特許第6887165号(P6887165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887165
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】補償コイルを有する磁気抵抗センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20210603BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20210603BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G01R33/09
   G01R33/02 V
   G01R33/02 X
   H01L43/08 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-563802(P2018-563802)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公表番号】特表2019-518956(P2019-518956A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2017087365
(87)【国際公開番号】WO2017211279
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2020年3月18日
(31)【優先権主張番号】201610397752.5
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲーザ
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/148437(WO,A1)
【文献】 特表2014−532883(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/151024(WO,A1)
【文献】 特表2014−508296(JP,A)
【文献】 特開2016−75620(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103630855(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105093139(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103091649(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/210722(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/015839(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/064357(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/0−33/26
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板と、該シリコン基板上に配設されたMRセンサ・ユニットのコレクションと、長方形軟強磁性磁束集束器のコレクションと、蛇行補償コイルと、接続回路と、電気接続に使用されるリード・パッドのコレクションとを備えた補償コイルを有する磁気抵抗センサであって、該MRセンサ・ユニットは、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するように相互接続され、MRセンサ・ユニットの該コレクションは、2つの隣接した軟強磁性磁束集束器間の間隙の下方に配設され、該蛇行補償コイルは、該MRセンサ・ユニットの上方および該2つの隣接した軟強磁性磁束集束器間の該間隙の下方に配設され、該蛇行補償コイルは、該MRセンサ・ユニットの上の正の電流ストラップと、該長方形軟強磁性磁束集束器の下の負の電流ストラップとを有し、MRセンサ・ブリッジおよび該蛇行補償コイルは、ボンド・パッドを通じて接続されているとともに、封止構造で覆われている磁気抵抗センサ。
【請求項2】
前記磁気抵抗センサはセンサ・チップを形成するようにPCB基板上に配置され、該PCB基板はらせん状初期化コイルを備え、該センサ・チップは該らせん状初期化コイルの上部に配設され、該らせん状初期化コイルを通じて流れる前記MRセンサ・ブリッジの電流の方向は、該センサ・チップの感度軸の方向に平行である、請求項1に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項3】
前記PCB基板は、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するために前記MRセンサ・ユニットを相互接続するのに使用されるリード・パッドおよび伝導性トレースをさらに備え、これらのリード・パッドは、該PCB基板の底部に配設され、一方、該PCB基板の上部にある前記センサ・チップおよび該リード・パッドは、プラスチックまたは樹脂を使用することによって封止される、請求項2に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項4】
前記MRセンサ・ユニットは、プッシュプル・フル・ブリッジ回路を形成するように相互接続されている、請求項1に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項5】
前記磁気抵抗センサは、LGA封止構造を有する、請求項1に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項6】
特定用途向け集積回路(ASIC)を備え、該ASICは、前記センサ・ブリッジに電気的に接続されている、請求項1または2に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項7】
リード・フレームが使用され、前記磁気抵抗センサは、前記リード・フレーム上に配設される、請求項1に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項8】
前記リード・フレームは、プラスチックに封止される、請求項7に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【請求項9】
第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、不活性化層とをさらに備え、MRセンサ・ユニットの前記コレクションは該第1の絶縁層で覆われ、前記蛇行補償コイルは該第2の絶縁層で覆われ、該不活性化層はセンサ・チップ全体上に配設される、請求項1に記載の補償コイルを有する磁気抵抗センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサに関し、より詳細には補償コイルを有する磁気抵抗センサに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの応用では、ダイナミック・レンジを増加させ、線形性を改善し、センサの磁気ヒステリシスを減少させるために、磁気センサは、閉ループにおいて動作させられることを必要とする。ウェハレベル補償コイルの使用は、磁気センサが閉ループ・モードにおいて容易に動作することを可能にする。
【0003】
典型的な補償コイル(Honeywell社によるバイアス・ストリップとも呼ばれる)は、センサ・チップ基板の上に配置される大きい蛇行コイルであり、これによって空間使用率が乏しくなり、したがってセンサの実際のサイズは、所望のサイズよりもずっと大きくなる。Honeywell社からのAMRセンサ・チップも、バイアス・ストリップおよびリセット・コイルを使用することによって直交磁場を発生させ、それによって感度および線形性(いわゆるセット/リセット・コイル)を改善するとともに、(バイアス・ストリップの)閉ループ・モードにおいて動作する能力を提供する。しかしながら、AMRセンサは、大きいデバイス面積を有し、高コストである。
【0004】
従来技術において、らせん状初期化コイルは、実用新案登録出願第201620296367.7号、名称「A MAGNETORESISTIVE SENSOR PACKAGE WITH ENCAPSULATED INITIALIZATION COIL」に使用されており、ここでは、初期化コイルは、パッケージの基板上に配設されており、それによってセンサの磁気ヒステリシスおよびドリフトを低減させている。
【0005】
本発明は、磁気抵抗センサと共に、効率的な空間使用率を有するウェハレベル補償コイルを提供する。補償コイルは、蛇行曲げパターンを有し、堆積およびエッチングによってウェハ上に直接形成され、閉ループ・モードでセンサを駆動するために使用される。本発明の磁気抵抗センサは、基板上に配置され、LGAの形態で封止されており、この基板は、磁気ヒステリシスを制御する蛇行初期化コイルを備える。LGA基板のサイズは、初期化コイルによって増大せず、センサ・チップのサイズは、LGA基板上に備えるのではなく蛇行補償コイルがその上に形成される場合よりも小さい。したがって、センサは、空間使用率の改善がなされ、小型の構成となっており、それによってコストを有効に削減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、補償コイルを有する磁気抵抗センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的解決手段に従って実施される。
【0008】
シリコン基板と、シリコン基板上に配設されたMRセンサ・ユニットのコレクションと、長方形軟強磁性磁束集束器のコレクションと、蛇行補償コイルと、接続回路と、電気接続に使用されるボンド・パッドのコレクションとを備えた補償コイルを有する磁気抵抗センサであって、MRセンサ・ユニットは、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するように相互接続され、MRセンサ・ユニットのコレクションは、2つの隣接した軟強磁性磁束集束器間の間隙の下方に配設される。蛇行補償コイルは、MRセンサ・ユニットの上方、および2つの隣接した軟強磁性磁束集束器間の間隙のレベルの下方、およびセンサ間の領域内の集束器の下方に配設される。蛇行補償コイルは、MRセンサ・ユニットの上の正の電流ストラップと、軟強磁性磁束集束器の下の負の電流ストラップとを有する。MRセンサ・ブリッジおよび蛇行補償コイルは、ボンド・パッドを通じて接続されているとともに、封止構造で覆われている。
【0009】
好ましくは、磁気抵抗センサはセンサ・チップを形成するようにPCB基板上に配置され、PCB基板はらせん状初期化コイルを備え、センサ・チップはらせん状初期化コイルの上部に配設され、らせん状初期化コイルを通じて流れるMRセンサ・ブリッジの電流の方向は、センサ・チップの感度軸の方向に平行である。
【0010】
PCB基板は、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するためにMRセンサ・ユニットを相互接続するのに使用されるリード・パッドおよび伝導性トレースをさらに備え、リード・パッドの一部は、PCB基板の底部に配設され、PCB基板の上部にあるセンサ・チップおよびリード・パッドは、プラスチックまたは樹脂を使用することによって封止される。
【0011】
好ましくは、MRセンサ・ユニットは、プッシュプル・フル・ブリッジ回路を形成するように相互接続されている。
【0012】
好ましくは、磁気抵抗センサは、LGA封止構造を有する。
【0013】
好ましくは、磁気抵抗センサは、特定用途向け集積回路(ASIC)を備え、ASICは、センサ・ブリッジに電気的に接続されている。
【0014】
好ましくは、リード・フレームが使用され、磁気抵抗センサは、リード・フレーム上に配設される。
【0015】
好ましくは、リード・フレームは、プラスチックに封止される。
【0016】
好ましくは、磁気抵抗センサは、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、不活性化層とをさらに備える。MR磁気抵抗素子のコレクションは第1の絶縁層で覆われ、蛇行補償コイルは第2の絶縁層で覆われ、不活性化層はセンサ・チップ全体に堆積させられる。
【0017】
本発明の磁気抵抗センサは、より小さいサイズを有し、低コストであり、向上したダイナミック・レンジ、改善された線形性、および減少した磁気ヒステリシスを有する。この設計は、磁気センサが閉ループ・モードにおいて容易に動作することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または従来技術を説明するために必要な添付図面を、以下に簡潔に紹介する。以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎないことは明らかである。当業者は、創作的努力なしで添付図面に従って他の図面を得ることができる。
【0019】
図1】本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサの配置の概略図である。
図2】本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサの配置の概略平面図である。
図3】本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサのシミュレートした磁束線の概略図である。
図4】本発明による長方形軟強磁性磁束集束器がない場合の磁場線の概略図である。
図5】本発明による蛇行補償コイルの磁場ゲイン間の比較の概略図である。
図6】本発明の実施形態1によるLGA封止の概略図である。
図7】本発明の実施形態1によるLGA封止の概略回路図である。
図8】本発明の実施形態2による初期化コイルを用いたLGA封止の概略図である。
図9】本発明の実施形態2による初期化コイルを用いたLGA封止の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明確にさせるために、本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における添付図面を参照して、以下により明確におよびより完全に説明される。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態の全部というよりはむしろ一部に過ぎない。
【0021】
図1は、本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサの配置の概略図である。磁気抵抗センサは、シリコン基板1と、長方形軟強磁性磁束集束器4のコレクションと、第1の絶縁層2と、第2の絶縁層3と、MRセンサ・ユニット6のコレクションと、蛇行補償コイル7と、不活性化層5とを備える。MRセンサ・ユニット6は、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するように相互接続されている。MRセンサ・ユニット6のコレクションは、2つの隣接した軟強磁性磁束集束器4間の間隙の下方に配設される。蛇行補償コイル7は、MRセンサ・ユニット6の上方および2つの隣接した軟強磁性磁束集束器4間の間隙の下方に配設される。蛇行補償コイル7は、MRセンサ・ユニット6の上の正の電流ストラップと、長方形軟強磁性磁束集束器の下の負の電流ストラップとを有する。MRセンサ・ブリッジおよび蛇行補償コイルは、ボンド・パッドを通じて接続されているとともに、封止構造で覆われている。MRセンサ・ユニット6のコレクションは、第1の絶縁層2で覆われている。蛇行補償コイル7は、第2の絶縁層3で覆われている。不活性化層5は、センサ・チップ全体上に配設される。
【0022】
図2は、本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサの配置の概略平面図であり、10はMRセンサ・ユニットを接続する接続線を表し、11はチクラー・コイル接触電極を表し、12はMRセンサ・ブリッジの負の接触電極を表し、13はMRセンサ・ブリッジの正の接触電極を表し、14は別のMRセンサ・ブリッジの正の接触電極を表し、15は別のMRセンサ・ブリッジの負の接触電極を表す。MRセンサ・ユニットのコレクションは、長方形軟強磁性磁束集束器間の間隙内に配設され、MRセンサ・ユニットは、電気的に接続されている。MRセンサ・ブリッジおよび蛇行補償コイルは、リード・パッドを通じて接続されているとともに、封止構造で覆われている。
【0023】
図3は、本発明による補償コイルを有する磁気抵抗センサのシミュレートした磁場線の概略図であり、21は、MRセンサ・ユニットからなるMRセンサ組立体が蛇行補償コイルが正の電流を生成する位置の下方に位置することを表し、22は磁場線を表す。図3に示されるように、長方形軟強磁性磁束集束器は、蛇行補償コイルの上端に配設されるとともに、図に示される方向に電流が流れるとき、長方形軟強磁性磁束集束器は、右向きの磁場を生成する。同様に、MRセンサ組立体は、長方形軟強磁性磁束集束器の下方に配設され、蛇行補償コイルの間隙に反対の電流極性を有する。そのような構成の場合、蛇行補償コイルからのMRセンサ組立体の磁場も右向きである。長方形軟強磁性磁束集束器間の間隙が十分小さいとき、長方形軟強磁性磁束集束器の上方の右向きの磁場は、間隙内に位置するMRセンサ組立体上に集められ、したがってMRセンサ組立体において蛇行補償コイルの磁場を増加させる。この構成モードは、蛇行補償コイルの磁場を強化し、蛇行補償コイルの効率を改善する。
【0024】
図4は、長方形軟強磁性磁束集束器がない場合の磁場線の概略図である。図に示されるように、磁場の分布は、長方形軟強磁性磁束集束器がない場合異なる。MRセンサ・ユニット間に位置する蛇行補償コイルの磁場は、MRセンサ・ユニットの磁場に加えられず、磁場ゲインは、MR磁気抵抗素子が位置する位置で磁場のゲインよりも小さい。したがって、効率は低い。
【0025】
図5は、本発明による蛇行補償コイルの磁場ゲイン間の比較の概略図であり、暗い色は、長方形軟強磁性磁束集束器が存在している蛇行補償コイルの磁場ゲインの概略図を表し、磁気抵抗センサの中央における磁場ゲインは1G/mAよりも大きく、明るい色は、長方形軟強磁性磁束集束器がない場合の蛇行補償コイルの磁場ゲインの概略図を表し、MR磁気抵抗センサの中央の磁場ゲインは、約0.8G/mAである。したがって、長方形軟強磁性磁束集束器は、蛇行補償コイルの磁場ゲインに大きく影響を及ぼし、長方形軟強磁性磁束集束器は、蛇行補償コイルの磁場効率を改善することができることが図から分かり得る。
【0026】
図6は、本発明の実施形態1によるLGA封止の概略図であり、16は基板の裏面上のリード・パッドを表し、磁気抵抗センサの裏面では、17はチップAを表し、18はチップBを表す。チップBは、180度だけチップAを回転させることによって得られる。PCBは、LGA封止の形態を有する。チップAの参照層のピンニング方向は左から右であり、一方、チップBの参照層のピンニング方向はチップAのものと反対であることが図から分かり得る。チップAおよびチップBは、MRセンサ・ユニットのコレクション、長方形軟強磁性磁束集束器のコレクションなどによって形成されるセンサ・ブリッジからそれぞれなる。MRセンサ・ユニットは、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するように相互接続され、MRセンサ・ユニットのコレクションは、2つの隣接した軟強磁性磁束集束器間の間隙の下方に配設される。
【0027】
図7は、本発明の実施形態1によるLGA封止の概略回路図である。チップAおよびチップBがフル・ブリッジ回路を形成し、チップAの上方に配設される補償コイルAの電流方向は、チップAのものと同じであり、チップBの上方に配設される補償コイルの電流方向は、チップBのものと同じであることが図から分かり得る。
【0028】
図8は、本発明の実施形態2によるらせん状初期化コイルを用いたLGA封止の概略図である。実施形態2は、実施形態1に基づくらせん状初期化コイルをさらに含む。らせん状初期化コイルは、チップAおよびチップBに反対の磁場を生成する。らせん状初期化コイルによって生成される磁場は、蛇行補償コイルの磁場に直交する。磁気抵抗センサは、センサ・チップを形成するようにPCB基板上に配置される。PCB基板は、らせん状初期化コイルを備える。センサ・チップは、らせん状初期化コイルの上部に配設される。らせん状初期化コイルを通じて流れるMRセンサ・ブリッジの電流方向は、センサ・チップの感度軸の方向に平行である。
【0029】
PCB基板は、プッシュプル・センサ・ブリッジを形成するためにMRセンサ・ユニットを相互接続するのに使用されるリード・パッドおよび伝導性トレースをさらに備える。PCB基板の底部に配設されたリード・パッドもある。PCB基板の上部のセンサ・チップおよびボンド・パッドは、プラスチックまたは樹脂を使用することによって封止される。
【0030】
図9は、本発明の実施形態2によるらせん状初期化コイルを用いたLGA封止の概略回路図である。図に示されるように、チップAおよびチップBは、フル・ブリッジ回路を形成し、チップAの上方に配設される補償コイルAの電流方向は、チップAのものと同じであり、チップBの上方に配設される補償コイルの電流方向は、チップBのものと同じである。初期化コイルおよび補償コイルによって生成される磁場は、互いに直交する。
【0031】
創作的な努力なしで本発明の実施形態に基づいて当業者が得る全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に入るべきである。好ましい実施が本発明において概略的に説明されているが、本発明の特許請求の範囲によって定められる範囲を超えることなく、様々な変更および修正が本発明になされ得ることを、当業者は理解するはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9