(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ホールは、前記複数のサブ画素のそれぞれの少なくとも両側に位置するか、または前記複数のサブ画素のそれぞれの少なくとも2つの側面のうちの1つに位置する、請求項1に記載の有機発光ダイオード装置。
前記第1ホールおよび前記第2ホールは、前記有機発光ダイオード装置を曲げることによって発生したストレスを減少させるため、ベンディング領域内に少なくとも1つの領域を規定する、請求項9に記載の有機発光ダイオード装置。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述される実施例を参照すると明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で実現することができる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全なものにさせ、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者に発明の範疇を知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0077】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであって、本発明が図示されたものに限定されるものではない。明細書全体に亘り、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。また、本発明を説明するに当たり、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁し得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。本明細書において「含む」、「有する」、「なる」などが用いられた場合、「のみ」が記載されていなければ他の部分を追加することができる。そして、構成要素を単数形に表現した場合、特に言及しない限り、複数形が含まれる場合がある。
【0078】
構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくてもエラー範囲を含むものとして解釈する。
【0079】
位置関係の説明において、例えば「上に」、「上部に」、「下部に」、「横に」などで2つの位置関係を説明する場合、「すぐ」または「直接」と記載されていなければ、1つ以上の他の部分が2つの間に位置することができる。
【0080】
時間関係の説明において、例えば「後で」、「に続き」、「次に」、「前に」などで時間の前後関係を説明する場合、「すぐ」または「直接」と記載されていなければ、非連続的な場合を含むことができる。
【0081】
様々な構成要素を説明するため、「第1」や「第2」などが用いられるが、これらの構成要素はその用語に制限されるものではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使われるだけである。そのため、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0082】
本発明の種々の実施例におけるそれぞれの特徴が、部分的に、または全体的に互いに結合、または組み合わされてもよく、技術的に様々な連動や駆動が可能であって、各実施例は、独立して実施されてもよく、相互関連性を持って一緒に実施されてもよい。
【0083】
以下、図面を参照し、本発明について詳細に説明する。
【0084】
図1aから
図1cは、本発明の実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置の折り畳み状態および繰り広げ状態を概略的に示す斜視図である。
【0085】
本発明の実施例において、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の一例として、フォルダブルな有機発光ダイオード装置を示す。しかしながら、本発明がこれに制限されるものではなく、カーブドな有機発光ダイオード装置、ベンダブルな有機発光ダイオード装置、ローラブルな有機発光ダイオード装置、およびストレッチャブルな有機発光ダイオード装置といった様々な有機発光ダイオード装置に適用することができる。
【0086】
そして、図面に示していないが、本発明の実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、テレビまたは屋外広告板のような大型電子装置をはじめ、携帯電話、パーソナルコンピューター、ノートパソコン、パーソナルデジタル端末、カーナビゲーションユニット、ゲーム機、携帯用電子機器、腕時計型電子機器、カメラのような中型・小型電子装置などに用いられることができる。
【0087】
図1aに示すように、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、表示面上に、区分される複数の領域を含む。かかるフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、折り畳み軸FXを基準にして、それぞれ画像が表示される第1表示領域EA1および第2表示領域EA2に分けて定義し得るが、かかるフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、
図1bに示すように、第2表示領域EA2が折り畳み軸FXを時計回りに回転することで、第1表示領域EA1と第2表示領域EA2とが互いに逆方向に向かうよう、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は外側への折り畳み状態となる。
【0088】
また、
図1cに示すように、第2表示領域EA2が折り畳み軸FXを反時計回りに回転することで、第1表示領域EA1と第2表示領域EA2とが互いに向かい合うよう、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は内側への折り畳み状態をなすこともできる。
【0089】
かかる本発明の実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、外側および内側へと極端な折り畳みが可能でありながら、繰り返される折り畳みの作業下でも、発光ダイオード(
図3のE、若しくは発光素子)の剥離や、外部からの水分および異物などがフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することを防止(若しくは減少)させることができ、最終的にはフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性が低下することを防止(若しくは減少)させることができる。
【0090】
それについて、実施例を参照し、さらに詳細に説明する。
【0091】
<第1実施例>
図2は、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置において、3つのサブ画素を含む単位画素の構造を概略的に示す平面図である。
【0092】
そして、
図3は、
図2の切り取り線III‐IIIに沿って切り取った、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置の3つのサブ画素を含む単位画素の構造を概略的に示す断面図である。
【0093】
また、
図4aから
図4bは、折り畳み作業時に加えられるストレスが緩和される原理を概略的に説明するための概略図である。
【0094】
説明の前に、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、発光した光の透過方向によって、トップエミッション型とボトムエミッション型とに分けられるが、以下、本発明では、ボトムエミッション型を一例に説明する。
【0095】
図2に示すように、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、1つの単位画素Pが赤色・緑色・青色のサブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPを含む。それぞれのサブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPは、発光領域EAを含み、発光領域EAの縁部に沿って非発光領域NEAが定義されるが、非発光領域NEA上には、バンク119を配置することができる。
【0096】
ここで、説明の便宜のため、それぞれのサブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPは、同じ幅を持って並んで配置するように示すが、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPは、お互い異なる幅を持ってもよく、様々な構造を有することができる。
【0097】
このとき、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの非発光領域NEA上の一部には、スイッチング薄膜トランジスタSTrおよび駆動薄膜トランジスタDTrが備えられ、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP内の発光領域EA上には、それぞれ第1電極111、有機発光層113および第2電極115を含む発光ダイオードEが配置される。
【0098】
ここで、スイッチング薄膜トランジスタSTrと駆動薄膜トランジスタDTrは、互いに接続され、駆動薄膜トランジスタDTrは、発光ダイオードEに接続される。
【0099】
これについてさらに詳細に説明すると、ゲート配線SLとデータ配線DL、そして電源配線VDDが基板101上に配置され、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPを定義する。
【0100】
スイッチング薄膜トランジスタSTrは、ゲート配線GLとデータ配線DLが交差する領域に形成され、かかるスイッチング薄膜トランジスタSTrは、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPを選択する役割をする。
【0101】
かかるスイッチング薄膜トランジスタSTrは、ゲート配線GLから分岐するゲート電極SGと、半導体層103と、ソース電極SSと、ドレイン電極SDを含む。
【0102】
そして、駆動薄膜トランジスタDTrは、スイッチング薄膜トランジスタSTrによって選択された各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの発光ダイオードEを駆動する役割をする。かかる駆動薄膜トランジスタDTrは、スイッチング薄膜トランジスタSTrのドレイン電極SDに接続されたゲート電極DGと、半導体層103と、電源配線VDDに接続されたソース電極DSと、ドレイン電極DDとを含む。
【0103】
駆動薄膜トランジスタDTrのドレイン電極DDは、発光ダイオードEの第1電極111に接続される。
【0104】
発光ダイオードEの第1電極111と第2電極115の間には、有機発光層113が介在される。
【0105】
ここで、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの有機発光層113から、全て同じ白色光が発光する。
【0106】
例えば、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、有機発光層113を、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に互いに異色を実現する発光物質で、互いに異なるように形成するのではなく、全て同じ白色光を発光する発光物質で形成することができる。
【0107】
それにより、本願発明は、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に互いに異なる発光物質を形成するためのシャドーマスク工程を省略することができるので、シャドーマスク工程による問題の発生を防止することができ、特に、高解像度を実現することができる。また、各発光物質における劣化速度の差による色変化の発生を防止することができる。
【0108】
さらに詳細に説明するために
図3を参照すると、基板101上の各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPにおける非発光領域NEAのスイッチング領域TrA上には半導体層103が位置するが、半導体層103はシリコンからなり、その中央部は、チャネルをなすアクティブ領域103aと、該アクティブ領域103aの両側面に高濃度の不純物がドープされたソース領域103bおよびドレイン領域103cで構成される。
【0109】
かかる半導体層103の上部には、ゲート絶縁膜105が位置する。
【0110】
ゲート絶縁膜105の上部には、半導体層103のアクティブ領域103aに対応して、ゲート電極DGおよび不図示の一方向に延長されるゲート配線GLが備えられる。
【0111】
また、ゲート電極DGおよびゲート配線GLを含む上部には、第1層間絶縁膜109aが位置し、第1層間絶縁膜109aおよびその下部のゲート絶縁膜105は、アクティブ領域103aの両側面に位置したソースおよびドレイン領域103b、103cをそれぞれ露出させる第1および第2半導体層コンタクトホール116が備えられる。
【0112】
次に、第1および第2半導体層コンタクトホール116を含む第1層間絶縁膜109aの上部には、互いに離隔し、第1および第2半導体層コンタクトホール116を介して露出されたソースおよびドレイン領域103b、103cにそれぞれ接触するソースおよびドレイン電極DS、DDが備えられる。
【0113】
そして、ソースおよびドレイン電極DS、DD、そして両電極DS、DD間に露出された第1層間絶縁膜109aの上部に、第2層間絶縁膜109bが位置する。
【0114】
このとき、ソースおよびドレイン電極DS、DD、そして該電極DS、DDに接触するソースおよびドレイン領域103b、103cを含む半導体層103と、半導体層103の上部に位置するゲート絶縁膜105およびゲート電極DGは、駆動薄膜トランジスタDTrを構成する。
【0115】
一方、
図3には示していないが、スイッチング薄膜トランジスタSTrは、駆動薄膜トランジスタDTrと同じ構造を有し、駆動薄膜トランジスタDTrに接続される。
【0116】
そして、スイッチング薄膜トランジスタSTrおよび駆動薄膜トランジスタDTrは、
図3では、半導体層103がポリシリコン半導体層、または酸化物半導体層からなるトップゲート型を例示しているが、変形例として非晶質シリコンからなるボトムゲート型であってもよい。
【0117】
このとき、基板101は、曲げたり反ったりできる透明なプラスチック材質、例えばポリイミドから構成されるが、プラスチック材質を基板101に用いる場合は、基板101上において高温の蒸着工程が行われることを考慮し、高温で耐えられる耐熱性の優れたポリイミドを利用することができる。
【0118】
かかる基板101の前面全体は、1つ以上のバッファー層(不図示)によって覆うことができる。
【0119】
そして、スイッチング領域TrAに設けられた駆動薄膜トランジスタDTrは、光によって閾値電圧がシフトされる特性を持ち得るが、それを防止するため、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、半導体層103の下に遮光層(不図示)をさらに含むことができる。
【0120】
遮光層(不図示)は、基板101と半導体層103の間に設けられ、基板101を通して半導体層103側へ入射する光を遮断することで、外部光によるトランジスタの閾値電圧の変化を最小化、又は防止する。かかる遮光層(不図示)は、バッファー層(不図示)によって覆われる。
【0121】
そして、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの発光領域EAに対応する第2層間絶縁膜109bの上部には、それぞれ波長変換層106が位置するが、波長変換層106は、発光ダイオードEから基板101側へ放出される白色光のうち、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPに設定された色の波長のみを透過させるカラーフィルターを含む。
【0122】
例えば、波長変換層106は、赤色・緑色・青色の波長のみを透過させることができる。
【0123】
また、例えば、赤色のサブ画素R‐SPは赤色のカラーフィルター、緑色のサブ画素G‐SPは緑色のカラーフィルター、そして青色のサブ画素B‐SPは青色のカラーフィルターをそれぞれ含むことができる。
【0124】
他の例による波長変換層106は、発光ダイオードEから基板101側へ放出される白色光に応じて、再発光し、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPに設定された色の光を放出する大きさの量子ドットを含むことができる。ここで、量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、CdZnSeS、GaAs、GaP、GaAs‐P、Ga‐Sb、InAs、InP、InSb、AlAs、AlPまたはAlSbなどから選択することができる。
【0125】
例えば、赤色のサブ画素R‐SPの波長変換層106は、CdSeまたはInPの量子ドット、緑色のサブ画素G‐SPの波長変換層106は、CdZnSeSの量子ドット、青色のサブ画素B‐SPの波長変換層106は、ZnSeの量子ドットをそれぞれ含むことができる。このように、波長変換層106が量子ドットを含むフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、高い色再現率を持つことができる。
【0126】
さらに他の例による波長変換層106は、量子ドットを含むカラーフィルターからなり得る。
【0127】
したがって、本発明のフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎にR・G・Bカラーを発し、高輝度のフルカラーを実現する。
【0128】
さらに、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、1つの単位画素Pが白色のサブ画素W‐SPをさらに含むことができる。このとき、白色のサブ画素W‐SPには、別途の波長変換層が備えられない。
【0129】
波長変換層106の上部には第3層間絶縁膜109cが位置し、第3層間絶縁膜109cの上部には第2および第3層間絶縁膜109b、109cと共に、駆動薄膜トランジスタDTrのドレイン電極DDを露出するドレインコンタクトホールPHを有するオーバーコート層108が位置する。
【0130】
ここで、第1から第3層間絶縁膜109a、109b、109cは、窒化シリコンSiNx、または酸化シリコンSiOxなどを含む無機絶縁膜からなり、オーバーコート層108は、スイッチングおよび駆動薄膜トランジスタSTr、DTrとデータ配線DLなどによる段差を補い、表面平坦化のため、フォトアクリルのような有機絶縁膜からなる。
【0131】
オーバーコート層108の上部には、駆動薄膜トランジスタDTrのドレイン電極DDに接続され、発光ダイオードEの陽極(アノード)となる第1電極111が位置する。
【0132】
第1電極111は、インジウム・チン・オキシド(ITO)またはインジウム・ジンク・オキシド(IZO)のような金属酸化物、ZnO:AlまたはSnO
2:Sbのような金属と酸化物の混合物、ポリ(3‐メチルチオフェン)、ポリ[3,4‐(エチレン‐1,2‐ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような電導性高分子などからなり得る。また、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、銀ナノワイヤーなどからなり得る。
【0133】
かかる第1電極111は、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に位置するが、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPに位置する第1電極111間には、バンク119が位置する。例えば、第1電極111は、バンク119を各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの境界部にして、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に分離された構造を有する。
【0134】
ここで、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、バンク119の上部に逆テーパー状のスペーサー104(以下、逆スペーサーとする)をさらに含むことを特徴とするが、逆スペーサー104は、基板101と保護フィルム102の間の空いた空間を緩衝し、外部からの衝撃によりフレキシブルな有機発光ダイオード装置100が破損することを最小化する役割をする。
【0135】
特に、スペーサー104が逆テーパー状であることから、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の折り畳み作業時に有機発光層113など、様々な層に対するベンディングストレスを緩和させる役割をすることになる。
【0136】
例えば、第1電極111および逆スペーサー104の上部には、白色光を発光する有機発光層113が位置し、有機発光層113の上部には、全面に陰極(カソード)となる第2電極115が位置して、第1電極111と、有機発光層113、そして第2電極115は、発光ダイオードEを構成する。
【0137】
このとき、逆スペーサー104のため、逆スペーサー104の上部に位置する有機発光層113と第2電極115の蒸着(若しくは接着)面積がさらに広くなるので、有機発光層113と第2電極115の接着力を一層向上させることになる。
【0138】
また、第2電極115の上部に位置する保護フィルム102も、接着面積が広くなることにより、有機発光層113を固定させる効果を有することになるので、ベンディングストレスが加えられても有機発光層113の剥離を防止(または減少)できるようになる。
【0139】
そして、ベンディングストレスが加えられ、有機発光層113の剥離が進んでも、逆スペーサー104が剥離の広がりを遮断し、その結果、有機発光層113の剥離が発生することを最小化することができる。
【0140】
ここで、有機発光層113は、発光物質からなる単層であってもよく、発光効率を向上させるため、正孔注入層(hole injection layer)、正孔輸送層(hole transport layer)、発光層(emitting material layer)、電子輸送層(electron transport layer)および電子注入層(electron injection layer)からなる多層であってもよい。
【0141】
そして、第2電極115は、カソードの役割をするよう、相対的に仕事関数の低い金属物質、例えばマグネシウム・銀(MgAg)合金、またはマグネシウム・アルミニウム(MgAl)合金からなることを特徴とする。
【0142】
かかるフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、選択された信号により、第1電極111および第2電極115に所定の電圧が印加されると、第1電極111から注入された正孔と、第2電極115から提供された電子とが有機発光層113に輸送されて励起子を構成し、該励起子が励起状態から基底状態へ遷移する際、白色光が発生して外部へ放出される。
【0143】
このとき、発光された白色光は、透明な第1電極111を透過した後、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に波長変換層106を透過しながらR・G・Bカラーに変換され、高輝度のフルカラーが実現することにより、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、任意の画像を表すことになる。
【0144】
そして、かかる駆動薄膜トランジスタDTrおよび発光ダイオードEの上部には、薄膜フィルム状の保護フィルム102が位置し、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、保護フィルム102によってカプセル化される。
【0145】
ここで、保護フィルム102は、外部の酸素および水分がフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することを防止する(または減少させる)ため、第1から第3保護フィルム102a、102b、102cからなるが、第1保護フィルム102aおよび第3保護フィルム102cは、無機絶縁膜からなり、第1保護フィルム102aと第3保護フィルム102cの間に位置する第2保護フィルム102bは、第1および第3保護フィルム102a、102cの耐衝撃性を補うため、有機絶縁膜からなることが好ましい。
【0146】
かかる第1から第3保護フィルム102a、102b、102cは、有機絶縁膜と無機絶縁膜が交互に繰り返して積層された構造で、有機絶縁膜からなる第2保護フィルム102bの側面から水分および酸素が浸透することを防止しなければならないため、無機絶縁膜である第1および第3保護フィルム102a、102cが第2保護フィルム102bを完全に取り囲む構造とすることが好ましい。
【0147】
その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、外部から水分および酸素がフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することを防止することができる。
【0148】
ここで、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、第2保護フィルム102bに複数のホールH1が備えられることを特徴とする。
【0149】
それぞれのホールH1は、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの非発光領域NEAに沿ってメッシュ構造を有することができるが、かかるホールH1により、第2保護フィルム102bは、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に分離された構造を有することになる。
【0150】
ここで、ホールH1は、マスクを用いて、第2保護フィルム102bをエッチングすることで形成することができるが、ドライエッチングが好ましい。
【0151】
例えば、イオンビームエッチング、RF(radio frequency)スパッタリングエッチング、プラズマエッチング、または反応イオンエッチングのうち、選択されるいずれか1つで行うことができる。
【0152】
例えば、第2保護フィルム102bの上部に、非発光領域NEAのバンク119の上部に対応してマスクを位置させた後、下部の第1保護フィルム102aが露出されるよう、第2保護フィルム102bをドライエッチングで除去し、ホールH1を形成することができる。
【0153】
したがって、別途の構造物を備えるための材料や工程を加えることなく、既存層を活用し、第2保護フィルム102bにホールH1を形成することができるようになる。
【0154】
ここで、第1から第3保護フィルム102a、102b、102cのうち、第2保護フィルム102bにホールH1を形成する理由は、無機絶縁膜からなる第1および第3保護フィルム102a、102cに比べ、有機絶縁膜からなる第2保護フィルム102bが最も厚く形成されるためである。
【0155】
第1および第3保護フィルム102a、102cが約1μmの厚さを有すると、第2保護フィルム102bは、約6μmの厚さを有する。
【0156】
かかる第2保護フィルム102bは、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部において、最も厚さが厚い。
【0157】
このように、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100内で最も厚さの厚い第2保護フィルム102bに、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの非発光領域NEAに沿ってホールH1を形成することで、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、ベンディングストレスを最小化する(または減少させる)ことができる。
【0158】
図4aおよび
図4bを参照し、さらに詳しく説明すると、
図4aは、隣接している連続した第1層201および第2層202が、一定の曲率半径を有するように折り畳まれたとき、第2層202に加えられる応力(例えば、ベンディングストレス)を説明するための図面であって、連続した第1層201上に連続した第2層202が配置されると、第2層202には引張応力A(tensile stress)が働き、第1層201には圧縮応力B(compressive stress)が働くことになる。
【0159】
応力とは、材料に圧縮・引張・曲げ・ねじりなどの荷重(外力)を加えたとき、その大きさに対応して材料内に生じる抵抗力を意味する。
【0160】
かかる応力は、外力の増加に伴って増加するが、応力には限度があるので、応力が材料固有の限界応力に達すると、外力に抵抗できなくなり、やがてその材料は破壊してしまう。
【0161】
このように、互いに異なる方向の応力が加えられると、第1層201および第2層202にクラックが生じ、その結果、第1層201と第2層202の剥離が引き起こされる。
【0162】
このとき、
図4bに示すように、第2層202に複数のホールHを形成すると、第1層201および第2層202を同じ曲率半径で曲げても、第2層202に加えられる引張応力BがホールHによって分散されるので、第2層202に加えられる応力が緩和される。
【0163】
その結果、第1層201および第2層202に加えられる応力が相対的に小さくなるので、第1層201および第2層202にクラックが生じることを最小化(または減少)できるようになる。
【0164】
したがって、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部で最も厚さの厚い第2保護フィルム102bに、各サブ画素R‐SP、G−SP、B‐SPの非発光領域NEAに沿ってホールH1を備えることで、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100において折り畳む・繰り広げるという作業が繰り返し行われるときに発生するベンディングストレスが、第2保護フィルム102bに備えられたホールH1によって分散されるようにすることができる。
【0165】
それにより、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100のベンディングストレスを最小化することができるので、有機発光層113の剥離発生を防止することができ、また、第1から第3保護フィルム102a、102b、102cにベンディングストレスが発生して外部からの水分および異物などがフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することも防止することができるようになる。
【0166】
さらに、有機発光層113の剥離が一部発生しても、ホールH1により、剥離が広がることを防止することができ、第1保護フィルムから第3保護フィルム102a、102b、102cにクラックが発生しても水分および異物などが拡散することも防止することができるようになる。
【0167】
結果的に、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性を向上させることができる。
【0168】
一方、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ外部の酸素や水分が浸透することを効果的に防止するためには、保護フィルム102が少なくとも8μm以上の厚さを有するように形成することが好ましい。無機絶縁膜からなる第1および第3保護フィルム102a、102cがそれぞれ約1μmの厚さを有するように形成されるとき、第2保護フィルム102bが85℃の低温で形成可能であるネガティブ型ポリアクリレートといった有機物質からなる場合には、
図5に示すように、第2保護フィルム102b、102dを二重に形成することができる。
【0169】
例えば、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、基板101を曲げたり反ったりできるよう、プラスチック材質から200℃以下の低温工程で形成するので、第2保護フィルム102b、102dも200℃以下の低温工程で形成できるネガティブ型ポリアクリレートといった有機物質から形成することができる。
【0170】
しかしながら、ネガティブ型ポリアクリレートといった有機物質の場合、現在の工程上、形成可能な最大厚さは3μmとなるので、かかる有機物質からなる保護フィルム102bを含むフレキシブルな有機発光ダイオード装置100が、その内部へ外部の酸素や水分が浸透することを防止することは困難である。
【0171】
そのため、
図5に示すように、第1保護フィルム102aの上部に、第2保護フィルム102b、102dを、第2‐1保護フィルム102bと第2‐2保護フィルム102dとに分けて形成した後、第2‐2保護フィルム102dの上部に第3保護フィルム102cを形成する。
【0172】
このように、ネガティブ型ポリアクリレートといった有機物質を用いて第2保護フィルム102b、102dを形成することにより、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100を形成しながらも、外部から水分や酸素が浸透することを防止することができるようになる。
【0173】
このとき、
図5では、第2‐1保護フィルム102bと第2‐2保護フィルム102dにそれぞれホールH1、H2が別途備えられることを示したが、ホールH1、H2は、第2‐1保護フィルム102bと第2‐2保護フィルム102dに一括エッチングにより、同時に備えられてもよい。
【0174】
前述した通り、本発明の第1実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、カプセル化するための保護フィルム102のうち、第2保護フィルム102bに、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの非発光領域NEAに沿ってホールH1を備えることで、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100において折り畳む・繰り広げるという作業が繰り返し行われる際に生じるベンディングストレスを最小化することができ、有機発光層113の剥離が発生することを防止することができる。また、外部からの水分および異物などがフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することも防止することができる。
【0175】
さらに、有機発光層113の剥離が一部発生しても、ホールH1により、剥離が広がることを防止することができ、第1保護フィルムから第3保護フィルム102a、102b、102cにクラックが発生しても水分および異物などが拡散することも防止することができる。
【0176】
結果的に、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性を向上させることができる。
【0177】
<第2実施例>
図6は、本発明の第2実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置の各サブ画素の一部を概略的に拡大して示す断面図である。
【0178】
説明の重複を避けるため、前述した第1実施例の説明と同じ部分に対しては同じ符号を付与し、第2実施例において特徴的な部分だけを説明する。
【0179】
図6に示すように、基板101上の非発光領域NEAのスイッチング領域TrA上には、半導体層103、ゲート絶縁膜105、ゲート電極SG、そしてソース電極SSおよびドレイン電極SDからなる駆動薄膜トランジスタDTrが位置し、発光領域EAに対応して、第3層間絶縁膜109cの上部には、第1から第2層間絶縁膜109a、109b、109cに備えられたドレインコンタクトホールPHを介して露出されたドレイン電極SDに接続される第1電極111が位置する。
【0180】
第1電極111は、インジウム・チン・オキシド(ITO)またはインジウム・ジンク・オキシド(IZO)のような金属酸化物、ZnO:AlまたはSnO
2:Sbのような金属と酸化物の混合物、ポリ(3‐メチルチオフェン)、ポリ[3,4‐(エチレン‐1,2‐ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような電導性高分子などからなり得る。また、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、銀ナノワイヤーなどからなり得る。
【0181】
このとき、第1電極111は、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に位置するが、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPに位置する第1電極111間には、バンク119が位置する。例えば、第1電極111は、バンク119を各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの境界部にして、サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に分離された構造を有する。
【0182】
そして、かかるバンク119の上部に逆スペーサー104が位置し、基板101と保護フィルム102の間の空いた空間を緩衝し、外部からの衝撃によりフレキシブルな有機発光ダイオード装置100が破損することを最小化する(または減少させる)役割をする。
【0183】
そして、かかる逆スペーサー104は、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100が折り畳まれる際、有機発光層113など様々な層に対するベンディングストレスを緩和させる役割もする。
【0184】
かかる第1電極111とバンク119、そして逆スペーサー104の上部には、有機発光層113と第2電極115が順次位置するが、有機発光層113は、発光物質からなる単層であってもよく、発光効率を向上させるため、正孔注入層(hole injection layer)、正孔輸送層(hole transport layer)、発光層(emitting material layer)、電子輸送層(electron transport layer)および電子注入層(electron injection layer)からなる多層であってもよい。
【0185】
第2電極115は、カソードの役割をするよう、相対的に仕事関数の低い金属物質、例えばマグネシウム・銀(MgAg)合金、またはマグネシウム・アルミニウム(MgAl)合金からなることを特徴とする。
【0186】
かかる第1電極111と有機発光層113、そして第2電極115は、発光ダイオードEを構成する。
【0187】
そして、かかる駆動薄膜トランジスタDTrおよび発光ダイオードEの上部には、薄膜フィルム状の保護フィルム120が位置し、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、保護フィルム120によってカプセル化される。
【0188】
ここで、本発明の第2実施例に係る保護フィルム120は、外部の酸素および水分がフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の内部へ浸透することを防ぐため、第1から第3保護フィルム120a、120b、120cからなり得る。第1および第3保護フィルム120a、120cは、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition:ALD)方式で形成されるが、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdTe、ZnS:Mn、CaS:Ce、SrS:M、GaAs、AlAs、GaP、AlN、GaN、TiN、TaN、CaF
2、SrF
2、Si、Mo、またはWなどから形成することができる。
【0189】
好ましくは、第1および第3保護フィルム120a、120cは、AlOx、AlOxNy、TiOx、SiOx、ZnOx、またはZnOxのような酸化物から形成することができる。
【0190】
かかる第1および第3保護フィルム120a、120cは、原子層を積層して形成するため、非常に薄膜となるが、約0.01μmから0.1μmの厚さを有することができるので、膜の厚さおよび組成を精密に制御することができる。
【0191】
したがって、大面積の基板においても膜を均一に形成することができ、段差をカバーするステップカバレジ能力に優れているので、第1保護フィルム120aが駆動薄膜トランジスタDTrおよび発光ダイオードEを覆うようにすることで、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性をさらに向上させることができる。
【0192】
そして、第1保護フィルム120aと第3保護フィルム120cの間に位置する第2保護フィルム120bは、第1および第3保護フィルム120a、120cと共に、外部からの水分および酸素が流入することをさらに防止し、第1および第3保護フィルム120a、120cの剛性をさらに向上させるため、約1μmの厚さを有する窒化シリコン(SiNx)または酸化シリコン(SiOx)などを含む無機絶縁膜から形成することができる。
【0193】
また、
図6には示していないが、本発明の第2実施例に係る保護フィルム120は、原子層蒸着(ALD)方式で形成される無機物層が少なくとも3つ備えられた5層構造であってもよい。
【0194】
かかる本発明の第2実施例に係る保護フィルム120は、第1実施例の保護フィルム(
図3の102)に比べ、非常に薄い厚さを持つ。
【0195】
したがって、本発明の第2実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、さらなる柔軟性を実現することができる。
【0196】
このとき、本発明の第2実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、逆スペーサー104の一側における有機発光層113と第2電極115、そして保護フィルム120にホールH3が備えられることを特徴とする。
【0197】
ホールH3を介し、有機発光層113の下部に位置するバンク119が外部へ露出される。
【0198】
かかるホールH3は、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの非発光領域NEAに沿って形成することができ、メッシュ構造であってもよいが、各サブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SPの左右両側、若しくは一側にのみ位置するようにして、第2電極115がサブ画素R‐SP、G‐SP、B‐SP毎に繋がった構成を保持するようにすることが好ましい。
【0199】
それにより、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100において折り畳む・繰り広げるという作業が繰り返し行われることによって生じるベンディングストレスにより、保護フィルム120にクラックが発生し、有機発光層113の剥離が一部発生しても、ホールH3により、剥離が広がることを防止することができ、また、保護フィルム120にクラックが発生しても、外部からの水分および異物などが拡散することも防止することができるようになる。
【0200】
その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性を向上させることができる。
【0201】
<第3実施例>
図7は、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置のサブ画素の一部を概略的に拡大して示す断面図である。
【0202】
説明の重複を避けるため、前述した第2実施例の説明と同じ部分に対しては同じ符号を付与し、第3実施例において特徴的な部分だけを説明する。
【0203】
図7に示すように、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、各サブ画素(
図6のR‐SP、G‐SP、B‐SP)の非発光領域NEAに対応して位置するバンク119および第1電極111に第1ホールH4を備え、また、第1ホールH4に対応するオーバーコート層108に第2ホールH5をさらに備えることを特徴とする。
【0204】
ここで、第2ホールH5は、オーバーコート層108の下部に位置する第3層間絶縁膜109cを露出するが、かかる第2ホールH5は、第1ホールH4の幅d1に比べて広い幅d2を持つように形成され、第1電極111とオーバーコート層108は、アンダーカットUを形成する。
【0205】
この場合、第1電極111に形成される第1ホールH4の下部幅d1は、オーバーコート層108を貫通する第2ホールH5の上部幅d2より小さく形成される。
【0206】
例えば、第2ホールH5の上部幅d2が第1ホールH4の有機発光層113に近い下部幅d1より広く形成されることで、第1電極111がオーバーコート層108の第2ホールH5の内側へ突出して形成される。
【0207】
かかる第1および第2ホールH4、H5は、マスクを用いてバンク119およびオーバーコート層108を一括エッチングすることで形成することができるが、このとき、互いに異なるエッチングレートを有するドライエッチングが好ましい。
【0208】
例えば、イオンビームエッチング、RFスパッタリングエッチング、プラズマエッチング、または反応イオンエッチングのうち、選択されるいずれか1つで行うことができる。
【0209】
このように、第1および第2ホールH4、H5が備えられた基板101の上部に、有機発光層113と第2電極115が順次位置し、第2電極115の上部に、第1から第3保護フィルム120a、120b、120cが順次位置するが、有機発光層113と第2電極115、そして第1から第3保護フィルム120a、120b、120cは、第1および第2ホールH4、H5により、互いに分離された構造を有する。
【0210】
それにより、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100において折り畳む・繰り広げるという作業が繰り返し行われることによって生じるベンディングストレスにより、保護フィルム120にクラックが発生し、有機発光層113の剥離が一部発生しても、第1および第2ホールH4、H5により、剥離が広がることを防止することができ、また、保護フィルム120にクラックが発生しても、外部からの水分および異物などが拡散することも防止することができるようになる。
【0211】
その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性を向上させることができる。
【0212】
特に、オーバーコート層108にも第2ホールH5を備えることで、オーバーコート層108がサブ画素(
図6のR‐SP、G‐SP、B‐SP)毎に分離された構造を有することができ、ベンディングストレスをさらに最小化することができる上に、オーバーコート層108で発生したクラックが有機発光層113、または駆動薄膜トランジスタDTrに広がることも防止することができる。
【0213】
これについてより詳細に説明すると、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、繰り返し行われる折り畳む・繰り広げるという作業によるベンディングストレスにより、オーバーコート層108においてクラックが頻繁に発生するが、これは、本発明の第3実施例のように保護フィルム120が原子層蒸着(ALD)方式で形成されるフレキシブルな有機発光ダイオード装置100では、オーバーコート層108の厚さがフレキシブルな有機発光ダイオード装置100の中で最も厚く形成されるためである。
【0214】
したがって、本発明の第3実施例のように、オーバーコート層108に第2ホールH5を備えることで、ベンディングストレスがオーバーコート層108の第2ホールH5によって分散されるようにして、ベンディングストレスを最小化することができる。
【0215】
このようにベンディングストレスを最小化することにより、オーバーコート層108のクラックによって、オーバーコート層108に隣接して位置する有機発光層113、または駆動薄膜トランジスタDTrへクラックが広がり、有機発光層113の剥離や駆動薄膜トランジスタDTrの断線などが発生することを防止することができる。
【0216】
このとき、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、第1電極111およびオーバーコート層108がアンダーカットUを形成することで、垂直方向の直進性を持って成膜される有機発光層113および第2電極115がアンダーカットU領域には形成されないため、有機発光層113および第2電極115は、第1および第2ホールH4、H5によって、各サブ画素(
図6のR‐SP、G‐SP、B‐SP)の左右両側、若しくは一側において互いに分離された構造を有する。
【0217】
一方、垂直・水平・傾斜方向の回折特性を持って成膜される保護フィルム120は、第2電極115および有機発光層113に比べ、ステップカバレジが優れており、アンダーカットU領域にも形成される。
【0218】
かかる第1から第3保護フィルム120a、120b、120cは、アンダーカットUを形成する第1電極111を全て覆い、取り囲むようなチップ形状を有する。
【0219】
したがって、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、剥離や水分および異物などが拡散することを防止するため、バンク119とオーバーコート層108にそれぞれ第1ホールH4、第2ホールH5を形成するが、第1電極111および第2電極115は、チップ形状により外部へ露出されることが防止できる。
【0220】
その結果、第1電極111および第2電極115が外部へ露出されることによる酸化などを防止することができる。
【0221】
前述した通り、本発明の第3実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置100は、バンク119と第1電極111、そしてオーバーコート層108にホールH4、H5を形成することで、ベンディングストレスによって有機発光層113の剥離が発生しても、剥離が広がることを防止することができ、また、保護フィルム120にクラックが発生しても、外部からの水分および異物などが拡散することも防止することができる。
【0222】
その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の信頼性を向上させることができる。
【0223】
さらに、フレキシブルな有機発光ダイオード装置100の中で最も厚く形成されるオーバーコート層108に第2ホールH5を備えることで、ベンディングストレスがオーバーコート層108の第2ホールH5によって分散されるようにして、ベンディングストレスを最小化することができ、オーバーコート層108のクラックによって、オーバーコート層108に隣接して位置する有機発光層113、または駆動薄膜トランジスタDTrへクラックが広がり、有機発光層113の剥離や駆動薄膜トランジスタDTrの断線などが発生することを防止することができる。
【0224】
特に、第1および第2ホールH4、H5をアンダーカットUに形成し、チップ形状を実現することで、剥離や水分および異物などが拡散することを防止できる上に、第1電極111および第2電極115が外部へ露出されることも防止することができる。
【0225】
一方、前述した実施例では、1つの逆スペーサー104がバンク119の上部に備えられることを示し、説明したが、逆スペーサー104は複数備えられてもよい。
【0226】
この場合、第2実施例において、ホールH3は、隣接して位置する逆スペーサー104間に位置することができ、また、第3実施例における第1および第2ホールH4、H5も隣接して位置する逆スペーサー104間に位置することができる。
【0227】
また、逆スペーサー104が備えられなくてもよいが、この場合、第1実施例では、ホールH1がバンク119の上部に位置することができる。
【0228】
さらに、逆スペーサー104の一側に、テーパ形状を有するスペーサー(不図示)をさらに位置させることができるが、スペーサー(不図示)は逆スペーサー104より高い高さを有するので、基板101と保護フィルム102の間の空いた空間をより緩衝させることができる。
【0229】
以下、本発明の第4から第8実施例のうち、いずれか1つにおける有機発光ダイオード装置では、下部の電極および有機発光層へ水分や空気などの異物が浸透することを最小化する(または、減少させる)。特に、フレキシブルな有機発光ダイオード装置のベンディング領域において、持続的に繰り返されるストレスによるクラックの発生を最小化する(または、減少させる)ため、前記ベンディング領域には、封止層とバンクを設けない開口部を形成する。
【0230】
また、フレキシブルな有機発光ダイオード装置へ水分および空気などの異物が浸透することを効果的に最小化する。一般的な有機発光ダイオード装置(例えば、非フレキシブル表示装置)の場合、電極および有機発光層が形成される下部基板のみならず、上部基板までガラスのような剛性物質が用いられるため、有機発光ダイオード装置の上部を通して水分や空気のような異物が浸透することはできない。
【0231】
しかしながら、フレキシブルな有機発光ダイオード装置の場合、下部基板には軟性の(またはフレキシブルな)プラスチック基板が用いられ、上部基板には軟性の保護フィルムなどが用いられるため、外部から水分や空気などの異物の浸透が可能となる。したがって、第4から第8実施例のうち、いずれか1つのフレキシブルな有機発光ダイオード装置では、複数の無機絶縁層および有機絶縁層を積層し、異物が内部へ浸透することを遮断する構造とする。
【0232】
特に、封止層が形成されていない開口部を通して水分および空気などの異物が浸透することを最小化するため、封止層を発光ダイオードの側面に形成し、前記発光ダイオードを開口部から完全に封止する。
【0233】
<第4実施例>
図8は、本発明の第4実施例に係る有機発光ダイオード装置の構造を示す断面図である。実際、有機発光ダイオード装置では、複数のサブ画素がn×m(ここで、nおよびmは、2以上の自然数)のマトリクス状に配列されるが、
図8では、説明の便宜上、互いに隣接するサブ画素のみを示す。
【0234】
図8に示すように、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200には、ベンディング領域Bが形成される。かかるフレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、特定の領域が曲げられるのではなく、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200が曲げられたまま設けられて用いられたり、必要に応じて繰り返し曲げられたり広げられたりすることができる。
【0235】
したがって、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、全領域に亘り、持続的に繰り返されるストレスが加えられるので、ベンディング領域Bは、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の全領域において発生し得る。しかしながら、実際にベンディングは、構成要素が柔軟な物質からなる領域で発生する。例えば、ユーザーがフレキシブルな有機発光ダイオード装置200をフラットの状態で使用した後、一定の曲率半径で曲げて使用する場合、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の曲げられた方向に沿って全領域でベンディングが発生し得るが、実際にベンディングされる領域は、柔軟な物質からなる領域である。
【0236】
本実施例では、ベンディング領域のバンク、第1無機封止層、有機封止層、第2無機封止層および平坦化層を除去し、持続的に繰り返されるストレスによる該当層のクラックを最小化し、クラックが広がってフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の全体が破損することを最小化することができる。
【0237】
本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200では、隣接したサブ画素間にベンディング領域Bが形成される。後で詳細に説明するが、前記サブ画素内に配置される発光ダイオードには金属層が備えられるが、前記金属層は殆ど軟性を持たないので、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200を曲げた場合、ベンディング領域Bがサブ画素に形成されず、サブ画素とサブ画素の間に形成される。
【0238】
前記第1基板210上にはバッファー層222が形成され、前記バッファー層222上には駆動薄膜トランジスタが配置される。
【0239】
前記第1基板210は、ポリイミドのように透明でフレキシブルなプラスチックを用いることもできるが、これに限定されるものではない。前記バッファー層222は、無機層からなる単層であってもよく、無機層と有機層からなる複数層であってもよい。このとき、無機層にはSiOxやSiNxのような無機物を用いることができ、有機層にはフォトアクリルのような有機物を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0240】
このように、バッファー層222を無機層の単層、または無機層を含む複数層に形成することで、ガラスに比べて空気や水分に弱いプラスチックを通して空気や水分などの不純物が透過することを最小化し、有機発光層の劣化を最小化することができる。
【0241】
前記駆動薄膜トランジスタは、複数のサブ画素のそれぞれに形成される。前記駆動薄膜トランジスタは、前記バッファー層222上の画素に形成された半導体層211と、前記半導体層211が形成された第1基板210の全体に亘って形成されたゲート絶縁層224と、前記ゲート絶縁層224上に形成されたゲート電極212と、前記ゲート電極212を覆うように第1基板210の全体に亘って形成された層間絶縁層226と、前記層間絶縁層226に形成されたコンタクトホール214a、216aを介し、それぞれ半導体層211に接触するソース電極214およびドレイン電極216で構成される。
【0242】
前記半導体層211は、結晶質シリコン、またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)のような酸化物半導体で形成することができ、このとき、前記酸化物半導体層は、中央領域のチャネル層と両側面のドープ層からなり、ソース電極214およびドレイン電極216が前記ドープ層に接触する。また、前記半導体層212は、非晶質シリコンで構成されてもよく、有機半導体物質から構成されてもよい。
【0243】
前記ゲート電極212は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、若しくはAl合金などのような金属からなる単層、または複数層に形成することができ、ゲート絶縁層224は、SiOxやSiNxのような無機物からなる単層、またはSiOxとSiNxの2層構造の無機層に形成することができる。また、層間絶縁層226は、SiOxやSiNxのような無機物からなる単層であってもよく、複数層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0244】
そして、ソース電極214およびドレイン電極216は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、若しくはAl合金で構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0245】
一方、図面および前述の説明では、駆動薄膜トランジスタが特定の構造を有するが、本発明の駆動薄膜トランジスタが該構造に限定されるものではなく、あらゆる構造の駆動薄膜トランジスタを適用することができる。
【0246】
前記駆動薄膜トランジスタが形成された第1基板210の全体に亘って保護層228が形成され、前記保護層228上には平坦化層229が形成される。
【0247】
保護層228は、無機物からなる単層であってもよく、無機物と有機物からなる複数層であってもよい。平坦化層229は、フォトアクリルのような有機物から構成されるが、これに限定されるものではない。
【0248】
前記平坦化層229上には、有機発光ダイオードEが形成され、前記保護層228および平坦化層229に形成されたコンタクトホール228aを介し、駆動薄膜トランジスタのドレイン電極216に接続される。
【0249】
前記有機発光ダイオードEは、コンタクトホール228aを介し、駆動薄膜トランジスタのドレイン電極216に接続される第1電極252と、前記第1電極252上に形成された有機発光層254と、前記有機発光層254上に形成された第2電極256で構成される。
【0250】
前記第1電極252は、Ca、Ba、Mg、Al、Agなどのような金属やこれらの合金で構成される単層、または複数層からなり、駆動薄膜トランジスタのドレイン電極216に接続され、外部から画像信号が印加される。このとき、前記第1電極252は、反射膜として働き、有機発光層254から発光した光を上部方向(すなわち、第1基板210の反対方向)へ反射することができる。また、前記第1電極252は、ITOやIZOのような透明な金属酸化物で構成することもできる。
【0251】
前記第2電極256は、ITOやIZOのような透明な金属酸化物で構成されるが、これに限定されるものではない。また、前記第2電極256は、Ca、Ba、Mg、Al、Agなどのような金属やこれらの合金で構成される単層、または複数層に形成することができる。このとき、前記第2電極256は反射膜として働き、有機発光層254から発光した光を下部方向(すなわち、第1基板210の方向)へ反射することができる。
【0252】
本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200が、有機発光層254から発光した光が下部方向、すなわち、第1基板210側へ出射されるボトムエミッション型である場合、前記第1電極252は、透明な金属酸化物から構成し、第2電極256は、光を反射する金属や金属化合物から構成することができる。フレキシブルな有機発光ダイオード装置200が、有機発光層254から発光した光が上部方向へ出射されるトップエミッション型である場合、前記第1電極252は、反射膜の役割をする金属や金属化合物から構成し、第2電極256は、透明な金属酸化物から構成することができる。
【0253】
前記有機発光層254は、R・G・Bサブ画素に形成され、赤色光を発光するR‐有機発光層、緑色光を発光するG‐有機発光層、青色光を発光するB‐有機発光層であり得る。または、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の全体に亘って形成され、白色光を発光する白色有機発光層であり得る。有機発光層254が白色有機発光層である場合、R・G・Bサブ画素の白色有機発光層の上部領域には、R・G・Bカラーフィルター層が形成され、白色有機発光層から発光した白色光を、赤色光・緑色光・青色光に変換させる。白色有機発光層は、R・G・Bの単色光をそれぞれ発光する複数の有機物質を混合して形成してもよく、R・G・Bの単色光をそれぞれ発光する複数の有機発光層を積層して形成してもよい。
【0254】
前記有機発光層は、有機発光物質ではなく、無機発光物質、例えば量子ドットなどで構成された無機発光層であってもよい。
【0255】
有機発光層254には、発光層のみならず、発光層に電子および正孔をそれぞれ注入する電子注入層および正孔注入層と、注入された電子および正孔をそれぞれ有機層に輸送する電子輸送層および正孔輸送層などを形成することもできる。
【0256】
前記平坦化層229上のサブ画素の境界領域には、バンク232が形成される。前記バンク232は、隔壁であって、各サブ画素を区切り、隣接したサブ画素からそれぞれ出射した異色光が互いに混合されて出射されることを最小化することができる。
【0257】
図8では、前記バンク232の一部が第1電極252上に形成されるが、前記バンク232は平坦化層229上のみに形成され、第1電極252が前記バンク232の側面上に延長して形成されてもよい。このように、第1電極252をバンク232の側面上に延長する場合、バンク232と平坦化層229の境界における角部にも第1電極252が形成されるので、該領域の有機発光層254にも信号が印加されて角部においても発光が発生し、該領域でも画像を表すことができる。したがって、サブ画素内における画像の表示されない非表示領域を最小化することができる。
【0258】
前記発光ダイオードEおよび前記バンク232の上部には、第1封止層242が形成される。前記第1封止層242は、SiNxやSiXなどの無機物から構成されるが、これに限定されるものではない。
【0259】
前記発光ダイオードEの上部の前記第1封止層242上には、有機物からなる第2封止層244が形成される。前記第2封止層244には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレートなどの有機物質、またはこれらの混合物質を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0260】
前記第2封止層244は、第1封止層242上にアイランド状に形成され、このとき、第2封止層244は、下部の発光ダイオードEを完全に覆うように配置されることが好ましい。
【0261】
このように、前記第2封止層244がアイランド状に、該当サブ画素にのみ形成されて隣接するサブ画素には形成されないので、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200が曲げられた場合、ベンディング領域に沿って配置された一連のサブ画素に形成される第2封止層244に印加されるストレスが、該当サブ画素の第2封止層244にのみ局限され、隣接するサブ画素の第2封止層244には伝達されない。したがって、ベンディング領域に印加されるストレスを分散させることができるので、曲げられることによって第2封止層244に発生するクラックを最小化することができる。
【0262】
前記第1封止層242および前記第2封止層244上には、第3封止層246が形成される。前記第3封止層246は、SiNxやSiXなどの無機物から構成されるが、これに限定されるものではない。このとき、前記第3封止層246は、第2封止層244の上面および側面を完全に取り囲むように形成され、前記第2封止層244が、第1封止層242および第3封止層246によって外部から完全に封止される。
【0263】
前記第3封止層246上には透明な充填材248が塗布され、その上に第2基板270が配置され、前記充填材248によって第1基板210と第2基板250が互いに貼り合わせられる。前記充填材248には、付着力が優れ、耐熱性および耐水性が優れたものであれば、制限されることなく用いることができるが、本実施例では、エポキシ系化合物、アクリレート系化合物、またはアクリル系ラバーのような熱硬化性樹脂を用いることができる。また、前記充填材248として光硬化性樹脂、または熱硬化樹脂を用いることもでき、この場合、接着層に紫外線のような光、または熱を加えることで充填材248を硬化させる。
【0264】
前記充填材248は、第1基板210と第2基板270を貼り合わせるだけでなく、前記フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の内部へ水分が浸透することを最小化させる封止層としても働くことができる。したがって、本実施例の詳細な説明では、図面符号248を充填材と表現しているが、これは単に便宜上の理由でそのように表現しただけであって、接着剤、または第4封止層と表現することもできる。
【0265】
前記第2基板270は、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200を封止するための封止キャップとして、PS(ポリスチレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、またはPI(ポリイミド)フィルムなどのような保護フィルムを用いることができる。
【0266】
一方、サブ画素間のバンク232の上面には、所定幅の隔壁234を形成することができ、層間絶縁層226上の発光ダイオードE間には、金属層217を形成することができる。
【0267】
前記隔壁234は、バンク232と第1封止層242の界面を通して浸透する空気および水分を遮断するためのものであり、無機物、または有機物からなる単層であってもよく、無機層および有機層からなる複数層であってもよい。
【0268】
前記金属層217は、薄膜トランジスタのソース電極214およびドレイン電極216を形成する際に形成され、サブ画素間(すなわち、ベンディング領域B)を通して浸透する空気および水分が薄膜トランジスタ側へ広がることを遮断する。
【0269】
本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置200では、サブ画素間、正確には、発光ダイオードE間にベンディング領域Bが形成される。前記発光ダイオードEに含まれる第1電極252および第2電極256を構成する金属は、柔軟性が劣るので、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200が曲げられる際にベンディングされる領域は、発光ダイオードEが形成された領域ではなく、発光ダイオードE間の領域である。したがって、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200のベンディング領域Bは、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の全体に亘って形成された発光ダイオードE間に形成される。
【0270】
本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置200では、ベンディング領域Bの平坦化層229の一部が除去され、開口部218が形成される。このように、ベンディング領域Bの平坦化層229を除去した理由は、持続的に繰り返されるベンディングにより加えられたストレスによる該当領域の平坦化層229の破損を最小化するためである。
【0271】
また、前記バンク232、前記第1封止層242、および前記第3封止層246は、ベンディング領域Bにおける平坦化層229の除去された領域、すなわち、開口部218の内部へ延長して形成される。特に、前記バンク232、前記第1封止層242および前記第3封止層246が、開口部218を形成する平坦化層229の側面に沿って形成される。
【0272】
このとき、サブ画素のバンク232、第1封止層242および第3封止層246は、左側・右側に隣接した2つのサブ画素間の境界に形成された2つの開口部218の側面に沿って形成されるので、各サブ画素に配置される発光ダイオードEは、サブ画素の両側に形成されたベンディング領域Bの開口部218から完全に封止される。
【0273】
バンク232、第1封止層242および第3封止層246は、開口部218の内部へ延長して形成するとき、前記バンク232、前記第1封止層242および前記第3封止層246の開口部218の下面である保護層228の一部領域に形成することができる。そのため、隣接したサブ画素のそれぞれから前記開口部218の内部へ延長したバンク232、第1封止層242および第3封止層246は、保護層228の上面の一部領域に形成され得る。さらに、開口部218の内部へ延長した少なくとも1つのサブ画素のバンク232、第1封止層242および第3封止層246は、開口部下の保護層228の上面の一部上に形成され得る。保護層228の上面の他の領域は、開口部218を介し、外部へ露出され得る。例えば、開口部218の中央領域には、バンク232、第1封止層242および第3封止層246の形成されていない領域があり得る。
【0274】
前記開口部218のバンク232、第1封止層242および第3封止層246が形成されていない領域には、充填材248が満たされる。
【0275】
フレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、湾曲した状態で使用することもでき、フラットな状態で使用した後、必要に応じて湾曲した状態で使用することもできる。そのため、湾曲状態が長時間続いたり、折り畳む作業が繰り返し行われたりすることによって、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200、特にベンディング領域Bには持続的に繰り返されるストレスが加えられ、その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200の内部構成物が破損する恐れがある。特に、無機物および有機物からなる各層に、持続的に繰り返されるストレスが集中し、該当領域にクラックが発生してしまう。
【0276】
各層にクラックが発生した場合、該クラックはフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の内部へ広がり、その結果、フレキシブルな有機発光ダイオード装置200が破損して不良を起こす。
【0277】
本実施例では、ベンディング領域Bに平坦化層229、バンク232、第1封止層242、第3封止層246を形成せず、下部の保護層228が露出された開口部218には充填材248のみが満たされているため、クラックが発生し得る構造物が存在しない。したがって、持続的に繰り返されるストレスが加えられてもフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の内部にクラックは発生しない。その結果、かかるクラックが広がることによるフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の破損を最小化することができる。
【0278】
また、本実施例では、開口部218の側面を第1封止層242および第3封止層246によって封止し、各サブ画素に配置される発光ダイオードEを外部から完全に密封する。したがって、外部から空気および水分のような不純物が発光ダイオードEの内部へ浸透することができない。特に、ベンディング領域Bを通しても空気および水分のような不純物が発光ダイオードEの内部へ浸透できなくなる。
【0279】
このように、本実施例では、構造物の破損を最小化するための別途構成や、空気および水分のような不純物を遮断するための別途構成を備えず、単にベンディング領域Bの平坦化層229の一部を除去して開口部218を形成し、前記開口部218の内部へバンク232、第1封止層242および第3封止層246を延長して形成する。新しい構造物を加えることなく、既存層の構造を異ならせることで、クラックの広がりによる破損を最小化し、空気および水分の浸透を遮断するので、工程や費用を追加することなく、空気および水分の浸透を効果的に遮断することができる。
【0280】
図9aから
図9cは、本発明の第4実施例に示す構造が実際に適用された有機発光ダイオード装置を概略的に示す図面である。
【0281】
図9aに示すように、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、長辺(例えば、横方向)に沿って曲げられる。このとき、前記フレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、特定の領域ではなく、長辺に沿って全領域が曲げられるので、前記フレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、全領域の長辺に沿って、すなわち、フレキシブルな方向に沿ってベンディング領域B1、B2、B3、…、Bnが形成される。また、前記フレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、長辺に沿って様々な曲率半径で曲げることができ、互いに異なるベンディング領域では、互いに異なる曲率半径で曲げることもできる。
【0282】
平坦化層229に形成された開口部218は、前記ベンディング領域B1、B2、B3、…、Bnに沿ってフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の短辺方向(例えば、縦方向)に複数形成され、前記短辺に沿って配列される複数のサブ画素は、開口部218の内側壁に形成された第1封止層242および第3封止層246により、他の領域から密封される。
【0283】
図9bに示すように、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、短辺(例えば、縦方向)に沿って曲げることもできる。したがって、かかる構造を有する場合、平坦化層229に形成された開口部218は、前記ベンディング領域B1、B2、B3、…、Bmに沿ってフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の長辺方向に複数形成され、前記長辺に沿って配列される複数のサブ画素は、開口部218の内側壁に形成された第1封止層242および第3封止層246により、他の領域から密封される。
【0284】
図9cに示すように、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200は、長辺(例えば、横方向)および短辺(例えば、縦方向)に沿って曲げることもできる。したがって、かかる構造を有する場合、平坦化層229に形成された開口部218は、前記ベンディング領域B11、B12、…、B1m、B21、B22、…、B2nに沿ってフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の長辺方向および短辺方向に複数形成され、前記所定の領域に形成されたサブ画素は、開口部218の内側壁に形成された第1封止層242および第3封止層246により、他の領域から密封される。
【0285】
このように、本実施例に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200では、曲げることができる全ての方向を考慮してベンディング領域を設定し、該領域に開口部218を形成して、ベンディングにより破損し得る全ての構造物をベンディング領域から除去する一方、該ベンディング領域Bの開口部218を介して露出される領域を全て密封することで、該ベンディング領域Bにおいて構造物の除去された部分を通して空気や水分が浸透することを最小化することができるが、これについてさらに詳細に説明する。
【0286】
図10aは、ベンディング領域Bが形成されていない一般的な構造を有するフレキシブルな有機発光ダイオード装置1を示す図面であり、
図10bは、ベンディング領域の構造物を除去したフレキシブルな有機発光ダイオード装置1を示す図面である。これらの図面を参照し、本発明に係るフレキシブルな有機発光ダイオード装置200の効果についてさらに詳細に説明する。
図8と同じ構造については説明を省略し、異なる構造に対してのみ詳細に説明する。
【0287】
図10aに示すように、一般的な構造を有する有機発光ダイオード装置1では、発光ダイオードEの形成される平坦化層29が、第1基板10の全体に亘って形成される。また、バンク32は、平坦化層29のサブ画素間、すなわち、発光ダイオードE間の全領域に形成され、無機物からなる第1封止層42および第3封止層46が、第1基板10の全体に亘って形成される。また、第2基板70は、充填材(不図示)により、第3封止層46に貼り合わせられる。
【0288】
かかる構造を有する有機発光ダイオード装置1は、ベンディングによる持続的に繰り返されるストレスが加えられ、該ストレスが第1封止層42および第3封止層46へ伝達される。したがって、持続的に繰り返されるストレスにより、第1封止層42および第3封止層46が破損してクラックが発生し、該クラックが有機発光ダイオード装置1の全領域に広がって、有機発光ダイオード装置1の耐久性が低下し、その結果、有機発光ダイオード装置1が破損する。
【0289】
図10bに示すように、この構造の有機発光ダイオード装置1では、持続的に繰り返されるストレスが加えられるベンディング領域Bの第1封止層42および第3封止層46を除去する。したがって、持続的に繰り返されるストレスが加えられる第1封止層42および第3封止層46がないので、前記第1封止層42および前記第3封止層46にクラックが発生しなくなり、クラックが広がることによる不良を最小化することができる。
【0290】
しかしながら、かかる構造の場合、第1封止層42および第3封止層46が除去された領域を通して、空気および水分のような不純物が浸透し、その空気および水分が平坦化層29を介して発光ダイオードEへ広がって発光ダイオードEが劣化するという問題があった。
【0291】
本実施例では、ベンディング領域Bに第1封止層242および第3封止層246を形成しないので、持続的に繰り返されるストレスにより、第1封止層242および第3封止層246にクラックが発生することがなく、クラックが広がることによる不良を最小化することができる。
【0292】
また、本実施例では、空気および水分の浸透経路となる平坦化層229を、前記第1封止層242および前記第3封止層246によって完全に封止するので、空気および水分が発光ダイオードEの内部へ浸透することを遮断することができ、その結果、発光ダイオードEの劣化問題も解決することができる。
【0293】
<第5実施例>
図11は、本発明の第5実施例に係る有機発光ダイオード装置を示す図面である。本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置300は、
図8に示す第4実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置200とその構成が類似であるため、同じ構成については説明を省略するか、若しくは簡単にし、異なる構成に対してのみ詳細に説明する。
【0294】
図11に示すように、本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置300では、ベンディング領域Bの平坦化層329を除去して開口部318を形成し、バンク332、第1封止層342および第3封止層346を前記開口部318の内部へ延長して形成する。したがって、ベンディング領域Bには、平坦化層329と第1封止層342および第3封止層346が形成されないので、ベンディングによって発生する持続的に繰り返されるストレスにより、前記平坦化層329と前記第1封止層342および前記第3封止層346にクラックが発生することがなく、クラックが広がることによるフレキシブルな有機発光ダイオード装置300の耐久性の低下、または不良を最小化することができる。
【0295】
また、本実施例では、バンク332と第1封止層342および第3封止層346は、開口部318の両側面、すなわち、開口部318を介在して互いに隣接したサブ画素の平坦化層329の壁面に形成され、ベンディング領域Bにおける平坦化層329の側面、すなわち、除去面を完全密封する。したがって、ベンディング領域Bの開口部318を通して外部から空気および水分が浸透することを完全に遮断することができ、その結果、空気および水分のような不純物による発光ダイオードEの劣化問題を最小化することができる。
【0296】
特に、本実施例では、開口部318における平坦化層329の最も外側に形成される第3封止層346が、開口部318の底面である保護層328の上面に所定幅の段差346aを持って形成される。したがって、
図8に示す第4実施例の有機発光ダイオード装置に比べ、保護層328の上面に接触する面積が増加し、保護層328と第3封止層346の界面に空気や水分が浸透することをさらに効果的に最小化することができる。
【0297】
さらに、開口部318の両側に形成される段差346aにより、外部へ露出される保護層328の幅aを、第4実施例に比べて大幅に減少させることができるので、前記保護層328を通して薄膜トランジスタへ浸透する空気および水分も効果的に遮断することができる。
【0298】
図12は、本発明の第6実施例に係る有機発光ダイオード装置を示す図面であり、
図13は、
図12のA領域を拡大した図面である。本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置400は、
図8に示す第4実施例の有機発光ダイオード装置とその構成が類似であるため、同じ構成については説明を省略するか、若しくは簡単にし、異なる構成に対してのみ詳細に説明する。
【0299】
図12および
図13に示すように、本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置400では、ベンディング領域Bの平坦化層429を除去して開口部418を形成し、バンク432、第1封止層442および第3封止層446を前記開口部418の内部へ延長して形成する。したがって、ベンディング領域Bには、平坦化層429と第1封止層442および第3封止層446が形成されないので、ベンディングによって発生する持続的に繰り返されるストレスにより、前記平坦化層429と前記第1封止層442および前記第3封止層446にクラックが発生することがなく、クラックが広がることによるフレキシブルな有機発光ダイオード装置400の耐久性の低下、または破損を最小化することができる。
【0300】
また、この構造では、発光ダイオードEの有機発光層454および第2電極456が、開口部418の側面、すなわち、切断面に沿って下部の保護層428まで延長され、第1封止層442は、前記第2電極456上に形成される。また、発光ダイオードEの上部における第1封止層442の上面には、第2封止層444がアイランド状に形成される。
【0301】
前記有機発光層454、前記第2電極456および前記第1封止層442の一部が、開口部418内の保護層428上において段差を形成し、段差を形成する有機発光層454、第2電極456および第1封止層442の側断面が、開口部418で外部へ露出される。
【0302】
前記第3封止層446は、開口部418に形成された第1封止層442の側面から下部の保護層428まで延長され、外部へ露出された有機発光層454、第2電極456および第1封止層442の側断面を密封する。このとき、前記第3保護層446の一部が、開口部318内の保護層428上において段差を形成する。
【0303】
したがって、本実施例では、有機発光層454、第2電極456、第1封止層442および第3封止層446が、互いに隣接したサブ画素の平坦化層429の壁面に形成され、ベンディング領域Bにおいて、平坦化層429の側面、すなわち、除去面を完全に密封する。したがって、ベンディング領域Bの開口部418を通して外部から空気および水分が浸透することを完全に遮断することができ、その結果、空気および水分のような不純物による発光ダイオードEの劣化問題を最小化することができる。
【0304】
また、本実施例では、開口部418において外部へ露出された有機発光層454および第2電極456の側断面が、前記第3封止層446によって封止されるので、露出された有機発光層454および第2電極456の側断面を通し、空気および水分のような不純物が発光ダイオードEへ浸透することを最小化することができる。
【0305】
さらに、本実施例では、露出された有機発光層454および第2電極456の側断面を封止する第3封止層346に所定幅の段差446aが形成されるので、保護層428の上面に接触する面積が増加し、保護層428と第3封止層446の界面へ空気や水分が浸透することをさらに効果的に最小化することができる。
【0306】
また、開口部418の両側に形成される段差446aにより、外部へ露出される保護層428の幅を減少させることができるので、前記保護層428を通して薄膜トランジスタへ浸透する空気および水分も効果的に遮断することができる。
【0307】
<第7実施例>
図14は、本発明の第7実施例に係る有機発光ダイオード装置を示す図面であり、
図15は、
図14のC領域を拡大した図面である。本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置500は、
図8に示す第4実施例の有機発光ダイオード装置とその構成が類似であるため、同じ構成については説明を省略するか、若しくは簡単にし、異なる構成に対してのみ詳細に説明する。
【0308】
図14、および
図15に示すように、本実施例のフレキシブルな有機発光ダイオード装置500では、ベンディング領域Bの平坦化層529を除去して開口部518を形成し、バンク532、第1封止層542および第3封止層546を前記開口部518の内部へ延長して形成する。したがって、ベンディング領域Bには、平坦化層529と第1封止層542および第3封止層546が形成されないので、ベンディングによって発生する持続的に繰り返されるストレスにより、前記平坦化層529と前記第1封止層542および前記第3封止層546にクラックが発生することがなく、クラックが広がることによるフレキシブルな有機発光ダイオード装置500の耐久性の低下、または不良を最小化することができる。
【0309】
また、この構造では、発光ダイオードEの有機発光層554および第2電極556が、開口部518の側面、すなわち、切断面に沿って下部の保護層528まで延長し、第1封止層542は、前記第2電極556上に形成される。また、発光ダイオードEの上部における第1封止層542の上面には、第2封止層544がアイランド状に形成され、前記第1封止層542および前記第2封止層544上に、第3封止層546が形成される。
【0310】
前記有機発光層554、前記第2電極556、前記第1封止層542、および前記第3封止層546の一部が、開口部518内の保護層528上に段差を形成し、段差を形成する有機発光層554、第2電極556および第1封止層542の側断面が、開口部518で外部へ露出される。
【0311】
第3封止層546の上部と露出された有機発光層554、第2電極556、第1封止層542の側断面には、第4封止層549が形成される。前記第4封止層549は、無機物から構成され、有機発光層554、第2電極556、第1封止層542および第3封止層546の露出された側断面を封止する。
【0312】
したがって、本実施例では、有機発光層554、第2電極556、第1封止層542、第3封止層546、および第4封止層549が、互いに隣接したサブ画素の平坦化層529の壁面に形成され、ベンディング領域Bにおいて、平坦化層529の側面、すなわち、除去面を完全に密封する。したがって、ベンディング領域Bの開口部518を介して外部から空気および水分が浸透することを完全に遮断することができ、その結果、空気および水分のような不純物による発光ダイオードEの劣化問題を最小化することができる。
【0313】
また、本実施例では、開口部518において外部へ露出された有機発光層554および第2電極556の側断面が、前記第4封止層549によって封止されるので、露出された有機発光層554および第2電極556の側断面を通し、空気および水分のような不純物が発光ダイオードEへ浸透することを最小化することができる。
【0314】
さらに、本実施例では、開口部518に配置された有機発光層554および第2電極556の上部に、3層の無機の封止層542、546、549が形成されるので、外部からの空気および水分を、より確実に遮断することができる。
【0315】
また、開口部518の両側に形成される段差により、外部へ露出される保護層528の幅を減少させることができるので、前記保護層528を通して薄膜トランジスタへ浸透する空気および水分も効果的に遮断することができる。
【0316】
前述したように、本発明の第4から第7実施例では、フレキシブルな有機発光ダイオード装置におけるベンディング領域が、持続的に繰り返されるストレスにより破損することを最小化すると共に、ベンディング領域を通して空気および水分のような不純物が浸透することを最小化することができる。
【0317】
図16に示すように、フォルダブルな有機発光ダイオード装置600は、その全体が曲がるのではなく、所定の部分だけが折り畳めれるので、必要によって折り畳んだり繰り広げたりして使用する。
【0318】
したがって、フォルダブルな有機発光ダイオード装置600は、折り畳まれるフォールディング領域Fと、折り畳まれないフラット領域Pを含み、実際にフォルダブルな有機発光ダイオード装置600が曲げられるベンディング領域Bは、フォールディング領域Fにのみ形成され、フラット領域Pには形成されない。
【0319】
図16では、一側方向にのみフォルダブルな有機発光ダイオード装置600が折り畳まれるが、前記フォルダブルな有機発光ダイオード装置600は、短辺方向にも長辺方向にも折り畳むことができる。また、フォールディング領域Fが2つ以上に形成され、フォルダブルな有機発光ダイオード装置600を2回以上に折り畳むこともできる。
【0320】
図17は、
図16に示すフォルダブルな有機発光ダイオード装置の実際の構造を具体的に示す図面である。
【0321】
図17に示すように、フォルダブルな有機発光ダイオード装置600は、フォールディング領域Fとフラット領域Pを含み、フォールディング領域Fには、ベンディング領域Bが形成される。
【0322】
第1基板610のフォールディング領域Fとフラット領域Pに配置されたそれぞれのサブ画素には、半導体層611、ゲート電極612、ソース電極614およびドレイン電極616を含む薄膜トランジスタが形成され、その上に保護層628と平坦化層629が形成される。
【0323】
前記平坦化層629の上部におけるサブ画素間には、バンク632が形成され、バンク632間には、発光ダイオードEが形成される。
図17には詳細に示していないが、前記発光ダイオードEは、第1電極と第2電極、および両電極間の有機発光層で構成することができる。
【0324】
前記発光ダイオードEが形成された第1基板610には、第1封止層642、第2封止層644、および第3封止層646が形成される。このとき、前記第1封止層642および第3封止層646は、無機物からなり、第2封止層644は、有機物からなる。
【0325】
前記フラット領域Pでは、前記第1封止層642、前記第2封止層644、および前記第3封止層646が順次積層される。一方、フォールディング領域Fでは、平坦化層629の一部が除去された開口部618が形成され、第1封止層642および第3封止層646が開口部618の壁面に沿って形成され、サブ画素の側面を完全に封止する。また、フォールディング領域Fでは、第2封止層644が発光ダイオードEの上部の第1封止層642の上面にアイランド状に形成され、前記第1封止層642および前記第3封止層646により、前記第2封止層644が完全に封止される。
【0326】
また、前記第3封止層646上には、充填材648が塗布されて、その上に第2基板670が配置され、前記第1基板510と前記第2基板570が貼り合わせられる。このとき、フォールディング領域Fでは、前記充填材648が開口部618の内部まで満たされる。
【0327】
このように、本実施例のフォルダブルな有機発光ダイオード装置600では、フラット領域Pにも開口部618が形成されず、第1封止層642、第2封止層644および第3封止層646が、フラット領域Pの全体に亘って順次形成されるに対し、フォールディング領域Fでは、開口部618が形成され、該領域に第1封止層642、第2封止層644、および第3封止層646は形成されない。したがって、フォルダブルな有機発光ダイオード装置600を折り畳むとき、前記フォールディング領域Fではクラックが発生しなくなり、かかるクラックの広がりによるフォルダブルな有機発光ダイオード装置600の破損を最小化することができる。
【0328】
また、本実施例のフォルダブルな有機発光ダイオード装置600では、フォールディング領域Fの開口部618の壁面を、第1封止層642および第3封止層646によって完全に封止するので、フォールディング領域Fを通し、発光素子Eの内部へ空気および水分のような不純物が浸透することを最小化することができる。
【0329】
このように、本実施例のフォルダブルな有機発光ダイオード装置600では、折り畳まれないフラット領域Pには、ベンディングやフォールディングによる持続的に繰り返されるストレスが加えられないので、
図10aに示す一般構造に形成し、かかるストレスが加えられるフォールディング領域Fは、ストレスによって破損が発生せず、不純物の浸透も遮断できる
図8に示す構造に形成することができる。
【0330】
一方、前記フォールディング領域Fを、
図11、
図12、または
図14に示す構造に形成してもよく、フラット領域Pおよびフォールディング領域Fの全体を、
図8、
図11、
図12、または
図14に示す構造に形成してもよい。
【0331】
図18は、タッチパネルを含む有機発光ダイオードパネルの断面を示す図面である。
【0332】
有機発光ダイオードパネルは、表示パネル710とタッチパネル720を含む。第1基板711(またはアレイ基板)上には、ソース領域712aおよびドレイン領域712b、そしてアクティブ領域712cで構成された半導体層712が形成され、半導体層712上には、ゲート絶縁層713が形成され、ゲート絶縁層713上には、ゲート電極714と層間絶縁層715、ソース電極716aおよびドレイン電極716bが形成されて薄膜トランジスタTrを構成する。
【0333】
薄膜トランジスタTr上には、保護層717と有機発光ダイオードEが順次形成される。有機発光ダイオードEは、正極EA(または、第1電極)と有機発光層EO、負極EC(または、第2電極)を含み、有機発光ダイオードEの側面をバンク718が取り囲んでいる。有機発光ダイオードE上には、有機膜および無機膜からなる多層の封止層719が形成され、水分などが有機発光ダイオードEに浸透することを防止することができる。
【0334】
封止層719上には、タッチ電極721と、タッチ入力駆動信号を伝送するTxライン(または、タッチ駆動ライン、不図示)、タッチ入力感知信号を伝送するRxライン(または、タッチセンシングライン、不図示)、タッチ電極721に電源を印加する駆動電源ライン(不図示)を含むタッチパネル720が形成され、表示装置のユーザーによるタッチ入力を処理することができる。
【0335】
しかしながら、封止層719上に、タッチ電極721などを含むタッチパネル720が形成されるため、有機発光ダイオード装置は厚くなり得る。曲げることのできるベンダブル、丸めることのできるローラブル、折り畳むことのできるフォルダブル、湾曲形状など様々な形態を有するフレキシブル表示装置は、パネルが厚くなると、変形可能範囲が小さくなるので、柔軟性が落ちてしまう。
【0336】
そして、Txラインにタッチ入力駆動信号を伝送し、Rxラインからタッチ入力感知信号を受信するためのタッチパネル駆動回路を備えるため、ベゼル領域に別途スペースを設けなければならない。そのため、小型のフレキシブルな有機発光ダイオード装置における空間活用性が低下してしまう。
【0337】
図19aは、本発明の第9実施例に係る有機発光ダイオードパネルの断面を示す図面である。
【0338】
有機発光ダイオードパネルを用いてフレキシブル表示装置を実現するため、第1基板801は、柔軟性を持つプラスチック素材で形成することができる。例えば、ポリイミド(PI)を用いることができる。
【0339】
第1基板801上には、マルチバッファー層802を形成することができ、マルチバッファー層802は、第1基板801から水分および酸素、その他の異物が浸透することを防止することができる。マルチバッファー層802は、窒化シリコンおよび酸化シリコンを交互に積層して形成することができる。
【0340】
マルチバッファー層802上には、アクティブバッファー層803を形成することができ、アクティブバッファー層803は、半導体層804を保護し、第1基板801からの水分および酸素、その他の異物の浸透を遮断することができる。アクティブバッファー層803は、非晶質シリコン(a‐Si)などで形成することができる。
【0341】
アクティブバッファー層803上には、半導体層804を形成することができるが、半導体層804は、非晶質シリコン(a‐Si)、多結晶シリコン(poly−Si)、酸化物半導体の物質などで構成することができる。半導体層804の中央には、チャネルを構成するアクティブ領域804cを形成し、アクティブ領域804cの両側面には、高濃度の不純物がドープされたソース領域804aおよびドレイン領域804bを形成することができる。
【0342】
半導体層804の上部には、ゲート絶縁層805を形成することができ、ゲート絶縁層805は、半導体層804とゲート電極806の間における電流の流れを遮断する。ゲート絶縁層805は、酸化シリコン、または窒化シリコンなどのような絶縁性無機物で形成してもよく、その他の絶縁性有機物などで形成してもよい。
【0343】
ゲート絶縁層805の上部には、半導体層804のアクティブ領域804cに対応して、ゲート電極806と、一方向に延長されるゲートライン(不図示)を形成することができる。ゲート電極806は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)のうちのいずれか1つ、またはこれらの合金からなり得るが、これに限定されるものではなく、様々な物質で形成することができる。そして、ゲート電極806は、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0344】
ゲート電極806とゲートライン(不図示)の上部には、層間絶縁層807を形成することができる。層間絶縁層807は、ゲート絶縁層805と同様、酸化シリコン、または窒化シリコンなどのような絶縁性無機物で形成してもよく、その他の絶縁性有機物などで形成してもよい。層間絶縁層807には、半導体層804のソース領域804aおよびドレイン領域804bをそれぞれ露出させるコンタクトホール809を形成することができる。
【0345】
層間絶縁層807上には、ソース電極808aおよびドレイン電極808bを形成することができる。ソース電極808aおよびドレイン電極808bは、ゲート電極806と同様、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)のうちのいずれか1つ、またはこれらの合金からなり得るが、これに限定されるものではなく、様々な物質で形成することができる。そして、ソース電極808aおよびドレイン電極808bは、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0346】
このように形成できる半導体層804とゲート絶縁層805、ゲート電極806、層間絶縁層807、ソース電極808aおよびドレイン電極808bは、薄膜トランジスタTrを構成する。
【0347】
ソース電極808aおよびドレイン電極808bの上部には、保護層810を形成することができ、保護層810は、ソース電極808aおよびドレイン電極808bを水分および酸素、その他の異物から保護する。
【0348】
保護層810の上部には、平坦化層811を形成することができ、平坦化層811は、薄膜トランジスタTrを保護し、その上部を平らに保つことができる。平坦化層811は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、およびベンゾシクロブテンのうち、1つ以上の物質から形成することができるが、これに限定されるものではなく、様々な物質から形成することができる。そして、平坦化層811は、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0349】
一方、保護層810および平坦化層811はその一部を除去し、ドレイン電極808bを露出させるドレインコンタクトホール812を形成することができる。
【0350】
平坦化層811の上部には、有機発光ダイオードに含まれる構成要素であって、正極(アノード)となる第1電極813を形成することができる。第1電極813は、ドレインコンタクトホール812を介し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極808bと電気的に接続することができる。第1電極813は、有機発光ダイオード装置がボトムエミッション型である場合、透明導電性物質から形成することができる。例えば、ITO、またはIZOなどから形成することができる。一方、トップエミッション型である場合、第1電極813は、反射率の高い不透明導電性物質から形成することができる。例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはこれらの合金などから形成することができる。
【0351】
第1電極813の上部には、有機発光層814を形成することができる。有機発光層814は、発光物質からなる単層であってもよく、発光効率を向上させるため、正孔注入層(hole injection layer)、正孔輸送層(hole transport layer)、発光物質層(emitting material layer)、電子輸送層(electron transport layer)および電子注入層(electron injection layer)などからなる多層であってもよい。
【0352】
かかる有機発光層814は、赤色・緑色・青色の色相を表現することができるが、サブ画素のそれぞれに、赤色・緑色・青色を発光する有機物質をパターニングして用いることができる。
【0353】
そして、有機発光層814の上部には、負極(カソード)となる第2電極815を形成することができる。第2電極815は、有機発光ダイオード装置がトップエミッション型である場合、ITO、またはIZOなどの透明導電性物質から形成することができる。一方、ボトムエミッション型である場合、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはこれらの合金などのような反射率の高い不透明導電性物質から形成することができる。
【0354】
有機発光層814、第1電極813および第2電極815を含む有機発光ダイオードは、薄膜トランジスタTrに入力されたデータ信号に応じ、第1電極813および第2電極815に所定の電圧が印加されると、第1電極813から注入された正孔と、第2電極815から提供された電子とが、有機発光層814に輸送されて励起子を生成し、該励起子が励起状態から基底状態へ遷移する際に光が発生し、可視光の形で放出される。
【0355】
このとき、発光した光は、透明な第1電極813、または第2電極815を透過して外部へ放出されるので、有機発光ダイオード装置は、映像を表すことができる。
【0356】
有機発光ダイオード装置の側面には、バンク816を形成することができる。バンク816は、サブ画素毎に分離された構造に形成することができ、酸化シリコン、または窒化シリコンのような無機絶縁物質で形成してもよく、BCB、アクリル系樹脂、イミド系樹脂のような有機絶縁物質で形成してもよい。
【0357】
バンク816および第2電極815の上部には、第1封止層817と有機膜層818、第2封止層819が順次形成され、封止層を構成することができる。第1封止層817および第2封止層819は、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化アルミニウム(AlOx)のうち、いずれか1つから形成することができ、水分および酸素、その他の異物が有機発光層814に浸透することを防止するよう働く。
【0358】
有機物質からなる有機膜層818は、第1封止層817と第2封止層819の間に形成され、表面を平らにするので、段差が生じて表示品質が低下することを防止する役割をする。
図19aには、第1および第2封止層と有機膜層がそれぞれ1つのみ形成されたことを示すが、これに限定されるものではなく、無機膜層である封止層と有機膜層が複数、交互して形成されてもよい。それにより、水分および酸素、その他の異物が有機発光層814に浸透することを、さらに効果的に防止することができる。
【0359】
そして、有機膜と無機膜からなる薄膜封止層を形成するので、ガラスからなる封止層に比べ、軽くて薄い上に柔軟性を持つため、フレキシブルな有機発光ダイオード装置を実現するのに適する。
【0360】
有機発光ダイオードが形成されていないバンク816領域には、保護層810の一部を露出させる封止ホール820(または、封止コンタクトホール)を形成することができる。封止ホール820は、保護層810を露出させるよう、平坦化層811とバンク816、第1封止層817、有機膜層818、第2封止層819を順次除去して形成することができる。
【0361】
封止ホール820は、第1封止層817および第2封止層819に取り囲まれる。封止ホール820の内部、および保護層810が一部露出された領域の上部には、タッチ電極911を形成することができる。そして、保護層810が一部露出された領域まで延長された薄膜トランジスタTrのドレイン電極808bは、タッチ電極911に接続することができるが、これに限定されず、タッチ電極911を、第1基板801上に形成される信号ラインに接続することもできる。かかる接続構造を有するタッチ電極911は、薄膜トランジスタTrに接続されるデータライン、または第1基板801上に形成されるラインを介してタッチ入力駆動信号を受信し、タッチ入力を感知した後、データライン、または第1基板801上に形成される信号ラインを介してタッチ入力感知信号を伝送し、タッチ入力を処理する。
【0362】
このように、本実施例では、第2封止層819上にタッチ電極、TxラインおよびRxラインなどが含まれたタッチパネルを形成せず、第1封止層817、有機膜層8181、および第2封止層819を除去して形成した封止ホール820の内部にタッチ電極911を形成する。したがって、封止層上のタッチパネルを除去することにより、有機発光ダイオードパネルの全体の厚さを減少させることができる。そして、有機発光ダイオードパネルの厚さが減少するにつれて変形可能範囲が増加し、パネルを曲げたり、丸めたり、折り畳んだり、若しくは湾曲形状などにしやすくなるので、フレキシブル表示装置に適した構造を有することになる。
【0363】
また、アレイ基板上に形成されたデータラインを含む信号ラインをTxラインおよびRxラインとして利用することで、TxラインおよびRxラインを封止層上から除去することができる。その結果、Txラインにタッチ入力駆動信号を伝送し、Rxラインからタッチ入力感知信号を受信するためのタッチパネル駆動回路をデータラインに含ませ、有機発光ダイオードパネルの側面におけるベゼル領域に、別途のスペースを設ける必要がないので、ベゼル領域を減少させることができる。ベゼル領域が減少すると空間の活用性が向上し、様々なデザインのフレキシブルな有機発光ダイオード装置を実現することができる。
【0364】
さらに、第1基板801上に形成される信号ラインを介し、ダッチ電極911を駆動する電源を供給できるので、封止層上から駆動電源ラインを除去することができる。
【0365】
<第10実施例>
図19bは、本発明の第10実施例に係る有機発光ダイオードパネルの断面を示す図面である。第10実施例と第9実施例の相違点は、第10実施例では、第9実施例と異なって保護層810を、ソース電極808aおよびドレイン電極808bに対応し、アイランド状、または分離構造に形成したことである。例えば、保護層810は、それぞれのソース電極808aおよびドレイン電極808b上において、これらを覆うアイランド状、または分離構造に形成することができる。これは、保護層810のストレスを緩和させ、クラックおよびそれによるストレスが他の領域に伝わらないようにできる効果を奏する。
【0366】
しかしながら、本実施例でも、第9実施例と同様、封止ホール820を形成し、内部にタッチ電極911を配置することで、タッチパネルを除去することができる。その結果、有機発光ダイオードパネルの厚さを減少させて柔軟性を増加させ、タッチパネル駆動回路をベゼル領域から除去することで、ベゼル領域を減少させて空間の活用性を向上させ、フレキシブルな有機発光ダイオード装置を実現することができる。
【0367】
<第11実施例>
図20は、本発明の第11実施例に係る有機発光ダイオード装置の全体の構成を示す図面である。
【0368】
本実施例に係るタッチタイプの有機発光ダイオード装置は、表示パネル800とタッチパネル駆動部1300、タイミング制御部1400、ゲート駆動部1500、データ駆動部1600を含むことができる。
【0369】
表示パネル800は、複数のサブ画素Pがマトリクス状に配置され、映像を表示することができ、
図19aまたは
図19bに示す第9実施例、または第10実施例の有機発光ダイオードパネルを用いることができる。
【0370】
表示パネル800の第1基板には、所定の間隔離隔し、並んで構成された複数のゲートラインGL1〜GLnと、ゲートラインGL1〜GLnと交差してサブ画素Pを定義するデータラインDL1〜DLmを含むことができる。
【0371】
サブ画素Pには、光を発光する有機発光ダイオード、データ信号に応じて有機発光ダイオードの発光量を調節する薄膜トランジスタ、次のフレームまでデータ信号の電圧を保持するストレージキャパシタを形成することができる。
【0372】
また、サブ画素Pに形成された封止ホール(
図19a、または
図19bの820)にタッチ電極911を形成し、ユーザーによるタッチ入力を感知することができる。
【0373】
タッチ入力を感知する方式は、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電容量方式などに区分することができる。このうち、静電容量方式は、タッチによる静電容量の変化によって電圧に変化があったタッチ電極を感知して、タッチ入力が行われた位置を判断する方式である。本実施例では、静電容量方式を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、あらゆるタッチ入力感知方式を利用することができる。
【0374】
タッチパネル駆動部1300は、タッチ入力駆動信号を伝送し、タッチ電極からタッチ入力感知信号を受信してデジタルデータに変換した後、タッチ入力を処理する。このため、タッチパネル駆動部1300は、タッチ入力制御部1310と、Tx駆動部1320、Rx駆動部1330を含むことができる。
【0375】
タッチ入力制御部1310は、Tx駆動部1320を制御するための第1セットアップ信号と、Rx駆動部1330を制御するための第2セットアップ信号を生成することができる。
【0376】
タッチ入力制御部1310は、サンプリングタイミングを制御するためのスイッチ制御信号をRx駆動部1330に供給し、タッチ電極911からのタッチ入力感知信号に対し、サンプリングできるように制御することができる。
【0377】
そして、タッチ入力制御部1310は、Rx駆動部1330に含まれ得るアナログ・デジタル変換器(不図示)にADCクロック信号を供給し、サンプリングされたタッチ入力感知信号をデジタルデータに変換するよう、制御することができる。
【0378】
また、タッチ入力制御部1310は、変換されたデジタルデータとタッチ入力感知アルゴリズムを利用し、タッチ入力が行われた座標を把握した後、座標情報を含むタッチ入力データHIDxyをホストシステム1700などに伝送することができる。
【0379】
ホストシステム1700は、タッチ入力制御部1310からのタッチ入力データHIDxyを、応用プログラムを利用して処理することができる。
【0380】
タッチ入力制御部1310は、マイクロコントローラユニットで実現することができる。マイクロコントローラユニットがタッチ入力の有無を感知するアルゴリズムは、様々な方法が用いられ得る。一例に、正常のタッチ入力があったとき、タッチ電極を流れる電流量を、デジタルデータに変換した値を基準データとして保存した後、実際にタッチ入力があったときに、Rx駆動部1330がデジタル信号に変換したローデータと基準データとを比較し、ローデータが基準データより小さい場合は、タッチ入力が行われなかったものと判断し、ローデータが基準データより大きい場合は、タッチ入力が行われたものと判断することができる。タッチ入力が行われたものと判断された場合、マイクロコントローラユニットは、タッチ入力があった位置および識別コードを含むタッチ入力データHIDxyを生成し、ホストシステム1700へ伝送することができる。
【0381】
Tx駆動部1320は、タッチ入力制御部1310から入力された第1セットアップ信号に応じ、駆動パルスであるタッチ入力駆動信号を伝送するデータラインを設定することができ、設定したデータラインにタッチ入力駆動信号を伝送することができる。
【0382】
Rx駆動部1330は、タッチ入力制御部1310から入力された第2セットアップ信号に応じ、タッチ入力感知信号を伝送するデータラインを設定することができる。そして、タッチ入力制御部1310から入力されたスイッチ制御信号に応じ、タッチ入力感知信号をサンプリングした後、アナログ・デジタル変換装置を利用して、サンプリングしたタッチ入力感知信号をデジタルデータに変換した後、タッチ入力制御部1310に伝送することができる。
【0383】
Tx駆動部1320およびRx駆動部1330は、データラインを介してタッチ電極911にタッチ入力駆動信号を伝送し、タッチ入力感知信号を受信するものとして説明したが、これに限定されず、データラインではなく、第1基板上に形成される他の信号ラインを用いることもできる。
【0384】
封止ホールに形成されたタッチ電極911は、データライン、または第1基板上に形成される他の信号ラインを介して、Tx駆動部1320が伝送したタッチ入力駆動信号を受信する。その後、タッチ入力を感知したタッチ電極911は、データライン、または第1基板上に形成される他の信号ラインを介し、Rx駆動部1330にタッチ入力感知信号を伝送し、タッチ入力を処理する。そして、タッチ電極911が、静電容量の変化によってタッチ入力を感知することだけ説明したが、これに限定されるものではなく、タッチ電極911に熱や圧力、湿度などを感知する機能を追加し、様々な付加機能を実現することもできる。
【0385】
タイミング制御部1400は、ホストシステム1700からのタイミング信号TCSを利用し、ゲート駆動部1500の動作を制御するゲート制御信号GCSと、データ駆動部1600の動作を制御するデータ制御信号DCSを生成した後、ゲート駆動部1500およびデータ駆動部1600にそれぞれ供給することができる。また、映像信号RGBをデータ駆動部1600に供給することができる。
【0386】
ゲート駆動部1500は、タイミング制御部1400からのゲート制御信号GCSに含まれるソーススタートパルスを、ゲートシフトクロックによってシフトさせ、薄膜トランジスタを順次ターンオンさせるゲートハイ信号をゲートラインGL1〜GLnに供給することができる。また、ゲートハイ信号が供給されない間は、薄膜トランジスタをターンオンさせるゲートロー信号をゲートラインGL1〜GLnに供給することができる。
【0387】
データ駆動部1600は、タイミング制御部1400からのデータ制御信号DCSに含まれるソーススタートパルスを、ソースシフトクロックによってシフトさせ、サンプリング信号を生成する。そして、データ駆動部1600は、ソースシフトクロックによって入力される映像信号RGBを、サンプリング信号に応じてタッチし、データ信号に変更した後、ソース出力イネーブル信号に応じて水平ライン単位に、データ信号をデータラインDL1〜DLmに供給する。
【0388】
タイミング制御部1400とゲート駆動部1500、データ駆動部1600は、表示パネル800を駆動し、表示パネル駆動部IDAに含まれる。
【0389】
そして、タッチパネル駆動回路であるTx駆動部1320とRx駆動部1330を、表示領域の側面に位置するベゼル領域から除去し、他の非表示領域に配置することで、ベゼル領域を減少させることができる。その結果、空間の活用性が向上したフレキシブルな有機発光ダイオード装置を実現することができる。
【0390】
本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変更して実施することができる。