参照され、図22、23A、および23Bで詳細に示される前弓支持
28に一体である。ヒンジ要素160は、実質的に前弓支持および内側支持20の交点で
、前弓支持28に配置される。ヒンジ要素160の軸162は、内側ヒンジ26の回転軸
に略垂直であり、膝が通常の非屈曲姿勢である場合の脚、内側支持20、および下部内側
支持22の中立軸164に略平行である。ヒンジ要素160は十分な可撓性を有し、脚お
よび装具が非屈曲である中立位置から屈曲位置まで最大6°の内側支持20の中央内側へ
の角度オフセットを可能にする。この特徴により内側ヒンジ26は、拘束することなく作
動することが可能になり、内側および側方ヒンジの回転軸を一直線に並べることを必要と
しない。ヒンジ要素160は、前弓支持28に係合する取付部分168より柔軟な材料の
厚さがより小さい部分166を有する、図22に示されるリビングヒンジでもよい。ある
いは、ピアノヒンジなどの従来のヒンジ、または、所望のヒンジ要素位置の前弓支持28
の材料の成形シンニングが使用されてもよい。
【0029】
以上、本開示の各種の実施形態を特許法の要求にしたがって詳しく説明したが、当業者
であれば、本出願で開示した具体的な実施形態に対する改良形態および置換形態を想起す
るであろう。このような改良形態も、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲お
よび趣旨の範囲内にある。
<付記>
【0030】
整形装具はさまざまな外形寸法のものが存在するが、各装具は通常、さまざまな解剖学的寸法の使用者に適合させるための調節可能なストラップを必要とする。一例として膝装具については、一般的な寸法を有する装具の使用者のために、大腿およびふくらはぎの周囲の長さを脚の長さに基づいて大きく変えることができる。大部分の用途に関して、使用者は装具を簡単に装着して、さまざまなストラップを適切な寸法および張力に迅速に調節することを好む。ストラップが適切な張力を有することは、装具の適切な動作のために重要である場合がある。装具を必要とする活動が完了したときに、装具を迅速かつ容易に取り外す機能も同様に重要である。
【0031】
したがって、他の観点では、解剖学的単位を取り囲む固定ストラップのための、調節可能な張力を迅速かつ容易に付与および解放することができる整形装具の固定システムを提供することが望ましい。
【0032】
本明細書に開示される実施形態は、第1の方向および第2の方向に回転可能なノブを有する少なくとも1つのシンチングシステム組立体を組み込む整形装具に、取付システムを第1の特徴として提供する。少なくとも1つのシンチング板は、第1の向きへの第1の方向の回転、および第2の方向への回転時の第2の向きへの移行のために、ノブで係合される。ラチェットホイールは、第1の方向への回転のために、シンチング板によって第1の向きに係合される。少なくとも1つのラチェットアームは、ラチェット式動作のためにラチェットホイールに係合し、かつ、ラチェットアームからの解放のためにシンチング板によって第2の向きに係合される。軸はラチェットホイールの回転に応じて回転し、およびストラップは軸の回転時に、軸から伸長可能かつ軸に格納可能である。
【0033】
また、本明細書の実施形態は、ラチェットが取り付けられたスピンドルを有するノブを組み込む整形装具に、張力付与組立体を特徴として提供する。スプールは、スピンドルによる回転のために係合される。浮動アームは、第1の位置および第2の位置を有する。浮動アームは、第2の位置の連結チャネルに延在可能な係止歯と、第2の位置でのラチェットの係合のためのラチェットロックを位置決めするラチェット解放ループと、第2の位置から第1の位置に浮動アームを移動させるための解放ボタンとを含む。ストラップは、連結チャネルで取り外し可能に受けることができるブルノーズを有する。ブルノーズは、係止歯を受けるためのスロットを有し、かつ、連結チャネルへの挿入時に第1の位置から前記第2の位置に浮動アームを解放する。ストラップは、スプールから伸長可能かつスプールに格納可能である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図22
図23A
図23B