(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0018】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るグラビア印刷装置1を示す。該グラビア印刷装置1は、複数の印刷ユニット10を備え、該各印刷ユニット10は、ウェブW1の搬送方向に沿って並設されている。
【0019】
印刷ユニット10は、上下に延びる一対のサイドフレーム10aと、多数の印刷用のセルが外周面に刻設された版胴2とを備えている。
【0020】
両サイドフレーム10a上部の第1着脱位置P1には、略水平方向に伸縮して版胴2の軸心方向両端部にそれぞれ進退可能な支持軸10bが対向配置され、該両支持軸10bは、進出状態で版胴2の両端に係合して当該版胴2を支持する一方、後退状態で版胴2の両端から離れて版胴2を両サイドフレーム10aから取り外すようになっている。
【0021】
版胴2の上方には、該版胴2にウェブW1を上方から圧着させる圧胴3が配設され、版胴2及び圧胴3でウェブW1を挟み込むとともに、版胴2及び圧胴3の回転動作によりウェブW1を正面視で略V字状となるように移動させながら版胴2の外周面に付着するインキをウェブW1に転写するようになっている。
【0022】
版胴2の一側方には、一対のロール支持アーム41(第1支持部材)がTD方向(ウェブW1の幅方向)に対向するように配置され、各ロール支持アーム41は、版胴2に接近するにつれて次第に下方に位置するように傾斜している。
【0023】
両ロール支持アーム41の上部は、TD方向に延びる揺動軸42で連結され、両ロール支持アーム41は、揺動軸42を中心として揺動可能になっている。
【0024】
各ロール支持アーム41の下部は、TD方向の厚みが厚くなっており、下方に開口する嵌合凹部41aが形成されている。
【0025】
各ロール支持アーム41における版胴2の反対側には、版胴2側の斜め下方に向かって伸縮するシリンダロッド43aを有するエアシリンダ43が配設されている。
【0026】
該各エアシリンダ43の上端部分は、TD方向に延びる揺動軸心周りに揺動可能に各ロール支持アーム41の上部に支持されている。
【0027】
各エアシリンダ43の下方には、一端側に支持部44aを有する正面視で略S字状をなす支持フレーム44(第2支持部材)が配設され、上記ロール支持アーム41と上記支持フレーム44とで本発明の支持手段11を構成している。
【0028】
各支持フレーム44の他端部分は、シリンダロッド43aの先端部分にTD方向に延びる回動軸心周りに回転可能に軸支されている。
【0029】
また、各支持フレーム44は、その中途部他端寄りの位置が各ロール支持アーム41下部における版胴2から遠い側の位置においてTD方向に延びる回動軸44bによって支持されていて、エアシリンダ43のシリンダロッド43aが伸びると、回動軸44bを中心に一方側に回動して支持部44aが嵌合凹部41aの開口部分を閉塞する第1状態S1に切り替わる一方、エアシリンダ43のシリンダロッド43aが縮むと、回動軸44bを中心に他方側に回動して支持部44aが嵌合凹部41aの開口部分を開放する第2状態S2に切り替わるようになっている(
図7参照)。
【0030】
各ロール支持アーム41の下端部の間には、版胴2より小径のファニッシャロール4が配設されている。
【0031】
該ファニッシャロール4は、TD方向に延び、且つ、外周面が版胴2の外周面に接するロール本体4aと、該ロール本体4aの両端部分に設けられた一対の回転軸4bとを備え、該各回転軸4bには、ボールベアリング4cが取り付けられている。
【0032】
各支持手段11は、各回転軸4bのボールベアリング4cを上記各回転軸4bと直交する方向に上記各嵌合凹部41aに嵌合させるとともに、各支持フレーム44を第1状態S1に切り替えることによって上記各回転軸4bを回転可能に支持するようになっている。
【0033】
一方、各支持フレーム44を第2状態S2に切り替えることによって各支持手段11からファニッシャロール4を取り外すことができるようになっている。
【0034】
尚、両支持手段11に対してファニッシャロール4を着脱する第2着脱位置P2は、
図3に示すように、第1着脱位置P1の斜め下方の位置であり、第1着脱位置P1と第2着脱位置P2とで本発明のロール着脱位置Pを構成している。
【0035】
該ロール着脱位置Pの下方の第1領域R1には、
図1及び
図2に示すように、インキパン5が配設されている。
【0036】
該インキパン5は、TD方向に延びる略板状をなし、その下面には、TD方向と直交する水平方向に延びる板状の脚部5aがTD方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0037】
また、ロール着脱位置Pの下方には、TD方向と直交する水平方向にスライド可能なスライド機構6(スライド手段)が配設されている。
【0038】
該スライド機構6は、上記インキパン5を支持可能なスライドテーブル6aを備え、該スライドテーブル6aには、
図2に示すように、上記インキパン5を支持する際に各脚部5aが上方から入り込む第1開口部6bが形成されている。
【0039】
スライドテーブル6aは、
図1に示すように、ロール着脱位置Pの下方の第1領域R1と、該第1領域R1の一側方の第2領域R2との間においてスライド可能になっている。
【0040】
第1領域R1の下方には、ロール昇降機構7(昇降手段)が配設されている。
【0041】
該ロール昇降機構7は、
図2に示すように、TD方向に延びる細長い駆動軸71を備え、該駆動軸71の一端側には、当該駆動軸71を回転駆動させる駆動部72が設けられている。
【0042】
駆動軸71の他端と中途部とには、一対のピニオンギア73が回転一体に取り付けられ、該各ピニオンギア73には、上下に延びる一対のラックギア74が噛み合っている。
【0043】
各ラックギア74の上端には、TD方向に延びる平面視で長方形状をなす第1支持プレート75が取り付けられ、該第1支持プレート75は、上記第1着脱位置P1の真下の位置となっている。
【0044】
上記第1支持プレート75上面の略四隅には、回転軸心がTD方向に向く4つの版胴支持用コロ75aが設けられ、該4つの版胴支持用コロ75aで版胴2を支持可能になっている。
【0045】
また、第1支持プレート75の一側方には、TD方向に延びる平面視で長方形状をなす第2支持プレート76が設けられ、該第2支持プレート76は、上記第2着脱位置P2の真下の位置となっている。
【0046】
第2支持プレート76は、TD方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の吊下部材76aによって第1支持プレート75に吊り下げられていて、第1支持プレート75及び第2支持プレート76は、正面視で段差状に配置されている。
【0047】
第2支持プレート76の上面には、
図2に示すように、側面視で門型状をなすロール支持台76bがTD方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、両ロール支持台76bでファニッシャロール4を支持可能になっている。
【0048】
そして、第1支持プレート75及び第2支持プレート76は、本発明の載置フレーム12を構成しており、該載置フレーム12は、駆動部72によって駆動軸71が回転駆動すると、両ピニオンギア73を介して両ラックギア74が上下動することで昇降するようになっている。
【0049】
グラビア印刷装置1は、印刷ユニット10の下方の台車搬入位置D1に進入して版胴2及びファニッシャロール4を搬入する一方、台車搬入位置D1から後退して版胴2及びファニッシャロール4を搬出する台車8を備えている。
【0050】
該台車8は、複数本の鉄製フレームで組み立てられた台車本体8aを備え、該台車本体8aには、台車進退方向に延びる側面視で矩形枠状をなすとともに、台車幅方向に対向する一対の側部フレーム部81が設けられている。
【0051】
各側部フレーム部81の下部における台車進退方向前側には、一対の前側キャスター81aが固定されている。
【0052】
各側部フレーム部81の上部には、台車進退方向に延びるスライドレール84が取り付けられ、各スライドレール84には、一対のスライダ85が台車進退方向にスライド可能に嵌合している。
【0053】
両側部フレーム部81の下部における台車進退方向中途部は、台車幅方向に延びる連結フレーム部86によって連結され、該連結フレーム部86の上面には、印刷ユニット10に対する台車8の位置を決めるためのストライカ86aが取り付けられている。
【0054】
また、各側部フレーム部81の下部における台車進退方向後端には、平面視でU字状をなす後部フレーム部82が台車進退方向後側に突出するように設けられ、その突出端側には、正面視で略門型状をなす把持部材83が取り付けられている。
【0055】
また、後部フレーム部82の下面には、一対の後側キャスター82aが台車幅方向に所定の間隔をあけて設けられ、該後側キャスター82aは、鉛直方向に延びる軸心周りに回転可能になっている。
【0056】
各後側キャスター82aには、当該各後側キャスター82aの車輪82bを回転駆動させる第1駆動モータ82cと、各後側キャスター82aを鉛直方向に延びる軸心周りに回転駆動させる第2駆動モータ82dとが取り付けられ、第1駆動モータ82cと第2駆動モータ82dとには、制御部80が接続されている。
【0057】
該制御部80は、第1駆動モータ82c及び第2駆動モータ82dの回転動作を制御することによって台車8を自走させるようになっている。
【0058】
台車本体8aの上方には、版胴2及びファニッシャロール4を載置可能なスライドフレーム87が設けられている。
【0059】
該スライドフレーム87は、両スライダ85の上面に固定され、台車本体8aに対して台車進退方向にスライド可能になっている。
【0060】
スライドフレーム87の中途部には、台車8を印刷ユニット10に進入させ、且つ、スライドフレーム87を台車進退方向前側にスライドさせた状態で上記載置フレーム12を昇降させた際、当該載置フレーム12が通過可能な第2開口部87aが設けられている。
【0061】
また、スライドフレーム87における台車幅方向一側には、版胴2をその中心線が台車進退方向に向くように支持可能な第1支持ブロック88aが台車幅方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0062】
一方、スライドフレーム87における台車幅方向他側には、ファニッシャロール4をその中心線が台車進退方向に向くように支持可能な第2支持ブロック88bが設けられている。
【0063】
そして、両第1支持ブロック88aで版胴2を支持するとともに第2支持ブロック88bでファニッシャロール4を支持すると、版胴2の中心線がファニッシャロール4の中心線と同方向に延びるように、且つ、版胴2がファニッシャロール4の中心線と直交する水平方向にファニッシャロール4と並ぶようになっている。
【0064】
スライドフレーム87における台車幅方向一側には、
図2に示すように、一対の第1位置決め部材89aが台車進退方向に所定の間隔をあけて設けられている。
【0065】
両第1位置決め部材89aの間の寸法は、版胴2の長手方向の寸法に対応しており、両第1位置決め部材89aの間において版胴2を両第1支持ブロック88aで支持することにより、台車8に対する版胴2の位置が決まるようになっている。
【0066】
また、スライドフレーム87における台車幅方向他側には、一対の第2位置決め部材89bが台車進退方向に所定の間隔をあけて設けられている。
【0067】
両第2位置決め部材89bの間の寸法は、ファニッシャロール4の長手方向の寸法に対応しており、両第2位置決め部材89bの間においてファニッシャロール4を第2支持ブロック88bで支持することにより、台車8に対するファニッシャロール4の位置が決まるようになっている。
【0068】
印刷ユニット10の下部には、台車8のストライカ86aに係合可能な係合フック10cが設けられ、台車8を印刷ユニット10に進入させると、係合フック10cがストライカ86aに係合して印刷ユニット10に対する台車8の位置が決まるようになっている。
【0069】
係合フック10cがストライカ86aに係合した状態でスライドフレーム87を台車進退方向前側にスライドさせると、
図2に示すように、スライドフレーム87の第2開口部87aがロール昇降機構7の載置フレーム12に対応するようになっている。
【0070】
載置フレーム12に版胴2及びファニッシャロール4が載置されていない状態で、且つ、スライドテーブル6aが第1領域R1に位置するとともにスライドフレーム87の第2開口部87aがロール昇降機構7の載置フレーム12に対応する状態で当該載置フレーム12を上昇させると、
図1及び
図2に示すように、載置フレーム12がスライドフレーム87の第2開口部87a及びスライドテーブル6aの第1開口部6bを順に通過するとともに、第1支持プレート75がインキパン5の両脚部5aに接触することによってインキパン5を下方から支持して上動させるようになっている。そして、ファニッシャロール4がインキパン5内に溜まるインキに浸されてグラビア印刷装置1が印刷開始可能状態になるようになっている。
【0071】
また、載置フレーム12がインキパン5を支持している状態で載置フレーム12を下降させると、当該載置フレーム12がスライドテーブル6aの第1開口部6b及びスライドフレーム87の第2開口部87aを順に通過するとともに、両脚部5aが第1開口部6bに入り込んだ状態でスライドテーブル6aがインキパン5を支持するようになっている。
【0072】
支持フレーム44の支持部44aが各嵌合凹部41aの開口部分を塞いだ状態で当該各嵌合凹部41aの開口部分が下方を向く姿勢となるように各ロール支持アーム41を一方側に揺動させ、且つ、スライドテーブル6aを第2領域R2にスライドさせると、
図5及び
図6に示すように、載置フレーム12が台車搬入位置D1と第2着脱位置P2との間で昇降可能な状態になる。
【0073】
支持手段11がファニッシャロール4を支持する状態で、且つ、載置フレーム12を第2着脱位置P2まで上昇させた状態で各支持フレーム44の支持部44aが各嵌合凹部41aの開口部分を開放すると、
図7及び
図8に示すように、ファニッシャロール4が載置フレーム12に載置されるようになっている。
【0074】
一方、台車8が台車搬入位置D1に位置する状態で載置フレーム12にファニッシャロール4を載置すると、開口部分が下方を向く各ロール支持アーム41の各嵌合凹部41aにファニッシャロール4の各回転軸4bが対応するようになっていて、各支持フレーム44の支持部44aが各嵌合凹部41aの開口部分を開放する状態で載置フレーム12を上昇させると、各嵌合凹部41aにファニッシャロール4の各回転軸4bが嵌合するようになっている。
【0075】
ファニッシャロール4を載置フレーム12に載置した状態で当該載置フレーム12を第1領域R1まで下降させ、且つ、その後、各ロール支持アーム41を第2着脱位置P2よりもさらに一方側に揺動させると、
図9及び
図10に示すように、載置フレーム12が台車搬入位置D1と第1着脱位置P1との間で昇降可能な状態になる。
【0076】
各支持軸10bが版胴2を支持し、且つ、載置フレーム12を第1着脱位置P1まで上昇させた状態で各支持軸10bを後退させると、
図11及び
図12に示すように、版胴2が印刷ユニット10から取り外されて載置フレーム12に載置されるようになっている。
【0077】
一方、版胴2が載置された状態の載置フレーム12を第1着脱位置P1まで上昇させるとともに各支持軸10bを前進させると、各支持軸10bが版胴2の各端部に係合して当該版胴2が印刷ユニット10に取り付けられるようになっている。
【0078】
また、第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bが版胴2及びファニッシャロール4を支持していない状態で、且つ、載置フレーム12に版胴2及びファニッシャロール4が載置された状態で載置フレーム12を下降させると、
図13及び
図14に示すように、載置フレーム12がスライドフレーム87の第2開口部87aを通過しながら版胴2及びファニッシャロール4を第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bにそれぞれ受け渡すようになっている。
【0079】
一方、第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bが版胴2及びファニッシャロール4を支持する状態で、且つ、載置フレーム12に版胴2及びファニッシャロール4が載置されていない状態で載置フレーム12を上昇させると、載置フレーム12がスライドフレーム87の第2開口部87aを通過して第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bから版胴2及びファニッシャロール4をそれぞれ受け取るようになっている。
【0080】
このように、本願発明のロール昇降機構7は、載置フレーム12を印刷ユニット10に進入した台車8と第1及び第2着脱位置P1,P2との間において昇降させることが可能になっている。すなわち、ロール昇降機構7は、台車搬入位置D1とロール着脱位置Pとの間において版胴2及びファニッシャロール4を上下動させることが可能になっている。
【0081】
次に、版胴2及びファニッシャロール4の印刷ユニット10からの取外作業について詳述する。
【0082】
印刷作業終了後、
図3及び
図4に示すように、ロール昇降機構7を起動させて載置フレーム12を少し下降させるとともに各ロール支持アーム41を一方側(
図3のZ1方向)に揺動させて各嵌合凹部41aが下方に向く姿勢にした後、ファニッシャロール4を洗浄する。
【0083】
次に、ロール昇降機構7を起動させて載置フレーム12をさらに下降させる。すると、載置フレーム12がスライドテーブル6aの第1開口部6bを通過することでインキパン5の各脚部5aが第1開口部6bに入り込むとともにスライドテーブル6aがインキパン5を支持する。
【0084】
次いで、スライドテーブル6aを第1領域R1から第2領域R2にスライドさせた後(
図5の矢印X2)、載置フレーム12を第2着脱位置P2まで上昇させる(
図5の矢印X3)。
【0085】
しかる後、
図7及び
図8に示すように、各エアシリンダ43のシリンダロッド43aを縮める。すると、各支持フレーム44の支持部44aが各嵌合凹部41aの開口部分を開放して第2状態S2になり、載置フレーム12の両ロール支持台76bが使用済みのファニッシャロール4を支持する。
【0086】
その後、
図9及び
図10に示すように、載置フレーム12を下降させるとともに各ロール支持アーム41をさらに一方側(
図9のZ1方向)に揺動させた後、
図11及び
図12に示すように、載置フレーム12を第1着脱位置P1まで上昇させる(
図11の矢印X4)。
【0087】
そして、各支持軸10bを後退させる。すると、当該各支持軸10bが使用済みの版胴2の各端部から外れて載置フレーム12の各版胴支持用コロ75aが使用済みの版胴2を支持する。
【0088】
しかる後、
図13及び
図14に示すように、載置フレーム12を下降させる(
図13の矢印X5)。すると、載置フレーム12が台車8におけるスライドフレーム87の第2開口部87aを通過しながら使用済みの版胴2及びファニッシャロール4を第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bにそれぞれ受け渡す。
【0089】
その後、スライドフレーム87を台車進退方向後側にスライドさせる。
【0090】
制御部80は、台車8の第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bに使用済みの版胴2及びファニッシャロール4が載置され、且つ、スライドフレーム87が台車進退方向後側にスライドした状態であることを確認すると、第1駆動モータ82c及び第2駆動モータ82dに作動信号を出力する。すると、係合フック10cがストライカ86aから外れるとともに台車8が印刷ユニット10から後退して使用済みの版胴2及びファニッシャロール4が印刷ユニット10から搬出される。
【0091】
次に、版胴2及びファニッシャロール4の印刷ユニット10への取付作業について詳述する。
【0092】
まず、新たな版胴2及びファニッシャロール4を台車8の第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bに支持させる。このとき、新たな版胴2及びファニッシャロール4を一対の第1位置決め部材89aの間及び一対の第2位置決め部材89bの間にそれぞれ置くことで台車8に対する版胴2及びファニッシャロール4の位置を決める。
【0093】
制御部80は、台車8の第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bに新たな版胴2及びファニッシャロール4が載置されていることを確認すると、第1駆動モータ82c及び第2駆動モータ82dに作動信号を出力する。すると、台車8が印刷ユニット10に進入して新たな版胴2及びファニッシャロール4が印刷ユニット10に搬入されるとともに、係合フック10cがストライカ86aに係合して印刷ユニット10に対する台車8の位置が決まる。
【0094】
次に、
図13及び
図14に示すように、スライドフレーム87を台車進退方向前側にスライドさせて当該スライドフレーム87の第2開口部87aを載置フレーム12に対応させる。
【0095】
次いで、ロール昇降機構7を起動させて載置フレーム12を上昇させる。すると、載置フレーム12は、
図11及び
図12に示すように、台車8におけるスライドフレーム87の第2開口部87aを通過しながら新たな版胴2及びファニッシャロール4を第1支持ブロック88a及び第2支持ブロック88bから受け取るとともに第1着脱位置P1まで上昇する(
図11の矢印X4)。
【0096】
そして、各支持軸10bを前進させる。すると、当該各支持軸10bが新たな版胴2の各端部に係合して印刷ユニット10に新たな版胴2が取り付けられる。
【0097】
しかる後、
図9及び
図10に示すように、載置フレーム12を第1領域R1まで下降させる(
図9の矢印X6)。
【0098】
その後、
図7及び
図8に示すように、各ロール支持アーム41を他方側(
図7のZ2方向)に揺動させて各嵌合凹部41aが下方に向く姿勢にした後、載置フレーム12を第2着脱位置P2まで上昇させる(
図7の矢印X7)。すると、新たなファニッシャロール4の各回転軸4bが各嵌合凹部41aに嵌合する。
【0099】
しかる後、
図5及び
図6に示すように、各エアシリンダ43のシリンダロッド43aを伸ばす。すると、各支持フレーム44の支持部44aが各嵌合凹部41aの開口部分を閉塞する第1状態S1になり、各支持手段11が新たなファニッシャロール4の各回転軸4bを回転可能に支持する。
【0100】
次に、スライドテーブル6aを第2領域R2から第1領域R1にスライドさせる(
図5の矢印X8)。すると、各ロール支持アーム41と載置フレーム12との間にスライドテーブル6aが介在するようになり、当該スライドテーブル6aの第1開口部6bが載置フレーム12に対応する。
【0101】
その後、
図3及び
図4に示すように、載置フレーム12を上昇させる(
図3の矢印X9)。すると、載置フレーム12がスライドテーブル6aの第1開口部6bを通過して第1支持プレート75がインキパン5の両脚部5aに接触することによってインキパン5を下方から支持して上動させる。また、
図1及び
図2に示すように、各ロール支持アーム41を他方側(
図1のZ2方向)に揺動させて新たなファニッシャロール4におけるロール本体4aの外周面を新たな版胴2の外周面に接触させる。そして、印刷ユニット10に取り付けられた新たなファニッシャロール4の下部がインキパン5内に入り込むまで載置フレーム12をさらに上動させて版胴2及びファニッシャロール4の印刷ユニット10への取付作業を終了する。
【0102】
以上より、本発明の実施形態によると、使用済みのファニッシャロール4を印刷ユニット10から取り外す際、各嵌合凹部41aの開口部分が下方に向く姿勢となるように各支持手段11を移動させるとともにロール昇降機構7の載置フレーム12を上昇させた状態で各支持フレーム44を第2状態に切り替えると、各嵌合凹部41aの開口部分が開放するので使用済みのファニッシャロール4が下方に移動可能な状態になる。したがって、載置フレーム12で使用済みのファニッシャロール4を支えるとともに載置フレーム12を下降させると、使用済みのファニッシャロール4がロール支持アーム41から外れて台車8まで下動するようになり、使用済みのファニッシャロール4の搬出動作を利用して当該使用済みのファニッシャロール4を印刷ユニット10から効率良く取り外すことができる。
【0103】
また、新しいファニッシャロール4を印刷ユニット10に取り付ける際、各嵌合凹部41aの開口部分が下方に向く姿勢となるように各支持手段11を移動させ、且つ、各支持フレーム44を第2状態に切り替えた状態にするとともに、台車8を印刷ユニット10に進入させることによって新しいファニッシャロール4を印刷ユニット10の内側に搬入し、さらに、ロール昇降機構7の載置フレーム12を上昇させることによって新しいファニッシャロール4を上動させる。すると、新しいファニッシャロール4の各回転軸4bが各嵌合凹部41aに入り込むので、各支持フレーム44を第1状態に切り替えることで各支持手段11が各回転軸4bを支持するようになる。このように、新たなファニッシャロール4の搬入動作を利用して当該新たなファニッシャロール4を印刷ユニット10に効率良く取り付けることができる。
【0104】
また、各支持フレーム44は、TD方向に延びる回動軸44bによって各ロール支持アーム41に支持されているので、各支持フレーム44における第1及び第2状態の切替時において、各支持フレーム44がTD方向に飛び出す姿勢にならない。したがって、印刷ユニット10におけるファニッシャロール4の取付部分をTD方向に小さくすることができ、グラビア印刷装置1の大型化を防ぐことができる。
【0105】
また、印刷ユニット10に台車8を進入させた状態でロール昇降機構7の載置フレーム12を第1着脱位置P1まで昇降させると、印刷ユニット10に対する版胴2の着脱作業が可能になる一方、ロール昇降機構7の載置フレーム12を第2着脱位置まP2で昇降させると、印刷ユニット10に対するファニッシャロール4の着脱作業が可能になる。このように、印刷ユニット10に対して1つの台車8及び1つのロール昇降機構7で版胴2及びファニッシャロール4の両方の搬出入作業及び着脱作業を行うことができる。
【0106】
さらに、ロール昇降機構7の載置フレーム12が第1領域R1に位置するインキパン5を上動させると、ファニッシャロール4がインキパン5内に溜まるインキに浸されてグラビア印刷装置1が印刷開始可能状態になる。このように、版胴2及びファニッシャロール4を昇降させるロール昇降機構7を利用して印刷を行う際の定位置にまでインキパン5を移動させることができ、インキパン5を定位置にまで移動させるための専用の機構を設ける必要が無く、低コストなグラビア印刷装置1にすることができる。一方、印刷ユニット10に対する版胴2及びファニッシャロール4の着脱作業を行う際、インキパン5を載置フレーム12の昇降動作の邪魔にならない第2領域R2に移動させることができるので、版胴2及びファニッシャロール4の着脱作業を実施しながらインキパン5に対して養生フィルムを敷く等の作業が行えるようになり、グラビア印刷装置1における段取り替えの時間を短縮することができる。
【0107】
尚、本発明の実施形態では、スライドテーブル6aを第1領域R1の一側方の領域である第2領域R2にスライドさせることが可能な構成になっているが、第1領域R1の他側方の領域にスライドさせることが可能な構成であってもよい。スライドテーブル6aは、第1領域R1とその他の領域との間を水平方向に移動させることが可能な構成であればよい。