特許第6887172号(P6887172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887172
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】平盤打抜き装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/28 20060101AFI20210603BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20210603BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20210603BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20210603BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20210603BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20210603BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B26D7/28
   G01N21/892 A
   G01N21/89 T
   B26F1/40 Z
   B26F1/44 G
   B26D7/18 C
   B65H5/22 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-135879(P2019-135879)
(22)【出願日】2019年7月24日
(65)【公開番号】特開2021-16932(P2021-16932A)
(43)【公開日】2021年2月15日
【審査請求日】2020年3月31日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391047857
【氏名又は名称】旭マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】芝本 優彦
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247291(JP,A)
【文献】 特開2008−127029(JP,A)
【文献】 特開2002−265120(JP,A)
【文献】 特開2013−127412(JP,A)
【文献】 特開2006−346779(JP,A)
【文献】 特開2006−053080(JP,A)
【文献】 特開2008−012778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/28
B26D 7/18
B26F 1/40
B26F 1/44
B65H 5/22
G01N 21/89
G01N 21/892
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部と、
前記プレス部から搬送された被打抜き材からその幅方向に並ぶ複数の製品シートとグリッパーマージンとを残してグリッパーマージン以外の非製品部分を取り除くストリップ部と、
前記ストリップ部から搬送された被打抜き材のグリッパーマージンから前記複数の製品シートを切り離すノックオフ部と、
前記プレス部から前記ストリップ部を経て前記ノックオフ部まで被打抜き材のグリッパーマージンを支持して被打抜き材を搬送するグリッパーバーと、
前記ノックオフ部の下流側に連続して設けられ、前記ノックオフ部から搬送された製品シートの撮影検査を行う検査部とを備える平盤打抜き装置であって、
前記ノックオフ部から搬送された製品シートのうち、不良の製品シートを排出する不良品除去部を備え、
前記ノックオフ部は、前記グリッパーマージンから切り離されたのち、下流側へ搬送さ
れる前記複数の製品シートを、幅方向に仕切る仕切り板を有し、
前記検査部は、前記ノックオフ部と前記不良品除去部の間に設けられていることを特徴
とする平盤打ち抜き装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記グリッパーマージンから切り離された前記製品シートを上面で吸引
搬送するとともに、当該搬送方向に間隔を開けて並ぶ第1、及び第2サクションコンベア
と、前記間隔の下側から搬送される当該製品シートの下面を撮影する下面撮影用カメラと
を備える請求項1に記載の平盤打抜き装置。
【請求項3】
前記間隔の上方において、前記第1サクションコンベアと前記第2サクションコンベア
を掛け渡すように設けられ、下面側で製品シートを吸引搬送する第3サクションコンベア
を備える請求項2に記載の平盤打抜き装置。
【請求項4】
前記検査部は、前記第1、又は前記第2サクションコンベアで前記製品シートを下方か
ら吸引しながら、前記製品シートの上方から撮影する上面撮影用カメラを備える請求項2
、又は請求項3に記載の平盤打抜き装置。
【請求項5】
前記ノックオフ部は、幅方向の両端に、前記グリッパーマージンから切り離された前記
製品シートの平面視における位置ずれを矯正するガイド部材を備える請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の平盤打抜き装置。
【請求項6】
前記ノックオフ部は、前記グリッパーマージンから切り離されたのち、下流側へ搬送さ
れる前記製品シートの後端部上面に当接して、前記製品シートの反りを伸ばすブラシ部を
備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の平盤打抜き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、段ボールシート、厚紙、フィルム等の平盤状部材から、カートンブランク等の製品シートを打抜く平盤打抜き装置に関し、特に、製品シートを撮影検査する検査部を備える平盤打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷工程が終了した段ボールシート等の被打抜き材の打抜き加工を行う平盤打抜き装置では、印刷工程による欠陥と打抜き工程による欠陥とを併せて平盤打抜き装置内で検査することで、検査の効率化と、別途検査装置を設けるための設備費や設置スペースの削減を図る取り組みがなされている。(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【0003】
平盤打抜き装置内で被打ち抜き材を検査用カメラで撮影する場合、グリッパーマージンを支持されて搬送される被打抜き材が上下に揺動するため、被打抜き材の上下動をいかに克服してカメラの焦点を合わせるかが問題となる。
【0004】
そこで、特許文献1では、カートンブランク(被打抜き材)をロールやコンベアにより上下から押えることで、カートンブランクの上下動を抑制しながらカートンブランクの撮影を行う方法が提案されている。
また、特許文献2では、検査機構の撮影機構をカートンブランクの上下動に対応して移動し、カートンブランクの検査面との距離をほぼ一定に保持しながら検査を行う平盤打抜き方法が提案されている。
【0005】
ところが、特許文献1に係る方法では、上下からカートンシートを押えるローラ等の間を、カートンシートを掛止針で引っ張るグリッパーバーが通過することとなるが、このグリッパーバーがカートンシートよりも厚いため、ローラ等の間隔を広げたり狭めたりする必要が有る。このため、特許文献1に係る方法では、上側のローラをアクチュエーターにより上下させているが、ローラの上下動がカートンシートに上下の振動をもたらすため、カートンシートのグリッパーバーに近い側においては、検査用カメラの焦点を正確に合わせることが困難である。
【0006】
また、特許文献2に係る方法では、製品シートを押えないものの、カートンブランクの上下動をリアルタイムで計測する変位センサーや撮影機構とカートンブランクの距離を一定に調整する間隔調整手段等を必要とするため、装置が複雑で高価になるという問題と、カートンブランクの上下動を計測してから間隔調整手段で撮影機構とカートンブランクの距離を調整するまでにタイムラグが発生し、検査が不正確になるという問題が有る。
【0007】
そこで、特許文献3では、被打抜き材をサクションコンベアで上方へ吸引しながら撮影するよう構成した平盤打抜き装置が提案されている。特許文献3の平盤打抜き装置では、サクションコンベアの負圧供給口を下方へ突出させ、当該負圧供給口をグリッパーバーが通過した後、撮影を行うことで、グリッパーバーの厚みによる被打抜き部材の振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−53080号公報
【特許文献2】特開2008−12778号公報
【特許文献3】特開2013−127412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献3の平盤打抜き装置では、検査部が、ストリップ部とノックオフ部の間に設けられているため、ストリップ部やノックオフ部から飛散した紙片くずがカメラの視界に入り込み、誤検知を起こす虞があった。
また、一枚の被打抜き材から複数のカートンブランクを打抜く多丁取りの場合には、被打抜き材が検査部を通過する際に波打つため画像がブレるという問題があった。
加えて、被打抜き材の上側は、被打抜き材がサクションコンベアで支持される前のフリーの状態で撮影されるため被打抜き材が揺動し、やはり画像がブレて誤検知を起こすという問題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、誤検知が少なく、効率よく不良品を検知可能な検査部を備えた平盤打抜き装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部と、前記プレス部から搬送された被打抜き材からその幅方向に並ぶ複数の製品シートとグリッパーマージンとを残してグリッパーマージン以外の非製品部分を取り除くストリップ部と、前記ストリップ部から搬送された被打抜き材のグリッパーマージンから前記複数の製品シートを切り離すノックオフ部と、前記プレス部から前記ストリップ部を経て前記ノックオフ部まで被打抜き材のグリッパーマージンを支持して被打抜き材を搬送するグリッパーバーと、前記ノックオフ部の下流側に連続して設けられ、前記ノックオフ部から搬送された製品シートの撮影検査を行う検査部とを備える平盤打抜き装置であって、前記ノックオフ部から搬送された製品シートのうち、不良の製品シートを排出する不良品除去部を備え、 前記ノックオフ部は、前記グリッパーマージンから切り離されたのち、下流側へ搬送さ
れる前記複数の製品シートを、幅方向に仕切る仕切り板を有し、前記検査部は、前記ノックオフ部と前記不良品除去部の間に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の平盤打抜き装置は、このように、紙片くずの発生しやすいプレス部やストリップ部の途中ではなく、ノックオフ部の搬送方向下流側に検査部を設けたため、検査部に飛散する紙片くずを減少させて、紙片くずが検査画像に映り込むことによる誤検知を抑制できる。
【0012】
前記検査部は、前記グリッパーマージンから切り離された前記製品シートを上面で吸引搬送するとともに、当該搬送方向に間隔を開けて並ぶ第1、及び第2サクションコンベアと、前記間隔の下側から搬送される当該製品シートの下面を撮影する下面撮影用カメラとを備えることとが好ましい。
このように、製品シートの搬送方向に間隔をあけて並ぶ2つのサクションコンベア間で製品シートを受けわたすことで、製品シートに付着した紙片くずを払い落とすことができる。また、製品シートをグリッパーバーから分離した単独の状態で搬送するため、製品シートの上下動を抑制して、製品シートの撮影を行うことができる。
【0013】
本発明の平盤打抜き装置は、前記間隔の上方において、前記第1サクションコンベアと前記第2サクションコンベアを掛け渡すように設けられ、下面側で製品シートを吸引搬送する第3サクションコンベアを備えることが好ましい。
このように、第1サクションコンベアと第2サクションコンベアの間に第3サクションコンベアを設けることで、第1サクションコンベアから第3サクションコンベアへ製品シートが渡る際や、第3サクションコンベアから第2サクションコンベアに製品シートが渡る際に、製品シートに付着した紙片くずを振り落とすことができる。
また、下方から製品シートを撮影する際に、製品シートの搬送方向の端部を、第1、第2サクションコンベアにより下方へ吸引するだけでなく、製品シートの搬送方向の中間部分を第3サクションコンベアで上方へ吸引でき、より振動が少ない状態で製品シートを撮影できる。
【0014】
また、前記検査部は、前記第1、又は前記第2サクションコンベアで前記製品シートを下方から吸引しながら、前記製品シートの上方から撮影する上面撮影用カメラを備えることが好ましい。グリッパーバーから分離して単体となった製品シートのみをサクションコンベアで下方へ吸引しながら搬送することで、製品シートの振動を効果的に抑制できる。この状態で情報から製品シートの上側を撮影することで、ブレの少ない画像を撮影することができる。
【0015】
前記ノックオフ部は、幅方向の両端に、前記グリッパーマージンから切り離された前記製品シートの平面視における位置ずれを矯正するガイド部材を備えることが好ましい。
こうすることで、製品シートが幅方向のスライドや回転による位置ずれを抑制できるため、より正確に製品シートを撮影できる。
【0016】
前記ノックオフ部は、前記グリッパーマージンから切り離されたのち、下流側へ搬送される前記製品シートの後端部上面に当接して、前記製品シートの反りを伸ばすブラシ部を備えることが好ましい。製品シートが上下方向に湾曲したり、波打ったりしている場合、下流側に搬送される製品シートの後端部上面に、かかるブラシ部を当接することにより、その摩擦力で、製品シートの後端を後方へ引っ張って、製品シートの湾曲や波打ちを伸ばして製品シートを平らにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の平盤打抜き装置によれば、紙片くずの影響や、被打抜き材の上下動を抑制して、誤検知の少ない撮影検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一の実施形態に係る平盤打抜き装置の内部を透視して示した側面図である。
図2図1に示した検査部を拡大して示した側面図である。
図3図1に示したノックオフ部、及び検査部の内部を透視して示した平面図である。
図4図1に示したノックオフ部の内部を透視して示した平面図である。
図5図4のブラシ部の作用を側面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。ただし、本願発明は以下の実施の形態に限られるものではない。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る平盤打抜き装置1を示している。平盤打抜き装置1は、図1に示すように、フィーダー部2と、プレス部3と、ストリップ部4と、ノックオフ部5と、検査部6と、不良品除去部7と、デリバリー部8と、搬送手段9とを備えている。図1では、右側が被打抜き材Aの搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という。)を、左側が搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という。)を示している。また、以下、被打抜き材Aの搬送方向を単に、「搬送方向」という。
【0021】
フィーダー部2は、図1に示すように、平盤打抜き装置1の最上流側に設けられる。フィーダー部2は、印刷面を下側にして積み重ねた被打抜き材Aを、下流側に隣接するプレス部3に下側から1枚ずつ送り出すよう構成されている。
【0022】
搬送手段9は、被打抜き材AのグリッパーマージンCに不図示の掛止針を突き刺して被打抜き材Aを保持するグリッパーバー91と、グリッパーバー91を所定間隔ごとに備えるエンドレスなローラチェーン92と、ローラチェーン92が架け渡される回転ホイール93,94とを備えている。回転ホイール93,94は、ローラチェーン92をプレス部3の打抜きサイクルに伴って間欠的に回転駆動し、被打抜き材Aを、プレス部3、ストリップ部4、及びノックオフ部5の各部ごとに停止させながら搬送する。
【0023】
プレス部3は、被打抜き材Aに所定の型をプレスするプレス打抜き型31を有しており、プレス打抜き型31により、被打抜き材Aに繋ぎ代を僅かに残した状態で切り込み線を設け、被打抜き材Aを一又は複数の製品シートBとグリッパーマージンCと非製品部分からグリッパーマージンCを除いた部分(不図示)とに区切るよう構成されている。
【0024】
ストリップ部4は、プレス部3に隣接して下流側に設けられ、プレス部3でプレスされた被打抜き材Aが搬送される。ストリップ部4は、ストリッピング上型41と、ストリッピング下型42とを備えており、被打抜き材Aから製品シートBとグリッパーマージンCとを残してグリッパーマージンC以外の非製品部分を取り除くよう構成されている。
【0025】
ノックオフ部5は、図1に示すようにストリップ部4の下流側に隣接して設けられる。ノックオフ部5は、図4に示すように、下流側の端部に設けられるノックオフハンマー51、及びノックオフテーブル52と、上流側の端部に設けられるブラシ装置53、及びシート受け54と、幅方向(図4の上下方向)の両端に設けられるサイドガイド部55,55と、幅方向の中央に設けられる仕切り板56と、床板57(図5参照)とを備えている。ノックオフハンマー51とノックオフテーブル52は、協働して被打抜き材Aから製品シートBを切り離すよう構成されている。
【0026】
ブラシ装置53は、ノックオフ部5の幅方向に架け渡される回動軸531と、回動軸531に基端側を片持ち支持されるブラシ部532とで構成される。ブラシ部532は、回動軸531に沿って並べた多数の毛から成るブラシ532aと、ブラシ532aの先端を露出するようにして挟持する2つ折りの金属板532bとを有している。ブラシ部532は、図5に示すように、先端を床面近くへ下ろした状態と、先端を下流側へ略水平に延ばした状態との間で回動する。
【0027】
シート受け54は、図4図5に示すように、ブラシ部532の下ろした先端の直下において、ノックオフ部5の幅方向に架け渡すように設けられる長板状をなしている。シート受け54は、上流側(図5右側)に設けられた敷板収納部54aから下流側へ延出する敷板54bを備えている。ブラシ部532が下がると、敷板54bが下流側へ延出し、ブラシ部532と敷板54bとが協働し、グリッパーマージンCから切り離されて下流側へ搬送される製品シートBの後端部を挟むように構成されている。
ブラシ装置53、及びシート受け54は、製品シートBのサイズに合わせて、モータ58、及びスクリュー軸59により、搬送方向に沿ってスライド可能に構成されている。
【0028】
サイドガイド部55は、摺動軸551と摺動軸551に沿って摺動可能に並べられる複数のガイドブロック(ガイド部材)552,552,…と、摺動軸551をノックオフ部5の幅方向にスライドさせるスライド操作バー553と、スライド補助軸554とを主に備えている。摺動軸551、及びガイドブロック552,…は、シート受け54の下側を潜るように設けられている。ガイドブロック552は、樹脂製のブロックからなり、ブラシ装置53、及びシート受け54が下流側に移動すると、図4に示すように、シート受け54に押されて、摺動軸551に沿って摺動軸551の下流側の端部へ間隔を詰めるようにして集められる。
【0029】
検査部6は、図2に示すように、搬送方向(図2の左右方向)に間隔66を開けて並ぶ第1サクションコンベア61、及び第2サクションコンベア62と、間隔66の上方において、第1サクションコンベア61と第2サクションコンベア62を掛け渡すように設けられる第3サクションコンベア63と、下側から製品シートBを撮影する下面撮影用カメラ64、及び上側から製品シートBを撮影する上面撮影用カメラ65と、それぞれ下側、及び上側らから製品シートを照らすLEDライト69,69とを備えている。
【0030】
各サクションコンベア61,62,63は、図3に示すように、それぞれ幅方向に複数本が並列されるサクションベルト67,67,…と、製品シートBを吸引するための負圧を供給するサクションボックス68(図2参照)とを備えている。サクションボックス68は、不図示の空気ポンプに吸引されて内部に負圧が形成されている。サクションベルト67,67,…は、多数の負圧供給孔67aが周回状に穿設されている。サクションボックス68の、上方、又は下方には、搬送方向に延びる負圧供給スリット68aが設けられており、サクションベルト67は、負圧供給スリット68aから供給された負圧を、負圧供給孔67aを介して、製品シートBに供給する。第1、及び第2サクションコンベア61,62は負圧供給スリット68aが上側に設けられ、上面で製品シートを下方へ吸引するよう構成され、第3サクションコンベア63は、負圧供給スリット68aが下側に設けられ、下面で製品シートBを上方へ吸引するよう設けられている。
第3サクションコンベア63は、通過する製品シートBの厚みに合わせて昇降するよう設けられている。
【0031】
下面撮影用カメラ64は、図2に示すように、第3サクションコンベア63により上方へ吸引されながら間隙66の上方を通過する製品シートBの下面を、下側から直接的に、又はミラー等を介して間接的に撮影するよう構成されている。
【0032】
上面撮影用カメラ65は、第3サクションコンベア63を通過したのち、第2サクションコンベア62により下方へ吸引されながら搬送される製品シートBの上面を、第3サクションコンベア63の下流側の端部よりやや後方において、上側から直接的、又は間接的に撮影するよう構成されている。
【0033】
検査部6は、下面撮影用カメラ64、及び上面撮影用カメラ65から送付された製品シートBの状態に関する情報に基づいて、製品シートBの良否を判断し、後述する不良品除去部7に不良品を除去するよう指示する制御部(図示せず)を備えている。
【0034】
不良品除去部7は、図1に示すように、検査部6に隣接して下流側に設けられる。不良品除去部7は、製品シートBを上方へ吸引しながら搬送する第4サクションコンベア71と、第4サクションコンベア71の隣接するサクションベルトルト(図示せず)の間から下方へ出退して、不良の製品シートを下方へ突き落す突き落とし手段72と、突き落とし手段72に突き落とされた不良の製品シートを受け止めて製品シートBの搬送方向に垂直な方向に搬出する不良品搬出コンベア73とを備えている。
【0035】
デリバリー部8は、図1に示すように不良品除去部7の下流側に連続して設けられる。デリバリー部8は、良品と判断されて不良品除去部7で除去されずに搬送されたてきた製品シートBを上方へ吸引しながら搬送する第5サクションコンベア81と、良品の製品シートBを下方へ突き落とす突き落とし手段82と、突き落とし手段82により突き落とされた良品の製品シートBを受け止めて収容する昇降コンベア84と、第5サクションコンベア81と昇降コンベア84の間に出退するアンローディング部83と、良品の製品シートBを搬出する搬出コンベア85とを備えている。昇降コンベア84は、突き落とし手段82により突き落とされた良品の製品シートを受け止める上位位置と、積層された製品シートを搬出コンベア85に受け渡す下位位置との間を昇降するよう設けられている。アンローディング部83は、昇降コンベア84が下位位置へ降下して上位位置に復帰するまでの間、突き落とし手段82により突き落とされた良品の製品シートBを仮受けする。
【0036】
次に、本実施形態の平盤打抜き装置1を用いて、被打抜き材Aから製品シートBを打ち抜き、これを検査する手順について説明する。
まず、図1に示すように、被打抜き材Aを積層して、フィーダー部2にセットする。フィーダー部2にセットされた被打抜き材Aは、下側から1枚ずつ下流へ搬送され、プレス部3の入口で、グリッパーバー91によりグリッパーマージンCを支持される。
【0037】
グリッパーバー91に支持された被打抜き材Aは、プレス部3、ストリップ部4及びノックオフ部5の各部に停止するよう搬送手段9により間欠的に搬送される。被打抜き材Aは、プレス部3において、所定形状の切り込み線をプレスされ、ストリップ部4においてグリッパーマージンC以外の非製品部分を除去される。
【0038】
ストリップ部4からノックオフ部5に搬送された被打抜き材Aは、グリッパーバー91に支持されたグリッパーマージンCが、ノックオフハンマー51とノックオフテーブル52の上下方向の間を通過したタイミングで、下降するノックオフハンマー51により、製品シートBが突き落とされてグリッパーマージンCから分離される。製品シートBから分離されたグリッパーマージンCは、ノックオフ部5の上部に設けられるグリッパーマージン回収部10に回収される。
【0039】
突き落とされた製品シートBは、搬送方向下流側の端部が第1サクションコンベア61の上流側端部に受け止められ、搬送方向上流側の端部が、シート受け54に受け止められる。このタイミングで、ブラシ部532が、回動軸531周りに回動して下降し、同時に敷板収納部54aから下流側へ進出してきた敷板54bと協働して、製品シートBの後端を挟持する。これにより、図5に示すように、製品シートBの撓みを修正し、また、製品シートBが所定のタイミングより早く次の検査部6へ搬送されることを抑制する。
【0040】
ノックオフハンマー51により突き落とされた製品シートBは、幅方向の両端を一対のサイドガイド部55,55のガイドブロック552,552,…により案内されて、平面視における幅方向、及び回転方向の位置ずれを矯正される。図4では、2点鎖線で、被打抜き材Aから幅方向に並ぶ2枚の製品シートB,Bを打抜く例を示しており、この場合、製品シートBの幅方向の中央側の端部は、仕切り板56により案内される。
【0041】
こうして、ノックオフ部5で、撓み、水平方向の位置ずれ、及び搬送のタイミングを矯正された製品シートBは、図2に示すように、第1サクションコンベアにより、下面を吸引されながら検査部6へ搬送される。製品シートBは、第3サクションコンベア63に達すると、第1サクションコンベア61、及び/又は、第2サクションコンベア62と、第3サクションコンベア63により挟まれながら搬送され、この間、下面撮影用カメラ64により印刷のある下面が撮影される。製品シートBの第3サクションコンベア63を通過した部分は、上面撮影用カメラ65によって上面を撮影される。
【0042】
このように、本発明の平盤打抜き装置1は、製品シートBの後端部分をブラシ部532、及び下敷き532で挟持することで、製品シートBの撓みと搬送のタイミング(搬送方向の位置ずれ)を矯正し、サイドガイド部55で、製品シートBの幅方向、及び水平面内での回転ずれを矯正し、より正しい姿勢で、製品シートBを検査部6へ搬送するので、より鮮明に製品シートBを撮影することができる。
【0043】
また、本発明の平盤打抜き装置1は、検査部6をノックオフ部5の下流側に設け、製品シートBが、グリッパーバー91Cから分離された状態で、検査部6における第1、及び第2サクションコンベア61,62と、第3サクションコンベア63の間を通過するようにしたので、グリッパーバー91の厚みによる製品シートBの上下動を解消でき、これによっても、鮮明に製品シートBを撮影することができる。
【0044】
また、検査部6をノックオフ部5の下流側に設けたことにより、検査部6がプレス部3やストリップ部4から遠くなったため、プレス部3やストリップ部4で発生した紙片くずが検査部に飛散することを抑制できる。
【0045】
さらに、検査部6では、製品シートBを、第1サクションコンベア61から第2サクションコンベア62へ、間隙66を介して受け渡すため、この受け渡しの際に製品シートbに付着した紙片くずを払い落とすことができる。加えて、検査部6では、第3サクションコンベア63を有し、製品シートBを、第1サクションコンベア61から第3サクションコンベア63へ受け渡すことによっても、第3サクションコンベア63から第2サクションコンベア62へ受け渡すことによっても、製品シートBから紙片くずを払い落とすことができる。このように、紙片くずの飛散や製品シートBへの付着を抑制することで、撮影画像に紙片くずが映り込むことによる誤判定を抑制できる。
【0046】
撮影検査を終え、不良品除去部7に搬送された製品シートBは、不良品と判断された場合、突き落とし手段72により下方へ突き落され、不良品搬出コンベア73に受け止められて排出される。不良品除去部7へ搬送された製品シートBのうち、良品と判断された製品シートBは、下流のデリバリー部8の第5サクションコンベア81に受け渡される。第5サクションコンベア81により昇降コンベア84の直上まで搬送された良品の製品シートBは、突き落とし手段82により突き落とされ、昇降コンベア84により受け止められる。昇降コンベア84に所定枚数の製品シートが積層されると、昇降コンベア84は下降して搬出コンベア85に積層された状態の製品シートBを受け渡す。
【0047】
本発明の平盤打抜き装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、第3サクションコンベアは、備えなくともよい。また、第3サクションコンベアの上流側で製品シートの上面を撮影するようにしてもよい。ブラシ装置や下敷き、サイドガイド、仕切り板は、備えなくともよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の平盤打抜き装置は、以上説明したように被打抜き材の上下動、平面視における位置ずれ、及び紙片くずの飛散を効果的に抑制して、より鮮明に製品シートを撮影できるため、微小な傷も許されないカートンブランク等の製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 平盤打抜き装置
3 プレス部
4 ストリップ部
5 ノックオフ部
532 ブラシ部
55 ガイド部材
6 検査部
61 第1サクションコンベア
62 第2サクションコンベア
63 第3サクションコンベア
64 下面撮影用カメラ
65 上面撮影用カメラ
66 間隔
91 グリッパーバー
図1
図2
図3
図4
図5