特許第6887175号(P6887175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887175単板選別制御装置、単板選別制御方法および単板選別制御用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887175
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】単板選別制御装置、単板選別制御方法および単板選別制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
   B27D 1/00 20060101AFI20210603BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B27D1/00 B
   G05B19/418 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-198330(P2019-198330)
(22)【出願日】2019年10月31日
(65)【公開番号】特開2021-70238(P2021-70238A)
(43)【公開日】2021年5月6日
【審査請求日】2021年2月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155182
【氏名又は名称】株式会社名南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃司
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−205306(JP,A)
【文献】 特開2006−322774(JP,A)
【文献】 特開2017−87461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/00− 3/04
B27L 5/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥の検出状態に応じて単板を複数の品質ランクに選別する際の選別条件を複数種類の欠陥毎に設定する選別条件設定部と、
複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる複数の単板画像データが記憶された画像記憶部から上記複数の単板画像データを取得する単板画像取得部と、
上記単板画像取得部により取得された複数の単板画像データをそれぞれ画像解析することにより、上記複数種類の欠陥を検出する欠陥検出部と、
上記欠陥検出部により検出された上記複数種類の欠陥の検出状態に基づいて、上記選別条件設定部により設定された選別条件に従って、上記単板画像取得部により取得された上記複数の単板画像データについてそれぞれ上記複数種類の欠陥毎に欠陥別品質ランクを判定し、当該欠陥別品質ランクを総合判定して、上記複数の単板画像データに対応する単板をそれぞれ上記複数の品質ランクに選別する品質ランク選別部と、
上記単板画像取得部により取得された上記複数の単板画像データについて上記品質ランク選別部により選別された上記複数の品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計する集計部と、
上記集計部により集計された結果を画面上に表示させる表示制御部と、
を備えたことを特徴とする単板選別制御装置。
【請求項2】
上記単板画像取得部により取得された上記複数の単板画像データについて上記品質ランク選別部により上記複数種類の欠陥毎に判定された上記欠陥別品質ランクに基づいて、上記複数種類の欠陥毎に、複数の欠陥別品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計する第2の集計部を更に備え、
上記表示制御部は、上記集計部により集計された結果と選択的または同時に、上記第2の集計部により集計された結果を画面上に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の単板選別制御装置。
【請求項3】
上記単板画像取得部は、単板の生産元となる原木の産地および樹種の少なくとも一方を指定して、当該指定の内容に関する上記複数の単板画像データを上記画像記憶部から選択的に取得する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の単板選別制御装置。
【請求項4】
実際に生産された単板について欠陥が存在する面を撮影して得られる単板画像データを逐次取得する第2の単板画像取得部と、
シミュレーションモードまたは本番モードの何れかを設定するモード設定部とを更に備え、
上記モード設定部により上記シミュレーションモードが設定された場合は、上記単板画像取得部により上記画像記憶部から取得された複数の単板画像データを用いて、上記選別条件設定部により設定された選別条件に従って、上記欠陥検出部、上記品質ランク選別部および上記集計部の処理を実行し、上記表示制御部が上記集計部による集計結果を画面上に表示させ、
上記モード設定部により上記本番モードが設定された場合は、上記第2の単板画像取得部により逐次取得される単板画像データを用いて、上記選別条件設定部により設定された選別条件に従って、上記欠陥検出部、上記品質ランク選別部および上記集計部の処理を実行し、上記集計部による集計が逐次行われる都度、上記表示制御部が上記集計部による集計結果を画面上に更新して表示させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の単板選別制御装置。
【請求項5】
コンピュータの選別条件設定部が、欠陥の検出状態に応じて単板を複数の品質ランクに選別する際の選別条件を複数種類の欠陥毎に設定するステップと、
上記コンピュータの単板画像取得部が、複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる複数の単板画像データが記憶された画像記憶部から上記複数の単板画像データを取得するステップと、
上記コンピュータの欠陥検出部が、上記単板画像取得部により取得された複数の単板画像データをそれぞれ画像解析することにより、上記複数種類の欠陥を検出するステップと、
上記コンピュータの品質ランク選別部が、上記欠陥検出部により検出された上記複数種類の欠陥の検出状態に基づいて、上記選別条件設定部により設定された選別条件に従って、上記単板画像取得部により取得された上記複数の単板画像データについてそれぞれ上記複数種類の欠陥毎に欠陥別品質ランクを判定し、当該欠陥別品質ランクを総合判定して、上記複数の単板画像データに対応する単板をそれぞれ上記複数の品質ランクに選別するステップと、
上記コンピュータの集計部が、上記単板画像取得部により取得された上記複数の単板画像データについて上記品質ランク選別部により選別された上記複数の品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計するステップと、
上記コンピュータの表示制御部が、上記集計部により集計された結果を画面上に表示させるステップと、
を有することを特徴とする単板選別制御方法。
【請求項6】
欠陥の検出状態に応じて単板を複数の品質ランクに選別する際の選別条件を複数種類の欠陥毎に設定する選別条件設定手段、
複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる複数の単板画像データが記憶された画像記憶部から上記複数の単板画像データを取得する単板画像取得手段、
上記単板画像取得手段により取得された複数の単板画像データをそれぞれ画像解析することにより、上記複数種類の欠陥を検出する欠陥検出手段、
上記欠陥検出手段により検出された上記複数種類の欠陥の検出状態に基づいて、上記選別条件設定手段により設定された選別条件に従って、上記単板画像取得手段により取得された上記複数の単板画像データについてそれぞれ上記複数種類の欠陥毎に欠陥別品質ランクを判定し、当該欠陥別品質ランクを総合判定して、上記複数の単板画像データに対応する単板をそれぞれ上記複数の品質ランクに選別する品質ランク選別手段、
上記単板画像取得手段により取得された上記複数の単板画像データについて上記品質ランク選別手段により選別された上記複数の品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計する集計手段、および
上記集計手段により集計された結果を画面上に表示させる表示制御手段
としてコンピュータを機能させるための単板選別制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単板選別制御装置、単板選別制御方法および単板選別制御用プログラムに関し、特に、原木から生産される単板を欠陥の状態に応じて複数の品質ランクに選別する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、合板や単板積層材の板材を製造するための単板は、自然物である原木をベニヤレースで切削することにより生産される。例えば合板は、原木から生産された複数の単板を重ね合わせ、接着剤により接着することにより製造される。原木から生産される単板には、各種各様の欠陥が含まれている。その欠陥の種類や大きさ、数などによって、個々の単板が複数の品質ランクの何れかに選別される。そして、単板はその品質ランクに応じて、合板において表板として使用されるもの、裏板として使用されるもの、表板と裏板との間に隠れる心板として使用されるものの何れかに割り当てられる。
【0003】
なお、単板が有する複数種類の欠陥(角カケ、カビ変色、割れ、鋸跡、節、黒色性、虫穴、ピンホール、ヤニツボ、腐れ、刃こぼれ痕、あて、メワレ、メマワレ、層間剥離、逆目、皮、ツル跡、色変化、刃詰り、刃口ゴミなど)を検出し、それらの総合的な欠陥の程度に応じて単板のグレードを判定して選別堆積するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、合板の表板に使用できるグレード、裏板に使用できるグレード、芯板に使用できるグレード、寸法不足や補修が必要なグレードの何れであるかを判定することが開示されている。また、各種類の欠陥に対応した複数の判定項目ごとに判定パラメータ(欠陥として検出するための閾値)を調整可能であることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−205306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムにおいて、欠陥として検出するための判定パラメータに厳しい条件の値を設定すると、表板に使用できる高品質のグレードに選別される単板の数は減り、その分、裏板に使用される中品質のグレードまたは芯板に使用される低品質のグレードに選別される単板の数が増える。逆に、判定パラメータに緩い条件の値を設定すると、表板に使用できる高品質のグレードに選別される単板の数は増え、その分、裏板に使用される中品質のグレードまたは芯板に使用される低品質のグレードに選別される単板の数が減る。すなわち、単板が有する欠陥の種類、大きさ、数などが同じであっても、設定する判定パラメータの値によって、その単板が選別されるグレードが変わる。
【0006】
何れかのグレードに選別された単板は、表板、裏板、心板の何れかに割り当てられるが、効率よく合板を製造するためには、それぞれのグレードの単板が最適な量となるように選別する必要がある。しかも、合板の用途(例えば、合板を使用して製造する最終製品)に応じて、グレードの選別に関してどの種類の欠陥をどの程度重要視するかを考慮して、各判定項目の判定パラメータを適切に設定する必要がある。すなわち、どの種類のどの程度の欠陥をどのグレードに選別するかという品質管理に関する調整と、総合評価として各グレードに選別される単板の数量の比率管理に関する調整とのバランスを考慮した上で、各判定項目の判定パラメータを適切に設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムを用いた場合、判定パラメータを初期設定して、実際に生産される複数の単板を複数のグレードに選別し、オペレータがその選別結果を見て判定パラメータの設定が適切かどうかを確認し、適切でなければ判定パラメータを調整するという作業を、選別結果が適切になるまで繰り返し行う必要がある。そのため、生産される複数の単板を各グレードに適切に選別できるようにするための判定パラメータの調整に多くの時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、生産される複数の単板を複数の品質ランクに適切に選別するための選別条件の調整を短時間で行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる複数の単板画像データが記憶された画像記憶部から複数の単板画像データを取得して、当該複数の単板画像データのそれぞれについて複数種類の欠陥を検出する。そして、その欠陥の検出状態に基づいて、複数種類の欠陥毎に設定した選別条件に従って、複数の単板画像データについてそれぞれ複数種類の欠陥毎に欠陥別品質ランクを判定し、当該欠陥別品質ランクを総合判定して、複数の単板画像データに対応する単板をそれぞれ複数の品質ランクに選別する。さらに、複数の単板画像データについて選別された複数の品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計し、その集計結果を画面上に表示させるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、画像記憶部に記憶されている複数の単板画像データを用いて欠陥の検出および単板の各品質ランクへの選別が行われ、その選別結果を利用して集計された各品質ランクの単板の数量または数量比が画面上に表示される。そして、画面表示により確認した単板の数量比が適切でないと判断した場合は、どの種類の欠陥をどの程度重要視するかを考慮しながら選別条件を調整した上で、複数の単板画像データを用いて再び欠陥の検出および単板の各品質ランクへの選別を行い、各品質ランクの単板の数量または数量比を画面上に表示させて、選別条件の調整の結果を確認することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、実際に生産される複数の単板を複数の品質ランクに順次選別し、オペレータがその選別結果を見て欠陥毎の選別条件を調整した後、調整した選別条件の下で実際に生産される複数の単板の各品質ランクへの選別が適切に行われているかどうかを確認するという作業を行う必要がなく、画像記憶部に記憶されている複数の単板画像データに対するコンピュータ上の処理のみによって選別条件の調整を行うことができる。これにより、生産される複数の単板を複数の品質ランクに適切に選別するための選別条件の調整を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態による単板選別制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】選別条件設定部による欠陥毎の選別条件の設定例(一部)を示す図である。
図3】第1の集計部により集計された結果の表示例を示す図である。
図4】第2の集計部により集計された結果の表示例を示す図である。
図5】単板の画像を欠陥の検出結果と共に表示する例を示す図である。
図6】第2の実施形態による単板選別制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による単板選別制御装置の機能構成例を示すブロック図である。第1の実施形態による単板選別制御装置10は、単板製造工場または管理オフィス等に設置されるパーソナルコンピュータ等の端末、あるいは、インターネット等の通信ネットワークを介して端末からアクセス可能なサーバとして実装されるものである。
【0014】
図1に示すように、第1の実施形態による単板選別制御装置10は、機能構成として、選別条件設定部11、単板画像取得部12、欠陥検出部13、品質ランク選別部14、第1の集計部15、第2の集計部16および表示制御部17を備えている。また、単板選別制御装置10は、記憶媒体として、選別条件記憶部101および選別結果記憶部102を備えている。なお、ここでは単板選別制御装置10が選別条件記憶部101および選別結果記憶部102を備える構成について示しているが、選別条件記憶部101および選別結果記憶部102を単板選別制御装置10の外部記憶装置として備える構成としてもよい。
【0015】
上記各機能ブロック11〜17は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜17は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶された単板選別制御用プログラムが動作することによって実現される。
【0016】
また、単板選別制御装置10には、画像記憶部100、操作装置200および表示装置300が接続されている。画像記憶部100は、複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる複数の単板画像データ(詳細は後述する)を記憶する外部記憶装置である。操作装置200は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等により構成される。表示装置300は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等により構成される。本実施形態の単板選別制御装置10は、画像記憶部100に記憶されている複数の単板画像データを解析し、当該複数の単板画像データに対応する複数の単板を複数の品質ランクに選別することに関するシミュレーションを行うものである。
【0017】
選別条件設定部11は、図示しない切削システムにおいて原木から生産される単板が有している欠陥の検出状態に応じて単板を複数の品質ランクに選別する際の選別条件を複数種類の欠陥毎に設定する。例えば、選別条件設定部11は、複数種類の欠陥毎に、それぞれの品質ランクにおいて許容可能な値の条件を、操作装置200に対するユーザ操作に応じて設定する。複数種類の欠陥は、例えば、穴・抜節、ピンホール、節、欠け、割れ、横割れ(ノコ目)、板端の割れ、ヤニ・入皮、脆弱部、刃傷、虫穴、カビ、色ムラなどである。これらの欠点について条件として設定可能な値は、例えば、矩形形状をした単板の長手方向のサイズ、板幅方向のサイズ、個数、面積などである。なお、ここに示した欠陥の種類は一例であり、これに限定されるものではない。
【0018】
図2は、選別条件設定部11による欠陥毎の選別条件の設定例(一部)を示す図である。ここでは、単板を複数種類の欠陥毎にA,B,C3つの品質ランクに選別する場合の例を示している。Aランクが最も品質が高く、Cランクが最も品質が低い。後述するように、複数種類の欠陥毎に選別された品質ランクの結果を総合判定して単板をA〜Cの何れかの品質ランクに選別するが、例えば、Aランクに選別された単板は合板の表板に割り当てられ、Bランクに選別された単板は裏板に割り当てられ、Cランクに選別された単板は心板に割り当てられる。
【0019】
図2において、“Min”と表記されている部分の値は、欠陥として検出する最小値を示すものであり、欠陥の検出条件に相当する。“A”,“B”,“C”と表記されている部分の値は、それぞれの品質ランクにおいて許容可能な最大値を示すものであり、品質ランクの選別条件に相当する。例えば、穴・抜節(長手径)について説明すると、長手方向のサイズが5mm以上の穴・抜節を欠陥として検出することが検出条件として設定されている。この場合、長手方向のサイズが5mmより小さいサイズの穴・抜節については、単板上に仮に存在していても欠陥として検出しないことになる。
【0020】
また、図2の例では、1枚の単板から長手方向のサイズが30mm以下の穴・抜節しか検出されない場合はAランクとし、長手方向のサイズが30mmより大きい穴・抜節が少なくとも1つは検出されているが何れも50mm以下の場合はBランクとし、長手方向のサイズが50mmより大きい穴・抜節が少なくとも1つは検出されているが何れも80mm以下の場合はCランクとすることが選別条件として設定されている。なお、長手方向のサイズが80mmを超える穴・抜節が1つでも検出された場合は、A〜Cの品質ランク外とされる。
【0021】
なお、“Min”の値は、上述のように欠陥の検出条件を示すものであるが、それと同時に、Aランクに選別するための最小値を示しているとも言える。よって、以下では、この“Min”の値も品質ランクの選別条件の1つとして説明する。
【0022】
選別条件設定部11は、図2に例示したように、複数種類の欠陥毎に品質ランクの選別条件(“Min”,“A”,“B”,“C”の項目)を任意に設定可能な条件設定画面を生成して表示制御部17に供給し、当該条件設定画面を表示装置300に表示させる。そして、操作装置200に対するユーザ操作を通じて当該条件設定画面に対して入力される値に基づいて、複数種類の欠陥毎の選別条件を設定する。そして、設定された選別条件の情報を選別条件記憶部101に記憶させる。なお、選別条件設定部11は、操作装置200に対するユーザ操作を通じて、複数種類の欠陥のうち、どの欠陥を検出してどの欠陥を検出しないかを検出条件として設定することも可能である。
【0023】
単板画像取得部12は、画像記憶部100から複数の単板画像データを取得する。上述したように、画像記憶部100に記憶されている単板画像データは、複数の単板について欠陥が存在する面をそれぞれ撮影して得られる画像データである。具体的には、板材製造において実際に生産された複数の単板の平面をカメラで1枚ずつ撮影することによって得られる画像データを画像記憶部100に記憶させている。
【0024】
なお、画像記憶部100は、単板の生産元となる原木の産地毎および/または樹種毎に識別可能な態様で複数の単板画像データを記憶してもよい。例えば、ある特定の産地および樹種に係る原木から複数の単板を生産したときに、それらの単板を撮影することによって得られた複数の単板画像データを1つのフォルダ内に保存する。別の日に、上記と同じ産地および樹種に係る原木から複数の単板を生産したときに、それらの単板を撮影することによって得られた複数の単板画像データを上記と同じフォルダに追加して保存するようにしてもよい。
【0025】
同様に、ある特定の産地に係る原木(樹種は同じでも異なっていてもよい)から生産された複数の単板の撮影画像データを1つのフォルダ内にまとめて保存するようにしてもよいし、ある特定の樹種に係る原木(産地は同じでも異なっていてもよい)から生産された複数の単板の撮影画像データを1つのフォルダ内にまとめて保存するようにしてもよい。また、ここではフォルダに分けて単板画像データを識別する例について説明したが、所定の識別情報を各単板画像データに付与することによって識別するようにしてもよい。
【0026】
このように、単板の生産元となる原木の産地毎および/または樹種毎に識別可能な態様で複数の単板画像データが画像記憶部100に記憶されている場合、単板画像取得部12は、単板の生産元となる原木の産地および樹種の少なくとも一方を指定して、当該指定内容に関する複数の単板画像データを画像記憶部100から選択的に取得するようにしてもよい。原木から生産される単板に生じる欠陥の種類や程度は、原木の産地や樹種によって異なる傾向となる場合がある。そこで、原木の産地および樹種の少なくとも一方を指定し、その指定内容に対応する単板画像データを取得して後述する分析を行うようにする。このようにすると、これから実際に単板を生産する原木の産地および/または樹種に合わせて画像分析による品質ランクの選別シミュレーションを行うことができ、シミュレーションの結果を実際の選別結果に近づけることが可能となる。
【0027】
欠陥検出部13は、単板画像取得部12により取得された複数の単板画像データをそれぞれ画像解析することにより、複数種類の欠陥を各単板画像データから検出する。このとき、欠陥検出部13は、選別条件設定部11により設定された検出条件を満たす欠陥のみを検出する。また、欠陥検出部13は、欠陥のサイズが選別条件として設定される種類の欠陥については、欠陥のサイズも検出する。例えば、図2に例示した穴・抜節の欠陥については、長手方向のサイズが5mm以上、かつ、板幅方向のサイズが5mm以上の欠陥を検出し、長手方向のサイズおよび板幅方向のサイズもそれぞれ検出する。
【0028】
品質ランク選別部14は、欠陥検出部13により検出された複数種類の欠陥の検出状態(欠陥のサイズや個数など)に基づいて、選別条件設定部11により設定された選別条件に従って、単板画像取得部12により取得された複数の単板画像データについてそれぞれ複数種類の欠陥毎に品質ランク(以下、欠陥別品質ランクという)を判定し、当該欠陥別品質ランクを総合判定して、複数の単板画像データに対応する単板をそれぞれ複数の品質ランク(以下、総合品質ランクという)に選別する。品質ランク選別部14は、複数種類の欠陥毎に判定した欠陥別品質ランクの情報と、欠陥別品質ランクを総合判定した総合品質ランクの情報とを選別結果記憶部102に記憶させる。
【0029】
複数の単板画像データのそれぞれについて、選別条件設定部11により設定された選別条件に従って欠陥別品質ランクを判定することについては、図2を用いて説明した通りである。一方、欠陥別品質ランクを用いて総合品質ランクを判定すること(単板画像データに対応する単板を複数の品質ランクに選別すること)に関しては、例えば、欠陥別品質ランクを重み付け平均するための所定関数に従って、単板の総合品質ランクを判定するといった方法を用いることが可能である。なお、この場合における各欠陥に対する重み値を、ユーザが操作装置200を操作して調整できるようにしてもよい。
【0030】
または、欠陥検出部13により検出された欠陥のサイズや個数が、選別条件として設定された品質ランクの許容値とどの程度近いかに応じて、各欠陥の重み値を可変設定するようにしてもよい。例えば、ある品質ランクに選別された欠陥について、その品質ランクの許容値に近い欠陥の検出数が多いほど重み値が小さくなり、許容値に近い欠陥の検出数が少ないほど重み値が大きくなるような重み値を設定するといった方法で、各欠陥の重み値を可変設定することが可能である。なお、ここに示した品質ランクの総合判定方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0031】
第1の集計部15は、特許請求の範囲の集計部に相当するものであり、板画像取得部12により取得された複数の単板画像データについて品質ランク選別部14により選別された複数の品質ランク(総合品質ランク)に該当する単板の数量または数量比を集計する。例えば、第1の集計部15は、板画像取得部12により取得された単板画像データのうち、何個の単板画像データに対応する単板が総合品質ランクでAランクに選別され、何個の単板画像データに対応する単板がBランクに選別され、何個の単板画像データに対応する単板がCランクに選別され、何個の単板画像データに対応する単板がランク外に選別されたかを集計する。または、第1の集計部15は、Aランク、Bランク、Cランク、ランク外に選別された単板の数量比を集計する。
【0032】
第2の集計部16は、板画像取得部12により取得された複数の単板画像データについて品質ランク選別部14により複数種類の欠陥毎に判定された品質ランク(欠陥別品質ランク)に基づいて、複数種類の欠陥毎に、複数の欠陥別品質ランクに該当する単板の数量または数量比を集計する。すなわち、第2の集計部16は、複数の欠陥別品質ランク毎に、当該欠陥別品質ランクの欠陥が検出された単板の数量または数量比を複数種類の欠陥毎に集計する。
【0033】
図2の例に沿って説明すると、第2の集計部16は、穴・抜節(長手径)の欠陥について、欠陥別品質ランクがAランクに選別された単板の数量、欠陥別品質ランクがBランクに選別された単板の数量、欠陥別品質ランクがCランクに選別された単板の数量をそれぞれ集計する。また、第2の集計部16は、穴・抜節(板幅径)の欠陥について、欠陥別品質ランクがAランクに選別された単板の数量、欠陥別品質ランクがBランクに選別された単板の数量、欠陥別品質ランクがCランクに選別された単板の数量をそれぞれ集計する。第2の集計部16はさらに、A〜Cの各ランクに選別された単板の数量比を集計してもよい。その他の種類の欠陥についても同様である。
【0034】
表示制御部17は、操作装置200に対するユーザ操作により行われた表示指示に従って、第1の集計部15により集計された結果および第2の集計部16により集計された結果を表示装置300の画面上に表示させる。このとき表示制御部17は、第1の集計部15により集計された結果と第2の集計部16により集計された結果とを選択的に画面上に表示させる。
【0035】
図3は、第1の集計部15により集計された結果(以下、第1の集計結果という)の表示例を示す図である。図4は、第2の集計部16により集計された結果(以下、第2の集計結果という)の表示例を示す図である。図3および図4に示す画面例は、ランク別グラフボタン31、欠陥別グラフボタン32、ランク指定ボタン33〜36を備えている。ランク別グラフボタン31を押下すると、第1の集計部15により集計された第1の集計結果がグラフ表示欄37に表示される。欠陥別グラフボタン32を押下してランク指定ボタン33〜36により何れかの品質ランクを指定すると、指定された品質ランクに関して第2の集計部16により集計された第2の集計結果がグラフ表示欄37に表示される。
【0036】
図3に示す例では、複数の単板画像データについて品質ランク選別部14により複数の総合品質ランク(ランク外を含む)に選別された単板のそれぞれの数量が棒グラフの形態で表示されている。ユーザは、このグラフをグラフ表示欄37に表示させることにより、選別条件設定部11により欠陥毎に選別条件を任意に設定したことの結果として、複数の総合品質ランクに選別された単板の数量が望ましい数量比となっているかどうかを確認することができる。望ましい数量比となっていない場合は、欠陥毎に設定する選別条件を変更して再び品質ランクの選別および集計を行い、第1の集計結果をグラフ表示欄37に再び表示させる。これにより、選別条件の設定を変更したことの結果として、複数の総合品質ランクに選別された単板の数量比が改善されたかどうかを確認することができる。
【0037】
なお、ここでは、複数の総合品質ランクに選別された単板のそれぞれの数量を棒グラフの形態で表示する例を示しているが、これに限定されない。例えば、複数の総合品質ランクに選別された単板の数量比をπチャートの形態で表示するようにしてもよい。また、複数の総合品質ランクに選別された単板の数量または数量比をグラフ形式ではなく数値形式で表示するようにしてもよい。数値形式で表示してもよいことは、図4に示す第2の集計結果についても同様である。
【0038】
図4に示す例では、複数の単板画像データについて品質ランク選別部14により欠陥別品質ランクがCランクに選別された単板の数量が欠陥の種類別に棒グラフの形態で表示されている。図4の画面例では、複数種類の欠陥の名称が縦軸方向(画面の上下方向)に並べて表示され、各名称の右側に、欠陥別品質ランクがCランクに選別された単板の数量が棒グラフの形態で表示されている。棒グラフが表示されるのは、選別条件設定部11により欠陥を検出するものとして設定された種類の欠陥のみである。
【0039】
図3に示した例では、総合品質ランクがCランクに選別された単板の数が他に比べて多いので、この数量を減らすことを考える。この場合、図4のように、欠陥別品質ランクがCランクに選別された単板の数量が欠陥の種類別に示されたグラフを表示させることにより、どの種類の欠陥の選別条件を緩くすればCランクへの選別数を減らせるのかを把握することができる。Cランクの選別数を減らすために欠陥の選別条件を緩くするとは、Bランクの選別条件として設定する許容値を大きくすることである。このように選別条件を変更すれば、欠陥別品質ランクがBランクに選別される単板の数が増えて、欠陥別品質ランクがCランクに選別される単板の数が減る。
【0040】
なお、ランク指定ボタン33,34によりAランクまたはBランクを指定すれば、欠陥別品質ランクがAランクまたはBランクに選別された単板の数量を欠陥の種類別に表した棒グラフがグラフ表示欄37に表示される。総合品質ランクがCランクに選別される単板の数を減らすために、欠陥別品質ランクがAランクまたはBランクに選別される単板の数を増やすという考え方もある。この場合は、ランク指定ボタン33,34によりAランクまたはBランクを指定して欠陥別グラフを表示させ、AランクまたはBランクに選別されている数が少ない欠陥の種類を把握して、その種類の欠陥の選別条件を調整するようにしてもよい。
【0041】
このように、図3に示すランク別グラフと、図4に示す欠陥別グラフとを適宜選択して画面表示させることにより、ユーザは、どの種類の欠陥に関する選別条件をどのように調整すれば、複数の総合品質ランクに選別される単板の数量を望ましい比率に近づけることができるのかを把握することができる。そして、ユーザは、どの種類の欠陥をどの程度重要視するかを考慮しながら、複数種類の欠陥に関する選別条件を調整することができる。その際、条件を緩くできない種類の欠陥については選別条件を厳しく(欠陥別品質ランクができるだけAランクまたはBランクに選別されるように)設定した上で、他の種類の欠陥に関する選別条件を調整することにより、複数の総合品質ランクに選別される単板の数量比を望ましい比率に近づけるようにすることも簡単に行うことができる。
【0042】
なお、ここでは、図3および図4のように、ランク別グラフ(第1の集計結果)と欠陥別グラフ(第2の集計結果)とを選択的に表示させる例について説明したが、表示方法はこれに限定されない。例えば、表示装置300を2画面に分割し、ランク別グラフと欠陥別グラフとを同時に表示させるようにしてもよい。また、欠陥別グラフについても、複数の品質ランクのグラフを選択的に表示させることに代えて、複数の品質ランクのグラフを同時に表示させるようにしてもよい。この場合、画面分割して複数の品質ランクのグラフを同時に表示させるようにしてもよいし、複数種類の欠陥別に複数の品質ランクのグラフを並列表示させるようにしてもよい。
【0043】
以上のような複数の単板画像データを用いたシミュレーションによって欠陥毎の品質ランクの選別条件を設定し終わったら、その設定した選別条件に従って実際に切削システムを稼働させ、原木から生産した複数の単板をそれぞれ複数の品質ランクに選別する。そして、その選別結果に基づいて、生産された複数の単板を複数の堆積場に振り分けて堆積していく。単板選別制御装置10において設定した選別条件を切削システムに設定する方法は、選別条件記憶部101に記憶されているデータをリムーバブル記憶媒体にコピーし、当該リムーバブル記憶媒体から切削システムにデータを転送して記憶させる方法を用いることが可能である。
【0044】
ここで、選別条件設定部11による選別条件の設定手順の一例を説明する。設定手順は任意であるが、例えば以下のような手順で選別条件を設定するようにしてよい。まず、生産される単板の用途(合板を使用して製造する最終製品など)とそれに応じて生産するべき単板の品質とを考慮して、検出するべき欠陥の種類と、欠陥別品質ランクの選別条件とを設定する。この段階(以下、品質優先段階という)では、複数の総合品質ランクに選別される単板の数量を所望の数量比に近づけることよりも、生産される個々の単板の品質を上げることを優先させた選別条件を設定してよい。そして、このようにして設定した選別条件に従ってシミュレーションを行い、品質ランク選別の集計結果(第1の集計結果)を確認する。
【0045】
このように単板の品質を優先して選別条件を設定する際に、検出するべき欠陥が欠陥検出部13によりきちんと検出できているかを確認できるようにするために、単板画像データに基づく単板の画像を欠陥の検出結果と共に表示装置300に表示させるようにしてもよい。例えば、図5に示すように、単板の画像50を表示装置300に表示させるとともに、欠陥検出部13により検出された欠陥を示す所定の識別画像51〜54(例えば、欠陥を囲む矩形枠画像、欠陥の形状に沿って抽出したエッジ画像または塗りつぶし画像など、欠陥の種類に応じて表示態様を異ならせた複数種類の識別画像)を単板の画像50に重畳させて表示させるようにする。
【0046】
ユーザは、図5のように表示された画像を見ることにより、検出するべき種類の欠陥が意図通りに検出されているかどうかを確認することができる。そして、欠陥が適切に検出されていないと判断した場合は、選別条件を調整し、再度シミュレーションを行う。なお、この品質優先段階において、この後の生産量比率調整段階のシミュレーションにおいて用いる単板画像データの全てを用いてシミュレーションを行う必要はなく、一部の単板画像データのみを用いてシミュレーションを行うようにしてもよい。
【0047】
以上の品質優先段階のシミュレーションにより、一定の品質をもって欠陥を抽出できていると判断された場合、複数の総合品質ランクに選別される単板の数量を所望の数量比に近づけることを目的として選別条件の調整を行う。この生産量比率調整段階のシミュレーションにおいては、検出する複数種類の欠陥のうち、優先度の高い種類の欠陥については、品質優先段階のシミュレーション時に設定した選別条件をできるだけ維持し、それ以外の欠陥に関する選別条件を変更することにより、選別される単板の数量を所望の数量比に近づけるようにすることが望ましい。
【0048】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、画像記憶部100に記憶されている複数の単板画像データを用いて欠陥の検出および単板の各品質ランクへの選別を行い、その選別結果を利用して集計した結果を画面上に表示するようにしている。これにより、画面表示により確認した単板の数量比が適切でないと判断した場合は、どの種類の欠陥をどの程度重要視するかを考慮しながら選別条件を調整した上で、複数の単板画像データを用いて再び欠陥の検出および単板の各品質ランクへの選別を行い、各品質ランクの集計結果を画面上に表示させて、選別条件の調整の結果を確認することができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、実際に生産される複数の単板を複数の品質ランクに順次選別し、オペレータがその選別結果を見て欠陥毎の選別条件を調整した後、調整した選別条件の下で実際に生産される複数の単板の各品質ランクへの選別が適切に行われているかどうかを確認するという作業を行う必要がなく、画像記憶部100に記憶されている複数の単板画像データに対するコンピュータ上の処理のみによって選別条件の調整を行うことができる。これにより、生産される複数の単板を複数の品質ランクに適切に選別するための選別条件の調整を短時間で行うことができる。
【0050】
以上説明した第1の実施形態において、対象となる単板は、ベニアレースにより切削され、規定のサイズに切断された未乾燥状態であってもよく、または規定のサイズの乾燥状態であってもよい。これは、次に述べる第2の実施形態においても同様である。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は、第2の実施形態による単板選別制御装置20の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図6において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0052】
図6に示すように、第2の実施形態による単板選別制御装置20は、機能構成として、モード設定部21および第2の単板画像取得部22を更に備えている。また、第2の実施形態による単板選別制御装置20は、図1に示した品質ランク選別部14に代えて品質ランク選別部14’を備えている。また、第2の実施形態による単板選別制御装置20は、カメラ400および切削システム500に接続されている。
【0053】
切削システム500は、原木を切削して単板を生産するシステムであり、原木の切削を行うベニアレースと、ベニアレースによる切削によって生産された単板を搬送するコンベアと、コンベアによって搬送された単板を堆積する堆積場とを備える。堆積場は、複数の品質ランクに選別された単板をそれぞれ分別して堆積するための複数のスペースを有している。切削システム500は、コンベア上を順次搬送されてくる複数の単板を1枚ずつ、単板選別制御装置20によって選別された品質ランクに応じて、堆積場の何れかのスペースに振り分ける。切削システム500はそのための振り分け機構も備えている。
【0054】
カメラ400は、切削システム500の近傍に設置され、切削システム500によって生産された単板の表面を撮影する。例えば、カメラ400は、ベニアレースでの切削により生産された単板を堆積場まで搬送するコンベア(振り分け機構よりも上流側)の上方の位置に、コンベアの方向を撮影する向きに設置され、コンベア上を1枚ずつ搬送されてくる単板を順次撮影する。
【0055】
第2の単板画像取得部22は、切削システム500によって実際に生産された単板(上述のように、コンベア上を搬送されてくる単板)について欠陥が存在する面(単板の表面)をカメラ400によって撮影して得られる単板画像データを逐次取得する。
【0056】
モード設定部21は、操作装置200に対するユーザ操作を通じて、単板選別制御装置20の動作モードとして、シミュレーションモードまたは本番モードの何れかを設定する。シミュレーションモードとは、単板画像取得部12が画像記憶部100から取得した複数の単板画像データを用いて欠陥検出部13、品質ランク選別部14’、第1の集計部15および第2の集計部16の処理を実行する動作モードである。シミュレーションモードは、第1の実施形態で説明した処理を実行する動作モードである。
【0057】
すなわち、モード設定部21によりシミュレーションモードが設定された場合は、単板画像取得部12により画像記憶部100から取得された複数の単板画像データを用いて、選別条件設定部11により設定された選別条件(選別条件記憶部101に記憶された調整中の選別条件)に従って、欠陥検出部13、品質ランク選別部14’、第1の集計部15および第2の集計部16の処理を実行する。そして、操作装置200に対するユーザ操作により集計結果の表示が指示された場合、表示制御部17は、第1の集計部15による集計結果および第2の集計部16による集計結果を表示装置300に選択的または同時に表示させる。
【0058】
一方、本番モードとは、第2の単板画像取得部22がカメラ400から1枚ずつ順次取得した単板画像データを用いて欠陥検出部13、品質ランク選別部14’、第1の集計部15および第2の集計部16の処理を実行する動作モードである。
【0059】
本番モードにおいて、品質ランク選別部14’は、選別した欠陥別品質ランクおよび総合品質ランクの情報を選別結果記憶部102に記憶させるとともに、総合品質ランクの情報を切削システム500に通知する。切削システム500はこの通知を受けて、振り分け機構を適宜動作させることにより、コンベア上を順次搬送されてくる複数の単板を1枚ずつ、通知された総合品質ランクに対応する堆積場のスペースに振り分ける。
【0060】
モード設定部21により本番モードが設定された場合は、第2の単板画像取得部22によりカメラ400から逐次取得される単板画像データを用いて、選別条件設定部11により設定された選別条件(選別条件記憶部101に記憶された選別条件で、シミュレーションモードの設定時に調整されて最終的に確定した選別条件)に従って、欠陥検出部13、品質ランク選別部14’、第1の集計部15および第2の集計部16の処理を実行する。そして、操作装置200に対するユーザ操作により集計結果の表示が指示された場合、表示制御部17は、第1の集計部15による集計結果および第2の集計部16による集計結果を表示装置300に選択的または同時に表示させる。
【0061】
ここで、欠陥検出部13および品質ランク選別部14’は、第2の単板画像取得部22が1枚ずつ単板画像データを取得する都度、それぞれの処理を実行する。第1の集計部15および第2の集計部16は、1枚の単板画像データに対して品質ランクの選別が行われる都度、その選別結果を追加して集計し直すようにすることが可能である。あるいは、2以上の所定枚の単板画像データに対して品質ランクの選別が行われる都度、それらの選別結果を追加して集計し直すようにしてもよい。これらの場合、ユーザの指示に応じて集計結果を表示装置300に表示させている間、1枚または所定枚の単板画像データに対する品質ランクの選別が行われる都度、表示されるグラフの内容が更新される。
【0062】
別の例として、第2の単板画像取得部22が単板画像データを取得するたびに欠陥検出部13および品質ランク選別部14’の処理のみを逐次実行するようにし、第1の集計部15および第2の集計部16は、操作装置200に対するユーザ操作により集計結果の表示が指示されたときにのみ、その指示のタイミングで選別結果記憶部102に記憶されている選別結果の情報を用いて集計を行うようにしてもよい。この場合は、ユーザが操作装置200を操作して再表示の指示を行うまでは、表示されるグラフの内容は更新されず、変わらない。
【0063】
以上説明した第2の実施形態によれば、1つの単板選別制御装置20をシミュレーションモードと本番モードとで使い分けることができる。上述したように、シミュレーションモードによる動作時に、複数の総合品質ランクに選別される単板の枚数が所望の数量比に近づくように欠陥毎の選別条件を調整することが可能である。しかしながら、画像記憶部100から読み出される単板画像データは、実際に生産される単板を撮影した画像データではないため、シミュレーションの結果と完全に一致するように単板を複数の品質ランクに選別することは難しい。
【0064】
そこで、シミュレーションモードで選別条件を調整した後、その選別条件に従って本番モードで複数の品質ランクに選別された結果を集計してグラフ表示することにより、ユーザは、シミュレーションによる選別結果と実際の選別結果との齟齬を確認することができる。そして、本番モードによる処理の実行中に、必要に応じて操作装置200を操作して選別条件を調整することが可能である。もちろん、本番モードによる処理をいったん停止し、シミュレーションモードを設定して選別条件を再調整するようにしてもよい。
【0065】
なお、本番モードによる処理の実行中に、品質ランクの選別の集計結果を表示する際に、シミュレーションモード時に画像記憶部100から読み出した単板画像データを分析して集計した結果と、本番モード時にカメラ400から取得した単板画像データを分析して集計した結果とを同時に並べて表示させるようにしてもよい。このようにすれば、シミュレーションによる選別結果と実際の選別結果との齟齬をユーザに対してより分かりやすく提示することができる。
【0066】
上記第2の実施形態において、第2の単板画像取得部22により取得された単板画像データを画像記憶部100に記憶させるようにしてもよい。このようにすれば、本番モードの処理中に取得された単板画像データを、その後にシミュレーションモードを設定して品質ランク選別のシミュレーションを行う際に活用することができる。
【0067】
また、上記第2の実施形態において、品質優先段階のシミュレーションを行う際に、画像記憶部100から読み出した単板画像データではなく、カメラ400により撮影された数枚の単板画像データ(実際に生産された単板の撮影画像)を用いるようにしてもよい。
【0068】
上記第1および第2の実施形態では、第1の集計部15および第2の集計部16を備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の集計部15のみを備える構成としてもよい。この場合、図3に示したランク別グラフのみが表示されることになる。ランク別グラフのみを表示することとしても、欠陥毎の重要度を考慮しながら、複数の品質ランクに選別される単板の数量比が望ましい比率に近づくように品質ランクの選別条件を調整することが可能である。ただし、図4に示すような欠陥別グラフを併用した方が、どの種類の欠陥に関する選別条件を調整すればよいかを把握しやくなり、選別条件の調整をより効率よく行うことができる点で好ましい。
【0069】
また、上記第1および第2の実施形態では、選別する品質ランクがA〜Cの3つである例について説明したが、この数に限定されるものではない。例えば、表板に割り当てられる品質ランクとしてA1,A2、裏板に割り当てられる品質ランクとしてB1,B2、心板に割り当てられる品質ランクとしてC1,C2といったように、6つの品質ランクに選別するようにしてもよい。あるいは、A〜DまたはA〜Eといったように4つまたは5つの品質ランクに選別するようにしてもよい。
【0070】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
10,20 単板選別制御装置
11 選別条件設定部
12 単板画像取得部
13 欠陥検出部
14,14’ 品質ランク選別部
15 第1の集計部(集計部)
16 第2の集計部
17 表示制御部
21 モード設定部
22 第2の単板画像取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6