特許第6887024号(P6887024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887024
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】載置装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-561506(P2019-561506)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2017047098
(87)【国際公開番号】WO2019130519
(87)【国際公開日】20190704
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 輝之
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−81941(JP,A)
【文献】 特開2006−261367(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/122449(WO,A1)
【文献】 特開2016−172315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に部材を載置する載置装置であって、
複数の前記部材を収容する部品フィーダと、
前記部品フィーダに収容されている前記部材を吸着し、基板上に前記部材を載置する載置部と、
前記載置部を、前記部品フィーダ及び前記基板に対して移動させる移動装置と、
前記移動装置及び前記載置部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記部品フィーダに向かって前記載置部を移動させて前記部材を吸着する場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の吸着減速度で移動させ、その後に、前記第1の吸着減速度よりも大きい第2の吸着減速度で移動させて前記部材を吸着し、
前記部材を吸着してから前記載置部を離間させる場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の吸着加速度で移動させ、その後に、前記第1の吸着加速度よりも大きい第2の吸着加速度で移動させ、
前記基板に向かって前記載置部を移動させて位置決めする場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の装着減速度で移動させ、その後に、前記第1の装着減速度よりも大きい第2の装着減速度で移動させて位置決めし、
前記基板上に前記部材を載置してから前記載置部を離間させる場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の装着加速度で移動させ、その後に、前記第1の装着加速度よりも大きい第2の装着加速度で移動させ、
前記第2の吸着減速度と前記第1の吸着加速度と前記第2の装着減速度と前記第1の装着加速度は、個別に設定可能である、
載置装置。
【請求項2】
前記制御装置のメモリには、前記第1の装着減速度、前記第2の装着減速度、前記第1の装着加速度、及び、前記第2の装着加速度が予め記憶されており、
前記第2の装着減速度及び前記第1の装着加速度は、前記載置部に関連する載置部情報及び前記部材に関連する部材情報に基づいて設定されている、請求項1に記載の載置装置。
【請求項3】
前記制御装置のメモリには、前記第1の装着減速度、前記第2の装着減速度、前記第1の装着加速度、及び、前記第2の装着加速度が予め記憶されており、
前記制御装置は、前記第2の装着減速度及び前記第1の装着加速度を利用して、前記移動装置を動作させた結果に基づいて、前記第2の装着減速度及び前記第1の装着加速度を調整可能に構成されている、請求項1または2に記載の載置装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記基板上に前記部材を載置することを試行する試行工程であって、
前記第1の装着減速度及び前記第2の装着減速度を利用して、前記基板に向かって前記載置部を移動させて位置決めし、
前記載置部の動作を制御して、前記基板上に前記部材を載置させ、
前記第1の装着加速度及び前記第2の装着加速度を利用して、前記基板から前記載置部を離間させる、前記試行工程と、
前記試行工程における、前記基板上の前記部材の載置状態に基づいて、前記第2の装着減速度及び前記第1の装着加速度を調整する第1の調整工程と、を実行可能に構成されている、請求項3に記載の載置装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記第1の装着減速度及び前記第2の装着減速度を利用して、前記基板に向かって前記載置部を移動させて位置決めし、
前記載置部の動作を制御して、前記基板上に前記部材を載置させ、
前記第1の装着加速度及び前記第2の装着加速度を利用して、前記基板から前記載置部を離間させ、
載置された前記基板上の前記部材の載置情報を前記メモリに記憶する部材載置工程を繰り返し実行すると共に、
前記メモリに記憶される前記載置情報に基づいて、前記第2の装着減速度及び前記第1の装着加速度を調整する第1の調整工程を実行可能に構成されている、請求項3に記載の載置装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記部材載置工程において、
前記基板から前記載置部を離間させた後に、前記基板上の前記部材の載置状態が正常であるか否かを判断し、
前記載置状態が正常であると判断する場合に、前記載置状態が正常であることを示す第1の正常情報を前記載置情報として前記メモリに記憶し、
前記載置状態が異常であると判断する場合に、前記載置状態が異常であることを示す第1の異常情報を前記載置情報として前記メモリに記憶し、
前記制御装置は、
前記メモリに記憶されている前記載置情報に含まれる前記第1の異常情報の割合である載置エラー率が第1の所定エラー率よりも大きい場合に、前記第1の調整工程を実行可能に構成されている、請求項5に記載の載置装置。
【請求項7】
前記制御装置のメモリには、前記第1の吸着減速度、前記第2の吸着減速度、前記第1の吸着加速度、及び、前記第2の吸着加速度が予め記憶されており、
前記制御装置は、
前記第1の吸着減速度及び前記第2の吸着減速度を利用して、前記部品フィーダに向かって前記載置部を移動させて前記部材を吸着し、
前記第1の吸着加速度及び前記第2の吸着加速度を利用して、前記部品フィーダから前記載置部を離間させ、
前記部品フィーダから前記載置部を離間させた後に、前記載置部に吸着されている前記部材の吸着状態が正常であるか否かを判断し、
前記吸着状態が正常であると判断する場合に、前記吸着状態が正常であることを示す第2の正常情報を吸着情報として前記メモリに記憶し、
前記吸着状態が異常であると判断する場合に、前記吸着状態が異常であることを示す第2の異常情報を前記吸着情報として前記メモリに記憶する部材吸着工程を繰り返し実行すると共に、
前記メモリに記憶されている前記吸着情報に含まれる前記第2の異常情報の割合である吸着エラー率が第2の所定エラー率よりも大きい場合に、前記第2の吸着減速度及び前記第1の吸着加速度を調整する第2の調整工程を実行可能に構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の載置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2006−261367号公報)には、基板上に部材を載置する載置部と、載置部を基板に対して移動させる移動装置と、移動装置及び載置部の動作を制御する制御装置と、を備える載置装置が開示されている。制御装置は、基板上に部材を載置してから載置部を離間させる場合に、移動装置によって載置部を第1の加速度で移動させた後に、第1の加速度よりも大きい第2の加速度で移動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の載置装置では、基板上に部材を載置してから載置部を離間させる場合に、第2の加速度よりも小さい第1の加速度で動作を開始することで、基板上に載置した部材が載置した位置からずれることを防止している。しかしながら、特許文献1の載置装置では、基板から載置部を移動させる場合の位置ずれを考慮しているものの、基板に向かって載置部を移動させて位置決めする場合の位置ずれを考慮していないため、載置部を所望の位置に載置できない可能性がある。本明細書では、部材を基板上の所望の位置に載置することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する載置装置は、基板上に部材を載置する。載置装置は、基板上に前記部材を載置する載置部と、前記載置部を前記基板に対して移動させる移動装置と、前記移動装置及び前記載置部の動作を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記基板に向かって前記載置部を移動させて位置決めする場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の減速度で移動させ、その後に、第1の減速度よりも大きい第2の減速度で移動させて位置決めし、前記基板上に前記部材を載置してから前記載置部を離間させる場合において、前記移動装置によって前記載置部を第1の加速度で移動させ、その後に、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度で移動させる。前記第2の減速度と前記第1の加速度は、個別に設定可能である。
【0005】
上記の構成によれば、制御装置は、基板に向かって載置部を移動させて位置決めする場合は、載置部を第1の減速度で移動させ、その後に、第1の減速度よりも大きい第2の減速度で移動させて位置決めする。即ち、載置部が基板に最接近する際に、載置部は第1の減速度よりも大きい第2の減速度で移動する。このため、載置部が第1の減速度で移動している状態で、載置部を基板に位置決めする場合と比較して、基板に対して載置部を適切に位置決めすることができる。基板に対して載置部を適切に位置決めすることで、部材を基板上の所望の位置に載置することができる。また、制御装置は、基板上に部材を載置してから載置部を離間させる場合は、載置部を第1の加速度で移動させ、その後に、第1の加速度よりも大きい第2の加速度で移動させる。従って、基板に向かって載置部を移動させて位置決めする場合に、載置部を所望の位置に位置決めすることができ、かつ、基板上に部材を載置してから載置部を離間させる場合に、基板上の部材の位置がずれることが防止される。また、比較的に大きい第1減速度及び第2加速度を利用して、載置部を移動させる期間が設けられることで、基板上に部材を載置させる際に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】部品実装機の構成を模式的に表す側面図である。
図2】部品実装機の制御系の構成を表すブロック図である。
図3】部品実装機によって実行される試行処理のフローチャート図である。
図4】部品実装機によって実行される実装処理のフローチャート図である。
図5】試行処理及び実装処理の際の吸着ノズルの速度を示す図である。
図6】部品フィーダ上の電子部品を吸着するために下降する前の吸着ノズルを示す図である。
図7】部品フィーダ上の電子部品を吸着した後に上昇する前の吸着ノズルを示す図である。
図8】電子部品を基板に装着するために下降する前の吸着ノズルを示す図である。
図9】電子部品を基板に装着した後に上昇する前の吸着ノズルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書が開示する載置装置において、制御装置のメモリには、第1の減速度、第2の減速度、第1の加速度、及び、第2の加速度が予め記憶されていてもよい。この場合に、第2の減速度及び第1の加速度は、載置部に関連する載置部情報及び部材に関連する部材情報に基づいて設定されていてもよい。
【0008】
本明細書が開示する載置装置において、制御装置のメモリには、第1の減速度、第2の減速度、第1の加速度、及び、第2の加速度が予め記憶されていてもよい。この場合、記制御装置は、第2の減速度及び第1の加速度を利用して、移動装置を動作させた結果に基づいて、第2の減速度及び第1の加速度を調整可能に構成されていてもよい。
【0009】
本明細書が開示する載置装置において、制御装置は、基板上に部材を載置することを試行する試行工程と、試行工程における、基板上の部材の載置状態に基づいて、第2の減速度及び第1の加速度を調整する調整工程と、を実行可能に構成されていてもよい。試行工程では、第1の減速度及び第2の減速度を利用して、基板に向かって載置部を移動させて位置決めし、載置部の動作を制御して、基板上に部材を載置させ、第1の加速度及び第2の加速度を利用して、基板から載置部を離間させてもよい。
【0010】
本明細書が開示する載置装置において、制御装置は、部材載置工程を繰り返し実行すると共に、メモリに記憶される載置状態に基づいて、第2の減速度及び第1の加速度を調整する調整工程を実行可能に構成されていてもよい。部材載置工程では、第1の減速度及び第2の減速度を利用して、基板に向かって載置部を移動させて位置決めし、載置部の動作を制御して、基板上に部材を載置させ、第1の加速度及び第2の加速度を利用して、基板から載置部を離間させ、載置された基板上の部材の載置状態をメモリに記憶してもよい。
【0011】
(実施例)
図1及び図2を参照して、部品実装機10について説明する。部品実装機10は、基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、表面実装機やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機、他の部品実装機及び基板検査機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0012】

図1に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、上面撮像カメラ16と、下面撮像カメラ18と、移載ヘッド20と、移載ヘッド20及び上面撮像カメラ16を移動させる移動機構22と、基板コンベア24と、操作パネル26と、制御装置30と、を備える。
【0013】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、移載ヘッド20へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0014】
移動機構22は、部品フィーダ12の上方と基板2の上方との間で移載ヘッド20、上面撮像カメラ16を移動させる。本実施例の移動機構22は、移動ベース22aをX軸方向及びY軸方向に移動させるXYロボットである。移動機構22は、移動ベース22aを案内するガイドレールや、移動ベース22aをガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動機構22は、部品フィーダ12及び基板2の上方に配置されている。移動ベース22aに対して移載ヘッド20、上面撮像カメラ16が取付けられている。移載ヘッド20、上面撮像カメラ16は、移動機構22によって部品フィーダ12の上方から基板2の上方の間を移動する。
【0015】

移載ヘッド20は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を備えている。吸着ノズル6は、移載ヘッド20に対して着脱可能とされている。吸着ノズル6は、Z軸方向(図面上下方向)に移動可能に移載ヘッド20に取り付けられている。吸着ノズル6は、移載ヘッド20に収容されたアクチュエータ(図示省略)によって上下方向に昇降されると共に、電子部品4を吸着可能に構成されている。移載ヘッド20により電子部品4を基板2に実装するには、まず、部品フィーダ12に収容された電子部品4に吸着ノズル6の吸着面(下面)6aが当接するまで、吸着ノズル6を下方に移動させる。次いで、吸着ノズル6に電子部品4を吸着し、吸着ノズル6を上方に移動させる。次いで、移動機構22により移載ヘッド20を基板2に対して位置決めする。次いで、吸着ノズル6を基板2に向かって下降させることで、基板2に電子部品4を実装する。なお、部品実装機10内には、種類が異なる複数の吸着ノズル6が載置されているノズルステーション(図示省略)が配置されている。
【0016】
上面撮像カメラ16は、移動ベース22aに取付けられている。上面撮像カメラ16は、基板2の上面を撮像する。下面撮像カメラ18は、フィーダ保持部14と基板コンベア24の間に配置されている。下面撮像カメラ18は、吸着ノズル6に吸着されている状態の電子部品4を撮像する。
【0017】

基板コンベア24は、基板2の部品実装機10への搬入、部品実装機10への位置決め、及び部品実装機10からの搬出を行う装置である。本実施例の基板コンベア24は、例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられると共に基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。操作パネル26は、作業者の指示を受け付ける入力装置であると共に、作業者に対して各種の情報を表示する表示装置でもある。
【0018】
制御装置30は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータを用いて構成されている。図2に示すように、制御装置30には、吸着ノズル6と、部品フィーダ12と、移載ヘッド20と、移動機構22と、上面撮像カメラ16と、下面撮像カメラ18と、操作パネル26と、が通信可能に接続されている。制御装置30は、メモリ32を備える。制御装置30は、メモリ32に格納されているプログラム34に従って、後述する試行処理(図3)、実装処理(図4)等を実行する。また、メモリ32には、実装テーブル36が記憶されている。実装テーブル36は、第1テーブル36aと、第2テーブル36bと、で構成される。第1テーブル36aは、吸着ノズル6に部品フィーダ12上の電子部品4を吸着させる際に利用されるテーブルである。第1テーブル36aでは、電子部品4a〜4cと、吸着ノズル6a、6bと、第1吸着減速度と、第2吸着減速度と、第1吸着加速度と、第2吸着加速度と、が対応付けられている。電子部品4a〜4cは、異なる種類の部品であり、例えば、サイズ、重量、形状等が異なる。吸着ノズル6a、6bは、異なる種類のノズルであり、例えば、サイズ、最大流量などが異なる。第1吸着減速度、第2吸着減速度、第1吸着加速度、及び、第2吸着加速度は、電子部品4の種類及び吸着ノズル6の種類に基づいて、管理者によって予め設定されている。第2吸着減速度には、第1吸着減速度よりも大きい値が設定されている。第2吸着加速度には、第1吸着加速度よりも大きい値が設定されている。第2テーブル36bは、吸着ノズル6によって吸着されている電子部品4を、基板2上に装着させる際に利用されるテーブルである。第2テーブル36bでは、電子部品4a〜4cと、吸着ノズル6a、6bと、第1装着減速度と、第2装着減速度と、第1装着加速度と、第2装着加速度と、が対応付けられている。第1装着加速度、第2装着加速度、第1装着加速度、及び、第2装着加速度は、電子部品4の種類及び吸着ノズル6の種類に基づいて、管理者によって予め設定されている。第2装着減速度には、第1装着減速度よりも大きい値が設定されている。第2装着加速度には、第1装着加速度よりも大きい値が設定されている。
【0019】
(実装処理;図3図9
続いて、図3図9を参照して、部品実装機10の制御装置30によって実行される処理について説明する。制御装置30は、まず、試行処理(図3)を実行し、その後に、実装処理(図4)を実行する。
【0020】
(試行処理;図3
図3図5図9を参照して、試行処理の内容を説明する。試行処理は、実装処理を実行する前に、第2吸着減速度、第1吸着加速度、第2装着減速度、及び、第1装着加速度を調整するための処理である。
【0021】
S10において、制御装置30は、電子部品4の種類を含む電子部品情報を受信する。電子部品4の種類は、操作パネル26への作業者による操作によって操作パネル26から送信されてもよいし、制御装置30と通信可能に接続される外部の管理装置(図示省略)から送信されてもよい。
【0022】
S12において、制御装置30は、S10で受信した電子部品4の種類に基づいて、電子部品4の実装に利用する吸着ノズル6(以下では、「実装ノズル6」と呼ぶ)の種類を特定する。例えば、S10で受信する電子部品4の種類が電子部品4aである場合、制御装置30は、吸着ノズル6aを実装ノズル6と特定する。
【0023】
S14において、制御装置30は、S12で特定した実装ノズル6を移載ヘッド20に装着させる。まず、制御装置30は、移動機構22を駆動することで、移載ヘッド20をノズルステーション上に移動させる。そして、制御装置30は、移載ヘッド20に装着されている吸着ノズル6をノズルステーション上に載置し、ツールステーション上の実装ノズル6(即ち、S12で特定した実装ノズル6)を移載ヘッド20に装着させる。なお、S12で特定された実装ノズル6が移載ヘッド20に装着済みである場合、制御装置30は、S14を省略して、S16に進む。
【0024】
S16において、制御装置30は、S10で受信した電子部品4の種類、第1テーブル36a、第2テーブル36bを利用して、実装ノズル6に対応する第1、2吸着減速度、第1、2吸着加速度、第1、2装着減速度、及び、第1、2装着加速度を特定する。例えば、S10で受信した電子部品4の種類が電子部品4aである場合、制御装置30は、第1テーブル36a及び第2テーブル36bの一番上の行の各減速度及び各加速度を、第1、2吸着減速度、第1、2吸着加速度、第1、2装着減速度、及び、第1、2装着加速度と特定する(図2参照)。
【0025】
S20において、制御装置30は、部品フィーダ12上の電子部品4を実装ノズル6に吸着させる吸着処理を実行する。図5図7を参照して、吸着処理時の動作について説明する。図5の縦軸は、実装ノズル6のZ軸方向の速度の絶対値を示し、横軸は時間を示す。時間t0〜時間t4、及び、時間t8〜時間t12において、実装ノズル6は、下方に向かって移動(即ち、下降)している。また、時間t4〜時間t7、及び、時間t12〜時間t15において、実装ノズル6は、上方に向かって移動(即ち、上昇)している。吸着処理は、時間t0〜時間t7の間に実行される処理である。なお、実装ノズル6は、Z軸方向の移動と同時に、X軸方向及びY軸方向にも移動可能であるが、以下では、理解の容易化のために、特に、Z軸方向の移動について説明する。また、吸着処理において、実装ノズル6は、移載ヘッド20を駆動することで移動される。従って、以下の説明では、特に必要が無ければ、「移載ヘッド20を駆動することで」という記載を省略する。
【0026】
図5の時間t0において、制御装置30は、実装ノズル6を下方に移動させる。時間t0の時点において、部品フィーダ12上の電子部品4と実装ノズル6との間の距離は距離D1だけ離間している(図6参照)。以下では、時間t0における実装ノズル6のZ軸方向の位置を「基準位置」と呼ぶ。時間t1において、実装ノズル6の下降速度が最大速度V1に到達すると、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を0にする。時間t2において、実装ノズル6と電子部品4との間の距離が第1所定距離まで小さくなると、制御装置30は、第1吸着減速度で実装ノズル6の下降速度を減速させる。そして、時間t3において、実装ノズル6と電子部品4との間の距離が距離D2(図6参照)まで小さくなると、制御装置30は、実装ノズル6の減速度を第1吸着減速度よりも大きい第2吸着減速度に切り替える。また、制御装置30は、図示しない吸引装置を駆動して、実装ノズル6に部品フィーダ12上の電子部品4を吸着させる。上述のように、第2吸着減速度は第1吸着減速度よりも大きい。また、時間t2において、実装ノズル6は電子部品4にまだ接触していない。従って、実装ノズル6は、実装ノズル6が第2吸着減速度で動作している状態で、電子部品4に接触する。この結果、実装ノズル6が第1吸着減速度で動作している状態で電子部品4に接触する場合と比較して、実装ノズル6の下面を電子部品4の上面に適切に当接させることができる。
【0027】
時間t4において、制御装置30は、実装ノズル6を上方に移動させる。この時点において、実装ノズル6は電子部品4を吸着している(図7参照)。制御装置30は、実装ノズル6を第1吸着加速度で上方に移動させる。そして、時間t5において、実装ノズル6と電子部品4との間の距離が距離D3(図7参照)まで大きくなると、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を第1吸着加速度から第2吸着加速度に切り替える。時間t6において、実装ノズル6の上昇速度が最大速度V1に到達すると、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を0にする。その後、制御装置30は、実装ノズル6が基準位置で停止するように、実装ノズル6を減速させる。時間t7において、実装ノズル6は、基準位置で停止し、吸着処理(図3のS20)が終了する。
【0028】
S22において、制御装置30は、移動機構22を駆動し、移載ヘッド20を下面撮像カメラ18の上方に移動させ、下面撮像カメラ18によって撮像される画像データを利用して、電子部品4の吸着状態が正常であるか否かを判断する。電子部品4の吸着状態が異常である場合とは、実装ノズル6の適切な位置に電子部品4が吸着されていない場合、又は、電子部品4が傾いている場合等である。制御装置30は、電子部品4の吸着状態が異常であると判断される場合に、S22でNOと判断し、S24に進む。なお、制御装置30は、S20の吸着処理において、実装ノズル6を上方に移動させている間(図5の時間t4〜t7の間)に、移載ヘッド20を下面撮像カメラ18の上方に移動させることが好ましい。
【0029】
吸着状態が異常であると判断されたため、S24において、制御装置30は、第1テーブル36a内の第2吸着減速度、第1吸着加速度を調整する。具体的には、制御装置30は、第2吸着減速度を大きくし、第1吸着加速度を小さくする。制御装置30は、S24が終了すると、S20に戻る。なお、変形例では、制御装置30は、まず、第2吸着減速度及び第1吸着加速度の一方を調整し、次にS22でNOと判断される場合に、他方を調整するように構成されていてもよい。即ち、S22でNOと判断される毎に、第2吸着減速度、第1吸着加速度を交互に調整してもよい。
【0030】
一方、制御装置30は、電子部品4の吸着状態が正常であると判断される場合に、S22でYESと判断し、S30に進む。S30において、制御装置30は、実装ノズル6に吸着されている電子部品4を基板2に装着する装着処理を実行する。図5図8図9を参照して、装着処理時の動作について説明する。装着処理は、図5の時間t8〜時間t15の間に実行される処理である。
【0031】
時間t8において、制御装置30は、実装ノズル6を下方に移動させる。時間t8の時点において、実装ノズル6は、基準位置に位置している。この時点における実装ノズル6と電子部品4との間の距離は距離D4である(図8参照)。時間t9において、実装ノズル6の下降速度が最大速度V1に到達すると、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を0にする。時間t10において、実装ノズル6と電子部品4との間の距離が第2所定距離まで小さくなると、制御装置30は、第1装着減速度で実装ノズル6の下降速度を減速させる。そして、時間t11において、実装ノズル6と電子部品4との間の距離が距離D5(図8参照)まで小さくなると、制御装置30は、実装ノズル6の減速度を第1装着減速度よりも大きい第2装着減速度に切り替える。上述のように、第2装着減速度は第1装着減速度よりも大きい。従って、実装ノズル6が第1装着減速度で動作している状態で電子部品4を基板2に接近させる場合と比較して、電子部品4を基板2上の所望の位置に精度良く配置することができる。
【0032】
時間t12において、制御装置30は、図示しない吸引装置の駆動を停止すると共に、実装ノズル6を上方に移動させる。これによって、実装ノズル6から電子部品4が解放されることとなる。制御装置30は、実装ノズル6を第1装着加速度で上方に移動させる。そして、時間t13において、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を第1装着加速度から第2装着加速度に切り替える。時間t13は、時間t12に、実装ノズル6の駆動を停止してから真空破壊が完了するまでの時間が加算された時間である。真空破壊が完了するまで、比較的に小さい加速度の第1装着加速度で実装ノズル6を移動させることで、基板2上に装着した電子部品4がその装着位置からずれることを抑制することができる。時間t14において、実装ノズル6の上昇速度が最大速度V1に到達すると、制御装置30は、実装ノズル6の加速度を0にする。その後、制御装置30は、実装ノズル6が基準位置で停止するように、実装ノズル6を減速させる。時間t15において、実装ノズル6は、基準位置で停止し、装着処理(S30)が終了する。
【0033】
S32において、制御装置30は、上面撮像カメラ16によって撮像される画像データを利用して、基板2上の電子部品4の装着状態が正常であるか否かを判断する。電子部品4の装着状態が異常である場合とは、基板2上の電子部品4が装着されている位置が適切ではない場合等である。制御装置30は、電子部品4の装着状態が異常であると判断される場合に、S32でNOと判断し、S34に進む。
【0034】
装着状態が異常であると判断されたため、S34において、制御装置30は、第2テーブル36b内の第2装着減速度及び第1装着加速度を調整する。具体的には、制御装置30は、第2装着減速度を大きくし、第1装着加速度を小さくする。制御装置30は、S34が終了すると、S20に戻る。なお、変形例では、制御装置30は、まず、第2装着減速度及び第1装着加速度の一方を調整し、次にS32でNOと判断される場合に、他方を調整するように構成されていてもよい。即ち、制御装置30は、S32でNOと判断される毎に、第2装着減速度、第1装着加速度を交互に調整してもよい。また、別の変形例では、制御装置30は、時間t12に加算する時間を長くしてもよい。即ち、吸引装置を停止してから真空破壊が完了するまでの時間を長くしてもよい。
【0035】
一方、制御装置30は、電子部品4の装着状態が正常であると判断される場合に、S32でYESと判断し、S40に進む。なお、制御装置30は、S32でYESと判断する場合に、メモリ32内の成功回数を1だけ増加させる。S40において、制御装置30は、成功回数が所定回数に一致するか否かを判断する。成功回数が所定回数に一致する場合に、制御装置30はS40でYESと判断し、図3の処理を終了する。一方、成功回数が所定回数に一致しない場合に、制御装置30はS40でNOと判断し、S20に戻る。従って、成功回数が所定回数に達するまで、S20〜S34の処理が繰り返し実行される。なお、変形例では、部品実装機10の作業者によって試行処理を終了するための操作が操作パネル26に実行されることによって、試行処理が終了されてもよい。
【0036】
(実装処理;図4
図4を参照して、実装処理の内容を説明する。実装処理は、基板2に電子部品4を実装するための処理である。
【0037】
S60において、制御装置30は、図3の試行処理で調整された第1、2吸着減速度、第1、2吸着加速度、第1、2装着減速度、及び、第1、2装着加速度を、実装処理で利用する減速度及び加速度として特定する。
【0038】
S70、S72で実行される処理は、図3のS20、S22で実行される処理と同様である。S72において、制御装置30は、電子部品4の吸着状態が異常であると判断される場合に、S72でNOと判断し、S74に進む。一方、制御装置30は、電子部品4の吸着状態が正常であると判断される場合に、S72でYESと判断し、S80に進む。なお、制御装置30は、S72でYESと判断する場合は、電子部品4の吸着状態が正常状態であることを示す吸着情報をメモリ32に記憶させる。本実施例では、メモリ32は、100個の吸着情報を記憶可能に構成されている。
【0039】
S74において、制御装置30は、電子部品4の吸着状態が異常状態であることを示す吸着情報をメモリ32に記憶させる。
【0040】
S76において、制御装置30は、メモリ32に記憶されている吸着情報の吸着エラー率が予め設定された第1エラー率よりも大きいか否かを判断する。吸着エラー率は、メモリ32に記憶されている吸着情報のうち、電子部品4の吸着状態が異常状態であったことを示す情報の割合である。制御装置30は、吸着エラー率が第1エラー率以下である場合に、S76でNOと判断し、S70に戻る。一方、制御装置30は、吸着エラー率が第1エラー率よりも大きい場合に、S76でYESと判断し、S78に進む。
【0041】
S78において、制御装置30は、第1テーブル36a内の第2吸着減速度、第1吸着加速度を調整する。具体的には、制御装置30は、第2吸着減速度を大きくし、第1吸着加速度を小さくする。制御装置30は、第2吸着減速度、第1吸着加速度を調整すると、その時点でメモリ32内に記憶されている全ての吸着情報を消去する。なお、変形例では、制御装置30は、まず、第2吸着減速度及び第1吸着加速度の一方を調整し、次にS76でYESと判断される場合に、他方を調整するように構成されていてもよい。即ち、S76でYESと判断される毎に、第2吸着減速度、第1吸着加速度を交互に調整してもよい。
【0042】
また、S80、S82で実行される処理は、図3のS30、S32で実行される処理と同様である。S82において、制御装置30は、基板2上の電子部品4の装着状態が異常であると判断される場合に、S82でNOと判断し、S84に進む。一方、制御装置30は、電子部品4の装着状態が正常であると判断される場合に、S82でYESと判断し、S70に戻る。なお、制御装置30は、S82でYESと判断する場合に、電子部品4の装着状態が正常状態であることを示す装着情報をメモリ32に記憶させる。本実施例では、メモリ32は、100個の装着情報を記憶可能に構成されている。
【0043】
S84において、制御装置30は、電子部品4の装着状態が異常状態であることを示す装着情報をメモリ32に記憶させる。
【0044】
S86において、制御装置30は、メモリ32に記憶されている装着情報の装着エラー率が予め設定された第2エラー率よりも大きいか否かを判断する。装着エラー率は、メモリ32に記憶されている装着情報のうち、電子部品4の装着状態が異常状態であったことを示す情報の割合である。制御装置30は、装着エラー率が第2エラー率以下である場合に、S86でNOと判断し、S70に戻る。一方、制御装置30は、装着エラー率が第2エラー率よりも大きい場合に、S86でYESと判断し、S88に進む。
【0045】
S88において、制御装置30は、実装テーブル36内の第2装着減速度及び第1装着加速度を調整する。具体的には、制御装置30は、第2装着減速度を大きくし、第1装着加速度を小さくする。制御装置30は、第2装着減速度及び第1装着加速度を調整すると、メモリ32内に記憶されている全ての装着情報を消去する。なお、変形例では、制御装置30は、まず、第2装着減速度及び第1装着加速度の一方を調整し、次にS86でESと判断される場合に、他方を調整するように構成されていてもよい。即ち、S86でYESと判断される毎に、第2装着減速度、第1装着加速度を交互に調整してもよい。なお、制御装置30は、吸着ノズル6を交換する場合や、供給される電子部品4の生産ロットが切り替わる場合などに、第2吸着減速度、第1吸着加速度、第2装着減速度、及び、第1装着加速度を初期値に戻すように構成されている。
【0046】
上述のように、制御装置30は、基板2に向かって吸着ノズル6を移動させて位置決めする場合において、吸着ノズル6を第1装着減速度で移動させ(図5の時間t10〜時間t11)、その後に、第1装着減速度よりも大きい第2装着減速度で移動させて位置決めしている(図5の時間t11〜t12)。即ち、吸着ノズル6が基板2に最接近する際に、吸着ノズル6は第1装着減速度よりも大きい第2装着減速度で移動される。この場合、吸着ノズル6が第1装着減速度で移動している状態で、吸着ノズル6を基板2に最接近させる場合と比較して、基板2に対して吸着ノズル6を適切に位置決めすることができる。基板2に対して吸着ノズル6を適切に位置決めすることで、電子部品4を基板2上の所望の位置に精度良く載置することができる。また、制御装置30は、基板2上に電子部品4を載置してから吸着ノズル6を離間させる場合において、吸着ノズル6を第1装着加速度で移動させ(図5の時間t12〜時間t13)、その後に、第1装着加速度よりも大きい第2装着加速度で移動させる(図5の時間t13〜時間t14)。従って、基板2に向かって吸着ノズル6を移動させて位置決めする場合に、吸着ノズル6を所望の位置に精度良く位置決めすることができ、かつ、基板2上に電子部品4を載置してから吸着ノズル6を離間させる場合に、基板2上の部材の位置がずれることが防止される。また、比較的に大きい第1吸着減速度及び第2装着加速度を利用して、吸着ノズル6を移動させる期間(図5の時間t10〜時間t11、時間t13〜時間t14)を設けることで、基板2上に電子部品4を実装させる際に要する時間を短くすることができる。従って、基板2上に電子部品4を実装する際に要する時間を短縮することができると共に、電子部品4を基板2上の所望の位置に精度良く実装することができる。
【0047】
また、メモリ32には、電子部品4の種類、及び、吸着ノズル6の種類に基づく第1装着減速度、第2装着減速度、第1装着加速度、及び、第2装着加速度が予め記憶されている。即ち、各加速度及び各減速度が、電子部品4の種類、及び、吸着ノズル6の種類毎に最適化されている。従って、第1装着減速度、第2装着減速度、第1装着加速度、及び、第2装着加速度を利用することで、電子部品4を基板2上の所望の位置に適切に載置することができる。
【0048】
また、制御装置30は、実装処理(図4)を実行する前に試行処理(図3)を実行して、第2装着減速度、第1装着加速度を調整するように構成されている(図3のS34)。実際に製品を製造する処理(実装処理)を実行する前に、試行処理を実行しているため、実装処理において、電子部品4が基板2上の所望の位置に載置されない可能性を低減することができる。
【0049】
また、制御装置30は、実装処理(図4)における電子部品4の装着情報をメモリ32に記憶させる(図4のS82、S84)。そして、制御装置30は、メモリ32に記憶される装着情報の装着エラー率が第2エラー率を超える場合(図4のS86でYES)に、第2装着減速度、第1装着加速度を調整する。実装処理を開始後にも第2装着減速度、第1装着加速度を調整することで、その後に、電子部品4の装着状態が異常となる確率を低減することができる。
【0050】
(対応関係)
電子部品4、吸着ノズル6、移載ヘッド20及び移動機構22が、それぞれ、「部材」、「載置部」、「移動装置」の一例である。第1装着減速度、第2装着減速度、第1装着加速度、第2装着加速度が、それぞれ、「第1減速度」、「第2減速度」、「第1加速度」、「第2加速度」の一例である。電子部品4の種類、吸着ノズル6の種類が、それぞれ、「部材情報」、「載置部情報」の一例である。
【0051】
以上、本明細書に開示の技術に係る実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0052】
(変形例1)「部材」は、ハンダ、グルーなどであってもよい。この場合、「載置装置」は、基板2にハンダ、グルーなどを塗布する塗布装置である。
【0053】
(変形例2)吸着ノズル6のX軸方向の移動、及び、Y軸方向の移動においても、X軸方向及びY軸方向の移動を規定する各速度データに第1装着減速度、第2装着減速度、第1装着加速度、第2装着加速度が設定されてもよい。なお、X軸方向またはY軸方向の移動の場合、図5において、吸着から装着の間に速度は0にならない。即ち、速度が0になるのは、吸着時及び装着時のみである。
【0054】
(変形例3)制御装置30は、試行処理(図3)を実行しなくてもよい。即ち、図3の処理を省略可能である。また、別の変形例では、制御装置30は、実装処理において、第2吸着減速度、第2吸着加速度、第2装着減速度、第2装着加速度を調整しなくてもよい。即ち、図4のS74〜S78、S84〜S88を省略可能である。
【0055】
(変形例4)制御装置30は、図3の試行処理において、電子部品4の装着状態が正常でないと判断される場合に、第1、2装着減速度、第1、2装着加速度を調整可能であってもよい。
【0056】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
2 :基板
4 :電子部品
6 :吸着ノズル
10 :部品実装機
12 :部品フィーダ
14 :フィーダ保持部
16 :上面撮像カメラ
18 :下面撮像カメラ
20 :移載ヘッド
22 :移動機構
22a :移動ベース
24 :基板コンベア
26 :操作パネル
30 :制御装置
32 :メモリ
34 :プログラム
36 :実装テーブル
36a :第1テーブル
36b :第2テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9