特許第6887164号(P6887164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887164
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】芝刈機用トランスミッション
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/021 20120101AFI20210603BHJP
【FI】
   F16H57/021
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-537084(P2018-537084)
(86)(22)【出願日】2017年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2017028714
(87)【国際公開番号】WO2018043064
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-168803(P2016-168803)
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104065
【氏名又は名称】カーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】野中 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝徳
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−034710(JP,A)
【文献】 実開昭63−033710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の出力を駆動輪に伝達するための芝刈機用トランスミッションであって、
変速機に伝動機が可動可能に連結されており、
前記伝動機は、前記変速機に連結される第1伝動機と、前記駆動輪が連結される第2伝動機とを備えており、
前記第1伝動機と前記第2伝動機とが、可動可能に連結されていることにより、前記第2伝動機に連結された前記駆動輪の回転軸の前後方向の位置を調整しつつ、前記駆動輪の回転軸の高さ方向の位置を調整して、前記駆動輪の回転軸の位置を、前記芝刈機用トランスミッションの搭載対象機種の刈取り幅及び前記駆動輪の外径に応じた位置に設定でき、前記刈取り幅又は前記駆動輪の外径の異なる機種間において、前記芝刈機用トランスミッションを使い分ける必要がないようにしたことを特徴とする芝刈機用トランスミッション。
【請求項2】
前記第1伝動機及び前記第2伝動機は、ケース内に配置したスプロケット間にチェーンを噛み合わせた構造である請求項1に記載の芝刈機用トランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈機に用い駆動源の出力を駆動輪に伝達するための芝刈機用トランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
芝刈機においては、駆動源の出力を駆動輪に伝達するためのトランスミッションを備えている。トランスミッションは、駆動源であるエンジンの大きさ、刈取り幅及び駆動輪(車輪又はローラ)の種類といった芝刈機の仕様によって使い分けられ、芝刈機の仕様毎に、異なるトランスミッションが用いられていた。
【0003】
このため、仕様が異なる芝刈機の機種毎に、それぞれ仕様の異なる専用のトランスミッションが必要となり、芝刈機の製造工程においては、仕様が異なる芝刈機の機種毎に、異なるトランスミッションを取り付ける必要があった。
【0004】
下記特許文献1には、変速装置をCVT(摩擦式無断変速装置)部と伝動装置部とに分割した構造とし、伝動装置部をCVT部から切り離して、他の機種用の伝動装置部に交換することにより、変速装置を他の機種用のものに変更して、変速装置の汎用性を高めることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−187513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の変速装置は、すでに完成した機種に対して伝動装置部を他の機種用の伝動装置部に交換することにより、変速装置の汎用性を高めるというものであり、機種の生産性向上を図るというものではなかった。すなわち、各機種の生産の際には、機種毎に機種に応じた異なる伝動装置を取り付ける必要があった。
【0007】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、機種毎のトランスミッションの使い分けを不要として、生産性向上及び製造コスト削減を図るとともに、刈高さ調整のための機構の配置の省スペース化を図ることができ、あわせて車輪仕様及びローラ仕様の両方に容易に対応できる芝刈機用トランスミッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の芝刈機用トランスミッションは、駆動源の出力を駆動輪に伝達するための芝刈機用トランスミッションであって、変速機に伝動機が可動可能に連結されており、前記伝動機は、前記変速機に連結される第1伝動機と、前記駆動輪が連結される第2伝動機とを備えており、前記第1伝動機と前記第2伝動機とが、可動可能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
前記本発明の芝刈機用トランスミッションは、第1伝動機及び第2伝動機は可動可能に取り付けられており、このことにより、第2伝動機に連結された駆動輪の回転軸の前後方向の位置を調整しつつ、駆動輪の回転軸の高さ方向の位置を調整できるので、駆動輪の回転軸の位置は、トランスミッションの搭載対象機種の前輪と後輪との間隔(又は前輪とローラとの間隔)に応じた位置に設定できる。このことにより、刈取り幅や車輪外径の異なる機種間においてトランスミッションを使い分ける必要がなくなり、生産性向上を図ることができる。また、トランスミッションの使い分けを不要としたことにより、機種間の部品の共用化が図れるので、製造コストの削減にもなる。
【0010】
また、本発明の芝刈機用トランスミッションは、車輪用とローラ用との間で、変速機の仕様を変更するような大幅な変更は不要であり、メインユニットである変速機を共用しつつ、サブユニットである伝動機の仕様を駆動輪の仕様にあわせて一部変更することにより、車輪用及びローラ用の両方に容易に対応することができる。この点においても、本発明の芝刈機用トランスミッションは、芝刈機の生産性の向上を図り、かつ製造コスト削減を図る効果が得られる。
【0011】
前記本発明の芝刈機用トランスミッションにおいては、前記第1伝動機及び前記第2伝動機は、ケース内に配置したスプロケット間にチェーンを噛み合わせた構造であることが好ましい。この構成によれば、伝動機を構成する第1伝動機及び第2伝動機の構造を簡素化できるので、車輪用及びローラ用の仕様にあわせて伝動機を変更することが容易になり、車輪用及びローラ用の両方に対応することが一層容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は前記のとおりであり、要約すれば、本発明の芝刈機用トランスミッションによれば、芝刈機の生産性の向上を図り、かつ製造コスト削減を図るとともに、刈高さ調整のための機構の配置の省スペース化を図ることができる。あわせて、本発明の芝刈機用トランスミッションによれば、伝動機を使い分けるだけで、車輪仕様及びローラ仕様の両方に容易に対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車輪仕様の芝刈機の側面図。
図2図1に示した芝刈機の平面図。
図3図1に示した芝刈機の本体部分の側面図。
図4図3に示したトランスミッションの拡大平面図。
図5】本発明の一実施形態に係る車輪仕様の芝刈機において、伝動機の可動による伝動機の位置変化を示す側面図。
図6】本発明の一実施形態に係る車輪仕様の芝刈機において、伝動機の可動による伝動機の位置変化を示す別の側面図。
図7】本発明の一実施形態に係るローラ仕様の芝刈機の側面図。
図8図7に示した芝刈機の平面図。
図9図7に示した芝刈機の本体部分の側面図。
図10図9に示したトランスミッションの拡大平面図。
図11】本発明の一実施形態に係るローラ仕様の芝刈機において、伝動機の可動による伝動機の位置変化を示す側面図。
図12】本発明の一実施形態に係るローラ仕様の芝刈機において、伝動機の可動による伝動機の位置変化を示す別の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る芝刈機1の側面図を示している。図2は、図1に示した芝刈機1の平面図である。図1、2において、エンジン8の前方に前輪3が取り付けられており、後方に後輪4が取り付けられている。操作棹5の先端にハンドル6が設けられている。ハンドル6の近傍には操作レバー7が取り付けられており、操作レバー7の操作により、変速機11(図3参照)を操作でき、車速を自在に調節することができる。
【0015】
図3は、図1に示した芝刈機1の本体部分の側面図である。本図では、芝刈機1の内部に配置されたトランスミッション10を図示するため、一部を破断して図示している。図4図3に示したトランスミッション10の拡大平面図である。本図においては、伝動機12部分は断面図で図示している。図3において、トランスミッション10は、メインユニットである変速機11に、サブユニットである伝動機12が可動可能に連結されたものである。本実施形態では、変速機11はHST(油圧式無段変速機)の例で説明するが、変速機11は変速機能を発揮するものであればよく、ギア式の変速機であってもよい。
【0016】
図3、4において、伝動機12は第1伝動機13と第2伝動機14とを備えている。第1伝動機13は変速機11に連結されている。図4において、第1伝動機13は、ケース15内にスプロケット16、スプロケット17及びチェーン18が内蔵されたものであり、スプロケット16及びスプロケット17にチェーン18が噛み合っている。図4ではチェーン18は簡略化して図示している。スプロケット16は、変速機11の出力軸35と一体になっており、出力軸35の回転と一体に回転する。
【0017】
図4において、第2伝動機14は、ケース19内にスプロケット20、スプロケット21及びチェーン22が内蔵されたものであり、スプロケット20及びスプロケット21にチェーン22が噛み合っている。図4ではチェーン18と同様にチェーン22は簡略化して図示している。
【0018】
また、図4において、スプロケット17及びスプロケット20は連結軸36と一体になっており、スプロケット17の回転と一体に連結軸36及びスプロケット20が回転する。スプロケット21は、車軸37と一体になっており、スプロケット21の回転と一体に車軸37が回転し、車軸37に取り付けられた後輪4(図3参照)が回転する。
【0019】
さらに、図4において、変速機11に形成されたボス25にケース15に形成された円筒部26が回転可能に組み合わさっており、スナップリング27によりケース15がボス25から外れないようになっている。このことにより、第1伝動機13は変速機11に対して可動可能に取り付けられている。
【0020】
また、ケース19に形成されたボス30にケース15に形成された円筒部31が回転可能に組み合わさっており、スナップリング32によりケース15がケース19から外れないようになっている。このことにより、第1伝動機13及び第2伝動機14は相対的に可動可能に取り付けられている。
【0021】
前記のトランスミッション10の構成によれば、図4において、変速機11の出力軸35の回転と一体にスプロケット16が回転し、チェーン18を介してスプロケット17が回転し、これと一体に連結軸36及びスプロケット20が回転し、チェーン22を介してスプロケット21が回転し、これと一体に車軸37に取り付けられた後輪4(図3参照)が回転する。すなわち、変速機11の出力は、伝動機12を構成する第1伝動機13及び第2伝動機14を経て伝動して後輪4が駆動される。
【0022】
前記のとおり、第1伝動機13及び第2伝動機14は相対的に可動可能に取り付けられており、この構成により、本実施形態に係るトランスミッション10は芝刈機1の生産性の向上を図り、かつ製造コスト削減を図るとともに、刈高さ調整のための機構の配置の省スペース化を図ることができる。あわせて、本実施形態に係るトランスミッション10によれば、伝動機12を使い分けるだけで、車輪仕様及びローラ仕様の両方に容易に対応できるようになる。以下、これらの効果を説明しながら、トランスミッション10についてより具体的にする。
【0023】
図5は、伝動機12の可動による伝動機12の位置変化を示す側面図である。本図はトランスミッション10の側面図を示しており、伝動機12は断面状態で図示している。(a)図は車軸37が変速機11に最も近づいた状態を示している。この状態は、芝刈機1の本体に対し、後輪4(図1参照)が最も上昇した状態であり、刈取り高さが最低になる。(b)図は車軸37が変速機11から最も遠ざかった状態を示している。この状態は、芝刈機1の本体に対し、後輪4(図1参照)が最も下降した状態であり刈取り高さが最高になる。
【0024】
図6は、伝動機12の可動による伝動機12の位置変化を示す別の側面図である。本図では位置変化前の伝動機12を実線で示し、位置変化後の伝動機12を2点鎖線で示している。車軸37は高さ方向においてhだけ変化し、前後方向においてLだけ変化している。すなわち、図6の例では、刈取り高さの調整のための高さ方向の可動範囲がhとなり、この可動範囲内で適宜刈取り高さを調整することが可能になる。
【0025】
前記の刈取り高さの調整は、伝動機12を構成する第1伝動機13及び第2伝動機14の可動により可能になるので、変速機11は何ら移動させる必要がない。すなわち、刈取り高さの調整は、トランスミッション10全体を移動させる必要がないため、刈高さ調整のための機構の配置の省スペース化を図ることができる。
【0026】
ここで、図1において、前輪3と後輪4との間隔Wは刈取り幅で決定される間隔であり、芝刈機1の本体の中央部に設けた刈取り用のブレード(図示せず)の大きさに応じて決定される。図6の例では、車軸37は前後方向においてLだけ変化しているが、変化分は僅かであり、間隔Wを大きく変化させることなく、刈取り高さの調整が可能になる。
【0027】
前記のように間隔Wは刈取り幅で決定される間隔であるため、刈取り幅の異なる機種間(例えば間隔Wが19インチ仕様と21インチ仕様。)においては、間隔Wも異なることになる。また、図1において、前輪3及び後輪4の外径が異なる機種間(例えば外径8インチ仕様と外径9.6インチ仕様。)においては、前輪3及び後輪4の接地面からの中心Cの高さHも異なることになる。本実施形態においては、刈取り幅や車輪外径の異なる機種間において、トランスミッション10を使い分ける必要がない。
【0028】
具体的には、トランスミッション10は、図6において、前記のとおり第1伝動機13は変速機11に対して可動可能に取り付けられているので、角度α(垂直線40と第1伝動機13の中心線41とのなす角度)を調整でき、前記のとおり第1伝動機13及び第2伝動機14は、相対的に可動可能に取り付けられているので、角度β(水平線42と第2伝動機14の中心線43とのなす角度)を調整できる。
【0029】
このことにより、車軸37の前後方向の位置を調整しつつ、車軸37の高さ方向の位置を調整できるので、車軸37の位置は、該当機種の間隔W及び車輪高さHに応じた位置に設定できる。このことにより、前記のとおり、刈取り幅や車輪外径の異なる機種間においてトランスミッション10を使い分ける必要がなくなり、生産性向上を図ることができる。また、トランスミッション10の使い分けを不要としたことにより、機種間の部品の共用化が図れるので、製造コストの削減にもなる。
【0030】
前記実施形態においては、芝刈機1が車輪仕様の場合で説明したが、以下の実施形態においては、芝刈機1がローラ仕様の場合で説明する。芝刈機1がローラ仕様の場合であっても、主要部分は車輪仕様の場合と共通しているので、共通する構成については、同一番号を付して説明は省略し、ローラ仕様特有の部分についてのみ説明する。
【0031】
図7は、ローラ仕様の実施形態に係る芝刈機2の側面図を示している。図8は、図7に示した芝刈機2の平面図である。図7、8において、エンジン8の前方に前輪3が取り付けられており、図7に示したように、エンジン8の後方にローラ50が取り付けられている。図9は、図7に示した芝刈機2の本体部分の側面図である。本図では、芝刈機2の内部に配置されたトランスミッション60を図示するため、一部を破断して図示している。図10図9に示したトランスミッション60の拡大平面図である。本図においては、図4と同様に伝動機12部分は断面図で図示している。
【0032】
図9において、トランスミッション60は、変速機11に伝動機12が可動可能に連結されたものである。図3に示したトランスミッション10と同様に、伝動機12は、第1伝動機13と第2伝動機14とを備えている。図3に示したトランスミッション10が第2伝動機14に取り付けられた車軸37に車輪である後輪4を取り付ける仕様であるのに対し、図9に示したトランスミッション60は、第2伝動機14に取り付けられたローラ軸51にローラ50(図7参照。図9では図示せず。)を取り付ける仕様である。このため、図3図9とでは、伝動機12の仕様が異なるが、図10に示したとおり、基本構成は共通している。このことから、伝動機12、第1伝動機13及び第2伝動機14とこれらの内部部品には同じ符合を付して、これらの構造及び動作の説明は省略する。
【0033】
図11は、伝動機12の可動による伝動機12の位置変化を示す側面図である。本図は、図5と同様にトランスミッション60の側面図を示しており、伝動機12は断面状態で図示している。(a)図はローラ軸51が変速機11に最も近づいた状態を示している。この状態は、芝刈機2の本体に対し、ローラ50(図7参照)が最も上昇した状態であり、刈取り高さが最低になる。(b)図はローラ軸51が変速機11から最も遠ざかった状態を示している。この状態は、芝刈機2の本体に対し、ローラ50(図7参照)が最も下降した状態であり、刈取り高さが最高になる。
【0034】
図12は、伝動機12の可動による伝動機12の位置変化を示す別の側面図である。本図では、図6と同様に、位置変化前の伝動機12を実線で示し、位置変化後の伝動機12を2点鎖線で示している。ローラ軸51は高さ方向においてhだけ変化し、前後方向においてLだけ変化している。すなわち、図12の例では、図6の例と同様に、刈取り高さの調整のための高さ方向の可動範囲がhとなり、この可動範囲内で適宜刈取り高さを調整することが可能になる。
【0035】
前記のとおり、ローラ仕様のトランスミッション60は、基本構成及び基本動作が、前記の車輪仕様のトランスミッション10と同様であるので、その効果も車輪仕様のトランスミッション10と同様である。すなわち、ローラ仕様のトランスミッション60においても、芝刈機2の生産性の向上を図り、かつ製造コスト削減を図るとともに、刈高さ調整機構の配置の省スペース化を図ることができる。
【0036】
前記各実施形態により、車輪仕様のトランスミッション10及びローラ仕様のトランスミッション60の両方について説明したが、両者は基本構成は共通しており、両者の違いは、伝動機12の仕様が車輪用の仕様であるかローラ用の仕様であるかの違いである。すなわち、本実施形態に係るトランスミッションは、車輪用とローラ用との間で、変速機11の仕様を変更するような大幅な変更は不要であり、メインユニットである変速機11を共用しつつ、サブユニットである伝動機12の仕様を駆動輪の仕様にあわせて一部変更することにより、車輪用及びローラ用の両方に容易に対応することができる。この点においても、本実施形態に係るトランスミッションは、芝刈機の生産性の向上を図り、かつ製造コスト削減を図る効果が得られる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらは一例であり、適宜変更したものであってもよい。また、変速機11の内部構造や刈取り高さの調整のための機構については説明を省略したが、既存のものを適宜用いればよい。
【符号の説明】
【0038】
1,2 芝刈機
3 前輪
4 後輪
8 エンジン(駆動源)
10,60 トランスミッション
11 変速機
12 伝動機
13 第1伝動機
14 第2伝動機
50 ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12