【実施例】
【0100】
組換えベクターの力価測定
AAVベクター力価を、ゲノムコピー数(1ミリリットルあたりのゲノム粒子)により測定した。ゲノム粒子濃度は、以前に報告されたように(Clarkら(1999)Hum.Gene Ther.,10:1031−1039;Veldwijkら(2002)Mol.Ther.,6:272−278)、ベクターDNAのTaqman(登録商標)PCRに基づいた。簡単に言うと、精製AAV−ASMを、カプシド消化バッファー(50mMのトリス−HCl,pH8.0,1.0mMのEDTA,0.5%SDS,1.0mg/mlプロテイナーゼK)で50℃、1時間処理し、ベクターDNAを放出させた。DNA試料を、プロモーター領域、トランスジーンまたはポリA配列のごときベクターDNA中の特異的配列にアニールするプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供した。次いで、PCR結果を、Perkin Elmer−Applied Biosystems(Foster City,CA)Prism 7700 Sequence Detector Systemにより提供されるようなReal−time Taqman(登録商標)ソフトウェアにより定量した。
【0101】
感染性アッセイを用いて、β−ガラクトシダーゼまたは緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)のごときアッセイ可能なマーカー遺伝子を有するベクターの力価を測定することができる。AAVを用いて感受性細胞(例えば、HeLaまたはCOS細胞)に形質導入し、β−ガラクトシダーゼベクターで形質導入した細胞のX−gal(5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)での染色またはGFP形質導入細胞の蛍光顕微鏡検査法のごときアッセイを実施して、遺伝子発現を測定する。例えば、アッセイを以下のように行う:4×10
4個のHeLa細胞を、通常の成長培地を用いる24穴培養プレートの各ウェルに蒔く。接着後、すなわち、約24時間後、細胞を感染多重度(MOI)10でAd型5に感染させ、段階希釈したパッケージ化ベクターで形質導入し、37℃でインキュベートする。1〜3日後、広範な細胞変性効果が観察される前に、適切なアッセイ(例えば、X−gal染色または蛍光顕微鏡検査法)を細胞上で行う。β−ガラクトシダーゼのごときレポーター遺伝子を用いる場合、細胞を2%パラホルムアルデヒド、0.5%グルタルアルデヒド中で固定し、X−galを用いてβ−ガラクトシダーゼ活性について染色する。十分に分離した細胞を生じるベクター希釈液をカウントする。各陽性細胞はベクターの形質導入単位(tu)が1であることを表す。
【0102】
機能性蛋白質の発現は治療関連マウスモデルにおける運動不全を抑止する
ASMKOマウスは、ニーマン・ピック病AおよびB型の一般に認められたモデルである(Horinouchiら(1995)Nat.Genetics 10:288−293;Jinら(2002)J.Clin.Invest.109:1183−1191;およびOtterbach(1995)Cell 81:1053−1061)。ニーマン・ピック病(NPD)はリソソーム蓄積症として分類され、酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM;スフィンゴミエリンコリンホスホヒドロラーゼ,EC3.1.3.12)の遺伝的欠損により特徴付けられる遺伝性神経代謝障害である。機能性ASM蛋白質の欠如は、脳全体にわたるニューロンおよびグリアのリソソーム内にスフィンゴミエリン基質の蓄積をもたらす。これにより、周核体において多数の膨張したリソソームが形成され、これは、NPD A型の顕著な特徴であり、主要な細胞表現型である。膨張したリソソームの存在は、正常な細胞機能の喪失および罹患した個人に幼児期での死をもたらす進行性の神経変性過程に相関する(The Metabolic and Molecular bases of Inherited Diseases,eds.Scriverら,McGraw−Hill,New York,2001,pp.3589−3610)。第2の細胞表現型(例えば、さらなる代謝異常)も、リソソームコンパートメント内の高レベルのコレステロール蓄積が顕著である、この疾患に関連する。スフィンゴミエリンはコレステロールに対して強い親和性を有し、ASMKOマウスおよびヒト患者のリソソーム内に多量のコレステロールの隔離をもたらす(Leventhalら(2001)J.Biol.Chem.276:44976−44983;Slotte(1997)Subcell.Biochem.28:277−293;およびViana et la.(1990)J.Med.Genet.27:499−504)。
【0103】
以下の実験により、深部小脳核内への片側性注入後のASMKOマウスにおいて、ヒトASM(hASM)をコードする組換えAAV2/1、AAV2/2、AAV2/5、AAV2/7およびAAV2/8血清型ベクターのhASM蛋白質を発現し、コレステロール貯蔵病変を補正し、輸送を受け、プルキンエ細胞をレスキューし、および機能的回復を開始する相対能力を評価した。さらなる群のASMKOマウスのDCNへ両側性注入を行い、増大したトランスジーン蛋白質の広がり/発現が行動上の機能回復を改善し得るかを評価した。
【0104】
66匹の雄ホモ接合性(−/−)酸性スフィンゴミエリナーゼノックアウト(ASMKO)マウスおよび16匹の雄野生型同腹子対照を異種交配(+/−)により繁殖させた。Galら(1975)N Engl J Med:293:632−636に記載の手段に従うPCRにより、マウスの遺伝子型を同定した。元々の群体からのマウスをC57/Bl6系統と戻し交配した。動物を12:12時間の明:暗サイクルの下で飼育し、自由に食飼および水を摂取させた。全手段は、the Institutional Animal Care and Use Committeeにより認可されたプロトコルに基づいて行った。
【0105】
イソフルランで麻酔した後、以下のAAV血清型ベクター(n=8/ベクター):AAV1−CMV−βgal、AAV1−CMV−ASM、AAV2−CMV−ASM、AAV5−CMV−ASM、AAV7−CMV−ASMおよびAAV8−CMV−ASMの1つをマウス(約7週齢)の深部小脳核(A−P:ブレグマから−5.75、M−L:ブレグマから−1.8、D−V:硬膜から−2.6、切歯棒(incisor bar):0.0)へ片側性注入した。シリンジポンプに取り付けた10μl Hamiltonシリンジを用いて、1つの脳あたり全部で1.86×10
10個のゲノム粒子について0.5μl/分の速度で、ベクターを送達した。各ベクターの最終注入量は4μlだった。手術の1時前および24時間後、鎮痛のために、マウスにケトプロフェン(5mg/kg;SC)を投与した。
【0106】
マウスを注入から7週間後に屠殺した(14週齢)。屠殺時、マウスにユサゾール(euthasol)(150mg/kg;IP)を過剰投与し、直ちに断頭するか(n=5/群)、または経心的に灌流した(n=3/群)。断頭したマウスから直ちに脳を取り出し、液体窒素で急速凍結(snap frozen)し、3切片(右大脳半球、左大脳半球および小脳)に解体し、ホモジナイズし、ELISAによりhASMについて分析した。灌流マウスからの脳および脊髄を、ヒトASM蛋白質発現、フィリピン染色により検出されるコレステロール蓄積、および50μmビブラトーム切片のカルビンジン染色を用いるプルキンエ細胞生存のために処理した。AAV2/1−βgal(n=8)、AAV2/1−ASM(n=5)およびAAV2/2−ASM(n=5)の両側性注入を受けたASMKOマウス(約7週齢)を、ロータロッド試験の後、20週齢で屠殺した。当該分野において知られている方法を用いて、Smartrod(AccuScan)上の運動機能用の加速および等速ロータロッドにより、マウスを試験した。例示的な方法はSleatら(2004)J.Neurosci.24:9117−9126に記載されている。
図10および11は、運動機能回復の測定としてのロータロッド試験の結果を図式的に示す。
【0107】
SV40ポリアデニル化配列およびハイブリッドイントロンを有する、ヒトサイトメガロウイルス前初期(CMV)プロモーターの制御下にある全長ヒトASM cDNAを、AAV血清型2(AAV2 ITR)に由来するITRを含むプラスミドへクローニングした(Jinら(2002)J Clin Invest.109:1183−1191)。AAV型2複製遺伝子に加えて血清型特異的カプシドコーディングドメインを含む一連のヘルパープラスミドを用いて、三重トランスフェクションにより、ハイブリッドベクターを作製した。この戦略により、各血清型−特異的ビリオンへのAAV2 ITRベクターのパッケージ化が可能となる(Rabinowitz,et al.(2002)J Virol.76:791−801)。このアプローチと共に、hASM組換えゲノムを用いて、AAV2/1、AAV2/2、AAV2/5、AAV2/7およびAAV2/8を含む様々な血清型の一連のrAAV−hASMベクターを作製した。組換えAAVベクターを、イオン交換クロマトグラフィー(血清型2/1、2/2および2/5)(O’Riordanら(2000)J Gene Med 2:444−54)、またはCsCl遠心分離(血清型2/8および2/7)(Rabinowitzら(2002)J.Urrol.76:791−801)により精製した。CMV配列のTaqMan PCRにより、AAV−ASMビリオン粒子(DNAse−耐性粒子)の最終力価を測定した(Clarkら(1999)Hum.Gene Therapy 10:1031−1039)。
【0108】
ヒトASM抗体はヒト特異的であり、マウスASMと交差反応しない。50mMの炭酸ナトリウムバッファー(pH9.6)中で希釈したモノクローナル組換えヒトASM(rhASM)抗体(2μg/ml)でコーティングしたCoster(Corning,NY)9018プレート(100μl/ウェル)を2〜8℃で一晩インキュベートした。過剰なコーティング抗体を除去し、ブロッキング希釈液(KPL,Inc.,MD)を37℃で1時間加えておいた。マイクロプレートウォッシャー(Molecular Devices,CA)を2サイクルで用いてプレートを洗浄した。標準的な希釈バッファー(PBS,0.05% Tween,1% HP−BSA)中に希釈した標準、対照および試料をデュプリケートでピペッティングし、37℃で1時間インキュベートさせておいた。プレートを上記のように洗浄した。100マイクロリットルのビオチン化組換えヒトASM(rhASM)抗体(標準的な希釈バッファー中、1:20Kで希釈)を各ウェルへ加え、37℃で1時間インキュベートさせておき、次いで、マイクロプレートウォッシャーで洗浄した。次いで、1:10Kで希釈したストレプトアビジン−HRP(Pierce Biotechnology,Inc.,IL)を加え(100μl/ウェル)、室温で30分間インキュベートさせておいた。プレートを上記のように洗浄し、次いで、SureBlue TMB(KPL,Inc.,MD)と共に15分間36〜38℃でインキュベートした。停止液(KPL,Inc.,MD)で反応を停止させ、次いで、Spectra Max 340 プレートリーダー(Molecular Devices,CA)を用いて450nmでの吸光度を読み取った。Softmax Pro 4.3ソフトウェア(Molecular Devices,CA)を用いてデータ分析を完了した。
【0109】
標準としてウシ血清アルブミンを用いるBCA蛋白質アッセイキット(Pierce Biotechnology,Inc.,IL)を用いて、各試料の蛋白質濃度を測定した。
【0110】
0.1M酢酸ナトリウムバッファー中に2%パラホルムアルデヒド、0.03%グルタルアルデヒド、0.002%CaCl
2を含有するpH6.5の固定剤を用いてマウスを経心的に灌流し、次いで、pH8.5の同じ固定剤を用いて灌流した。マウスの脳および脊髄を切断し、その後、グルタルアルデヒド不含のpH8.5の固定剤中、4℃で一晩固定した。組織をpH7.4の0.1Mリン酸カリウムバッファー中で洗浄し、3.5%寒天中に包埋し、ビブラトームを用いて50μmの矢状断面に切り分けた。
【0111】
脳および脊髄は50μmの間隔で矢状方向にビブラトームにより切断した。切片は、ヒトASMに対する一次抗体(1:200)を用いて免疫蛍光用に処理した。切片を、PBS中の10%ロバ血清、0.3%Triton X−100中で1時間インキュベートし、次いで、PBS中の2%ロバ血清、0.2%Triton X−100中でビオチン化マウス抗−ヒトASMと共に72時間インキュベートした。洗浄した後、Tyramide Signal Amplificationキット(PerkinElmer,Boston MA)を用いてシグナルを増幅した。Nikon蛍光顕微鏡を用いてヒトASM蛋白質を可視化し、SPOTカメラおよびAdobe Photoshopソフトウェアを用いて画像を獲得した。
【0112】
初めに、フィリピン複合体(Filipin Complex)(Sigma,St.Louis,MO)を100%メタノール中で希釈し、1mg/mlのストック濃度とした。ストック溶液は−20℃で4週間安定である。PBSで洗浄した後、切片を、用事調製した10μg/mlフィリピンのPBS中溶液中、暗所で3時間インキュベートした。次いで、切片をPBSで3回洗浄した。蛍光顕微鏡上、紫外フィルター下でコレステロール蓄積を可視化した。
【0113】
カルシウム結合蛋白質、カルビンジンに対する一次抗体を用いて免疫蛍光用に脳を処理した。切片をリン酸カリウムバッファー(KPB)で洗浄し、次いで、リン酸カリウム緩衝生理食塩水(KPBS)でリンスした。次いで、切片をKPBS中の5%ロバ血清、0.25% Triton X−100で最高3時間までブロックし、次いで、KPBS中の5%ロバ血清、0.2% Triton X−100およびマウス抗−カルビンジン(1:2500,Sigma,St.Louis,MO)中でインキュベートした。4℃で72時間後、切片をKPBSおよび0.1% Triton X−100で3回リンスした。2次抗体、ロバ−抗マウスCY3(1:333,Jackson Immunoresearch Laboratories,West Grove,PA)をKPBS+0.1% Triton X−100中に室温で90分間加えておいた。切片をKPBで洗浄し、次いで、ゲルコーティングしたスライドにマウントした。カルビンジン−陽性細胞を落射蛍光下で可視化した。小脳のプルキンエ細胞を定量化するために、4つの全断面の(full−faced)内側小脳切片を各動物から選択した。カルビンジン−免疫陽性プルキンエ細胞を蛍光顕微鏡下で観察し、細胞体を20×の倍率でカウントした。各葉を別々にカウントした。葉ごとに、2つの別個の焦点面をカウントした。細胞が2回カウントされないように、焦点の合った細胞のみをカウントした。
【0114】
初めに、上記したように、ヒトASMに対する抗体を用いて、免疫蛍光用に50μmのビブラトーム切片を処理した。次いで、カルビンジンについて上記したプロトコルを用いて、切片をPBS中で洗浄し、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT;ウサギポリクローナル,1:500,Chemicon International,Temecula,CA)で染色した。しかし、CY3 2次抗体ではなく、ロバ−抗−ウサギFITC(1:200,Jackson Immunoresearch Laboratories,West Grove,PA)を用いた。初めに、染色を落射蛍光下で可視化し、その後、共焦点顕微鏡を用いて画像を獲得した。
【0115】
フィリピン染色を以下のように定量化した。SPOTデジタルカメラ装着のNikon E600広視野正立型落射蛍光顕微鏡を用いて露光補正した画像を獲得した。初めに、AAV2/1−β−gal群の画像を獲得し、その露光を用いて全てのさらなる画像を獲得した。分析した各画像は、各半分の脳の長さまでの正中矢状面を示す。Metamorphソフトウェア(Universal Imaging Corporation)を用いて形態学的分析を行った。AAV2/1−β−gal画像を閾値設定し;確立したら、同じ閾値を全ての画像に用いた。以下の領域:小脳、脳橋、髄質、中脳、大脳皮質、海馬、視床、視床下部および線条体を使用者が手動で選択し、別々に分析した。積分強度を各領域で測定し、特定群の動物の全ての測定値(n=3/群)を用いて平均値を得た。次いで、処置動物におけるコレステロールの減少を、ノックアウトβ−gal注入マウスと比較した積分強度の減少パーセントとして算出した。深部小脳核内へのAAV−ASMの片側性注入の後に、小脳(表1)、脳橋、髄質および脊髄の全体にわたって、陽性hASM免疫染色が観察された。
【0116】
表1
AAV血清型の関数としての陽性hASM染色された領域。*は、陽性hASMが検出限界より低いにも関わらず、コレステロール病変の補正が生じたことを示す。
【表1】
【0117】
小脳において、AAV2/1−ASMで処置したマウスは最も広範な(すなわち、同じ矢状断面内の小葉間に広がる)レベルのhASM発現を有し、一方で、AAV2/2−ASMで処置したマウスは最も限局的なレベルのヒトASM蛋白質発現を有した。AAV2/5−ASM、AAV2/7−ASMおよびAAV2/8−ASMで処置したマウスにおけるヒトASM蛋白質発現はこれらの2群の中間であった。矢状断面間の内側−外側の広がりは、血清型1および8で処置したマウスで最大であり、血清型2を注入したマウスで最小であった。血清型5および7は、血清型1および2の中間の内側−外側の広がりを示した。小脳の各層(すなわち、分子、プルキンエおよび顆粒)は各AAV血清型により形質導入された。しかし、分子層に対する親和性の増大は全血清型について明かであった。プルキンエ細胞形質導入は、血清型1および5で処置したマウスで最大であった。血清型7を注入したマウスは、形質導入されたプルキンエ細胞の数が最も少なかった。血清型8で処置したマウスも形質導入されたプルキンエ細胞の数が少なかったが、血清型1、2、5および7と比較すると、顆粒層内のASM発現がより少なかった。ASMで形質導入されたプルキンエ細胞は、正常な細胞構造を有しているようだった。小脳組織ホモジナート中のELISAによるAAV媒介hASM蛋白質発現の定量分析はこれらの免疫組織学的知見を支持する。血清型1および8を注入されたマウスは、他の全てのマウスと比較した場合に、有意(p<.0001)に高い小脳hASM蛋白質レベルを示した。血清型2、5および7を注入したマウスに由来する小脳hASMレベルはWTレベル(すなわちバックグラウンド)を超えなかった。予想通り、ヒトASMは野生型マウスにおいて検出されず−ELISAで使用したhASM抗体はヒト特異的である。
【0118】
機能性ASM蛋白質の不在は、スフィンゴミエリンのリソソーム蓄積、その後の2次代謝欠陥、例えば、異常なコレステロール輸送をもたらす(Sarnaら,Eur.J.Neurosci.13:1873−1880およびLeventhalら(2001)J.Biol.Chem.276:44976−4498)。ストレプトミセス・フィリピネンシス(streptomyces filipinensis)から単離した自家蛍光分子であるフィリピンを用いて、ASMKOマウス脳における遊離コレステロールの蓄積を可視化する。野生型マウス脳はフィリピンで陽性染色されない。全てのAAV処置マウス(AAV2/1−βgalを除く)において、フィリピン染色のクリアランス(表2)はhASM免疫染色陽性の領域と重複し、これは、各血清型ベクターが機能性トランスジーン産物の産生能を有することを示す。
【0119】
表2
ヒトASMをコードする種々のAAV血清型(n=3/血清型;2/1、2/2、2/5、2/7および2/8)をASMKOマウスの深部小脳核へ小脳内注入した後の選択した脳領域における、AAV−βgalで処置したASMKOマウスと比較した、フィリピン(すなわち、コレステロール)クリアランスにおける減少パーセント。
【表2】
【0120】
(Passiniら(2003),“Society for Neuroscience”New Orleans,LA)により既に報告されているように、フィリピンクリアランスは、注入部位に解剖学的に連結した領域においても生じるが、該領域はhASMについて陽性染色されない。MetaMorph分析は、フィリピン染色における減少が、吻側−尾側の軸全体にわたって生じたことを示した。小脳および脳幹において、フィリピンは、AAV2/1−ASMおよびAAV2/8−ASMで処置したマウスにおいて最大限に減少し、一方で、間脳および大脳皮質では、AAV2/8−ASMを注入したマウスは、最大合計レベルのフィリピンクリアランスを有した(表2)。それにも関わらず、これらの結果は、ASMKOマウスCNSにおけるコレステロール貯蔵病変の補正に必要とされるhASMのレベルが最小である(すなわち、hASM免疫蛍光の検出限界未満である)ことを示す。
【0121】
組織学的研究は、ASMKOマウス小脳が急激に劣化することを示す。より具体的には、プルキンエ細胞は8〜20週齢で徐々に死滅する(Sarnaら(2001)Eur.J.Neurosci.13:1813−1880およびStewartら(2002)“Society for Neuroscience” Orland,FL)。カルビンジンは広く認められているプルキンエ細胞マーカーである。AAV−ASM処置マウスにおける陽性カルビンジン染色は、hASMのAAV媒介発現が治療的であることを示唆し得る。本発明者らの全結果は、小脳におけるAAV媒介hASM発現がASMKOマウスにおけるプルキンエ細胞死を抑制することを示す(表3)。予想通り、プルキンエ細胞生存は小葉I−IIIにおいて存在しなかった;マウスは7週齢で注入され、8週までに、これらの細胞の大部分は既に死滅した。小葉IV/Vにおけるプルキンエ細胞生存は血清型1で処置したマウスで最大であった。小葉VIにおいて、有意なプルキンエ細胞生存はAAV処置マウスにおいて観察されなかった。小葉VIIにおいて、血清型5で処置したマウスのみが有意なプルキンエ細胞生存を示した。小葉VIIIでは、血清型5および血清型2で処置したマウスがまた有意なプルキンエ細胞生存を示した。小葉IXおよびXでは、プルキンエ細胞数においてWTとKOマウス(またはAAV処置マウス)との間に有意な差異はなかった。これは予期されたものであり、というのも、14週齢(すなわち、屠殺時)のこれらの小葉内のプルキンエ細胞はASMKOマウスにおいてなお生存しているからである。全小葉にわたって、プルキンエ細胞生存は血清型1、2および5で処置したマウスにおいて最大であり、血清型7および8で処置したマウスにおいて最小だった。
【0122】
表3
ヒトASMをコードする種々のAAV血清型(n=3/血清型;2/1、2/2、2/5、2/7および2/8)をASMKOマウスの深部小脳核へ小脳内注入した後の、WTおよびASMKOマウスの小脳葉I−Xにおけるプルキンエ細胞数。太字のイタリックで示す数字は、KOマウス(すなわち、AAV2/1−βgalで処置したマウス)と有意に異なる。p≦.01.
【表3】
【0123】
加速ロータロッド試験において、AAV2/1−ASMおよびAAV2/8−ASMを片側注入したマウスは、AAV2/1−βgalを注入したASMKOマウスよりも、有意に(p<.0009)より長い落下までの滞在時間を示した。血清型AA2/1−ASMを注入したマウスは野生型マウスと有意に異ならなかった。AAV2/2−ASMおよびAAV2/5−ASMを注入したマウスは、AAV2/1−βgalを注入したASMKOマウスよりも、より長い落下までの滞在時間を示す傾向があり;一方で、AAV2/7−ASMを注入したマウスはその傾向がなかった。等速ロータロッド試験では、AA2/1−ASMを注入したマウスのみが、AA2/1−βgalを注入したマウスより、有意に(p<.0001)より長い落下までの滞在時間を示した。この場合、野生型マウスは、AA2/1−ASMを注入したマウスよりも有意に良好なパフォーマンスを示した。AAV2/1−ASMまたはAAV2/2−ASMのいずれかを両側性注入されたASMKOマウスは、加速および等速の両試験について、ASMKO AAV2/1−βgal処置マウスよりも有意に(p<.001)良好なパフォーマンスを示した。AAV2/1−ASM両側注入マウスは両試験において野生型マウスと同等のパフォーマンスを示した。
【0124】
AAV産生hASMがASMKO CNS内で機能的に有効であるか否かを決定するための1つの方法は、コレステロール貯蔵病変−NPA疾患の2次代謝欠陥に対するその影響を評価することである。全AAV処置マウス(AAV2/1−βgalを除く)において、コレステロール貯蔵病変の補正はhASM免疫染色陽性の領域と重複し、これは、各血清型ベクターが機能性トランスジーン産物の産生能を有することを示す。既に示されているように、異常なコレステロール代謝の補正は、注入部位に解剖学的に連結する領域においても生じるが、hASMについて陽性染色されなかった領域においても生じ、これは、コレステロール貯蔵病変の補正に必要とされるhASMレベルが最小限であることを示す。これらのhASM組織学的および生化学的結果と一致して、血清型1および8で処置したマウスは、コレステロール貯蔵病変において顕著な減少を示した。血清型2、5および7で処置したマウスも、コレステロール貯蔵病変において減少を示したが、血清型1および8で処置したマウスと同程度ではなかった。
【0125】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療関連モデル
筋萎縮側索硬化症(ALS)は、皮質、脳幹および脊髄にある運動ニューロンの選択的損失により特徴付けられる致命的な神経変性疾患である。疾患の進行は、四肢筋、体軸筋および呼吸筋の萎縮に至り得る。運動ニューロン細胞死は、反応性神経膠症、ニューロフィラメント異常、ならびに皮質脊髄路および前根における大きな有髄繊維の有意な欠損に付随する
1−6。ALSの病因は不明なところが多いが、蓄積の証拠は、特発性(SALS)および家族性(FALS)ALSが多くの類似する病理学的特徴を共有することを示し、故に、いずれかの形態の研究が共通の処置をもたらし得ることが期待される
7。FALSは、診断症状の約10%を占め、その20%はCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)における優性遺伝性突然変異に関連する
8。突然変異ヒトSOD1蛋白質を発現するトランスジェニックマウス(例えば、SOD1
G93Aマウス)は、ALSの多くの病理学的特徴を再現し、ALSを研究するために利用可能な動物モデルである
9。SALSでは、興奮性毒、毒物暴露、プロテアソーム機能障害、ミトコンドリア損傷、ニューロフィラメント崩壊および神経栄養支持の欠損を含む無数の病理学的機序が根底にある原因に関係があるとされる
10、11。
【0126】
現在のところ、ALSの効果的な治療法は存在していない。インスリン成長因子I(IGF−1)のごとき神経栄養因子は、ALSの処置における潜在的有用性について広く研究されてきた。脳幹および脊髄運動ニューロンに相互連結するCNSの領域へ(軸索輸送可能な)ウイルスベクターを頭蓋内送達させることにより、IGF−1のごとき潜在的治療剤を先行技術の手段では標的化が困難であった領域へ投与する手段が提供される。
【0127】
理論に限定されないが、これらの標的領域は必ずしも運動ニューロンと直接的なつながりを有さなくてもよい。すなわち、これらの標的領域が運動ニューロンの細胞環境を単に構成する細胞(例えば、介在ニューロンおよび星状膠細胞)と直接的なつながりを有すれば十分であり得る。この想定は、正常およびSOD1突然変異−発現細胞の混合体であるキメラマウスでの研究により支持される。これらの実験は、突然変異SOD1を発現しない非−神経細胞が変性を遅延し、突然変異を発現する運動ニューロンの生存を有意に長引かせることを示した
13。さらに、さらなる実験は、運動ニューロンの細胞環境を構成する細胞(例えば、星状膠細胞およびミクログリア)は神経栄養因子の重要な源であることを示し、これらの細胞の損傷(ALSにおいて病理学上生じるような)が運動ニューロン変性の一因となる根本的な因子の1つであることが示唆される
11。
【0128】
治療用ウイルスベクターおよび/または発現蛋白質の運動ニューロンの細胞環境への輸送を支持する可能性のあるCNSの領域は、小脳の深部小脳核(DCN)である。DCNは脳幹および脊髄の両方と広範な求心性および遠心性のつながりを有する(
図1を参照のこと)
14−19。軸索輸送能を有するウイルスベクターを用いて神経代謝疾患のマウスモデルにおいてDCNを標的化することにより、脳幹および脊髄の両方においてトランスジーン蛋白質の検出がもたらされる
20。興味深いことに、トランスジーン蛋白質は、運動ニューロンのマーカーであるコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)について陽性および陰性の両細胞において検出された。
【0129】
マウスおよびラットにおけるスーパーオキシドジスムターゼ−1(SOD1)遺伝子突然変異の過剰発現は、ヒトにおけるALSの臨床的および病理学的特徴を再現する。このモデルにおいて徴候の遅延に有効な化合物は、ALSを患う患者における臨床効果を予測するものであることが示され、故に、この疾患の治療関連モデルとなる。かかるマウスモデルは、Tuら(1996)P.N.A.S.93:3155−3160;Kasparら(2003)Science 301:839−842;Roaulら(2005)Nat.Med.11(4):423−428およびRalphら(2005)Nat.Med.11(4):429−433に既に記載されている。
【0130】
故に、現在の実験により、症状のある(すなわち、90日齢)SOD1
G93Aマウスにおける疾患の進行に対するAAV−IGF−1の両側性DCN送達の影響を調べることに努めた。特に、第一の目標は、AAV−IGF−1の送達が(1)脳幹および脊髄へのベクターおよび/または蛋白質の送達;(2)脳幹および脊髄における神経病変の減少;(3)運動行動機能における改善;ならびに(4)寿命の有意な延長をもたらしたか否かを決定することであった。結果は、脳幹および脊髄に相互連結したCNSの領域へのウイルスベクターの注入が、脳幹および脊髄へ可能性のある治療用トランスジーンを送達するための実行可能なアプローチであることを示す。さらに、本発明者らの結果は、その細胞環境の修正を介して運動ニューロン変性を処置するよう設計される治療薬の開発を支持する。
【0131】
2つの研究をG93A SOD1(本明細書中、SOD1マウスにおいて言及される、SOD1
G93A突然変異マウス)において行った。このモデルはヒトALSを綿密に模倣する。後肢運動障害を伴う進行性運動ニューロン変性が存在し、約90日齢のマウスで出現する。約120〜122日で死亡する。各研究は、4つの処置群:1)IGF−1をコードするAAV血清型1を投与されたマウス(AAV1−IGF−1);2)緑色蛍光蛋白質をコードするAAV血清型1を投与されたマウス(AAV1−GFP);3)IGF−1をコードするAAV血清型2を投与されたマウス(AAV2−IGF−1);ならびに4)緑色蛍光蛋白質をコードするAAV血清型2を投与されたマウス(AAV2−GFP)を有した。
【0132】
理論に限定されないが、IGF−1は、種々のレベルの中枢神経軸におけるその多数の作用に起因して、ALSを処置するための治療用蛋白質である(Doreら,Trends Neurosci,1997,20:326−331を参照のこと)。脳では:それは、ニューロンおよびグリアのアポトーシスの両方を軽減し、鉄、コルヒチン、カルシウム不安定性、過酸化物およびサイトカインにより誘導される毒性に対してニューロンを保護すると考えられる。それは、神経伝達物質アセチルコリンおよびグルタミン酸の放出も調節すると考えられる。それは、また、ニューロフィラメント、チューブリンおよびミエリン塩基性蛋白質の発現も誘導すると考えられる。脊髄では:IGF−1は、ChAT活性を調節し、コリン作用性表現型の喪失を軽減し、運動ニューロンの発芽を強化し、髄鞘形成を増大し、脱髄を阻害し、運動ニューロンの増殖および前駆細胞からの分化を刺激し、シュワン細胞分化、成熟および成長を促進すると考えられる。筋肉では:IGF−1は、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体クラスター形成を誘導し、神経筋機能および筋力を増大すると考えられる。この実験では、該蛋白質のIGF−1Ea形態を利用した。
【0133】
緑色蛍光蛋白質は対照蛋白質として利用され、AAVベクターの注入を媒介する発現の可視化も可能である。
【0134】
生後90日で、SOD1マウスに、AAV組換えベクターを用いて両側性注入した。1つの研究において、注入した用量は1部位あたり約2.0 e10 gc/mlだった。特定のマウスを生後約110日で屠殺し、その脳および脊髄を、GFP染色、免疫組織化学によるIGF−1発現、ELISAによるIGF−1発現、RT−PCRによるIGF−1発現、免疫組織化学によるChAT局所性、グリア繊維性酸性蛋白質(GFAP)発現、運動ニューロン数、上記したロータロッドでの機能性試験(等速および加速)、握力メーターを用いる前肢および後肢の握力、ならびに生存について分析した。
【0135】
「死亡事象」は、仰向けに置かれた状態から30秒以内に動物が自力で「元に戻る」ことができない場合か、または動物飼育の専門家により死亡したと判断された場合を言う。「死亡事象」の分類は、評価時に、動物群ごとに(GFP対IGF−1、盲式)2人で実施された。
【0136】
GFPは、深部小脳核(DCN)へのGFP発現AAVベクターの両側性送達の後に、脳幹および脊髄の各区分にわたって検出された(
図13および14を参照のこと)。
図22は、マウス脳内のGFP分布を示す。DCNに加えて、GFP陽性染色は、嗅球、大脳皮質、視床、脳幹、小脳皮質および脊髄においても観察された。これらの領域の全ては、DCNからの投射を受けるか、および/またはDCNへ投射を送るかのいずれかである。加えて、GFP陽性繊維および/または細胞は、ChAT陽性細胞に対して近位で観察された。
【0137】
IGF−1mRNAは、AAV1−IGF−1またはAAV2−IGF−1で処置したマウスの脳幹および脊髄の各区分において検出され、これは、ベクターが逆行性輸送されたことを示す(
図18を参照のこと)。IGF−1蛋白質は、AAV1−IGF−1またはAAV2−IGF−1で処置したマウスの脳幹および脊髄で検出された。口部運動核(oromotor nuclei)(例えば、三叉神経運動核、顔面神経核および舌下神経核)および脊髄の各区分におけるGFAP染色の減少は、AAV1−IGF−1またはAAV2−IGF−1で処置したマウスにおいて観察された(
図15−17を参照のこと)。GFAPは、ALSの病理学的特徴であるグリオーシスのマーカーである。AAV1−IGF−1またはAAV2−IGF1の送達は、ロータロッドおよび握力タスクにおいて有意な機能上の改善をもたらした(
図20を参照のこと)。AAV−IGF−1、AAV2−IGF1の送達はまた、SOD1マウスの寿命を有意に延長した(
図21を参照のこと。該図では、AAV−GFP処置マウスでの121または120日に対して、AAV−IGF−1処置マウスでは133.5または134日に生存の中央値が増大している)。
図19は、AAV−IGF−1のDCN送達が運動ニューロンの生存を促進したことを示す。アスタリスクで示すように、GFPをコードするAAVをDCN送達したマウスに対する、IGF−1をコードするAAVで処置したマウスの差異は、統計的に有意(p−値=0.01)である。
【0138】
血清型に関わらず、AAV−IGF−1処置は運動ニューロン生存を有意に高め、ロータロッドおよび握力試験の両方において運動能力を改善し、寿命を有意に延長した。PCRおよびELISAを用いて、IGF−1発現を脳幹および脊髄にわたって検出した。
【0139】
本明細書は、本明細書中で引用した参考文献の教示を照らすことで、十分に理解される。本明細書中の実施態様は本発明の実施態様の説明を提供しており、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。当業者であれば、他の多くの実施態様が本発明に包含されることが容易に理解できよう。本明細書中に引用した全ての文献、特許および生物学的配列は出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。出典明示により本明細書に組み込まれた材料が本明細書に矛盾するか、または一致しない範囲内においては、本明細書が任意のかかる材料に優先し得る。本明細書中、任意の参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明の先行技術であることを認めるものではない。
【0140】
別記しない限り、特許請求の範囲を含む本明細書中で用いた成分量、細胞培養、処置条件等を表す全ての数字は、全ての場合において、「約」なる用語で修飾されているものとして理解されるべきである。従って、反対の指示がない限り、数字パラメーターは近似値であり、本発明により獲得が探求されている所望の特性に非常に依存するものであってもよい。別記しない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」なる用語は、列挙した各要素に対して言うことが理解されるべきである。当業者は、単なる慣用的実験を用いることで、本明細書中に記載した本発明の特定の実施態様に対する多くの均等物を認識または解明することができよう。かかる均等物は添付の特許請求の範囲により包含されるべきことが意図される。
【0141】
参考文献
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