特許第6887170号(P6887170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887170ゲームシステム、その制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887170
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ゲームシステム、その制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/79 20140101AFI20210603BHJP
   A63F 13/792 20140101ALI20210603BHJP
【FI】
   A63F13/79 520
   A63F13/792
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-94744(P2019-94744)
(22)【出願日】2019年5月20日
(65)【公開番号】特開2020-188870(P2020-188870A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】藤松 信也
(72)【発明者】
【氏名】清野 秀行
【審査官】 石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−005703(JP,A)
【文献】 [星のドラゴンクエスト(星ドラ)]無償ジェムと有償ジェムどっちが先に使われるの?,Game8[online],2019年 2月14日,特に本文、図を参照。[2020年8月19日検索],URL,https://web.archive.org/web/20190214010921/https://game8.jp/archives/84331
【文献】 [10/11更新]星ドラ2周年感謝キャンペーン,SQUARE ENIX 運営からのお知らせ[online],2017年11月 9日,特に本文、図を参照。[2020年8月19日検索],URL,https://web.archive.org/web/20171108181506/http://cache.sqex-bridge.jp:80/guest/information/32925
【文献】 Mスター(有償)の所持上限数について,BANDAI NAMCO Entertainment お問い合わせ[online],2017年 8月30日,特に本文を参照。[2020年8月19日検索],URL,https://bnfaq.channel.or.jp/information/detail/1853/2511
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63F 9/24
A63F13/00−13/98
G06Q10/00−10/10
G06Q30/00−30/08
G06Q50/00−50/20
G06Q50/26−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコンピュータプログラムに従って、
ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、
前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び
前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、
として機能するように構成され
前記付与手段は、前記価値から前記第1のアイテムへの交換比率を、基準比率と、前記価値を前記基準比率に従って前記第1のアイテムに交換したときに得られる第1のアイテムの量よりも当該第1のアイテムの量が増加する少なくとも一つの割引比率とから、いずれか一つの比率を選択し、選択した比率に従って前記価値を前記第1のアイテムに交換し、
前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムの量と、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの量とを区別して積算し、
前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づいて、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限するように構成されたコンピュータを含むゲームシステム。
【請求項2】
前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量が所定の許容範囲を超える場合に、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する請求項に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記付与手段による前記交換比率の選択範囲には、前記交換比率が異なる複数の割引比率が含まれ、
前記管理手段は、前記第1のアイテムの前記所持量を前記基準比率及び前記複数の割引比率のそれぞれの比率ごとに区別して積算し、
前記制限手段は、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づく前記価値から前記第1のアイテムへの交換の制限を、前記割引比率ごとに区別して実施する請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記付与手段による前記交換比率の選択範囲には、前記交換比率が異なる複数の割引比率が含まれ、
前記管理手段は、前記第1のアイテムの前記所持量を前記基準比率及び前記複数の割引比率のそれぞれの比率ごとに区別して積算し、
前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記複数の割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量のそれぞれの合計値に基づき、前記複数の割引比率のそれぞれに従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムに優先して、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの所持量を消費する請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記管理手段は、前記第1のアイテムに優先して、前記第2のアイテムの所持量を消費する請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
ゲームシステムのコンピュータを、所定のコンピュータプログラムに従って、
ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、
前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び
前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、
として機能させ
前記付与手段は、前記価値から前記第1のアイテムへの交換比率を、基準比率と、前記価値を前記基準比率に従って前記第1のアイテムに交換したときに得られる第1のアイテムの量よりも当該第1のアイテムの量が増加する少なくとも一つの割引比率とから、いずれか一つの比率を選択し、選択した比率に従って前記価値を前記第1のアイテムに交換し、
前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムの量と、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの量とを区別して積算し、
前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づいて、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限するゲームシステムの制御方法。
【請求項8】
ゲームシステムのコンピュータを、
ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、
前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び
前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、
として機能させるように構成され
前記付与手段は、前記価値から前記第1のアイテムへの交換比率を、基準比率と、前記価値を前記基準比率に従って前記第1のアイテムに交換したときに得られる第1のアイテムの量よりも当該第1のアイテムの量が増加する少なくとも一つの割引比率とから、いずれか一つの比率を選択し、選択した比率に従って前記価値を前記第1のアイテムに交換し、
前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムの量と、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの量とを区別して積算し、
前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づいて、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限するように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム内に限って通用するアイテムをユーザに付与するゲームシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム内でユーザに何らかのサービスを提供する場合の対価を徴収する仕組みとして、ゲーム内に限って通用するゲーム内通貨的な価値を有するアイテムをユーザに所持させ、そのアイテムをゲーム内で消費させることと引き換えにサービスを提供する手法が広く採用されている。その種のアイテムには、金銭又はその代替物のいずれかによって表現される経済的な価値との交換、つまり購入よってユーザに付与される有償のアイテムと、上述した経済的な価値との交換を要することなく無償でユーザに付与されるアイテムとが存在することが一般的である(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6004362号公報
【特許文献2】特許第6143141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲームシステムにおいて、有償アイテムをどのように使用するかはユーザの意思に委ねられており、ユーザによっては少なからずの量の有償のアイテムが未使用の状態で貯まることもあり得る。しかしながら、有償で交換されかつ未使用のアイテムの存在は、ゲームシステムを提供し、あるいは運用する事業者からみれば、アイテム販売の対価としてのサービスの提供を義務付ける債務となり得る。そのため、未使用状態の有償のアイテムの規模が必要以上に膨らむことは必ずしも好ましくない場合がある。一例として、購入にあたって消費される金銭等の価値と、その価値の消費と引き換えにユーザに付与されるアイテムの量との間の交換比率が一定でない場合、例えばユーザが割安で購入したアイテムについては、事業者がその販売で得た収益に対して負うべき債務が相対的に大きくなる。そのため、割引交換によるアイテムが未使用状態で増加することは好ましくない場合がある。
【0005】
アイテムの購入に関しては、ユーザの過度の出費を防ぐ観点から、例えば一定期間内におけるアイテムの購入額に上限を設定するといった措置を講じるゲームシステムも存在する。しかしながら、そのような制限はユーザの購入量のみを制限するものであって、有償で販売されたアイテムの使用とは関連付けられていない。そのため、有償で交換されかつ未使用状態にあるアイテムの量を管理することにはならない。
【0006】
そこで、本発明は、有償で交換されかつ未使用状態にあるアイテムの量を適切に管理することが可能なゲームシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るゲームシステムは、所定のコンピュータプログラムに従って、ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、として機能するように構成されたコンピュータを含むものである。
【0008】
本発明の一態様に係るゲームシステムの制御方法は、ゲームシステムのコンピュータを、所定のコンピュータプログラムに従って、ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、として機能させるものである。
【0009】
本発明の一態様に係るゲームシステム用のコンピュータプログラムは、ゲームシステムのコンピュータを、ゲーム内に限って通用する第1のアイテムを、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテムを、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段、として機能させるように構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成の一例を示す図。
図2】アイテムの付与、及びその使用に伴う消費の仕組みの一例を示す図。
図3】アイテムの購入、消費等を制御するためのゲームサーバの制御系の構成の一例を示す機能ブロック図。
図4】有償アイテムをユーザに付与するためにゲームサーバが実行する購入処理の手順の一例を示すフローチャート。
図5】無償アイテムをユーザに付与するためにゲームサーバが実行する無償付与処理の手順の一例を示すフローチャート。
図6】アイテムを消費するためにゲームサーバが実行するアイテム消費処理の手順の一例を示すフローチャート。
図7】有償アイテムをユーザに付与するためにゲームサーバが実行する購入処理の手順の他の例を示すフローチャート。
図8】有償アイテムをユーザに付与するためにゲームサーバが実行する購入処理の手順のさらなる例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1を参照して本発明の一形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例を説明する。ゲームシステム1は、複数のユーザ端末2と、それらのユーザ端末2とネットワークNT(一例としてインターネット)を介して接続されるゲームサーバ3とを含んだクライアントサーバ型のシステムとして構成されている。ユーザ端末2及びゲームサーバ3のそれぞれは、ゲームシステム1を構成するコンピュータの一例である。ユーザ端末2は、ネットワーク接続が可能でかつユーザが携行可能な携帯型の情報通信端末である。一例として、ユーザ端末2は通信通話機能を備えたスマートフォンである。ただし、ユーザ端末2には携帯型ゲーム機、タブレット端末等、ネットワーク接続が可能な端末が用いられてよい。ゲームサーバ3は、複数台のサーバユニット…を適宜に組み合わせて構成されてもよいし、単一のサーバユニットによって構成されてもよい。クラウドコンピューティング技術を利用したクラウドサーバとしてゲームサーバ3が構成されてもよい。
【0012】
ゲームサーバ3は、データベースDBに記録された各種のデータを適宜に参照しつつ、ユーザ端末2にてプレイされるゲームに関連した各種のサービスをユーザに提供する。ゲームシステム1にて提供されるゲーム及びそのゲームに関連したサービスは適宜に設定されてよい。一例として、例えば、ゲームサーバ3又は他のサーバからユーザ端末2にゲームをプレイするためのアプリケーションプログラムが配信され、ユーザ端末2にてそのアプリケーションプログラムが実行されることにより、ユーザ端末2とゲームサーバ3とが協働してユーザ端末2上でユーザがゲームをプレイすることが可能となるようにゲームシステム1が構成される。ゲームサーバ3はゲームに関連付けられた各種のサービス、例えばプレイデータのデータベースDBへの保存、ゲームにて用いられるコンテンツの提供、ユーザ間のマッチングといったサービスを提供する。ユーザ端末2にてゲームサーバ3の各種のサービスの少なくとも一部を利用するためにはユーザ認証が必要とされる。ユーザ認証は、周知の各種のシステムと同様に、ユーザごとにユニークに設定されるユーザ識別情報(一例としてユーザID)と、パスワード等の認証情報とを用いて行われてよい。ユーザ識別情報は適宜の手法によって発行されてよい。
【0013】
ゲームシステム1では、有償アイテムが第1のアイテムの一例としてユーザに販売される。有償アイテムは、金銭又はその代替物のいずれかによって表現される価値と引き換えにユーザに付与されるものであって、ゲーム内に限って通用するゲーム内通貨の一例として機能する。ここでいう金銭は法定通貨によって定量的に表現される価値を意味するものであって、必ずしも現金であることを要しない。金銭の代替物は、例えば特定の事業者が発行主体となる電子通貨、ポイント、クーポンその他の各種の経済的な価値、あるいは交換価値を有するものであれば、金銭の代替物として適宜に利用されてよい。金銭の代替物は、有償アイテムとの比較において、より広い範囲で交換価値が認められるものであってよい。例えば、有償アイテムが通用するゲームとは異なるゲーム他のゲーム、あるいは他のゲームに関連した一定範囲のサービスに対しても交換価値が認められるように代替物が設定されてもよい。一方で、代替物は法定通貨との比較において交換価値を有する範囲が狭く設定されたものでもよい。以下では、金銭又はその代替物を金銭等と呼び、金銭又はその代替物のいずれかによって表現される価値を金銭等の価値と呼ぶことがある。
【0014】
ユーザは、ゲームにて有償アイテムを適宜に使用することによりゲームに関連した各種のサービスを受けながらゲームを進めることができる。例えば、有償アイテムをゲーム内で用意されている他の2次的なアイテムと交換するといった形でユーザが有償アイテムを使用することができる。ユーザが使用した有償アイテムはその使用の対象となるサービスの提供(例えば交換対象の2次的アイテムの付与)と引き換えに消費される。ここでいう消費は、有償アイテムの価値が消滅し、再度の使用ができないことを意味する。
【0015】
また、ゲームシステム1では、第2のアイテムの一例としての無償アイテムもユーザに付与される。無償アイテムは、金銭等の価値との交換を要することなくユーザに無償で付与されるアイテムであって、有償アイテムと同様にゲーム内通貨の一例として機能する。例えば、ユーザがゲーム内で所定の条件を満たしたときに無償アイテムがユーザに付与される。無償アイテムを付与する条件は、例えばゲームの成績、ゲームへのログイン等の適宜の事項と関連付けて設定されてよい。
【0016】
有償アイテム及び無償アイテムにおける「アイテム」の用語は、ゲーム内通貨の名称の一例として便宜的に用いるものであって、その名称は法定通貨と区別し得る限りにおいて適宜に設定されてよい。「トークン」、「クレジット」、「石」、「ゴールド」等の適宜の名称を用いて有償アイテム及び無償アイテムのそれぞれが表現されてよい。例えば有償アイテムを「有償石」、無償アイテムを「無償石」と称するごとくである。また、有償アイテム及び無償アイテムのそれぞれの量は、適宜の単位に従って単位数により定量的に表現されてよい。例えば、有償アイテム及び無償アイテムをそれぞれ「トークン」の名称で呼ぶ場合、1トークンを単位として、10トークンといったようにトークンの所持数によりアイテムの所持量が表現されてよい。
【0017】
ユーザが有償アイテムを購入する際の料金を決済するため、ゲームサーバ3は、必要に応じ、ネットワークNTを介して決済サーバ4と連携する。決済サーバ4は、例えばクレジットカードやデビットカードを利用した決済処理を実現するカード会社あるいは金融機関のサーバであってもよいし、特定の事業者が発行する電子通貨を管理するサーバであってもよい。
【0018】
次に、図2を参照してゲームシステム1におけるアイテムの付与、及びその使用に伴う消費の仕組みの一例を説明する。ユーザが所持する有償アイテム及び無償アイテムのそれぞれの量(所持量)を管理するため、ゲームサーバ3にはユーザごとのアイテムデータDiが保持されている。アイテムデータDiはゲームサーバ3がアクセス可能なデータベースDB(図1参照)に適宜に格納されてよい。アイテムデータDiは、一例としてユーザ識別情報としてのユーザIDと、有償アイテム及び無償アイテムのそれぞれの所持量とを対応付けて記述するように構成される。
【0019】
ユーザがゲーム内で有償アイテムの購入を選択すると、ユーザ端末2からゲームサーバ3に有償アイテムの購入が要求される。ゲームサーバ3は決済サーバ4と連携しつつ決済を処理し、その決済に成功すると、アイテムデータDiの有償アイテムの所持量を購入量を加算した値に更新する。この場合、有償アイテムの購入に要した金銭等の価値の消費量と、その消費と引き換えにユーザに付与される有償アイテムの量(購入量)とは1対1であることを必ずしも要せず、金銭等の単位系と有償アイテムの単位系とに従って適宜に定められてよい。例えば、1000円で100トークンが付与されるといったごとくである。
【0020】
有償アイテム購入時の金銭等の消費量と、その消費と引き換えにユーザに付与される有償アイテムの購入量との間の比率を交換比率としたとき、その交換比率は常に一定であることを要しない。例えば、交換比率に関して基準となる比率を基準比率として設定し、その基準比率に従って金銭等を有償アイテムに交換した場合に得られる有償アイテムの量を基準交換量としたときに、同一量の金銭等の消費に対して基準交換量よりも多い量の有償アイテムがユーザに付与されるように交換比率を変更した割引比率が適宜に適用されてよい。上述した例では、1000円の消費で100トークンが付与されるときの交換比率を基準比率としたとき、例えば割引比率の適用時には1000円の消費で120トークンが付与される、あるいは800円の消費で100トークンが付与されるといったごとくである。この場合、基準比率による交換と比較して20%の割り引かれた比率で有償トークンが販売されたことになる。
【0021】
基準比率及び割引比率の適用は適宜に設定されてよい。例えば、ユーザが初めて有償アイテムを購入する場合、初回の購入から一定の購入量に達する場合、あるいはキャンペーン又はセールといったイベントの開催期間である場合等に割引比率が適用され、それ以外の場合は基準比率が適用されるといった設定が可能である。あるいは、ユーザがゲームにて一定の条件を満たしたときに、購入量、期間、あるいは回数を限って割引比率が適用されるといった設定が可能である。複数の割引比率が設定され、基準比率及び複数の割引比率から、いずれかの比率が適宜に選択されて適用されるものとしてもよい。
【0022】
基準比率及び割引比率の設定に対応して、アイテムデータDiでは、有償アイテムの所持量が基準比率及び割引比率ごとに区別して記録されてよい。さらに、複数の割引比率が使い分けられる場合には、割引比率ごとに区別して有償アイテムの所持量が記録されてよい。図2の例では、割引比率A、B、C…Xごとに有償アイテムの所持量が区別して記録されるようにアイテムデータDiが構成されている。したがって、有償アイテムが購入された場合、ゲームサーバ3は、その購入時点での交換比率に対応した区分の有償アイテムの所持量に購入量を加算する。
【0023】
無償アイテムに関しては、交換比率といった概念が存在しない。よって、ゲームサーバ3は、ゲームにて無償アイテムがユーザに付与された場合、そのユーザのアイテムデータDiに記録されている無償アイテムの所持量に対して新たに付与された無償アイテムの量を加算する。
【0024】
一方、ユーザがゲーム内で有償アイテム又は無償アイテムを使用してサービスを受けようとする場合、ユーザ端末2からゲームサーバ3にアイテムの使用がその使用量とともに指示される。ゲームサーバ3は、指示された使用量が有償アイテム又は無償アイテムの所持量から減算されるようにアイテムデータDiの所持量を更新して有償アイテム又は無償アイテムを消費し、その消費と引き換えにユーザが指定したサービスを提供する。有償アイテム及び無償アイテムの消費に関しては優先順位が設定されるが、この点は後述する。なお、アイテム使用時において、有償アイテム及び無償アイテムの価値は同じである。例えば、10単位のアイテムを消費してサービスを受ける場合、それと引き換えに消費されるべきアイテムの量は有償アイテムであるか無償アイテムであるかを問わず10である。有償アイテムの購入時の交換比率が複数存在している場合でも、有償アイテムの使用時の価値は交換比率によって差別されることなく同じである。ただし、有償アイテムの使用に限って提供されるサービス、あるいは基準比率で交換された有償アイテムの使用に限って提供されるサービス等、交換対象となるべきアイテムが有償か否か、あるいはアイテムの交換比率によって提供の可否が変化するサービスが存在していてもよい。
【0025】
さらに、ゲームサーバ3は、アイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量が所定の許容範囲を超えないように有償アイテムの購入を制限する機能を備えている。例えば、ゲームサーバ3は有償アイテムの所持量が所定の上限値に達した場合、有償アイテムの消費によって所持量が上限値未満に減少するまで有償アイテムの購入を禁止する。あるいは、割引比率で購入された有償アイテムに限って、その所持量が許容範囲を超えないように、割引比率による有償アイテムの購入制限が実施されてもよい。要するに、有償アイテムの購入に関する制限は、有償アイテムの全体の所持量を対象として実施されてもよいし、有償アイテムの一部を対象として実施されてもよい。購入制限に関する具体例は後に説明する。有償アイテムの購入が制限されているか否かを判別するため、アイテムデータDiには例えば購入制限設定の情報(一例として判別フラグ)がさらに記録されてよい。購入制限設定の情報は、交換比率ごとに区別して設定されてもよいし、有償アイテムの全体に関して一律に設定されてもよいし、基準比率と割引比率の2つの区分に分けて設定されてもよい。
【0026】
アイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量及び無償アイテムの所持量は、要するにユーザが使用していない有償アイテム及び無償アイテムの量であり、有償アイテムの所持量はその購入に要した金銭等の価値に対応してゲームシステム1を運用する事業者がユーザに対して負っている債務の量に相当するものである。したがって、有償アイテムの所持量に基づいて有償アイテムの購入を制限することにより、未使用の有償アイテムの量を適度に抑制することが可能である。所持量が上限値に達して購入が制限された場合でも、ユーザは有償アイテムを使用してその所持量を減らせば新たに有償アイテムを購入することができる。有償アイテムの購入額に上限を設定する場合にはその制限が解除されるまで新規購入ができず、結果として有償アイテムの使用量も制限される。これに対して、上記のように未使用の有償アイテムの所持量を制限する場合には、ユーザが有償アイテムを使用すれば購入制限が解除される。そのため、ユーザが必要な量の有償アイテムを新たに購入できない、といった不都合が生じるおそれが解消され、あるいは低減される。
【0027】
次に、図3を参照して、有償アイテムの購入、消費等を制御するためのゲームサーバ3の制御系の構成の一例を説明する。なお、クライアントサーバ型のゲームシステムでは、クライアントとサーバとの間での処理の分担に関して種々の形態が存在するが、図3の例では、少なくともアイテムの付与及び使用に対応した処理をゲームサーバ3が担当するものとして説明する。
【0028】
図3に示すように、ゲームサーバ3には、物理的なコンピュータとしてのサーバユニットをゲームサーバ3として動作させるためのゲームプログラムPGが実装されている。ゲームプログラムPGをゲームサーバ3が実行することにより、ゲームサーバ3には、ゲーム制御部11、アイテム付与部12、アイテム管理部13及び購入制限部14が設けられる。各部11〜14は、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの協働によって実現される論理的装置である。ゲーム制御部11は、ユーザ端末2と協働してゲームの全般的な制御を担当する。例えば、ゲーム制御部11は、ユーザの入力操作に関する情報をユーザ端末2から取得し、得られた情報に従ってゲームを進行させるために必要な各種の演算を実行し、実行結果をユーザ端末2上のゲームに反映させるために必要な情報をユーザ端末2に送信する。
【0029】
アイテム付与部12は、ゲーム制御部11からの指示に従って、ユーザに対する有償アイテム及び無償アイテムの付与に関連した処理を担当する。例えば、アイテム付与部12は、有償アイテムの購入に関連した処理、あるいは無償アイテムの付与に関連した処理を担当する。アイテム管理部13は、ゲーム制御部11からの指示に従ってデータベースDBのアイテムデータDiにアクセスし、そのデータベースDBに記録されている有償アイテム及び無償アイテムの所持量を判別し、あるいはゲーム制御部11からの指示に従ってそれらの所持量を更新する。購入制限部14は、ゲーム制御部11の指示に従ってアイテムデータDiにアクセスし、有償アイテムの所持量に基づいて有償アイテムの購入制限を制御する。
【0030】
なお、ゲームサーバ3には、ゲームに必要な各種の処理を担当する物理的装置又は論理的装置としてさらに種々の装置が設けられてよい。例えば、ユーザ端末2との通信を制御する通信制御部、ユーザ間のマッチングを制御するマッチング制御部といった各種の装置がゲームサーバ3に設けられる。図3ではそれらの装置の図示を省略した。
【0031】
次に、図4図9を参照して、ゲームサーバ3が有償アイテム及び無償アイテムの付与、あるいは消費に関連して実行する各種の処理を説明する。ただし、有償アイテムの購入処理には複数の例が存在し得るため、以下では第1の処理例、第2の処理例といったごとく区別して説明する。なお、以下の各処理例では有償アイテムの購入時の交換比率に関して、基準比率と、少なくとも一つの割引比率とが適宜に使い分けられるものとする。交換比率の選択は、例えばユーザ端末2上でユーザに選択させるものとしてもよいし、ユーザの選択に委ねることなくゲームサーバ3自らが選択するものとしてもよい。また、以下の処理は、ユーザ端末2のユーザに関するユーザ認証が完了し、ゲームサーバ3がユーザのユーザIDを既に取得しているものとする。
【0032】
(第1の処理例)
図4は、有償アイテムの購入に関してゲームサーバ3が実行する購入処理に関する第1の処理例における手順を示している。第1の処理例は、有償アイテムの全体の所持量が所定の上限値に達する場合にその所持量が許容範囲を超えるものとして購入制限を適用する例である。ただし、既に上限値に達している場合のみならず、ユーザが有償アイテムを購入するとその所持量が上限値を超える場合も、上限値に達する場合の一態様として購入が制限される。
【0033】
ユーザ端末2から有償アイテムの購入が要求されると、ゲームサーバ3は図4の購入処理を開始し、まず購入制限部14により購入制限中か否かを確認する(ステップS101)。この場合、購入制限部14は、ゲーム制御部11からユーザ端末2のユーザIDを取得し、そのユーザIDに対応するアイテムデータDiの購入制限設定の情報に従って有償アイテムの購入が制限されているか否かを判別する。購入が制限されている場合、購入制限部14は制限中であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11は購入制限中であることをユーザ端末2に通知する(ステップS121)。この場合、図4の処理は終了し、ユーザ端末2のユーザは有償アイテムを購入することができない。なお、購入制限が通知されたユーザ端末2において、例えば有償アイテムの購入をユーザが指示するためのアイコン、操作ボタン、メニュー項目等をグレーアウトしてユーザの選択操作を受け付けないといった処理を適用することにより、購入制限中はそもそも購入処理の開始を指示できないようにゲームが制御されてよい。
【0034】
一方、ステップS101にて購入が制限されていないと判断された場合、購入制限部14は、ゲーム制御部11を介してユーザの購入要求(購入内容)を受け取り、得られた購入要求に基づいて有償アイテムの購入量及び交換比率を取得する(ステップS102)。続いて、購入制限部14は、ユーザIDに対応するアイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量をゲーム制御部11及びアイテム管理部13を介して取得し(ステップS103)、得られた所持量に今回の購入量を加算した値、つまり有償アイテムを購入したと仮定した場合の購入後の所持量が所定の上限値を超えるか否かを判別する(ステップS104)。上限値を超えると判断された場合、購入制限部14は上限値を超えるために購入が不可能であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11は購入が不可能であることをユーザ端末2に通知する(ステップS122)。その後、ゲーム制御部11は、ユーザ端末2にてユーザが購入中止を指示したか否かを判別する(ステップS123)。購入中止が指示された場合、図4の処理は終了する。一方、購入中止が指示されない場合はステップS102へと処理が戻される。これは、ユーザ端末2にてユーザが購入量を減らすことにより、上限値を超えない範囲で有償アイテムを購入する余地を残すためである。
【0035】
一方、ステップS104にて上限値を超えないと判断された場合、購入制限部14からその判断結果がゲーム制御部11に通知され、ゲーム制御部11からアイテム付与部12に対して有償アイテムの購入要求に応じた処理が指示される。これを受けて、アイテム付与部12は有償アイテムの購入量及び単価(交換比率によって定まる。)に従って購入額を演算し(ステップS105)、決済サーバ4と連携して決済処理を実行する(ステップS106)。次いで、アイテム付与部12は決済処理が成功したか否かを判別し(ステップS107)、成功していれば、アイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量に今回の購入量を加算するように、ゲーム制御部11を介してアイテム管理部13に指示する(ステップS108)。その指示に対応してアイテム管理部13がアイテムデータDiの有償アイテムの所持量を更新することにより、ユーザに有償アイテムが付与される。なお、ステップS107にて決済処理に失敗したと判断された場合にはユーザ端末2に対して決済エラーが通知され(ステップS109)、その後に図4の処理が終了する。
【0036】
ステップS108にて有償アイテムの所持量が加算されると、その旨がゲーム制御部11を介して購入制限部14に通知される。購入制限部14は、加算後の所持量が上限値に到達しているか否かを判別し(ステップS110)、到達していれば、アイテムデータDiの購入制限設定の情報に購入制限中であることを示す値を設定する(ステップS111)。ステップS111の処理が終わるとゲーム制御部11はユーザ端末2に対して購入が完了したことを通知する(ステップS112)。これにより図4の処理が完了する。なお、ステップS110にて、有償アイテムの所持量が上限値に到達していなければステップS111の処理はスキップされてステップS112へと処理が進められる。
【0037】
以上の処理によれば、ユーザの有償アイテムの所持量が上限値に達すると購入制限が設定され(ステップS110、S111)、以降はその制限が解除されるまでステップS101が肯定判断されて有償アイテムの購入が禁止される。また、購入制限が設定されていない場合でも、新たな購入によって所持量が上限値を超える場合にはステップS104が肯定判断され、上限値を超えない範囲で購入量が変更されない限り有償アイテムを購入することはできない。したがって、各ユーザの有償アイテムの所持量が所定の許容範囲を超えるおそれを排除することができる。
【0038】
図5は、ユーザに無償アイテムを付与するためにゲームサーバ3が実行する無償付与処理の手順の一例を示している。ゲームサーバ3は図5の処理を所定の周期で、あるいはユーザがログインした時点といったように、予め定められたタイミングで実行する。図5の処理が開始されると、まず、ゲーム制御部11はその時点でのゲームの状態を判別し(ステップS201)、その判別結果に基づいて、無償アイテムを付与する条件が成立しているか否かを判別する(ステップS202)。この条件は適宜に設定されてよい。ただし、無償アイテムの付与は、金銭等の価値の消費を条件としないものである。したがって、ステップS202で判断される条件は、ユーザによる金銭等の消費と引き換えに無償アイテムが付与されることがないように設定される。なお、有償アイテムの購入を条件として、無償アイテムを追加的に付与するといったように、金銭等の価値の消費が無償アイテム付与の条件と間接的に関連するように条件が設定されてもよい。この場合でも、金銭等の価値は有償アイテムの購入で全て消費されるため、金銭等の価値との交換を条件として無償アイテムが付与されるものではない。
【0039】
ステップS202で条件が成立していると判断された場合には無償アイテムの付与がゲーム制御部11からアイテム付与部12に指示される。アイテム付与部12はゲーム制御部11からの指示を受けて、ユーザのアイテムデータDiに記録されている無償アイテムの所持量に所定量が加算されるようにゲーム制御部11を介してアイテム管理部13に指示する(ステップS203)。それにより、ユーザに無償アイテムが付与され、付与された量がユーザの所持量として積算される。この場合の加算量は一定値であってもよいし、ステップS202で成立していると判断された条件に応じて動的に変更されてもよい。無償アイテムの所持量の加算後、ゲーム制御部11は無償アイテムが付与されたことをユーザ端末2に通知する(ステップS204)。これにより図5の処理が完了する。なお、ステップS202で条件が成立していないと判断された場合にはステップS203及びS204の処理がスキップされて図5の処理が完了する。
【0040】
図6は、有償アイテム又は無償アイテムの使用に対応してそれらのアイテムを消費させるためにゲームサーバ3が実行するアイテム消費処理の手順の一例を示している。ユーザ端末2からアイテムの使用が要求されると、ゲームサーバ3は図6のアイテム消費処理を開始し、まずゲーム制御部11がアイテムの使用内容、例えば使用量及びその使用対象となるサービスをユーザ端末2から取得する(ステップS301)。次いで、ゲーム制御部11は、ステップS301で取得した使用内容からアイテムの使用量を判別し(ステップS302)、その後、アイテム管理部13を介して有償アイテム及び無償アイテムのそれぞれの所持量の合計値が今回の使用量以上か否かを判別する(ステップS303)。
【0041】
所持量が使用量以上と判断された場合、ゲーム制御部304はアイテム管理部13に使用量を通知し、これを受けてアイテム管理部13は使用量に応じた有償アイテム又は無償アイテムの消費を以下の順で実行する。まず、アイテム管理部13は、アイテムデータDiに記録されている無償アイテムの所持量からステップS302で判断された使用量を減算することにより無償アイテムを優先して消費する(ステップS304)。この場合、アイテム管理部13は、無償アイテムの所持量が使用量未満であれば無償アイテムの所持量を0とし、無償アイテムの所持量と使用量との差分を不足量として保持する。
【0042】
次に、アイテム管理部13は、ステップS304にて消費が完了したか否か、つまり、使用量の全量を無償アイテムの消費によって賄うことができたか否かを判別する(ステップS305)。消費が完了していない場合、つまりステップS304で不足量が生じている場合、アイテム管理部13は割引比率に従って交換された有償アイテム(以下、割引交換アイテムと呼ぶことがある。)の所持量から不足量を減算する(ステップS306)。アイテムデータDiに複数の割引比率の有償アイテムの所持量が記録されている場合には、一定の順序、例えば割引比率が大きいものから順に所持量を減算してよい。なお、ここでいう割引比率の大小は、基準比率との比較においてより多くの量の有償アイテムを付与できるほど割引比率が大きい、として扱ってよい。全ての割引交換アイテムを消費してもまだ不足量を賄うことができない場合には、割引交換アイテムの所持量と不足量との差分をさらなる不足量として保持する。
【0043】
次に、アイテム管理部13は、ステップS306にて消費が完了したか否か、つまり、不足量の全量を割引交換アイテムの消費によって賄うことができたか否かを判別する(ステップS307)。消費が完了していない場合、つまりステップS307の消費によっても有償アイテムの消費量が使用量に対して不足している場合、アイテム管理部13は基準比率に従って交換された有償アイテム(以下、通常交換アイテムと呼ぶことがある。)の所持量から不足量を減算する(ステップS308)。その後、アイテム管理部13はゲーム制御部11に対してアイテムの消費が完了したことを通知する(ステップS309)。これにより、ゲーム制御部11はアイテムの使用に対応したサービスの提供を開始する。なお、ステップS305で消費が完了していると判断された場合にはステップS306〜ステップS308の処理がスキップされてステップS309へと処理が進められる。ステップS307で消費が完了していると判断された場合にはステップS308の処理がスキップされてステップS309へと処理が進められる。
【0044】
ステップS309の処理後、ゲーム制御部11は消費後の最新の有償アイテムの所持量をアイテム管理部13から所得して購入制限部14に提供する。購入制限部14は、与えられた所持量に基づいて購入制限を解除すべきか否かを判別する(ステップS310)。購入制限部14は、有償アイテムの最新の所持量が上限値未満であれば購入制限を解除すべきと判断し、アイテムデータDiに記録されている購入制限情報を制限が解除されている値に設定することにより購入制限を解除する(ステップS311)。既に制限が解除されている状態であればその状態が維持される。ステップS311の処理が終了すると図6の処理が完了する。なお、ステップS310にて購入制限を解除すべきでないと判断された場合、つまり有償アイテムの所持量が上限値であると判断された場合にはステップS311がスキップされて図6の処理が完了する。例えば、今回の使用量を無償アイテムの消費のみで完了させることができた場合(ステップS305で肯定判断される場合)には有償アイテムの所持量が変化しないので、購入制限中であればステップS310は否定判断されることになる。また、ステップS303で所持量が使用量未満と判断された場合、ゲーム制御部11はステップS304以下に進むことなく、アイテムの使用が不可能であることをユーザ端末2に通知し(ステップS320)、その後に図6の処理を終える。
【0045】
図6の処理によれば、ユーザが有償アイテムを使用してアイテムデータDiの所持量が上限値未満まで減少するとステップS310が肯定判断されて購入制限が解除される。したがって、図4のステップS111にて有償アイテムの購入制限が設定された場合でも、その後にユーザが有償アイテムを使用してその所持量を減らせば、新たに有償アイテムを購入することが可能となる。
【0046】
また、図6の処理では、アイテムの使用に関して無償アイテム、割引交換アイテム及び通常交換アイテムの順にアイテムが消費される。したがって、無償で獲得したアイテムが残っているにも拘らず有償で購入したアイテムが先に消費されるおそれがない。有償アイテムはユーザが金銭等の価値を消費して獲得した債権的価値を有するものであり、これをなるべく残したい希望を持つユーザにとっては、無償アイテムが先行して消費されることは好都合である。それにより、アイテムの消費に関するユーザの納得感を高めることが可能である。特に、有償アイテムの使用に限って提供されるサービスが存在するといった場合には、有償アイテムのゲーム内における価値が無償アイテムよりも相対的に高い。この場合、無償アイテムを優先して消費することは、価値が相対的に大きいアイテムの消費を抑えてユーザの納得感を得られ易い。
【0047】
また、ゲームシステム1を運用する事業者からみれば、割引比率に従って交換された有償アイテムは、基準比率に従って交換された有償アイテムとの比較において、アイテム販売で得た収益に対して負うべき債務が相対的に大きいアイテムとなり得る。ユーザからみれば、基準比率に従って購入した有償アイテムは、割引比率に従って購入した有償アイテムとの比較において、より多くの価値を消費して獲得したアイテムとなる。このような場合に、割引比率に従って交換された有償アイテムを先行して消費すれば、アイテムの消費に関するユーザ及び事業者の都合と整合させることが可能である。ただし、図6に示した有償アイテム及び無償アイテムの使用に関する優先順位は一例であり、消費の優先順位はゲームシステム1の都合等に応じて適宜に変更されてよい。
【0048】
(第2の処理例)
図7は、有償アイテムの購入に関してゲームサーバ3が実行する購入処理に関する第2の処理例における手順を示している。第2の処理例は、有償アイテムのうち、割引比率で交換された有償アイテムに限ってその所持量に上限値が設定され、その所持量が上限値に達する場合にその所持量が許容範囲を超えるものとして割引比率による有償アイテムの購入のみを制限する例である。ただし、既に上限値に達している場合のみならず、ユーザが有償アイテムを割引比率で購入するとその所持量が上限値を超える場合も、上限値に達する場合の一態様として購入が制限される。また、第2の処理例では、基準比率に従った有償アイテムの購入に関しては制限が設定されない。無償アイテムの購入処理、及びアイテムの消費に関しては、特に言及がない限り、図5及び図6の処理と同様に実施されてよい。
【0049】
ユーザ端末2から有償アイテムの購入が要求されると、ゲームサーバ3は図7の購入処理を開始し、まず購入制限部14により割引比率に関する購入が制限されているか否かを確認する(ステップS401)。この場合、購入制限部14は、ゲーム制御部11からユーザ端末2のユーザIDを取得し、そのユーザIDに対応するアイテムデータDiの購入制限設定の情報に従って割引交換アイテムの購入が制限されているか否かを判別する。ただし、アイテムデータDiの購入制限に関する情報は、交換比率の異同を問わず一律に設定されてよい。
【0050】
ステップS401で割引比率による購入が制限されていると判断された場合、購入制限部14は制限中であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11は割引比率による有償アイテムの購入が選択できないことをユーザ端末2に通知する(ステップS402)。この場合、ユーザ端末2では基準比率による有償アイテムの購入のみが選択可能となるように、有償アイテムの購入操作が制御される。
【0051】
ステップS402の処理後、購入制限部14はステップS403に進む。また、ステップS401にて購入が制限されていないと判断された場合、購入制限部14はステップS402をスキップしてステップS403に進む。ステップS403にて、購入制限部14は、ゲーム制御部11を介してユーザの購入要求(購入内容)を受け取り、得られた購入要求に基づいて有償アイテムの購入量及び交換比率を取得する。続いて、購入制限部14は、今回の購入要求が割引比率によるものであるか否かを判別する(ステップS404)。ステップS401が肯定判断された場合には、基準比率による購入しか選択肢がないためにステップS404は否定判断されるが、ステップS401が否定判断された場合には、ステップS403で判別した交換比率に応じてステップS404の判断結果が分かれる。
【0052】
ステップS404にて割引比率による購入と判断された場合、購入制限部14は、ユーザIDに対応するアイテムデータDiに記録されている割引交換アイテムの所持量をゲーム制御部11及びアイテム管理部13を介して取得する(ステップS405)。この場合、複数の割引比率のそれぞれに対して区分して所持量が記録されている場合には、それらの所持量の合計値を割引交換アイテムの所持量として取得すればよい。その後、購入制限部14は、得られた所持量に今回の購入量を加算した値、つまり割引比率に従って有償アイテムを購入したと仮定した場合の購入後の所持量が所定の上限値を超えるか否かを判別する(ステップS406)。上限値を超えると判断された場合、購入制限部14は上限値を超えるために割引比率による購入が不可能であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11はその購入が不可能であることをユーザ端末2に通知する(ステップS421)。その後、ゲーム制御部11は、ユーザ端末2にてユーザが購入中止を指示したか否かを判別する(ステップS422)。購入中止が指示された場合、図7の処理は終了する。一方、購入中止が指示されない場合はステップS403へと処理が戻される。これは、ユーザ端末2にてユーザが割引比率による購入量を減らすか、又は基準比率による購入へと変更することにより有償アイテムを購入する余地を残すためである。
【0053】
一方、ステップS406にて上限値を超えないと判断された場合、購入制限部14からその判断結果がゲーム制御部11に通知され、ゲーム制御部11からアイテム付与部12に対して有償アイテムの購入要求に応じた処理が指示される。これを受けて、アイテム付与部12は有償アイテムの購入量及び単価(交換比率によって定まる。)に従って購入額を演算し(ステップS407)、決済サーバ4と連携して決済処理を実行する(ステップS408)。次いで、アイテム付与部12は決済処理が成功したか否かを判別し(ステップS409)、成功していれば、アイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量のうち、ステップS403で得られた交換比率に対応する所持量に今回の購入量を加算するように、ゲーム制御部11を介してアイテム管理部13にデータ更新を指示する(ステップS410)。その指示に対応してアイテム管理部13がアイテムデータDiの有償アイテムの所持量を更新することにより、ユーザに有償アイテムが付与され、その付与された量がユーザの所持量として積算される。なお、ステップS409にて決済処理に失敗したと判断された場合にはユーザ端末2に対して決済エラーが通知され(ステップS411)、その後に図7の処理が終了する。
【0054】
有償アイテムの所持量が加算されると、その旨がゲーム制御部11を介して購入制限部14に通知される。購入制限部14は、加算後の割引交換アイテムの所持量が上限値に到達しているか否かを判別し(ステップS412)、到達していれば、アイテムデータDiの購入制限設定の情報に購入制限中であることを示す値を設定する(ステップS413)。ステップS413の処理が終わると、ゲーム制御部11はユーザ端末2に対して購入が完了したことを通知する(ステップS414)。これにより図7の処理が完了する。なお、ステップ412にて、有償アイテムの所持量が上限値に到達していなければステップS413の処理はスキップされてステップS414へと処理が進められる。
【0055】
以上の処理によれば、ユーザが所持する有償アイテムの所持量のうち、割引交換アイテムの所持量が上限値に達すると、その割引交換アイテムの購入制限が設定され(ステップS412、S413)、以降はその制限が解除されるまでステップS401が肯定判断されて割引比率による有償アイテムの購入が禁止される。また、購入制限が設定されていない場合でも、割引比率による有償アイテムの新たな購入によってその所持量が上限値を超える場合にはステップS406が肯定判断され、上限値を超えない範囲で購入量が変更されるか、又は基準比率による購入へと変更されない限り、有償アイテムを購入することはできない。したがって、各ユーザの割引交換アイテムの所持量が所定の許容範囲を超えるおそれを排除することができる。一方で、基準比率による有償アイテムの購入は制限を受けることなく許容される。このような処理は、特に割引比率によって購入されかつ未使用の有償アイテムの量が過度に増加するおそれを排除したい場合に好適である。ただし、第2の処理例において、基準比率による有償アイテムの購入に関しても何らかの制限が設定されてもよい。その場合、通常交換アイテムと、割引比率による割引交換アイテムとの間で制限を生じさせるべき上限値の閾値が一致してもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0056】
(第3の処理例)
図8は、有償アイテムの購入に関してゲームサーバ3が実行する購入処理に関する第3の処理例における手順を示している。第3の処理例は、有償アイテムの購入時の交換比率に関して複数の割引比率が存在していることを前提に、割引比率ごとに有償アイテムの所持量が所定の上限値を超えるか否かを判別し、上限値に達する割引比率に関してのみその割引比率による有償アイテムの購入を制限する例である。つまり、割引比率ごとに所持量に基づく購入制限を区別して設定する例である。既に上限値に達している場合のみならず、ユーザが有償アイテムを購入するとその所持量が上限値を超える場合も、上限値に達する場合の一態様として購入が制限される点は第1及び第2の処理例と同様である。また、第3の処理例では、第2の処理例と同様に、基準比率に従った有償アイテムの購入に関しては制限が設定されない。無償アイテムの購入処理、及びアイテムの消費に関しては、特に言及がない限り、図5及び図6の処理と同様に実施されてよい。ただし、割引比率ごとに購入制限を制御するため、アイテムデータDiの所持量は割引比率ごとに区別して所持量を記録することを要し、かつ購入制限設定の情報も割引比率ごとに区別されることを要する。さらに、図6のステップS310の処理では、割引比率ごとに区別して所持量が上限値に達しているか否かを判別し、上限値に達していない割引比率に関してのみステップS311にて購入制限が解除されるように購入制限設定の情報を更新する必要がある。
【0057】
ユーザ端末2から有償アイテムの購入が要求されると、ゲームサーバ3は図8の購入処理を開始し、まず購入制限部14により、いずれかの割引比率に関して購入が制限されているか否かを確認する(ステップS501)。この場合、購入制限部14は、ゲーム制御部11からユーザ端末2のユーザIDを取得し、そのユーザIDに対応するアイテムデータDiの購入制限設定の情報に従って割引交換アイテムの購入が制限されているか否かを割引比率ごとに区別して判別する。
【0058】
ステップS501で、いずれかの割引比率による購入が制限されていると判断された場合、購入制限部14は購入が制限されている割引比率を対象比率としてその対象比率による購入が制限中であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11は対象比率による有償アイテムの購入が選択できないことをユーザ端末2に通知する(ステップS502)。この場合、ユーザ端末2では購入が制限されている比率以外の交換比率による有償アイテムの購入のみが選択可能となるように、有償アイテムの購入操作が制御される。なお、購入時点でいずれか一種類の割引比率による購入のみが選択肢として設定されている場合であって、その割引比率による購入が制限されているときには、結果として基準比率による購入のみが選択可能となる。あるいは、全ての割引比率に関して購入が制限されている場合にも、基準比率による購入のみが選択可能となる。
【0059】
ステップS502の処理後、購入制限部14はステップS503に進む。また、ステップS501にて、全ての割引比率に関して購入が制限されていないと判断された場合、購入制限部14はステップS502をスキップしてステップS503に進む。ステップS503にて、購入制限部14は、ゲーム制御部11を介してユーザの購入要求(購入内容)を受け取り、得られた購入要求に基づいて有償アイテムの購入量及び交換比率を取得する。続いて、購入制限部14は、今回の購入要求がいずれかの割引比率によるものであるか否かを判別する(ステップS504)。ステップS502の処理の結果として、基準比率による購入しか選択肢が残されていない場合にステップS504は否定判断されるが、ステップS502がスキップされた場合、又はステップS502を経ても選択可能な割引比率が残っている場合には、ステップS503で判別した交換比率に応じてステップS504の判断結果が分かれる。
【0060】
ステップS504にて割引比率による購入と判断された場合、購入制限部14は、ユーザIDに対応するアイテムデータDiに記録されている割引交換アイテムの所持量のうち、ステップS503で取得した割引比率を対象として、その割引比率に対応する所持量をゲーム制御部11及びアイテム管理部13を介して取得する(ステップS505)。その後、購入制限部14は、得られた所持量に今回の購入量を加算した値、つまり対象となる割引比率に従って有償アイテムを購入したと仮定した場合の購入後の所持量が所定の上限値を超えるか否かを判別する(ステップS506)。なお、上限値は全ての割引比率に関して同一の値に設定されてもよいし、少なくとも2つの割引比率間で上限値が異なるように、割引比率ごとに上限値が区別して設定されてもよい。つまり、所持量の許容範囲は割引比率ごとに独立して設定されてもよい。
【0061】
ステップS506にて上限値を超えると判断された場合、購入制限部14は上限値を超えるために、今回選択された割引比率による購入が不可能であることをゲーム制御部11に通知し、ゲーム制御部11はその購入が不可能であることをユーザ端末2に通知する(ステップS521)。その後、ゲーム制御部11は、ユーザ端末2にてユーザが購入中止を指示したか否かを判別する(ステップS522)。購入中止が指示された場合、図8の処理は終了する。一方、購入中止が指示されない場合はステップS503へと処理が戻される。これは、ユーザ端末2にてユーザが同一の割引比率による購入量を減らすか、又は他の交換比率による購入へと変更することにより有償アイテムを購入する余地を残すためである。
【0062】
一方、ステップS506にて上限値を超えないと判断された場合、購入制限部14からその判断結果がゲーム制御部11に通知され、ゲーム制御部11からアイテム付与部12に対して有償アイテムの購入要求に応じた処理が指示される。これを受けて、アイテム付与部12は有償アイテムの購入量及び単価(交換比率によって定まる。)に従って購入額を演算し(ステップS507)、決済サーバ4と連携して決済処理を実行する(ステップS508)。次いで、アイテム付与部12は決済処理が成功したか否かを判別し(ステップS509)、成功していれば、アイテムデータDiに記録されている有償アイテムの所持量のうち、ステップS503で得られた交換比率に対応する所持量に今回の購入量を加算するように、ゲーム制御部11を介してアイテム管理部13にデータ更新を指示する(ステップS510)。その指示に対応してアイテム管理部13がアイテムデータDiの有償アイテムの所持量を更新することにより、ユーザに有償アイテムが付与され、その付与された量がユーザの所持量として積算される。なお、ステップS509にて決済処理に失敗したと判断された場合にはユーザ端末2に対して決済エラーが通知され(ステップS511)、その後に図8の処理が終了する。
【0063】
有償アイテムの所持量が加算されると、その旨がゲーム制御部11を介して購入制限部14に通知される。購入制限部14は、加算後の割引交換アイテムの所持量が上限値に到達しているか否かを判別する(ステップS512)。この場合の判別対象は、ステップS510にて加算された所持量でよい。基準比率による購入であった場合には、所持量を判別することなくステップS512を否定判断して次に進んでよい。ステップS512にて所持量が上限値に到達している場合、購入制限部14は、アイテムデータDiの購入制限設定の情報に、今回の購入で選択された割引比率を対象として購入制限中であることを示す値を設定する(ステップS513)。ステップS513の処理が終わると、ゲーム制御部11はユーザ端末2に対して購入が完了したことを通知する(ステップS514)。これにより図8の処理が完了する。なお、ステップS512にて所持量が上限値に到達していなければステップS512の処理はスキップされてステップS514へと処理が進められる。
【0064】
以上の処理によれば、ユーザが所持する有償アイテムの所持量のうち、割引交換アイテムの所持量が上限値に達するか否かが割引比率ごとに判別され、上限値に達した割引比率に関してはその交換比率による有償アイテムの購入制限が設定され(ステップS512、S513)、以降はその制限が解除されるまでステップS501が肯定判断されて、制限対象の割引比率による有償アイテムの購入が禁止される。また、購入制限が設定されていない場合でも、有償アイテムの新たな購入によってその所持量が上限値を超えるか否かが判別され、上限値に達する場合にはステップS506が肯定判断され、上限値を超えない範囲で購入量が変更されるか、又は他の交換比率による購入へと変更されない限り、有償アイテムを購入することはできない。したがって、各ユーザの割引交換アイテムの所持量を割引比率ごとに区別して許容範囲内に抑えることができる。一方で、基準比率による有償アイテムの購入は制限を受けることなく許容される。また、上限値に達していない割引比率に関しても上限値を超えない範囲で有償アイテムの購入が許容される。このような処理は、第2の処理例と同様に、割引比率によって購入されかつ未使用の有償アイテムの量が過度に増加するおそれを排除したい場合に好適であって、さらには、割引比率ごとにより柔軟に所持量を制限したい場合に特に好適である。ただし、第3の処理例においても、基準比率による有償アイテムの購入に関しても何らかの制限が設定されてもよい。その場合、通常交換アイテムと、割引比率による割引交換アイテムとの間で制限を生じさせるべき上限値の閾値が一致してもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0065】
以上に説明した形態においては、ゲームサーバ3のアイテム付与部12が図4のステップS105〜S108の処理、図7のステップS407〜S410の処理、又は図8のステップS507〜S510の処理のいずれかを実行し、かつ図5のステップS203の処理を実行することにより付与手段の一例として機能する。また、アイテム管理部13は図4のステップS108、図7のステップS410、又は図8のステップS510のいずれか及び図5のステップS203にてアイテムデータDiの所持量を加算し、あるいは図6のステップS304〜S308にてアイテムデータDiの所持量を消費(減算)することにより管理手段の一例として機能する。さらに、購入制限部14は、図4のステップS111、図7のステップS413、又は図8のステップS513のいずれかにて購入制限を設定し、かつ図4のステップS101〜S104の処理、図7のステップS401〜S406の処理、又は図8のステップS501〜S506の処理のいずれかを実行することにより購入制限手段の一例として機能する。
【0066】
本発明は上述した形態に限定されることなく、適宜の変形又は変更を施した形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、有償アイテム全体の所持量、又は少なくとも一つの割引比率にて交換される有償アイテムの所持量が許容範囲を超えるか否かを、所持量と上限値との大小比較によって判別したが、所持量に関して複数の閾値を設定し、閾値ごとに段階的に購入可能な量を減少させるといったごとく、複数段階に分けて制限を設けるようにしてもよい。このような態様からも理解できるように、購入の制限は購入を禁止する例に限らず、購入可能な量を減少させるといったように、制限が課されていない場合と比較して購入に何らかの規制が生じる限り適宜に設定されてよい。
【0067】
上記の形態では、有償アイテムの所持量が許容範囲を超える場合として、その所持量が上限値に達している場合、及び新たな購入により上限値を超える場合の両者を含めているが、例えば上限値に達している場合には新たな購入を禁止し、上限値に達しない場合には一時的に許容できる限度で上限値を超えても有償アイテムを購入できるといったように、許容範囲を超えるか否かの判断に適度の柔軟性を与えてもよい。
【0068】
購入制限は所持量が許容範囲を超えるか否かによって制御されることを必ずしも要しない。例えば、未使用の有償アイテムの量の増加速度を例えば単位期間当たりの購入量と使用量とから判別し、その増加速度が大きい場合に購入に制限を生じさせて増加速度を抑えるといった制御を実行することにより、未使用状態の有償アイテムの増加を適度に制限することも可能である。この場合には明示的な許容範囲を設定することを要しない。
【0069】
上記の形態では、ユーザが無償アイテム又は有償アイテムを使用した時点で購入制限を設定するか否かを判別したが、購入制限を設定するか否かを判断するタイミングは適宜の変更が可能である。例えば、ユーザによるアイテムの使用と関連付けることなく、有償アイテムの所持量を一定周期で監視し、その所持量が上限値に達していた場合に制限を設定するといった変形が可能である。あるいは、ユーザが有償アイテムの購入を要求した時点で、所持量が上限値に達しているか否かを判別するようにしてもよい。購入制限を設定すべきか否かを判断するタイミングの設定によっては、既に上限値に達しても有償アイテムが購入できる期間が生じ得るが、仮に生じたとしてもその期間は一時的なものであり、判断時期を適切に調整すれば、未使用状態の有償アイテムの量を適切に管理するという課題を達成することが可能である。
【0070】
上記の形態では、図4図9の処理のそれぞれをゲームサーバ3にて実行するものとしたが、アイテムデータDiをゲームサーバ3とユーザ端末2とで共有することにより、それらの処理の少なくとも一部をユーザ端末2にて実行するように処理の分担が変更されてもよい。
【0071】
本発明のゲームシステムは、携帯型のユーザ端末2をクライアントとして利用するクライアントサーバ型のシステムとして構成される例に限らない。クライアントは据え置き型のゲーム機、パーソナルコンピュータ、あるいは業務用のゲーム機といった各種のコンピュータがゲームをプレイさせるためのゲーム装置として適宜に利用されてよい。
【0072】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0073】
本発明の一態様に係るゲームシステム(1)は、所定のコンピュータプログラム(PG)に従って、ゲーム内に限って通用する第1のアイテム(一例として有償アイテム)を、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテム(一例として無償アイテム)を、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段(12、S105〜S108;S407〜S410;S507〜S510、S203)、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段(13、S108;S410;S510、S203、S304〜S308)、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段(14、S111;S413;S513、S101〜S104;S401〜S406、S501〜S506)、として機能するように構成されたコンピュータ(3)を含むものである。
【0074】
本発明の一態様に係るゲームシステムの制御方法は、ゲームシステム(1)のコンピュータ(3)を、所定のコンピュータプログラム(PG)に従って、ゲーム内に限って通用する第1のアイテム(一例として有償アイテム)を、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテム(一例として無償アイテム)を、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段(12、S105〜S108;S407〜S410;S507〜S510、S203)、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段(13、S108;S410;S510、S203、S304〜S308)、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段(14、S111;S413;S513、S101〜S104;S401〜S406、S501〜S506)、として機能させるものである。
【0075】
本発明の一態様に係るゲームシステム用のコンピュータプログラム(PG)は、ゲームシステムのコンピュータ(PG)を、ゲーム内に限って通用する第1のアイテム(一例として有償アイテム)を、ユーザによる金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換により当該ユーザに付与する一方で、前記ゲーム内に限って通用する第2のアイテム(一例として無償アイテム)を、前記ユーザによる前記価値との交換を要することなく当該ユーザに付与する付与手段(12、S105〜S108;S407〜S410;S507〜S510、S203)、前記ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムのそれぞれの量をアイテムごとに区別して前記ユーザの所持量として積算し、前記ゲーム内におけるユーザの使用と関連付けて当該ユーザに付与された前記第1のアイテム及び前記第2のアイテムの所持量を消費する管理手段(13、S108;S410;S510、S203、S304〜S308)、及び前記第1のアイテムの前記所持量に基づいて、前記付与手段による前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限する制限手段(14、S111;S413;S513、S101〜S104;S401〜S406、S501〜S506)、として機能させるように構成されたものである。
【0076】
上記の態様によれば、金銭又は当該金銭の代替物のいずれかによって表現される価値との交換によってユーザに付与された第1のアイテムの量がその交換を要することなくユーザに付与される第2のアイテムとは区別してユーザの所持量として積算され、その所持量がユーザによるアイテムの使用と関連付けて消費される。したがって、第1のアイテムに関するユーザの所持量は、ユーザに有償で付与されかつ未使用状態にあるアイテムの量に相当する。そして、第1のアイテムの所持量に基づいて第1のアイテムへの交換を制限することにより、有償で付与されかつ未使用状態にあるアイテムの量が過度に増加しないようにその所持量を適切に管理することができる。
【0077】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0078】
上記態様において、前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量が所定の許容範囲を超える場合に、前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限するものとしてもよい。これによれば、未使用状態にある第1のアイテムの所持量が許容範囲を超えて増加するおそれを解消し、又は低減することが可能である。
【0079】
上記態様において、前記付与手段は、前記価値から前記第1のアイテムへの交換比率を、基準比率と、前記価値を前記基準比率に従って前記第1のアイテムに交換したときに得られる第1のアイテムの量よりも当該第1のアイテムの量が増加する少なくとも一つの割引比率とから、いずれか一つの比率を選択し、選択した比率に従って前記価値を前記第1のアイテムに交換し、前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムの量と、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの量とを区別して積算し、前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づいて、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限してもよい。さらに、前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量が所定の許容範囲を超える場合に、前記割引比率に従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限してもよい。これらの態様によれば、割引比率に従って交換されかつ未使用状態にある第1のアイテムの所持量を適切に管理することができる。そのため、割引比率に従って交換された第1のアイテムの量を適宜に制限する必要がある場合に好適である。
【0080】
また、前記付与手段による前記交換比率の選択範囲には、前記交換比率が異なる複数の割引比率が含まれてもよく、その場合、前記管理手段は、前記第1のアイテムの前記所持量を前記基準比率及び前記複数の割引比率のそれぞれの比率ごとに区別して積算し、前記制限手段は、前記割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量に基づく前記価値から前記第1のアイテムへの交換の制限を、前記割引比率ごとに区別して実施してもよい。これによれば、未使用状態にある第1のアイテムの量を割引比率ごとに適切に管理することが可能である。
【0081】
あるいは、前記付与手段による前記交換比率の選択範囲には、前記交換比率が異なる複数の割引比率が含まれる場合において、前記管理手段は、前記第1のアイテムの前記所持量を前記基準比率及び前記複数の割引比率のそれぞれの比率ごとに区別して積算し、前記制限手段は、前記第1のアイテムの前記所持量のうち、前記複数の割引比率に従って交換された前記第1のアイテムの所持量のそれぞれの合計値に基づき、前記複数の割引比率のそれぞれに従った前記価値から前記第1のアイテムへの交換を制限してもよい。これによれば、複数の割引比率が選択的に使い分けられる場合でも、未使用状態にある第1のアイテムの量を割引比率の異同に関わりなく一括して管理することができる。
【0082】
上記態様において、前記管理手段は、前記基準比率に従って交換された第1のアイテムに優先して、前記割引比率に従って交換された第1のアイテムの所持量を消費するようにしてもよい。これによれば、割引比率に従って交換されかつ未使用状態にある第1のアイテムの所持量の増加を、基準比率に従って交換されかつ未使用状態にある第1のアイテムの所持量の増加に優先して抑制することが可能である。
【0083】
また、前記管理手段は、前記第1のアイテムに優先して、前記第2のアイテムの所持量を消費するようにしてもよい。例えば有償で交換された第1のアイテムに限って使用が許可されるサービスが存在するといったように、第1のアイテムと第2のアイテムのそれぞれのゲーム内における取り扱いに差が存在する場合、ユーザにとっては第1のアイテムのゲーム内における価値が第2のアイテムのそれに比して相対的に大きくなることがある。このような場合に、第1のアイテムに優先して第2のアイテムを消費させることにより、ユーザからみて価値が相対的に大きいアイテムの消費を抑え、それによりアイテムの消費に関するユーザの納得感を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 ゲームシステム
2 ユーザ端末
3 ゲームサーバ
11 ゲーム制御部
12 アイテム付与部
13 アイテム管理部
14 購入制限部
Di アイテムデータ
PG ゲームプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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