(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、野菜や果物などの農作物は選果場で等階級ごとに仕分けし、出荷している。等階級ごとに仕分けするために、トレイに農作物を載せてコンベヤ上を搬送し、搬送途中で農作物を検査している。検査結果に応じて農作物の等階級が決定される。そして、特許文献1の
図13に示されるように、等階級に応じた選果コンベヤにトレイを移送することで農作物を仕分けする。選果コンベヤにトレイを移送するために、トレイを選果シリンダで押す。
【0003】
しかし、選果シリンダでトレイを押したときにトレイに衝撃が生じ、その際の衝撃でトレイから農作物が飛び出す場合がある。その他、搬送途中にトレイ同士が衝突し、農作物が飛び出す恐れもある。そのため、農作物を安定して搬送する必要がある。
【0004】
農作物を載せるためのトレイが下記特許文献2に記載されている。特許文献2のトレイは、傾斜した受座、受座に設けられた可撓性ヒレ状弾性突起を備えている。可撓性ヒレ状弾性突起によって種々の農作物が安定支持されることが特許文献2に記載されている。
【0005】
しかし、特許文献2のトレイは、トレイに生じた衝撃が受座から可撓性ヒレ状弾性体に伝わり、さらに農作物に伝わる。すなわち、農作物に衝撃が伝わりやすい。農作物が可撓性ヒレ状弾性体から外れ、トレイから飛び出す恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の農作物搬送用トレイについて図面を用いて説明する。搬送される農作物は野菜や果物であり、農作物搬送用トレイに載せられれば特に限定されない。
【0012】
図1および
図2に示す本発明の農作物搬送用トレイ10は、筒状部12を含むトレイ本体14、筒状部12の内方に配置された保持体16、保持体16に取り付けられた支持体18を備える。
【0013】
トレイ本体14は、円筒状になった筒状部12およびその筒状部12の下端につながった底部20を備える。トレイ本体14は硬質の樹脂で構成される。トレイ本体14は射出成形等で形成できる。
【0014】
筒状部12の外周を一周するように、複数の突起22が設けられている。突起22は成形時の変形を抑えるものである。成形時に変形しなければ、突起22は省略しても良い。また、突起22を筒状部12とは別部材で構成しても良い。たとえば突起22をゴムなどの弾性体で構成し、衝撃を和らげるようにしても良い。
【0015】
筒状部12にその外周を一周する窪み23を形成している。コンベヤの側方の一方に発光素子を配置し、他方に受光素子を配置する。発光素子で発光した光がコンベヤを横切り、受光素子で受光する。農作物搬送用トレイ10がコンベヤ上を一列に並んで接して搬送されるとき、光は筒状部12で遮られ、窪み23を通過する。受光素子で光を受光した回数を計数することで、通過した農作物搬送用トレイ10の数を計数できる。発光素子と受光素子は周知の光電センサーを使用することができる。
【0016】
底部20は一面24と他面26を有する板体である。底部20の外周は円形になっており、底部20の外周が筒状部12の下端につながっている。筒状部12と底部20は一体になっていても良いし、接着剤などで固定されていても良い。筒状部12と底部20を別部材で構成する場合、底部20をゴムなどの弾性体で構成し、底部20でコンベヤの衝撃を吸収しても良い。
【0017】
底部20の中心は貫通穴28になっており、貫通案28を光が通過する。農作物の内部品質検査を行うときに、農作物に光を照射するためである。光がトレイ本体14で反射しないように、トレイ本体14を黒色にすることが好ましい。
【0018】
底部20の一面24に複数の板体30が設けられている。板体30の形状は任意であり、板体30の平面が底部20の一面24に対して垂直方向を向いている。板体30は成形時の変形を抑えるものであり、必要に応じて板体30の枚数を決定する。成形時に変形しなければ、板体30を省略しても良い。
【0019】
底部20にICタグ32を配置する。ICタグ32はRFID(radio frequency identifier)などの通信装置と非接触通信する。通信装置はコンベヤの必要箇所に設ける。農作物搬送用トレイ10ごとに異なる識別情報を記憶したICタグ32を取り付け、ICタグ32の情報から農作物搬送用トレイ10を識別する。
図2では、底部20にICタグ32を配置するための空間34を設け、底部20の他面26に蓋36を設けている。
【0020】
底部20の他面26はコンベヤへ載置される面になっている。底部20の他面26がコンベヤに接するように、農作物搬送用トレイ10をコンベヤに載せる。底部20の他面26に弾性体などを取り付け、コンベヤの上を移動するときの振動を吸収しても良い。
【0021】
台部38が筒状部12の内周に固定されている。台部38はリング状になっており、筒状部12の内周を一周している。台部38は硬質のゴムや樹脂である。台部38の上部40は水平方向を向いた平面になっている。この上部40に後述する載置部42が載せられている。
【0022】
なお、台部38の上部40に載置部42が載せられれば、台部38の形状は限定されない。また、台部38は筒状部12の内周を連続的に一周しても良いし、断続的に一周しても良い。さらに、筒状部12の内周を膨らませて台部38を形成しても良い。
【0023】
保持体16は、上部44が円形に開口した収容部46および上部44の外周部に設けられた載置部42を備える。筒状部12の内方は空間になっており、保持体16は筒状部12の内方に配置されている。
【0024】
収容部46の形状はすり鉢状になっている。上部44がすり鉢状の最も広がった部分である。上部44から下部48に向かうにしたがってすり鉢状の形状が狭まっている。収容部46がすり鉢状になっているため、農作物は収容部46の中心に向かおうとし、自然と収容部46の中心に配置される。
【0025】
収容部46は、上部44から下部48に向かう途中に、複数の折れ曲がり部50を備える。これは、収容部46を農作物の形状と同一または類似させるためである。折れ曲がる回数や方向は農作物の形状によって変更する。
【0026】
収容部46は、ゴムや樹脂などの変形可能な弾性体で形成されている。筒状部12から衝撃が伝わっても、収容部46は揺れ動くだけであり、農作物への衝撃が和らげられる。収容部46の厚みは0.5〜2mmほどである。また、上記のように収容部46が折れ曲がっており、農作物を保持したときに、折れ曲がり部50から収容部46が変形する。この変形については後述する。
【0027】
収容部46の上部44の外周部から下方に向けて載置部42を設けている。載置部42は環状であり、かつ、載置部42の断面はL字状になっている。載置部42は台部38の上部40に載せられ、収容部46は筒状部12の内方で空中に浮いている。トレイ本体14に生じた衝撃が収容部46に直接伝わらず、農作物に衝撃が伝わりにくい。
【0028】
図3に示すように、載置部42と筒状部12の間に隙間52が有り、さらに載置部42は筒状部12と台部38に固定されない。すなわち、載置部42は台部38に移動可能に載せられており、トレイ本体14に直接的または間接的に固定されていない。トレイ本体14に衝撃が生じると、載置部42の位置が多少移動し、収容部46への衝撃が緩和される。上述した収容部46の揺れ動きも小さくなり、農作物の飛び出しを防止できる。
【0029】
載置部42の厚みは収容部46の厚みよりも厚くなっている。載置部42は収容部46と同一材料で形成されており、ゴムや樹脂からなる弾性体である。載置部42の厚みを厚くすることで、載置部42は収容部46に比べて変形しにくくなっている。
【0030】
さらに、載置部42の内周54に硬質で円形のリング56が取り付けられている。リング56によって載置部42および上部44の形状が円形に維持される。農作物を収容部46に入れたとき、農作物の重みで載置部42および上部44が変形しようとするが、載置部42および上部44の形状が円形に維持されるため、載置部42が台部38から落ちるのを防止できる。また、トレイ本体14に衝撃が生じたときにも載置部42および上部44が変形するのを防止できる。
【0031】
載置部42の断面は90°折れ曲がっており、載置部42の底部57は載置部42に内方に向いている。上記のように、載置部42は収容部46の上部44の外周から下方を向いている。そのため、載置部42の底部57と収容部46の上部44によって載置部42の内周54が外方にむけて窪んだ部分を有する。その窪んだ載置部54の内周54にリング56がはめ込まれている。リング56が載置部42の内周54から外れないようになっている。
【0032】
収容部46の下部48には貫通穴58が形成されている。収容部46の貫通穴58はトレイ本体14の貫通穴28と同様に、農作物の内部品質検査に使用する光を通すためのものである。収容部46によって光が反射しないように、収容部46は黒色である。収容部46の貫通穴58は農作物よりも小さく、農作物が貫通穴58から落ちないようになっている。
【0033】
筒状部12の上端にカバー60が取り付けられている。カバー60は載置部42の一部または全部の上方に配置されている。トレイ本体14に衝撃が生じて収容部46が飛び出そうとしても、載置部42がカバー60に当たり、載置部42および収容部46が筒状部12から飛び出さない。
【0034】
なお、農作物搬送用トレイ10に農作物を入れたり出したりするときに、カバー60が邪魔にならなければ、カバー60の大きさは任意である。
【0035】
カバー60はゴムや樹脂からなる弾性体である。載置部42がカバー60に衝突しても、載置部42および収容部46への衝撃を緩和し、農作物が飛び出さないようになる。
【0036】
図3のように、カバー60と載置部42の間に隙間62がある。カバー60で載置部42を押さえたり、固定したりすることはない。トレイ本体14に衝撃が生じたとき、載置部42が自由移動し、収容部46への衝撃を吸収し、緩和する。
【0037】
なお、カバー60が載置部42の上方だけでなく、収容部46の上部44の上方にも配置されれば、カバー60と上部44の間にも隙間62を設ける。
【0038】
カバー60は筒状部12の上端に対して付け外し可能になっている。カバー60を取り外した状態で保持体16をトレイ本体14の中に配置し、その後にカバー60を筒状部12の上端に取り付ける。
【0039】
支持体18が収容部46の内方側に固定されている。たとえば、
図4のように、4つの支持体18が収容部46の上部44と下部48の中間に取り付けられている。支持体18同士の間隔は、貫通穴58を中心として一定角度になるようにしている。農作物を均等に支えるためである。
【0040】
支持体18は収容部46への固定部64とバネ部66からなる(
図2)。支持体18はゴムや樹脂などで形成されている。
【0041】
固定部64は板状であり、収容部46に取り付けられる部分である。収容部46と固定部64は接着剤などで固定される。固定部64はバネ部66よりも上方に配置されている。
【0042】
バネ部66は固定部64よりも厚みが薄い板状であり、収容部46に対して反対側に膨らむように湾曲している。収容部46とバネ部66との間に空間68が生じている。バネ部66の先端は収容部46に接する場合があるが、収容部46に固定されていない。
【0043】
バネ部66は変形するようになっている。そのため、
図5に示すように、農作物搬送用トレイ10にトマトなどの農作物70を入れると、バネ部66は農作物70の形状に合わせて変形する。バネ部66は元の形状に戻ろうとするため、複数のバネ部66によって農作物70を挟み込むように保持できる。トレイ本体14に衝撃が生じても、農作物70の方向を変えずに保持できる。農作物70の方向(農作物70の上下方向等)を一定に保つことができ、農作物70の外観検査がし易くなる。ロボットアームで農作物70を箱詰めするときに、ロボットアームが農作物70を一定の方向に揃えて箱詰めできる。なお、農作物70の外観検査は画像処理による検査や目視検査を含む。
【0044】
収容部46に農作物70を入れたときに、収容部46は下方に変形しながら下がる。その際、一部または全ての折れ曲がり部50が農作物70に向かって変形し、農作物70に密着したり、近づいたりする。たとえば、
図6では1つの折れ曲がり部50が農作物70に向かって変形している。支持体18が無い部分で、かつ、農作物70に向かって変形した折れ曲がり部50が農作物70に密着し、収容部46によっても農作物70を保持できる。農作物70を安定して保持しやすくなる。また、収容部46が農作物70に密着したり、農作物70に近づいたりすることで、収容部46で農作物70への遮光もできる。
【0045】
支持体18および収容部46によって農作物70を保持するため、農作物70を取り出すとき、農作物70と一緒に保持体16および支持体18が上方に持ちあがる場合がある。その際、カバー60に載置部42が当たり、保持体16の上昇が制限され、農作物77から保持体16および支持体18が離れる。
【0046】
以上のように、保持体16がトレイ本体14の内方で固定されず、自由移動できるため、トレイ本体14に衝撃が生じても保持体16および支持体18に直接衝撃が伝わらず、農作物70への衝撃を和らげることができる。そのため、農作物70が農作物搬送用トレイ10から飛び出したり、収容部46の内方で農作物70の方向が変わったりするのを防止できる。
【0047】
以上、本発明について一実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。たとえば、載置部42が台部38の上部40に直接載せられているが、間接的に載せられても良い。
図7のように、リング72が載置部74の下方に飛び出しており、リング72が上部40に載せられている。リング72は上部40に固定されていない。トレイ本体14への衝撃によって、リング72が移動し、保持体16への衝撃を吸収し、緩和する。
【0048】
図2の収容部46の形状はすり鉢状になっているが、すり鉢状に限定されない。収容部46は下方に膨らんだ形状であれば、椀状や皿状など他の形状であっても良い。
【0049】
上記実施形態はリング56、72を用いたが、載置部42の形状が変形しなければ、リング56、72を省略しても良い。その場合、
図8の載置部74のように、載置部74の厚みを厚くし、載置部42の強度を高めても良い。
【0050】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。